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下書き
1
:
幸平@管理人
:2012/03/02(金) 23:00:18
下書き用
2
:
幸平@管理人
:2012/03/02(金) 23:01:22
【あらすじ】
2011年10月、日本国、航空自衛隊百里基地。
航空観閲式に実行部隊として参加していた整備俺3尉は、
同じ部署になった操縦俺曹長と意気投合する。
観閲式閉会後の夜、基地内はお祭り騒ぎになっていたが、
飲み過ぎた俺達はふとした拍子で基地の池に落ちてしまう。
池から這い上がった俺達は、
百里基地ではなく、異世界の第501統合戦闘航空団基地にいた。
平和な日本から、ネウロイとの戦争とのど真ん中に放り込まれた俺達は、
なし崩し的にウィッチ達と共にネウロイと戦うことになる。
――はたして、この世界で、俺達は生き残ることができるのだろうか?
10
:
幸平@管理人
:2012/03/12(月) 23:51:40
【プロローグ】
2011年10月中旬。
航空自衛隊百里基地で、航空観閲式が執り行われた。
今回は天候が悪く、飛行展示は控えめになってしまったが、式典は無事に終了した。
この式典の実行にあたっては、全国の部隊等から支援要員が百里に派遣され、
実行部隊を結成していたのだが、
幹部候補生学校を卒業し、整備幹部になったばかりの整備俺3尉も、
原隊から百里基地に派遣されていた。
そこで、同じ部署になった操縦俺曹長と意気投合したのだった。
俺達は年が近く、名前も同じで、共通の趣味もあったため、すぐに仲良くなった。
観閲式の閉会とともに実行部隊は解散となり、各要員は原隊に復帰することになった。
観閲式の準備期間中は、基地内の広場に屋台村が設けられており、
仕事が終わったあとは毎日のように飲んだくれていたが、それも今日が最後になる。
先任幹部「それじゃ、航空観閲式の成功と、皆様の今後の活躍を祈って!」
年かさの1尉――部内出身だった――が音頭を取り、
乾杯という言葉が百里の星空に吸い込まれていく。
俺達は、航空観閲式の成功を祝い、
そして、別れを惜しみ、屋台村でお祭り騒ぎの真っ只中であった。
整備俺3尉「空から魔法少女降ってこねえかなwwwww」
整備俺は、制服のネクタイを頭に巻き、鼻には割り箸。
俗に言う安来節という出で立ちであった。
整備俺3尉「俺は血の繋がってない義理の妹が欲しいんだよッwwwww」
操縦俺曹長「整備俺さん…、明らかに飲み過ぎですよwwwww」
整備俺3尉「Bullshit! I can't here you! Sound off like your got of pairs?!」
操縦俺曹長「サー、イエス・サー! …じゃなくて!!」
整備俺3尉「らいじょ〜ぶ、らいじょ〜ぶっ♪wwwww」
操縦俺はそこそこ酒に強かったが、整備俺はめちゃくちゃ酒に弱かった。
やがて消灯時間が近づき、最後のお祭り騒ぎはお開きになった。
操縦俺は、泥酔状態の整備俺を担ぎ、隊舎に戻ろうとしたのだが。
整備俺「あ…、やばい///」
整備俺が突然バランスを崩し、操縦俺も押し倒される形になった。
――そして、俺達は、2人揃って基地の池にダイブしたのだった。
11
:
幸平@管理人
:2013/03/27(水) 22:28:23
初夏の陽光が心地よい、1945年の5月の頭。
高く鳴った汽笛の音で、俺は目を覚ました。
列車のブレーキが作動し、金属同士がこすれあう音とともに、速度はゆっくりと落ちていった。
「起きましたか、大尉っ」
やや裏返った女の子の声は、今回の旅のお供でもある、俺の教え子のものだった。
清潔感のある石鹸の匂とともに、柔らかくて温かい感触が、さっと離れた。
「ん…、ああ」
俺は欠伸をかみ殺し、体を伸ばす。
隣に座っていたはずの、教え子である女の子が、俺から少し離れてそっぽを向いていた。
心なしか、その首筋から頬にかけて、ほんのりと紅色に染まっているような気がする。
12
:
幸平@管理人
:2013/03/27(水) 22:31:19
「何かあったんか?」
「は…いえっ、なんでもありませんっ」
「そうか。まあ、もう少しだからな」
俺は、教え子をなだめるように、その背中に声をかけた。
その、プレスの効いた濃紺色の扶桑皇国海軍第2種類軍装の背中は、未だにシワひとつついていなかった。
江田島からの長旅にも関わらず、この教え子は、姿勢を正したまま一度も座席にもたれていないのだろう。
「無理は良くないが、最後まで気を抜くなよ」
「はい」
半分は自分に言い聞かせるように言い、俺は時計を見た。時刻は15:30をわずかに回った頃だった。
俺の時計が正確で、かつ列車の運行が時刻表どおりであれば、そろそろ目的地に着く頃合いだ。
俺は、扶桑皇国海軍の制服、若草色の第3種軍装のネクタイを整えた。
13
:
幸平@管理人
:2013/03/27(水) 22:35:23
「終点です。着きました」
「そうだな」
列車が停まり、ドアが開く。俺は、手早く荷物をまとめて席を立った。
だが、それよりも一足早く、俺の教え子は、長い黒髪のポニーテールを揺らしながらプラットフォームに降りた。
兵学校の課程生活においては、常に凛とした態度を崩さないこの教え子であるが、
久しぶりに生まれ故郷に帰ってきたせいか、少女らしい無邪気さを見せてくれたような気がした。
ふと見せたこの一面に、俺は、この教え子に対する評価をやや上方修正した。
改札を抜けた俺たちは、のどかな地方都市らしい駅舎を後にした。
――四国は、道後温泉で有名な、愛媛県の松山市。それが、俺たちの目的地だった。
14
:
幸平@管理人
:2013/03/27(水) 23:43:42
松山駅からまっすぐ北へ、伊予松山城に向かって歩く。半歩下がって、俺の教え子がついてくる。
濃紺の第2種軍装をかっちりと着こなした海軍兵学校1号生徒、名を服部静夏という。
歳は14。長い黒髪をポニーテールに結い、ツリ目がちで意思の強そうな瞳が印象的な少女であった。
静夏は、兵学校では常に上位の成績を残している優秀な生徒であり、坂本からも高く評価されていた。
静夏らが入校して間もない頃の、とある訓練における出来事から、
「根性がある」として基幹隊員からも認められる存在となっていた。
優秀であることに異存はない。
ただ、この年齢でここまで振る舞えるということは、逆に、危うさ・脆さを内包しているように思える。
それが、俺の静夏に対する率直な人物評であった。
15
:
幸平@管理人
:2013/03/28(木) 00:00:36
突き当たって大通り、松山城南のお堀を右手に曲がる。そこで、俺は、教え子に訊ねた。
「中村、って家を知らないか?」
日本――いや、扶桑にありがちな平凡な苗字の家だったが、俺の教え子は首を横に振った。
「どうしたのですか、大尉」
「大学のゼミの後輩が松山の出身で、今は呉の海兵団で新兵教育を受けているんだ。
実家が城の近くだと聞いていたんだが」
「そういえば、大尉は、兵学校ではなく一般大学の出身でしたね」
「ああ。それで、この時期は奴も帰省してるはずだから、飲みに行きたいと思っていたんだけどな」
正確に言えば、少し違う。
俺の後輩は、2012年の春から海上自衛隊一般曹候補生として呉教育隊に入隊していた。
この世界に、かつて俺が生まれ育った世界とのつながりを求めてしまうのは、消えることのない古傷を弄ぶ様なものだった。
墓の中まで持っていかなければならない、愛すべき古傷。
16
:
幸平@管理人
:2013/03/28(木) 00:03:11
「士官が、兵と同じ席で飲むのですか?」
「階級じゃない。大学の先輩と後輩だ。俺たちは船乗りじゃないだろう。
士官だの下士官兵だの、っていうのはあまり気にしてたらあかんで」
こういう選民意識の強いところは、海兵出身の兵科士官特有の風潮であり、俺が未だに馴染めずにいるところだった。
マッチボックスのような市電が、警笛を鳴らしながら俺たちを追い抜いていった。
松山駅から城下町の目的地まで徒歩で移動していたのだが、意外と距離があった。
松山に来たのは初めてだったので、目的地までは散歩がてら町の空気に直に触れたいという気分もあったためである。
だが、旅の荷物も抱えているため、市電を使うのもそう悪くない選択肢であったかもしれない。
後から知ったのだが、高浜の港から城下町へ向かうには、松山城の西、大手町で伊予鉄高浜線から市電に乗り換えるのが便利だという。
だが、これも後になって静夏から聞いたのだが、俺があまりにも気持ち良さそうに寝ていたため、終点の松山駅まで起こさなかったのだという。
大通りの向こうへと遠ざかる市電を見送り、俺は、上機嫌で、ある有名小説の一説を諳んじた。
17
:
幸平@管理人
:2013/03/28(木) 00:06:05
「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。
小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜ぬかした事がある。
なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない」
「?」
だが、どうやら俺の教え子には通じなかったらしく、半歩引いた位置できょとんとしていた。
「夏目漱石だ。明治の文豪だぞ、知らんのか」
「軍人には、そんなもの不要です」
静夏は、一転して拗ねたような表情になった。
この教え子の姿勢・態度を、模範的だ、あるいは背伸びしていて微笑ましい、
と評する同僚は多いが、俺が一番危ういと思っているところだった。
「軍人である前に、一社会だろう。
それに、士官として人の上に立つ者であれば、こういう教養も持っておくべきだと思うぞ」
この頑なな態度はどうにかならないものか。
確かに、ウィッチとして一線に立てるのは、少女であることを許された非常に限られた期間でしかない。
故に、早熟であることを求められるのだが、この教え子は、ずいぶんと生き急いでいるように思えてしまう。
18
:
幸平@管理人
:2013/03/28(木) 00:07:49
松山城を過ぎ、なお東へ。
城下町の中心、松山城跡に比較的近い武家屋敷の前で、教え子は脚を止めた。
「こちらです」
「おお……」
その立派な門構えに、俺は感嘆の声を上げた。
俺自身もそこそこの家柄の生まれだと自負しているが、それ故に、この教え子の出自を感覚的に理解することができた。
「静夏、ただいま戻りました」
この、伝統を感じる荘厳な武家屋敷が、俺の教え子、扶桑皇国海軍兵学校第0課程1号生徒、服部静夏の生家であった。
木製の門をくぐり、静夏は、玄関の引き戸をがらがらと開けた。
静夏、ただいま戻りました」
おお、静夏。よく帰ってきた」
姿を現した初老の男性は、静夏の祖父である、服部予備役海軍少将であった。
19
:
幸平@管理人
:2013/03/28(木) 22:47:40
―
――
――――
2週間前、扶桑皇国海軍江田島海軍兵学校、教育部庁舎教官室にて。
「以上。報告終わります」
「あいよ。んーと、印鑑印鑑。ほあたぁ!」
教育当直学生の勤務日誌に目を通し、俺は確認印を捺した。
勤務日誌を返しながら、俺は、ふと壁のカレンダーを見遣った。
彼女ら**期零課程が兵学校に入校してから、1ヶ月ほどが経過していた。
「服部候補生」
「はい」
「ここの生活には慣れたか?」
「はい!」
当直学生、服部静夏候補生は、よく通る声で答えた。
この時期というのは、少女達の顔つきや立ち振る舞いに、軍人らしさが感じられるようになる頃である。
(と、言われている)
1ヶ月という期間は、成長期の少女たちを変えるのに十分な時間であるようだった。
20
:
幸平@管理人
:2013/03/28(木) 22:50:11
「服部候補生は、連休は帰省するのか?」
「はい」
「そうか。親御さんに成長した姿を見せてこいよ。くにはどこなんだ?」
「はい。松山です」
「松山かあ。道後温泉は近いのか?」
「はい。近いです」
「いいね。俺も連休は道後温泉に行ってみたいと思ってたんだ。近くまで、一緒に行ってもいいか?」
「はいっ!」
――普段は凛としたこの教え子の声が、心なしか弾んでいる気がした。
――――
――
―
21
:
幸平@管理人
:2013/03/28(木) 22:51:58
現在、愛媛県松山市、道後温泉本館。
「――――」
いい湯だ。俺は、浴槽のなかで、大きく体を伸ばした。
服部家に荷物を置いたあと、俺たちは、市電を乗り継いで道後温泉まで来ていた。
モダンと古風が同居する温泉街は情緒にあふれており、俺たちは、
そのなかでも、ひときわ大きな存在感を放つ、道後温泉本館を訪れていた。
身も心もすっかり温まったところで、俺は風呂から上がり、浴衣に着替えた。もちろん、着付けなんてテキトーだ。
22
:
幸平@管理人
:2013/03/28(木) 22:53:25
脱衣所ののれんをくぐり、板張りの廊下の先には休憩室がある。
その、畳張りの座敷では、浴衣姿の静夏が姿勢を正して待っていた。
まるで、よく躾られた犬みたいだな、と、俺はそんな印象を抱いた。
静夏を横目に、ビン入りの牛乳を2本買い、俺は静夏の前に座った。
「悪い、待たせたかな」
「はい。…あ、いえ」
「まあ、飲めよ」
俺は、牛乳ビンのキャップを外し、静夏に勧めた。
「は、はい。ありがとう…、ございます」
静夏は、恭しく両手で牛乳ビンを受け取った。
その頬が心なしか紅くなっているのは、多分気のせいではないと思う。
俺がビンに口をつけると、それに合わせて静夏も牛乳を飲み始めた。律儀な奴だ、と俺は思った。
23
:
幸平@管理人
:2013/04/17(水) 23:57:06
【√確定前】
整備俺「この、どたわけえぇぇぇぇぇ――――ッッ!!」
エイラ「ひいいいぃぃぃっ!?」
整備俺とエイラが言い合いになったとき、サーニャが、さらっと爆弾発言をしてくれた。
サーニャ「仲良いんですね。エイラと、整備俺さんって」
整備俺・エイラ「「はああ!?」」
あ、ハモった。
サーニャ「整備俺さんの前だと、エイラって、なんだか無防備になっているような気がします」
エイラが物凄い表情をしている一方、サーニャは心底嬉しそうな様子だった。
サーニャ「2人とも、仲の良い、兄妹みたいです」
整備俺「はあ。さいですか」
そんな、やりとりがあった、数日後。
24
:
幸平@管理人
:2013/04/17(水) 23:59:06
【√確定(1)】
エイラ「サーニャが部屋を間違えて、私のベッドに寝に来ることがある」
エイラ「そのことが、実はちょっぴり、いや、けっこう嬉しかったりする」
エイラ「それを、今度は私がアイツに仕掛けてみようと思う」
エイラ「占いの結果は節制の正位置」
エイラ「きっと、なんとかなる」
エイラ「だから、アイツに、とびきりのいたずらをすることにしたンダ」
----
【エイラSide】
今日のシフトはデイアラート要員だったので、夜はオフ。
消灯ラッパが鳴り終わったあと、部屋を抜け出し、
ウィッチ居住区から一般隊員居住区のBOQ(独身士官隊舎)に向かった。
普通の基地のBOQは相部屋が相場となっているが、501はウィッチを除いた士官の数が極端に少ないため、
1人に対し1部屋が与えられていた。
BOQは空き部屋が多いので、アイツの部屋を探し当てるのは簡単だった。
部屋の鍵は当然のように開いている。
夜目だけを頼りに、アイツのベッドの下に忍び込んだ。
これでいたずらの準備はOKだったが、アイツはちっとも部屋に帰ってこなかった。
25
:
幸平@管理人
:2013/04/18(木) 00:05:33
【√確定(2)】
エイラ「(遅いナ…)」
エイラ「(仕事終わんないのかナ…)」
ただ、どれだけ仕事が夜遅く朝早くても、意地でも自分の布団で寝る、というアイツのこだわりはリサーチ済みだった。
エイラ「(眠い……)
せっかくだから、アイツの布団にもぐりこんでみることにした。
エイラ「(布団、温かいナ。アイツの匂いがする……)」
温かくて、気持ちよくて、なんだか眠くなってきた。
エイラ「Zzz...」
ドアの開く音。
この足音は、間違いなくアイツだ。
部屋の明かりが灯る前に、急いで、かつ物音を立てないようにして、ベッドの下に隠れた。
服を脱ぎ捨てる音。
シャワーの水音。
くやしいけど、その様子を妄想してドキドキしてしまった。
27
:
幸平@管理人
:2013/06/17(月) 23:00:32
―
――
――――
美汐「聞こえますね。夜の響きが」
真琴「うんっ、しびれちゃう。わたしたちの音!」
美汐「走りたくて、うずうずしてますね」
真琴「ぶっとばしたくてね!」
真琴「あうーっ、おそいのよ!」
美汐「“Bay-LagoonRACING”!!」
一同「水瀬名雪!」
一同「水瀬名雪!!」
28
:
幸平@管理人
:2013/06/17(月) 23:06:45
PrologueNight
CrimsonMoon
祐一「ついてないよな」
舞「………なにが」
祐一「こわくないのかよ? お前のファーストランが、こんな夜でさ」
舞「…………?」
祐一「いい度胸じゃないか」
舞「なにが言いたい?」
祐一「今夜は、さ…………」
祐一「伝説が蘇る夜さ……」
美汐「わかっていますね? ルールはいつも通りです」
真琴「あうーっ、水瀬名雪!」
真琴「わたしたち“NightRACERS”の美汐かあんたか、どっちが『横浜最速』にふさわしいか、今夜はっきりさせてやるんだから!」
久瀬兄「不敗記録だかなんだかしらねえが、貴様のレジェンドは、ここでジ・エンドってわけだ!」
名雪「能書きならもう十分だよ。安心してよ、全員まとめてかまってあげる」
名雪「舞ちゃん、気にしないでいいんだよ。ただ走ればいいの。感じるままに」
祐一「おれたちの獲物は、久瀬圭介のインテRってとこだな」
舞「獲物……?」
祐一「獲物、すなわちライバルのことだな」
舞「ライバル……?」
祐一「ほら、見ろよ。あそこにいるだろ」
祐一「あいつだ、あいつ。ナイトオレンジのインテR、あれが久瀬圭介だ」
舞「……ああ……」
29
:
幸平@管理人
:2013/06/17(月) 23:13:56
――――
――
―
舞「(伝説が蘇る夜…か)」
舞「(……くだらない)」
舞「(私はなにひとつわかってなかった)」
舞「(今夜、ベイラグーン埠頭に集まってる人たちが、なにを待っているのか、なぜこんなに熱くなってるのか)」
舞「(もてあました時間を埋めるために来てるのは、私ひとりだけ…みたいだった)」
Bay-Lagoon SHORT 2Laps
Starting GRID
PP Nayuki Minase(BLR) SKYLINE RS-Turbo [DR30]
2nd Mishio Amano(NR) 180SX type-X [RPS13]
3rd Makoto Sawatari(NR) Silva Q's [S14]
4th Sayuri Kurata(BLR) RX-7 GT-X [FC3S]
5th Keisuke Kuze(NR) INTEGRA type-R [DC2]
6th Yuichi Aizawa(BLR) SUPRA TwinTurbo-R [JZA70]
7th Mai Kawasumi(BLR) LEVIN GT-V [AE86]
MISSION : ナイトオレンジのインテRを駆る久瀬圭介に勝利せよ
――――
――
―
30
:
幸平@管理人
:2013/06/17(月) 23:14:38
舞「(……嘘みたいだった……)」
舞「(私の手が震えてる。ステアリングが汗ばんでる)」
舞「(私はゴールするだけで精一杯だった)」
舞「(窓を開けて、風を入れる)」
舞「(熱くなった空気を冷やさなきゃ、どうかなってしまいそうだった)」
舞「(聞こえてくるのは、風の音にまじったエンジン音と、名雪先輩を讃える声)」
舞「(ギャラリーしてた人たちが、口々にざわめいてる)」
「勝ったのは“BayLagoonRACING”の水瀬だ!!!」
「天野をあんなに離すなんて、どうなってるの!?」
「これで何連勝じゃ!? 不敗神話も生きてるのう!」
「たしかに、10年前の最速の男よりも速いかもね」
「『横浜最速の走り屋』…水瀬名雪。新たな伝説の始まりだなッ!!」
舞「(………熱い風に溶けてく…………)」
舞「(……伝説の始まりを告げる……)」
舞「(……夜を讃える声の群れが……)」
舞「(これが……新たな伝説の生まれた夜の話)」
舞「(誰もが浮き足立ってた。もしかして、私も……)」
舞「……冗談じゃない」
舞「(何一つ見えなかった。名雪先輩の走り……)」
舞「(………テールランプすら、私の視界に入ってなかったんだ)」
舞「(私は………ただ身体の震えがとまらなかった)」
舞「(……こんなのは、はじめてだった……)」
【The Night is COMPLETED】
31
:
幸平@管理人
:2017/08/19(土) 23:08:23
Name Entry System Login Password ********
NAME : MAI KAWASUMI(川澄 舞)
AGE : 18
SEX : Female
→EXIT
◆!WARNING!◆
この物語はフィクションであり、登場する人物・地名・団体等はすべて架空のもので、実在するものとは一切関係ありません。車の運転は交通ルールを守り、安全運転を心がけましょう。
―
――
――――
「よくやるよな、お前も」
横浜市内に店を構えるチューニングショップ“RBF”、その片隅にある旧ガレージで、ハチロクレビンのボンネットを閉め、依田孝介は、半ばあきれたように言った。
「…………何が」
川澄舞は、ペットボトルのミネラルウォーターを一口だけ飲み、答えた。
「もうちょっと、緊張したりするもんだろ。普通は」
「…………?」
「ハチロク、オモテに出すぞ。相沢、手伝ってくれ」
「りょーかいです」
今ひとつ状況を把握できていない舞の様子に、孝介は心の中でため息をつき、相沢祐一とハチロクの車体を押し出した。ガレージの軒先に、白黒ツートンのハチロクと銀色の180SXを並べ、孝介と祐一は顔を見合わせ、にやりと笑った。くたびれた感じの180SXと比べると、ハチロクの真新しい塗装が際立って映える。
銀色の180SXも、白黒のハチロクも、どちらも元々は祐一が乗っていたクルマだった。舞が新人としてチームに加わったのは、ちょうど祐一が180SXから70スープラに乗り換えたタイミングであったため、ハチロクを製作している期間は、舞が練習用として一時的に使用していた。180SXではなくハチロク乗りとしてデビューするのは、孝介や祐一を含む周囲が望んだことであった。
「まったく。天然というか何というか。そういう所まで名雪にそっくりだ」
水瀬名雪。舞や祐一が所属するチーム“RacingStars”のリーダー。祐一の従妹かつ幼馴染にして、かつては群馬最速のダウンヒラーとして名を知られたハチロク乗り。そして――今夜の主役となるべき人物。
「こわくないのかよ。お前のファーストランが、こんな夜でさ」
ああ、こいつ、先輩風を吹かすどころか、柄にもなく酔ってやがる。そんなことを思いながら、孝介は、後輩2人のやりとりを眺めていた。でもまあ、今夜ばかりは仕方ないか。
「何が言いたいの?」
「今夜は、さ…………」
もったいぶるように一呼吸して、祐一が続ける。
「……伝説が蘇る夜さ……」
6月なので、だいぶ日が長い。月が上ったあたりで、赤黒ツートンのクルマがRBFの敷地に入ってきた。往年のシルエットフォーミュラーを模した旧いスカイラインRSターボは、チームリーダーである水瀬名雪のクルマだった。チームNo.2である倉田佐祐理が合流したのは、もう少し経って、日が完全に暮れた頃だった。
打ち合わせの途中で夕立が降ったが、すぐに晴れた。
「祐一さん。そろそろ時間ですよ。ほら、舞も」
「舞ちゃん。気にしないでいいんだよ、ただ走ればいいの。感じるままに」
名雪がRSターボに、佐祐理がFCに、祐一が70スープラに搭乗し、エンジンを始動させる。舞もハチロクレビンに乗り込み、孝介は親指を立てて送り出した。
「(残る奴と降りる奴…、だた、それだけだ)」
そう思うのは、一線を退いた者特有の感傷なのだろうか。店舗2階の事務所の窓から、紅い満月を見上げ、孝介はマグカップの冷めたコーヒーを飲んだ。遠くから、エンジンの爆音が響いてくるような気がした。
33
:
幸平@管理人
:2018/01/06(土) 13:51:28
緑ソフィア「ラトルスネーク!!」
ソフィア「あうっ」「ぐはっ」
緑「その程度?あんたの力ってのは…」高笑い
緑「全く話にならない殺試合だわ」
ソフィア「だまれ!!」
ソフィア「貴方は何も感じないの!?」「こうして同じ容姿をした私達がこんな形で闘ってるなんて!!」
ソフィア「私達はあの秘密結社によって運命までも弄ばれようとしているのよ!!」
緑(高笑い)
緑もちろん知ってるわよその程度のこと」「でぇもねぇ…」
緑「要は世の中強い者が勝つ…それでいいじゃない」
緑「それにこの闘神大武会…」「私にとっては願ってもないチャンスなのよ」
緑「まず第一に己の力の限界を知る為に――」「そして第二に――」
緑「私は二人いらない!!」「目ざわりなんだヨ実験体の分際で!!」「消えてしまいな!!」
ソフィア「ああっ」「ううんっ」「ぐはっ」「!」「はっ!!」
ソフィア「フッ」「あの小娘に教えられるとは…私もまだまだ未熟だな」
ソフィア「そうだよォ」「何が何でも私はこの大会」「負けられないんだよ!!」
緑「貴様ァァ」
ソフィア「コール・ミークィーン!!」
緑「ぐああああっ」
ソフィア「いつでもお相手するわヨ」
34
:
幸平@管理人
:2018/01/06(土) 14:43:42
第304飛行隊
霧谷 鷹子(きりたに たかこ)
本作の主人公。2等空佐、第304飛行隊長(TACネーム“キリー”)
搭乗機はF-15DJを改修したF-15DJi“イーグルアイ”
(東大卒、技官補制度を利用した2佐相当であり、正規の自衛官ではない)
國村 武(くにむら たけし)
3等空佐、第304飛行隊飛行班長(TACネーム“クッキー”)
第304飛行隊においては部下の久茂1尉と並んでトップクラスの腕前だと評されているが
オーバーGの常習犯でもあり、久茂1尉から「ダンプカー」と呼ばれる等、直情的な性格
ヘルメットに描かれた目が本人の感情と連動するコミカルな描写がある
(航空学生出身であると考えられる)
久茂 誠太郎(くも せいたろう)
1等空尉、第304飛行隊所属(TACネーム“メッシュ”)
第304飛行隊においては上司の國村3佐と並んでトップクラスの腕前だと評されている
(航空学生出身であると考えられる)
児島 敦弥(こだま あつや)
2等空尉→1等空尉、第304飛行隊整備小隊長
叩き上げの部内幹部であり、國村3佐からも一目置かれている様子が見られる
整備補給群司令からも信頼されており、吉村や椎原とも旧知の仲であり人脈が広い
硫黄島における日米合同演習の後、1等空尉に昇任
蝶野
3等空佐、第304飛行隊所属(TACネーム“パピ”)
穏やかな雰囲気のベテランである
國村3佐をして「おれと蝶野で何とかする」と言わしめた
終盤の空中戦で、中国空軍機に乗機が撃墜される(生死の描写はない)
(航空学生出身であると考えられる)
古矢
1等空尉、警戒航空隊(浜松)から第304飛行隊に異動(TACネーム“ウルフィ”)
要撃管制官、E-767 AWACSに搭乗していたが、イーグルアイの後席に搭乗する
児島2尉から「浮いている」と心配される
付幹部
3等空尉、丸顔の若手幹部であり、のん気な性格
機付整備員
主に2等空曹クラスの体格の良い女性自衛官(WAF)である
整備作業中は『イーグル愛』と記入された部隊Tシャツを着用している
その他、第8航空団
松澤 駿一(まつざわ しゅんいち)
空将補、第8航空団司令
江久間 籾蔵(えくま もみぞう)
1等空佐、飛行群司令
根来 龍生(ねごろ たつお)
2等空佐、第6飛行隊長
御堂(ゾロ)、照川(テリー)、一文字(モンジ)、田内(ウッチ)
第6飛行隊所属。階級が判明しているのは御堂のみ(2等空尉)
大胡内 力(おおこうち りき)
1等空佐、整備補給群司令
椎原
階級不明、第6飛行隊がF-1を運用していた時代に整備班長を務め
F-1の用途廃止に伴い事務職に転向
南西航空混成団隷下
織田
1等空佐、南西航空混成団副司令
ジャック、ディッシュ、ジェリー、フィーバー
第83航空隊第302飛行隊所属、3等空佐
整備小隊長
第83航空隊第302飛行隊の整備小隊長を務めるパンチパーマ
その他
吉村 実(よしむら みのる)
1等空佐、飛行開発実験団Jファイタープロジェクト推進室副室長
モデルは元空将補で補給本部副長や第1術科学校長を務めた人物か?
(作者の前作『原子力空母信濃』に実名で出演し、整備隊長を務めた)
39
:
1st/緑
:2018/01/15(月) 23:14:15
「ラトルスネーク!!」
「あんっ! ああんっ!」
体じゅうを鞭で打ちのめされ、私――ソフィアは、リングの床に叩きつけられた。
「っは……!」
鞭打と足技で手ひどく痛めつけられた体は、なかなか言うことを聞かない。
「その程度? あんたの力ってのは…」
敵――もうひとりの『ソフィア』が、私を見下し、耳障りな高笑いをあげた。
「全く話にならない殺試合だわ」
「だまれ…っ!」
なんとか立ち上がる。
「貴方は何も感じないの…? こうして同じ容姿をした私たちが、こんな形で闘ってるなんて…っ!」
「私たちは、あの秘密結社に、運命までも弄ばれようとしているのよ!?」
緑(高笑い)
緑もちろん知ってるわよその程度のこと」「でぇもねぇ…」
緑「要は世の中強い者が勝つ…それでいいじゃない」
緑「それにこの闘神大武会…」「私にとっては願ってもないチャンスなのよ」
緑「まず第一に己の力の限界を知る為に――」「そして第二に――」
緑「私は二人いらない!!」「目ざわりなんだヨ実験体の分際で!!」「消えてしまいな!!」
ソフィア「ああっ」「ううんっ」「ぐはっ」「!」「はっ!!」
ソフィア「フッ」「あの小娘に教えられるとは…私もまだまだ未熟だな」
「そうよ。何が何でも、私は、この大会――――」
私は、自分自身に気合を入れるため、鞭を鳴らした。
「負けられないのよっ!!」
鞭を振り、雷の環を放つ。
緑「貴様ァァ」
「コール・ミー…」
練りあげた闘気を開放し、ダイヤモンドダストのように輝く光に包まれる。
「クィーン!!」
「あああああんっ!!」
断末魔の悲鳴を上げ、吹き飛んでいった。
リングの縁、リングアウトすれすれのところに留まる緑を見下し、私は、勝ち名乗りを上げる。
「いつでもお相手するわよ」
40
:
1st/緑
:2018/01/16(火) 20:15:34
ソフィアはKGBのトップエージェントとして働いていた。組織の誰からも羨望のまなざしを受け、完璧な人物に見られていた彼女も、苦しみを心に抱えていた。
家族との思い出が矛盾している――。
家族と自分の記憶に違いがあるのだ。
祖国の崩壊によりKGBが消滅した際、あらゆる組織や企業からスカウトされたが、彼女はすべて断り、どんなに些細な情報でも手に入れるために、しがない私立探偵となったのだ。調査を重ねるにつれ、記憶に関わる結社の存在が浮かび上がった。そして、本格的に動き出そうとした矢先に、結社から闘神大武会参加招待状が届いた。
母は反対したが、ソフィアは翌朝旅立った。家族には何も告げずに、愛用の鞭のみを携えて。母は哀しむだろうが、それでも行かなければならない。駆け出すソフィアの後ろ姿を、母親はだまって見送っていた…。
42
:
幸平@管理人
:2018/02/15(木) 23:14:50
「それでは、これはいかがです?ミス・ウラヌス」
「これは…?」
「もとは【新人類計画(人間兵器プロジェクト)】の実験体のひとつです」
「名を【ソフィア】といいます」
「新人類計画というと、肉体的に優れた人間を創り出す計画だったな」
「強いのですか?」
「この実験体が、奇妙な技をいくつか使うことも確認されております」
「中には強度のキルリアン反応を示すものもありました」
「ほう、増幅器なしにですか?」
「はい。実はこの実験体は新人類計画の職官者――この実験体の母親らしいのですが」
「彼女と共に脱走し、消息を絶っておりました」
「しかし、このところ我が結社を調査している者がありまして」
「そこがこの実験体だったというわけです」
q's reception
「おそらく自分が何者なのか調べているのでしょう」
「あと、非常に興味深い現象がありまして――」
「うん?」
「この実験体の外観のせいなのか、何なのかはわかりませんが…」
「ある種の人間に対し、物別な影響を与えることも確認されております」
45
:
幸平@管理人
:2018/02/24(土) 11:10:29
日本、東京
廃墟となったダンスフロアで、ソフィアは踊っていた。
(荒れ果てた)
しなやかで華麗な舞いは、新体操やフィギュアスケーター
しかし、ソフィアが手にしているのは、リボンではなく、革の鞭だった。
「サンダーリング!」
雷の環を放つ。
「オーロラレボリューション!」
フィギュアスケーターのように、高速でスピンする。
「ラトルスネーク!」
鞭を操り、
ひととおり技の感覚を確かめ、ソフィアは動きを止めた。
結社の四天王の一角、“緋色の堕天使”クピード
傷ついた体を癒し、次の道へ進もうとしていた。
46
:
幸平@管理人
:2018/02/25(日) 10:03:51
「とりあえず、お手並み拝見といくぜっ!」
「烈空斬!」
「サンダーリング」
「いない!?」
鞭、蹴上
Q'sR
「なかなかやるね、お姉さん」
「おだまりっ」
「ラトスルネーク」
「オーロラレボリューション」
「コールミークイーン」
47
:
幸平@管理人
:2018/02/25(日) 10:32:02
至近距離から放たれた円環状の雷撃が、ソフィアに吸い込まれるように直撃する。
「サンダーリング」
「あんっ!」
体じゅうにスパークが走り、ソフィアは体を折った。
「オーロラレボリューション」
遠心力で破壊力を増した鞭が、ソフィアの無防備な脇腹を何度もえぐる。
「あんっ! あんっ! あんっ! あんっ! あんっ!」
「ラトルスネーク」
乱舞する鞭が、ソフィアの体を何度も撃ちのめす。
「――――!」
絶え間ない鞭の連撃に、声すら出ない。フィニッシュの一撃に足元をすくわれ、ソフィアはきりもみ状態に回転しながらリングの床に沈んだ。
「コールミークイーン」
ダイヤモンドダストのように輝く闘気を身にまとい、空中に不規則な軌道を描いて加速する。
「あああああんっ!」
威力を増した体当たりが直撃し、ソフィアはなす術もなく吹き飛ばされた。
「はっ!」
気合の声とともに、鞭が加速する。
「サラマンダー!」
闘気の炎に包まれた鞭の乱舞は、ラトルスネークよりも、威力、スピードも桁違いであった。
「――――!!」
炎の鞭をまともに受け続けたソフィアは、フィニッシュの一撃で吹き飛ばされ、リングの床に叩きつけられた。
「触ってもいいのよ」
胸を強調するように手招きし、ソフィアに近づく。体と体が触れ合った瞬間――
「ラブラバー」
闘気の光とともにスピンを描き、ソフィアの周囲を回り始める。
「あんっ!あんあんっ!あんっ!」
遠心力が乗り、闘気で破壊力を増した鞭が、ソフィアを何度も打ちのめす。
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