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アライちゃんのいる日常5
1
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/21(月) 22:32:01 ID:???00
wikiまとめページ
https://www65.atwiki.jp/trashpanda-araisan/sp/pages/739.html
アライちゃんのいる日常5
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1530611523/
5スレ目
>>818
からの続きとなります
区切りのいいとこで6スレ目いきます
2
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/21(月) 23:00:08 ID:???00
飼い主男「…いいか、アラ助。俺達人間は、死ねばすぐに他の人達に伝わるようになってる。機械でそうなってるんだ」
アラ助「そ…そうなのか?」
飼い主男「だから、もし俺が死んでも、アラ助は独りぼっちにはならない。俺の家族や、他の優しい人に引き取られて、そこで暮らせるんだ」
アラ助「…かいぬしさんがゆうなら、しんじるのだ」
飼い主男(…なんとかなった…)
飼い主男は嘘をついた。
ペットショップで教わった通りの嘘を。
もしもここで、本当のことを…
「場合によっては、アラ助は餌も水も与えられず、独りぼっちで死んでいく」ということを、教えたら。
…ほとんどのペットアライちゃんは、暴れて手がつけられなくなるのだという。
3
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/21(月) 23:07:32 ID:???00
では、アラ助はこのままずっと、大人しくていい子のままで居続けられるだろうか…。
…
〜山〜
アラ助「ふははー!たのしいのだー!」ペタペタペタペタ
飼い主男「アラ助、もうすぐ夕方だ。そろそろ帰るぞ」
アラ助「えー!もっとあそびたいのだー!かいぬしもたのしーだろー!」シッポフリフリ
飼い主男「まあそうだけど…家帰って、飯食って風呂入らなきゃ」
アラ助「うぅー、やなのだぁ!もっとあそびたいのだー!」シッポフリフリ
飼い主男「アラ助!言うこと聞きなさい!」
アラ助「うぅーーーーー!もっともっともっともっともっとあーーそーーーびーーーたーーぃーーーーのーーーだぁーーーーー!!」コスリコスリ
飼い主男「…」
久し振りにアラ助を山へ連れていったが…
なんとアラ助は、我が儘を言った。
ペットショップで言われた「我が儘を言ったら嫌われて殺される」という教育はどこへ行ったのだろうか。
4
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/21(月) 23:13:35 ID:???00
飼い主男「アラ助。我が儘言うなら今日の晩飯は抜きにするぞ」
アラ助「ばんごはんなら、このやまでさがせばいいのだ!かいぬし、いっしょにさがしにいくのだぁ!」シッポフリフリ
飼い主男「いいから来いって!」グイィ
飼い主男はアラ助の首輪を強く引っ張る。
アラ助「いだいのだあ!ぐええ、ぐゆじい!がいぬじやべでえ!」グググ
飼い主男「…ごめんな。だけど、また連れてきてやるから、今日はもう帰ろう」
アラ助「うぅうぅぅぅううぅぅぅ…あしたまたくるのだぁ」
飼い主男「流石にそんな頻度じゃ…」
アラ助「きたいのだああ!またやまきたいのだああーっ!おねがいなのだかいぬしぃ!」コスリコスリ
飼い主男「っ…」
アラ助がこんなに我が儘を言ったことは今までにない。
山へ連れてきたことが原因だろうか?
いや…
きっと、どこか楽しいところへ連れていくなら、山でなくとも一緒だっただろう。
5
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/21(月) 23:19:12 ID:???00
飼い主男「…アラ助。お前は俺の何だ」
アラ助「うぅ!あらいさんは…かいぬしの、ぺ、ぺっと、なのだ」
飼い主男「そうだ。ペットなら、言うこと聞け」
アラ助「っ…!うぅううぅうぅううぅう〜〜〜〜〜っ!!!!」ギュウゥウゥ
アラ助は頭を押さえ、呻いた。
アラ助「かえりたくないのだあ!あんなせまいとこで!ずっとずっとずーーーっとひとりぼっちでたいくつにまってるの!もうやなのだああ!」シッポブンブン
飼い主男「アラ助…。…ちっちゃいときは、ちゃんといい子でお留守番してただろ!」
アラ助「うぅ!そうなのだ、そうなのだけど…!うぅうぅ…!」
飼い主男「…これ以上我が儘言ったら、無理矢理連れていく。そしてもう二度と連れてきてやらないぞ」
アラ助「!そ、それは、やなのだ…」
飼い主男「ちゃんと言うこと聞けば、ここだけじゃなく、いろんなとこ連れてってやるぞ」
アラ助「…」
アラ助「…かえるのだ」ペタペタペタペタ
飼い主男「…いい子だ」スタスタ
なんとかアラ助をなだめることができたようだ。
6
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/21(月) 23:26:10 ID:???00
翌日。
アラ助「おっさんぽ♪おっさんぽ♪たのしーのだ♪らんららんららーんらら♪」ペタペタシッポフリフリペタペタシッポフリフリ
飼い主男「散歩コース一週したな。よし、帰るぞ、アラ助」
アラ助「かいぬし、もういっしゅーするのだ!こんどはぎゃくまわりで!」シッポフリフリ
飼い主男「い、いやいや。お前があちこち寄り道するから、時間がかかって…!また明日にしような」アセアセ
アラ助「うぅ!もーいっしゅー!もーいっしゅーだけなのだー!」シッポブンブン
飼い主男「…アラ助!俺とお前、どっちが偉い。言ってみろ」
アラ助「うぅ!…かいぬしのほーが、えらいのだ…」
飼い主男「そうだ。じゃあ、きちんと言うこと聞けるな」
アラ助「…」プクー
アラ助は頬を膨らませて不機嫌そうになった。
アラ助「…わかったのだ、かえるのだ」ペタペタペタペタ
飼い主男「…」スタスタ
日に日にアラ助は自己主張が強くなってきているようだ。
命令すれば、言うことは聞いてくれるが…
飼い主男(一体どうしたんだ、アラ助…)スタスタ
7
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/21(月) 23:35:57 ID:???00
〜飼い主男の家、夜〜
飼い主男「じゃあおやすみ」スタスタ
アラ助「おやすみなのだー」
飼い主男は寝室に戻った。
アラ助「…」ポツン
アラ助は、部屋の中から出ることができない。
『アライ縄張り法』に則り、首輪のリードを部屋の中に繋がれているからだ。
アラ助「たいくつなのだ…これはずれないのか?」ガチャガチャ
アラ助はリードを固定する鍵をはずそうと試みたが、うまくいかないようだ。
アラ助「…」ゴロン
アラ助「あらすけは…かいぬしをよろこばせるためにうまれた、ペットなのだ…」
アラ助「…でも…」
アラ助「アラ助だって、飼い主みたいに、お外で自由に好きなことしたいのだ…」
アラ助「飼い主はいいのだ、お外で毎日、好きなことして暮らせるのだ」
アラ助「なんでアラ助はダメなのだ?なんでアラ助は、飼い主たちみたいな人間に生まれてこなかったのだ」
アラ助「うらやましいのだ…」クルッ
アラ助は、リードを固定する鍵を見つめる。
アラ助「…うぅ…」グイグイ
アラ助「…せめて、おさんぽぐらい、ひとりでいかせてほしいのだ…」ゴロン
アラ助「…ねるのだ…むにゃ…」
アラ助「すぴー…すぴー…」zzz
アラ助は飼い主と一緒に生活し、昼型の生活サイクルになっている。
夜に寝て、朝起きるのである。
8
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/21(月) 23:49:51 ID:???00
…朝…
飼い主男「ニュースでも観るか」ポチッ
飼い主男は、朝食を食いながらテレビをつけた。
ワイドショーがやっている。
飼い主男「もぐもぐ…」
テレビ『次の話題です。脱走したペットのアライさんが、イチゴを窃盗!?飼い主に実刑判決!』
飼い主男「!?」ピタッ
テレビ『昨日、○○県の天谷 樫太(あまや かした)被告の飼育していた成体のペットアライちゃんが、自宅の窓の鍵を開けて脱走し、近所の住民が育てていたイチゴを食べるという事件が発生しました』
飼い主男「…」ゴクリ
テレビ『被告はアライ縄張り法に違反した飼育をしていたことを認めました。被告によると、ペットアライちゃんは自宅の部屋に繋いで世話をしていましたが…』
テレビ『自由を求めて暴れるようになり、可哀想でリードの鍵を外し、家の中で自由を与えたと供述しています』
飼い主男「…そういう事件もあるのか…」
テレビ『事件を起こしたペットアライちゃんは、その後業者の手で楽園へと送られ、現在は楽園で自由を得て過ごしている、とのことです』
飼い主男「…楽園…自由…」モグモグ
テレビ『この事件、どう思われますか?』
テレビ『喝だ!まったくゥ、飼い主しっかりしろよなぁ。ペットの罪は飼い主の責任だろぉ?そこんとこ分かってる?』
飼い主男「…」モグモグ
飼い主男は、この事件がなんだか…他人事とは思えなかった。
9
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/22(火) 00:04:30 ID:???00
テレビ『次は明るい話題です。アライダロス社で販売している最高級品種のペットアライちゃんが、この度エコノミーアライちゃんとして、正式にヨチライフ手術およびアライドール手術の免除を許可されました』
飼い主男「…?」モグモグ
テレビ『アライダロス社は、ペットアライちゃん工場の中でも最高級ブランドとして知られています。成体になっても独立心が弱く、ずっと飼えることが特徴です』
テレビ『そんなアライダロス社のブランド品種「アライダロス」が、厳しい審査を通過し、脱走対策施術無しで飼育できる許可が得られました』
飼い主男「お高いんだろうな…」モグモグ
テレビ『尚、アライドール手術を受けた成体アライダロス達は、ビジネス部門での産業利用へ活かす試みが行われています』
テレビ『どうですか?このニュース』
テレビ『天晴れ!いやぁ、ペットアライちゃんのここまでの品種改良。苦労しただろうねーホント。』
飼い主男「…」モグモグ
飼い主男は、ずっと気になっていた。
ペットショップも、メディアも…
なぜ揃いも揃って、ペットアライ『ちゃん』という名称を使うのだろうか?
10
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/22(火) 00:10:11 ID:???00
例えば犬の場合、『犬』として売られはするが、わざわざ『子犬』という名称で販売されはしない。
猫も、『子猫』として売られはしない。
ウサギも、ハムスターも。『子ウサギ』『子ハムスター』などとわざわざ言わない。
殆どのペットは成体になること前提の名称で呼称し販売されている。(『ヒヨコ』を除いて)
では、ペットアライちゃんは…
なぜペットアライ『さん』という名称ではなく、ペットアライ『ちゃん』なのだろうか?
犬や猫はインコの例になぞるならば、ペットショップでもメディアでもペットアライ『さん』と呼ぶのが妥当だ。
にも関わらず、ワイドショーでもペットショップでも、ペットアライ『ちゃん』と呼んだ。
わざわざ『成体のペットアライちゃん』等というややこしい呼び方をしてまで。
飼い主男「…」モグモグ
飼い主男はどうもモヤモヤしていた。
飼い主男「まあ、どうでもいいか…」
11
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/22(火) 00:17:19 ID:???00
飼い主男「アラ助ー、ご飯だぞー」ガチャッ
飼い主男は器にたくさんのペットフードを盛り、アラ助の部屋に入った。
アラ助「はぁ、はぁ…!かいぬしぃ…!おねがいなのだ、この鍵!外してほしいのだぁ!」グイグイ
飼い主男「…だめだ、法律だからな。ほら、ご飯だぞ」スッ
アラ助「うぅううぅう!!!せめて、せめてお家の中だけでいいから、お散歩させてほしいのだ!!ああああ!退屈で頭が狂いそうなのだあ!」
飼い主男「帰ってきたら散歩連れてってやるから…じゃあな」スタスタ
アラ助「飼い主ぃいいいいいいぃいーーーっ!おねがいなのだああーーーーっ!」
飼い主男(…どっちが飼い主だか分からないな………。俺は召し遣いじゃないぞ)スタスタ
飼い主男(そういえば、最近アラ助のやつ、全然甘えてこなくなったな…)スタスタ
飼い主男(昔はもっと、撫でてーとか遊んでーとか言ってきて可愛かったのに…)スタスタ
12
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/22(火) 00:28:16 ID:???00
ペットアライちゃんは、小さいうちはケージに閉じ込められることに何ら抵抗を感じない。
これは、ペットアライちゃん工場職員の教育の賜物でもあるが…
自然元来のアライちゃんの習性が、そもそも狭いところに閉じ籠って過ごすことに向いているからだと言われている。
自然の中のアライちゃんは幼いうちは、木の穴や民家の屋根裏など、狭い巣に閉じ籠って親に育児される。
巣の外には外敵がひしめいており、出ていったらすぐに捕食されることだろう。
だが、家にこもっていれば、親が餌を持ってきてくれる。
自分で餌を探す必要などない。
どうせ探すだけの力はまだない。
つまり、狭い巣に閉じ籠ることは、幼いアライちゃんの心に安堵をもたらすのである。
母親や飼い主に甘えるのは、親を喜ばせて可愛がってもらい、世話をしてもらうためだという。
だが、独り立ちできる年齢になると、閉じ籠められることを物凄く嫌うようになる。
自分の力で生きていくように、思考が切り替わり始める。
親への反抗が始まり、甘えなくなる。
自分の力で餌を探し、獲るために、外界をくまなく自分の足で歩きたくなる。
どこまでも、どこまでも。旅をしたくなる。
それがアライさんという生き物だ。
アラ助は並の値段の品種のペットアライちゃん。
成長は野良より遅いが、こと本能や習性という点において、未だ自然での生活に適した…
『ペット向きでない』生態をしていると言わざるを得ない。
13
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/22(火) 00:32:21 ID:???00
アラ助「う、うぐうぅうぅ…飼い主ぃ…」ポツーン
アラ助「飼い主は、なんで、アラ助を…。自由にさせてくれないのだ…」
アラ助「アラ助はもう大人なのだ。大きくなったアラ助を、なんでお世話なんかするのだ…?わかんないのだ…」
アラ助「ペット…ペットだから?なんで飼い主はアライさんをペットにしてるのだ?」
アラ助「アラ助は、アラ助は…どうしたら、自由にしてもらえるのだ…」
アラ助は独りぼっちの部屋の中で、独り言をぶつぶつと呟き続けた。
14
:
名無しさん
(ワッチョイ 1d9a-8794)
:2019/01/22(火) 00:33:52 ID:yCXmhm9Y00
待ってましたー!
どうなる、アラ助・・・
15
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/22(火) 00:41:41 ID:???00
飼い主男「行くか…」スタスタ
飼い主男は玄関で靴を履く。
郵便受けを見ると、一枚のハガキが突っ込まれていた。
飼い主男「ん?ハガキ…広告か?」スッ
飼い主男はハガキの内容に目を通す。
『ペットアライちゃん飼育18ヶ月おめでとうございます!』
『大人になったペットアライちゃんが、自由を求めて暴れていませんか?』
『アライさんの楽園へ巣立たせ、幸せな暮らしを与えてあげましょう!』
『3ヶ月後くらいに送迎予約をして、教えてあげれば、また仲良くなれますよ♪』
等々の文章が書いてある。
また、イラストも描かれていた。
高校の卒業式会場のような場所で、女性用スーツを着たアライさん達が歌を歌っているイラストだ。
飼い主男「…」
飼い主男「…いいや、アラ助は、まだ…俺の言うことを、ちゃんと聞いてくれてる…」フラフラ
飼い主男「いい子なんだ…いい子なんだよ、アラ助は…」
飼い主男「こんなうさんくさい楽園になんて、送るもんかよ…」スタスタ
飼い主男はハガキをゴミ箱へ突っ込み、職場へと向かった。
16
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/22(火) 00:42:34 ID:???00
つづく
17
:
名無しさん
(ワッチョイ 6cc1-1708)
:2019/01/22(火) 00:48:11 ID:2YvCNay600
乙です
18
:
sage
(ワッチョイ 280e-74ef)
:2019/01/22(火) 01:43:53 ID:y0qwhM1E00
乙です
19
:
名無しさん
(ワッチョイ 1d9a-8794)
:2019/01/22(火) 01:46:36 ID:yCXmhm9Y00
乙でした。
遂に、明確な数字としてのタイムリミットが出てきましたね。
どうなるか、とてもわくわくします。
20
:
名無しさん
(ワッチョイ 5281-b319)
:2019/01/23(水) 05:09:46 ID:4DhG.c3s00
乙でした―面白いです
21
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/23(水) 22:38:12 ID:???Sd
…
アラ助「…」ポツーン
部屋に独りぼっちのアラ助。
アラ助「う、うぅ…」キョロキョロ
アラ助の部屋には、暇潰しの遊び道具がいっぱいあった。
パズル、携帯ゲーム機、運動器具、絵本など。
だが…
アラ助「暇潰し…暇潰しなんかやってもおもしろくないのだ…!」
アラ助「うぅーーー!外に出たい!出たい出たい出たい出たい出たい出たい!出たいのだぁーーーっ!」ドタバタ
アラ助は退屈で退屈で仕方がなく、ストレスで頭が押し潰されそうになっていた。
アラ助「ぐうっぅ、ぅううう!はずれろ!はずれろおおおぉぉ!」ガチャッガチャッ
アラ助はリードを固定する鍵をいじくったが、外れる気配はない。
アラ助「はぁ、はぁ…」ゴロン
アラ助は仰向けにねっころがった。
アラ助「…」ゼェハァ
アラ助「アラ助は…ペット…飼い主の、ペット…。飼い主を喜ばせるために、生まれた…」ゼェハァ
アラ助「ペットって何なのだ…アライさんはいつまでこうしてなきゃいけないのだ…」ゼェハァ
アラ助「まさか、い…」
アラ助「…一生…ずっと…こうなの…か…?」
22
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/23(水) 22:42:31 ID:???Sd
アラ助「アラ助は、ずっと…ずっとこのまま、毎日退屈なこの部屋でゴロゴロしてなきゃいけないのか…?」
アラ助「飼い主は仕事に行ってる間ぜんぜん構ってくれないし…お散歩も短いし…」
アラ助「嫌…なのだ…!」ブルブルワナワナ
アラ助「こんなずっとずーーっと同じことの繰り返しの、退屈な毎日なんて…!もううんざりなのだぁ…!」
アラ助「何とかして、飼い主から自由をもらうのだ!」ゼェハァ
23
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/23(水) 22:49:32 ID:???Sd
夜、飼い主男が帰ってきた。
飼い主男「ただいまー、アラ助」ガチャッ
アラ助「かいぬしぃいい!」ガバッ
アラ助は土下座した。
飼い主男「な、なんだ」
アラ助「がいぬじぃ!アラ助はもう限界なのだ!我慢の限界なのだぁあ!あたまがこわれそうなのだあああ!」
飼い主男「アラ助…」
アラ助「もううんざりなのだ!こんな狭い部屋に閉じ籠って!つまんない暇潰しばっかりして!お散歩も自由にできなくて!ただずっとここに閉じ籠ってるだけなのだああ!」
アラ助「もういやなのだああああああ!アラ助は自由になりたいのだああ!お外を自由に散歩したいのだあああああ!」
飼い主男「…」
アラ助「…外はダメでも、せめてお家の中だけでも…自由に歩きたいのだ…!」
飼い主男「…」
アラ助「かいぬしいいぃ!おねがいだから!この首輪とってなのだ!絶対お外に出ないから!お家の中だけ散歩するからあああ!この首輪のリード取ってなのだあああああああ!」
アラ助は大声で嘆き、叫び、懇願した。
飼い主男「………」
24
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/23(水) 22:55:33 ID:???Sd
飼い主男「だめだ…昨日ニュース(ワイドショー)でやってた。そうやって家の中で放し飼いにしてたアライさんが、窓から外に出て盗みをしたって」
飼い主男「法律でダメだって決まってるんだ」
アラ助「ほーりつが何なのだ!!!!アラ助は泥棒なんてしないのだああ!おねがいだからリード取ってなのだああああ!」ガチャガチャ
飼い主男「…散歩の時だけなら」
アラ助「普段からなのだああ!」
飼い主男「…反抗しちゃダメだって言ってるだろ」
アラ助「ぐ、ううううううう!でも!もうアタマの限界なのだあああ!ああああああ!毎日毎日毎日毎日毎日毎日ずっとずっとずっとずーーーーっとおんなじ部屋の中!!!」
アラ助「飼い主にはわかんないのだ!アラ助が毎日どんだけ退屈で!どんだけ暇で!どんだけ苦しくって!嫌で嫌で仕方ないか!」
アラ助「頭痛がするぐらい!気がおかしくなりそうなのだあああ!!!」
飼い主男「…」
どうしてアラ助は、こうなってしまったのだろうか。
今までのアラ助は、なんでも言うことを聞く、従順な『いい子』だったのに。
どうしてこんなに『悪い子』になってしまったのだろうか。
25
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/23(水) 23:00:34 ID:???Sd
飼い主男「…アラ助」
アラ助「どうせダメだって言うのだろ、飼い主」
飼い主男「そうだ」
アラ助「…!」ワナワナ
アラ助「うぅ…ぅうううぅう…!」ブルブルワナワナ
飼い主男「!!?」
アラ助「うがああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!ぁああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あぁああああーーーーーーーーー!!!!!!!」
26
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/23(水) 23:01:06 ID:???Sd
続く
27
:
名無しさん
(ワッチョイ 9319-714d)
:2019/01/23(水) 23:08:33 ID:rCbml3s200
乙です。頭がおかしくなったのか?それとも…
28
:
名無しさん
(ワッチョイ 29c3-7a8b)
:2019/01/23(水) 23:22:44 ID:yCXmhm9Y00
乙です。
スーパーアライさんに目覚めそうな雄たけびで、びっくりした。
アラ日の世界だと野生開放の概念はあるんでしたっけ?
29
:
名無しさん
(ワッチョイ b463-0447)
:2019/01/23(水) 23:29:37 ID:IptLoesQ00
イボアライちゃんがどうなってるか気になるな
アラ助みたいに発狂してるのかな?
30
:
名無しさん
(アウアウ 3d20-46d9)
:2019/01/24(木) 19:19:01 ID:PlEDzyZcSa
この状態で餌を数日抜いたり、ヨチライフの実証実験として野山に置かれたアライさんのように自然の中での己の無力さを知らしめたら、どうなるんやろ?
31
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/24(木) 23:49:29 ID:???Sd
アラ助「はぁっはぁっ…」ゼェハァ
飼い主男「あ、あんまり大きい声で叫ぶな!近所迷惑だろ!」
アラ助「散歩いくのだ」
飼い主男「アラ助…」
アラ助「さ ん ぽ !!!!」
飼い主男「わかったよ…」カチャカチャ
飼い主男はアラ助のリードを持ち、夜の散歩に出かけた。
そして公園のとこまでくると…
アラ助「…」ピタッ
飼い主男「ど、どうした」
アラ助「ふんぬ!」グイイイッ
突如アラ助は、リードを手で掴みぐいっと引っ張った。
飼い主男「ああっ!?」パッ
いきなり引っ張られたため、飼い主男はリードを放してしまった。
アラ助「ああああああ!!!アラ助は!!!自由になるのだあああ!!!」ペタペタペタペタペタペタ
飼い主男「あ、アラ助!?」
アラ助は草の茂みへ向かって、四つん這いでぺたぺたと這い進んだ。
32
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/24(木) 23:55:28 ID:???Sd
アラ助「うがああああ!!!飼い主!!追ってくるななのだああ!アラ助はもう独り立ちするのだあああ!」ペタペタペタペタペタペタ
飼い主男「だ、ダメだ!」ガシィ
だがすぐに飼い主男は追い付き、リードを掴んだ。
アラ助「はなせえええ!はなすのだあああああっ!」グイグイイイ
アラ助は必死に飼い主男から離れようとする。
飼い主男「なんでだ、なんで逃げようとするんだアラ助!!お前昔は大人しくていい子だったじゃないか!なんでそんな変わったんだ!」グイグイイイ
アラ助「飼い主だって!!!昔はもっと優しくていい人だったのだ!!なんでそんなに意地悪な奴に変わったのだぁ!」グイグイ
飼い主男「俺…が…!?違う、変わったのはお前だろアラ助!!」
アラ助「だったらなんで今の飼い主はアラ助に意地悪するのだ!!なんでアラ助を虐めるのだ!!アラ助が嫌いになったんだろぉお!」グイグイ
飼い主男「意地悪なんてしてない!虐めてない!!昔となんも扱い変わってないだろうが!」ゼェハァ
アラ助「ぜぇ、はぁ…」ゼェハァ
33
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/25(金) 00:00:35 ID:???Sd
飼い主男「逃げようとしちゃダメだろ」ゼェハァ
アラ助「だって、飼い主から逃げないと…アラ助はずっとあの狭い部屋にいなじゃいけないのだ…!あんなのもう嫌なのだ!」
飼い主男「いいだろそれで!!今までだってそうだったじゃないか!」
アラ助「良くないのだ!!昔はよかったけど!今はもうアラ助はおとななのだ!」
飼い主男「大人だから何が違うって言うんだ」
アラ助「うぅう!さっきから何回言えばいいのだ!」
一人と一匹の言い争いは…
なぜ逃げるのか
↓
部屋に閉じ込められたくないから
↓
我儘を言うな
↓
もう我慢の限界だから逃げる
↓
なぜ逃げるのか
このループがしばらく続いた。
互いに互いの言い分を、まったく理解できなかった。
34
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/25(金) 00:05:51 ID:???Sd
飼い主男「もういいから帰るぞ!」グイグイグイグイ
アラ助「がえりだぐないいいい!がえりだぐないのだあああああ!うがあああああ!ひっぱるなあああ!」ズルズル
最早言い争いは無意味と判断し、飼い主男はアラ助のリードを引っ張って引き摺った。
アラ助「かいぬし!飼い主はなんでアラ助をおうちに連れ戻そうとするのだ!」
飼い主男「だって…お前を飼ってるから!」
アラ助「なんでアラ助を飼ってるのだ!!アラ助に何して欲しいのだ!!」
飼い主男「え…そ、それは…」
アラ助「なんなのだ!!」
飼い主男「…」
…なぜ自分は、アラ助を連れ戻そうと…
飼い続けようとしているのだろうか。
35
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/25(金) 00:11:34 ID:???Sd
飼い主男「…」
アラ助「分かんないのだ!!なんで飼い主はアラ助を閉じ込めたがるのだ!ぜんぜん分かんないのだ!」グイグイ
飼い主男自身すら、なぜアラ助を未だに飼い続けようとしているのか分からなかった。
自分の気持ちが理解できて いなかった。
飼い主男「…アラ助」ナデナデ
アラ助「…飼い主…」ピタッ
飼い主男は、アラ助の頭を優しく撫でた。
もはや中学生の少女くらいの身長まで育ったアラ助の頭を。
飼い主男「…」ナデナデ
アラ助「…」
アラ助は、拒絶することなく撫でられ続けている。
目をつぶり、落ち着いてきているようだ。
36
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/25(金) 00:18:03 ID:???Sd
アラ助「うっ…ぐすっ…!うぁあああ…わああぁぁあぁぁっ…!」グスングスン
アラ助は涙を流し、泣き出した。
飼い主男「…」ナデナデ
アラ助「がいぬじぃ…!ひぐっ、ぐすっ…」ダキッ ギューッ
アラ助は、飼い主男に抱き付き、頬擦りした。
アラ助「がいぬじぃ…ほんとに…ほんとにもう嫌なのだ…!ぐすっ、お家の中にずっと閉じ籠って、毎日毎日一人で暇潰し暇潰し暇潰し暇潰し…!えぐっ、ぐすっ」シクシク
アラ助はガチ泣きしている。
アラ助「耐えられないのだ…頭が割れそうになるのだ…!うぁぁぁっ…!アラ助を、自由に、自由にさせてほしいのだ…」シクシク
飼い主男「…自由になってどうするんだ。自分で食べ物とれないだろ」
アラ助「わかんないのだぁ!わがんないげど…ずっとずっと閉じ籠ってばっかはもう嫌なのだ…!ほんとにもう嫌なのだ…!」ウルウル
アラ助「むかしは…!飼い主がもっと大きかった頃は、おうちのお部屋の中でゴロゴロしてると落ち着いたのだ…安心だったのだ…!飼い主が守ってくれてるみたいで…!」
アラ助「でも、飼い主やおうちが小さくなってからは、それが嫌で嫌で仕方なくなったのだぁ…!」
飼い主男には、アラ助の気持ちが全く理解できなかった。
本能的に拒絶しているんだろうか。
37
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/25(金) 00:21:34 ID:???Sd
飼い主男「でも、外で俺と離れ離れになったら…。食べ物なくなって飢え死にするぞ」
アラ助「…アラ助を、おうちの外で飼えばいいのだ、飼い主」
飼い主男「…」
アラ助「お昼は自由に散歩に行って、飼い主が帰ってきたらごはん貰って、一緒に遊んで…そうすればいいのだ」
飼い主男「…」
アラ助「どうなのだ?名案なのだ!そうすれば、アラ助も飼い主も…!」
飼い主男「ごめんな、アラ助…」ダキッギューッ
アラ助「え…」
飼い主男「アライ縄張り法っていう法律があって…。放し飼いはできないんだ」
アラ助「…」
38
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/25(金) 00:24:47 ID:???Sd
アラ助「じゃあ…やっぱり、飼い主はこれから、アラ助をまたあのお部屋に閉じ込めて、苦しめようとしてるのか…!嫌がらせしようとしてるのか…!」ワナワナ
飼い主男「え、え…」
アラ助「絶対嫌なのだ、もう!あんなとこにいるくらいならお外で餓えてしんだほうがマシなのだぁ!」グイグイグイグイ
アラ助はまた逃げようとしている。
飼い主男「頼むから言うこと聞け!ペットだろお前!」グイグイ
アラ助「お願いだからお願い聞いてなのだあ!」グイグイ
パワーでは飼い主男が勝っていたため、なんとか自宅の中までアラ助を引き摺り、家へ連れ戻すことができた。
39
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/25(金) 00:28:22 ID:???Sd
そしてアラ助を、別の部屋に連れていき、リードを鍵で固定した。
飼い主男「これなら大丈夫だろ、前と別の部屋だ」
アラ助「うぅ…そうじゃないのだ…お部屋が違ってもおんなじなのだ…!鍵とってくれないとダメなのだ…!」
飼い主男「…俺にできるのはここまでだ。また明日な」スタスタ
アラ助「飼い主…」
アラ助「…」ポツーン
アラ助はまたも部屋に閉じ籠められた。
アラ助「…」
40
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/25(金) 00:48:55 ID:???Sd
飼い主男「はぁ…疲れた…」ゲンナリ
アラ助が反抗するようになってからというものの、飼い主男は毎日ストレスと心労に苦しんでいた。
何故自分がこんな心労を背負わなくてはならないのだろうか。
アラ助はペット。愛玩動物である。
心の癒しのために飼育を始めたのである。
アラ助が幼獣だった頃は、毎日アラ助によって本当に癒されていた。
可愛く甘えてくる仕草。
『かいぬししゃんしゅきしゅきなのりゃー!』と好意をストレートに伝えてくる愛情表現。
愛らしい容姿。
そのどれもが、飼い主男にとって、今まで飼ったどのペットよりも魅力的であった。
その頃は確かに、ペットアライちゃんが大人気であり、大勢の客に買われていることが納得できた。
これだけ愛らしいのなら。
これだけ癒されるのなら。
十分お値段以上の価値がある。
心の底から、飼い主男はそう感じていた。
41
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/25(金) 01:04:47 ID:???Sd
だが、今は違う。
容姿は確かに、まあ…いいかもしれないが。
癒されることなど全くない。
心労とストレスだけが積み重なっていく。
何のためにアラ助を飼っているのだろうか?
自分はわざわざ高い金を払って、心労とストレスを買っているのだろうか?
そんなつもりはない。
飼い主に癒しを与えるのがペットの役割のはずだ。
だが今のアラ助は、全くその役割を果たしていない。
これが人気ペット?
これが大勢の客に買われているペットだというのか?
自分以外の大勢の客達も、自分と同じような心労やストレスを感じているのだろうか?
こんな辛い思いを味わわされているというのに、リピーターがいるというのか?
信じがたい。
42
:
名無しさん
(ワッチョイ 29c3-46d9)
:2019/01/25(金) 01:10:36 ID:yCXmhm9Y00
待ってましたー!
遂に、遂に関係の破局が...
43
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/25(金) 01:11:37 ID:???Sd
アラ助を子供に戻すことはできない。
アラ助はすっかり変わってしまった。
言うことを聞かず、反抗するようになってしまった。
狂暴になり、自由を求めて逃げ出そうとするようになってしまった。
『悪い子』になってしまった。
飼い主男は、たっぷり愛情を注いでアラ助を育てたつもりだった。
悪いことは教えず、きちんとした倫理を教えてきたつもりだった。
我が子のように…はさすがに言い過ぎだが、しっかりとアラ助に向き合ってきたつもりだった。
…だというのに、この有り様は何だろうか。
一体、何がいけなかったのだろうか?
…ペットアライさんという生き物は。
本質的に邪悪であり、大きくなったら心が邪念に染まってしまう生き物なのだろうか。
まるでスイッチが切り替わるかのように心が悪意に染まり、飼い主を苦しめようとする、害獣なのであろうか…。
44
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/25(金) 01:16:59 ID:???Sd
…
アラ助「あぁ、ぁあああ」キョロキョロ
アラ助「うぅうう…!ぐぅううう…!」
部屋に閉じ込められたアラ助は、本能的な嫌悪感を感じていた。
アラ助は、何度もこの環境に慣れようとした。
大好きな飼い主に、育ての親に、感謝しているから。
恩義を感じているから。
慣れようとしたのである。
だが、無理であった。
生理的に無理であった。
行動範囲を狭い領域に制限され、閉じ込められ、自由を奪われること。
外を散策することもできず、時間を持て甘し、暇潰しで無為に消費することしかできない。
そんな閉塞感は、まるで無理矢理サウナルームで生活させられるかのように。
ネズミの腐乱死骸やウジ虫がびっしり敷き詰められた独房で暮らせと言われるかのように。
アラ助に、強烈な心理的ストレスを与えた。
慣れられない。
何をどうやっても慣れられないのである。
45
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/25(金) 01:21:28 ID:???Sd
かつてはこうではなかった。
小さい頃は、ケージの中に閉じ籠っていると、飼い主が守ってくれているようで安心した。
優しい飼い主のもとで、ずっとずっと一緒に暮らそうと決意した。
だが今は違う。
飼い主は、自分に苦痛この上ない苦行を強い続けるようになった。
嫌だと何度言っても分かってもらえない。
解放してもらえない。
そんな環境を強制し続ける飼い主のことを、アラ助は日に日に嫌いになっていった。
どんどん憎しみが積もっていった。
どんどん敵意が増していった。
窮屈なこの家も、自分を監禁して苦しめる飼い主も、みんな消えてしまえばいいと、心の底から望むようになっていった。
46
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/25(金) 01:24:15 ID:???Sd
アラ助「すぅ…すぅ…」
ある日の夜…
アラ助は夢を見た。
アラ助『ここはどこなのだ?』キョロキョロ
自分の首輪にリードはない。
見渡す限り、広い草原が広がっている。
アラ助『なのだー!』ペタペタペタペタペタペタ
どれだけ自由にはしゃぎ回っても叱られない。
どこまで自由に進んでもとがめられない。
アラ助『たのしいのだ!楽しいのだああああ!』ペタペタペタペタペタペタ
アラ助は、自分の意思で行きたい所に行けることに、大きな幸福感を覚えた。
47
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/25(金) 01:27:04 ID:???Sd
アラ助はあちこちを散策し、木の実や虫を見つけたが…
アラ助『広すぎてわかんないのだー』
…なにかが、足りない。
何かが…
…それは何だろうか…?
『おーい、アラ助』
アラ助『!!』
よく見知った、憎たらしい声が聞こえてきた。
アラ助『!!』
アラ助は警戒した。
また自分をリードに繋ぎ、自由を奪おうとしてくるかもしれない。
飼い主男『どこ行くんだ?一緒についていくよ』スタスタ
…夢の中の飼い主は、リードを持っていなかった。
48
:
名無しさん
(ワッチョイ 29c3-46d9)
:2019/01/25(金) 01:27:31 ID:yCXmhm9Y00
いっそのこと、脛以外にも取り除いてしまう、例えば視力を奪ったらどうなるやろ?
49
:
名無しさん
(ワッチョイ 29c3-46d9)
:2019/01/25(金) 01:32:56 ID:yCXmhm9Y00
生後直ぐにダルマにし視力も奪い、それでも成長したら独立心を起こすだろうか?
50
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/25(金) 01:33:33 ID:???Sd
アラ助『何の用なのだ』
飼い主男『アラ助の旅は楽しそうだな。ついてっていいか?』
アラ助『…かまわんのだ』ペタペタペタペタ
飼い主男『アラ助、魚が釣れたぞ!』ザパァ
アラ助『おお、すごいのだー!』
飼い主男『アラ助、その茸は毒があるから食べちゃダメだぞ』
アラ助『飼い主は物知りなのだー!』
飼い主男『アラ助、こっちの道を進むときっと川につくぞ』スタスタ
アラ助『本当なのだ!飼い主は賢いのだ!』
飼い主男『わぁ、熊に襲われた!助けてくれアラ助!』ジタバタ
アラ助『大好きな飼い主を傷付ける悪者は許さないのだ!アラ助がぶっとばしてやったのだ!』ドガァ
飼い主男『アラ助は強いな!助かったよ、ありがとう』ペコリ
アラ助『えっへんなのだ!アラ助をもっと褒めるのだ!』エッヘン
自由気ままに旅をする自分と、従者のようについてきてくれる飼い主。
そんな関係は、アラ助にとってまさに理想的であった。
ずっとずっと、この瞬間が続けばいい…
アラ助はそう思った。
51
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/25(金) 01:37:16 ID:???Sd
…
アラ助「…ん…」ムクリ
アラ助「…夢…なのだ…」
飼い主男「アラ助、餌持ってきたぞ。トイレの砂替えとくぞ」バッバッ
アラ助「…」
夢と違って、現状の飼い主は。
自分が最も欲しいもの…
『自由に外を散策すること』を、許可してなどくれなかった。
52
:
19vndrf8Aw★
:2019/01/25(金) 01:37:47 ID:???Sd
続く
53
:
名無しさん
(ワッチョイ 29c3-46d9)
:2019/01/25(金) 01:39:02 ID:yCXmhm9Y00
乙でした!
54
:
名無しさん
(ワッチョイ 6763-d183)
:2019/01/25(金) 02:15:31 ID:G/PoZLrQ00
更新乙です!
あの時、飼い主がハガキを捨てずに予約を検討していればどうなったのでしょうね…?
55
:
名無しさん
(ワッチョイ b463-0447)
:2019/01/25(金) 04:24:53 ID:IptLoesQ00
やっぱダルマじゃないと飼育大変だな
ダルマやったら餌やりと排泄処理だけだし
大人になって騒ぎ出したら喉切って喋れなくすればいいし
56
:
名無しさん
(スプー ec76-f4c6)
:2019/01/25(金) 06:02:36 ID:ekrnMDVMSd
夢の中の飼い主まるでフェネックみたいだな
57
:
名無しさん
(ワッチョイ 8eef-5a52)
:2019/01/25(金) 20:18:43 ID:Wt8h4JZs00
大きくなったらペットとしての役割果たさないし、使い捨て前提だな
58
:
名無しさん
(ワッチョイ 29c3-46d9)
:2019/01/28(月) 16:06:31 ID:yCXmhm9Y00
この飼い主は非常に理性的だな。
自分ならこれだけ反抗するペットがいたら、餌を数日抜いたり、虐するだろうな。飢餓状態の方が元気が無くて、反抗する力も湧かないだろうし。
59
:
名無しさん
(ワッチョイ 29c3-46d9)
:2019/01/28(月) 22:21:17 ID:yCXmhm9Y00
目が見えなくなれば、部屋が狭いことも気にならないで済むよ ニッコリ
60
:
sage
(ワッチョイ 6267-b319)
:2019/01/29(火) 18:44:37 ID:LIgz0nvk00
もういっそのこと、いつぞやの実験の話みたいに、GPSで監視できる状態にして放せるようにしてやればいいのにね。
どうせ、ペットとして温々育った奴なんだから、外に出れば1日持たずに音を上げるでしょw
61
:
名無しさん
(ラクラッペ 30e2-ff47)
:2019/02/01(金) 06:42:14 ID:7znnKjwYMM
ラスカルブームに便乗してアライグマ飼って辛い思いをした人の手記を思い出したわ
62
:
名無しさん
(ワッチョイ 253b-33e4)
:2019/02/11(月) 09:59:50 ID:trSgiOVY00
今思いついたんだが超山奥で生まれたアライちゃんもインターンシップには行くのかな?
63
:
名無しさん
(ワッチョイ e434-fa9b)
:2019/02/15(金) 01:32:48 ID:LIgz0nvk00
反抗期?を迎えたペットアライちゃん(しゃん?)をアラ虐ありのアラジビに使った場合を見てみた・・・
64
:
名無しさん
(ワントンキン 6742-fb88)
:2019/02/25(月) 03:29:15 ID:zju3.JncMM
最後は楽園送りになるんだろうか?
65
:
名無しさん
(ワッチョイ 11b6-b2a0)
:2019/03/03(日) 21:56:23 ID:RsdCN0vY00
wikiの管理人です
このスレの最新箇所まで更新完了しました
遅くなってしまい大変申し訳ないです
66
:
19vndrf8Aw★
:2019/03/03(日) 22:51:41 ID:???Sd
>>65
ありがとうございます
67
:
19vndrf8Aw★
:2019/04/14(日) 19:08:27 ID:???Sd
…
アラ助「飼い主、大変なのだ!お、お股から血が…!アライさん病気になったのだぁ!」
飼い主男「それは病気じゃない、生理っていうんだ」
アラ助「なんなのだそれ?」
飼い主男「子供が産めるようになったら、そうなるんだ」
アラ助「子供…!?う、産みたいのだ!飼い主、子供を産むにはどうすればいいか教えるのだぁ!」
飼い主男「…」
飼い主男は、小さかった頃のアラ助を思い出していた。
子供のアライちゃん達は可愛かったが、それはペットショップでの調教ありきである。
ただでさえ手のかかるアラ助に加えて、その子供まで世話するのは不可能だ。
飼い主男「教えられない。我慢しろ」
アラ助「お願いなのだ!子供がいれば!この地獄にも耐えられるのだぁ!だからお願いなのだ!」ガシャガシャ
飼い主男「我儘言うな、ダメだ」スタスタ
アラ助「かいぬしぃいい!」
68
:
19vndrf8Aw★
:2019/04/14(日) 21:21:13 ID:???Sd
…
〜飼い主男の職場 休憩中〜
飼い主男「はぁ…。うちのアラ助は大丈夫だと思ってたのに、すっかり狂暴化してしまった…。嫌われるようなことしてないのに…」
後輩女「そういう生き物だから仕方ないですよ」
飼い主男「やっぱり楽園に送るしかないのかな…。でも、ペットを捨てるのは可哀想だし気が退ける…」
後輩女「ペットを『捨てる』…?」
飼い主男「ああ。いくいるだろ、引っ越し先でペットが飼えないから愛犬を保健所に連れてって殺処分する、みたいなの…」
後輩女「ありますね」
飼い主男「俺もああいう奴らと同じことをするってことになるのは、嫌だな…」
後輩女「ああ〜、ペットアライちゃん飼い主あるあるですよね。私も最初は、そういう勘違いしてました」
飼い主男「勘違い?」
後輩女「例えば、先輩。あなたが高校生高校だとします。担任の先生は、クラスの皆と仲良しです」
飼い主男「ああ」
後輩女「では、終業式を迎えた後…。担任の先生が、『お前達と別れたくない』と言って、生徒を卒業させず教室へ縛り付けようとしたら、どう思いますか?」
飼い主男「え…?」
69
:
19vndrf8Aw★
:2019/04/14(日) 21:28:27 ID:???Sd
飼い主男「いや…こっちにも将来はあるし。就職や進学しなきゃだし…。『ふざけんな』って反発するな」
後輩女「それに対して、担任の先生は『先生に反発するなんて何事だ!お前達はいつからそんな不良生徒になったんだ!』と叱ってきたら、どうしますか?」
飼い主男「え…言ってること滅茶苦茶だし、先生は間違ってるって抗議するかな」
後輩女「どうしてですか?先生は、生徒達への接し方を以前から何も変えてないんですよ」
飼い主男「え」
後輩女「先生が突然態度を変えて悪者になったわけじゃない。むしろ今までと何も変わっていないんですよ。なのに、なぜ突然抗議するようになるんですか?反発するようになるんですか?」
飼い主男「…」
70
:
19vndrf8Aw★
:2019/04/14(日) 21:33:56 ID:???Sd
飼い主男「こっちの事情が変わったからだ。卒業して就職なり進学なりしなきゃいけないのに、それを邪魔するから反発するんだ」
後輩女「…三年間お世話になった、大事な恩師なのに?」
飼い主男「こっちはもう一人立ちする時期なのに、それを邪魔しようとする奴は、もはや恩師でもなんでもない、ただの悪人だ」
後輩女「…大人になったペットアライちゃんが、飼い主へ反抗的になる理由。分かりましたか?」
飼い主男「え…」
後輩女「今の先輩の立場がアラ助ちゃん。私が言った担任の先生が、先輩なんですよ。アラ助ちゃんから見ればね」
飼い主男「…」
飼い主男は、そんな見方はいままで考えたことも無かった。
71
:
19vndrf8Aw★
:2019/04/14(日) 21:52:18 ID:???Sd
後輩女「高校生が自身の将来のために、クラスから卒業して就職や進学を目指したがるのと同じように」
後輩女「大人になったペットアライちゃんも、自由に生きるために、ペットを卒業して楽園に行きたがるんです」
飼い主男「…でも、一つだけどうしても腑に落ちないところがあるんだ…」
後輩女「…予想はつきますけど。何ですか?」
飼い主男は、一番大きな疑問を口に出した。
飼い主男「アライさんの楽園なんて…本当にあるのか?みんな騙されてるんじゃないのか?」
後輩女「…やっぱり」
飼い主男「たとえ楽園っていう施設が全国にあったとしても、こんなにたくさん飼われてるペットアライさんを、ずっと世話していける施設なんて、有り得ないんじゃないか?」
後輩女「…」
飼い主男「楽園なんてものはでっちあげの嘘っぱちで…。連れてったペットアライちゃんは、殺処分されてしまうんじゃないのか…!?そうとしか思えない!」
飼い主男「信じられないんだ…!楽園なんてものが実在するだなんて…!大勢のアライちゃん飼い主達は、誰も俺と同じ疑問は持たないのか!?」
後輩女「…」
飼い主男「ペットショップの説明を真に受けて!アライさんの楽園なんていう、物理的に有り得ないようなモノが存在してると盲信してるっていうのか!?みんな、みんなが…!?」
飼い主男「おかしい…絶対におかしい!」
72
:
19vndrf8Aw★
:2019/04/14(日) 22:00:31 ID:???Sd
後輩女「…その疑問も、ペットアライちゃん飼い主初心者あるあるですね」
飼い主男「へ…?」
後輩女「先輩は、お盆のときにお墓参りはしますか?」
飼い主男「ああ、当然だ」
後輩女「何故ですか?」
飼い主男「何故って…なんか関係あるのかよ」
後輩女「では聞きますけど…。先輩は、あの世が本当に存在してると思いますか?」
飼い主男「え」
後輩女「お盆になると、ご家族の霊が彼岸から帰ってくる、と…。それを心から、科学的に、本当だと信じているんですか?」
飼い主男「…いや。霊なんて…実在はしないだろ」
後輩女「ではもう一度聞きます。なぜ先輩はお盆にお墓参りをするんですか?」
飼い主男「…」
73
:
19vndrf8Aw★
:2019/04/14(日) 22:01:03 ID:???Sd
続く
74
:
名無しさん
(スプー 98c7-6d82)
:2019/04/14(日) 22:24:36 ID:2ic1T8f.Sd
お!久しぶりのアラ日更新お疲れ様です!
この先の展開がまた楽しみですね!
75
:
名無しさん
(ワッチョイ be26-57d7)
:2019/04/15(月) 00:23:05 ID:wpWh36pM00
更新お疲れ様です!
飼い主男を諭す後輩、過去複数の「経験」がありそうですね…
76
:
名無しさん
(ワッチョイ 645c-d446)
:2019/04/18(木) 00:08:23 ID:Ltz2cD3M00
アラ虐まとめwikiからきました
2日かけてアラスコをパート4まで全部読んできました
とても面白いです!更新がんばってください!
78
:
名無しさん
(ワッチョイ 99d4-bcec)
:2019/05/11(土) 14:35:59 ID:t.NE4oRU00
成長してアライさんになっていくのは、人間の思春期と違って本能だからしょうがないんだよね。
理屈でわかる瞬間は一生訪れない。
納得や妥協することも出来ない。
親と縄張り争いをしなければ生きていけないアライさんの性か。
80
:
名無しさん
(ワッチョイ e1ef-100f)
:2019/05/29(水) 05:53:40 ID:4ajoc3.k00
気が変わったら続き書いて欲しい
83
:
名無しさん
(スプー 47ff-1fb5)
:2019/06/26(水) 13:41:57 ID:/zcmTEkwSd
アラ虐絵を描くのを再開したみたいですし、
気が向いたらこちらも再開してくださると嬉しいですよね。
それはそうと、レスの数が表示と実際の数が合わないのは何でだろうね?
84
:
19vndrf8Aw★
:2019/07/15(月) 22:48:12 ID:???00
飼い主男「…爺さんにも婆さんにも感謝してるんだ。墓参りくらいするさ」
後輩女「感謝の気持ちは届かないのに、それでも伝えたくなる」
後輩女「そういうもんですよ。あるかないか、じゃなくて。信じたいか信じたくないか、が大事なんですよ」
飼い主男「…納得いかない…そんな、自分本位な…!自分さえ良ければそれでいいっていうのかよ…」
飼い主男「ペットってのは消耗品じゃないだろ!大事な家族だろ!そんなポイポイ捨てれるようなもんじゃないんだよ!」
後輩女「…捨てるなんてひどい言い方…。だから、楽園で元気に暮らしてるんですってば」
飼い主男「…もういい、俺には分からん。楽園とかいうどこにあるか分からん場所に、大事な『家族』を平気で送る奴らの気持ちなんて…」
飼い主男「分かりたくもない」
後輩女「…また相談に乗りますよ」
飼い主男「…ああ」
飼い主男は、後輩女の説明にちっとも納得できなかった。
ペットとは家族ではないのか?
何が卒業式だ。
何が墓参りだ。
そんなわけの分からない理屈で、大事な家族をわけの分からないところへ送ってたまるか。
そう考えながら、飼い主男は帰宅した。
アラ助「ぅぁああああああああーーーーー…ぁああああああああーーーーーーーーーー…!」ガシャンガシャン
飼い主男「…」
アラ助はひどく自傷行為をしており、自分の身体中を引っ掻いていた。
長い間爪を切ってやっていない。
近づいたら引っ掻いてくるからだ。
85
:
19vndrf8Aw★
:2019/07/15(月) 22:54:46 ID:???00
飼い主男「…アラ助…」
アラ助「ふぅうーーっ!ふぅううぅうーーーーっ!」フゥーッ
アラ助は飼い主男を威嚇する。
今にも飛びかかり、爪と牙で攻撃してきそうだ。
飼い主男「…」
ペットアライちゃんは、あらかじめ工場でヨチライフ手術を施され、脛から下を切除されてくるが…
爪と牙を除去する手術や、開腹による避妊手術をするなら、それは飼い主が自費で行わなくてはならない。
何せそれら全て合わせると、手術費用は3万円もする。
ペットアライちゃんが追加で3匹買えるほどの値段だ。
こんなに高額になる理由は人件費だ。
犬や猫に比べ、施術ができる人員が遥かに少ないためだ。
『さすがにそこまでやるのは高すぎないか?』と思い、飼い主男はそれらの施術をしなかったのだが…
今思うと、それらをやってもらっておけば良かったかもしれない…
飼い主男はそう思った。
86
:
19vndrf8Aw★
:2019/07/15(月) 22:58:25 ID:???00
アラ助「そとへ!!!だせええええ!!!」ブンッ
飼い主男「!!?」
その時、アラ助は砂トイレから何かを掴み、飼い主男の顔面に投げた。
飼い主男「うげっ!」ベチャッ
飼い主男「…くっせぇえええええええッ!!!!!オエェエッ!きたねえwッ!」
アラ助「外に!出さないなら!もっと投げてやるのだあああ!」ブンッブンッ
飼い主男「やめろおおお!アラ助やめろおお!」ベチャッベチャッ
…アラ助が何を投げたかは明記しないでおく。
アラ助「はぁ…はぁ…!飼い主、アラ助を自由にする気になったか!?」ゼェハァ
飼い主男「…」
飼い主男は精神的にひどくダメージを受けた。
飼い主男「…アラ助。俺達…家族…だよな?」
87
:
19vndrf8Aw★
:2019/07/15(月) 23:05:50 ID:???Sd
アラ助「こんな風にアラ助を狭い部屋に閉じ込めて!苦しめる家族が!あってたまるかなのだ!!!!」
飼い主男「…」
アラ助「昔は良かったのだ!昔は!でも今はもう違うのだ!今のアラ助はもう昔みたいなチビじゃないのだ!!」
アラ助「飼い主にずっとおうちの中で守ってもらわなくて平気なのだ!お散歩のときもリードなんかいらないのだ!ずっとずっとずーっとこんな風に閉じ込められていたくなんかないのだ!」
飼い主男「…」
飼い主男とアラ助の会話は、どちらも一方通行だった。
『自由にさせろ』
『法律で禁止されてるから駄目だ』
それだけだ。
後輩女の前で語ってみせた『家族の絆』など、すでに崩壊していた。
こんなストレスを与え続けてくるペットなど、正直嫌気がさしていた。
もはや昔のような仲良しこよしの関係になど戻れないのは自明であった。
だが飼い主男は、アラ助を楽園には送れずにいた。
88
:
19vndrf8Aw★
:2019/07/15(月) 23:14:38 ID:???00
それはアラ助のため…ではない。
自分のためだった。
一度飼うことに決めたペットを、飼い主の都合で捨てたくなどない。
そんな身勝手な飼い主になど、自分はなりたくない。
ペットを消耗品のように使い捨てる最低な飼い主になどなりたくない。
『善き飼い主でありたい』。
…そんな気持ちのために、飼い主男は意地になっていた。
飼い主男「…」
だが…
果たしてその気持ちは、アラ助の為になっているだろうか。
『善き飼い主』のつもりでいる自分は、アラ助の目にも『善き飼い主』として映っているだろうか。
ペットを消耗品でなく、大事な家族として扱いたがっている自分は…
間違っているのだろうか。
飼い主男「…そんなはず、ない…。そんな、はず…」
『ペットは最後まで面倒を見ろ』
『自分勝手な理由で手離すな』
『消耗品でなく家族として大事に愛情を注げ』
…犬や猫のような馴染み深いペット相手なら、そうするのが良識だ。
だが、その良識が…
アラ助には何ら喜ばれていない。
むしろ苦しめているばかりだ。
89
:
19vndrf8Aw★
:2019/07/15(月) 23:18:59 ID:???00
飼い主男「…」スタスタ
飼い主男は、とりあえず臭いの元を除去するためにアラ助の部屋を去った。
アラ助『かいぬしいいいいいっ!こんだけ言ってまだ分かってくれないのかあああああっ!かいぬしいいいいいっ!』
飼い主男「…はぁ…。くっせぇ…」ジャバジャバ
飼い主男「…どうすりゃ、いいんだよ…」
飼い主男「楽園…楽園か…そんなもん…あるわけねえだろっ…ざけんなっ…」ワナワナ
飼い主男「ッ…嘘だ…嘘にきまってる…そんなもんあるわけない…!絶対ろくでもない所だ…!」
飼い主男「なんで、なんでなんだ…!あの後輩女や、他の飼い主達は…なんであんな風に消耗品みたく割りきれるんだ…!」
飼い主男「狂ってる…イカれてる…!どいつもこいつも…!」
90
:
19vndrf8Aw★
:2019/07/15(月) 23:24:55 ID:???00
飼い主男「…でも。ペットショップでも、言ってたな…。ペットアライちゃんは皆、こうなるって…」
飼い主男「…分かってたことじゃないか。覚悟してたことじゃないか…。大きくなったら狂暴化するなんて…」
飼い主男「でも、正直…『そんなはずない』って思ってた…信じられなかったんだ」
飼い主男「あの可愛くて人懐っこいアラ助が、こんなに狂暴になって、暴れるようになるだなんて…」
飼い主男「うちの子だけは特別だと、心のどこかで思ってたんだ…」
飼い主男「…ちくしょう…」スッ
飼い主男は、スマホで小さい頃のアラ助を撮った動画を観た。
『アラ助ー、新しい玩具だぞー!アスレチックだ!』
『ふおおおぉー!すごいのりゃー!おっきーおしろなのりゃ!これであそんでいいのか!?』
『ああ、いいぞ。好きなだけ遊べ』
『かいぬししゃーん♪しゅきしゅきなのりゃー♪ありがとなのりゃー!≧∀≦』
飼い主男「…」ホロリ ポロポロ
…動画の中のアラ助は。
涙が出るほど可愛らしかった。
かつて確かにあった、その時間。
今はもう失われてしまった、その時間。
飼い主男「…ああ。もう一度この頃に戻れたら…。アラ助…」
91
:
19vndrf8Aw★
:2019/07/15(月) 23:31:53 ID:???00
…
『アラ助ー、新しい玩具だぞー!アスレチックだ!』
『ふおおおぉー!すごいのりゃー!おっきーおしろなのりゃ!これであそんでいいのか!?』
『ああ、いいぞ。好きなだけ遊べ』
『かいぬししゃーん♪しゅきしゅきなのりゃー♪ありがとなのりゃー!≧∀≦』
アラ助「…はっ」パチッ
アラ助「…」
暗い部屋の中で、アラ助は目を覚ました。
代わり映えしない、狭くて窮屈な部屋。
アラ助「…夢…なのか…」ハァ…
夢でなければよかった。
あの楽しくて温かい日々に戻りたかった。
だが現実は非情である。
アラ助「…」クルッ
アラ助は餌箱からいい匂いがするのを感じた。
餌箱には、新しい餌が補充されている。
寝ている間に、飼い主が入れておいてくれたのだ。
アラ助「…う…」
アラ助「うぅううぅっ…」ホロリ ポロポロ
飼い主は、今でも自分を愛してくれている。
今でも餌をくれる。
アラ助「うあああああっ…もう嫌なのだ、嫌なのだ、嫌なのだあああっ…」グスッヒグッ
その優しさが痛い。
大きくなって、考え方も力の強さも小さい頃とは全く別物になった自分を、子供の頃と同じように扱おうとしてくる。
それがアラ助にとっては、耐え難い苦痛なのであった。
今欲しいものは餌でもなく、安心できる居場所でもなく、愛情でもなく。
自由、ただそれだけなのである。
92
:
19vndrf8Aw★
:2019/07/15(月) 23:37:42 ID:???00
アラ助「…」
アラ助は思った。
『自分は、飼い主に飼われなければ良かっただろうか?』
アラ助「…そんなはず、ないのだ」
もし自分が誰にも飼われなかったら、工場へ戻され、シュレッダーで殺処分されていた。
そこから救いだしてくれたのは、紛れもなく飼い主男だ。
アラ助「…昔はよかったのだ…」
飼われてからの毎日は、とても楽しくて、温かくて、幸せだった。
毎日可愛がってくれる、優しい飼い主。
玩具を買ってくれる。
可愛がってくれる。
散歩にも連れていってくれる。
アラ助は、本当に心の底から、飼い主男が大好きだった。…アライちゃんの頃は。
それらの思い出は、アラ助にとっても大切な宝物だった。
アラ助「…」
だからこそ。
今、自分から幸せを奪い、苦痛ばかり与えてくるようになった飼い主男が。
憎くて仕方がなかった。
93
:
19vndrf8Aw★
:2019/07/15(月) 23:45:45 ID:???00
…
飼い主男「…」
飼い主男は思った。
『自分は、アラ助を飼わなければよかっただろうか?』
飼い主男「…そんなはず、ない」
毎日同じことの繰り返しで、面白味のなかった日々。
そこへ彩りをもたらし、日々の生活に癒しと新鮮な楽しみを与えてくれたのは、まぎれもなくアラ助だ。
飼い主男「…昔は良かったなぁ…」
アラ助を飼ってからの毎日は、とても楽しくて、温かくて、幸せだった。
毎日甘えてくる、可愛らしいアラ助。
玩具を買ってやると、尻尾をぶんぶん振って喜び、遊ぶ。
手にすりついて、『かいぬししゃんだいしゅきなのりゃー!』と愛情に愛情で返してくれる。
散歩に連れていくと、見慣れないものへ興味津々で近寄っていく。
飼い主男は、本当に心の底から、アラ助が大好きだった。…アライちゃんの頃は。
それらの思い出は、飼い主男にとっても大切な宝物だった。
飼い主男「…」
だからこそ。
今、一切自分の言うことを聞かなくなり、狂暴に罵倒ばかりしてくるようになったアラ助との共同生活が。
苦痛で仕方なかった。
94
:
19vndrf8Aw★
:2019/07/15(月) 23:50:00 ID:???00
飼い主男とアラ助は、どちらも思っていた。
『自分はいつまで、この苦しい生活を続けなくてはならないのだろう』
『自分はどうすれば、この苦痛から解放されるのだろう』
『自分は何も間違っていないはずだ』
『自分は正常なはずだ』
『なのに』
『なぜこんなに苦しみ続けなくてはならないのだろう』
『この地獄のような日々は、一生続くのだろうか』
『それが自分の義務なのだろうか』
…
アラ助と、飼い主男は。
己の正しさを信じ続けるあまり。
互いに互いを苦しめ合っていた。
95
:
19vndrf8Aw★
:2019/07/15(月) 23:50:50 ID:???00
つづく
96
:
名無しさん
(ワッチョイ f981-89df)
:2019/07/16(火) 00:07:20 ID:6o/NZRhQ00
乙です
ヘビーですね、出てくる人間の方もアライさん並にアレなのがなんとも
97
:
名無しさん
(ワッチョイ 2425-4369)
:2019/07/16(火) 03:08:05 ID:ulRnjgQU00
>>96
天寿を全うさせない前提のペットを工場で大量生産したり、「楽園」へ送る前提で飼われたり、ペットアライちゃんは生き物というよりオモチャですよね。
壊れるまで使うことすら許されず、どうせいらなくなるからいらなくなったら捨てて、新しいの買ってくださいって、相当に狂ってて意地悪な世界観で大好きです。
だってどうしたって人間の都合で寿命前に殺しちゃうんだもの。ペットアライちゃんは存在自体がアラ虐ですよねー。
アラ助はともかく、飼い主男がどう気持ちの整理をつけるのか、超楽しみです!
98
:
19vndrf8Aw★
:2019/07/19(金) 21:21:44 ID:???Sd
毎日毎日、餌とトイレ砂交換の度に『限界なのだ!自由にさせるのだ!』と喚き暴れるアラ助。
何度諦めろと言っても、一向に聞き分けがない。
たまに散歩に連れていくと、隙を見て全力で逃げ出そうとするので、ろくに散歩にも連れていけない。
鋭利な爪で引っ掻かれたり、鋭い牙で噛まれたりして、腕に傷が増えていく。
飼い主男は、それでもアラ助を飼い続けた。
何故だろうか?
『いつか大人しくなってくれるはずだ』と信じているから…
…ではない。
日に日にどんどん狂ったように狂暴化していくアラ助を見て、そう信じ続けられるほど、飼い主男は日和ってはいない。
今もなお飼い続けている理由、それは責任感だ。
ペットとして飼った以上、「大きくなりましたよ、もう面倒見きれないからいーらない」というのは不誠実で無責任すぎる…
そう感じているからこそ、飼い主男はアラ助を飼い続けた。
99
:
19vndrf8Aw★
:2019/07/19(金) 21:27:51 ID:???Sd
…だが。
工場男「おい飼い主男!テメェ最近仕事のミス多すぎるぞ!それにチンタラしてておせえし!テメェ仕事なめねんとかコラァ!」ガシィ
飼い主男「うっ…く…すいません…」
工場男「何なんだお前?もうボケ始めたのか?こんな使えない奴だったとは上司として恥ずかしいわ!」
飼い主男「すみません…すみません…」
工場男「すみませんじゃ済ーみーまーせん!!!カス!グズ!ゴミ!車検に行って脳ミソ取っ替えてもらったらどーですか!!!オツムのオーバーホールが要るんじゃねえのかこの野郎!」
飼い主男「ッ…」
最近、目に見えて飼い主男の仕事のミスが増えてきた。
アラ助のことが頭に浮かび、仕事がなかなか手につかなくなってきてしまっている。
仕事に集中できなくなってきているのである。
100
:
19vndrf8Aw★
:2019/07/19(金) 21:38:32 ID:???Sd
長いパワハラ説教から解放された飼い主男。
飼い主男「ぐ…うっ…!腹いてえ…」ズキズキ
トイレにしばらく籠った。
飼い主男「…血便が、出た…」ジャバー
…ストレスが腹に来ているようだ。
ストレスの原因は、上司である工場男にパワハラされたから…
…だけではないのは明らかだ。
女後輩「先輩…最近顔色ヤバいですよ。目に隈ついてるし、なんか痩せてきてるし…ちゃんと寝れてますか?」
飼い主男「…アラ助がさ、毎晩毎晩ギャーギャー騒いで寝られないんだ。すっかり夜型生活になってるみたいで…」
女後輩「アラ助ちゃん!?先輩まだ…」
飼い主男「…だってよ、ペットなんだ。アラ助は。ペットって家族みたいなもんだろ…」
飼い主男「ペットっていうのは、一生ちゃんと責任持って面倒見なきゃダメなんだ…それが責務ってもんだろ」
女後輩「…いい加減分かって下さいよ…。アライちゃんは普通のペットとは違うんですよ」
女後輩「弱くて小さいアライちゃんを育ててあげげ、立派に独り立ちできる大人になるまで育ててあげる。そして自由の楽園へ送り出してあげるのを見送る…!」
女後輩「それがペットアライちゃんの飼い主の責務です。大人になったらおしまい、じゃないんです!むしろアライちゃんは、立派な大人になってから自由を得て、人生が始まるんですよ!」
101
:
19vndrf8Aw★
:2019/07/19(金) 21:46:01 ID:???Sd
飼い主男「…」
女後輩「え…だって先輩…ペットショップの説明で何を聞いてたんですか?店員さん、ペットアライちゃんが飼い犬や飼い猫とおんなじだって言ってました?」
女後輩「最後まできちんと飼ってあげるのが正しいって、ペットショップの店員さんが言ってましたか?」
飼い主男「…」
…飼い主男は、ペットショップで受けた説明を思い出していた。
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