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Key Of The Twilight

1イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/01(火) 19:01:24
移動してきました。

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364アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2015/04/18(土) 23:40:52
【過去】

気に入らないから、リトが怒られればいいと思った。
退屈だったから、屋敷の皆を困らせてやろうと思った。

ほんの軽い気持ちでおかしたイタズラが、まさかこんなにも深刻な事態を招いてしまうなんて初めは想像もしなかった。

ヨハン達が立ち去った後も呆然とその場に立ち尽くしていたアブセルは、不意に自分の名を呼ばれるとびくりと肩を震わせた。

恐る恐るナディアを見る。
やがて彼は、俯き気味に小さな声で頷いた。

「…リトは嫌がってたんだ。それを俺が無理やり…」

先ほど垣間見たヨハンの表情はいつも以上に怖かった。
それは自分に向けられたものではなかったが、傍にいたアブセルも身が竦む思いだった。

「ごめんなさい、リトのことは怒らないで…」

365メイヤ ◆.q9WieYUok:2015/04/20(月) 22:20:02
【バルクウェイ】

忌々しい一族か、それは言い当て妙だ。
静寂に包まれる教会内で、オンクーが吐き捨てた言葉にメイヤは静かに頷いた。

確かにそうだ、暗殺者の一族など忌々しいに決まっている。
その中でも自分は特に忌々しく、異端な存在だろう。

「俺の首じゃあ冥土の土産にもならないぞ……こんな忌々しい首なんて土産にすれは地獄に叩き落とされるだろうさ。」

弥都での戦い振りと、その言動からするに彼は一族の誰かと戦い、敗北した経験がある様だ。
それが誰かはわからないが、因縁はあったのだ。

だからこそとは言わないが、今、自分がその因縁を断つべきだろう。
例え、その結果が相討ちだったとしても。

「だけど、アンタを地獄に叩き落とせるなら安いモンだな!」

血を吐き、膝を着きながらも此方を睨み付けるオンクー。
その視線を真っ向から受け止め、メイヤは支えにしていた剣を構える。

口腔から溢れる血は黒から赤へ、闇は既にその活動を停止していた。
闘技場から続く激闘で、体力も限界に近い。

放てて一刀、いや、一刀で決めるのみ。
対するオンクーが放つは、死力振り絞った尖爪による一撃。

その一撃をメイヤが避ける事は叶わず、否、避ける事を選ばず。
鋭き一撃は寸分違わずメイヤの心の臓を貫き、傷口から、口腔から、鼻腔から夥しい程の血流が溢れ出す。

しかし、心臓を貫かれると同時にメイヤもまた、真白の刃を振り切っていた。

その一刀は、神速の一刀。

神をも斬り裂く必殺の刃。

居合い、神斬りーー

366メイヤ ◆.q9WieYUok:2015/04/20(月) 22:21:26
先々代は長として一族には何も残さず散った。
そして、宿敵に魂の炎を遺し散った。

俺も同じだろう。
一族には何も残さず、散る。

だがそれも一興、忌み嫌われる殺し屋の血筋など絶えれば良い。
長を、そしてその補佐や分家の頭が消えれば一族は自然と瓦解する。

同業者に消されるか、取り込まれるか。
先細りするしかない一族の未来に興味は無い。

だからこそ、俺は魂の炎を、生命の炎を遺す。
血塗れ両手と、屍の玉座で得た唯一の光。

知ってるか?

不死鳥は死して尚燃え上がり、羽ばたくんだぜ。
焔凰円環、産声を挙げるには丁度良いだろ、なァ?ーー

身体が、熱い。
血と共に溢れ出すその熱は、きっと生命そのものだろう。

胸を貫かれながらも振り切った刃を力無く手放し、メイヤは血塊と共に息を吐き出す。
真白の刃は赤に染まり、血溜まりに落ちて音を立てた。

その音も耳には届かず、メイヤはオンクーへと持たれ掛かった。
グズリ、と傷口が広がるがもう関係ない。

メイヤの命は数分も保たないだろう。
薄まっていく五感と意識の上、痛みは意味を成さず。

「これが、死、か……」

オンクーの肩口に顎を乗せ、メイヤは声を紡ぐ。
今まで幾度となく与えて来た死の瞬間が、遂に自分へと訪れるのか。

そう考えると、不意に怖くなった。
薄れゆく意識の中、それだけが浮かび上がっていく。

だが、それも僅かな事。
あれ程までに感じた血の熱さも消え、熱を失った身体は急激に冷えていく。

そして、生命の過多を失った身体から、その背中から、闇が溢れ出す。

「マダ、死ナヌ……悪神ハ、マダ滅ビヌ!」

爆発的に溢れ出すそれは触手の群れと成ってオンクーの身体へと殺到。
何の躊躇いも無く、寧ろ荒々しいまでの勢いで彼の身体に突き刺さり、生命を、彼の存在そのものを喰らい生き長らえようと蠢いた。

しかし、それも一瞬の事。
触手が生命エネルギーを吸い上げ様と蠕動した瞬間、不意にその動きが停まった。

そして一拍の間を置き、闇の触手が内側から爆発し、紅蓮の焔がその姿を顕した。
焔は闇を灼き尽くし、背から伸びる翼となってメイヤを、オンクーを包み込む。

「コノ、焔ハ!?

闇ガ、消エ……!?」

その焔は、真なる焔。
平安と平等を司る、鳳の焔。

焔は顕現しようとする悪神を灼き、同時に朽ちゆくメイヤの身体を再生させていく。

そして。

悪しきを灼き祓い、生命を生み出す焔はオンクーへと燃え移り、より一層その勢いを増して燃え上がった。

367レックス+etc. ◆.q9WieYUok:2015/05/02(土) 16:37:22
【闘技場】

アグルの放ったその技はレックスの予想を遥かに上回るモノだった。
地面から屹立する黒鉄槍はフィールドを余す所無く埋め尽くし、更にそれを避雷針として降り注ぐのは轟雷の瀑布。

(メイヤ相手に見せたのは、本気所か手を抜いていたのですか……ッ!!)

正に必殺、想像を遥か絶する技の威力に、レックスは言葉を失っていた。
圧倒的な破壊の前に、言葉を失ったレックスは無意識の内に唇を咬み、アグルへ黒瞳を向ける。

しかし、不意に上がる物音に驚き、音のした方向へ視線をやり、目を見開いた。

「……予想以上ね、威力だけなら四霊に匹敵するわ。

だけど……」

見開かれた黒瞳が映すのは、しかと闘技場に立つ黒髪の女性、キール。
その身体は無傷とは言わないものの、戦闘不能に至る様な傷は確認出来ない。

「私は吉兆を司る者。

そして、四霊の守を担う者。」

まるで不調は無いとばかりの口調でキールは声を発し、ゆっくりとした動作で右手を横に薙ぐ。

「絶対零度の前には光すらその動きを停める。

それはつまり、時間すら停止すると言う事。

そして、一切の不純物の無い氷の強度は本来鋼の三倍以上。

練度によるけれど、物理的に破壊出来ない硬度の氷壁を精製する事も可能。」
そう、如何に速く、破壊力がある攻撃でもキールには届かないのだ。

絶対零度により僅かながらも周囲の時を、敵の攻撃を停め、その間に圧倒的な強度を持つ氷壁を張る。
それは即ち二段構えの絶対防御。

同系統の能力者故に理解出来る圧倒的な実力差。
それを目の当たりにし、流石のフィアも諦めの表情を浮かべた。

(せめてこの場にシャムとDDが居れば……)

まだ何とかなったかもしれないが、二人には観客達の保護を任せた為に離れている。
最早万事休すか。

フィアの表情を察し、マルトもまた目を伏せた。

そして。

身動きを取らない一行へとキールは手を翳し、死の凍気が放たれたその瞬間。
一筋の雷光が閃き、圧倒的な熱量を持って凍気の波濤を対消滅させた。

「すまん、少し面倒な奴と出会って遅くなった。」

更に、響く声と共に放たれた剣閃がキールの胸元を袈裟懸けに切り裂く。
不意に上がる己の鮮血に、流石のキールも驚きの表情を浮かべた。

しかし、続く剣戟を氷刀で切り払うと同時に後方へ跳躍。
距離を取り、雷光と剣閃の主……レオールを見据えた。

「さてと、だな。

俺の部下をここまで痛めつけたお返しと、観客達に危害を加えた罪を清算してもらおう……消えたか。」

そして、剣を構え口上を上げるレオールに視線を向けたまま、キールは霧となってフェードアウトしていった。

368サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2015/05/02(土) 22:08:16
【闘技場】

また更に変貌をとげたクロスの姿は悪鬼そのもの。
その痩躯から溢れ出す闇の波動を炎波で打ち消し、イスラは勢いよく前方へ飛び出した。

「待って、いー兄!」

その時、不意にサンディが声を上げる。
しかしそれも彼の耳には届かなかったようだ。
果敢にもクロスへと飛びかかって行くイスラの背中をどことなく複雑そうな表情で見つめながら、サンディはポツリと呟いた。

「…あの子なんだか…」

悲しそうだったよ…。

―――そしてそんな間にも、既にクロスとの距離を詰めたイスラは天之尾羽張を手に、赫灼たる刃を振るう。
一閃、二閃と燃ゆる炎の光を瞬かせながら怒涛の連撃を繰り出した。

369オンクー、アグル ◆Hbcmdmj4dM:2015/05/02(土) 23:18:29
【バルクウェイ】

確かに殺したという感覚はあった。…のに、
紅蓮の焔がメイヤを包み込んだかと思えば、驚くべきことに今度は彼の身体がみるみる再生していくではないか。

「…はッ、気味の悪いやつね…」

殺したのに、死なない。

燃え盛る灼熱に身を灼かれながら、オンクーはメイヤを見据え毒づいた。

「…聴こえるよ、お前を取り巻く怨嗟の声が。
せいぜい死ぬまでその呪われた運命に苦しみ続けるがいいよ」

まさにそう最期の言葉を残し、オンクーは焔に灼かれ跡形もなく消滅した。



【闘技場】

駆けつけたレオールと、そして分が悪いと踏んだのか、その場から退散したキール。
一時はどうなることかと思ったが、取り合えず事態は収束したと見ていいのだろう。

アグルはやれやれと行った様子で、息をついた。

「…で、さっきのは何だった訳?」

来るのが遅いんだよ…とぼやきたいのを抑えつつ、先程の女、四霊の一人と名乗る者がなぜこの闘技会に乱入してきたのか。
もちろん知ってるんだよな?といわんばかりにアグルはレオールに目を向け問うた。

370クロス ◆.q9WieYUok:2015/05/08(金) 22:17:14
【闘技場】

火炎を纏う神剣により放たれる連撃は苛烈の一言に尽きる。

一撃一撃が必殺の威力を秘め、それが絶え間なく繰り出されるのだ。

烈火の如き剣撃は確実にクロスの纏う闇を灼き祓っていった。

しかし、先の言葉通り無明の闇は消え去る事無く、確実にその濃度を、総量を増加させていく。

「僕にくれよ、その光を、炎を!暗黒の闇を消し去る程のエネルギーをくれよぉぉぉぉ!」

闇を纏う悪鬼と成ったクロスは叫び、その咆哮は波動となって闘技場を破壊していく。

咎堕ちの先、それは全てを呑み込み無に帰す虚空の闇……ブラックホールだ。

闇を纏う痩躯は既に崩壊しかけており、人の形と闇の境目も曖昧だ。

そして。

幼顔の面影すら残らない悪鬼の牙口が絶叫を上げたと同時に。

クロスの理性と痩躯が遂に崩壊し、莫大な闇が爆発的に溢れ出した。

更に、溢れ出す闇は渦を巻き、大気を、光を、時間すら呑み込まんと奈落の大口を開けた。

今でこそ規模は小さいが、生まれ出でたそれ……ブラックホールは秒刻みで拡大して行くだろう。

そこにクロスの意識は無い。

身体も、意識も、魂すら失い闇黒の渦と化した四凶の成れの果ては、イスラを、サンディを、闘技場を、バルクウェイの街を呑み込まんと広がっていく。

【イスラさんイスラさん、次でトドメ刺しちゃって下さい】

371イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2015/06/07(日) 19:46:41
【闘技場】

まるで断末魔の叫びの如く、クロスの咆哮が耳をつんざく。それと同時に、何らかの爆発に見舞われた様な感覚に襲われた。
足が地面から浮き、後方の壁に叩きつけられる。
握る刀が手から溢れ、一瞬の衝撃に息が止まった。

一体なにが起こったのか。
それを理解するよりも先に,痛みに堪えながらも顔を上げたイスラの目に漆黒の塊が飛び込んできた。

周囲の瓦礫や観客用の椅子を呑み込みながらも、驚異的なスピードで肥大していくそれが、先程の彼の成れの果てだと言うことを理解するのにそう時間はかからなかった。
そして、直に自分やサンディ、いや、もっと大勢の人間があれの餌食になるだろうことも容易に想像がついた。
イスラは咄嗟にサンディの姿を目で探す。

「サンディ!逃げ…っ」

しかしその時、直ぐ脇を何かが駆け抜けて行った。

紺色の短いスカートをたなびかせながら身を翻したそれは、イスラが落とした刀を地面から拾い上げ、かつての少年だったものに向かって一直線に駆けていく。

「なっ…!?」

捜していた当の本人の無謀な行動。
しかし制止の声を発する間もなく、直後、強烈な光と音が迸った。

イスラは反射的に腕で顔を隠し、目を閉じた。

…やがて光も音も消え、彼はゆっくりと目を開ける。そして呆気に取られた。
そこには先程の狂騒も、奈落の口も、そしてサンディも、呆れるほど綺麗さっぱりと 消え去っていた。


【遅くなってすいません!早くレスできる時はしますが、暫くはこんな感じのペースになるかもしれません(^_^;)
そして曖昧な幕引きですが一応決着つけました。
サンディは身を呈してクロスを封印だか消滅させたけど、それと引き換えに暗黒に呑まれたか、どっか別の場所に転移したか〜
みたいな感じです。やっといてあまり深く考えてません(笑)】

372レオール ◆.q9WieYUok:2015/06/10(水) 23:51:54
【闘技場】

「……そうだな、見た所戦いは終わった様だな。

負傷者の救護手配が終われば一度集まって話そうか。」

やれやれ、と言った様子で口を開くアグルの様子に、レオールは苦笑いを浮かべながら応える。

ざっと見渡す限り、闘技場での戦闘は全て終息した様だ。

闘技場の結界も解け、続々と乗り込んでくる空挺師団兵が負傷者の搬出、救護に就き出すのを確認し、レオールは密かに胸をなで下ろした。

ーーーーー

そして、一夜が明けた頃。

空挺師団旗艦の会議室に集まった四神組一行は、ホワイトボードに書き出された様々な情報と、それに関するレオールの説明を受けていた。

「要点だけを掻い摘まむとだな、四霊の襲撃目的はこの旗艦の動力源……希少な結晶鉱石の奪取だった訳だ。

四霊が囮となり、闘技場へ戦力を集中させ、別働隊が動力源の奪取に当たる。

まさかその別働隊がこの師団の構成員、幹部だったのは予想外だったがな……

結果として、四霊の目的は果たされ、この旗艦は当分の間は動けない。」

そう、闘技場で圧倒的な力を振るったキールはあくまでも囮だったのだ。

別働隊、裏切り者である幹部は相当な実力者であり、団長のレオールをもってしても討ち洩らす程。

マルトと対なす幹部……側近との戦闘があった為に、レオールの到着は遅れたのだった。

「痛手ではあるが、暫くはこの街に留まる予定だったからそう問題は無い。」

旗艦内部にある幾つかの会議室の中でも、今居る部屋が一番面積は小さい。

集まった面々に目をやり、レオールは続けた。

「師団幹部のマルトは重傷、死亡者は出なかったものの団員の負傷者多数。

四神の一人、天照大神が行方不明。

四霊の一人、霊亀を撃退。

四凶の二人を撃破。

箇条書きにすれば結果としては上々とも言えるが……」

集まった面々、アグル、レックス、イスラ、メイヤ達にとってはサンディの安否が一番気にかかるだろう。

特に、サンディが行方不明だと知った時のメイヤの表情は悲壮感に溢れていた。

イスラの話によればサンディは何の痕跡も残さず、消えたらしい。

ブラックホールを消滅させる為に自らの命を犠牲にしたのか、それとも……

楕円形のテーブルに沿って席に座る一同の顔を今一度見渡し、レオールは問い掛けた。

「皆は、これからどうする?

この空挺師団は対黄龍を目的として動いている。

目的が同じならば、入団して欲しい所ではあるが、無理強いはしない。

無論、入団しないからと言って援助の打ち切りはしない。

飛行船、食糧物資等の援助とサンディの捜索も続ける。」

幹部の中でも右腕であるマルトと、その片割れとも言える側近の離脱は大きい。

その二人の抜けた穴を埋めるに存在として、アグル達は丁度良い所か十二分以上なのだ。

「暗躍を続けてきた四霊、黄龍が表立って動き出した今、此方としても戦力を固めたい。

どうか、力を貸してくれないか?」

373ヤツキ ◆.q9WieYUok:2015/06/10(水) 23:55:01
【久し振りすなー、月一連載みたいな感じでww

幕引きあざした!んだらばサンディは暫く行方不明と言う事すね了解!】

374イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2015/06/21(日) 23:10:23
【旗艦】

「俺は構わない、むしろありがたい話だ」

会議室。
集まった面々を見渡し、こちらの返答を窺うレオール対し、真っ先に口を開いたのはイスラだった。

「俺達だけでは四霊の動向やサンディの行方を調べるにも限界がある。
よりそっち側の事情に精通した者と組めるのなら、こちらとしても都合がいいし。何より、戦力不足はこちらも同じ。
共通の目的を持つ者同士、互いの手を取り合うのに何ら不満なんてないさ」

そう好意的な意思を見せるイスラであったが、それに反し、やや間を置いてから今度はアグルが話し出す。

「…前にも言ったけど、俺は入団しない。
あんたらと違って俺の目的は四霊退治でも世界の救済でも何でもないし」

サンディが消えたと聞かされた時も意にも返さなかったアグル。
頬杖をつき、レオールではなく机の端に視線を外すその態度が、この件に対する彼の無関心さを語っている。
もしくは、ただそう見せようとしているのか。

「でも、別に協力しないとはいってない。ここにいる間なら出来る限り力を貸す。
いつまで居るかは分かんねーけど」

375イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2015/06/21(日) 23:18:27
【と思ったけど、ちょっと落ち着いてきたかも(笑)

久しぶりに絵でも描こうかな…、何かリクエストとかあります?】

376ヤツキ ◆.q9WieYUok:2015/06/22(月) 00:53:39
【壁I・ω・)ノ

梅雨時なんで、水も滴る良い男達とかどうすか!】

377イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2015/06/23(火) 06:01:27
【おおう…また難しそうな…(笑)
でも頑張ってみます!梅雨時すぎるくらい遅くなるかもしれませんがw】

378レオール ◆.q9WieYUok:2015/07/03(金) 14:14:56
【旗艦】

此方の申し出に対し、真逆とは言わないがそれぞれ違った反応を見せる二人。
しかし、断られはしたものの、アグルの返事は決して悪いモノでは無い。

寧ろ彼なりに気を遣ってくれたのだろうか。
残るはレックスとメイヤだが……

「僕もイスラと同意見です。

四霊と対峙してわかりましたが、実力差は明白でした。
諸事情を踏まえた上で、僕入団しますよ。

どこかの誰かと違って、世界の危機を黙って見てる様な真似は出来ないので。」

レックスの方は、本人の言葉通りか。
真面目な性格の彼の返事は予想していたモノとそう変わらない。

「後はメイヤだな。

君にはイオリから言付けを預かっている。」

レックスの一言は気になるが、今は流すべきだろう。

イスラとレックス、そしてアグルがどうするかを決めた今、残るはメイヤだ。
本来ならば、彼は身内であるイオリと行動を共にしていてもおかしくは無い。

しかし、イオリの一団は今朝方に発って行ったのだ。
メイヤと、彼への言付けを残して。

「今まで通り、四神を護衛しろ。ただし、これは命令でもなんでも無い。

……だそうだ。

要は好きにしろと言う事らしいな。」

師団の協力者であるイオリの身内、その立ち位置は何とも微妙である。
だが、イオリのその言葉によってメイヤの立ち位置は大きく変わるのだ。

そして、続くメイヤの言葉に、レオールは満足そうに頷いた。

「今まで選択肢なんてモノは無かった。

イオリの言葉が、当主の言葉が全てだったから。

……好きにしろと言うなら、俺はサンディを捜しに行く。

けど、その前にイスラ達と共に動くさ。」

ーーーーー

各々が立ち位置を決め、全員が師団に協力すると言った今。
早速とばかりにレオールは話題を切り替え、話を始める。

空挺師団はバルクウェイを拠点化し、大々的に動き出す事。
旗艦の動力源が奪われた為に、その代用品の探索に動く事。

世界そのものである黄龍と対峙するに、充分な戦力を確保する事。
それと並行し、今までの主な活動内容である異貌の者の討伐をイスラ達に任せる事。

「と言う訳で、君達には遊撃隊になってもらいたい。

師団最大戦力と言っても過言ではない四神を、ただ単に手元に置くだけなのは勿体ない。

あくまでも協力者であるアグルやメイヤの存在を考えれば、ある程度自由に動ける立ち位置の方が良いと思ってな。

後は、サンディを捜すにも丁度良いだろう?」

そして、予め用意していた書類を渡したレオールは、小型飛行艇へ戻るように一行へ促す。

ーーーーー

「で、ですね。

遊撃隊として動く事になったのですが、僕は師団長の下に戻ります。

バロンや、ナディア達の帰りを待つ人が誰か居なければならないと思うので。」

飛行艇に戻るや否や、開口一番にレックスはそう告げた。

「私は構いませんよ、道理に叶っていますし。

問題はありません。」

そんな彼の言葉に、頷き何ら問題は無いと続けるのは補助員として派遣された巨漢の男、バッハだ。

「まぁ、僕が居なくても何とかなるでしょう、アグルが本気を出せさえすれば。」

そして、レックスは先刻と同じように……寧ろより攻撃的にアグルを煽りだす。
しかしそれ以上続ける事は無く、後は頼みます、と静かに言い残し、食堂兼広間を、飛行艇を後にした。

「……相当苛立ってるが、何かあったのか?」

その姿を見送り、メイヤはアグルへと声を掛けた。

379アグル♯か:2015/07/14(火) 21:56:41
【飛行挺】

「さあな、俺のことが気にいらないんじゃないねーの?」

メイヤの問いにアグルは、何と言うこともないと肩を竦めてみせる。

正直、レックスが苛立っている理由も分からない訳ではない。
しかしだからといって、それに対しどうすることも出来なければ、態度を改める気にもならない。

取り敢えず今はレックスのことは置いておく他ない。アグルは一同を見渡し言った。

「そんなことより、これからどうすんの?
今後の方針を決めるリーダーとか決めて置いた方がいーんじゃね?」


【遅くなりましたが…イラスト出来ました。画像サイズ大きい上に水も滴る感があまりなくて申し訳ない;
imepic.jp/20150714/779350

あとですね、今アグルの復讐の理由なんかを考えている訳ですが…なかなか上手いこと思い浮かばず…
それでユーリのことを知れば何かヒントが得られるのではないかなー、と

と言うわけで良ければユーリの過去的なものを教えてください!】

380メイヤ ◆.q9WieYUok:2015/07/16(木) 22:18:00
【飛行艇】

世界を救うべく行動するレックスと、同行はするものの別の目的があるアグル。

元々几帳面な性格のレックスからすれば、同じ四神であれど同じ目的を持たないアグルには思う所があるのだろうか。

「まぁ、少し距離を置くのも悪くないか。」

はぐらかすかの様に話題を変えるアグルから、メイヤは視線を変える。

その黒瞳の先は、勿論イスラだ。

「俺とアグル、イスラの中から決めるなら……」

飛行艇に居るのは前述した三人と、補助員のバッハのみ。

手際良く資料を配るバッハを除くならば、適任者は一人だろう。

「私はあくまで補助員ですので。」

メイヤの言葉の意を汲み取ったのか、バッハは微笑みながら口を開いた。

「……やっぱりイスラだと思う。」

その一言を聞き、メイヤはイスラへ視線を向けたまま頷いた。

【おぉー!梅雨明けっぽい爽やかな絵が!

それぞれキャラが出てて良いなぁ、青春って感じがまた……!また一段と上手くなってるし、ありがとうございやす!

とと、アグルとユーリの因縁は確か、アグルの兄をユーリが殺害したとかだった様な……

取り敢えずユーリの過去話的なのは……

任務に失敗したユーリは瀕死になるも、時同じくして黄泉がえったステラによって助けられる。

助けられた恩義を返すべく、襲い来る夜盗やら諸々を撃退。

行動を共にする内にユーリはステラへ想いを向け……要は恩義の為に彼女を守るから、惚れた女を守り抜く、状態へ。

兄の仇=ユーリで行くなら、闇の復活をいち早く察したアグル兄がステラを倒そうとするも、彼女を守るユーリに……とかどうでしょう?】

381リマ ◆wxoyo3TVQU:2015/07/18(土) 16:31:12
壁|・ω・`)
お、お久しぶりです。リマです(´・ω・`)

現在卒業試験やら就活やらでバタバタしており、消息を経ってしまっていました、すみません( ˃̣̣̥ω˂̣̣̥ )

まだ落ち着いてなくてなかなか更新出来そうにないのですが、許していただけるのなら時間が出来次第細々とやらせて頂ければなと思います(´×ω×`)

そこでなのですが、もし宜しければどなたか現在の進行状況を大雑把に説明していただけないでしょうか(´•ω•̥`)
いずれ読み返そうとは思っているのですが、今はその余裕がなくてですね( ´•̥̥̥ω•̥̥̥` )わがままでごめんなさい・・・・・

あとイスラさんのイラスト!!相変わらず素敵すぎます(◍˃̶ᗜ˂̶◍)ノ"
何だこの美男子集団は!!
つか、リトがきゃわわわ!!!何か食べてるー!可愛いー!長袖ー!!暑そうー!!真夏でも肌見せないとかマジ鉄壁ー!!!そしてアブに傘持たせて楽してるー!この二人相変わらずすぎて笑えるー!!
てな感じに悶絶しちゃいました(笑)
最近精神が荒んでいたので、思いかけず素晴らしい癒しに出会して、心が清められちゃいました(*∩ω∩)

382イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2015/07/19(日) 20:04:28

【ヤツキ〉いえいえ〜、最近は落書きと練習ばっかりで、一枚仕上げようって気持ちが中々沸かなかったので、いいモチベアップになりました。
こちらこそありがとうです^^

ふぅむ…、なるほど…
兄の敵討ちと言えばそうなんですが、実際アグルってそんなことするような熱い性格じゃない気がして…
彼的には復讐"したい"じゃなくて、復讐"しなければならない"、の方がしっくりくるかなって思ったんです。
兄の死に関わるところで、アグルがユーリに復讐せざるを得なくなった何らかの理由が欲しいのですが…難しいな…;

てかこれからの展開って何か考えてます?

リマ〉おー、お久!
構いませんよー、こっちもポツポツ更新ですし

今の状況を凄く簡単に説明すると、闘技会中にオンクーとクロスらが乱入→二人を撃破するもその際にサンディが行方不明→現在「どうしよう?」
みたいな感じです(笑)リト組は動いてないです

ありがとうございます!
正直このイラスト、あまり気に入らなくて上げようかどうか迷ったんですが…
そんなに言ってもらえるなら描いて良かったです^^
そしてリトは日光に弱そうなので長袖ですw

383ヤツキ ◆.q9WieYUok:2015/07/19(日) 23:35:51
【リマ》おおおお久しぶりです!リマもとうとう就活生かー、大変だろうけど頑張って!

夏バテには気を付けろよ!

進行度はイスラの説明通りで、リマ組みは動いてないよー。

イスラ》確かにきっかけが無いと仕上げまでいかんよなぁww

うーん、難しいな……

兄殺害の場にアグルも居合わせたor共に戦ってた→

①アグルのミスで兄死亡

②実力差を前に、兄が囮となりアグルを逃がした

③呪術の類を掛けられ、期限内までにユーリを倒さないと術でアグルは死ぬ

とかしか浮かばなかった、申し訳ない……つーか酒入ると頭回んねー

とと、これからは取り敢えず吸血鬼組と絡ませようかな、とか。

イスラ達→吸血鬼討伐へ

フィア達→人間界へ住む長老の元へ

イスラ達が狙う吸血鬼=長老で、その長老を狙い謎の吸血鬼(オリジン)が、みたいな。】

384イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2015/07/25(土) 06:33:00
【飛行挺】

「え、俺?」

メイヤの視線、そしてその発言に対し、イスラは思いがけず意外そうな反応を見せる。

「いや、そう言って貰えるのは嬉しいが…俺はこっちの常識だとか地理だとかには詳しくないし…。
むしろメイヤが適任だとばかり…」

仮にも自分にとっては遠い未来であるこの時代。今の時を生きるメイヤやアグル達のリーダーとして、「任せとけ」と言える自信は流石にない。

「だってさ」

彼の言葉を聞き、アグルはメイヤに視線を変える。
それに続き、イスラも訴えかけるように言った。

「…リーダー、任せてもいいだろうか?」



【ヤツキ〉呑んでたのかw

う〜ん、やっぱりそこらが無難なところですよね

③はアグルなら「死んでも別にいいや」とか言いそうw
でも呪術をかけられた立場が兄なら、アグルは頑張ってユーリを倒そうとするでしょうね
死んだ人間の敵討ちはしないけど、生きてる人間を見捨てるほど冷たくもない、みたいな

でもその場合、兄はまだ生存してるってことになるわけで…、確か既に「兄は殺された」って皆に公言してたような気もするけど…w
まあそこは「兄は殺された(ようなものだ)」に変換しちゃえば良いか(笑)

それかもしくはアグル絶賛記憶喪失中、覚えているのはユーリへの強い憎しみと兄がいたらしいと言うこと。
その二つの記憶だけが今の彼の全てであり、生きていく上での支え。で、アグルは自身の記憶と真実を求め、ユーリを追う。みたいな感じ

他にも色々考えてたけど、取り敢えず上の二つに絞ろうかな。兄が死んだのはヤツキが言ってたように闇の復活を察して〜ユーリに返り討ちってことで

まぁまたこれからの展開によって色々変わってくかもしれませんが、アドバイスありがとうございました!

お、ついにオリジン登場ですか!楽しそう!了解です!
じゃあリーダーはメイヤに任した(笑)

385メイヤ ◆.q9WieYUok:2015/07/26(日) 23:02:27
【飛行艇】

いや待ってくれその返しはおかしい。

予想外のイスラの返答に、メイヤは反射的に口を開く。

だが、口を開いたものの、続く言葉は内心とは逆の物だった。

「……わかった、イスラがそう言うなら任されるさ。」

経験、戦闘力、胆力、年功序列……その他諸々。

トータルで考えた上で、適任はイスラだろう。

しかし、その彼が断るのにはそれなりの理由が、考えがあるのだろう。

「任されたからにはやるしかないさ、取り敢えず……作戦会議か?」

腹を括ったと言えば聞こえは良いが、やると決めたからにはやるしかない。

メイヤは早速、配られた書類に目を通していく。

そして、イスラとアグル、メイヤが一通り読み終えただろうタイミングを見計ったバッハが口を開いた。

「今回の任務は討伐任務です、討伐対象は吸血鬼。

王や長と呼ばれるらしく、高位の存在だと予測されます。

バルクウェイから南西方向、群青の街中央の城に居を構え、毎月事に生贄を求めている模様ですね。」

「……吸血鬼か、一度戦った記憶はあるけど、厄介だったな。」

「空間転位術と優れた再生能力、文献によれば肉片一つから復活した等と、厄介過ぎる相手です。」

バッハの説明によれば、件の吸血鬼は世界政府ですら討伐に失敗した程の強者であるらしい。

彼の話を聞きながら、メイヤは考える。

「取り敢えず、今夜はここまでにましょう。

出発は明日明朝ですので、それまでに各々準備をして下さると助かります。

あ、装備品等は幾つか見繕って持ってきているのでお好きなのをどうぞ。」

だが、その考えが纏まらない内に、バッハは説明を終えてしまった。

「それでは、皆様また明日。

私はもう少し艇の整備をするので、何かあればお呼び下さいね。」

そして、書類を手早く片付けた彼は巨体を屈めて窮屈そうに部屋を後にした。

ーーーーー

思ったよりも海風はべたつかず、夜風は涼しい。

会議が一応は終わり、各々が部屋へと戻った後。

メイヤは一人、月明かりに照らされる甲板上へと出て来たのだが……

「……なんだ、居てたのか。」

どうやら先客が居たらしい。

甲板へ腰掛ける赤毛の青年、イスラの背中を見つけ、メイヤは声を掛けた。

「寝れない、訳じゃ無さそうだな。」

386イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2015/08/01(土) 05:33:29
【飛行挺】

不意に声をかけられ、イスラは背後を振り返る。
メイヤの姿を瞳に映すや、ああ。と、どこか力なくだが口の端を小さく持ち上げた。

「サンディの気を探してたんだ」

そしてその視線は再び水平線の向こう側へ。
彼の浮かない表情から察しても、結果は思わしくないようである。

「あの時…、目の前の危機的状況に対して、俺は咄嗟に反応できなかった…。
飛び出して行ったサンディを止めることもできなかった」

もしかしたら彼女はもう…。
そんな脳裏にちらつく恐ろしい考えを、振り払うことさえできない。

「女の子…しかも自分よりも年下の子に体を張らせて助けて貰うなんて…」

情けない。とイスラは言った。

387メイヤ ◆.q9WieYUok:2015/08/03(月) 13:58:30
【飛行艇】

「情けない、か。」

水平線へと視線を向けるイスラの声は、どこか弱々しく感じる。

聞く所によると、サンディは身を呈して闇の渦を消し去ったらしいが……

「サンディはきっと生きてる。

死体は出てないんだろう、有名な猫と確率の話とは違うけど、死体も、死んだ瞬間も、見てないなら可能性は0じゃない。」

そう考えないと、心が保たない。

「だから……とは言わないけれど、そう、あんまり気を落とさないでくれ。」

ましてや真面目なイスラの事だ、落ちだしたら底が知れないかもしれない。

甲板に座るイスラの隣に立ち、メイヤもた、水平線へと黒瞳を向ける。

「そう言えば、イスラの仲間達……先代の四神はどんな人達だったんだ?」

【イスラ》毎日の様に飲んでてヤバいwwww←

おー、イスラの案は両方共に良いですな!

話は合わすんで、また何かあれば言ってくだせー!

いやホント予想外の返しで焦ったwwけど、やらせていただきます!ww吸血鬼組も良いネタ思い付いたんで任せろー!】

388イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2015/08/09(日) 11:57:17
【飛行挺】

どうやら今の自分の態度は想像以上に情けないものだったらしい。
メイヤに気を使わせてしまったことを悪いと感じながら、イスラは小さく笑みを見せる。

「ああ…、いや、すまない。
俺なら大丈夫だよ」

彼の言う通りだ。悲観的に考えていても仕方がない。
イスラは気を取り直すかの様に少し体勢を崩し、楽な姿勢で話し出した。

「そうだな…、リマ…ポセイドンは少し内気な感じの可愛らしい娘だ。
最年少で世間知らずなところもあってか、つい世話を焼きたくなると言うか、護ってあげたくなると言うか…。
あとたまに一人で突っ走って無茶やらかすんで色んな意味で目が離せなかったな。

トールはメンバー内のムードメーカーで、こいつのおかげで旅の途中も退屈しなかった。
いつも女の子を追いかけまわしてるような軟派な奴だったけど、やるときはしっかり決めてくれるとこなんか俺には絶対真似できないなぁって思う。

フレイヤは頼れる皆のお姉さんって感じだな。面倒見が良くて何でも器用にこなしてくれる。
でも気が強くて怒ると怖かった。
女の子には優しくて男には厳しいタイプなのか、アグルなんかはよく怒られてたし、俺もいいようにコキ使われてたよ」

何だか懐かしい。
自分の表情が柔らかくなっていくのが自分自身で分かる。
同時に、同じようにこの時代に飛ばされてきたリマと、あまり話す時間が取れなかったことが悔やまれる。

「今の四神の皆を見てると全然違うんでびっくりするよ。こっちはこっちで個性豊かで面白いけど」

389イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2015/08/12(水) 04:14:27
【↑はアグルじゃなくてレイヴンでした;

ヤツキ>呑まないとやってられないってやつですか?w
そちらも何かあれば言ってください、自分も合わせますので^^

自分は最初からそのつもりでしたよ(笑)
マジですか!じゃあよろしくお願いします!】

390リマ ◆wxoyo3TVQU:2015/08/13(木) 19:16:09
【過去】

「アブセル、あんた・・・・・」

アブセルがリトの事を好いていないことには何となく気づいていた。
しかし、同い年だし、男の子というのは細かい事にこだわる性格ではないため一緒に過ごさせておけば時期に仲良くなると思っていた。
自分の考えが浅はかだったと、ナディアは頭を抱えた。

恐らく・・・・・事の重さの程度は理解していなかったとは言え、アブセルはリトを外に出せば問題が起きる事を知っていた。
完全に悪意のある行動。許せない。

「・・・・・」

苛立ちを顕にするナディアだったが、不意に服を引かれる感覚に気付き我に返った。
見ればリトが何か言いたげな表情でこちらを見上げている。

「リト、どうした?」

しかし、リトが何を伝えたいのかまでは分からない。

(ちゃんと言葉にしないと分からないよ)

沈黙の中から懸命にリトの心情を読み取ろうとするナディアの顔を見上げ、リトは先程出会った少年の言葉を思い返した。

(大丈夫、怖がらないで)

「・・・・・ねこ・・・・・」

「・・・・・ねこ?」

リトが口を開いた。それだけでも驚きではあるが、それ以上に、彼から発せられた言葉の意味が分からずナディアは疑問符を浮かべる。

「にゃーって・・・・・動いてた。ねこだって。甘いの、食べた・・・・・冷たいやつ・・・・・。」

しかし、すぐに謎は解けた。

「・・・・・楽しかった」

リトが外に出たのは今回が初めてで、見るもの全てが珍しかったのだろう。
動物だってヌイグルミでしか見たことがない。同じ姿の生き物がいるなんて知らなかったのかもしれない。

父親がリトに危害を加えないようにするのに必死で、リトの自由を奪っていたのは自分も一緒だった。リトを心配していたつもりで、やっている事は大人達と同じ。
今だってリトを外に連れ出したアブセルを窘めようとした。他の奴等と同じように・・・・・
アブセルは自分が父親の顔色を伺って出来なかったことをやってのけたのだ。リトに世界を見せてくれた。

「ごめん・・・・・」

ナディアはリトの頬に手を触れた。不思議だ。いつもは手を伸ばすと怯えて身を縮ませていたリトが、逃げることなく受け入れてくれた。短時間なのに、リトが変化を見せている。
ナディアはそのままリトを抱き上げる。折角の機会だから調子にのってみたけれど、やはりリトは逃げなかった。初めての抱っこ、彼の重みを感じられる事が嬉しい。リトはリトで自分が何をされているのか分からず不思議そうにナディアを見下ろしているが、構わずナディアは笑ってみせた。

「部屋に戻ろう。ごめんな、今は出来ないけど・・・・・いつか必ず、あの部屋から出してやるから。」

そしてそのままアブセルの方へ向き直る。

「怒鳴って悪かったな。動機はどうであれ、結果的にあんたは良い事をしてくれたよ。」

ついでに乱暴ながらも優しく頭を撫でてやる。

「リトに助けられたな。あんたに100倍返しするとこだったけど、リトに免じて許してやる。もう虐めるなよ。」

アブセルは子供だからリトの置かれている状況を理解出来ていない。今は知らなくていいとも思う。いずれ成長するにつれて気づいていくだろう、ポセイドン邸に潜む闇に。
それまでは何の見返りもない普通の友人として、リトと仲良くなって欲しい。リトを主としてでなく、友として守って欲しいから。

391リマ ◆wxoyo3TVQU:2015/08/13(木) 19:31:48
↑ナディアだった( •́д•̀ ;)

またまたお久しぶりです( ´•̥̥̥ω•̥̥̥` )

イスラ>>
説明ありがとうございます(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)まだ無理そうなんですけど、時間出来たらちゃんと自分で読み返しますね( ´•̥̥̥ω•̥̥̥` )


綺麗でクオリティ高いのに気に入らないとは何事ですか(╬•᷅д•᷄╬)←笑
確かにリトは肌弱いと思われます(笑)日光当たると火傷しちゃう←
でも暑いものは暑いんで、アブセルに団扇あおがせたりとかこき使ってそう(笑)

イスラさんの絵大好きなのでまた沢山見たいです(๑⃙⃘´ꇴ`๑⃙⃘)


ヤツキ>>
まだ就職決まらない( ´•̥̥̥ω•̥̥̥` )筆記試験はパス出来るのに面接で落ちる(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
性格を否定されてる気分( ´•̥̥̥ω•̥̥̥` )

そして夏バテた…咳が止まらんでやばいっす(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

ありがとう!時間出来たら読み返します(`・ω・´)

392メイヤ ◆.q9WieYUok:2015/08/14(金) 22:52:37
【飛行艇】

確かに、今の面子と比べると真逆だったりとその違いが良くわかる。

「だけど、芯の部分は似通ってたりするんだな。」

だが、直系の子孫だからか、性格上な部分はまったくの別物でもなさそうだ。

姉御肌のナディアは、激情に任せ突っ走りそうな節もある。

アグルは何時も飄々としているが、案外冗談が好きそうにも見える。

レックスは……聞く限り先代と変わらない性格のようだ、いつか自分も顎で使われる時が来るかもしれない。

「個性的、なのは全く持ってその通りだけどさ。」

少しは気が紛れただろうか、姿勢を崩して話すイスラの表情は先程よりも柔らかく見える。

「四神全員が上手い具合に纏まれば良いな……」

その為にも、まずはリーダーとして頑張らなければ。

「出発は明朝だったっけ?夜更かしして寝坊する訳にもいかないし、そろそろ戻ろう。」

ーーーーー

バルクウェイからの出立も、その道中も驚く程順調かつ迅速だった。

聞けば、バッハは師団の参謀かつ補給部隊の長らしい。

裏方仕事は得意分野です、と静かに笑う彼のおかげか、飛行艇は無事に目的地へと着いたのだが……

「何でこんな事になったんだ……!?」

目的地、群青の街へ到着したのは日も沈む頃。

先ずは情報収集を、との事で訪れた酒場は予想以上に騒がしく、話を聞くどころではなかった。

その様子は、吸血鬼に支配された街と言う先入観が吹き飛ぶ程。

そして、老若男女が騒ぐ酒場から抜け出せずに二時間。

巨漢からは想像の付かない酒の弱さを露呈したバッハが良い潰れ、その隣でメイヤは思わず天を仰いだ。

393ナディア他 ◆wxoyo3TVQU:2015/08/17(月) 02:11:03
【ポセイドン邸】
>>356

言葉を発せさせんと口を塞いできたアブセルの手にノワールはジタバタと抵抗し、反射的ながらもアブセルが少なからず怯んだ際に出来た隙間を利用しその皮膚へと噛み付いた。

「わらわに気安く触れるでない!」

そしていつものごとく、アブセルの脛へ足蹴をお見舞いする。

そんな騒ぎを耳に流しながら、ナディアは思い出したかのように小さく息を吐く。

「そうだ、母様・・・・・」

ミレリアは今どうしているだろう。
葬儀の準備は着々と進んでいるようだ。今頃、彼女もヨハンの死を既に聞いていることだろう。

ナディアは思案げな素振りを見せつつ、ふとセナを見る。

周りの意見を無視して"リト"を表に出さない手もある。しかし、そうすると後々面倒なことになるのは必至。
しかしアブセルの言う通り、葬儀の場で騒動が起きることは避けたい。
ならば、致し方ない。

(先に会わせてみるか・・・・・)

不安はある。別人とは言え、全く同じ顔をしているのだ。ミレリアは見分けを付けることが出来ないだろう。
となると、リトと同じ態度をセナにも取るはず。

「アブセル、あのさ」

ナディアはアブセルの腕を引き、彼に耳打ちする。

「セナを母様に会わせてくる。母様のこと、知っておいてもらった方がいいと思う。だけどリマはちょっと・・・・・あとあのチビ(ノワール)。あんた、適当に誤魔化して二人連れて何処かで時間潰しといてくれない?」

セナはきっと、母親の態度に動じることはないだろう。理不尽には思うかもしれないが、その点は後で詫びることにする。
しかし問題はリマだ。自分の想い人が謂れなく罵倒される姿は見るに耐えないだろう。セナに至ってもそう。自分に関することでリマが傷付くなど許さない。しばし共に過ごす以上リマも母親との確執をいずれ知ることになるかもしれないが、今敢えて垣間見せる必要はないとナディアは考えた。
ノワールは、何となく、本当に何となくだが面倒を起こす気がするため遠慮願うことにしておく。一体リトはこの娘を何処で拾ってきたのか、おそらくリトに懐いているのだろう分は微笑ましい限りだが、リトが関わる事柄になると形振り構わず辺りに喧嘩を売りまくるから困る。

「じゃ、頼んだから」

394アグル ◆Hbcmdmj4dM:2015/08/23(日) 01:07:37
【過去】

てっきり怒られると思った。
ナディアが手を伸ばした瞬間、殴られると身構えたがそれも違った。

頭に触れる優しい感触。アブセルは不意をつかれ目を丸くした。

「待って、おば…、お姉ちゃん…!」

恐らくリトは意図していなかっただろう。しかし結果として彼に助けて貰ったのは事実。
アブセルはリトを抱きかかえ屋敷の中へ戻ろうとするナディアと、そしてヨノに駆け寄った。

「どうしてリトは外に出ちゃいけないの?
リトの病気ってそんなに悪いの?
さっきのおじちゃんは、薬を持って行くようにとは言ったけど、外に出るなとは言わなかった」

先程リトは楽しかったと言った。彼にとっては倒れたりと散々だったはずなのに、だ。
でも…うん、そうだ。今思えば、自分も結構浮かれていたのだと思う。

友達同士で一緒に出かけたり、クレープを食べたり。多分ふつうの子供達にとって、それは何ら珍しいものでもないのだろう。

しかしアブセルにとっては、子供同士で同じ時間を共有したのは今日が初めてのこと。
そしていつもは、そんな遊んでいる子達の姿を見かけては、ただ羨ましいと遠目から眺めているだけだった。

またリトと一緒に遊びに行きたい。

言葉には出さずとも、分かりやすい程にアブセルの表情がそう物語っていた。

「俺…、旦那様に(リトが外に出れるように)お願いしてみる。
あと今日のこと、リトは悪くないってことちゃんと話す。そしたら旦那様だってリトのこと許してくれるよね?」

395アグル ◆Hbcmdmj4dM:2015/08/23(日) 01:09:28
【群青の街】

「情報収集がいつの間にか酒の呑み比べになったからだな」

酔い潰れ机に突っ伏したバッハと、困り果てたような様子のメイヤ。その横でアグルはそう気怠そうに、かつ冷静に今の状況を説明した。

どこにでも酒の強さを競いたい者はいる。
呑み勝負に勝てれば情報を提供すると提案した馬鹿な輩のせいで、事情聴取は進まないどころか足止めさえ食らっている始末だ。

因みにイスラも開始早々に轟沈した。どうやら彼も酒は苦手のようである。

「どうすんの、リーダー?
あ、もう帰っちゃう?面倒臭いし」

少なくともこの酒場の連中は吸血鬼の脅威に怯えているようには見えない。

特に協力する気もないアグルは、非協力的な態度丸出しで全てをメイヤに丸投げするのだった。

396メイヤ ◆.q9WieYUok:2015/08/24(月) 13:59:17
【群青の街】

どうにもこうにも、ここは一度引くしか無いだろう。

話術にも長けているであろうバッハが酒に潰れ、見ればイスラも轟沈している。

空のグラスを前に平気な顔をしているアグルは飲むか飲まずか。

「取り敢えず船に戻ろう……

イスラは俺が抱えるから、アグルはバッハを頼む。」

こうなっては情報収集もくそも無い、バッハの懐から紙幣の束を引っ張り出し、メイヤは会計を済ます。

店員の言い値だが今は仕方がない。

受け取った釣銭をポケットにねじ込み、メイヤはイスラの肩を担ごうとし、気付いた。

(……紅、瞳……?)

笑顔でありがとうございましたと言う店員の少女も、騒ぎ続ける客達も。

その全員の瞳が、紅い。

動きを止めたメイヤへと笑顔を向ける店員の口元から覗く犬歯は鋭く、牙の様にも見える。

否、犬歯では無くソレは牙だ。

(まさか、この店……っ!?)

吸血鬼の支配に怯える街とは思えない程の活気さの理由。

それは……

「そうだ、この店に居る連中は、お前ら以外全員吸血鬼なんだよ。」

不意に止む喧騒と、それに続く男の声に、メイヤは動きを止める。

「この店の生物はヴァンピーア、確認せず入ったお前らはただの活き餌な訳だ。」

酒やけした声で話す男、酒場の入り口からゆっくりと歩み寄るその男を凝視し、メイヤは唇を噛んだ。

燃える様な赤髪を逆立て、紅瞳は燐光に揺れ。

過度なまでの装飾品が着いたレザージャケットを着こなし、ニタリ、と笑うその男はこう名乗った。

「俺はメルツェル、メルツェル・グランスール。

十三人の長老が一人、融の派閥の頭だ。

ついでに言うと、今はこの街の長だな。」

【長老追加でー。

メルツェル・グランスール
男性/吸血鬼
赤髪紅瞳/長身痩躯
パンクロッカー風の衣装を着こなす見た目チンピラな十三人の長老
融の派閥の長で、喧嘩っぱやい
弱い者イジメが好き、仲間意識は薄い、と立ち位置的には嫌われ者ポジション
あらゆる物を溶かす、融解させる能力を持つ

です!】

397メイヤ ◆.q9WieYUok:2015/08/24(月) 19:42:46
【やらかした、誤字発見……

店の生物→店の名前で】

398アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2015/08/30(日) 01:17:24
【ポセイドン邸】

「分かった。任せとけ、お嬢!」


(……って、何で言っちゃったかな…。)

…ところ変わって屋敷内の庭園。机の上に置かれた三人分のカップに紅茶を注ぎながらアブセルは秘かに溜め息を溢した。

あの後すぐ、「話がある」と声をかけ、リマとノワールをこの場所まで連れてきた。
それだけでは何となく手持ち無沙汰なので、紅茶と菓子も用意した。

しかし傍目から見れば緑に囲まれた優雅なお茶会といったこの光景も、実際はそんなに穏やかなものでもない。

そもそも先程はナディア達の役に立てるのが嬉しくてついつい弾みで任されてしまった訳だが、正直なところ自分もセナや奥様の方に立ち会いたかった。
よって、話がある。などと言うのは全くのでたらめである。

それに何故かは知らないが、最近のノワールは何だかやたらと機嫌が悪い気がする。とりわけリマやセナといる時なんかは一段と酷い。

今だって…、さっさと話せ、用がないなら妾はもう行くぞ。とばかりに今にも席を立ち上がるんじゃないかという雰囲気だし。

「え…えーと…、まぁその、話って言うのはあれなんだけど…」

とにかく何か話さなければ。
アブセルはリマとノワールに茶菓子を持て成しつつ頭を回転させる。

「ふ…二人はリトのこと、どう思ってる?」

399アグル ◆Hbcmdmj4dM:2015/08/30(日) 01:20:47
【群青の街】

気づけば店の者達に取り囲まれている。
無数に光る彼らの紅瞳。それを見た瞬間、そう言うことか…と理解した。

(…もしかしてこれ、やばいんじゃねーの…?)

袋の鼠もいいところ。
まんまと彼らの罠にはまってしまったと言うわけだ。

しかもこちらはイスラとバッハという二つのお荷物つき。
彼らを庇いながらでは、戦うのも逃げるのも至難のわざだろう。

「ちょっと待ってよ。俺達べつに喧嘩しに来た訳じゃねぇって」

メルツェルと名乗った男。どうも彼がここの吸血鬼達の頭らしい。
アグルは両手を頭ほどの高さまで上げ、無抵抗を装いつつ彼に言った。

「ただの興味本位なんだ。ここの街の人間を服従させて好き勝手してる吸血鬼の噂を聞いてさ、実際どんなものか見たくなっただけなんだ。
歯向かうつもりはないんだって。なんならそこの二人(イスラ、バッハ)はあんたらにやるから、俺達のことは見逃してくれよ」

400イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2015/08/30(日) 01:32:42
【リマ>だって全然思ったとおりに描けなくて…(´Д`)
火傷はやばいwアブセルは頼まれなくても自ら進んで扇いでそうですけどねw

マジですか!?まさかそう思って頂いていたなんて…(;_;)はい、また時間が出来たら描きたいと思います!
就活頑張ってください!

ヤツキ>新キャラ了解です^^】

401メイヤ ◆.q9WieYUok:2015/09/04(金) 22:28:05
【群青の街】

「へ〜ぇ、興味本位で見にきたねぇ?」

両手を上げ弁明するアグルの言葉に、メルツェルは胡散臭さそうに目を細めた。
しかし、それも一瞬。

浮かべる表情を薄ら笑いへと戻しながら、メイヤへと歩み寄ると同時に、彼の腹部へ蹴りを叩き込んだ。
その威力は強く、重い。

メイヤは咄嗟に身を捩るも、衝撃を逃し切れずに吹き飛び、派手な音を立てて店内のカウンターへと激突。
肩を組み、抱えられていたイスラも床へ転がっていく。

吹き飛ぶメイヤと転がるイスラの様子を鼻で笑い、メルツェルは続ける。

「ここ数日、下僕の吸血鬼共が立て続けに狩られててな。

七世代辺りのなら気にはしねーんだがよ、三世代の吸血鬼が跡形も無く消されてるのは流石にヤベーんだわ。

テメーらが吸血鬼狩ってる奴かも知んねーからな、疑わしきは何とやらだ。」

そして、薄ら笑いを僅かに歪め、メルツェルはアグルの喉元目掛けて手刀を放つ。
何の予備動作もなく放たれたそれは、吸い込まれるかの様に伸びて行き、止まった。

否、止められた。

「……あぁん?何しやがるんだ?」

アグルの喉元の数ミリ手前で止められた手刀、その手首を誰かが掴んでいる。
寒色系のネイルアートが施されたその手の主へ、メルツェルは視線を移した。

「誰かれ構わず喧嘩吹きかけるのはよろしく無いわ、まるでどこかの誰かさんと同じね。

まぁ、アナタの場合は弱い者虐めだけど。」

メルツェルの紅瞳に映る人物、銀髪のその女性……フィアは、呆れた様に口を開いた。
その後ろには、同じく吸血鬼であり、長老であるシャムとDDの姿も見える。

「アナタが手を出そうとした一行は私の顔見知りよ。

だからと言うのも変だけど、今回は見逃してあげて。」

自分と同じ長老が3人、その中ではフィアに一番発言力があるらしい。
歪めた頬を戻し、メルツェルは再び鼻を鳴らした。

「けっ、仲良しこよしかえ?

まぁ良い、丁度話してー事もあるし見逃してやるよ。」

そして、フィアの手を振り払うと同時に、アグルとメイヤへ向かって手をヒラヒラと振った。

「ただし、赤毛とオッサンは置いてけぇ。

返して欲しけりゃ明日夜、城へ来い。

面白ぇゲームをクリア出来たら返してやるよ、ほれ、わかったならさっさと失せろ。」

402アグル ◆Hbcmdmj4dM:2015/09/14(月) 17:34:05
【群青の街】

仲間を置いていけと言うメルツェルの要求に、アグルは一瞬気を詰めたような様子を見せる。
しかしそれは本の一瞬のこと。直ぐにいつもの眠たそうな表情に戻ると、特に何を言うでもなくメルツェルから顔を背け、そのままメイヤの元へ歩み寄った。

「……立てるか?」

そうしてメイヤに肩を貸し、その場に居る誰一人に一瞥もくれることもなく店を出ていった。

「はっ、あんにゃろぉ、礼の一言も言わず出ていきやがった」

それを眺めていたシャムは、彼等が潜っていった店の扉を睨み付けながら悪態をつく。
少しばかり面識があるからとはいえ、フィアが何故あの連中を助ける気になったのか甚だ疑問だ。

しかし今はそんなことよりも、他に論点を向けるべきものが別にある。

「…よお、元気そうだな。その小者くせぇ性癖も相変わらずの様で安心したぜ」

シャムは見下す様に軽く顎を上げ、口元に嘲笑を浮かべながらメルツェルを見た。

「で、話っつーのは何だ」


……一方、店を出たアグルはその足で、メイヤと共に今晩泊まれる宿を探し街をさ迷い歩いていた。
そして何故かその横には…。

「…何であんたまでついてきてる訳?」

「ホテルまでのボディーガードよぉ。人間にこの街は物騒でしょ?」

アグルの視線の先にはどういう訳かDDがいた。
ピンヒールのカツカツというタイルを叩く音を引き連れながら、ぴったりと二人に合わせて並行している。

「それよりまさか、こんなところで逢えるなんて思わなかったわぁ。アタシってば久しぶりに運命感じちゃったー。
あ、さっきはメルメルがごめんなさいねぇ、彼、昔からああなの。許したげて」

彼は話を変えると、やや興奮気味にこちらに身を乗り出してきた。
それとは逆に、アグルは若干身を引きながら怠そうに言葉を返す。

「アンタどっちの味方なんだよ。
どうせならアイツ説得して、俺らの連れも持ってきてくれれば良かったのに」

「あらぁ?でも貴方、さっきはそのお友達売ろうとしてたじゃなぁい?」

「あれはただの冗談…」

つまらない冗談ね。と乗り出していた居住まいを正しDDは肩を竦めてみせた。

「メルメルのやり方は好きじゃないけどぉ、アタシも一応長老の一人だもの。そこまで表だって人間の肩は持てないわぁ。メンツだってあるしね」

そう言うや、彼は再び顔を寄せてくる。
気のせいだろうか。一際メイヤに熱い視線を送っている様に見える。

「でもぉ、お忍びなら話はべつー。
今日はアタシが付きっきりで看病してあげましょうかぁ?」

403メイヤ ◆.q9WieYUok:2015/09/18(金) 21:37:10
【群青の街】

「……そうだな、付きっ切りで看病、もとい、ボディガードなら頼みたい所だ。」

見逃され、逃げる様に後にした酒場とは打って変わって街の雰囲気は暗い。
だが、これがこの街の本来の姿なのだろう。

蹴りを入れられた腹部をさすりながら、メイヤは周囲を伺う。
痛みは大分引いてきたが、痩身から繰り出されたとは思えない程の威力だった。

「単なる情報収集の筈が大変な事になったが……」

とんでもなさそう火に入る夏の虫か、大火傷を負ったと言っても過言ではない状況に、メイヤは溜め息を吐く。
そして、DDの熱い視線を受け流し、足を止めた。

「囲まれてるな。」

それと同時に、暗闇から次々と人影が現れ、三人を囲む様に陣を取った。
その様子を伺いながら、メイヤは腰に挿した剣の柄に手を掛ける。

黒瞳の先に映るのは、夜に紛れる様な黒外套を羽織った集団。
背丈はバラバラだが、外套からは白い鎧の様な物が所々に見える。

ーーーーー

「テメェは相変わらず頭悪そうなツラしてんな、チンピラ崩れの喧嘩屋みてぇだゾ?」

アグルとメイヤが酒場から逃げる様に去った後、メルツェルはフィアとシャムを連れて街の中心に位置する居城へと戻っていた。
城内の大広間へ二人を通し、メルツェルは口を開く。

「あのクソオカマはともかく、お前ら二人が人間界まで来るとはな。

まぁ、話っつーのはアレだ、ここ最近下僕共が狩られててよ。」

その口調からは、僅かながらも怯えが見て取れる。

「第三世代辺りがほぼ全滅してやがってな、それも相手は正体不明。

どうやら結構な頭数は揃えてるみてーだが……何か知ってっか?」

普段は十字界で各々の領地を守り、軽い小競り合いを続けている為に、長老達が顔を合わす事は中々無い。
ましてや人間界へ出ている長老など極々稀だ。

その為、意外にも長老間の情報のやり取りは少い。

「場合によっちゃぁ大事になるかも、しんねぇ」

ーーーーー

始まりは突然だった。
柄に手をやり、周囲を伺う。

辺りに自分達と謎の集団以外の人影は見えず、虫の音一つ聞こえない。

出来れば刃を抜きたく無い、そう考え始めたその時。
自分達を囲む一団が、刃を抜き音も無く襲い掛かって来たのだ。

外套を脱ぎ捨て、闇に紛れながら襲い来る一団は速い上に連携が取れている。
所々、その速さに着いて行けない者もいるようだが……

(上手い具合に穴を埋める!!)

長い黒髪の男がそれをフォローしており、そこを突くどころか防戦一方だ。

(クソ、このままじゃっ)

404アグル ◆Hbcmdmj4dM:2015/10/04(日) 20:46:04
【群青の街】

「ははッ、そりゃ面白ぇ。
尻尾を掴ませずに第三世代の連中をやるとか結構な手練れじゃねーか」

一連の話を聞いたシャムは、さも愉快そうに歯を剥き出し笑った。

メルツェルの派閥が被害を被っていることもいい気味だが、彼の言う正体不明の相手にちょっとばかり関心が沸いたのだ。

とはいっても、この一件に関わる気など更々なければ、それに対し何らかの情報を持っている筈もない訳で。

「ま、大方この街の人間が雇ったハンターだとか、過去にてめえに謀られた吸血鬼共の復讐だとかじゃねーの」

どちらにしても自業自得だ。と、シャムは高みの見物気分で素っ気なく返した。


……………

突如襲いかかってきた謎の集団。
メイヤと二人、何とか攻撃を凌いではいるものの、
数の点でも不利な上に相手の動きも素早く中々反撃に転じられない。

そして、その理由としてもうひとつ…


「キャーッ、やっだ〜、なになに〜、こわーい」

DDの存在が要因として上げられた。

胸の前で手を組み、内股で悲鳴を上げる彼は、か弱い乙女の演出に余念がないのか、その場から全く動こうとしない。
加勢しろとは言わないまでも、せめてこの場から逃げてくれたのなら、こちらとしても彼を庇う必要がない分いくらか楽なのだが…。

「ちょっとちっょとぉ!しっかりしてぇ!右から来てるってば、ほらっ!ちゃんと見てぇ!やんっ危ない!」

「……(うぜぇ…)」

鬱陶しくて目の前の戦いに集中できない。

そんなアグルの気持ちも露知らず。二人に野次という名の声援を送りつつ、しばらく現状を見守っていたDDも、現在の戦況が好転しないことを見て取ると、ようやくその重い腰を上げるのだった。

「…もう、しょうがないわね〜。加減できないと思うから貴方達二人も気を付けてね」

そして本当にどこから取り出したのか。忽然と現れた身の丈ほどもある巨大メイスを握り、思い切り足元に降り下ろした。

直後、大きな音と共に足元が砕け、陥没する。
メイヤやアグルならず、敵も、周囲に建ち並ぶ建物も全部巻き込んで、地面は大きく崩落した。

405メイヤ ◆.q9WieYUok:2015/10/08(木) 23:26:51
【群青の街】

途絶える事無い波状攻撃は、派手さは無くとも堅実だ。
致命傷こそは避けているものの、ダメージは蓄積されていく。

オマケに、全く可愛く無いDDの悲鳴が集中力を削いでやまない。
加勢しろとは言わないが、せめて逃げてくれれば……

止まる事を知らない連続攻撃を凌ぎながら、メイヤは願った。
それが通じたのか、DDが事を起こした。

どこからともなく巨大なメイスを取り出しし、それを地面に叩き付ける。
その威力は凄まじく、広範囲に渡って亀裂が走ったかと思えば、次の瞬間には周囲一帯が轟音を立てて陥没し、崩れ落ちた。

勿論、メイヤもそれに巻き込まれて行く。

(なんて馬鹿力だっ……!)

土砂が降り注ぐ中、メイヤは咄嗟にアグルへと手を伸ばす。
そして、その手を掴んだと同時に背中から闇の黒翼を生やし……否、生えない。

「闇が……出ない!?」

出せると思った翼は出ず、メイヤは驚愕の表情を浮かべる。
しかし、驚いている暇は無い。

(このままじゃ……生き埋めに……っ)

その時だった。
一瞬の浮遊感が止まり、崩落する周囲一帯がコマ送りの様に巻き戻されて行ったのは。

強烈な耳鳴りと、うねる様な気色の悪い感覚にメイヤは思わず顔をしかめる。
そして、気がつけば周囲一帯は崩落する前、DDがメイスを叩き付ける寸前の状態に戻っていた。

「何が……起こった……!?」

ーーーーー

「アァン!?何だかテメェ楽しそうじゃねぇか!?」

歯を剥き、話を笑い飛ばすシャムの態度にメルツェルは眉間に皺を寄せ、彼へとガンを飛ばす。
しかし、それも僅かな事。

舌打ちをしながら、メルツェルは悪趣味かつ下品なまでに飾り立てられた椅子に座り直す。

「ケッ、これだから脳たりんの喧嘩屋はよぉ……」

どうやらシャムはこの件に関わっては無いらしい。
第三世代の吸血鬼を跡形も無く消滅させる程の力の持ち主……真っ先に浮かぶのは同じ長老達だったのだが。

「で、テメェらは何の用だっけか?つーかあのオカマはどこ言ったんだ?」

椅子に座り直し、ふんぞり返るメルツェルはシャムと、その隣のフィアへ何用かと声を掛ける。

その一拍後だった。
外から聞こえる轟音と共に城が揺れ、どこか懐かしい様な奇妙な感覚がメルツェル達三人の長老を包んだのは。

「何だ、こりゃあ……?」

「……ヤダ、この感じ……どこかで!?」

406メイヤ ◆.q9WieYUok:2015/10/08(木) 23:28:22
ーーーーー

「そう驚く事は無い。

何、時間を僅かばかり戻しただけの事だ。」

戸惑いの表情を見せるメイヤの視線の先。
メイヤ、アグル、そしてDDを囲む集団の中央、黒髪の男は低い声でそう言った。

「流石は古の長老、メイス一つで街の人区画を崩落させるとは。

お付きの二人も中々の手練れ、単体ならば第二世代の吸血鬼以上か。」

黒髪の男は月光に輝く剣をDDへと向け、続ける。

「長老と合間見えるは初、名乗ろうか。

我等は吸血鬼を狩る者、聖十字騎士団である。」

男は三十代中頃か、その顔には幾つかの傷痕が見てとれる。
そしてその傍ら。

小柄な人影が、頭巾から覗く白とも灰にも見える髪を揺らし、その奥の双眸をDDへと向けている。

「長きに渡り、闇に紛れ吸血鬼を滅して来たが……今ここに。

我々は長老を含めた吸血鬼全てに宣戦を布告する。」

その言葉と共に、男を中心とした集団は一斉に外套を翻し、順々に夜の闇へと消えて行く。

「この街の主にも伝えるが良い、最期の晩餐を楽しめ、とな。」

そして、男は純銀の剣を投擲し、刃がDDの頬を掠めると同時に、消えた。

「…………一体、何だったんだ……?」

襲撃するだけ襲撃し、捨て台詞と共に消えた一団。
その気配が完全に消えたのを確認し、メイヤは大きく、長い溜め息を吐いた。

407メイヤ ◆.q9WieYUok:2015/10/16(金) 18:51:54
【なーんか久し振りに絵描きたくなったから、何かリクエストあればオナシャス!】

408イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2015/10/17(土) 00:20:58
マジっすか!
じゃあ時期的にハロウィン風なイラストお願いします!(`・ω・)ノ

409メイヤ ◆.q9WieYUok:2015/10/17(土) 12:48:13
おけー、首をながーくして待ってろ!←

410DD ◆Hbcmdmj4dM:2015/10/18(日) 01:55:14
【群青の街】

男達が立ち去った後、深いため息をつくメイヤの横でDDは思案顔で頬に手を触れた。

「聖十字騎士団か…。何だか穏やかじゃないわねぇ…。
アナタ達も、巻き込んじゃったみたいでごめんなさいね」

男の言葉通りなら、連中の狙いは吸血鬼である自分だった筈。
たまたま共に居たために、巻き込むはめになってしまったメイヤとアグルに申し訳なく、謝罪の言葉を述べる。
と、そこへ…。

「おい、何があった」

空間跳躍でシャムら三人が到着した。
どうやら事の異変を察知し、疑わしいと思われる場所まで赴いたようだ。

シャムはそこにメイヤとアグルの姿を見咎めるや怪訝そうに顔をしかめるも、直ぐに現場に残された純銀の剣の存在に気がついた。

「待って、その剣には触らない方がいいわ」

「あぁ?」

しかし、剣を拾い上げる前にDDがそれを止めた。
そして自身の頬を示し、言った。

「傷が治らないの…」

確かにそこには小さな切り傷が一つ付いていた。
先程の男が投げた剣が、頬を掠めたさいに出来たものだ。
普段ならば、この程度の傷など一瞬もかからない内に回復するのだが…。

「まさか。人間共が創作した都合のいいおとぎ話でもあるまいし、俺らに銀やニンニクが効くかよ」

半信半疑にそう言ってのけるものの、シャムも警戒してか手を引っ込めたようだ。
そしてDDはその剣のことも踏まえ、先程の出来事を三人に話すのだった。


【楽しみに待ってます!】

411メイヤ+etc ◆.q9WieYUok:2015/10/19(月) 14:53:51
【群青の街】

遂に姿を現した、明確な敵。
今まで刃向かう者は多々居たが、今回は強さ、規模共に最大級だろうか。

「……ケッ、ビビってなんかねーぞ……、ゴミ共は皆殺しにしてやる。」

残された純銀の剣を睨み付け、メルツェルは毒を吐く。
しかし、その言葉の端々からは明らかな怯えが見てとれた。

その隣、DDの説明を聞いたフィアは気になる点を挙げる。

「組織名は初耳だけど、中々に厄介そうね。

統制が取れた戦闘集団と、限定的だけれど時間を巻き戻す能力者。

あの銀の剣を見るからに、対吸血鬼に特化した異能の装備品を所持しているのは明白よ。

……それに、あの異質な感覚。

先日闘技場で感じたモノと同じモノだわ。」

調査すべき対象と、敵対する者達が共に行動している。
これはかなりの面倒事になるだろう。

下手をすれば、十字界を巻き込む大きな火種に成りかねない。
そうなる前にどうにか対処しなければならないが……

自分達が十字界から人間界へ、そしてこの街へ来た理由をメルツェルへ説明し、フィアは視線を横へ。
そこで、気付いた。

「二人、消えたようね……」

メイヤとアグルの姿が消えた事に。

ーーーーー

全く、災難続きだ。
これ以上の厄介事は流石に簡便してくれとばかりに、メイヤはアグルと共に夜の街を駆け抜ける。

街の柄にも、宿屋は全く開いておらず、目指す場所は自ずと決まっていた。

街外れの小高い丘の影に、隠れる様に着陸した飛行艇へ戻り、メイヤはホッと一息着いた。

「早々から大変な事になったな……」

飛行艇内部の広間兼食堂のソファに倒れる様に座り込み、うなだれたまま続ける。

「状況をまとめ様にも、面倒が過ぎる……

取り敢えず、イスラとバッハが無事だと良いけど。」

412アグル ◆Hbcmdmj4dM:2015/10/26(月) 20:59:57
【群青の街】

「おいおい、しっかりしろよ。チキン野郎。
酒場でガキ共に見せてた威勢はどうしたんだよ」

いくら強がりを言おうが、メルツェルが怯えているのは明白だ。
シャムは激励のつもりか、彼の尻に蹴りを入れる。

「おら、頭下げてお願いすれば手ぇ貸してやらんこともねーぞ、んん?」

底意地の悪い笑みだ。
そんな様子を横目で見ていたDDは、呆れた風にため息をつき口を開く。

「もうアンタ達なに遊んでるのよぉ!いつまでもこんな寒いとこ居ないで一旦戻りましょうよ。アタシ疲れちゃったわァ」

どうにも顔に傷をつけられたことや、メイヤ達に逃げられたこともあってか、ご機嫌ななめな様だ。

「はあーぁ…、これちゃんと治るのかしら。こんなんじゃ恥ずかしくてデートも出来ないわ…。
あ、そうそう。その剣もちゃんと持って来てよね。帰って材質調査しなくちゃ」

…………


飛行挺に戻るや、アグルはメイヤの向かいのソファに寝転んだ。
足を投げ出したまま仰向けになり、相手の声を耳に、ぼんやりと天井の照明を見つめる。

もともと四人では少しもて余していたぐらいの挺が、今ではより広く感じる。

「…取り合えずさ、さっきの何とか騎士団達がここの吸血鬼を全部退治してくれるってんだから、それはそれで奴らに任せとこうぜ」

先程は理不尽にも戦闘に巻き込まれてしまったが、本来ならば自分達と彼らが敵対する必要はない筈なのだ。
何故なら彼らの狙いは吸血鬼であり、そしてこちらも吸血鬼討伐を目的としてこの街に赴いたのだから。

「奴らと吸血鬼達が争ってるそのど さくさに、なんとかイスラ達を助けられればいいんだけど」

上手くいけば、メルツェルの言う馬鹿げたゲームに付き合うことも、戦闘をすることもなく済むかもしれない。

413メイヤ ◆.q9WieYUok:2015/10/29(木) 14:02:53
【群青の街】

「ってぇな!ビビってなんかねぇんだよ!それにチキン食うにはまだ早ぇ
、クリスマスはまだだ!」

シャムに蹴られた尻をさすり、メルツェルは牙を剥く。
しかし、意地の悪い笑みを浮かべるシャムの意を汲み取ったのか、それ以上を続ける事は無かった。

どうやら面倒臭いどころか、かなりの大事になりそうだ。
しかし、必要以上に怯える事はない。

(喧嘩屋のシャムもDDのオカマ野郎も、冷血女のフィアも居る今なら負ける気はしねぇ……)

そう、今この街には自分と同じ長老が三人も居るのだ。
それこそ吸血鬼に始祖たる存在、オリジンが来ない限り負ける考えられない。

不機嫌そうに寒さを訴えるDDを一瞥し、メルツェルは口を開いた。

「あの剣は下僕共に運ばせる、最悪人間共使ってな。

取り敢えず城へ戻って腹拵えだ、最後の晩餐何てクソ喰らえ、うめぇもん喰って雑魚共を返り討ちにしてやる……!!」

そして、踵を返すと同時に空間を跳躍。
シャム達長老と共に居城へと帰って行く。

ーーーーー

「……そうだな、狙うは漁夫の利だな。

あの騎士団が吸血鬼達と戦っている間に上手い具合にイスラ達を助けだそう。」

敵の敵は味方か、はたまた敵か。
どうなるか分からないが、戦闘を避けれるに越した事はないだろう。

「その為には、どちらにせよ明日の夜も街へ、吸血鬼の居城の近くに行かないとな。

ゲームとやらが何かわからないけれど……取り敢えず、今日はもう寝よう。」

メルツェルが言ったゲーム。
内容はまだわからないが、その結果がわかるまではイスラとバッハへ手出しはされないだろうか。

二人の安否が気になるが、今夜はこれ以上何か行動を起こす事も無い。
明日に備えて休むべきだろう。

イスラとバッハが不在の今、普段以上に艇内は広く、そして静かに感じる。
ソファに倒れる様に座ったまま、メイヤはゆっくりと目を閉じた。

ーーーーー

目覚めは案外すっきりとしていた。
汚れた衣服を籠へ入れ、シャワーで身体を流す。
以前ならば一晩もすれは治っていた筈の擦過傷や裂傷に冷水が滲みるが、逆にそれで目が冴えた。

艇内に備えつけられた簡易シャワー室から出、手早く新しい衣服に袖を通す。
続くアグルがシャワーを浴び終わるまでに簡単な食事を用意し、メイヤは一通の手紙を……いつの間にかテーブルに置かれていたソレを手に取った。

「……」

そして、シャワーを浴び終え、食堂へと入って来たアグルへとその手紙を渡す。

「楽しい楽しいゲームのお誘いだそうだ!参加費無!。

ルールは簡単!居城中の吸血鬼三百体相手に一晩生き残るだけの簡単単純明解馬鹿でもわかる!

あぁ、夕暮れまでに城へ来なければ人質は無惨な姿になるから逃げるなよ!

じゃあ待ってるぜ、楽しく面白い姿を見せてくれ!」

アグルが封を開いた手紙には幾何学模様が描かれており、仕組みはわからないが、模様が光ると同時に、録音されていたらしいメルツェルの音声が食堂内へと響き渡る。

「……だそうだ。」

その言葉を無言で聞き終え、一拍の間を置いた後。
メイヤはどうする?とばかりにアグルへ視線を向けた。

414ヤツキ ◆.q9WieYUok:2015/11/10(火) 23:21:24
壁I:)サーセン、ハロウィンイラスト、修正不可なレベルの失敗をやらかしたんでまだしばらく掛かりそうっす……
辛うじて撮ってた下絵はこんなだったけど…orz
imepic.jp/20151110/836560

415イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2015/11/12(木) 00:22:07
おおー!すごい大作な予感!
完成が楽しみです(´ω`)いくらでも待ちますので頑張ってください!

あとすみません;
こっちも本文のレスもう少し待ってください;

416ヤツキ ◆.q9WieYUok:2015/11/16(月) 19:29:03
【完全書き直しなんだけど構図浮かばねぇ……

了解、お待ちしますぜ!

とと、クリスマス辺りに神戸行くんだけどさ、シャレオツなレストランとかオススメありませんかね?】

417アグル ◆Hbcmdmj4dM:2015/11/20(金) 17:50:31
【群青の街】

「いや…、これは無理ゲーだろ…」

手紙の内容を聞き終えたアグルは、メイヤの視線に対し苦い表情を浮かべながら応えた。

いくら下っぱといえど、不死身に近い吸血鬼三百人と一晩やりあうなど有り得ない。
そもそも向こうは勝たせる気もないのだろう。いかに楽しく残酷に、相手をいたぶることができるか…だけを考えた様なゲーム内容だ。

頭の中で、何で俺がこんなことをしなければならないんだ…、とか、命をかけてまであの二人を助ける意味はあるだろうか…、とか様々な思考が沸き上がる。

そして巡り巡ったそれは結局、こんなところで死ぬ訳にはいかない。へと辿り着く。

時間にすれば僅か三秒ばかりの沈黙だったはずだ。
今度は真顔で、アグルは再びメイヤに視線を向けた。

「もし、俺が行かない…っつったら、…お前はどうする?一人ででも行くのか?」


【前と同じ構図でいいじゃないw

お、デートですか?(´ω`*)
うーん…今はもう神戸住んでないんですよ〜、シャレオツな店も全然行かないんで詳しくないですし、普通にネットで調べた方が確実だと思いますw】

418メイヤ ◆.q9WieYUok:2015/11/24(火) 19:56:49
【群青の街】

「行くしか無いだろうな、夕刻までにあの城へ向かわないと二人はきっと処刑される。」

ほんの僅かな時間、三秒程の間だが、その間のアグルの表情からは思案と苦悩の色が見て取れた。
確かに、アグルの言う通りだ。

提示された内容は無理難題、端っから勝たせるつもりは無いルール。
しかし、挑まなければイスラとバッハは殺されてしまうだろう。

かと言って、救援を呼ぶも待とうも時間が圧倒的に足りない。
昨夜の襲撃者達、吸血鬼狩りの一団が城へ攻め込むのを待つのまで粘れるか問われれば、それも難しいだろう。

ならばどうするか、打つ手は一つだ。

ーーーーー

バルクウェイを出立し、群青の街へ到着する間は全くと言って良いほど穏やかだった。
その間、メイヤは何もしていなかった訳でも無い。

船の積み荷、処刑人の剣から押収したであろう数々の異能の品々を確認していた。

自身に宿っていた筈の闇の悪神、その力が使えない今。
それらの品々は大きな力になる筈だ。

ーーーーー

打つべき一手。
それは先手を取っての潜入だ。

示された時間は夕刻。
ならば真昼の内に城へと潜入し、イスラとバッハを救出する。

メイヤにとって、隠密行動は得意分野だ。
アグルを先導しながらでも、侵入するのは朝飯前だ。

「……そう思っていたんだけどな。」

場内へ侵入し、小一時間程。
吸血鬼と全く遭遇する事無く、順調に捜索を進めていたその時。

十数メートル程はある長い通路の真ん中で、メイヤは足を止めた。

進行方向の先、通路へと続く曲がり角から現れた男の姿に、メイヤは小さく舌を打つ。
遠目でもわかる銀髪と眼帯。

吸血鬼達の中でも最上位の存在であろうその男。
シャムと出くわすとは流石に驚きと焦りの色が顔に出てしまう。

どうするべきか。
……迷っている暇は無い。

「アグル、街の住人から手に入れた見取り図からすれば、この通路の先。

二股に分かれたその先、右側が牢屋らしい。」

メイヤは腰に差した剣の柄に手をやり、視線をシャムへ向け。

「俺があの男を引き付ける、その間に牢屋へ向かってくれ。」

そして、言い終わると同時にメイヤは疾走。
地を這う蛇の如く通路を駆け抜け、シャムを刃の射程圏内へ捉え、鋭い斬り上げを放った。

419シャム ◆Hbcmdmj4dM:2015/12/07(月) 00:24:28
【群青の街】

「…りょーかい」

暗がりの通路で鉢合わせた相手…シャムの姿を見据えながら、アグルはメイヤの言葉に短く応え、通路を駆け抜ける。

一方で、シャムは二人を前に怪訝そうに眉を潜めた。

「あぁ?なんだテメー等?」

つうか誰だ、と。

しかしよくよく見れば、その顔は昨夜何度も目にした覚えがある。

…ああ、そうだ。確か酒場でメルツェルに虐められてた奴等だ。
どうやらまだこの辺りをうろちょろしていたらしい。
そう言えばその時に、"ゲーム"がどうこうと話していたような気がする。

いま偶然通りがかっただけのシャムにとっては、彼らに個人的な因縁もなければ興味もない。
メルツェルの居城にねずみが入り込み、何をしでかしたところで正直マジでどうでもいい。
が、しかし…

出し抜けに放たれた刃の軌道。それを紙一重のところで躱し、シャムは不敵に笑った。

「喧嘩を売られたからには買うしかねーよなァ
!?」

言葉尻と同時に、二丁のデザートイーグルがメイヤの超至近距離で火を吹いた。
二発、三発、四発…バックステップで後退しながらも、銃口は相手を狙い次々とマグナムを吐き出していく。

420メイヤ ◆.q9WieYUok:2015/12/12(土) 16:51:02
【群青の街/城】

「喧嘩の大安売りだ、安売りだけど買って損はさせないさ」

超至近距離で放たれる弾丸を、メイヤは剣の腹を盾にして防ぎ、そのまま前進。
バックステップで距離を取ろうとするシャムへ肉迫し、銃の間合いを強引に潰していく。

そして、距離を潰したと同時に攻勢一転。
真白の刃が半弧を描き、銃口を斬り落とす。

更に返す刃でもう一丁の銃身を斬り捨て、振りかざした刃で渾身の兜割を打ち込んだ。

ーーーーー

近くに聞こえる銃声に、バッハはのそり
と巨体を起こす。

(近いですね、誰かが戦っている……?)

酒場で酔い潰れたのは自らの酒臭さでわかるものの、何故牢屋に捕らわれられているのかはわからない。
目が醒めた時には冷たい石畳の上で、装備品は取り上げられていた。

状況が掴めないが、これは好機かもしれない。
鉄格子を両手で掴み、バッハは近付いてくる足音に耳を澄ませた。

「誰か、来ますね……?」

421ヤツキ ◆.q9WieYUok:2015/12/31(木) 23:41:28
結局イラスト出来ずで申し訳ない……

来年もよろしくお頼み申し上げます!

422シャム ◆Hbcmdmj4dM:2016/01/04(月) 00:26:05
【群青の街】

「…ッち」

斬り落とされた銃を放り投げ、シャムはすぐさま左腕を盾状に変化させる。
そしてそれで一刀を防ぐと、すかさずその場から飛び退き蝙蝠のように天井に逆さに張り付いた。

「うッぜぇなぁ、ちょろちょろ動くんじゃねーっつの!
弾が当たんねぇじゃねーか!」

分かっていたことだが、この様な狭い場所では飛び道具は不向きだ。
しかも相手は素早く、間合いを詰めてくる。

(クッソムカつくがナメてかかってる場合じゃねぇ…!)

シャムの腕が盾の様な形状から今度は鋭い剣状のものへと変わる。
足場を強く蹴り、天井から一気に降下。急所を狙った刺突が放たれた。

「そんなに近接がしたいなら付き合ってやるよォッ!」



…………


近くで聞こえる銃声と、そして足音。
バッハ同様、何事かと顔を上げたイスラの前に、ちょうど人の影が立ち止まった。

「…無事か?」

アグルだ。

「アグル…?これは…」

「説明はあと。取り合えず逃げるぞ」

説明を求めるイスラの声を遮り、アグルは牢屋の鍵を槍の刃で壊す。
そして外に出るように仕草で二人を促した。

「急げ、今メイヤが敵を引き付けてくれているんだ」

423シャム ◆Hbcmdmj4dM:2016/01/04(月) 00:27:23
明けましておめでとうございます(´ω`)
今年もよろしくお願いします!

424メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/01/08(金) 22:53:54
【群青の街/城】

変化する異形の左手、盾と剣を兼ねたソレを武器に、迫るシャムの一撃。
重量落下も合わさった、放たれる上方からの刺突は予想以上に速い。

「ーーッ!!」

急所を狙うソレを、捌けなければ死は免れない。
メイヤは目を細め、真白の刃を振るった。

そして。

ーーーーーー

すぐ隣で聞こえる話し声と、そう大きくは無い破砕音。
イスラに続き、牢から脱したバッハはアグルの説明に頷いた。

そして、自身の装備が取り上げられている事を伝える。

「私は軽装だったので、大して困りませんが……イスラさんはどうですか?

大事な刀、お持ちですか?」

昨夜は情報収集の為に街へ出た為、本格的な戦闘用の装備では無かった。
しかし、普段から帯刀しているイスラが刀を取り上げられているならば、取りに行かなければならない。

ーーーーーー

交錯する刃と、一拍遅れで舞う僅かな粉塵。
シャムの一撃は、メイヤの左胸部を縦に切り裂いた。

それに対する、急降下してくるシャムへとメイヤは剣を横薙に。
斬撃と言うよりは打撃に近いその一撃は、刃に引っ掛ける形でシャムを廊下へと叩きつけた。

「肉を切らせて骨を断つ。だけど、切らせる肉は鎧の下だ。」

相討ち上等のカウンターだが、きっとシャムは受け身を取って凌ぐだろう。
そんなシャムへとメイヤは剣の切っ先を向け、続ける。

「風魔装束、闇烏」

シャムに切り裂かれた左胸。
上着から覗くは血の赤では無く、鎧の黒。

剣を握る右とは逆。
左手で掴む薄い長方形の箱は、瞬く間にその姿を大きな手裏剣へと変える。

「風魔手裏剣、黒鷲」

それは、飛行艇に積まれて居た装備品。
世界政府の闇、処刑人の剣が収集していた異能の逸品であり、バッハが見繕い艇へと積んだ物。

「とことん、付き合ってくれるんだろう?


425シャム ◆Hbcmdmj4dM:2016/02/13(土) 00:11:14
【群青の街】

バッハの言葉を聞くまで、すっかり失念していた。
イスラは今更ながら己の身を確認してみるも、案の定、武器は取り上げられていた。

「すまない…、二人は先に行っててくれないか。俺は少しこの辺りを探してみる」

あれを置いて逃げる訳にはいかない。
そう言うイスラに対し、アグルは呆れ半分に言葉を返した。

「いやいや、丸腰の人間一人置いていけるわけないだろ。
仕方ないけど…手分けして探そう」

アンタもそれでいいよな?と言わんばかりに、アグルはバッハに同意を求めるような視線を向ける。


…………

「ハッ…、面白ぇッ!」

相手の様相はシャムにも少しばかり興味を唆らせたらしい。
向けられた刃に怯むことなく、シャムはそれを片手
で掴むや、力で強引に刀ごとメイヤを引き寄せた。

「俺様に剣を向けたこと、後悔させてやるよォッ!」

当然の如く多少の出血は気にしない。そして相手を手繰り寄せたのと同時に、今度は右腕の剣を勢いのままに突き立てる。

が、メイヤには紙一重で避けられてしまった。

しかし剣は空振ったものの、代わりに一撃を食らった壁面にはその威力でぽっかりと穴が。

「…今度はテメーの面に大穴開けてやらァッ!」

そうしてシャムは間髪入れずに剣による連撃を放った。


【最近レス遅くて申し訳ないです…(´`;)
リアルも落ち着いてきたので、暫くはもう少し早くレス出来る、はず…
この機に絵も描きたいなー…

426メイヤ+etc ◆.q9WieYUok:2016/02/20(土) 22:51:20
【群青の街/城】

思った通り、イスラの装備も取り上げられていた。
バルクウェイからの道中で聞いた話によれば、彼の所持する刀は神刀とも呼ばれる異能の逸品。

そんな刀を置いて城から脱出する訳にはいかない。
戦闘力の低下もあるが、何より刀に込められたら想いをおざなりになどは出来ない。

アグルの向ける視線の意図に頷き、バッハも周囲を探索する為に歩き出した。

「押収物の保管庫など、近くにありそうとは思いますが……」

直ぐ側で聞こえる激しい戦闘音が、余計に気を焦らせる。


ーーーーー

刃を引き寄せ、力任せに放たれる一撃の威力は壁に開いた大穴が物語っている。
身に纏う魔装の防御力を持ってしても、直撃は避けたい所だ。

刃を掴まれたままの剣から手を放したメイヤは、繰り出される連撃を避け続け、巨大な手裏剣を縦に一閃。

シャムが放つ刺突を手裏剣で上方へと逸らし、逆の手で短刀を抜き放つ。

「疾さには、自信がある!」

そして、大きく踏み込むと同時に、左手に握る短刀で刺突を繰り出した。

ーーーーー

長老の中でも、特に気配の探知に長けているだろうと自負するフィアは、真っ先にその異変に気付いた。

(ゴッソリ、消えたわね……!)

城内への侵入者は直ぐにアグルとメイヤだと判別出来、シャムと戦い始めた事は敢えて黙って居たが……
メルツェルの部下、彼の眷属の気配が一瞬で、それもかなりの数が消失したのだ。

昨夜、DDを襲った者達の仕業である事は間違いないだろう。
彼女……もとい、彼の頬を傷つけた銀の剣の調査結果を記した紙を手に、フィアはどう動くか思案する。

(メルツェルと合流するか、シャムと合流するか……)

しかし、ゆっくり考える暇はなさそうだ。
広間に居るであろうメルツェルとDDの元に、異質な気配が現れたのだ。

ーーーーー

フィアが異変を察知したのとほぼ同刻。
広間の玉座にふんぞり返るメルツェルもまた、自身の眷属が消えた事を感知した。

(おいおい……来やがったのかよ!?)

一瞬で消えた第三世代の眷属の気配と、空間を歪めて姿を現したフードをかぶった謎の存在。

「……ケッ、誰に喧嘩売ってるかわかってんだろうなァ?」

フードの人物を中心に陣を組む騎士達へメルツェルは啖呵を切り、立ち上がる。

「俺達長老様を舐めてんじゃねーぞ!」

そして、傍らに居るDDへ目配せすると同時に、空間を跳躍。
小柄な騎士の背後に現れ、その背中を手刀で貫いた。

「皆殺しだ、わかってんだろーなァ!?」

その声を皮切りに、対吸血鬼に特化した騎士達がメルツェルとDDの二人へ一斉に襲い掛かった。

427ヤツキ ◆.q9WieYUok:2016/02/20(土) 23:03:55
【レス返そう思ってたらいつの間にか一週間経ってた……
月一連載的な感じでも俺は気にしないんで、自分のペースでレスしてくだせぇ!

なんだかんだ皆忙しそうだし……リマの就活ははたして無事に終わったんだろうか。

とと、すっごい私事なんだけど、子供が出来ました。秋口出産予定なんで、春先以降顔出す暇が無くなる気がする……ので、ついったからいんか連絡先置いとこうかと思うけど、どうでしょう
?】

428シャム ◆Hbcmdmj4dM:2016/02/24(水) 18:50:19
【城】

素早い動作で抜き放たれた短刀が、シャムの胸部を刺し貫く。
傷口から滲み出た血が、刃を伝って地面に落ち、数滴染みをつくった。

「おい、小僧。ちょっと待て」

しかし、彼はそれを見ても微動だにしなかった。そもそも差し迫る刃を避けようともしなかったのだ。

何かがおかしい。
シャムは一旦の中断をメイヤに言うと、意識を目の前の戦闘とは別のところに向けた。

…間違いない。
城内の同胞達の気配が一瞬にして消失した。

一体何があった?
まさか、こいつらの仕業か?…とメイヤに疑いの目を向けるが、直ぐに違うだろうと結論する。
ただの勘だが、彼らは恐らく自分達の仲間を助けに来ただけだ。

だとすれば、心当たりは昨夜、DDを襲った何者か。
シャムは言った。

「昨日、てめぇらも騎士風の男共に襲われたらしいな。…まさか奴等とグルだっつー訳じゃあねぇだろうが…」

シャムは短刀の柄を握り、胸から引き抜く。それを手の内でクルリと回し、刃をメイヤに突きつけた。

「奴等のこと、何か情報とか持ってんじゃねーのか?」


…………………

昨夜の頬の傷は翌朝になれば回復していた。
どうやらあの剣、治癒に時間はかかるものの、吸血鬼の再生能力を完全に無効果するものでもないらしい。

その時は鏡の前で小躍りしたものだが、あれが吸血鬼達にとって十分な驚異であることは間違いない。

そして今…、眼前に現れた騎士達を見据え、DDはそっと眉を潜めた。

(まさか真っ向から攻めてくるなんて…)

同胞達を一瞬で葬り去ったのもそうだが、信じられないと言った心持ちだ。
DDはメルツェルの目配せに小さく頷き、彼に続く。

「メルちゃん!お城壊れちゃっても勘弁してよね!」

迫る相手に飛びかかり、勢いよく巨大メイスを振りかぶった。

429シャム ◆Hbcmdmj4dM:2016/02/24(水) 18:52:11
【おぉ、おめでとう!宴じゃー!とか祝いたいけどそう言う訳にもいかないので…w、元気な子が無事に産まれるのを草葉の陰から祈ってます…産まれたら教えてね!←
にしてもヤツキさんも等々パパさんか…(´ω`)しみじみ

リマさんの近況も気になるし、レス返とかいいから、たまには顔だしてくれたら嬉しいなぁ

じゃあツイッターで、(^^)dツイッターの使い方いまいち分からないけど←】

430ヤツキ ◆.q9WieYUok:2016/03/02(水) 09:42:16
【群青の街】

まるで吸い込まれるかの様に、短刀はいとも簡単にシャムの胸へ突き刺さった。
手に伝わる感触は、何の手応えも無いモノで、それはシャムが避けようとしなかった事を如実に表している。

「……グルだったなら、昨夜の時点でアンタ達と派手にやりあってるさ。

あの騎士達は、俺達も攻撃の対象にしていた。」

己の胸に突き刺さる短刀を抜き、それを脅す様に向けるシャム。
突き付けられた刃を手の甲でゆっくりとそらしながら、メイヤは答える。

「敵の敵は味方じゃなくて、敵の敵は敵だ。

ただ、今は仲間の救出を優先したいだけなんだが……そうも言ってられないみたいだな……」

言葉通り今はイスラとバッハの救出が優先であり、メイヤはその時間稼ぎの為にシャムへ刃を向けたのだ。
しかし、この膠着状態の原因を考えると、自体は面倒な事になりつつ……否、なったようだ。

小さく短い耳鳴りが止み、それと同時に聞こえる無数の足音。
音の聞こえる方へ顔を向け、メイヤは小さく舌を打つ。

視線の先には、昨夜襲撃を掛けて来た騎士の一団。
その先頭に立つ男は、疵痕が目立つ顔を歪め、剣の切っ先を此方へ向けた。

「長老クラスとの戦闘は初めてだが、如何なる犠牲を持ってしても滅しよう。」

そして、銀の剣を掲げたのを合図に、一斉に騎士達がメイヤとシャムへと殺到する。

「……敵の敵は敵、だけど。

今はそうも言ってられないみたいだ!」

ーーーーー

メイスをブン回し、騎士達を次々と肉塊……ミンチへ変えるDDは、流石と言った所か。
しかし彼女……もとい彼の本気はこの程度では無い。

別に壊しちまっても構わねーよォ!と、返しながらメルツェルも騎士達をその能力、全てを融解させる力で見るも無惨な姿へ変えていく。

高温による融解、特殊溶液による溶解、そして全力を出せば概念にすら感触するその力は、防ぐ術など無い。

ものの数秒、そして秒刻みで騎士達を惨殺しながら、メルツェルはフードを被った謎の人物を睨み付けた。

(この軍団は確かに強えェ……第四、下手こいた第三世代なら簡単に倒せるだろうが……)

彼ら、騎士達だけでは先程の様な、瞬間的に大規模かつ多数の吸血鬼を消滅させる様な真似は出来ない筈だ。
ならば、やはり注意すべきは……

「DD!あのフードの野郎を狙う!援護しろ!」

メルツェルは狙いを定め、空間跳躍。
現れた先、フードを被った謎の人物に防御不能の手刀を繰り出した。
しかし、メルツェルの予想に反し、フードの人物は外套から伸ばした白く細く、そして小さな手でその攻撃を受け止めた。

「なんっ……だと!?」

防御不能、必殺の一撃を防がれメルツェルは驚きの表情を浮かべる。
しかしそれも一瞬、掴まれた手を振り解こうと横に薙ぐも、それは叶わず。

まるで力を吸い取られたかの様な、いや実際に吸収され、急激な脱力感にたまらず膝を着いた。

(コイツぁ……やべぇ……!!)

431ヤツキ ◆.q9WieYUok:2016/03/02(水) 09:47:21
【名前間違えてたww

5月末に式やって、9月に出産とバタバタな予感……(笑)
そこはもう草葉の影から飛び出してもらっても良いんですよ?ww
ありがとー!籍入れて2年、今年で27だし丁度良い時期かなーとかとか。

リマさん半年位姿見てないから心配なんよなぁ、生存確認だけでも!

とと、んだらばTwitterのID置いときやすぜ!

@yatuki0509 す!】

432イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2016/03/02(水) 23:49:34
やっさん見つけた!
取り合えずフォローしとけば良いのかな?IDはpaのやつです。たぶん絵とか上げるぐらいしか使わないと思うけど…w

え、もう二年も経つんだ!?年が過ぎるの早いなぁ…;しかし本当バタバタなスケジュール(笑)身体には気をつけてください^^

433リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/03/07(月) 19:28:21
壁|ू・ω・` )
お久しぶりです、リマです
気付けば長らく消息不明な状態に・・・・
就活が延びに延びまくって気づいたら国試間近で勉強に明け暮れてました(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

就職先は病院に決まり、国試も一応自己採点上は基準点越えてたんで、マークミスしてない限りは合格出来そうです。
ご心配おかけしました(╥ω╥`)ただね、私の場合マークミスは勿論なんだけど、受験番号書き間違えてたり、名前書き忘れてたりする可能性があるから怖いんだよ・・・・・

この1年は私に依存してた我侭な友達にブチ切れて他の友人に協力してもらって縁切りしたり(向こうはまだ諦めてないみたいだけど)、何となく「これだけは好きになりたくない」と敬遠してた「うたの〇〇さま」のアニメをひょんなことから見ちゃって、とあるキャラに一目惚れしたりと色々ありました|´-`)
一応、何だかんだ元気でした、心配かけちゃってごめんなさい(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

そしてヤツキ!パパになるんだね!おめでとう!!
初めて会った(?)のは確かお互い高校生の時だったから・・・・・時の流れとは早いねぇ(٭°̧̧̧꒳°̧̧̧٭)
私の友達も今年2組結婚するんだよ。私なんて彼氏もまだなのに、皆ずるい( ˘• ₃ • )笑

本編の方はぼちぼち書いてるので、近いうちに更新します。
お二人共リマを忘れずにいてくれてありがとう(٭°̧̧̧꒳°̧̧̧٭)

434ヤツキ ◆.q9WieYUok:2016/03/08(火) 10:41:54
【イスラさんフォロバしましたぜ!フォローありがとうございやす!俺もゲームかプラモかの話しかしてないんで!ww

式から出産の間で車の免許取らないといけないから、ホント忙しそうだ……(苦笑)

ホント月日の流れって早い、イスラとも出会って四年程じゃないかな?

そしてリマきたー!音沙汰無くて心配だったけど、無事(?)で良かった!

試験も就活も、友達関係のいざこざもなんとか終わったみたいで良かった、お疲れ様やでー!試験もきっと大丈夫でしょ、記入漏れもきっと無いはず!

レスの方は急いてもないんで、時間に余裕がある時で良いよー!

とと、ありがとうございやす!まさか俺がパパになるなんてなぁ、って感じだったよ(笑)

確か18の時に出会ったから九年程?ネットの友達って括りには出来ない位の年月よな……!

リマもこれから良い出会いがきっとあるよ、焦らなくて大丈夫大丈夫!

試験受かってしたらお祝いせんとね、マジラブ1000%なら歌えるぜ!←】

435シャム ◆Hbcmdmj4dM:2016/03/09(水) 22:06:16
【城】

通路の暗がりから姿を見せた騎士の一団。そして剣を掲げる強面の男。
シャムはその銀の剣へ視線を移し、目を眇める。

(あれが例の剣か…)

DDの話し通りなら、一発でも致命傷を喰らえばアウト。
もし戦いになるようなら、今までのような適当な応戦ではなく、細心の注意を払えとのこと。

「めんどくせぇ…、要はやられる前に全部ブッ壊しちまえば良いってことだろ!」

言うが早いか、シャムは向かってきた騎士達を破壊力抜群の剣で横凪ぎに一掃する。
そしてそのままの勢いでリーダー格の男に飛びかかり、兜割りを叩き込む。

「くたばれやァッ!」

…………

(あれは…!?)

メルツェルがフードの男に飛びかかって行ったと思えば、どういう訳か、次に彼は全身の力が抜けたようにその場に項垂れてしまう。

援護に向かっていたDDは、フードの人物に向かってメイスを降り下ろし、与えた一瞬の隙にメルツェルを抱えて後方に退避。

「ちょっとメルちゃん!?しっかりしなさいよ!」

メルツェルを気遣いながらも、追撃に男の周囲の空間を圧縮する。
無数のバスケットボールほどの大きさの空気の膜がビー玉以下にも縮まり、限界まできたところで一気に弾けた。
男を中心に巻き起こる無数の爆発。手応えはしたが果たして通用したかどうか…。

436イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2016/03/09(水) 22:09:38
ヤツキ》なんと、車の免許まで(^^;)頑張ってください!

確か自分が二十歳の時にスレに参加したからもう4年所か6年ちかくの付き合いのようなw
知り合いのいない地での初めての一人暮らし、寂しさのあまり掲示板を覗いたのが皆さんに出会うきっかけでした(笑)あの頃が懐かしい…^^


リマ》リマさんおかえりなさい!もちろん忘れるわけないじゃないですか(^ω^)
就職決まったようで良かった!あと試験やら色々お疲れ様です!
そしてとうとう歌プリの餌食になったようで…(笑)誰に一目惚れたんですか?←

437 ◆wxoyo3TVQU:2016/03/10(木) 00:04:22
【過去】

「あ、いたいた」

そんな声が不意に掛かったと思えば、その声の主は何の断りもなく隣に座る。
声の主は誰か、顔を上げ確かめずとも分かる。
その男は気の抜けた伸びをし、これまた気の抜けた笑みを浮かべた。

「いい天気だね。絶好の・・・・・読書日和?」

何故そこで疑問を浮かべるのか。
自分が読書する姿は今となっては珍しくもないだろう。それとも場所が不満なのか。

「学舎の庭で読んではいけない決まりでも?」

決して本から目を離すことはしない、けれど無視するには些か納得のいかない疑問に、とうとう言葉を返してしまった。
俺はまたコイツの流れに乗ってしまったのだ。
返事を得たことに満足したのか、相手からは軽い笑い声が届く。

「いいや、僕も所かまわず読んじゃうから一緒だなぁって思って。」

一緒なものか。コイツと自分は身の上からしてまるで違う。
一流とも言える名門の御曹司と、一族としては名が通っているものの分家の出であり、さして秀でた特色もない家柄の息子。
そもそも、本来コイツ程の身分の者は自身の屋敷に教師を招き学ぶ場合が多いのだが、それをせずわざわざ学舎に通う意味が分からない。
・・・・・もっとも、コイツは端から変わり者だが。
長男でありながら、家系を継ぐ気はないと言う。弟がいるから良いのだと。俺が欲しくて堪らない物を持っているくせに、簡単に手放す。まるで興味がないのだ。

「・・・・・ヨハン?」

読み進めていたはずの手が止まった事を不審に思ったのか、相手から名を呼ばれた。意識が別のところへ飛んでいた。

「・・・・・用がないのなら消えろ。邪魔だ。」

「うわ、直球。酷いなぁ。」

遠回しに言ったところで分かりはしない。しかし、コイツは言葉で示す程傷ついた様子はなく。
ただヘラヘラしたまま座り続けるのだ。

「・・・・・。」

やがてこちらの方が居心地が悪くなる。これがコイツの策略だ。
溜息混じりに本を閉じると、コイツは嬉しそうに手を叩いて見せる。

「やった!遊ぼう、ヨハン」

「子供か、お前は・・・・・」

「今日は街に出たい気分なんだ」

「・・・・・午後の講義は?」

「そんなの、受ける必要なんてないよ。君も受けなくて大丈夫でしょ?」

無論。此処での学びの内容はレベルが低すぎる。こちらがそう感じるのだから、コイツにとっては尚更だろう。
問題はそこではないのだ。
俺は本家に認められる必要がある。
母を日陰に追いやり、俺の存在を消し去った一族を見返すために。
本家には跡取りが居らず、娘が一人。好都合だ。娘はまだ幼いが、成人するまでに親の目に留まれば婿の座に収まることも夢ではない。さすれば、一族の頂点に立つことも出来る。
その為には学を積み・・・・・素行の悪さなどもってのほかだ。

「断る。」

「気分転換だと思って!」

「必要ない。」

「そう言わずに!」

「消えろ。」

「まぁまぁ。」

438 ◆wxoyo3TVQU:2016/03/10(木) 00:04:58


埒があかない。その場を離れようとすると、相手は慌てた様子で止めてきた。

「うそうそ!サボリじゃないよ!許可は貰ってるから!」

「は?」

「先生から用事を預かってるんだ。まぁ別に済ますのは僕じゃなくてもいいんだけど、折角だから引き受けてきたんだ。君も一緒でいいって。」

「・・・・・。」

コイツは本当に・・・・・。
端的に事実のみを伝えれば良いものを、回りくどいやり方をする。
人を馬鹿にしたような態度が気に入らない。

「ついでに散策もしよう。街に移動サーカス団が来てるらしいんたけど、見に行く?」

「興味ない」

「OK、じゃあ古書店に行こう」

「サーカスからの繋がりが見えない」

「前にヨハンが話してた本、店のおじさんに聞いたら探してくれたんだ。絶版だから手に入らないって言ってたじゃない?あぁ言うのって街の方が入手しやすいんだよ。」

「サーカス発言は何処に・・・・・」

「寄り道出来れば何処でもいいんだ。さ、行こう?」

結局いつもの流れだ。多くの案を出すものの、最後は俺の返事も聞かずに連れ出そうとする。

「そんな怖い顔しないでよ。」

俺がどんな態度を取ろうとも動じない、余裕そうな笑顔がいけ好かない。
コイツには気に入らない事ばかりだ。

ただ、

「・・・・・その本が無くなっていたら承知しないぞ。」

「大丈夫、売らないでってお願いしてあるから。」

何もかも気に入らないのに、決して嫌いではないのだ。
俺はそんな自分自身の気持ちが、更に気に入らなかった。

439ナディア ◆wxoyo3TVQU:2016/03/10(木) 00:05:45
【過去】>>394

アブセルはまだ幼く、純粋だ。
リトの置かれている状況など理解出来るわけはなく、自分の選択が正しいと疑わない。
とても特殊で、本来ならば有り得ない、あってはならない状況であるため尚更理解することは難しいだろう。

「ごめんな・・・・・」

結局、上手い言葉が見つからずナディアは謝罪の言葉を述べるしかなかった。
アブセルの頭を撫で、身をかがめて視線を合わせてやる。

「お前がどんなに頑張ってくれても、今はまだ、リトが外に出るのは難しいんだ。リトが自分から出たわけじゃなくても、あの人(父)はリトを叱るんだよ。お前の気持ちは分かるし、嬉しく思うけど、リトの為にも今は我慢して欲しい。」

自分でも理不尽な事を言っている自覚はある。
この状況に納得がいかないのは自分も同じだ。このまま終わらせる気は無い。しかし、事を起こすにはまだ早い。
ポセイドン邸での最高権力者は母であるが、彼女が心を病んでしまった今、実権を握っているのは父なのだ。いずれ一族の主導権は長子でる自分に引き継がれるが、それは「何の問題も起きなかった」場合。父に睨まれ、敵と見なされれば自分は後継者から外されるだろう。だから今のうちは逆らうことは出来ない。

「なぁ、アブセル」

ただ、そのせいでリトは孤独なのだ。
護ってやらなければいけないのに、根底では父に逆らうことが出来ないから。

「お前は、何があってもリトの味方でいて。リトを護ってやって。いつか、リトをこんなクソみたいな環境から開放する。そん時は、お前が率先してリトを助けるんだ。その為に、あんたには強くなって欲しい。爺の孫なんだろ?お前は知らないだろうけど、お前の祖父さんは凄い人だよ。一族や関係者含め闇の能力持ってる奴の中で今一番強いのはあんたの祖父さんなんだからね。お前はその才能を持ってる。」

きっと、味方であれば、リトにとって最強の剣になるだろう。

「お前が父さんに睨まれないよう、私がフォローしないとね。頼りにしてるよ、アブセル。」

440リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/03/10(木) 00:29:51
ヤツキ>>
【いやぁ、ほんと申し訳ない(٭°̧̧̧꒳°̧̧̧٭)

うん、合格信じて3月中は羽伸ばすんだ!

ありがとう、ぼちぼち更新します(๑•̀ㅁ•́ฅ✧

月日の流れを感じたよ(∩´ω`∩)
私の周りら今は結婚ラッシュだけど、次は出産ラッシュが来るんだろうなぁ・・・・・

9年!長いなぁ(笑)
ネットの友達がここまで長い付き合いになるのは凄い!

うん、焦らず頑張る(٭°̧̧̧꒳°̧̧̧٭)
とりま就職先で出会い探すんだヽ(•̀ω•́ )ゝ
つか、大学内でも実は出会ってたっぽいんだけど、私が鈍すぎて気付かなかったって事がつい最近判明して戦慄(笑)
何年もやたら絡んできてた先輩がいたんだけど、友達いない可哀想な人だと思い込んでた(笑)残念(笑)

おー!歌えるんだ!凄い!!
是非とも歌ってもらいたい(笑)】


イスラ>>
【ただいまです!ご心配おかけしました(٭°̧̧̧꒳°̧̧̧٭)
ありがとうございます(ˊᗜˋ*)

友人があの作品は沼だと言ってました(笑)
さぁ、問題です。誰だと思いますか?(笑)
まさかあんな刺客が用意されていたとは・・・・・←
アニメで言うと2000%からそれなりに登場してるかな??キャラクター分かりますかね?
第一印象は「性格がアイドルっぽくない、親の借金の肩代わりに売られたのかな?」でした←】

441アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/03/13(日) 22:44:08
【過去】

アブセルにとって母は"世界"だった。母だけが自分の味方であり、母だけが自分を愛してくれていた。
だがその母がいなくなった時、アブセルの世界は足元から崩れ落ちた。
それは虚無の中に一人放り出された気分であり、その感覚はこの屋敷に来てからも変わることはなかった。

しかし今、アブセルはその虚無の中に一つの光を見つけた様に思った。

自分を必要としてくれている人がここにいる。
母さえも忌み嫌った闇の力を、ナディアは肯定してくれた。
初めて、そのままの自分の存在を受け止めて貰った様な気がした。

凄く嬉しかった。
けれどアブセルはその感情をナディアに伝える術が分からず、ただ、「分かった」と頷いた。


その後はヨハンに謝りに行く前に、鬼の形相をした祖父に捕まった。早々に別館にあたる使用人用宿舎の自室に追いやられ、
もう二度と馬鹿な真似はするな、ともの凄く叱られた。
そうして、暫くここで頭を冷やせと部屋に鍵をかけられたかと思えば、祖父は忙しなく何処かへ行ってしまった。

何らかの罰を覚悟したが、驚くことに、結局その日アブセルはお咎めらしいお咎めを受けることはなかった。
それなら全ての責任をリトが被ってしまったのだろうか。ずっと部屋に閉じ込められていたアブセルには、その後の経過は分からなかった。
ただリトが心配で夜もまともに寝付けなかった。

………

翌日、謹慎を解かれたアブセルはリトの部屋を訪れた。祖父には暫くリトに会いに行くなと言われたが、そんなのきいちゃいられない。

今日は昨日のお詫びにと手土産も持ってきた。
四つ葉のクローバーだ。しかも一つや二つではない。
両手で掴めるぐらい沢山摘んできた。

以前、四つ葉のクローバーは幸せを運んでくるという話を聞き、朝早くから頑張って探してきたのだ。
これだけあると有り難みも半減してしまいそうだが、アブセルは気にしていない。

部屋の扉にそっと手をかけると、そろそろと部屋の中を覗き込んだ。

442アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/03/13(日) 22:45:43
リマ>沼wハマったら抜け出せない的な?w
聞いといてなんですが、キャラクターほぼほぼ分からないです(笑)

でも調べた限りでは黒崎蘭丸ってのが、それっぽいけど…勝手ながら外見は「あれ!?何かリマさんにしては意外な感じ!」って思いましたw
どうでしょう?あってます?

そしてヨハンとトーマの過去話し、待ってました!└(゜∀゜ )┘←

443メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/03/14(月) 21:44:52
【群青の街】

剣の一振りで騎士達を薙払い、強烈な兜割りを繰り出すシャム。
その一撃を疵面の男は銀の剣で受け止め、一瞬の停滞の後に剣を横薙に。

そう短く無い距離だが、シャムを弾き飛ばし、剣の間合いを確保したと同時に剣による連続突きを放った。
それはさながら驟雨の如く、シャムの視界を埋め尽くさんとばかりに打ち込まれていく。

その様子を横目に、メイヤは襲い来る騎士達を相手に巨大な手裏剣を、刃を振い続ける。
だが、如何せん数が多い。

昨夜に比べれば頭数は少ないものの、一人で捌くのは中々厳しい所だ。

(アグル達はまだなのか……!?)

ーーーーー

空間圧縮からの無数の爆発。
直撃すれば相手は文字通り木っ端微塵になる筈だが……

(そう簡単にはいかねぇか……)

DDに助けられたメルツェルは、離れた位置で爆発を眺める。
しかし、予想通り敵は無傷で現れ、その様子にメルツェルは舌打ちを一つ。

「クソが、本気の本気でやるしかねーじゃねぇか……!」

青白い顔で立ち上がり、自身に宿る力……呪いにも似た、長老だけが持つ力を解放させる。

「全てを融解させる赤熱と紫毒、魅せてやるよ。

冥途の土産になァ……」

解呪の言葉は僅か一瞬。
超高温の熱気と毒素を撒き散らしながら、黄金にも漆黒にも見える鎧に身を包み、メルツェルは咆哮を上げた。

そして、先程までの弱った姿からは想像も出来ないスピードで敵との距離を詰め、鋭く伸びた赤熱する爪を一閃、二閃。

赤色の残光に添って大気が燃え上がり、崩壊しつつある広間内を一気に猛火が包み込む。
謎の人物はメルツェルの攻撃を寸の所で避けたものの、熱波でフード諸共外套が燃え尽きた様だ。

炎の朱に照らされる銀髪の下、幼く見える相貌は中性的で、見る者が見れば息を呑むだろう。
しかし、今のメルツェルには関係無い。

臀部から伸びる尾の先、鋭い毒針と両肩に生えた巨大な螯鋏で周囲の騎士達を皆殺しにしつつ、謎の人物……吸血鬼の姫であるノワールと同じ顔をした敵へ烈火の如く攻撃を叩き込んでいく。

その姿は、まるで怒りに燃える蠍だろうか。

「死、に、さ、ら、せえぇぇぇえ!」

444リマ、ノワール ◆wxoyo3TVQU:2016/03/17(木) 01:44:26
【ポセイドン邸】
>>398

「とても、不思議な感じ。」

アブセルから話があると言われついてきたものの、何故かお茶会の席となった。
正直セナ達のことが気になってお茶を楽しむ余裕などないのだが、何処か落ち着かない気持ちでいたリマはアブセルからの問いに虚をつかれた表情を浮かべる。
大事な話があるのかと思っていたが、彼の口から出たのは申し訳ないがこちらからしてみればとても囁かな疑問だった。
が、隣で眉間の皺を深くするノワールから唯ならぬ気配を感じ、場を取りなそうとリマは言葉を返した。

「そっくりだから、セィちゃんの血を引いてるんだなぁって一目で分かるの。そんなリッちゃんは私にも関係してるんだなぁって思うと、とても不思議。」

そして、とても嬉しい。セナは自分を大切にしてくれるが、それでも二人の間にはたしかな溝がある、そう感じることがリマにはあった。セナの生い立ちを考えれば仕方の無いことだが、セナは幼い頃の印象とは違い、心を閉ざしてしまっている。リマにとってリトの存在は大きかった。いずれセナとの絆が完全に戻る日が来るのだと分かったから。・・・・・少し恥ずかしいけれど。

穏やかな笑みを浮かべるリマのそんな心情を察してか、対するノワールはその眉間の皺を更に深くする。

そんな中「お前は?」とアブセルに促され、ノワールはリマに向いて意識を無理やり引き戻される形で、何故自分も応える必要があるのかと不満そうな態度を示しながらも口を開いた。

「愚問よの。」

正直、初めてその存在を知った時には快さは感じなかった。自分に対して全くの感情を示さず、単なる務めとして扱っていた男が、望んで得た血筋があるのだと知ったから。自尊心が台無しである。
しかしリトは封印を解き自分を開放した云わば恩人であるし、自分を欺いた、かの組織との直接の繋がりもない。セナの血筋であることを除けば、リトに何ら不満はない。潜在的な闇の力も惹かれるところがあり、その力を秘めた血の味は上質で価値がある。

「不本意ではあるが、わらわの本来の力はリトに制されているからの。リトはわらわの主であるぞ、嫌う理由もない。して小僧、わらわと娘にリトへの情を問いかけることに何の意味がある?」

先程までの不機嫌さは何処へ行ったのか、ノワールは意地の悪い笑みを浮かべたかと思えばアブセルに疑問を返す。
ノワールはアブセルが自分達を連れ出した事に何ら意味は込められていないことに気づいていた。現ポセイドンがこちらを気にしてアブセルに何かを吹き込んでいたのを知っている。さしずめ、セナを連れ出すことに自分達の存在は不都合があったのだろう。
時間を稼ぎたいのなら、協力してやろうではないか。もっとも、自分が楽しめる方向でな。

「寧ろ問うべきは己の胸のうちではないか?リトは今や無機質な人形。あような姿にしたのは、そなたじゃ。そなたがあやつを裏切ったばかりに・・・・・無様よの。」

445リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/03/17(木) 02:05:42
イスラ>>

抜け出せない、プラスお金が際限なく剥ぎ取られる的な意味で(*゚∀゚)

ぶぶー(≧ε≦)
実は、第一印象はあくまでイメージなので、実際の設定は全く関係ありませんでした(笑)
たしかに、蘭丸って没落貴族だから設定上ではビンゴでしたね、気づきませんでした|ू・ω・` )

自分の一目惚れしたキャラは藍って子ですヾ(●´∇`●)ノ
顔はバリバリのアイドルですけど、性格素っ気ないですし、電波ですし、アイドルやりたくてやってる感まるでないから親に無理矢理業界入れられたのかなと思ったんですよね(笑)

この子、なんて言うかとんでもなく可愛いんです。同じグループにいる嶺二を鬱陶しそうに扱って「煩い」「邪魔」「黙って」とか言うくせに、そう言う割にはいつも一緒にいるし、何だかんだ嶺二の発言にちゃんと反応示すし、他のメンバーが嶺二の事無視してる中でも藍ちゃんだけは返答するしで、何だかんだ嶺二に懐いてる感じがたまらなくいじらしいと言いますか(*´﹃`*)「何だよ、嶺ちゃんの事大好きじゃん!」って(●´ω`●)
んで、この藍ちゃん。喋ってる時は普通に男の子なんですが、歌声が物凄く可愛いんです!そのギャップが更にいい!!
声優さん男性なんですけどね、女の子みたいな声で歌うんですよー(*/ω\*)

あれ、待っててくれたんですか(笑)
ヨハンとトーマの話なんて単なる自己満ですし、サイドストーリーも甚だしいのに(笑)

446シャム ◆Hbcmdmj4dM:2016/03/20(日) 13:42:55
【城】

連続突きによる猛攻が視界を埋め尽くす。
シャムはその一つ一つを剣で捌いていくも、相手の勢いにじりじりと後ろに押されていく。

(クッソやりづれぇ…!いつもならブスッとやらせてドーンで終いなのによォ…!)

肉を斬らせて骨を断つ。それがいつものシャムのやり方。
しかし今回ばかりはどうしようもない。細かい裂傷はもはや目を瞑るしかないが、致命傷だけは何としても避けなければならないのだから。

最終的にじり貧も覚悟したそんな時、不意に敵側の後方から火の手が上がった。
それは数人の騎士達に燃え移り、火柱をつくる。

「悪い、遅くなった!」

イスラ達だ。
取り上げられていた武器を見つけ出し、今ようやく駆けつけたようだ。


…………

その相貌。フードの下から覗いたそれを見て、DDは目を見張った。

「メルちゃんっ!待ちなさい!」

そして…。
咄嗟にその場から空間跳躍をしたDDは、敵を庇う形で二人の間に割り込んだ。

メルツェルの尾が肩を掠め、螯が身体に食い込む。
肉が焦げ、傷口から流れ出た血は一瞬にして蒸発した。
恐らく吸血鬼にとってしても致命的なダメージであったろう。それでも彼は辛うじて立っていた。

「……誰、なの…?」

不意に血塗れの口から切れ切れと言葉が発せられる。
その問いは、例の謎の人物に向けて投げかけられていた。

「なぜ…姫と同じ顔をしているの?」

そこまで言って、DDは堪えきれずに地面に崩折れた。

447メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/03/20(日) 18:55:39
【群青の街】

臆病の殻を融解させ顔を覗かせるは、赤熱と紫毒に染まる狂気。
今のメルツェルには、視界に映るモノ全てが敵に見えるだろう。

「長老が長老と呼ばれる由縁、長老だけが持つ12の鍵……黄金の蠍。

その力、返しても「うるせぇよ、死ね」

それはノワールと同じ顔を持つ人物が現れても、その人物をDDが庇い、倒れたとしても変わらない。
崩れ落ちたDDを一瞥する事も無く、メルツェルは謎の人物へ再び攻撃を叩き込んで行く。

「もう止めるヤツぁ居ねぇ!死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!」

尾の一振りは紫毒を撒き散らし、螯鋏は赤熱の炎を燃え上がらせた。

ーーーーー

不意に上がる炎と響く仲間の声に、メイヤは小さく安堵の息を吐いた。
それと同時に、疵面の男へと手裏剣を投擲。

連打を防ぐべく飛来するソレは、メイヤの思惑通りに疵面の男とシャムの間に割って入った。
その間を逃さず、イスラと共に現れたバッハが疾走。

その巨体からは想像出来ない程の速度で廊下を駆け抜け、跳躍。
疵面の男へと拳を振りかざし、落下と同時にその拳を男へ叩き付けた。

その一撃はまるで隕石の落下の如く。
剣の腹で拳を受け止めた疵面の男の足元が大きく陥没する。

「……まさか吸血鬼と肩を並べる事になるとは思いませんでしたが、宿敵と言っても過言では無い相手が居ますので。」

疵面の男の薙払いをバック宙で回避し、シャムの隣に着地したバッハは、低い声でそう言った。

「私が壁になりましょう、後は分かりますね?」

そして、シャムの返事を待たずに再び跳躍からの叩き付けを放ち、無駄の無いコンパクトな動きで掌打を、肘鉄を、蹴りを繰り出して行く。

それを見、メイヤは声を挙げる。

「イスラ!アグル!雑魚を片そう!」

ーーーーー

腕の一振りは炎を、尾の一刺しは猛毒を。
狂気に染まるメルツェルの攻撃は破壊の渦を巻き起こし、城、眷属諸々を粉砕して行く。

その渦中、絶対零度の結界を張ったフィアはDDを介抱していた。
ノワールと同じ顔、そしてその口から出た言葉の意味。

それらを繋ぐ単語、それは……

「……DD、生きてる?」

448アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/03/20(日) 21:13:01
【ポセイドン邸】

「それは分かってる。俺が馬鹿だったんだ」

二人にリトへの情を尋ねた理由はあった。
いや、正確にはたった今、"理由が出来た"。

アブセルはノワールの言葉に対し、僅かに表情を沈ませて言った。

「俺、お前らに嫉妬してた。
ちょっとだってリトが他の奴のこと気にかけるのが気に入らなかった。
リトのこと取られた気がして、それが悔しくて、だから他人に対していつも邪険な態度ばかり取ってた」

悪かったと思ってる。とアブセルは続けた。

「お嬢と話して気づいたよ。
いつもリトのこと"大好き"とか、"大切"とか言ってるくせに、俺って結局自分のことしか考えてなかったんだって。
一方的に自分の気持ちばかり押し付けて、リトの気持ちは全く分かってあげようとしなかった。
…それで友達面してんだもん。死にたいぐらい恥ずかしくなったよ」

ずっとリトの味方でいたつもりだった。
でもそうじゃなかった。結局自分も彼を虐げていた、大嫌いな屋敷の大人達と変わらなかった。
本当の友人なら、リトに屋敷の中以外での繋がりが出来た時、喜んであげるべきだったのだ。

「リトが目覚めてくれるなら、何だってやる。
そんで、もう二度とあいつのこと傷つけたりしない」

目覚めた彼が、まだ自分を側にいさせてくれるかは分からないけど。

そこで不意にアブセルは言葉を切った。リマとノワールを見つめ、そして頭を下げた。

「良かったら二人も力になって欲しい。俺の力が及ばない時は、二人がリトのこと支えてあげて欲しい」

今更になって調子の良いことを言っているのは分かっている。
でも彼女達なら、リトのことを親しんでくれている二人なら、彼を任せられる。

449アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/03/20(日) 21:28:31
リマ>お金まで絡んでくるとは恐ろしい…w

違ったか〜、でもその子なら納得です(笑)人気がありそうな容姿をしてらっしゃる
ちょっとキャラソン聞いてみましたが声優さん声高いですね、すごい!(>.<)
でも実はロボットって書いてあるんですが…w

サイドストーリー大好きですから(笑)
ヨハン達ってこういう性格でこういう関係性なのか…
、って楽しく読ませていただいています^^

自分もだいぶ前にヨハン母と爺やのラブストーリー書くとか言っといて全然書いてないなー…
ぼちぼち考えてはいるんてすが、どうもしっくりこなくて…(^-^;

450ヤツキ ◆.q9WieYUok:2016/03/20(日) 22:07:53
【イスラとは6年、リマとは9年の付き合いになるとか驚愕の表情を浮かべざるを得ない!ww

つかこのお話も前作?含めて6年経つのか……スゲェなぁ、しみじみ思うね!

てんでバラバラな所に住んでるけど、スレが無事完結したお祝い兼ねて会ってみたいな、マジラブ歌わねーといけないしさ!(笑)

きっとそんな日が来る頃にはリマもばっちし良い彼氏ゲットしてる筈!】

451リト、ヨノ ◆wxoyo3TVQU:2016/03/25(金) 18:48:22
【ポセイドン邸/過去】

リトは部屋の中で床に膝をつきうつ伏せで何かをしていた。
その対面では彼の2番目の姉であるヨノが楽しそうにその手元を見ている。
リトの手元、ヨノの視線の先にはスケッチブックのような物が。どうやら絵を描いているらしい。

昨日はあれ程の騒ぎがあったにも拘らず、いつもなら罰と称してリトに暴力を奮うヨハンは何の行動も起こさなかった。リトを連れ帰ってきてくれたトーマがヨハンを伴って行くのを見たが、二人の間に何の会話が交わされたかは分からない。しかしきっと、トーマが何かしら動いてくれたのだろう。

(おじ様はお優しい方だから・・・・・)

トーマが来てくれて良かった。リトとアブセルが二人だけで帰ってきていたら、きっと二人とも無事で済まされなかった。

「リトくん、何を描いているの?」

ヨノは自分の中に浮かんだ「起きていたかもしれない恐ろしい事態」を頭から消し去ろうと、意識をリトに戻す。
問いかけても返事はくれない。いつもの事だ。
ヨノは苦笑いしながらリトの頭を撫で、そしてふとドアの方に気配を感じて顔を上げた。そこにいる人物、アブセルの姿を見つけるや優しく目を細める。

「アブセルちゃん、おいで。」

452シャム ◆Hbcmdmj4dM:2016/03/27(日) 00:48:06
【城】

助っ人に現れたイスラとアグルはメイヤの指示通りに下っ端の相手を。そしてバッハは疵面の男に拳を向ける。

「…けっ、わかんねーッつの」

シャムは余計なお世話とも言いたそうに顔をしかめるも、接近戦では不利な筈の、しかし扱い慣れた遠距離型の武装へと腕を変形させる。

見えるは巨大な砲身。
重々しい音と共に腕を構え、こちらに背を向けて戦うバッハの背中に照準を合わせる。

「…………」

そして、砲口から高出力のレーザー光線が照射される。
普段のシャムならバッハ諸とも敵を撃破しようとするだろう。しかし照射された光線は、バッハの脇を掠め敵のみに撃ち込まれた。

二人の動きを先読みしたシャムが、ご親切にもバッハが軌道から外れた際を狙ったのか、はたまたただの偶然か、気まぐれか。月並みだが、真実は本人のみぞ知る、である。


…………

「…ええ、なんとかね…」

短い失神から目覚めると、そこにはこちらの顔を覗き込むフィアの姿があった。
DDは彼女に礼を言って上半身だけを起こすと、再生する傷口に手を触れた。

(メルちゃんったら…、随分容赦なくやってくれたじゃない…)

今、彼の全身には金色のタトゥーが浮かび上がっていた。
これは今まで他者から吸い取ったエナジーを元に、己の身体能力と治癒力を極限まで底上げした証。正直、これがなければ危なかった。

「て言うか…、この状況はどういうことなの?訳が分からないわ…」

オリジン。
その単語が脳裏に浮かぶ。

「その人、てっきりアタシは死んだとばかり思っていたんだけど…」

453シャム ◆Hbcmdmj4dM:2016/03/27(日) 00:52:31
ヤツキ>ほんと、スレが賑わってたあの頃が懐かしい…^^
しかし完結した頃には一体何歳になっているんだろうか…(笑)
じゃあ自分もその時に備えてマジラブ歌えるように練習しとこうw

454ナディア ◆wxoyo3TVQU:2016/03/28(月) 01:59:27
【ポセイドン邸】

母はやはりセナとリトの見分けを付けることが出来なかった。
ただでさえ父を亡くし錯乱している彼女の前に「リト」を突き出すべきでない事は分かっていたが、葬儀で鉢合わせることになる以上、仕方が無かった。

セナはふと自身の頬を指でなぞる。血が滲んでいた。「リト」に怯えた母が手当り次第物を投げつけたため、うち一つが掠ったようだ。

「・・・・・驚いただろう?」

ナディアは気遣わしげにセナを見る。
セナは特に気にしていないようだが、とても申し訳ない。
傷を治してやろうと手を伸ばすも、必要ないとばかりに逸らされてしまった。

「リマは?」

そして遮るようにリマの行方を聞かれる。

「ん?リマならアブセルが庭に連れていったみたいだけど。」

ナディアが庭の行き方を教えるとセナはすぐにそちらへ向かってしまった。何だろう、迷惑かけてる立場である以上こんな感覚を持つことは間違っていると思うが、こっちが折角心配してるのに無視されると何か腹立つ。

しかし彼のそんな態度にも慣れてきた。やれやれと言った具合に後を追うべく歩き出した所、自分の方は母の部屋から出てきたヨノに呼び止められた。

「お姉さま、あの・・・・・」

「ごめん、母さん落ち着いた?」

「えぇ、なんとか。あの、お姉さま・・・・・」

ヨノは何か言いたけだった。しかし言って良いものかと言い淀む仕草。どうやら、母親の件とは別に用があるらしい。

「言ってみ?」

「あの、昨晩・・・・・ジルが来たんです。」

ジル?誰だっけ?

「ほら、お父様のご友人のトーマおじ様がよく連れていらしたご子息の・・・・・」

言われてぼんやりと思い出した。たしかにそんな子がいた気がする。妙に口が達者で、自分も下手すりゃ言い負かされそうになるくらい頭の回転が早い小生意気な餓鬼が。
両親が事故にあい、一時は妹と共に父方の親戚に引き取られたが、その後その兄妹は行方不明になったと聞いた。当時何だか不可解に感じてはいたものの、こっちの事情で手一杯ですっかり忘れていた。

ところでジルと言う名前、最近何処かで聞いたことがある。気のせいだろうか。

455リマ他 ◆wxoyo3TVQU:2016/03/28(月) 02:00:05


----------------

「もちろん!」

アブセルの申し出にリマは快く頷いて見せた。

「私に出来ることなら何でもするよ。大丈夫、アブくんの気持ち、きっとリッちゃんも分かってる。リッちゃんが早く目覚めるよう、一緒に頑張ろうね?」

一体何を頑張るのかは不明だが、リマはそう言ってアブセルを励ます。アブセルの手を両手で包みながら「ね、ノワールちゃん」などと同意を求められても困るのだが、悪意のない笑顔に返す言葉もなく、ノワールは居心地の悪そうに目を逸らした。あからさまに拒否をしないと言うことは、ノワールも少なからず協力する気ではあるようだ。

「リマ。」

ちょうど良いタイミングで、別行動をとっていたセナがリマ達のもとへやって来る。アブセルの手を握っていたリマの手をセナが自身の手で絡め取ると、リマは嬉しそうに握り返した。

「セぃちゃんおかえり」

此処はリマの言えでもなければ、別行動に至った始点でもない。よってリマから発せられた言葉は些か不適切であるように思うのだが、セナは何の疑問も持たず「ただいま」などと言葉を返している。

「セぃちゃん、リッちゃんのお母さんはどうだった?」

言ったところで、リマはセナの頬にある傷に気付く。

「セぃちゃん、怪我してる・・・・・」

どうして?リマはそっとその傷に触れる。
リマはミレリアの状態を知らない。リトを忌むように術をかけられてしまっていることは先程知ったが、それがどのような事態を招いているかまでは理解出来ていないのだ。しかし、無理に知る必要もないと思う。セナはリマの問いに答える代わりに「心配するな」と笑みを返した。

「あの娘(リト母)・・・・・」

一方、1度ミレリアに会ったことのあるノワールは察した。
我が子を認識出来ないばかりか、危害を加えるほどとは・・・・・。

「あーいたいた!」

そこへ、ナディアが遅れてやって来る。
セナの傷を気にするリマにヒヤリとしたものの、その様子からは大事にはならなそうだと判断しそのままアブセルに声をかけた。

「おうアブセル、女の子に囲まれたお茶会は満喫出来たか?」

456リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/03/28(月) 17:01:51
結果発表、自分の受験番号見つけました(٭°̧̧̧꒳°̧̧̧٭)

イスラ>>
本当、いい商売してますよね|ू・ω・` )イベントごとに限定イラスト出すもんだから沼にハマったら破産しますよwww

藍ちゃんは世のお姉さま達に人気があるイメージです(๑ÒωÓ๑)
実際人気ありまくりでヤフオクでグッズ競り落すの大変なんです( •́ .̫ •̀ )付録で付くようなブロマイドでさえ千円以上の値がつきますからね(´・×・`)
私は顔と歌声と性格にポロッと来ちゃいました(๑ÒωÓ๑)たまたまCD買った時に付いてきたカード財布の中に入れっぱで忘れていたところ、研究室の友人が私の財布弄って見つけてしまい、以来藍ちゃん好きとしてからかわれるように(´・×・`)国試前に貰ったキットカットには「受かって稼いで藍ちゃん買うんだ!」って落書きされてました( •́ .̫ •̀ )
藍ちゃんはソングロボットです(๑ÒωÓ๑)ボカロと似たようなもんですねwww
まぁロボットだろうが可愛ければ問題ないのです(๑ÒωÓ๑)

あー、自分もサイドストーリー好きです(笑)
なんかヨハンの若い頃書いてると、何だかんだ性格がリトに似てるなぁって思えてきます(笑)

ラブストーリー楽しみにしてます(*´﹃`*)構想は浮かんでるのにイマイチしっくり来ないってことありまふよね|ू・ω・` )


ヤツキ>>
ほんと長いね!物語もここまで続くとか本当感動!

マジラブひっぱるねwww

彼氏ゲットせな!取り敢えず同期に期待したんだけど皆女の子だった(笑)

457メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/03/28(月) 22:38:23
【群青の街】

その一撃は、言動共に粗暴に見えるシャムからは想像も出来ない程の精密さで、放たれた。
タイミングを合わせたのか、はたまた偶然なのかは分からない。

しかし、針の穴を通すかの様な光線は、確かに疵面の男の胸を貫いた。
白磁の鎧が砕け、仰向けに倒れる男。

「……呆気なかったな、最後は。」

アグル、イスラの二人との連携は思った以上に上手くいき、苦戦したのが嘘かの様に騎士達を倒したメイヤは、刃に付いた血糊を払いながら呟いた。
考えるのは、倒すべき吸血鬼との共闘を終え、本来の目的である吸血鬼討伐に取り掛かるかどうか。

……答えは、否だ。
騎士達とそれを率いる男は倒れ、戦うならば四対一と此方が圧倒的に有利だろう。

しかし、今日は此処に来た最重要目的はイスラとバッハの救出だ。
少なからず消耗している今、無理に戦う必要性は無い。

そう、自らの中で理由を付けてメイヤは武器を収納する。

「なん、だ……!?」

その時だった。
城が大きく揺れ、破壊音が轟き響いたのは。

音と共に揺れは増し、頑強な筈の石畳が、積層壁が割れ、廊下は崩落の兆しを見せた。

「拙いですね、急いで脱出しましょう!」

地下にあるこの廊下が崩れれば、全員生き埋めになるだろう。
バッハの声にメイヤは素早く駆け出そうとし……思わぬ不意打ち、空間歪曲を利用した衝撃波によって吹き飛んだ。

「……まだ、終わりではないぞ?」

床に叩きつけられ、痛みに顔をしかめるメイヤは、進行方向、出口へと繋がる方へ視線を向ける。

「吸血鬼の長と戦うには、人の身では力不足でな……

毒を持って毒を制す、吸血鬼の血肉を取り込んだこの身は既に人ではないのだ……」

そこには、シャムの砲撃により倒れた、疵面の男が立っていた。
貫かれた筈の胸元は血に濡れているものの、傷口は塞がり。

黒の瞳は爛々と赤く輝き、口元には牙が覗く。
更に、その背には蝙蝠の翼が二対。

「本気を、出させてもらおう……!」

滅するべき吸血鬼の力を宿し、疵面の男は一行へと再び立ちふさがった。

458フィア ◆.q9WieYUok:2016/03/28(月) 22:45:04

ーーーーー

「死んだんじゃない、生きてなかっただけ……」

呼び掛けに応じ、上半身を起こしたDD。
彼女、もとい彼の無事を確認し、フィアはホッと安堵の息を吐く。

身体に浮かぶ黄金の模様、彼の秘策と言っても過言では無さそうな術式を見るのは長らく振りだ。
しかし、それは紛れも無い回復の証し。

「何故ノワールと同じ顔をしているのか、それは至極簡単よ。」

結界内部から、外の激しい戦いを瞳で追いながら、フィアは続ける。

「思い出してみて、私達が生まれ落ちた時の事を……」

記憶の奥底、遥か昔の事。
自分が自分である事を認識した、あの時。

「私達はオリジンを見た事が無い。

何故なら、私達はオリジンと言う存在を12分割して生まれたから……」

そう、あの時。
朧気な記憶に浮かぶのは、幼き12人の姿。

「オリジンを12分割して生まれた私達が、それぞれ血と肉と魂を寄り合わせて生んだのが吸血鬼の姫、ノワール。」

考えてみれば簡単な事だ。
ノワールとオリジン、それは限り無く近い存在なのだ。

「私達と言う血肉を失った器がオリジン、そのオリジンが血肉である私達を取り込もうとしている……つまりはそう言う事。」

思い出せば、自分を含めた幼き12人の中にジーナの姿は無かった。
しかし、彼女の魂の波長は紛う事無く自分と同じ長老だけが持つ独特の波長だ。

だが、今はそれを問い出す時では無い。
元々在ったモノを取り戻す事は決して間違えではないが、はい、わかりましたと首を縦に振る自分達ではない。

「私の命は私のモノ、そう易々と渡しはしない。」

メルツェルが放つ極大の火球が城を飲み込み、猛火が燃え盛る中、フィアは立ち上がる。

「相性は最悪だし、鬱陶しい奴だけど……メルツェルを援護するわ。」

そして、結界の中にDDを残して空間を跳躍。
メルツェルと同じく黄金にも漆黒にも見える鎧、12の鍵の一つ、黄金の水瓶の力を権限させ、謎の人物……オリジンの背後に現れた。

それと同時に、メルツェルは再び極大の火球を。
それに合わせてフィアは絶対零度の凍気の嵐を巻き起こす。

相反する二人の力は互いに打ち消し合う事無く相乗し、オリジンを中心に凄まじい大爆発を起こした。

轟音と閃光は止まず、灼熱の熱風と極寒の吹雪が吹き荒れ、メルツェルの居城は秒刻みで破壊されていく。

そして。
一瞬にも永遠にも思える破壊の嵐が止んだ後。

メルツェルとフィアの視線の先に浮かぶのは……

「……ケッ、あれでまだ死んでねーとはな……」

身体の七割程を失いながらも、宙に浮かぶオリジンの姿だった。

「……流石、ね。」

459リト ◆wxoyo3TVQU:2016/03/31(木) 12:36:32
【???】

正直、自分の今の状況が未だ分からない。
リトは戸惑いながら自分の膝の上に視線を落とす。

「・・・・・・・・・・。」

何故、

「お花!」

自分へと差し出される一輪の花。
リトがそれを受け取ると、先程から断りもなくずっと人様の膝の上を陣取っている幼児が嬉しそうに笑う。

自分は何故、見ず知らずの子供のお守りをしているのか。

「ジタン。」

どうでも良いが、そろそろ膝が限界である。
そんな頃、漸く子供の保護者が姿を現した。

「おいで、お客さまに面倒をかけちゃ駄目。」

保護者は子供を抱き上げてそのままリトの隣に腰掛ける。そして保護者・・・・・リトと同じ年頃と思しき少年は、軽く謝罪の意を述べた。

「・・・・あんた、アンヘルだっけ?」

戸惑いはしていたものの、特に迷惑をかけられていたわけでもない。
謝罪を軽く流したリトは、手遊びを始めた幼児を横目に見ながら少年に問う。

「ここが特殊な所だってのは理解した。けど、あんた達は地上に自由に出られるんだろ?あんたとは前にも会ったはず。」

「そうですね。」

「じゃあさ、あんた達と同じようにすれば俺も戻れるんじゃないの?」

リトはヨハンに連れられ謎の穴に落とされた。そこまでの記憶はある。しかし、その後気づけば「この場所」にいた。
場所と言うよりは世界と言うべきか。ここは自分が当たり前に生きていた世界とは別物らしい。なんともキテレツな話ではあるが、長い時を経て眠らされていた吸血鬼がいたり、その吸血鬼の故郷である世界に飛ばされたり、しまいには先祖なる存在が現れたりなど、最近意味の分からない出来事が多すぎて感覚が麻痺してきているようだ。不思議と受け入れられる。
落とされた穴の中で、闇に飲まれた。そして、自分は死ぬのだと理解した。しかし、この心臓は止まることなく今ここにいる。目を覚ました先の光景は一変しており、城のような空間で立たされており、目の前には偉そうに椅子に座りこちらを見据える男がいた。自分はその男を知っている。吸血鬼の世界に現れた、ルイと名乗る男。
男は呆れたように溜息を吐き、「お前を買いかぶっていた」だの、「情けない」だの散々嫌味をぶつけてきたと思えば、「ここからは簡単に出ることが出来ない」などと言ってきた。「元の場所に戻れるかはお前次第だ」と。連れてきたのなら帰せと抗議したが、「知らん」と一蹴。まったくわけのわからない男である。帰さないのは向こうであると言うのに、「ここにずっと居られるのは迷惑」「早く出ていけ」とまで言われた。腹立たしい。

嫌な記憶を思い出しているのか、どんどん苦い顔になっていくリトにアンヘルは苦笑いを浮かべた。

460リト ◆wxoyo3TVQU:2016/03/31(木) 12:37:16

「それは難しいです。」

彼はきっとルイの発言に腹を立てているのだろう。無理もない。ルイ、我が父は兎に角言葉が少ない。理由を述べることを面倒がって結論のみを口にするため、言葉を向けられる側は意味を理解出来ず機嫌を損ねてしまうのだ。

「僕とあなたは、今こうして話も出来るし、触れようと思えば互いに触れることも出来ます。でも、今あなたは少し特殊な存在なんです。僕達とはまた違う存在。」

今のリトは簡単に言ってしまえば霊体である。身体は今でも元の世界にある。しかし魂と身体を長い間切り離してしまえば死んでしまうので、意識だけをこちらに連れ出した。地上のリトから言えば夢を見ている状態に近いだろう。
あの時、闇に飲まれたリトを救うには一時的にでも身体と魂を切り離す必要があった。闇の力の核となる魂を喰われれば、あの世界は終焉を迎えることになったかもしれない。魔玉をその身に封じたセナの魂を引き継いだリトには、それ程の災厄をもたらしかねない威力があるのだ。よって、何としても魂だけは護る必要があった。

しかし、その魂は生きる気を失っていた。身体と引き離し、魂をルイの魔力を込めた宝玉に封じ護っても、魂が消滅を望んでしまってはいずれ跡形もなく消え去ってしまう。どちらにせよ災厄は防げただろうが、リトは危険な存在であるのと同時に、世の闇を制するには必要存在であり、失うには惜しい価値があった。故に少々強引ではあるが、身体と魂を引き離した上で、魂から意識をも切り離すことにした。今のリトの意思はその魂にとって毒でしかない。

「あなたは帰りたいと言っていますが、自覚していないだけで、戻ることを拒否しているのはあなた自身なんです。あなたが心から生を望めば、きっと帰ることが出来ます。」

リトを護るには致し方のない処置だった。ルイは口が裂けても言わないだろうが。

「ここにはいくら居ても構いません。自分の心に問いかけて見てください。ここは、もとより自分を省みる為に存在する場所です。」

「もっとも、省みるのは自分じゃなくてパパなんだけどね。」

アンヘルの説明に突如割って入る声。いつ来たのか、背後から少女が仁王立ちで見下ろしていた。
この少女にも一度会ったことがある。たしか、アンヘルの姉で、名前はアネスだったか。

「自分じゃないって?」

「ここは魂を選別する場所。あんたも聞いたことあるでしょ?閻魔とか、天国とか地獄とか。あれ、迷信じゃないから。生涯を終えた魂がどちらに行くか、生前の記録を辿って決めるのがパパの仕事。」

「は?」

「あ、あんたは死んでないから安心していいよ。ここにいるのは死者だけじゃないから。私もアンも、末っ子のジタンもちゃんと生きてるし。」

なんだかとんでもない情報を押し付けられた気がする。
トンデモ状況が多すぎて感覚が麻痺してるとは言え、流石に衝撃的すぎるのではないか。自分は本来死んだ後にしか会うことのない存在を目の当たりにしているのか。

「姉様、何か用事?」

「あー、そうそう。ティータイムだって、ママが呼んでる。」

言ってアネスはある方向を指さす。
視線を向ければ、庭の奥の方で先に席についているのであろう女性が笑顔で手を振っている。

「あんたも参加ね。パパを呼んでも来なかったから、このままだとママが落ち込んじゃう。」

色々な情報が一気に押し寄せてきて処理が追いつかないところを勝手に欠員の穴埋めにされ、リトはわけもわからないまま促されるままに従うこととなった。

461ヤツキ ◆.q9WieYUok:2016/04/02(土) 01:22:48
【イスラ》板組も消滅したぽいしなぁ……

色々やりたいネタは沢山だけど、話まとめないと収拾着かなくなりそうだww三十路までにはきっと完結……してるハズ!

リマ》感動の涙は完結まで取っておこうぜ!
ww

同期の女子と合コンしたり、同期の友人の友人とかでこう捜して行けば出会いは沢山あるはず〜!

と言う訳でマジラブはイスラとデュエットするのでwwww←】

462アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/04/02(土) 19:14:29
【過去】

不意に名前を呼ばれ、アブセルは飛び上がった。ヨノが居るとは思ってもみなかったのだ。
なぜ自分だと分かったんだ、とでも言いたげな面食らった表情で入室するや、直ぐに床に這うリトの姿が目についた。

「リト…、昨日は大丈夫だった?」

リトはやはり応えない。代わりにヨノが頷いてくれた。
彼はどうやらスケッチブックに向かって絵を描いているようだ。
傷だらけだったらどうしようと思ったが、見る限りは元気そうで、アブセルはほっと胸を撫で下ろす。

次いで、渡したいものがあったと後ろ手に隠したクローバーの存在を思い出す。
しかし、いざ渡すとなると何やら恥ずかしくて中々切り出せない。
アブセルは暫しモジモジと逡巡した後、ついに意を決した。

「あの…これ…、昨日のおわび…」

照れくさそうに言って、緑の束をリトの目の前に差し出す。

「これからはリトが外に出られるようになるまで、俺が代わりに外のものを持ってきてリトに見せてやるから」

463アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/04/02(土) 19:16:05
【ポセイドン邸】

小さくて柔らかい女の子の手。リマの手はまさにそんな感じ。
彼女の手に触れるのはなにも今回が初めてではないが、不意に手を握られた時、アブセルは一瞬ドキリとした。

おかしい。普段なら何とも思わないのに。
何だか顔も火照ってきたような気がするし、風邪でもひいたのかもしれない。
そんな疑念を自分に抱いていると、丁度セナとそしてナディアが戻ってきた。

「うん、まあね。そっちはどうだった?
…てかセィちゃんさんのあの顔の傷ってもしかして奥さまが…?」

アブセルは二人の分の紅茶を淹れながら、ナディアに小声で問いかける。
しかし彼女の表情を見れば、返答など聞かずとも分かった。

どうしたものかと考えている内、ふと前々から思っていた疑問が口をついて出た。

「奥様のアレって本当に精神的な病気なのかな…。
リトに対する態度のこともあって、俺あの人のこと好きになれないけど、ほんとは凄い優しい人だってことは分かるよ」

あの人は身分に拘ったりしない。使用人に対しても変わらない態度で接してくれる。

だからこそリトに対してのみ、別人のような振る舞いを取る彼女に違和感を覚えていた。
まさかそれが実の祖父の洗脳によるものなど、アブセルは夢にも思っていない。
今回の騒ぎの一件で、ミレリアの件もヨハンの陰謀の一つではないかと疑い始めていた程だ。


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