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Key Of The Twilight

1イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/01(火) 19:01:24
移動してきました。

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24アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/09(水) 20:19:55

恐らく少年自身も、己の言葉の意味するものを完全に理解してはいないだろう。ただ彼は大人達が陰で話していることを、自慢気にアブセルに聞かせてやっているのだ。
勿論、アブセルが傷つくのを知っていて、だ。

果たしてその読みは正しかった。
しかしアブセルはそれ以上に、何だか母が馬鹿にされた様な気がして、腹が立った。

地面についた両手を握り締め、少年を睨み付ける。
少年は不意打ちを食らった様に僅かに怯んだ。

「な…何だよ…。やるのか?」

「………」

"力を使ってはいけない"いつも口を酸っぱくさせて言う、母の言葉を思い出す。
アブセルは髪を掴む少年の腕を乱暴に払いのけると、踵を返し、彼等とは別の方へ駆け出した。

「逃げたぞー」、と嘲笑う声が後ろから聞こえたが、構わずに走り続けた。

25アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/09(水) 20:21:41
―――…

忘れ去られた様な廃れた公園の一角、アブセルは走る足を止めた。
肩を上下させ、息を吐く。

…いつものことだ。

同じ集合住宅に住む住人達は、アブセル達のことをよく思っていない。
闇の力を持っていることと、それに母の仕事の内容も相まってか、穢れた血やら厄介者やらと侮蔑され毛嫌いされていた。
根も歯もない噂を立てられ、顔を合わせれば冷ややかな視線を浴びせられた。

そして大人達のそんな態度が知らず知らずの内に子供達にも伝わり、今ではアブセルはいじめっ子達の標的とされてしまっていた。


アブセルは敷石の上に腰を落とし、膝を抱える。大きな溜め息が口から洩れた。

と…その時、ふいに直ぐ脇で、小さな、何かの鳴き声の様なものが聞こることに気づく。
首を動かしてみれば、一匹の子犬の姿が目に映った。

「…お前もひとりぼっちなのか?」

そう尋ねると、子犬はよたよたと近寄り、指を舐めてくる。
アブセルはふっと笑った。

「僕もなんだ」

頭を撫でてやると、子犬は嬉しそうに尻尾を振る。
しかし、その姿はどこか元気がない様にも見えた。震えているし、鳴き声も弱々しい。

「お腹…空いてるの?」

何か持ってはいなかっただろうか。ポケットを探ってみるが…おおよそ食べられそうなものは入っていない。
アブセルは肩を落とした。

「ごめん、今は何も持ってない。明日、なにか食べられるもの持ってくるから…明日もここにいろよ?」

もうじき日が沈む。
アブセルは立ち上がると、若干後ろ髪を引かれる思いで子犬を残し、公園を後にした。

26アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/09(水) 20:25:37

「ただいま…」

家に帰ると母が迎えてくれた。
アブセルの姿を見て目を丸くする。

「どうしたの?血が出てるじゃない」

「…転んだ」

「あらあら、可哀想に…」

膝に引き寄せ、母が濡れたタオルを頭に当ててくれる。冷たくて気持ちがいい。
アブセルは母の背中に腕を回し、彼女の着ている薄手のセーターに顔を埋めた。

「…ねえ、母さん。今日ね、公園で…」

しかし、続く言葉は来客を報せるチャイムの音に阻まれた。
母は、「ごめんね、お客様だわ」と言ってアブセルを膝から下ろし、立ち上がった。

「アブセル、いつもの場所に隠れてなさい。いい?絶対音立てちゃ駄目よ」

「…うん」

小さく頷き、アブセルは言われるがまま"いつもの場所"…クローゼットの中に身を潜めた。

母の仕事中はいつもここで"かくれんぼ"をする。
母が見つけてくれるまでは、ここで息を潜め絶対に出てはいけない。…そう言う決まりだ。

玄関まで行った母が、客を部屋に招き入れたのが分かった。
衣擦れの音と、密やかな笑い声が耳に届く。

母は好きだが、母の仕事は嫌いだった。

外で何が起こっているかアブセルには分からなかったが、当時の彼にはそれはただの恐怖でしかなかった。
クローゼットの外から聞こえる甘い声も、物音も、事が済んで客を帰した後、決まって自分を優しく抱き締めてくれる母のその湿った身体も、臭いも、全部嫌いだった。

アブセルは暗闇の中、両手で耳を塞ぎ、きつく目を閉じた。
ただ、ただ、目の前の扉が開くのをひたすら待った。

27アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/09(水) 20:54:06

翌朝、パンとミルクを持って公園に行ってみると、子犬はまだそこにいた。
尻尾を振って出迎えてくれる。

アブセルは嬉しくなって子犬の元に駆け寄った。

「へへ…いっぱい食べて早く元気になれよ?」

凄い勢いでミルクの入った容器に口を押し付ける子犬の背中を撫でながら、ふと思いつく。

「そうだ、名前…」

子犬に名前をつけないと。
何がいいだろう?どうせなら強そうなのがいい。
アブセルは暫し考え、そして閃いた。

「…マオ…ってどうかな?僕の好きなヒーローの名前」

その問いかけに応えるように、子犬は白く濡れた口元を持ち上げ「わん!」と鳴く。
…決定だ。

「じゃあ、マオ。今日から僕とお前は友達だ。仲良くしよう」

子犬の小さな身体を抱き上げ、胸に寄せる。柔らかな毛並みと生き物の温もりが心地よかった。

それから毎日アブセルは子犬の元に通った。一方で子犬の方もすっかり元気になった様で、今ではアブセルが二歩、三歩と歩く度、その足の間を健気について回る。
その様がたまらなくいじらしかった。


…しかし、ある日のことだ。

「…マオ…?」

いつもの場所に子犬の姿はなかった。

「マオ…!マオ!」

どこに行ってしまったのだろう。
自分と共にいる時にだって、公園の外に出たことは一度もなかったのに。

アブセルはつんのめる様にして、公園を飛び出した。
脇目も降らず街中を駆け回り、必死に子犬の姿を探した。

28アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/09(水) 20:55:39


その姿を橋の上で見つけた時には、既に足はくたくたになっていた。
子犬は数人の少年達の手にあった。
例のいじめっ子連中だ。

「やめろ!僕の友達に触るな!」

アブセルは声を上げ、彼等に駆け寄る。
その声に気づき、少年達はアブセルを見た。

「なんだ、この犬お前のなの?」

「犬が友達だってよ」

いじめっ子達は互いの顔を見合せ、一斉に吹き出し、笑う。
不意に少年の一人がアブセルを羽交い締めにした。

「小汚ないもの同士お似合いだな」

何をするのかと暴れるアブセルの目の前で、リーダー格の少年が子犬を蹴りとばす。
子犬は悲痛な鳴き声を上げて地面を転がった。

「マオ!」

いつもは生意気なアブセルの狼狽する様が面白かったのだろう。
少年は味を占めたように舌舐めずりをする。
動けないでいる子犬の首根を掴んだかと思うと、その腕を橋の欄干の向こう側に突き出した。

「ここから落としたらどうなるかな?」

下は河原。
明らかにただで済むような高さではない。

「嫌だっ、やめろっ!」

アブセルは叫んだ。
どの少年の瞳も、好奇心と言う名の残忍な色に染まっていた。

にやりと口元を歪め、ふいに少年が手を離す。
アブセルの目が、子犬の心細そうな瞳に釘付けになる。
その小さな身体が、下へ下へと落下していく様が妙にゆっくりになって見えた。

「うわああぁぁああッ!!」

瞬間、目の前が真っ暗になった。

29アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/09(水) 20:57:46

…その後のことはよく覚えていない。

ただ気がつけば地面にいじめっ子達が倒れていて。
通り掛かった人が慌てた様子で病院に連絡をして。
駆けつけた母が少年達の親に何度も頭を下げていて。

そして、数日後には母と共に部屋を追い出されることになった。
マオを探したが見つからなかった。


「…ごめんなさい」

揺れる列車の中、隣に座る母に向けアブセルは小さな声で謝った。
よく分からないが、少年達が怪我を負ったのも、部屋を追い出されたのもきっと自分のせいなんだ。

母は少し間を置いて、言う。

「…少し離れた所に大きなお屋敷があってね、そこにお祖父ちゃんが住み込みで働いてるの。…話したらアブセルのこと引き取っても良いって…」

「…母さんは…?」

母は何も答えなかった。
だが、何となく察しはついた。

「向こうでは友達、できると良いわね」

「………」

今度はアブセルが黙る番だ。

出来る訳がない。
だって自分はバケモノだから。

窓の向こう側、流れる景色を虚ろな目で眺めながら、アブセルは思った。

この世界に、自分と同じバケモノが他にも居れば良いのに…。
そうしたら、きっと……。


【思うがまま過去話を考えてたら、もの凄く長くなってしまった…;本編にはあまり関係ないですw】

30ゼツ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/11(金) 01:37:19
【バルクウェイ】

何故、女の身体で生まれたのだろう。

殺し屋業を営む一族の社会は、完全に男のものだった。

女の扱いと言えば酷いもので、彼女等は僕も同じ、男達の性欲処理と子供を産む為の道具でしかなかった。

そんな中、ゼツは家長の世継ぎとして生まれた。
女である事実を隠し、男の格好をさせられ、男として育てられた。
別に抵抗はなかった。
しかし幾ら男の様に振る舞おうと、自分が女だという事実は変わらない。

そして、いつしか自分の身体に嫌悪感を抱く様になった頃、第二子に弟が生まれた。
…同時に世継ぎとしての立場を失った。

父は言った。
"女に戻れ"、と。

今更だった。

ずっと母や周りの女達を見てきたから知っている。
あんなのは嫌だ。あんな惨めな生き方をする位なら…

31ゼツ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/11(金) 01:38:43

―――…

『げほっ…ッ』

ごぼり、と生暖かいものが口から溢れた。

胸に違和感を覚え、手を辿らせれば、そこに剣が突き刺さっていることを知る。

『ドウせ…なら、頭ヲ狙ってくれよ…。イタイじゃ…ないカ…』

痛みで僅かながらに正気を取り戻したのか。ゼツはそう切れ切れと口から声を絞り出す。
頭の中にはうっすらと、昔の記憶が浮かび上がっていた。

…そうだ。あんな生き方をするくらいなら、死んだ方がましだと思ったんだ。


しかしそれに反し、闇に捕らわれた身体はしぶとく、中々ゼツを死なせてはくれない。

ゼツは更に刃に体重を乗せる。
ズブズブと身体が沈み、足元に血溜まりが広がった。

『…世話を焼かセテ…すまナかった…』

32ヴァイト ◆.q9WieYUok:2014/07/11(金) 16:37:49
【バルクウェイ】

「へへ……散々痛い思い、させられたからな……仕返し、だ。」

吐き出された血塊を浴び、血に染まる頬を歪めながら、ヴァイトは声を絞り出した。

「宇治金時、奢れよ……それで、チャラに、して……やる。」

既に右手は剣の柄から離れ、力無く地に落ちている。

生暖かい筈の血溜まりの温度すら感じない程に、身体の感覚も薄い。

しかし、まだ死ぬ訳にはいかない。

体重を掛け、刃に身を沈めるゼツの身体と、自身の身体が重なり合った瞬間。

ヴァイトは持てる力を振り絞り、起き上がった。

(貧乏クジ引くのもこれで最後だ、お前は死なせねぇ……)

起き上がり、片膝立ちの状態でヴァイトはまず、自身の胸に突き刺さっている十字手裏剣を抜き捨てる。

傷口から一気に血が溢れ出すが構わない。

続いて、仰向けに横たわらせたゼツに突き刺さる刃も抜き捨て、上着のポケットを漁る。

あった、奇跡的に割れていなかったアンプルが一本。

アンプルの蓋を指で弾き、中身を煽る。

しかし、飲み込む事は無い。

アンプルの中身、細胞活性剤はあまりにも強力だ。

常人が服用したとしても、その効果に身体が、細胞が耐えきれずに逆に崩壊してしまう。

言わばヴァイト専用の劇薬なのだ。

(なら、薄めて使えば良いんだろっ)

薬剤を嚥下する事無いまま、ヴァイトは横たわるゼツに覆い被さった。

そして、そのまま唇を重ね、口移しで薬剤をゼツの咥内へと流し込んだ。

33 ◆Q4V5yCHNJ.:2014/07/12(土) 21:24:57
【過去】

ダサくて、小汚くて、礼儀知らずな芋男。私にとってのあの人はそんな印象。
ただ自分を馬鹿にした態度が許せなくて、何としても謝らせたくて、結果的に私はあの人に付きまとった。

あの人の部屋にはいつも鍵がかかっていなかった。だから私は何の断りもなく部屋に入る。突然押しかけてもあの人は気に留めないし、ご丁寧に例の極薄なお茶も入れてくれた。

「どう?今度こそ完璧でしょう?」

言って私は芋男の前でクルリと回って見せた。
生地が高価だと指摘され、下町の洋服店で質素な服を手に入れた。
香りが気になると言われたから香水もつけていないし、化粧もやめた。
芋男は町娘になりきる事が出来たなら町を案内してくれると約束してくれた。私は目を輝かせて芋男を見た。

「んー…」

しかし、これでもかってくらいに地味に仕立ててきたのに、芋男は渋い顔をする。
そして、自分ではどうしようもないことをいってきたのだ。

「髪が…」

私はハッとして自身の髪に触れる。
私の髪は色素の薄い金色で、とても目立つのだ。何か問題があるのかも。
しかし落胆の色を見せる私に、芋男はケラケラ笑ってきた。

「冗談だよ。君みたいな見事な髪色をした子はそうそう町にはいないし、目立つのは事実だけど、町にはお貴族様のお手付きで生まれた子だっているし、問題ない。」

最後の方は意味が理解が出来なかったが、取り敢えずからかわれた事だけは分かった。
私は顔を真っ赤にする。
しかし芋男はそんな様子に更に笑いを深めていく。

「知らない!」

いつ会ってもからかって、本当に嫌な奴。
完全に気を悪くした私は「帰る!」と叫んで部屋を出ようとする。

「ごめんって」

しかし芋男はそんな私の手を掴んで引き止める。

「綺麗だから触れてみたかったんだ。君の髪、とても素敵だよ。美しい君によく似合う。」

耳に心地よい声で、私を見つめる優しい紫の瞳。
その笑顔に引き込まれそうになり、私は慌てて顔を逸らした。

「貴方、嫌い。いつも私に意地悪をするんですもの。」

「僕は君のこと好きだけど。」

「ほら、そうやって…」

からかわれて、大嫌いなのに、離れられない。
どんなに意地悪をされても結局は許してしまうのだ。彼には、そんな不思議な魅力があった。

34リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/07/12(土) 21:25:53
【バルクウェイ】

(えっ…)

あまりに突然の事態にリマは思考が追いつかなかった。
食い込んだ肩からは痛みがあるはずなのに、それよりもリマはアブセルの行動が理解出来ず頭が真っ白になっていた。

何の抵抗と為されぬまま、リマはアブセルの餌食になろうとしていた。
そこへ、アブセルへと斬撃が襲いかかる。
何が起きたのか定かではないが、アブセルの呻き声と共に身体が軽くなった。と、同時に彼女は何者かの腕の中へ。

(誰…?)

此処には自分と、アブセルしかいないはず。
リト…のはずもない。
ならこの場に誰がいるのか、混乱するリマに一つの答えが浮かんだ。

「セィちゃん…?」

闇に紛れ見落としていたが、確かに、セナの氣を感じる。
自身を抱き寄せる感覚もセナのものだ。
途端リマは涙が溢れてきた。

「セィちゃん…セィちゃん…っ」

本当は怖かった。目も見えないし、何も感じない、怖くて仕方ない、でも、リトを助けたくて。
唯一の支えだったアブセルが豹変してしまい、絶望した。
我慢していた感情がせりあがり、リマは嗚咽を漏らしながらセナに抱きついた。

35リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/07/12(土) 21:31:51
ヤツキ>>おぉ、同じになった!トリと言うのか!サンクス!!

イスラ>>
身だしなみより楽を選ぶ方なようです(笑)

お転婆なら精神病みそうにないけどなー、おかしいなー←
てかアブセルの過去話に涙(ホロリ
チビリト出てこないかなぁと期待してるのに出る気配がない(笑)
リトに会って友達になるトコはないんですか??(ワクワク

36サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/14(月) 13:49:14
【バルクウェイ】

異形と戦うメイヤの姿を、サンディは屋上から見つめていた。
その眼下では、レックスやシンライジの者達が魔物と交戦している様が窺える。

…みんな戦っているのに、こんな時に自分は何をやっているのだろうか。
いつも護って貰ってばかり、人に頼りっぱなしの自分が嫌になる。
本当は自分だって…。

「行きたいんだろう?」

不意に後ろから声がかかった。
直後、肩を軽く叩かれる。煙草の臭いが鼻についた。

「行ってきなよ、こいつ(アリア)はおじさんが見とくから」

ディンゴだった。

ディンゴはいつもと同じへらりとした笑みを見せると、サンディの横に屈み込み、横たわるアリアの腹部に手を置いた。
するとどう言う訳か、損傷した臓器ごと、彼女の傷がみるみると回復していく。アリアの顔に生気が戻った。

「あなた…異能者だったの…?」

その一部始終を目の当たりにしたサンディは、驚きを隠せない様子で目を丸くする。
ディンゴは首を横に降った。

「いんや、これはおじさんの嫁さんだった人の力だ。ついでに、嬢ちゃんの傷もさっき治しておいた」

確かに、脇腹の痛みは引いていた。恐らく肩を叩いた際に、傷を治癒してくれていたのだろう。

「礼はいいよ。おじさんはおじさんのやりたいことをやったまでで…嬢ちゃんも嬢ちゃんでしたいことをすればいいんだから」

最早この状況では敵味方の肩書きは意味をなさないだろう。
にかりと笑うディンゴに向け、サンディは力強く頷くと、その場から駆け出し、屋上から宙に飛び出した。

37サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/14(月) 14:01:23

さくり、と巨大な刃が少年の延髄に突き刺さった。
動きを止めた少年が大きな悲鳴を上げた次の瞬間、その頭部は勢いよく弾け飛ぶ。
それと同時に、その首元からは毒素を含んだ大量の闇が吹き出し、上方にいるメイヤを呑み込まんと襲い掛かる。

「メイヤ!」

けれどもそれは、一枚の障壁の存在によって阻まれた。
メイヤの眼前に飛び出したサンディが、二人を覆うようにして炎の膜を張っていたのだ。
そして、その背中には虹色に輝く半透明の薄い羽根が広がっていた。

サンディはメイヤと目が合えば、若干気まずそうにしながらも、照れ臭そうに舌を出した。

「えっとぉ〜……来ちゃった…」

38イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/14(月) 14:05:19
【ヤツキ》と言うわけで、ディンゴの力は傷の肩代わりです。
今回でどのみちディンゴは死ぬ予定ですが、ゼツとアリアは生存させようと思います(と言っても今後、登場することはないでしょうが)
ヴァイトもディンゴの力で救おうと思えば救えますが…どうしましょう?


リマ》芋のくせに何と言うプレイボーイwwてか…あれ?もしかして芋男のお子さんってあの人達じゃ…?
本当お転婆wまぁ感情豊な分、傷つきやすい…のかも?

あれで彼がリトに執着する理由を何となく分かって頂ければ^^
それなんですけどねー、人様のキャラを含めた過去話を勝手に考えるのは、やっぱ厚かましいかなーって思って…】

39メイヤ ◆.q9WieYUok:2014/07/14(月) 18:50:39
【バルクウェイ】

切り落とした首から噴き出す毒霧に、メイヤは咄嗟に腕で顔を隠すも、毒霧が掛かる事は無かった。


何故なら、眼前に飛び出して来た少女……サンディが障壁を張って防いだからだ。

「サンディ……何故?」

薄く輝く虹の羽を羽ばたかせ、照れた様に笑うサンディへメイヤは疑問の声を掛ける。

しかし、驚いている暇は無い。

チラリと視線を変えれば、煙草を吹かすディンゴの姿が見えた。

(あのオッサン、助けてくれたのか……)

障壁越しにディンゴへ会釈を投げ、メイヤは翼を大きく広げる。

漆黒の大翼と、虹色の羽。

決して交わる事は無いが、並び立つ事はあっても良いだろう。

「……来たなら帰れとは言わない。

その代わり、アレを倒すのを手伝ってもらうぞ?」

照れ笑いのサンディへ苦笑いを返し、メイヤは続ける。

「アレは俺と同じく闇を力の源としてる。

街が闇に染まる今、生半可な攻撃じゃあ倒し切れないだろう。

倒すなら、最大火力で押し切るしかない。

再生する暇を与えない程の連続攻撃、〆は任せた!」

そして、メイヤは再び翼で大気を叩き急降下。

それと同時に闇で鎧を形成し装着。

再度被った犬面の下、漆黒の瞳に燐光を宿し、首を無くした巨人へとすれ違い様に刃を一閃。

更に、闇色の巨刃を切り替えし二閃三閃し迅雷の如きスピードで敵を斬り刻んで行く。

そして更に、絶える事無い連撃を浴びせながら周囲の闇を操作し、生み出された漆黒に輝く螺旋の星々が、刀槍の暴雨を吐き出した。

イスラ》了解した!んだらばヴァイトもお願いして良いすかね?

ゼツに薬を譲って死ぬ寸前のヴァイトの前に……てな感じで。

40リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/07/14(月) 23:55:08
【バルクウェイ】

意味の分からない鯨に、見るからにヤバそうな闇の穴。
この中にリトが落ちたと言うし、助けにいこうとすればセナに邪魔者扱いされるし、セナは消えるし、その場にいた怪しげな黒マントの男には説得されるし、その隣のチビは何か偉そうに物言ってるし。

「あぁーッもう面倒くさい!!」

色々な事が一片に起きて収集がつかなくなったナディアはいきなり発狂したかのごとく叫んだ。彼女の額には青筋が浮かんでいる。

「もう知らん!!」

言ってナディアは手を宙に仰ぐ。
瞬間、ポツ、ポツと空から雫が落ちてきて、見る間に大降りの雨となった。
その範囲はバルクウェイ一帯を包むもの。

「要は闇が原因なんだろ?!まとめて成敗してくれる!!」

ナディアが降らせたものはポセイドンの力。闇を削ぎ落とし、その威力を奪うもの。
同じ神の力を持つ者達にとっては力を増幅する恵みの雨だが、闇は敵味方関係なく貶める。ナディアにはどうでも良かった。

「物騒なものを…」

ノワールは呟き、闇で具現化したパラソルを掲げる。力をパラソル一点に集中させたため、その部分のみナディアを力を相殺する結界となる。ただし、力は消耗されるためいつまで続くかは分からない。

「そなた、力尽きて朽ちるぞ」

彼女の雨は闇の勢力を奪うのにうってつけだろう。しかし、何分広範囲に力を及ぼすため、彼女自身無事では済まないだろう。

しかしナディアは聞く耳持たず、雨を更に強力なものへと変えた。

41リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/07/15(火) 00:02:26
↑ナディアの間違いだった…

イスラ>>
プレイボーイな芋(笑)でも彼は天然です(笑)
ん?何か言いました(・▽・)?
感情豊かな分傷つきやすい…のか?←
そしてリトママの性格が子供達誰一人として似ていない件←

アブセル、友達が欲しかっただけなのに何故リトを友達以上に思っちゃってるんだ←
えー!全然構わないので是非出してください!!今か今かと待っていたのに(笑)

42アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/15(火) 11:20:34
【バルクウェイ】

『やだやだやだやだ、行かないでリト…!僕を一人にしないで!』

真っ暗な意識下の中で、誰かが泣いていた。
どうやらそれは幼い少年の様だ。

『リトがいないと駄目なんだ…、一人ぼっちはもう嫌だ…!』

そうだ…。あれは自分だ。
そしてこの情けないのが自分の本音だと言うことも、アブセルは知っている。

『リトは僕のものだ。僕だけのものだ!誰にも渡さない、どこにも行かせない!ずっとずっと一緒に―…』

――…


誰だ、邪魔をするのは…。

痛みに顔を歪めながらも、動かした視線の先。獣の如き眼光を煌めかせ、アブセルは新たに現れた人影を見た。

それが誰かを認識するよりも早く、身体は動いていた。アブセルは地を蹴り、その人影に飛び掛かる。

…が、

「……!」

直後、彼は目を見開いた。

闇と相反するポセイドンの血を口にし、邪気が薄れたせいかもしれない。
とにかく、振るった鉤爪は相手の鼻先で制止し、アブセルは前傾姿勢のまま、その動きを止めた。

「…リ…ト……」

よく目立つ金の髪に、人形の様に整った顔立ち。長い睫毛の下に見えるのは、冷たい印象が艶を思わせる目許。
アブセルはその顔をよく知っている。

43アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/15(火) 11:22:25

自分の中に、どうしようもなく幼稚で、自分勝手で、愚かな感情があることは知っていた。

リトを誰かに取られるのが嫌だった。
旅をして、リトの周りに人が増える度に不安になった。いつか見捨てられてしまうんじゃないかと怖かった。

そして、そんな下らない独占欲の元、リトを屋敷に戻した結果が今のこの状況だ。

アブセルは視線を動かした。
彼に泣きすがり、その腕に抱かれるリマの姿を見た。

『…どうしてリトはその人に優しくするの?どうしてリトは皆に優しいの?
どうしてリトは大切なこと、僕に何一つ話してくれないの?』

頭の中で声が聞こえる。

『どうして?どうして?どうして?どうして?』

「う…」

不意に、アブセルは震える手で腰に下げる剣の柄を掴んだ。
その刃を一気に引き抜き、勢いよく両手で振り下ろす。

「うるっせえぇッ!黙ってろ、俺!!」

そして、その刃を己の太股に突き刺した。

それはジーナに貰った剣だった。以前は抜けなかった筈の鞘が、なぜ今抜けたのかは分からないが、とにかく今のアブセルにはそれを考える余裕はなかった。

足を傷つけて置けば、例え暴走しても上手く動けないだろうと、抑止の為に剣を突き刺したのだったが、アブセルは気力で自我を取り戻した様だった。

「…ごめん……リト…、ごめん、ポセイドンの姉ちゃん…」

口から荒い息を吐きながら、アブセルは力が抜けた様にその場にへたり込む。
何故だか涙が止まらなかった。

44サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/15(火) 11:24:04
【バルクウェイ】

「任せて!」

メイヤの声に頷き、サンディは額に円を…日輪の印を描き、力を解放する。
光輝く無数の勾玉が彼女の周囲に浮かび上がり、その一つ一つが熱を帯び始める。

その一方で、メイヤの連撃によって、今や異形の少年はボロ布の如くズタズタに引き裂かれていた。
更にそこへ、不意にポツリと空から落ちてきた雫が異形に当たる。

恐らく、ナディアの力なのだろう。
次第に雨足を強くするそれを一身に浴び、異形は苦しそうに身を捩らせた。

今が絶好のチャンスだ。

「二人とも…ありがとう」

サンディは目を瞑り、腕を広げる。
途端、勾玉が一層強く輝きを放った。その中心にいるサンディは、まるで小さな太陽の如く、異形に光を降り注ぐ。

不意に、異形の身体に火が点った。かと思えば、それはあっと言う間に全身に広がり、そして激しく燃え上がる。

炎は闇を浄化し、かつて少年だったその闇は、ものの数秒で塵も残らず焼き祓われた。

45イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/15(火) 11:28:49
【ヤツキ》了解です^^
イスラ&ワヅキの方ももう1レス一人芝居するので、イオリンもうちょっと待ってて下さい;

リマ》天然とかますます質が悪い(笑)
いや芋男がジルに似てるな〜→もしかして親父!?(;゜Д゜)…と思っただけです←
傷つきやすいんです!←
それは…気にしたら負けです(笑)

本当、なんでだろう?(笑)
マジで!?それは申し訳ない…。でもやっぱり難しいんですよ〜;例えばアブセルがリトに「友達になってくれ!」と言ったとして…で、それに対しリトがどんな反応を返すか…とか、自分じゃ全然分からない訳でして…】

46ゼツ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/15(火) 22:08:45
【バルクウェイ】

「もう今はそんな格好をする必要もないんでしょう?
たまの休日くらい女の子らしい服でも着たらいいのに」

いつだったか、アリアは言った。
それは確かアリアの家のテラスで、二人
で紅茶を飲んでいた時だったと思う。

彼女は上品な白のワンピースを着て、ゆったりと席に腰を落としていた。
多分自分はいつもの、真っ黒な忍装束を着ていたのだろう。

「これが落ち着くんだ。それに…」

ゼツは言う。
そして彼女から視線を逸らした。

「似合わないし…」

僅かに頬を染めるゼツの姿を見て、アリアはおかしそうに静かに笑った。

――…

なぜ今、その時のことを思い出したのかは分からない。

だが、自分も死にかけているくせに、必死になって他人を助けようとしているヴァイトを見ていたら、何となく思い出した。
そして何となくおかしくなった。

音を立てて薬剤が喉を通り過ぎる。
意識が朦朧とするのを頭のどこかで感じながら、ゼツは唇を動かした。

「君は…」

面白いな。

最後の方は音にならなかった。
ゼツは微かに口許を持ち上げ、そして静かに目を閉じた。
その心臓は確かに鼓動を続けていた。

47ディンゴ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/15(火) 22:10:43

「…口付けで女の子を助けるだなんて、メルヘンか少女漫画の世界だけかと思ってたよ」

そこへ、不意に男の声が届いた。

煙草を口に、大理石の床を踏み締めながら歩くディンゴの姿がそこにあった。
その腕には、どうやら気を失っているであろうアリアの姿もある。

「悪い、悪い。もうちょっと早く来られれば良かったんだがー…思いの外アリアが重くてな」

そう冗談めかして笑うディンゴの足元には、血が滴っていた。黒い上着の下に見える白いシャツには血も滲んでいる。

しかしディンゴはそんなこと全く気にしていない様子で、アリアを床の上に下ろし、ヴァイトの横に屈み込む。そして彼の腹に手を翳した。

「死ぬなよ、いいな?これは隊長命令だからな」

淡い光を灯しながら、ヴァイトの傷がみるみると回復していった。

48リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/07/16(水) 23:48:17
【バルクウェイ】

それが誰か、などどうでも良かった。
リマの氣を辿り行き着いた先には彼女に牙を剥く男の姿。
彼女を傷つける者は誰であろうと赦さない。排除する、それだけだ。

セナの翳した手から稲妻が迸る。
その光によって照らされた彼の表情に、リマは顔色を変えた。

「駄目!!」

リマは咄嗟に彼の腕を掴む。
彼女が目にしたもの、それはかつて黒十字であった彼が見せていた冷めきった、無慈悲な瞳。
彼はアブセルを殺める気だった。有無を言わさず、その息の根を止めようとしていたのだ。

リマはアブセルのもとに駆け寄る。

「アブくん!大丈夫!?」

彼は刀を自分へと刺した。酷い怪我だ。
リマは血の臭いと感覚を頼りに患部を探り当て、治癒を施す。
その姿から、彼女の頭には既に先ほどアブセルに襲われた事実など残っていない事が伺える。
彼女にとって目の前にあるものが重要なのだ。

「自分を傷付けるなんて…何てことするのよ……」

49リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/07/17(木) 00:03:15
イスラ>>
質が悪いとか(笑)でも確かに自覚がないと危険ですね←
おぉ!!はい、ジルは父親似です(´∀`人)

なるのかぁ(笑)
気にしたら負け、分かっているけど気になるところ←

やはり生まれ持った変態の血が…←
あぁ成る程…残念です(泣)
リトは多分、友達申請されても無言でしたでしょうね(笑)
完全無視で黙々とナディアから貰った積み木あたりを弄ってて、アブセルが撃沈した所で不意に積み木の一角を渡したと思います。一緒にやれば?的な意味で←
んで次会いに行った時はナディアから貰ったジグソーパズルあたりを組み立ててて、これまた無言でアブセルにピースを渡すのでしょう。手伝え的な意味で←←
口はきかないけど一応無下にはしない、と言った感じかと←
リトは暫くナディアに対してもそんな感じだったので其処はご愛嬌(笑)

50メイヤ ◆.q9WieYUok:2014/07/17(木) 21:15:01
【バルクウェイ】

その姿、正に天を照らす大神。

日輪を額に宿し、勾玉を纏い闇を焼き祓うサンディを、メイヤは犬面越しに見つめていた。

しかし、それも僅かの事。

雨から身を守る様に建物の影へと移動し、メイヤは面を外す。

降り出した雨は闇と戦う者には援護となったが、闇を使役し力とするメイヤにとっては毒であった。

貪欲に蠢く、自身に宿る闇を抑え、静かに息を吐く。

この雨は恐らく、ナディアが降らせているのだろう。

(街全域に雨を降らすなんて……長くは保たないぞ……)

強気な彼女の事だ、力ずくでも止めさせないと限界が来るまで力を使い続けるだろう。

どこに居るかはわからないが、制止の声を掛けるべきだ。

闇を宿す者にとっては毒となるポセイドンの聖なる雨も、闇を顕現させなければそれ程のダメージにはならない。

雨粒が身を刺す僅かな痛みを感じながら、メイヤはサンディへ声を掛けた。

「この雨で魔物と闇の動きは大分制限されている筈だ。

後は兄の雇った傭兵と俺が何とかする、だからサンディはナディア達と合流してくれ。」


【イスラ》了解した!】

51アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/18(金) 01:12:15
【バルクウェイ】

アブセルは未だセナとリトを同一視していた。
よって彼が向ける殺意の理由もどこか勘違いしたまま、迸る稲妻に照らされたその表情を見た。

(も…ものすごく怒ってらっしゃる…)

無理もない。
自分はリトにそれだけのことをした。
寧ろリトになら殺されても良いかなぁ…等と地味に死を覚悟した時、不意にリマの声が耳に届いた。

「え…?あ…」

彼女は自分を庇ってくれたばかりか、傷の治癒までしてくれた様で。
そこでアブセルはハッとする。

「て言うか、姉ちゃんこそ怪我が…、俺、思いっきり噛んじゃって…」

リマの肩には血が滲んでいた。衣服も牙によって穴が空いてしまったし。
アブセルは申し訳なさそうにしながら言った。

「ごめん…、痛かった…よな…?」

52ジュノス ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/18(金) 01:13:52
【バルクウェイ】

ポセイドンの力を持つこの女性、言動やスタイルはリマとは似ても似つかないが、我が身を顧みず無茶をするところは彼女にそっくりだ。

しかし、その清めの力は流石と云わざるを得ない。

降り頻る雨が身を濡らし、それに伴い刺すような痛みと力が抜けていくのを感じるが、ジュノスは構わず、不意にナディアの腕を掴んだ。

「お止め下さい」

そして言う。

「街の闇を除去するだけなら、もう充分な筈です。これ以上は貴女の身が持ちません」

街に滞留する闇はその殆どが雨で洗い流され、深淵から放出される闇も今は弱まりつつあった。
あとは魔物の残党を退治すればいい。

「貴女は一先ず休まれた方がいい。
あとは私達に任せて下さい」

こちらが話しをしている間、アグルやフィアは、ずっと周辺の魔物の相手をしてくれているらしかった。
セナ達のことも心配だが、自分は自分で今でき得ることしなければ。

53イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/18(金) 01:17:31
【リマ》無意識で何人もの女性を落としてそう(笑)
やっぱり親子だったのか!リト家とジル家にはそう言う繋がりがあった訳ですね

それぞれ個性豊かで良いことじゃないですかw

血のせいか!納得←
むしろリマさん直々に過去話に付き合ってくれないかなぁ…←
なるほど、飴と鞭の使い方をよく心得ていらっしゃるwwそれに対しアブセルは…
鞭)しょぼーん(´;ω;`)リトぉ…

飴)パアァ…(*;∀;)リト…!
…な感じだったことでしょう(笑)】

54イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/18(金) 20:58:49
【バルクウェイ】

戦況は思わしくなかった。

数々の神器の猛襲。
バロンの肉体ということで下手に攻撃を与えることも出来ず、何より異能を無効化するあの剣の存在が一番厄介だった。

「……ッ!」

打開策を見出だせぬまま体力だけが疲弊し、イスラはワヅキが放った衝撃波に圧され、建物の壁に叩き付けられてしまう。

そこへ、間髪入れずに飛んできた小刀が右前腕、左掌を貫き。更にもう一本、腹部を貫通し、壁に突き刺さった。

「がは…ッ」

イスラは思わず握っていた刀を落としてしまう。
何故だか力も使えない。
どうやら腹に突き刺さる剣は、あの異能を無効化するものらしい。

「虫の標本の様で素敵になったじゃないか」

壁に磔られた様な彼を見て、ワヅキは愉快そうに笑う。
そして、身動きがとれないであろう相手に向け、掌を翳した。

「なかなか頑張った様が…これで終わりだ」

幾数もの漆黒の槍がワヅキの周囲に浮かび上がる。

「止めろ、ランダっ!」

それはバロンの叫声を引き金に、イスラに向けて一斉に殺到して行った。

【ヤツキ》やっと一人芝居終わった…;お待たせしてすみませんでした。イオリん後戦闘にお付き合い下さいm(__)m】

55ヴァイト ◆.q9WieYUok:2014/07/19(土) 13:52:38
【バルクウェイ】

口移しした薬剤が確かに嚥下された事を感じ、ヴァイトは安堵した。

それと同時に体力の限界が訪れ、ヴァイトは力無くゼツの隣へと倒れ込む。

隣の彼女が何かを呟いたが、それすらも聞き取れ無い。

確かにわかるのは、ゼツの命は救われたと言う事だけであり、ヴァイトにとってはそれだけで良かった。

(あぁ……疲れた、な……)

そして、薄れゆく意識を手放し、多分きっと起きる事の無い眠りに身を委ねようとしたその時。

不意に聞こえた声に意識が反応し、痛みが薄れるのに反比例し意識が明確になって行く。

「なん、だ……?」

しかし、それが何故だか分からないが、ディンゴが側に居るのは不思議と分かった。

「オッサン、なんで……?」

だが、そこまでだ。

明確となった意識もすぐに沈んで行き、ヴァイトは意識を手放した。

56リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/07/20(日) 20:41:53
【バルクウェイ】

「へ?…うん、大丈夫だよ」

謝罪の言葉を述べるアブセルにリマは何のことかと瞬きするも、すぐに笑顔を浮かべる。
アブセルに噛まれたことによる傷口は意外に深かったものの、リマはまったく気にしていなかったらしい。

「私はポセイドンだから傷の治りが早いの」

彼女の言葉通り、傷口は既に塞がりかけていた。
それより、リマはムスッとした顔をアブセルに向ける。
本当に、表情がコロコロと変わる。

「もう、こんな事はしないで。アブくんが傷ついても、誰も喜ばないよ。リッちゃんだって悲しむ。」

そこまで言ったところでリマは後からやってきたセナによって腕を掴まれる。
そのまま無言で連れて行こうとする彼にリマは必死に抵抗する。

「待って!セィちゃん嫌だ!!」

「お前は…!!」

突然の強い声。普段声を荒げることのないセナの思いもよらぬ態度に、リマは反射的に身を竦める。
そして、彼の言動に戸惑いを見せたのはリマだけでなかった。
セナ自身もまた、リマに強くあたってしまった事に驚き、自分の感情が理解出来ず困惑の色を見せる。彼女から手を離し、一瞬の間が空いた。

「ごめんなさい…」

分かっている。自分が無鉄砲な行動をとったからセナは怒っているのだ。リマはポツリと謝った。
しかし彼は誤解している。それだけは分かって欲しい。

「セィちゃん、この子、アブくんって言うの。ジュノスさんの子孫だよ。私達の敵じゃない。」

アブセルはリマを襲った。しかし、それは闇に犯されたせいで、決して彼の意思ではないのだ。

「…知っている」

彼はジュノスと同じ氣を感じる。アブセルがジュノスの関係者であることは始めから分かっていた。
そうではないのだ。彼女を失うかもしれない。そう捉えた途端、意思よりも先に体が動いてしまっていた。
誰であろうと関係なかった。彼女は分かっていない。

セナは言葉を噤んだ。
彼の何か含んだ言葉が気になったが、リマはそれ以上何も言わずアブセルに向き直る。

「アブくん、立てる?」

そして彼に手を貸して起き上がらせた。

「アブくん、セィちゃんだよ。リッちゃんのご先祖さん。」

57リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/07/20(日) 20:58:09
イスラ>>
話かなり逸れますが、今やってる黒執事アニメのEDのシエルがセクシー過ぎて何とも形容しがたい感情に襲われているのですがどうしたらいいですか←
何の覚悟もないまま見たせいでいきなり視界に飛び込んできた無造作に脱ぎ捨てられている服がインパクトありすぎて心臓バックバクですよ←←

無意識に女落としてくとか何ちゅう危険人物(笑)落とされた女の子可哀想←
ふふふ、実はそうだったんですよ〜
リトママとジル父にするか、リト父とジル母にするか凄く悩んだんですが、前者になりました。両家がそんな関係性ってのはもともと考えていたのですが。運命とか縁とか大好きなんで←
ジルと父の性格は意識的に似せたのですが、気付いていただけて嬉しいです(´∀`)
そして父はジルと違って特に女好きとかではないです(笑)

個性豊か過ぎて(笑)
あ、でもヨノはママの性格辛うじてかすってるかも?←

やはりあの血か…もはや何かのウイルスなんじゃ……←
はいっ!!過去話付き合いますっっ(^0^ゞ つか付き合わせてください!

アブセル面白い(笑)
その様子が容易に思い浮かぶw

58イオリ ◆.q9WieYUok:2014/07/20(日) 21:00:52
【バルクウェイ】

「終わるのはテメェだよ、この老害野郎。」

黒槍の群れがイスラを貫くべく殺到したその時。

不意に響く声と共に紅炎が舞い上がり、迫り来る全ての槍を焼き払った。

「最強と謳われた先々代を倒したって割には弱いんじゃねェのか?アンタ。」

そして、その声の主……イオリは熱風に黒髪を靡かせながら、背後のイスラへ声を掛ける。

「ま、一族を捨てて逃げ出した情弱なんざ弱いに決まってる。」

その声色には明らかな侮蔑が混ざっているものの、それ以上続ける事は無かった。

だが、壁に磔となっているイスラを助ける事も無い。

「世界政府の総提督であり、四神を導く筈の者。

初見だろうが俺が誰だかわかるよな?」

磔のイスラを放置したまま、イオリは前方のワヅキへ中指を立てた。

「シンライジ家当主であり四霊の一角である俺が、今からテメェを成敗してやるよ。

そんでもって、集めに集めた神器とその身体、全部貰い受ける。

拒否権はねェし覚悟も必要ねェ。」

そして、居合いの型を構え、

「遠慮せずさっさと逝けや!!」

前方へと倒れ込むモーションからの踏み込みで急加速。

たったの一歩で距離的を詰め、イオリは神速の斬り上げから続く袈裟懸け斬りの二連撃を繰り出す。

更に、燃ゆる刀身が描く超高熱の軌跡は炎を生み出し、焼き尽くさんとばかりにワヅキへと襲いかかった。

59サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/22(火) 18:36:35
【バルクウェイ】

どうやら異形の闇は倒すことが出来た様だ。

そのことに胸を撫で下ろすサンディであったが、メイヤに、ナディア達と合流しろ。と言われれば、途端なにか言いたそうな視線を彼に向けた。

"あたしも…"と言いたかったが、その言葉は喉奧で止まり。
サンディは若干立ち去り難い思いを残しながらも、こくりと首だけ動かし、羽根をはためかせて宙に飛び立った。

そして―…

「姉御ー!!」

大きな穴ぼこの側、彼女の姿を見つけたサンディは、急いで空から地に降り立った。

「姉御!大丈夫だった!?」

何やら知らない人達の姿もある様だが、彼女はいの一番にナディアに駆け寄り、そして声をかけた。

60アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/22(火) 18:38:33
【バルクウェイ】

リマは此方を心配してくれているらしい。
普段、その様な言葉をかけて貰い慣れていないアブセルは、呆気にとられて何も言えなかった。

そしてその後、まさかそれ以上の思ってもみない衝撃の事実を、リマの口から耳にすることになろうとは。

「え……」

アブセルは彼女の言葉を頭の中で反芻する。

セィちゃん…?
リトのご先祖?

…と、言うことは…?

(…リトじゃない!?)

それを理解した途端、アブセルは表情を一変させた。

紛らわしい…、て言うか似すぎだろ!
なんか勝手に勘違いして、一人で騒いでた自分が物凄く恥ずかしい…!
むしろ何で言われるまで気づかなかった自分!馬鹿なのか!?

混乱と面映ゆい感情に苛まれるアブセルであったが、そこでふと我に返る。

そうだ、そんなことよりも…

「じゃあ…じゃあリトは!?
まだ此所に居るってことだよな!?どうしよう!俺のせいで無駄な時間使っちまった…!」

61ワヅキ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/22(火) 18:39:49
【バルクウェイ】

迫る刃と超高熱の炎の軌跡。
しかし、それらが身に降りかかる前に、ワヅキの姿はそこから忽然と消えていた。

「君は…」

そして彼が次に姿を移したのは、イオリの後方、ガス灯の上。
ワヅキはそこからイオリを見下ろし、その顔に笑みを携えた。

「嬉しいね、来てくれたのか」

直接相見えたことはないが、イオリは元ビジネス相手であり、今は黄龍から離反しているであろう四霊の一角。

丁度いい。四神と共に彼の異能も回収して置きたかったところだ。

ワヅキはイスラの腹部に突き刺さる剣を自身の手元に転移させ、その切っ先を天に突き付ける。
すると、名のある数々の神器が顕現し、宙に浮かび上がった。

「わざわざ出向く手間が省けたよ」

槍であったり剣であったり、様々な種類の武具が、ワヅキの号令の元、イオリへと一斉に襲い掛かって行った。


――…

その一方、バロンはイスラの腕から小刀を引っこ抜こうと、奮闘していた。

「イスラ、大丈夫か?」

やっとこさイスラの解放に成功する。イスラはそのまま壁に背を預けたまま、ずるずると地に腰を落とした。

「ああ…だけど、流石に戦えそうにない」

炎で傷口を焼いて出血は抑えたが、動き回るのは難がある。

それはバロンも分かっている様で、苦々しい表情を浮かべれば、つと視線を動かしイオリを見た。
決して味方と言う訳ではないが、まさか彼にこの戦いの命運を託すことになろうとは。

62イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/22(火) 18:44:27
【リマ》取り合えず落ち着こう←
自分も見てますよアニメ黒執事^^確かにEDなんかエロいww
サーカス編は漫画で斜め読みしたんですが、あの眼鏡メイドの見せ場が今から楽しみで楽しみでw

女の敵ですね(笑)
瞳の色とか性格とか、あとジル兄妹の生い立ちと芋男の家の事故の関連性でなんとな〜く気づきました。
運命いいですね^^自分も気づいた時、ハッ(゜Д゜!)と電流が走りました(笑)上手いこと考えるなあ…と。
でも以前、芋男の子供は三人いるって言ってましたっけ?
てかジルって女好きだったんだ?(笑)

確かにあの中では一番雰囲気が似てる…かも?

どうもジュノスがウイルスを撒き散らしてる様で(笑)
良いんですか!?ありがとうございます!
一応ぼんやりと過去話の流れ考えてるっちゃ考えてるんですが…てかむしろリマさんがシナリオ?進行させても良いんですよ!自分ついて行きますので!(`・∀・)

単純だけが取り柄ですからw】

63 ◆Q4V5yCHNJ.:2014/07/22(火) 19:35:37
【過去】

「お嬢様!」

屋敷の親しい使用人達に協力してもらい、こっそり部屋を抜け出して、こっそり部屋に戻ってくる。
そんな日々を繰り返していたある日、一番親しい侍女が入室の許可を取るのも忘れて部屋にやってくる。

「どうかしたの?」

「いらっしゃいましたよ、あの方が!」

侍女はとても嬉しそうに声を弾ませる。
何故なら、彼女の持ってきた情報が間違いなく、私を喜ばせることを知っているから。
私はすかさず鏡の前に立つ。

「ねぇ、おかしくない?何処も乱れてないかしら?」

「えぇ、お嬢様。いつもと変わらず、とてもお綺麗ですよ」

彼女の言葉を受け、私は早速部屋を飛び出した。
目指すは応接間へ。

「あ、いけない…」

そして、目的地が近付いたところで私は立ち止まる。
駆け足を止め、淑女らしい振る舞いで歩く。
そして応接間のドアをノックする。

「お父様?いらっしゃる??」

「ミレリアか、入りなさい」

入室の許可を得て私は内心嬉しくて飛び跳ねていた。
しかし高鳴る胸を隠すようにコホンと咳払いし、一呼吸置いてドアを開ける。

彼は、いた。
私の入室の気配に顔をあげ、対する私は彼を見ていたせいで目が会ってしまった。心臓が跳ね上がり、私は咄嗟に顔を逸らす。顔が赤くなっていないか心配だ。
しかしそれは私の取り越し苦労。彼はすぐに私から目を放し意識を父の元へ返してしまった。

「……」

私は少し残念な気持ちになりながら父親の隣に腰掛ける。
二人は仕事の話をしているようで、内容はさっぱり分からない。
しかし何もしないで座っているのも気まずいので、分からないながらも資料を取り上げてさも理解しているように振る舞ってみる。その間、こっそりと彼を盗み見るのも忘れない。

彼---その客人は私の家とは昔からの付き合いで…というよりは、遠い親戚にあたる家柄の子息。身分はそれ程高くはないけれど、父が絶大な信頼を寄せて仕事のパートナーにしている。
無口で無愛想、冷たく、近づき難い印象。これが周りの評価。
しかし私は違った。確かに印象は皆と変わらないかもしれないけど、他がそれを批判的に見ているのとは逆で、私の方は何と無く魅力を感じていた。癖のない黒髪に、切れ長の瞳は翡翠色。凛々しくて、素敵な人。
彼を見ると胸が高鳴って、とても幸せな気分になるのだ。

「ヨハン様!」

父親との会合が終わり屋敷を出ようとする彼へ私は声をかけた。……心の中で。

「次はいついらっしゃるの?」
「お時間がよかったら、私とお話いただけるかしら?」

言いたいことは沢山あるのに、喉のあたりまできているのに、言葉が詰まって言い出せない。

「またのお越しを」

結局私は見送りに出た母親と共に極一般的な挨拶を述べることしか出来なかった。
対する彼は軽く頭を下げるだけで屋敷を後にしてしまう。

いつもそう。
彼の前に出ると緊張してしまい、親しくなることすら出来ぬまま、日々が虚しく過ぎて行くだけだった。

64ナディア ◆Q4V5yCHNJ.:2014/07/22(火) 22:34:54
【バルクウェイ】

「うっさいオッサン!」

ジュノスからの制止の声、腕を掴む彼の手を振りほどきながらナディアは叫ぶ。

「勢いが収まったなら好都合だ。このまま魔物共々洗い流してやるっ」

そして未だ術を解こうとはせず。半ば自棄になっていた。

しかしそれも長くは続かない。
姿を見せたサンディに驚いた様子で声をかけた。

「サンディ、下はもう大丈夫なの?」

65リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/07/22(火) 23:06:28
イスラ>>
【これが落ち着いていられましょうかッ(*`□)。°。
軌道を描くように脱ぎ捨てられた服!コートまでは良かった!!だがしかし!!シャツだと!?ズボンとな!?これはもしや…もしや!!シエルは素っ○じゃないかーっ(///>□<)
やばいよシエル!ヤバイヤバイヤバイヤバ(ry
なんと言うことだ!シエルったらまったくけしからんもっとやれ!!
セバスが羨ましすぎる!セバスよそこ変われ私がやる!いえ、やらせてくださいお願いします!!シエルをタオルで拭き拭きしたい!私もギュッとしたい!!シエルまじヤバイ!!
ってな感じで鼻息荒くTVに張り付いて見てしまいましたよ← なんと言うことでしょう。まったく眼福にございます!!
思わずテスト前で黒執事のアニメ見れてない友達に「EDがヤバイ、シエルがマジでヤバイ」と発言してしまいました←←

メイリンは銃持ってる時が一番生き生きしてますしね(´∀`人)カッコいいし。

まったく、何人の女性を泣かせてきたのか←
勘がいいですね!狙い通りで嬉しいです(笑)わぁい♪自分はちょっとクドいかなと思ってました(笑)
あれ?3人って言いましたっけ?芋男の子供はもともと2人ですよ??一人増やします??←死者増やすだけですが←
口が滑った(笑)でも女好きってのは性的な意味でなく、可愛いし柔らかいから物理的に好きって感じなんですけどね(笑)暇潰しにもなるらしいです←

良かった、似てるのがいて(笑)

ジュノスウイルス怖ぇ…←
わぁい、宜しくお願いします!
でも自分はシナリオとか無理なんでイスラさんがお願いします(笑)

アブセルくんナイス(笑)

66イオリ ◆.q9WieYUok:2014/07/22(火) 23:49:08
【バルクウェイ】

虚しくも空を斬る刃と、獲物を見失いただ燃えるだけの炎。

(空間転移か?面倒くせェ……)

背後から聞こえる声に振り向くと同時に、イオリは刃を横薙に。

「わざわざ出向いてやったんだ、サービスくらいしてもらわねェとなァ?」

刃の軌跡に沿って巻き起こる猛火と爆炎が、襲い来る武具の群れを吹き飛ばした。

更に、返す刃で一閃二閃。

刀身に宿る炎から生まれた二羽の火炎鳥が、ワヅキへ挟撃を仕掛ける。

それに紛れ、イオリは疾走し、跳躍。

自らも背から炎の翼を生やし、上空からの斬撃を繰り出した。

67リマ、セナ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/07/23(水) 20:29:27
【バルクウェイ】

驚きを見せるアブセルとは対称的に、セナは全くと言って良いほど反応を見せない。

”リトはどこだ”

そんな彼の疑問もセナにとっては意味を成さず、何の言葉も発さぬままリマを連れてその場を去ろうとする。

「待ってセィちゃん!」

しかし、それをまたしてもリマが止めた。

「リッちゃんを探さなきゃ!まだ…」

しかし、彼女は言葉を言い終えぬまま、突然糸が切れたかのようにその場に崩れ落ちた。
言い知れぬ目眩と吐き気。全身が重く、力が入らない。

ここは闇の深淵。闇と対極に生きるリマにとって、この中は毒でしかない。
先程から不調は感じていたものの、まだ平気だと思っていた。アブセルへと治癒を施した事により辛うじて保たれていた均衡が崩れ、一気に疲労が押し寄せたようだ。

そんな彼女をセナは黙って抱き上げる。
リマは察した。

「セィちゃん!嫌だってば!!」

「お前はこの場にいるべきじゃない」

「リマがやらなきゃ!!」

リマには分かっていた。
セナにリトを助ける気などない。
彼にとっての目的は、ただ自分を連れ帰ること。

「セィちゃん、お願いだから…」

悔しい。こんな重要な時に力尽きてしまった、こんな自分が恨めしい。
リマは涙を浮かべながらセナの胸を叩く。

「……」

こんなに小さくて、臆病で、弱いくせに。
彼女は一度言い出したら決して譲らない。こう言う面ではとても頑固だ。
このまま無理にでも連れて帰ることは容易い。しかし、そうすればきっと彼女は自身を責めるだろう。
セナは観念し、口を開いた。
出来れば彼女に知られずに済ませたかったけど…
ずっと言えずにいた事実を彼女に告げる。

「探しても無駄だ。もういない。」

68サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/23(水) 23:59:45
【バルクウェイ】

「オッ…」

かけた言葉は彼女に一蹴されてしまった。
ジュノスは振り払われた腕を、所在なさ気に凍りつかせている。

その一方で、サンディはナディアの問いに笑顔を浮かべて答えた。

「うん、もう心配はいらないよ。姉御のお蔭」

だから、と不意にサンディは両手を伸ばす。
無茶はしないで欲しい、とでも言うかの様に、ナディアの頬を両の掌でそっと包みこんだ。

「ありがとう」

69ワヅキ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/24(木) 00:36:29
【バルクウェイ】

二羽の火炎鳥を水の力を宿した二つの戦斧で掻き消し、頭上からの斬撃には退魔の楯で防ぎきる。
転送術と神器の数々を巧みに繰り、ワヅキはイオリのに撃に応酬していた。

そして。

「ご所望ならば手厚く歓迎しよう」

そう微笑と共に口を開いた直後、イオリの横合いから巨大な龍が押しかかった。

そこへ更にワヅキは技を畳み掛ける。
胡瓶で水を、金剛杵で雷を、錫杖で風を、宝鐸で炎を。
それぞれが渦を巻いて絡まり合い、一つの半物質となったそれは、迷うことなく標的に向かって放たれた。

70アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/24(木) 00:37:55
【バルクウェイ】

初めこそリマを気遣わしそうに見ていたアブセルだったが、不意に発せられたセナの声が耳朶を突いた。

「……どう言うことだ」

ゆっくりと顔を上げ、セナを見る。
一瞬にして頭の中が真っ白になった様に思えた。
耳鳴りが脳内をガンガンと掻き鳴らす。多分、呼吸をすることさえ忘れていた。

「…リトは…、死んだのか…?」

何故そんなことが解るのか、適当なことを言うなと、怒鳴り、セナに詰め寄りたい衝動を必死に抑え、アブセルは彼に問うた。

71イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/24(木) 00:43:00
【リマ》ちょと待ってww吹いたww
既に素っ〇なのに、これ以上なにをどうもっとやれと言うんだwwいえ…まぁリマさんが楽しそうで何よりです(笑)
てか友達ww可哀想に(笑)
格好良かったです!もうメイリンが主役で良いんじゃないかな←

死後は明らかに地獄行きですね←
いやいや、くどくなんかないですよ〜^^今後の展開を楽しみにしてます!
死者増やさなくて良いですwそっか、自分の勘違か(笑)
あ、そう言うことなら納得。ペット感覚的な?てか暇潰しってなんぞ(笑)

ジュノスウイルスは後に空気感染して世界中に広まる予定です←
あら、そうですか?じゃあ皆に内緒でこっそりリトを屋敷の外に連れ出すのって有りですか?(「リト怒られろ、ふひひww」って感じのアブセルの嫌がらせ的な)←】

72ディンゴ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/24(木) 14:19:41
【バルクウェイ】

愚かだったと思う。
本来ならば病で死んでいたのは、彼女ではなく自分の方だったのに。

病を肩代わりしてくれた彼女は、
「貴方はお巡りさんで、街の人を護るのが仕事でしょう?だからそんな貴方を護るのが私の仕事なの」と言って、よく笑っていた。

言いたいことは解ったが、理解は出来なかった。だけど、もの凄く申し訳ない気持ちになったのは確かだった。

政府から通達があったのは、その直ぐ後のことだった。
そこには異能者である彼女を容認し、充実した医療環境を提供する代わりに、暗部に異動して欲しいと記されてあった。
直ぐに脅しだと解った。だが、ディンゴは二つ返事で承諾した。

だけど、そうじゃなかった筈だ。
彼女はそんなつもりで病を肩代わりしてくれた訳ではなかったろうに。

転属したことも、その条件も、彼女には言えなかった。見舞いに行く時間も次第に減っていった。
彼女が命を投げうってまで与えてくれた時間を、自分はふいにしてしまったのだ。

―――…

この力は謂わば、彼女が自分に与えてくれた、彼女の生命力そのもので。故にその恩恵に与り、ディンゴは異様に傷の治りが早かったり、身体が丈夫だったりしたのである。
そして、アリアやヴァイトにそれを注ぎ込むことで、彼等の傷を癒すことが出来たのだ。

ディンゴはヴァイトの無事を見届ければ、うっすらと笑い、壁に寄りかかってその場に腰を落とした。

最後の煙草に火を点け、自嘲気味に笑う。

「あいつは…怒っているだろうな…」

まあいい、あの世で彼女に怒られるのも、それはそれで悪くない。
……いや、違うか。多くの人の命を奪った自分が向かう先は、きっと彼女とは別の場所だ。

己の命の灯火が消えかけていくのを、どこか他人事の様に感じながら、ディンゴは流れていく煙草の煙をくすんだ瞳で見つめていた。

そこで、不意にディンゴはハッと目を見張り、息を飲む。
かと思えば直ぐにふっと力を抜き、ゆっくりと宙に左手を伸ばした。
薬指のリングがキラリと輝いた。

「なんだ…迎えに来てくれたのか…」

そこには誰もいなかった。けれども彼の目には何かが見えていたのだろう。
その瞳と口許に小さな笑みを携えたまま、ディンゴは脱力した様に伸ばした腕を静かに地に落とした。

73イオリ ◆.q9WieYUok:2014/07/24(木) 15:30:16
【バルクウェイ】

神器の扱いは流石と言うべきか。

此方の攻撃を全て防ぎ切るワヅキに、イオリは舌を打つ。

それと同時に、横合いから飛び出して来た龍がイオリを吹き飛ばした。

「チッ!中々やるじゃねェか!」

しかし、吹き飛ばされながらも笑みを浮かべるイオリは空中で体勢を整え、着地。

そこへ、半ば物質と化した莫大なエネルギーの渦流が着弾し、大爆発が起きる。

その威力は凄まじく、地面は大きく抉れ、クレーターが出来上がる程。

轟音が爆風を揺らし、土煙が周囲を包み込む。

そして。

ゆっくりと土煙が晴れ、イオリは姿を現した。

「わざわざ出向いた甲斐があったってモンだな。」

黒髪は煤で汚れ、一張羅の上着はレザーパンツと共にボロ布と化している。

しかし、その身体には傷一つ見えない。

「ヴァジュラを筆頭にした数々の神器、凄まじい。

だが。

この魔装……分子レベルで最高位の防御術式が刻まれている逸品の前には少々見劣りすんなァ?」


何故なら、イオリはとある鎧を衣服の下に着込んでいたからだ。

ソレは十字界を創世したオリジンと呼ばれる存在が纏っていた物であり、100年程前に十三人の長老であるレオからヤツキへ、そしてユーリへと継がれて行った物と同種の装備。

「アイツのは蜘蛛をモチーフにした攻撃特化型、俺の蛇がモチーフの防御特化型。

劣化コピーだらけのこの世界でも数少ない正規品だ、テメェにはやらねーぞ?」

鱗鎧とも呼べるその鎧はまるで生きて居るかの如く蠢き、黒緑の鈍い輝きを放っている。

「さて、と。

テメェの異能は俺に届かなかった。

俺の異能もテメェにゃ届かねェ。」

鎧が持つ予想以上の防御力に自分自身で驚きながら、イオリは刀の切っ先をワヅキへ向け、唐突にその姿が消失。

「だが、俺の刃はテメェに届く!」

音も無く、気配も無く。現れたのはガス灯に立つワヅキの背後、二階建の屋上。

縮地方によって距離を詰める所か背後に回ったイオリは、再び疾走し、跳躍の勢いそのままに、ワヅキの背中へ刺突を繰り出した。

「逃がしゃあしねェっ!!」

74リマ、セナ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/07/26(土) 23:13:49
【バルクウェイ】

感情を抑えるように発せられるアブセルの声。
しかしその声音からは明らかに動揺の色が伺えた。
勿論、セナの発言に驚いたのはアブセルだけではない。

「どういうこと…?話して」

そう口に出したリマの声は震えていた。
真実を知るのが怖い。しかし、聞かなければ。
感情を紛らわすようにセナの服を掴み、彼の返事を待つ。

セナは言った。

「一体に氣が分散している。
力を全て吸い取られたようだ。」

能力者にとって、その力は魂に等しい。
普通に使う分は問題ないが、一度に失えばそれは致命的になる。
状況から判断し、リトはまず生きていない、そう考えるのが妥当だろう。

「ただ…」

気になる点がある。
深淵に降りる前に感じ取った氣は3つ。
うち2つはリマとアブセルのもの。1つはリトのものと思われたが、それは既に彼を起源としたものではなかった。
しかし、彼の氣が否定されたと同時に、微かではあるが、別の”何か”を感じた。そして、それは今も消えずに残っている。

セナはこのことを伝えるべきか悩み言い淀んだが、暫しの沈黙の後、口を開いた。

「…何かある。お前達の求めているものではないが。」

75リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/07/27(日) 00:01:52
イスラ>>
【Σ(゚д゚;)イワレテミレバ
素っ○で歩き回るとか?←大問題
そうだ!けしからん行動をもっと増やせばいいんだ!!←
友人には申し訳ないが辺りに吐き出さなければ自分の頭がどうにかなってしまいそうだったので←あれは体内に溜めておいたら大変なことになる代物です←身が持ちません、呼吸困難になります←←
ダメです!あのメイリンが主役だったらサバイバルアニメになってしまう(笑)

えー!女の子が勝手に惚れちゃうだけなのに地獄行きなんて可哀想←
良かったです(><) あ、増やさなくていいんだ(笑)

そうそうペット(笑)暇を持て余してる時や人肌恋しい時はテキトーに女の子を誘って遊びます。(色んな意味で)

ジュノスウイルス怖ぇ!世界が変態だらけになる…!!(ガクブル
あ、たのしそう!是非お願いします(pq´v`*)

76ワヅキ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/28(月) 11:03:37
【バルクウェイ】

舞い上がる土煙の間から見えるは、異質な鎧を身に纏ったイオリの姿。
しかし次の瞬間、それはワヅキの視界から忽然と消えた。
危険を察知した彼は咄嗟に空間を移動するも…。

「………ッ」

遅かった様だ。
その刃からは逃れられず、白地の衣には真っ赤な血が滲んだ。

「ただの人間の分際で…」

彼の顔からはいつもの笑みは消えていた。ワヅキは憎々し気にイオリを睨み付け、そして口を開く。

「私の異能が君に届かない…か。
ならば、やり方を替えよう」

言うが早いか、不意にワヅキの姿はそこから消えた。

それと同時に周囲に広がっていた街並みも消え失せ、そこにはブヨブヨと蠢くピンク色の壁が広がるばかり。
忘れていたが此処は鯨の内部。差し詰めこの部屋は胃と言ったところか。

そう理解した直後、肉の壁が四方八方から迫ってきていることに気づく。どうやら体内に入った異物を排除しようとしているらしい。
イスラは炎で壁を焼いてみるが、それは直ぐに傷んだ箇所を修復し、再生を為した。

「不味いな、このままじゃ皆まとめてぺちゃんこだ」

77アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/28(月) 11:05:46
【バルクウェイ】

嘘だ、信じない。
真実をこの目で確かめるまでは。

セナの発言に対し、アブセルは苛立ちを露に歯噛みするが。しかし、こんな時こそ落ち着かなければと、直ぐに平静を努め彼に向けて口を開いた。

「…連れて行ってくれないか?
そこに行けばリトのこと、何か分かるかも…」

そこで不意にアブセルは言いさした。

「あっ…でも、ポセイドンの姉ちゃんは……」

一目瞭然だが、彼女は明らかに体調が悪そうだった。
強引に連れてきた身で言うのもなんだが、彼女だけは地上に戻した方が良いのではないだろうか。と、そんな意味の言葉を匂わしながら、アブセルはおずおずとリマに視線を向けた。

78アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/28(月) 11:16:04
【過去】

あの日を境に周囲の人間も、身を取り巻く環境も、全てが一変してしまった。

大き過ぎるお屋敷も、そこで生活する見知らぬ人達も、夜一人で寝るのも、孤独を感じるには充分過ぎるものだった。

不器用ながらも祖父は此方を気遣ってくれていた様だし、親切に接してくれる人も居たが、けれどもアブセルは言い様のない心細さをいつも感じていた。
それは今までに積み重なった苦い経験が、彼をなかなか他人に心を許すことが出来ない性格にしていたせいもあったと思う。

未だ屋敷での暮らしに馴染めぬまま、まだ幼いアブセルは、身の回りの極簡単な手伝いをして日々を過ごしていた。

そして、そんなある日。坊っちゃんの部屋に食事を持って行って欲しいと祖父に頼まれた。

気は乗らないが仕方がない。
食事を乗せたワゴンを押して、アブセルは目的の部屋へと足を運ぶ。
ドアノブに手をかけようとしたところで、ふと思い出したかの様に形ばかりのノックをして扉を開いた。

「…食事、持ってきた」

愛想もなければまたそれを隠そうともせず、そう素気なく言って、彼は部屋の中に足を踏み入れた。

79イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/28(月) 11:17:29
【リマ》
画面がモザイクだらけになっちゃうww
てかこれ以上けしからん行動を増やした場合のリマさんの精神が心配(笑)
呼吸困難wwそれはやばい(笑)
サバイバルアニメでもそれはそれで面白そう(笑)

彼女たちの気持ちに気づかないのも罪かな〜っと思って←
ジル…w本当に地獄に落ちるべきはジルなんじゃなかろうか←

世界中が変態だらけになったら…きっと楽しいよ←
ありがとうございます!過去話のレス置いときますね^^因みにアブセルはリトが闇の力を持ってるって事、まだ知らない設定でいきます】

80イオリ ◆.q9WieYUok:2014/07/28(月) 23:37:13
【バルクウェイ】

刃の切っ先に確かに感じた刺突の感触と、白地に映える紅。

そして、笑みが消え失せたワヅキの顔。

「ハッ!人間様を舐めてるからそんな風になるんだよ。」

それを見たイオリは邪悪な笑みを浮かべて毒を吐いた。

それと同時に、握る刀を一閃。

迫る肉壁へ炎刃による斬撃を繰り出す。

その威力は絶大……だったが、肉壁、巨鯨の胃はすぐさま再生して行く。

「チッ、面倒くせぇな……」

先程までの街中から、見渡す一面桃色の肉壁となった辺りを見渡し、イオリは邪悪な笑みのまま刀を鞘へ。

「だが、所詮はただの肉壁だろ。

ブチ破れば良いだけだ。」

代わりに抜きしは二本の神刀。

「世界創造すら成す力を秘めた刀に斬れぬモノはない。

太陽と月、重なり産まれるソレ即ち世界なり。」

重なり産まれるは一振りの神刀。

刃が纏うは世界創造すら成す程のエネルギー。

光輝く刀を手にし、イオリはソレを腰溜めに構え、踏み込むと同時に一閃。

次元すら斬り裂く刃はいとも容易く肉壁を、そして巨鯨の胴を半ばまで斬り裂いた。

「天叢雲剣、天羽々斬 ノ型。

この剣に、斬れぬモノ無し!ってな。」

81ヤツキ ◆.q9WieYUok:2014/07/28(月) 23:52:31
【歳食ったせいか最近涙腺が緩くて困る、ディンゴの最期切ねぇなー!

とと、ワヅキとの戦闘はどんな感じで〆る予定すか?     

バロンの身体はあんまり傷つけない方が良いよね?


添付は大分前に描いたイオリ。

imepic.jp/20140728/853220

82ナディア ◆Q4V5yCHNJ.:2014/07/29(火) 20:27:45
【バルクウェイ】

「そっか…」

”お陰”と言われても自分は特に何もしていない。
何かしていなければ気持ちが駄目になってしまいそうで、ただ闇雲に雨を降らしただけ。しかしその雨は少なからず役に立ったらしい。

ナディアの気持ちの変化から大降りの雨は次第に威力を弱め、消えていく。
術を解いたナディアの視線は深淵へ。

「サンディ」

そしてポツリと口を開いた。

「私の弟がこん中に落ちたらしい。
いることは分かってるのに私は中に入れない。」

リトを屋敷に置いて出て行ってしまったのがいけなかったのだろうか。私がそばにいたらこんな事にはならなかったのかも。

ナディアは乾いた笑みを浮かべる。

「何かしなきゃって思ってるんだけど、思いつかないんだ。」

それはサンディ達と行動を共にして初めて漏れた弱音だった。
本当はもっとやるべきことはあるだろうに、弟がいると言う穴の前から離れる事が出来ない。

「あんたも大変だったでしょ?なんか…助太刀とかしなくてごめん」


【そうだ!自分もディンゴの最期で胸が熱くなったんだった!!言うの忘れてた!!
もう素敵すぎてもう…!自分も感動的な文章書きたい!!

そしてなんか久しぶりにヤツキの絵見た気がする!
相変わらずメリハリ効いた力強いタッチで惚れる(。>艸<。)】

83ナディア ◆Q4V5yCHNJ.:2014/07/29(火) 23:57:02
【バルクウェイ】

「私も行く…!!」

リマは食い気味にそう、答えた。
気遣わし気なアブセルの視線と目が合い彼の意図を察したのだ。

「ねぇセィちゃん、リマは大丈夫だから!リマも連れて行って!!」

セナが見つけた”何か”はきっと、意味のないものなんかじゃない。
何故なら此処は”無”の世界だから。
異物は否応無く排除しようとする。自分でさえ、中に入って間もないに関わらず此処まで体力が削がれている。”それ”は普通であれば”存在し得ない”ものなのだ。

「……」

対するセナは黙り、考える。
リマを地上に戻したい。それが正直な気持ちだ。
しかし無理に帰したところで彼女が大人しく結果を待つという保障もなく、再び深淵へ飛び込もうものなら今度こそ無事では済まされなくなる。

「…時間は取らない」

ならば、自分の手元に置いている方が賢明だ。
ただし、現在のリマの状態では長いは出来ない。

セナは一言そう口に出せば、そのまま前方へと歩き出した。


------

右も左も、上も下も全て深い闇。
その中をセナは黙って進む。
これは先程自分たちがいた地点より奥へ進んでいるのか、はたまた前に戻っているのか、それすらも判断出来ない。そもそもセナは目的の道を把握して進んでいるのか、それすらも不安になる。

リマはふとセナの顔を見上げるも、暗いせいで表情が伺えない。
彼の腕に抱かれ、彼は間違いなく其処にいる筈なのに姿が見えず、何だか不安だ。
そっと彼の胸に顔を埋め、彼の存在を確かめた。

あれからどれくらい経ったか分からない。やがてセナは足を止めた。

「此処だ」

見るも、今までと全く風景は変わらず。黒一色。

「この場所…?」

リマは誰に問いかける訳でもなく呟いた。
此処に何があるというのか。

セナはそれ以上何も答えない。
希望の場所には連れてきた。あとは勝手にしろとでも言うかのごとく。

「アブくんら何か見える…?」

リマの視力は闇の中で自由が効かない。
対して闇の中でもある程度の視力の維持ができているアブセルへ、不安げに尋ねた。

84ワヅキ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/30(水) 01:19:22
【バルクウェイ】

その凄まじい一撃は鯨の肉をいとも簡単に引き裂いた。

上方に裂けた割れ目から、バルクウェイの空…曇天が見える。
イスラ達は肉壁が再生を果たす前に、その割れ目から外に抜け出した。

…しかし急いで脱出する必要もなかったらしい。
見れば、鯨はその大きな口からけたたましい咆哮を上げながら尾びれを振り回し、苦しそうにのたうち回っている。

ナディアが降らした雨の効果で、深淵から供給される動力源である闇が断たれ、傷の再生に回すだけの力が残っていない為であった。
また、天叢雲剣の莫大なエネルギーは、鯨の胴を切り裂くだけに留まらず。その身体を内側から消し炭に変えていく。

鯨の巨躯は瞬く間にボロボロと崩れ、灰になって街に降り落ちた。

…そして、その一方。

「なん…だと…」

空間転移で外に逃れていたワヅキは、眼前で起こるその出来事を、愕然とした面持ちで見つめていた。

有り得ない。やっとここまで辿り着いたのに。あともう少しのところで長年の悲願を叶える事が出来たのに。

鯨はその野望の要とも言える存在だった。それを失ってしまえば、もう…。

茫然自失と言った風に脱け殻の様に放心するワヅキであったが、しかしそこへ、突如。猛烈な吐き気と目眩が襲った。
頭の中がざわざわと騒がしい。脳内を揺さぶられる様な感覚に、ワヅキは堪らず身体を折り、頭を抱えた。

「なっ…んだ…、これは…ッ」

"鯨"と云う居場所を失った異能者の魂が、身体を求め、ワヅキの中に押し寄せていた。
元々が神のものだったそれら魂は、彼の…神の身体に一番に引き寄せられる様だ。

そして一つの肉体、一つの人格に、それら多くの意識の集合体を堪え得るだけの容量はない。

「くッ…ァ…、は…入って…来るな…ッ。あっちへ行け…ッ!」

漠然とした、意識の渦に呑み込まれる。
自分と言う存在が消えてしまう。

85イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/30(水) 01:21:17
【あんな拙いものにそんな嬉しいお言葉いただけるなんて…恐縮です(´;ω;`)
自分はどこかで聞いたことがある様な文章しか書けないんですけどねww

ヤツキ》…どうやって〆ましょうかね〜←取り合えず今が反撃のチャンスですが

いや、傷つけても構いませんよ。バロンはもうずっと縫いぐるみのままでも別に構わないので(笑)
てかイオリがバロンの身体欲しがってたけど… どうなるんでしょう?

あと深淵組の方はまだ戻ってきてないけど、ワヅキ倒した後、もうシデン出しても大丈夫ですかね?

イラストup久し振りですね!もっとしても良いのに←
てか何かめっちゃ強そう、いや実際強いんですけど(笑)イオリはやっぱり格好いいですねぇ^^】

86ヤツキ ◆.q9WieYUok:2014/07/30(水) 10:54:08
【絵自体は1月辺りに描き終えてたけど、上手く加工出来ないかで半年程放置してたぽい……結局色着いてないしねww

リマ》切なくなる文章書けんから普通に羨ましいわ、リマの書く恋物語もね。

イスラ》dingoさんタダのオッサンじゃなかった!←

うーん、身体自体は紆余曲折してバロンの下へ、とか考えてたんだけど……

力や魂、神器を制御仕切れなくなって暴走→臨界点超えたら街一つ消し飛ぶぞヤベェ→そうなる前に倒す

とかどうでしょ?

シデンさんは深淵組帰還前の登場でも大丈夫、かな?】

87イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/30(水) 21:11:09
【ヤツキ》上手く加工できない→放置>あるあるww
今度は着色したバージョンのをぜひ!

そう、dingoさんはやれば出来るオッサンなんです(笑)

じゃあ今回の戦闘終わったらイオリがバロンの身体かっさらってく、って感じですかね?
なるほど、じゃあそれでいきましょう^^

何やら返答が煮え切らない様な(笑)何かお考えでもあったのですか?】

88イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/30(水) 22:13:44
【バルクウェイ】

「えっと…」

リマに尋ねられたアブセルは、周囲をキョロキョロと見渡し、目を凝らしてみる。

しかし…

「…何も見えない」

辺りに広がるのは闇一色。
人影どころか、それ以外のものも何も見当たらない。

「本当に此処なのか?」

一体セナは何を感じたと言うのだろうか。
アブセルは怪訝な顔で彼に問いかけた。


【ヤツキさんに触発されて自分も←

imepic.jp/20140730/793810
imepic.jp/20140730/793800

サンディとアブセルののプロフを改めて書いてみました。前の板のはもう見れないし…】

89リト:2014/08/01(金) 20:37:02
【過去】

部屋のノックの音と共に入るぶっきら棒な声。
人の出入りには慣れているのか、アブセルが入室しても部屋の主は見向きしない。まるで興味がない、と言うように。

「……」

部屋の主、リトは床に座り、黙々と手を動かしていた。
何をやっているのかと思えば様々な形のものを積み重ねている。積み木のようだ。

それは少し異様な光景に見えた。
リトの年齢はアブセルと同じ。とうに積み木で遊ぶような歳ではない。
歳のわりに体は小さいが、何も話さないし、知能も遅れているのだろうか。

しかし、何の反応は見せなかったものの、アブセルの存在は認識していたらしい。
積み木遊びが一区切りついたのか、不意に立ち上がったかと思えばアブセルの元に歩み寄ってくる。
そして、彼の持つプレートからスープのみ取り上げたかと思えば、ベッドに腰掛け食べ始めた。

90リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/01(金) 20:50:41
トリ付け忘れた…

ヤツキ>>
【色つけようよー、勿体無い!

私は戦闘描写とか苦手だから二人が羨ましい…】


イスラ>>
モザイクww黒執事が急に危ないアニメにwww
いやいや、シエルに精神崩壊させられるなら本望です!さぁ!!どんとこい!!!
呼吸困難だって受けて立つ!!←
楽しそうだけど自分にはシエルが必要←

あぁ、なる程(笑)
芋男は鈍いからなぁ、女性の気持ちに気づく筈もなく(笑)そのわりに失言が多いからミレリアとか怒らせちゃうし。
ですね(笑)ジルはある意味真性の悪です←

そんなww楽しくてもそんな世界嫌だwww
了解しました!

そしてメルフィのことすっかり忘れてたんですがどうしましょう?←

そしてそしてまたまたの美絵!
サンディ可愛い!!
アブセルがイケメンで笑える!!←
そのプロフィール表記いいですね!自分もやってみたいけど絵が描けない!!
てかアブセルのリト大好き感が何とも…(笑)】

91イオリ ◆.q9WieYUok:2014/08/02(土) 11:04:07
【バルクウェイ】

断末魔の咆哮を轟かせ、灰となって散って行く巨鯨。

「案外脆かったか?

いや、この剣の威力が凄まじかったって事か。」

その様子を世界政府本部の屋上から眺めながら、イオリは天叢雲剣の切っ先を前方へ向ける。

「さぁて……後はテメェだけだぜ、ワヅキさんよォ?」

刃の指し示す先、同じく屋上で呻くワヅキへ、イオリは声を掛けた。

しかし、返事が返って来る事は無さそうだ。

様子を見る限り、精神に異常を来しているらしい。

(そういや、あの鯨には莫大な数の異能が収められていたんだっけか……)

依代とも言える巨鯨を失った為に、それらはワヅキへ……あの天使の様な身体へと殺到したのだろう。

だが、如何にあの身体が特別だったとしても、巨鯨が内包していた全ての異能を収める事は出来ない筈だ。

現に、呻くワヅキは正気を失いつつある。

もし、ワヅキの自我が消失し、あの身体に宿る数百、いや数千の異能が暴走したならば……

「不味いな、あんだけの数の異能を制御出来なくなって暴発なんかしてみろ……

このバルクウェイなんて簡単に消し飛んじまうぞ……」

笑みを僅かに苦いモノへと変え、イオリは目を細める。

ワヅキの状態からして、予想する最悪の自体になる可能性は高い。

既に制御仕切れなくなっている一部の異能が身体から溢れ、大気を歪めているのが見える。

(チッ……あの身体、手に入れたかったが諦めるしかねェか。)

「おい赤毛、アンタの力が必要だ。」

ソレから視線を外す事なく、イオリは後方のイスラへと声を掛けた。

「見てわかる通り、あの野郎は自我を失って暴走しつつある。

そうなれば数千の異能が溢れ、この街は消し飛んじまう。

だから、そうなる前に野郎を倒してェ。」

そして、話ながら腰に下げた鞘を一本外し、背後へ投げた。

「だが、あれ程莫大なエネルギーを内包した身体を一瞬で消失させるには一撃じゃ足りねェ。

かと言って、俺が二発喰らわす時間的余裕も無い。

一撃でやらねェと、傷口から溢れ出ちまうからな。」

それは、過去から飛んで来たイスラが所持し、メイヤへと渡して居た神刀、月読。

「受け取れ、元はアンタが持って来たモンだ。

そして天叢雲剣を創れ。

俺が持つ現代の天叢雲剣と、アンタが持つ過去の天叢雲剣。

二本の天叢雲剣で同時に奴を斬り、一撃であの身体を消滅させる。」

そう、今この場には過去と現代、それぞれ二本づつ、計四本の神刀があるのだ。

「先々代、あのヤツキを倒したアンタなら……やれんだろ?

やるぜ、合わせろ!」

イオリが早口で説明している間にも、ワヅキの内に宿る異能と魂は溢れ出さんと蠢いている。

最早一刻の猶予も無い。

イスラの返事を待たず、イオリは天叢雲剣を腰溜に構え、大きく一歩を踏み出す。

地を砕く程の踏み込みから一気に加速、距離を詰め、抜刀。

放たれしは神速の一閃、神斬り。

その一撃は次元を斬り裂き、世界創造すら成すエネルギーを持ってして、ワヅキの左半身を消滅させる。

(右半身は、任せるぞくそったれ!)

92ヤツキ ◆.q9WieYUok:2014/08/02(土) 11:17:38
【リマ》もうあれだ、着色だけ友達とかに頼むわww

やっぱ男女の違いがそこら辺出るんかねぇ、大した恋愛経験も無いから、甘い文章全く思い浮かばねーww

イスラ》後は下書きで満足あるあるwwww

でもディンゴさんらしい最期だった……っ涙

いや、特に問題は無いす!ごっちゃなるかと思ったけど、きっと大丈夫でしょ!wwww

申し訳ない、やっぱり肉体の方を完全消滅させる方向でレスしたので、後よろしくお願いします。

ゼロの身体のスペアをいずれ出すんで、良ければそっちに乗り換えてもらっても……!

とと、イスラ画伯キター!サンディ可愛いな、そんで持ってアブセルやっぱりデカイ(笑)


さぁ次はリマ画伯の降臨待ちですな!】

93サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/03(日) 08:33:06
【バルクウェイ】

初めて聞いたナディアの弱気な声。
サンディは一瞬驚いた様な表情を見せるも、直ぐにふっと口の端を持ち上げて笑った。

「姉御…らしくないね」

そして続ける。

「あたしの知ってる姉御は、いつも大胆不敵で、周りの都合になんて縛られなくて、やりたくないことは絶対にやらない…そんな勝手気儘な人だった」

そんな自由奔放な彼女に憧れていたし、羨ましいとも思った。

「姉御が今一番したいことは何?弟君の側にいて上げることでしょ?
あたしにも大切な家族がいたから、その気持ちはよく解るよ」

彼女なりに慰めて上げようとしているのだろう、サンディは微笑み、ナディアの頭を撫でた。

「大丈夫、姉御は間違ってなんかない」

94ワヅキ ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/03(日) 08:34:42
【バルクウェイ】

ぶっつけで合わせろと言うのか、無茶を言う。

イオリから月読を受け取ったイスラは、つとバロンへと視線を向ける。
対し、バロンは無言で頷いた。

「あれは儂の肉体。…これらの責任の一端は儂にもある。
もはや身体が惜しいなどとは言わぬよ」

それを受け、イスラは覚悟を決めた風に二つの刀の鞘を抜いた。
顕現した天叢雲剣を腰溜に、イオリと全く同じ構えを取り、力強く足を踏み出す。

勢いよく空を疾る一つの斬撃がワヅキの左半身を。もう一つが彼の右半身を斬り裂き。数多の魂を内包したその身体は、時を超えて実現した、二つの剣の力を以て跡形もなく消滅した。

―――…

ただただ白く、朦朧とした空間に二人の男が向かい合って立っていた。
ワヅキ…いや、ランダは、つい今しがた夢から覚めたかの様な、奇妙な感覚と共にはたと瞬き顔を上げた。

「…バロンか?」

「…ああ」

「何故、お前がここに居る?」

「知らぬ」

相変わらず適当だな、とランダは肩を竦める。
考えられるとしたら、先程の暴走の影響で、神と云う特殊な魂同士、一時的に意識の根が共有したからかもしれない。

「なぜ邪魔をした?」

不意に、ワヅキは尋ねる。

「もう少しで四神様も、仲間達も、故郷も、全てが元通りになる筈だったのに」

バロンは少しの間を置き、ゆっくりと言葉を返した。

「…いくら姿や意思を同じ様に復元させたとて、それはもう嘗ての四神様でも仲間達でもない。見てくれが同じだけの全くの別ものじゃ。
一度失くしたものは元には戻らぬ。
お主は己にとっての都合の良い箱庭を造り上げようとしていただけじゃ」

況してや、彼は多くの人間達を巻き込んだのだ。許されることではない。

ランダは言う。

「…私を倒したところで、どうせ世界の終焉は免れないぞ」

「どうだかのう…何せこっちにはお主の崇拝する、あの四神様より力を授かりし者達がおるでの。やってみぬと解らぬぞ」

ふてぶてしく返すバロンに対し、ランダは目をすがめた。

「……前々から言おうと思っていたが…、どうも私はお前の様な男は好きにはなれない様だ」

「奇遇じゃのう…、儂もお主の様なタイプは大嫌いじゃ」

言ってバロンはニヤリと片頬を持ち上げる。
つられてランダも、くくっと小さく喉をならした。

「……時間だ」

ランダの身体が周りの白に染み込んでいく。次第に希薄になっていく彼のその姿を目に、バロンは動じることなくポツリと口を開いた。

「…さらばじゃ、友よ」

…運命を受け入れられなかった哀しき魂。

95アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/03(日) 08:37:36
【過去】

無言でスープを取り上げるリト。
それに対し、アブセルはむっと顔をしかめた。

(……無視かよ)

言ってしまえば彼はいつもこうだ。
殆ど喋らないし、笑わないし、何を感えているのかさえ全然分からない。
そんな所がアブセルがリトを気に食わないと思う、理由の一つでもあった。

無論アブセルだって、まだ幼い一子供に過ぎない。
リトのこと、気にならなかったと言えば嘘になる。
もしかしたら仲良くなれるかもしれない。と、ちらっと考えたことだってあった。
しかし彼は、それを心の奥底に仕舞いこみ、決して表に出そうとはしなかった。…否、出せなかった。

「………」

リトが食事を取っている間、手持ち無沙汰になったアブセルは、ふらふらと部屋の中を見て回った。
使用人の中には、彼の食事に手を貸してやる者もいるみたいだが、アブセルはそんなことはしない。
かわりに玩具箱の中を繁々と覗き込む。

積み木にパズルに粘土に…中には一人では出来ないようなボードゲームなんかもあるが、こいつは誰かとやったことがあるのだろうか。

アブセルの家は決して豊かな方ではなかった。こういった玩具類は買って貰った例しがなく、また自分と彼との格差の違いに悔しくなる。

…家にあったのはこれぐらいだろうか。アブセルは一つのトランプの束を手に取った。

「おい、ちょっと付き合え」

そして、リトにそのトランプを突き付け、言い放った。

「ババ抜きだ。勝った方が王様だからな。今日一日、負けた方は王様の命令に絶対に従わなくちゃいけないんだ。
……俺の言ってること分かるよな?」

なんとか彼をぎゃふんと言わしてやりたい。
その澄ました無表情を崩してやりたかった。

96イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/03(日) 08:40:19
【リマ》
いやいやいや、ちょっと待ってください!落ち着いてください!ww
流石のシエル好きですね。パない(笑)

女心が分からないくせに無意識に女を落とすとか…どういうことだ(笑)
ジルは魔性ですよね(笑)だがそこがいい!←

赤信号理論と同じです。皆で変態になれば怖くない←

そう言えば…(笑)どうしましょう?
ノワール達で連れ戻しに行きます?

ありがとうございます!笑わないであげてww
お、見たい!リマさん絵お上手じゃないですか(*´ω`)
彼の世界はリトを中心に回ってますので(笑)

ヤツキ》
ありすぎて何かもうツラい…ww

ディンゴは割りと動かしやすいキャラでしたからね〜^^

分かりました。気が早いんですが、シデンとイオリの戦闘はどんな感じで決着つけましょう?

了解です!ゼロのスペアの外見って…ジル?でもバロンの身体については一応考えがあるので大丈夫です!

ありがとうございます!そう、図体だけ無駄にデカイんです(笑)】

97イオリ ◆.q9WieYUok:2014/08/04(月) 01:12:36
【バルクウェイ】

二振りの天叢雲剣に依って放たれる、神速の一閃。

それは鏡映しかの様に、寸分違わず同じ軌道を描き、莫大な異能と魂を内包した身体を、塵一つ残さず消滅させた。

「やるじゃねェか、同じ技……神斬りを放つとはな。」

本来ならば奪い、自身の物にするはずだった身体を自らの手でふいにしてしまった。

だが、あのままワヅキの意識が途絶え、異能が臨界点を超えてしまった先を考えるとベターな選択だったのだろう。

跡形も無く消えた身体と、その身に宿った魂にイオリは少しだけ、思いを馳せた。

(どんだけ過去を再現しようと、それは紛い物だ。

終わっちまった可能性に先はないのさ……わかってる、がな。)

失った大切なモノにもう一度、その手で触れたかったワヅキ……いや、ランダ。


彼の心は痛い程わかる、いや、寧ろ自分も同じだ。

だからこそ、イオリもまた、自身が進む道の先には破滅しか無い事を知っている。

「さて、と。

この街を闇に落とそうとした元凶は消えた。

開かれたあの深淵も、吸血鬼の姫や闇の王子が何とかするだろ。」

ワヅキを撃破し、イオリは息を吐き胸をなで下ろす。

既に街に蔓延していた闇も殆どが消え、残るはあの深淵だけ。

「俺としてはさっさとおいとましてェんだが……」

バルクウェイに訪れた目的であるバロンの身体も、異能の武具も消え去った今、イオリがこの場に留まる理由は無い。

だが。

剣を収めぬまま、イオリはイスラへ……いやイスラの背後に立つ者へと声を掛けた。

「タダで帰らさせてはもらえねェか?吸血鬼の姉さんよォ?」

「……当たり前よ、十字界に混乱を齎し、同胞の命を奪ったアナタを私は許さない。」

イオリの視線の先、イスラの背後。

そこには空間跳躍によって現れた吸血鬼が一人……フィアが立っていた。

(魔物を迎撃している途中で感じた氣、間違いなかったわ……)

戦友であり好敵手であり、そして同じ十三人の長老であったレオ。

その敵を討つために、フィアはノワールやジュノスに着いて来たのだ。

魔物との戦いでそれなりに魔力を消費したが、この機会を逃す訳は無い。

成人男性としてはやや小柄なイスラの背後で、フィアは氷剣を握る。

そして、氷剣の切っ先に極冷の凍気を宿し、イオリへと飛び掛かろうとしたその時。

「仇討ちなら全部終わった後に受け
やる。

だが、今はアンタの相手をする暇は無さそうだ。」

一筋の雷光が灰色の空を裂き、イオリへと飛来した。

「出やがったな、デコメガネ!」

ソレを天叢雲剣で斬り裂き、イオリは苦々しくその名を呼ぶ。

「文句あるのかよ、シデンさんよォ!?」

98ヤツキ ◆.q9WieYUok:2014/08/04(月) 09:50:34
【イスラ》絵描きあるあるbot作るまであるwwww

キャラ的にどのポジションでもやれそうな万能感っ

どちらも痛み分けとかどうで?す

キールを間に立たして、深淵も閉じたし、今は黄龍への報告が先よ、みたいな感じの事を言わせて。

了解した!バロンの完全復活期待ー!

99シデン ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/06(水) 09:33:52
【バルクウェイ】

「貴様に俺の名を気安く呼ばれる覚えはない」

雷光が煌めき、イオリが声を上げたその直後、屋上に一人の男が現れ出でた。
いつもの眼鏡に黒スーツの装い、…シデンだ。

「文句がなければ見たくもない貴様の面を態々拝みになど来ない」

言ってシデンは指先で眼鏡を持ち上げる。
レンズ越しに睨みを利かせた酷薄な視線が、イオリを刺した。

「貴様…鳳凰ではなかったそうだな」

それは虚空城を出る前に、黄龍から耳に触れたこと。
彼は冷やかな語調で先を続ける。

「弟を使っての四神の手引き、召集命令の黙殺、数々の勝手な振舞い。
…そして今回の謀の阻害…」

不意にシデンの身体から電流が迸る。

「黄龍様への謀反と受け取って構わないんだよなあッ!?」

刹那、現れた無数の雷撃が、大気と地面を焦がしながら蛇の如く蛇行し、イオリへと襲いかかった。

100イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/06(水) 09:37:02
【バルクウェイ】

…あれは麒麟。四霊の連中まで来ていたのかと、険しい表情をするバロンの傍らで、不意にイスラはがくりと地に膝をついた。

「イスラ?…大丈夫か?」

「なんとか…」

決して浅くはない怪我での、天叢雲剣のあの一撃。
切れ切れに呼吸をするイスラの様子を見るに、彼も限界であろうことを知る。

「…すまぬ、無茶をさせた。しかし一先ずはここを離れようぞ」

どうやらシデンの目当てはイオリである様だ。今回はこの騒ぎに紛れて撤退させて貰うことにしよう。


【ヤツキ》ねww

なるほど、いいですね^^ではキールさん、その時はお願いします

復活してもあまり役には立たないでしょうが(笑)】

101イオリ ◆.q9WieYUok:2014/08/06(水) 14:51:40
【バルクウェイ】

「悪ィな、俺は元より忠誠なんか誓っちゃいないんだよ!」

酷薄な笑みと、明らかな怒りと共に放たれる雷蛇の群れ。

それをイオリは天叢雲剣の一閃で消し去り、獰猛な笑みをシデンへと向ける。

「俺を鳳凰だと認識し、呼び寄せたのはあの欠陥プログラムだぜ?

ま、お前等も俺が鳳凰であって鳳凰じゃない事に気付かなかった時点で零点だ!」

表向きは冷静沈着、内に秘める激情は自分に勝るとも劣らない。

そして、黄龍への絶対なる忠誠心から来る強さは自分を超える。

イオリはシデンに対し、そう思っている。

そのシデンが今、自分を敵として認識し、牙を向いている。

(正直、分が悪ィが……いつかは刃を交える事になる相手なら……)

戦うしかないだろう。

「そのだっせぇデコメガネ、叩き割ってやるよォ!」

二振りに分かれた神刀を鞘に収め、イオリはシデンへと突進。

抜きはなった新たな刀、 鸞が宿す蒼炎を纏い、迅速の刺突を繰り出す。

更に、纏う炎が数羽の蒼き火炎鳥を生み出し、それら全てが様々な角度がらシデンへと殺到して行った。

102シデン ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/09(土) 14:34:35
【バルクウェイ】

「初めから、貴様は気に入らなかった…」

その目つきも、飄々とした態度も振る舞いも。
いちいち神経を逆撫でられ、その度に不愉快な思いをさせられた。

尤も、シデンにとっては好感を持てる人間の方が、希有な存在であることは確かだろうが。
それでも彼は同じ四霊と云う手前、以前まではイオリに害ある手を出すような真似はしなかった。しかし…今は違う。

「これで心置きなく貴様を潰せると言うものだっ!」

瞬間、爆発的な規模の放電がシデンを中心に周囲に膨れ上がった。
飛来する火炎鳥は全て薙ぎ払われ、襲い来る刃の先と波涛はぶつかり合う。

一瞬の膠着。その僅かな隙がチャンスかとばかりに、イオリの元へ瀑布の如く雷の渦が押し寄せた。

103イオリ ◆.q9WieYUok:2014/08/09(土) 22:43:55
【バルクウェイ】

膠着は一瞬。

火炎鳥を一掃した雷の波濤から続く瀑布の如き雷渦を前に、イオリは目を見開く。

しかし、動きを止める事は決して有り得ない。

魔装を着込んでいたとしても、直撃すれば只では済まない威力を秘めたその雷光に対し、イオリは咄嗟に抜いた神刀月読に因る結晶の障壁を張った。

「コイツはッ」

だが、禍々しい程の輝きを放つ雷渦は障壁を易々と粉砕。

(不味い!!)

轟音と共に屋上に地割れの様な破壊の爪痕を刻み付ける。

それを横目に、イオリは縮地法でシデンの左手へ移動。

障壁のお陰で直撃は免れたものの、決して軽くは無いダメージを負っている。

しかし、それを感じさせない程の速度を持って、イオリは反撃に転じた。

まずは地を這う蛇の如き軌道で屋上を疾駆し、逆手に握った妖刀鸞の逆袈裟斬りを放つ。

更に、逆袈裟の軌道で振り切った刀を正手に握り握り直し、半歩前進。

捻りに因って充分なタメを作り、踏み込みからの袈裟懸けの斬撃と、左手に持つ月読に因る刺突を繰り出した。

ーーーーー

イオリは四霊の一角、鳳凰では無い。

神器となった妖刀鸞に因り、鳳凰と全く同質の力を使っているのだ。

元より、弥都の人間は多少なりとも異能の力を持っては居るが、その力には個人差がある。

勿論、イオリもその例には漏れずだ。

しかし、その力は呪符は印を媒介に術を発動させる程度で、四霊には遠く及ばない。

神刀や妖刀、魔装を纏いやっと、四霊と肩を並べる事が出来るのだ。

……異能力に関しては。

そう、それはあくまで異能に関しての事。

異能の力のみで戦うならば、神刀や魔装か必要となってくる。

しかし、イオリには古来より続く暗殺技術、技を超えた業がある。

研鑽を積み、鍛え上げられた身体は人間の範疇を超えた身体能力を宿し。

長きに渡り研ぎ澄まされ続けてきた業は、並みの異能者ならばいとも簡単に屠れるだろう。

ーーーーー

異能を持たずとも、イオリは強い。

シデンの襲来によって戦うタイミングを逃したフィアは、激戦の余波が撤退するイスラへ届かぬ様、氷で障壁を張りながらイオリとシデンの戦いを見詰めていた。

十字界で、シャムと自分を圧倒したシデンの強さは十二分以上に知っている。

助太刀が無ければ、自分は今この場に立てなかっただろう。

そして、そんな相手と互角の戦いを繰り広げるイオリ。

(だけど……)

両者の実力は拮抗している様に見えるが、あくまでも人間であるイオリの方が僅かに不利だろう。

イオリが人間である限り、四霊であるシデンとは決定的な差が開いたままなのだ。

104セナ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/11(月) 15:08:09
【バルクウェイ】

連れて行けと言うからそうしたにも関わらず、終いには疑いの目を向ける始末。
なら勝手にしろと言っても良いくらいだが、セナはアブセルの発言に腹を立てることはしなかった。

そして、腕に抱くリマを下ろし、前へと歩み出る。

辺りは一見して何もなく、場所を間違えたのか、感じた”何か”はもともと無かったのか。
疑いたくなるのも無理はないが、確かにこの場所に間違いはなく、その”何か”は”ここ”にある。

セナは足を止め、足元を見た。

(下…)

そして立て膝に屈むと同時に手を地に触れる。

”あった”

どうやら自分達が足を着くこの地は最終地点ではなかったようだ。

ならば。

セナは自身の闇を発する。
それは爆発的な量で、離れた場所にいたリマにまでその風がきた。

「セィちゃん…?」

彼が視えない。何かが起こっているのにそれさえ分からず、リマは不安気に声を漏らす。
しかし視えなくて幸いだったかもしれない。
彼女にはあまりにも衝撃的な事が起きていたから。

「…っ」

セナが闇を放出するに伴い、彼の周囲の”地が動いた”。
実際にはそんなもの見えないが、たしかにそう感じさせる何かがあった。
そして、それは間違いではなかった。
歪んだ地から無数の触手が飛び出し、セナの体を捕まえたのだ。
そんな中でもセナは開かれたその地へと手を伸ばし、何かを掴もうとする。
しかし力及ばず。
セナの身は一瞬のうちに地の中へ引き摺り込まれた。

105リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/11(月) 21:30:55
一週間以上レスしてなかった…亀レスすみません(;△;)

ヤツキ>>
どっちにしても色付きが見たい(」°ロ°)」
いや、でも男女以前に自分の頭が固いのも原因な気がする(;-ω-)ゞ
あんま戦闘物の漫画とか読まんからイメージ出来ないのかも…。私が見てるのフォークとナイフで戦う執事だし←

むむ…最近まったく絵描いてない(≡Д≡;)


イスラ>>
ずっと秘密にしてたのですが最近研究室で黒執事好きカミングアウトしまして、以降遠慮がなくなってしまったようで、今日は原作者のブログからシエルが小さい頃タナカと将棋崩しして遊んでたって情報を仕入れて可愛いとニヤけていた← GF関連の漫画買ったらシエルのしおり貰っちゃったとさりげなく自慢したら研究室の子に笑われた←←

天性の才能?フェロモン??←←
ジルの魔性、まさか好かれているとは(笑)

えー怖い←
連れ戻します?あ、まだ利用の価値あるならばジルが回収します(-ω- )/

笑っちゃう、あんな性格なのにイケメンww
神様、美しさ与える人間違えてるww
そんな滅相もない。それに最近まったく絵描いてないので全く描ける気がしません(;-ω-)ゞ
凄いなー、最初は嫌ってたくせに←

106シデン ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/11(月) 22:36:25
【バルクウェイ】

確かに、イオリは人間の中ではトップクラスの実力の持ち主だろう。

先人より脈々と受け継がれし、その血と技。
彼の動きの一つ一つに、気が遠くなる程の歴史と、絶え間ない努力の軌跡を感じる。

だが、しかし…

「そんなもの、真の力を抱く者にとっては無価値に等しい!」

シデンはそれを一笑に付す。

半歩分身体を傾け、逆袈裟を紙一重でかわすと共に、両腕の組織を変化。
"麒麟"の体細胞に紫雷を纏わせ、硬質化させた腕で二振りの刃をいなし、受け止める。

そして、相手の空いた腹部に強烈な蹴りを打ち込んだ。

「どうした?こんなものか、人間?」

武具も史も修練も必要ない。
この差がその証明だ。

107イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/11(月) 22:45:04
【リマ》お、カミングアウトしたんですか。それは良かった^^タナカさんそんな昔からいたのかw
てかリマさんがどうやって黒執事と出会ったのかが気になる(笑)

フェロモンか…なるほど、あり得る…
魔性と言うか、平然と外道を働くキャラが好きでして…あ、別にジルが外道って訳じゃないですよ?←

んー、じゃあ回収でお願いします^^

いや、でもまぁ別にイケメンじゃないですよ。自分が同じ様な顔しか描けないってだけです(笑)
そんな、大丈夫ですよ。描ける描ける(`・∀・)←
まぁ…色々あったんでしょう、心境の変化が】

108アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/13(水) 03:00:29
【バルクウェイ】

「なっ…」

アブセルは困惑に目を丸くした。
セナが何かをした途端、地が歪み。そしてあろうことか、彼はそのまま中に引き摺り込まれてしまった。

そこに駆け寄る時間はなかった。
アブセルがそれらの状況を呑み込む前に、蠢く無数の触手が今度はこちらへと伸びてきたのだ。

「姉ちゃん!」

恐らくは何も見えていないであろうリマ。
アブセルは彼女を咄嗟に庇うも、しかし、それらは易々と二人の身を捉えた。

「ッこの…!なんだよこれっ!」

絡み付いてきた触手がセナ同様、二人を地に引き摺り込もうと蠢いた。

109リト ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/13(水) 12:13:20
【過去】

何やらトランプを掲げ物申すアブセルに目すら向けず、リトは黙々とスープを口に運ぶ。
途中何度か咳き込むがソレをアブセルが気に留めることもなく。
だんだんと苛立ちを見せる彼の前でリトは結局最後までスープを飲み終える。
そして漸く、アブセルのもとへ来た。

「…」

相変わらず何も口にはしないが、アブセルの申し出を受ける気ではあるようだ。

110イオリ ◆.q9WieYUok:2014/08/15(金) 21:07:28
【バルクウェイ】

人と神。

言葉にすればたったの一言だが、その差は天と地以上である。

人が神と対等に戦うにはまず、神と同じ土俵に登るか、神を人間の土俵へと引きずり下ろすしか無いのだ。

だからこそ、イオリは天使の様に見えた
あの身体を。

長らく封印されていたバロンの身体を欲したのだ。

神の肉体を得、同じ土俵へと登る為に。

ーーーーー

万全の状態から放つ最善の一撃。

ではなかったものの、先の連撃は今現在放てる最速最高の攻撃だった。

しかし、それをシデンは易々と防ぎ切った。

「ハッ、まぁそんな急かすなよ。

とっておきはまだ見せちゃいねぇんだぜ?」

更に、放たれる強烈な蹴りは魔装の防御力を持ってしてもその威力を殺し切れず。

後方に跳び、蹴りの威力を削ぐも内蔵に伝わる確かなダメージは朱となって口端から流れ出す。

それを手の甲で拭い、イオリは刃を鞘へ収め、居合いの型を取った。

その表情は決して明るい物ではないが、鋭い眼光は消えず。

(確かに、ここらが人間の限界かもな……

だが。)

ーーー居合いとは本来、刃を抜かずして相手の撃を抑える技であり、後手を取る待ちの剣術である。

それを迅速の踏み込みと、一切無駄の無い抜刀術により、攻めの技へと転化させ、生まれたのが神斬りなのだ。

その業を、更なる高みへと昇華させた者が居る。

奇しくもその人物は、その業を後世に残す事無く散ったのだが……

「魅せてやるよ、デコメガネ。

俺の業で、テメェを泣きっ面にしてやる。」

イオリは独学で、その高みへと辿り着いた。

鋭い眼光と獰猛な笑み、朱に彩られたその顔は鬼気迫り。

身体から発せられる闘気は大気を揺らす。

そして、一拍の間を置き、イオリは動いた。

半歩の踏み込みから爆発的な加速力で距離を詰め、抜刀し、一閃。

刃が抜かれると同時に、その身体は右へ左へ。

前後左右、上方下方。

更には袈裟、逆袈裟。

計八つの斬撃が、神速を持ってして。

タイムラグなく放たれた。

その業の名はーーー

111アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/16(土) 13:54:17
【過去】

「…お前ってほんっとトロくさいな」

スープぐらい三秒で飲めよ。とアブセルはリトにジト目を向ける。

彼があまりにも遅いから、ついババ札の裏側に小さなキズをつけてしまったじゃないか。
でもこれはズルじゃない。そう…戦略だ。

「ルール、分かるよな?」

…と、聞いてもリトが答える筈もなく。アブセルは適当にルールの説明をしながら、二人分のカードを配分する。
もちろん当然の様に、キズをつけておいたカードはリトの方にやった。

そして―…

「勝ったー!!」

彼がキズに気づいていたかどうかは定かではないが、とにかくババ抜き勝負はアブセルが勝利を収めた。

アブセルは立ち上がり、勝ち誇った様に顎をしゃくってリトを見下ろす。

「約束通り俺が王様だからな。お前は俺の家来だ。ちゃんと言うこと聞けよ?」

さあ、どうしてやろうか。
アブセルは底意地の悪い笑みを浮かべると、不意に

「お手」

と、相手に向けて掌を突き出した。
それはまるで犬か何かにでも芸を命じるかの如く。

【リトのつもりで描いてた筈が何か完全に魔女っ娘にw
imepic.jp/20140816/492500】

112シデン ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/16(土) 20:34:03
【バルクウェイ】

振動する大気がビリビリと肌をなぶる。
なかなかに心地の良い闘気だが…。

「いくらやっても同じことだ!
貴様は俺には勝てない!!」

イオリが動いたその時、シデンもまた雷光を散らし、その場から飛び出した。
刹那、二つの影は交差する。

そして、場に訪れる束の間の静寂。
互いに背を見せ合う形となった状態の中で、不意に、シデンはガクリと片膝を地に落とした。

七対三にセットした前髪がハラリと顔にかかり、眼鏡のフレームが鼻筋で真っ二つに割れ、地に転がる。

「貴様…」

シデンは首を動かし、血走った眼で肩越しにイオリを睨み付けた。
肩や脇腹、裂かれた衣服の下から赤が滴り落ちた。

113イオリ ◆.q9WieYUok:2014/08/18(月) 22:00:09
【バルクウェイ】

交差する雷光と白刃は闘気に揺らめく大気を斬り裂き。

刹那の間に繰り広げられた強者同士の戦いは、互いの背に背を預ける形で終わりを迎える。

「デコメガネ、叩き割ってやったぜ……」

背後に聞こえる乾いた破砕音と、シデンが膝を着く気配を感じ、イオリはニヤリと笑みを浮かべた。

「届いただろ、俺の刃はよォ……」

しかし、その笑みを浮かべる口元は瞬く間に歪み、咳き込むと共に吐き出された大きな血塊が足下を濡らす。

よくよく見れば、その身体……魔装の継ぎ目からは鮮血が溢れ出している。

そして、広がる血溜まりに倒れ込もうとする身体を刀で支え、イオリもまた、肩越しにシデンを視た。

「テメェの雷光も、今までで一番効いたがな……」

互いに倒れる事は無かったものの、双方共に多大なるダメージを負った今。

次に放つ一手が決着の一手となるだろう。

だが。

それを望まず、許す事無い者達が二人の視界に姿を現した。

「……戦いは終わりよ。

神の使いは死に、方舟は消滅した。

開かれた深淵もいずれ閉じてしまう今、この場に残る必要は無いわ。」

イオリの視線の先、肩越しに見える視界に立つ女性。

四霊の一角、霊亀のキールは険しい表情で言葉を放つ。

「それに、今。

アナタを失う訳にもいかないのよ。

これ以上の戦闘は私が許さない。」

「いや、俺が居るから出来ない。

の間違いだろう?」

そして、キールの視線の先。

シデンの視界には赤毛の男、ボルドーが。

「アンタ達も感じてるだろうが、俺の力はアンタらと大差無い。

このまま互いに助っ人が入った状態で戦闘を続けても、双方共に全滅する可能性は高いからな。」

イオリの懐刀でありながらも、イオリを超える強さを持つその男は、苦笑いを浮かべながら続ける。

「どっちにしろ、今はお互い退いた方が身の為だろう?

今はもう命を懸けてまで戦う時ではなくなったしな?」

その言葉にキールは無言で目を伏せた。

しかし、それは肯定の意である。

ボルドーが手出しをしない事を信じ、キールは虚空城への転移術式を起動。

膝を着くシデンに肩を貸し、彼を半ば引き摺る様に歩きながら、そっと耳打ちをした。

「後処理はジルが行うから気にしなくて言いわ。

あの子、何だかやる気みたいだったからね……」

そして。

起動した転移術式の光が二人を包み、眩い光が瞬くと共にその姿はバルクウェイから消えて行った。

114セナ、リマ、:2014/08/18(月) 23:31:21
【バルクウェイ】

これは言ってしまえば荒療治。
自分が深淵の最下層への道を開けば魔の手はリマやアブセルにまで及ぶ。
それは分かっていたが、こうする他なかったのだ。

今自分に出来ることは闇が彼女らを引き摺り混む前に、”彼”を見つけ戻ること。

予想より深くに沈んでいたのは少し誤算だったが、まぁいい。

触手の流れに任せ、セナはその時を待つ。

そして、

見つけた。

漆黒の闇の中に佇む、小さな赤い光。

今まで感じていた”何か”は”これ”だった。

セナは触手に阻まれながらも手を伸ばし、赤くひかるソレを、否、その先の”彼”の腕を、掴み取った。
途端消え入りそうな小さな光だったものが輝きを増し、やがて深淵全てを包み込んだ。

ーーー

何があったのかは分からない。
何かが起きているのは分かったものの、リマには何も見えなかったから。
自分を呼ぶアブセルの声にリマはビクリと身を動かす。
続く彼の呻き声。怖い。
そして魔の手はリマの身にも及ぶ。
何かが体にまとわり付く感覚。リマは最早声さえも出なかった。

(セィちゃん…セィちゃん…)

リマは恐怖に怯えながらも必死にセナの名を唱えた。
先程自分を下ろした際にセナに言われたことがある。
これから先何が起ころうと動ずるなと。
自分で何かしようとせず、じっと耐え抜けと。
心が壊されたら終わりだ。決して自分を失うなと。

セナは何かを知っているようだった。
彼が感じ取っていた”何か”を何であるか分からないとしながらも、おそらく予想はついていたのだろう。
ただ、その場所に赴きたくはない、いや、違う。自分を近づけたくない、そんな様子だった。

(ごめんなさい…)

セナを危険な目に合わせてしまった。
アブセルを巻き込んでしまった。
今のリマに出来るのは、ただセナの言葉に従うこと。

(どうか、無事で…)

意識が飛びそうになる。それを必死に堪え、リマは願う。
赤い光が彼女らを呑み込んだのはそれから間も無くのことだった。

115リマ、ナディア ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/18(月) 23:32:43
-----

「そうかな…」

サンディの言葉に、少し気が紛れた。
実際のところはどうであるか分からないが、信じたい。
ナディアは照れ臭そうな表情を浮かべる。

「なんか、柄にもなく…って感じ。恥ずかしい」

自分より背の低い子に頭を撫でられる姿は何処と無く滑稽だ。
自分の姿を客観的に思い浮かべて何だか笑えてしまったナディアは先程までの沈んだ表情は打って変わって明るくなる。

さて、自分に出来ることをしようと気分を一新した矢先、何の因果か事は起こった。

深淵から突如として眩い赤の光が噴出したのだ。
予想だにしなかった自体に唖然とするナディア。
と、その光がやがて消え、そこには新たな事態が舞い込んでくる。

地面に転がる4つの影。
うち、1つの影が身を起こし声をあげたのとナディアがあるものを見つけ口に出したのはほぼ同時。

「セィちゃん!」
「リト…!」

二人はそれぞれ重なり倒れた二つの影へ駆け寄る。
それはセナがリトを庇うように抱く形となっていた。
二人とも意識がない。
リマはセナを抱き寄せ息を確認する…無事だ。

「セィちゃん…良かった…リッちゃんも……」

記憶が所々飛んでいて事の顛末は定かではないがリトを見つけ、地上にも戻れたようだ。
リマは浮かび上がる涙を拭い、後方の、最後の影へと声をかける。

「アブくん、セィちゃんがリッちゃんを見つけてくれた…」

良かった。何はともあれこれで解決である…はずだった。
ナディアの声を聞くまでは。

「ねぇ…」

ナディアはリトの頬に何度も手を触れながら、震える声で呟いた。

「コイツ…冷たい。息もしてない…」

116リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/19(火) 00:00:44
イスラ>>
本当は研究室では一般人として生きて行きたかったのですが、ある日実習施設で撮った集合写真がメールで送られてきて、保存したものを研究室の先生に見せていた時の事です。
研究室の友人が横から携帯を覗き込んでいたことに気づかず何気無くスクロールしてしまったところ、写メった黒執事(原作)がこんにちは。
すぐに別の写真に切り替えたのですが、その子が「今何か見えた(・▽・)」と← 幸いオタクではないけど漫画が好きな子だったのでまぁいいかとカミングアウトしましたσ( ̄∇ ̄;)
タナカさんはずっといますよ〜。シエルの両親殺した刺客に背中をナイフで思いっきり刺されたのに生きてるウルトラじーさんです←
黒執事と出会ったきっかけですか?それはですね、ある日の兄妹の会話から。
自分「最近めっちゃ暇。なんか面白い漫画がないかな(PC弄りながら)」
兄「黒執事」
自分「黒執事だぁ?あ、知ってる、絵だけガンガンで見た。あれやんな。カニみたいな顔した黒い男が紅茶淹れながらニタ〜って笑っとった。」
兄「何それ。」
自分「知らん。でもカニやん。なんかあれみたい、ジャンプの魔界探偵だかなんだかの」
兄「余計分からん。取り敢えず黒執事。」
自分「面白いん?」
兄「知らん。読んだことないし。」
自分「カニやん」
兄「面白いんじゃない?」
自分「でもカニやん」
兄「PC弄ってんなら調べてみりゃいいじゃん」
ってなわけで、調べてみたところ、丁度一話無料立ち読みが出来まして。
取り敢えず読んで見たら…
「何かめっちゃ可愛い子(シエル)おるー!!」
となりました←

恐ろしいフェロモンだ…
いや、それ外道って言ってるみたいなもんじゃないですか(笑)
ジルだってもともとは純粋なんだぞ!←

了解です(pq´v`*)

いや、イケメンですって!アブセルには勿体無い顔!!←
えー無理そう(-ω- )って思ってたら素敵素敵な美絵が!!
リト麗しい!!白い悪魔な下賤動物と契約した魔法少女みたい!!←
色々とあったんですね、ちっこい脳で←】

117リト ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/19(火) 16:54:05
【過去】

勝負に勝ち、嬉々として命令を下すアブセル。
しかし対するリトは差し出された手に何の反応も示さなかった。
それはアブセルに従いたくない為に拒否していると言うよりは、彼の言葉の意味が理解出来ていないように見えた。
目の前の手とアブセルの顔を見比べたかと思えば、何事もないかのごとく顔をそらしてしまう。

その時、ちょうど部屋に新たな来訪者がやってきた。

「ちゃおちゃお、お姉様がきてやったよ」

現れたのはナディアとヨノだった。
その姿を見るや、リトは持っていたトランプを投げ捨てて二人のもとへ行ってしまう。

「リト、またご飯を残して。ちゃんと食べなきゃ駄目。」

ヨノは部屋を入るとすぐに弟の食事を確認し、困ったように皿を持ってくる。
そしてスプーンで掬って彼に食べさせようとするが、それをナディアが止めた。

「ヨノはすぐ甘やかすんだから。ちゃんと一人で食べさせなきゃ。」

同じ姉妹でも性格も態度もまるで違う二人。
ナディアは呆れたように溜息を吐いたところで、ようやくアブセルの存在に気づいた。

「アブセルじゃない。何?リトと遊んでたの?」

118アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/20(水) 07:59:36
【バルクウェイ】

暫く、"戻ってきた"と言うことを理解するのに時間がかかった。

「セナ様!」

ジュノスを含めた数人の人影がこちらに駆け寄ってくる。
それをどこか呆然とした面持ちで眺めていたアブセルの目に、不意にナディアの姿が映った。

「お嬢…なんで…」

しかし、そんな疑問もそこまで。
続いて掛けられたリマの声を耳にし、アブセルは完全に我に返り、ハッと視線を動かした。
リトがいる。…良かった、無事だ。

けれども安心するのは早かった。

ナディアが震える声で口を開いた。
それを聞くや、アブセルは急いでリトの首筋に手を、脈を確認する。

そして、一瞬にして色を失った。

「…そんな……」

…彼の鼓動は途絶えていた。

「おじょっ…お嬢!どうしよう…!…ごめん、俺っ…どうしたら…」

アブセルは震える手でナディアの服を握る。
今や彼は完全に惑乱していた。

119シデン ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/20(水) 20:16:53
【バルクウェイ】

不意に上がる制止の声。
シデンはそこに現れた女性…キールに向けて舌打ちをし、怒気を含んだ目で彼女を睨み付ける。

「ふざけるな、俺に指図をするな」

…と、いつものシデンならば、そう言い張っていたことだろう。

しかし、今回ばかりはさしもの彼も彼女の言葉に従わざるを得なかった。
それは、視界の先に見える男…ボルドーの存在が大きかった為だろう。

だが、苦汁を嘗めさせられたまま終わるシデンではない。

「……次は殺す」

そうイオリに向けて言葉を吐き捨てたのを最後に、彼はキールと共に眩い光の中へと消えた。

120アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/20(水) 20:18:20
【過去】

従うどころか何の反応も見せないリトに対し、アブセルは当然の如く腹を立てる。

(こいつ…ッ)

絶対ナメられてる。もしくは言葉が通じないのか。

しかしそんな時、この屋敷のお嬢様二人組が部屋に姿を現した。
それを目にするや、アブセルは途端"げっ"と苦い顔をし、
リトと遊んでいるのかとナディアに問われれば、慌てた様子で首を振った。

「ち…違ッ…、誰がこんな奴と…!
変なこと言うなっ、暴力ババア!」

暴力的でがさつなおばさん。略して"暴力ババア"と、アブセルは勝手にナディアのことを命名していた。もしくは"おっぱいおばけ"。
因みにヨノは"おっとりババア"である。

「俺は食器下げなきゃいけないから、そいつが食べ終わるの待ってただけだ!」

そう言いながら、アブセルは急いで散らばっているトランプを集め、片付け始める。

くそう…。
リトに屈辱を与える筈が、この二人が現れたせいでやり難くなってしまった。

121イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/20(水) 20:21:42
【リマ》あらら(笑)さすが友人…気配を消していたか…←まぁ結果オーライな感じで良かったじゃないですか^^
タナカさん刺されたのか;でも元気w
カニやんww
なんか…がっかりだよ!「絵柄が好きでついジャケ買いした」とかの方がまだロマンがあったよ!(笑)

いや、そう言う訳じゃ…。ただ心の内を顔に出さず、涼しい顔で悪行を行うとこが素敵だな、と←
ジルは妹の為に仕方なくやってるみたいなもんですもんね…

そうかぁ…じゃあ次描くときはもっと男らしい顔にします(笑)
え〜残念…「僕と契約して魔(ry」←自分もそれを連想したww
そうそう、ちっこい脳なりにねwまぁアブセルは恵まれてる(様に見えた)リトに嫉妬してるだけなので、リト自身の人格を嫌っている訳ではないのですよ多分。
因みにリトの姉二人に対しては何か照れ臭くてツンツンしてるだけです】

122ナディア ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/22(金) 17:33:25
【過去】

「ば…っ」

こいつ、張っ倒してやろうか。
いや、お子ちゃまの言葉にいちいち反応していてはダメだ。ここは歳上らしく、クールに接してやろうではないか。
ナディアは頭に青筋を立てるも、自分にそう言い聞かせ気を抑える。

この餓鬼は邸に来た時から変わらない。口は悪い、態度も悪い、本当イラつく。
ヨノは弟が増えた、なんて喜んでいるが、こんな弟なんてごめんだ。
リトと同い年の子供。弟にとっては良い影響になるかも、とは思っていたが。

「ちょうどいいや。アブセル、私らこれから出掛けなきゃいけないからリトの相手しておいて。」

いや、まだ分からない。ひょっとしたらと言うこともなくはない。
アブセル自身も口ではこう言ってもどうやらリトに興味があるようだし、少し一緒にいさせてみよう。
そう考え直したナディアはアブセルにそう持ち掛けた。

「チャンバラとか、体を動かすやつはダメ。大人しく遊びな。」

123リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/22(金) 18:38:04
イスラ>>
おかげで今回の新巻の付録、店舗で買うのとコンビニで買うのでは違ったので悩んでいたところ、私が買えなかった方のコンビニの付録をくれたんですo(*≧▽≦)o ワーイ♪
タナカさん最強説←
セバスの名前を知った時、カニでなくエビだったと思ったのは言うまでもない←
えー、黒執事はしばらくセバスが表紙だったのでそれはあり得ません(゚∇^d)

褒め言葉として受け取らせていただきます(笑)
いえ、”もともとは”純粋だったのです←

楽しみにしています(pq´v`*)笑
リトは何を願ったのだろうか…(笑)いや〜、いつもウチの子達を素敵に描いていただき有難うございます!
そして自分もその気になったので描いてみました!この前のイスラさんに倣ってナディアのプロフィールをば(*´∀`)
imepic.jp/20140822/668010

成る程成る程、子供らしいですね(笑)


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