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薬物乱用防止について 2
1
:
名無しさんは神戸学院大
:2012/11/22(木) 02:36:28 ID:yo1PZYY.0
前回のスレッドです
薬物乱用防止について
http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/study/446/1280339927/l50
57
:
名無しさんは神戸学院大
:2013/01/05(土) 00:05:40 ID:ZPXvV5eQ0
第8回 “普通の人”を誘う「脱法ドラッグ」の真実
(ダイヤモンドオンライン)
2012年9月11日(火)09:00
【第8回】 2012年9月11日開沼 博 [社会学者]
いつの間にか、テレビや新聞から「脱法ドラッグ」という言葉が定期的に聞かれるようになった。覚せい剤のような「違法ドラッグ」の隙間をぬって街やインターネットで堂々と販売され、なかには「合法ドラッグ」と呼ぶ使用者さえいる。その一方で、当局は規制を理由に「違法ドラッグ」と称して監視の目を強めており、「脱法ドラッグ」とはまさに「グレー」な存在なのである。
社会学者・開沼博は、「ドラッグ専門家」のサトシに密着。そこで明らかになったのは、薬物服用の危険性や「脱法ドラッグ」浸透の理由だけではない。日本社会に定着した「違法ドラッグ」への強いタブー意識こそが、「脱法ドラッグ」に対する“普通の人”の虚ろな安心感を生み出すという、語られることのなかった構造の矛盾までが見えてきた。
第8回は、「あってはならぬ」違法ドラッグを規制することから生まれた「脱法ドラッグ」の真実に迫る。(
>>58
)
58
:
名無しさんは神戸学院大
:2013/01/05(土) 00:07:44 ID:ZPXvV5eQ0
■「覚せい剤やめますか?それとも人間やめますか?」
それでは、こういったイタチごっこが続くのはなぜだろうか。その理由のひとつに、「適度な依存性と経済性」が挙げられる。
サトシが「脱法ハーブ」に手を出したのは2年ほど前のこと。子どもの頃からの友人に勧められてのことだった。
「歯の半分だけがケミカルのススで黒くなる」とサトシは語る
「最初は遊びで楽しかったけど、途中から楽しくも好きでもないのにやる状態。だんだん効かなくなるから1日おいたり、毎回の分量を減らしたり、コントロールをしてでも続けたくなる。無駄に寝られなくなったり、ムカムカしたり。吸うたびに腹が減って、喉も乾くから飲食費もかかる。本当は、カネさえあれば、ナチュラルなの(本物の大麻や覚せい剤など)やりたいんだけど」
やめたくともやめられない依存性。ある側面では、誰もが知っているような「違法薬物」と比較すると、相対的な依存性は弱く、コントロールできる余地がいく分残されているものなのかもしれない。
しかし、そうであるが故に、手軽に続けられてしまう状況がある。そして、これに拍車をかけるのがその価格だ。「違法薬物」の数分の一から数十分の一程度の価格で手に入れられることと相まって、より多くの人の手に広まる可能性を持っている。
59
:
名無しさんは神戸学院大
:2013/01/05(土) 00:10:10 ID:ZPXvV5eQ0
■「覚せい剤やめますか?それとも人間やめますか?」(続き)
規制のイタチごっこが続くもうひとつの理由は、「脱法ハーブ」に、いわば「逆レッテル(レッテルとは反対の方向に向かおうとする力)が貼られている」からだ。これはどういうことだろうか。
サトシの友人で覚せい剤の使用経験があり、周囲にも使用経験者がいるAは、1970年代後半以降、TVCMで頻繁に流された日本民間放送連盟制作の麻薬撲滅キャンペーンのコピー「覚せい剤やめますか?それとも人間やめますか?」を例に取りながら説明する。
「いつの間にかCM自体はなくなったけど、30代以上の人はたいてい知ってる。薬物乱用=人として終わり、という強烈なイメージは確実に脳裏に刷り込まれていると思う。ただ、そのノリで実際にドラッグやっている人間と近いところで遊ぶようになると、拍子抜けする部分がある。もちろん大きく見れば、薬物中毒には『人として終わってる』のが多い。『覚せい剤は怖いんだ』っていう威嚇で麻薬使用者を減らした効果もすごくあって、治安維持的にも有効だっただろうね」
「でも、ぶっちゃけ、依存するかどうかっていうのは(薬物の)種類差、個人差が相当ある。表立っては言っちゃダメなことだろうけど、百発百中依存するわけでもないってことだ。それは薬の使い方にも、体質にもよる。あとは、育ってきた環境や、今置かれている立場。複雑な家庭で育って幼少期にトラウマ体験がある、経歴・学歴・容姿とかに強いコンプレックスがあるとか。それに、内向型、内気で一人でいるのが好き、対人関係が苦手、孤独感、孤立感を感じているっていうような性格の問題」
「クスリやる以前からそういうのがあると、思いっきり中毒になって、感情の起伏が激しく出て、被害妄想を持つ。もともと感情の起伏が激しくて、被害妄想に陥りやすい性格。それがクスリで増幅される。そんな感じ。ちなみに、オレはハマらなかった。外交的、楽天的でカネもない。でも、その感覚って別に『どうだ依存しなかったぞ』とかいうストイックな何かじゃない。別に改めてカネ払って買いたいという気も起きないし、オレにとって何の魅力もないっていう感じ」
もちろん、Aとは違う見方をする者もいる。海外滞在中に自ら様々な薬物の使用を経験し、周囲にも薬物使用者が多い30代のBはこう語った。
「シャブやって、ソフトランディングした例はほとんど見たことないよね。事件起こすか、その前に逮捕されるか。日本に帰ってきてやらないのはやっぱリスク高いからだけど、海外にいてもシャブだけはリスク高いから手を出さなかったよね」
60
:
名無しさんは神戸学院大
:2013/01/05(土) 00:12:58 ID:ZPXvV5eQ0
■1グラム1600円で手に入る「脱法ハーブ」
「サトシ、今買ってきてよ」
40代のフリーライターの高田は、そう言って旧知の「ドラッグ専門家」サトシに3000円を手渡した。最近になって世間を賑わすことも多い「脱法ドラッグ」の取材を始めるにあたり、現物を手に入れておこうと思ったのだった。
繁華街の奥まったところにある中華料理店で待つこと5分足らず。帰ってきたサトシは何も言わずに、「1パケ」(1グラム)の「脱法ハーブ」を差し出してきた。その値段は、1グラム1600円、「リズラー」(巻紙50枚)は250円だ。
店の外に出ると、サトシは「3グラムだと4200円くらいでお買い得なんですけどね。これは最近出た種類なんです」と説明を始めた。
「オレ、ここ1年、だいたい毎日(ハーブ)欠かしたことないんですよ。ただ、ずっとやってると何をやっても効かなくなる。相当な量をやらないと全然キマらないから、カネがかかる。それで最近ショップの店員に相談したら、出てきたのがこれ。ダウナー系(感覚を抑制して気分を落ち着ける)の強力なやつですね。ただ、ダウナー系なんだけど眠れなくなる。シャブ(覚せい剤)みたいなアッパー系(感覚が鋭くなり強い幻覚をもたらしたりする)も混じってるかもしれませんね」
そう言いながら、リズラーの上にハーブと手元にある紙切れでつくった「クラッチ=フィルター」を手際良く乗せ、「手巻ハーブ」をこしらえると火をつけて吸ってみせた。
そして高田は、「試しに」と一口だけ、本当にたった一口、しかもごく浅くハーブを吸ってみせた。「肺に入れることはなく、口の中に煙を一瞬だけ泳がせてすぐに吐き出した」高田は、後日、その時の感覚をこう振り返っている。
“普通の人”がドラッグを体験するとどうなるのだろうか……。
61
:
名無しさんは神戸学院大
:2013/01/05(土) 00:15:02 ID:ZPXvV5eQ0
■一瞬で全身の神経が麻痺した感覚に、さらにその後は……
「3分ほどたったとき、突然、きた。ドーンという鈍い音が頭の中に鳴り響いて、すぐに全身から力が抜け、立っていられなくなった。立ちくらみというのとはちょっと違う。麻痺。とにかく一瞬のうちに全身の神経が麻痺したような不思議な感覚。座っているけどもう駄目。動けない。まったく動けない」
「どーっと汗が噴き出してくる。尋常じゃない量の汗が、頭から、脇の下から、胸から、背中から、あらゆる汗腺から吹き出す。暑い。いや、熱い。燃えるようだ。そう思ったら急に寒気が。皮膚の感覚が異様に研ぎ澄まされるというか。風がないときはサウナの中にいるように暑いが、ちょっとでも風が吹くとものすごく涼しく、いや、寒いくらいに感じる」
「喉が猛烈に渇く。オレのすぐ横にサトシがくれたペットボトルの水があったけど、手を出せない。いや、手を動かすのが怖い。億劫というのではない。やっぱり風が吹くと涼しくて、これが次第に心地よくなってきて、たまに吹く風に救われた気分になる」
「また、風だ。『今だ!』と勇気を振り絞ってペットボトルに手を伸ばす。届いた。でも持ち上げるだけの力が入らない。手はぶるぶる震えている。それでもなんとか両手でペットボトルを持ち上げると、水をちょっとだけ口に含んだ。水が喉を通り、胃に落ちる」
62
:
名無しさんは神戸学院大
:2013/01/05(土) 00:17:05 ID:ZPXvV5eQ0
■一瞬で全身の神経が麻痺した感覚に、さらにその後は……(続き)
「その瞬間、猛烈な吐き気を催し、間髪入れずに地面に吐いてしまった。中華料理屋で食べたマーボー豆腐と、ビールが混じった味。この味にさらに吐き気を刺激され、また吐く。酒に酔ったときの吐き気とはちょっと違う。酒の場合、胃の中のものが逆流してくる感じがわかるが、この日はもういきなりの発射。口から発射だ。止められない。コントロール不能。吐いているときは、汗がさらに吹き出す」
「顔を地面に近づけたままの姿勢で十数分、多分だが。やっと吐き気はおさまったが、今度は顔を上げ、座り直す勇気が出ない。動くのが怖い。そういう感じだった。だから、嘔吐したままの姿勢でさらに十数分。次第に意識が遠のいていく感覚に襲われる。『大丈夫、オレは今楽しい。気分はいい』。あのとき、オレは心のなかで必死にそう言い聞かせていた。『なんて楽しいんだろう、なんて気分がいいんだろう』そう言い聞かせないと、意識が飛んでしまいそうだったから」
「吐き気の後は、ウンコだ。ものすごく肛門が緩んで、力が入らない感覚に襲われる。マジで漏れそうだった。でも、動けない。ウンコをしたくなると、別のことを考えて便意を忘れようと務めた。そしてもうひとつ。あの日、横に、会ってからまだ日の浅い編集者がいた。一応オンナ。その人の前でいきなりの脱糞はまずい。そんな意識が強烈にあった」
「あの日、どのくらいあの場所にいたのか、まったくわからなかった。時間の感覚が完全におかしくなっていた。1時間ぐらいしてようやく、口を開く勇気と立ち上がる気力が出てきた。『タクシーで、後輩の○○君ちまで送ってくれ』と言った。あいつの前ならゲロもウンコも最悪平気だ。そんな意識があった」
「30分後後輩の家に着いた。ソファに横になった。吐き気や動悸など気持ち悪さは去ったが、しかし、今度は眠れない。あれだけ脱力していたはずが今度は全身が緊張、肩が凝りまくりだ。結局、あの日眠れたのは朝8時過ぎ。昼12時過ぎに目が覚めたが、気持ち悪さは嘘のように消えていた」
63
:
名無しさんは神戸学院大
:2013/01/05(土) 00:19:27 ID:ZPXvV5eQ0
■観賞用・芳香剤として販売される「脱法ハーブ」
最近では、“普通の人”であっても「脱法ドラッグ」という言葉を聞いたことはあるだろう。
「脱法ドラッグ」を服用した有名企業の職員が体調不良を訴え救急車を呼んだ出来事や、服用後まもなく車の運転をした者が交通事故や暴力沙汰を起こした事件が報道されている。今年の8月には、米国で90名近くの逮捕者と1900万袋の押収がなされるほど大規模な摘発が行なわれたことも報じられた。
「脱法ドラッグ」とは、その名の通り、多くの人が名前を知っている大麻、コカイン、ヘロイン、覚せい剤といった違法な麻薬・ドラッグとは異なり、「法律による取締の対象になっていない薬物」のことを指す。かつては、もしくは現在も、使用する者の中にはこれを「合法ドラッグ」と呼ぶ者がいる。
これだけでは、多くの人にとってはまだ疑問が残っているだろう。「脱法」にせよ「合法」にせよ、「問題があるならなぜ違法にしないのか」と。あるいは、「違法ではないなら問題がないのではないか」と。
明らかに「脱法ドラッグ」が原因と考えられる具体的な事件が発生しているにもかかわらず、なぜ「違法」とされずにいるのだろうか。
「例えば、有名な(脱法)ハーブに、α‐PVPっていう化学物質が入っているものがある。これって、化学式を書いてみるとほとんど覚せい剤と変わらない。『脱法ハーブ』って、見た目はポプリみたいに乾燥させた自然植物の花や葉っぱだけど、そこに、α‐PVPみたいな麻薬に類似した何らかの化学物質をまぶしてつくってる」(サトシ)
64
:
名無しさんは神戸学院大
:2013/01/05(土) 00:21:50 ID:ZPXvV5eQ0
■観賞用・芳香剤として販売される「脱法ハーブ」(続き)
パッケージには「2」の文字が。「人体に摂取しないでください」という注意書きも
規制された「違法」物質と似て非なる「合法」物質を含んだ「ポプリ」は、観賞用もしくは芳香剤として販売されている。確かに、芳香剤のような香りを放っているものの、体内摂取用として販売するとなると薬事法の規制対象になるために、そういった「建前」のもとで店頭に置かれているのだ。
もちろん、規制当局がこのような薬物を野放しにしているわけではない。むしろ、法的な規制の対象となる「麻薬に類似する物質」は常に増加している。しかし、ある薬物に規制が設けられてもその類似物質が化学的に生み出され、新種のハーブとして販売される現実がある。
「有名なパッケージだけでも、ハーブってもう100種類ぐらいあるんじゃないですかね。規制の問題だけじゃなく効き方も含めて。1ヵ月に1回、平均3種類ぐらい新しいのが出てると思う。だから中には、例えば『○○2』とか『○○3』とか、同じ効き目だけどシリーズの最新作が出てくるのもあるわけ」(サトシ)
「違法」の網が広がるほどに、そこから逃れた「合法」の余地も拡大するイタチごっこが続いているのだ。
65
:
名無しさんは神戸学院大
:2013/01/05(土) 00:44:03 ID:ZPXvV5eQ0
■「脱法」という言葉で刷り込まれる虚ろな安心感
当然ながら、これらはAとBの個人的体験に過ぎず、普遍化されるべきものではない。薬物が持つ危険性への認識は、これからも広く社会に定着していくべきである。しかし、Aはこうも語る。
「それで、脱法ドラッグが流行ってるのを見てると、『違法ドラッグ=人間終わり』みたいなレッテルが逆に、脱法ドラッグを広げている部分はある。要は『違法ドラッグ=人間終わり』だと刷り込まれているほど、『じゃあ、脱法ドラッグは大丈夫なほうだから、軽いのだから、試してみるか』となる」
「いや、脱法ドラッグが出てくる前から、海外旅行が趣味だったりしてちょっと悪ぶりたいヤツには、『薬物にまつわる有名な固定観念』があった。それは『覚せい剤はヤバいけど、大麻はたいしたことがない』っていうイメージ。『オランダでは大麻が合法でね〜』『海外の音楽イベントいったらハッパが回ってくるの常識だから』なんていう、これもなかば都市伝説のように人々の意識に埋め込まれている話。それを語るのは別に不良じゃなくて、むしろ、いい大学出てるヤツとか有名企業で働いているヤツとかが、『実はクスリの経験あるんだ』なんて言って、中途半端にアウトローぶったり、アンダーグラウンド語りたがったりしているのよくあるだろ」
「こういう固定観念こそ、『脱法ハーブ』まん延の土壌なんじゃないの。つまり、『覚せい剤はヤバイけど大麻は大丈夫。でも日本でやったら大麻も違法は違法。なら大麻に似てるっぽい脱法ハーブなら一応合法だし全然OKでしょ』……っていう図式。これは単なる一般人たちの『思い込み』なんだけどさ」
「違法ドラッグに対してあるイメージが形成されることが、結果的に脱法ドラッグに人を向かわせる」というAの見解は、個人の「印象論」に思われるかもしれない。しかし、例えば、以下のような数値をその裏付けと考えることもできるだろう。
66
:
名無しさんは神戸学院大
:2013/01/05(土) 00:46:04 ID:ZPXvV5eQ0
■「脱法」という言葉で刷り込まれる虚ろな安心感(続き)
2006年、内閣府大臣官房政府広報室が5000人に対して行なった調査によると、「覚せい剤(エス、スピード、シャブ)」を知っていると答えた者は2331人。そのうち、「恐ろしいものだと思う」と回答した者の割合が98.3%(「非常に恐ろしいものだと思う」91.5%、「どちらかといえば恐ろしいものだと思う」6.8%)にものぼる。
一方で、同様の調査で「MDMA(エクスタシー)」を知っていると答えた者は658人に留まり、そのうち「恐ろしいものだと思う」と回答した者は87.4%(「非常に恐ろしいものだと思う」69.9%、「どちらかといえば恐ろしいものだと思う」17.5%)である。
これほど多くの人に、名前も、「恐ろしさ」も強く認識される覚せい剤に対し、当時はまだ知名度も低く、かつて「脱法ドラッグ」とされる時期もあったMDMAを知るものは少ない。さらに、その名前を知る人々の中でも「非常に恐ろしい」とする割合が減少し、「どちらかといえば恐ろしい」と考える割合が大きく増加する結果に象徴されるように、その危険性への認識は曖昧なものとなっている。
しかし、いくらMDMAの危険性についての認識が「曖昧」であったとしても、MDMAの名を世間に周知するきっかけとなった押尾学事件(2009年)を改めて説明するまでもなく、MDMAが孕む危険性自体を疑う余地はない。
今でこそ、MDMAを使用すれば、場合によっては命を落とす大事件につながるという認識はある程度共有されたが、今この瞬間も無数に開発され続ける名もなき「脱法ドラッグ」の危険性に対する(「覚せい剤」など有名なドラッグに比して)曖昧な認識に、「興味本位」や「軽い気持ち」が合わさった時、“普通の人”が手を伸ばすことになるのだろう。
違法薬物の流通に加担してきた人々からは、こんな声が聞かれる。
「(これまでは顧客であったドラッグ初心者に)大麻が売れなくて困ってる。高いし、危ないと言われてしまう」
「脱法ハーブは欧米から堂々と輸入されている。捕まりさえしなければ、数千円で何回か、何日かは保つ。これまでは中毒になったヤツ自身が末端のバイニンになって、稼いで、そのカネでさらにクスリを買うっていう流れもあったけど、そんな努力をしなくてもクスリが手に入るようになった。ダメな人間がよりダメになっている」
67
:
名無しさんは神戸学院大
:2013/01/05(土) 00:48:05 ID:ZPXvV5eQ0
■白と黒の明確化が普通のサラリーマンを脱法に誘う
強い負のレッテルが生まれると、そこから外れる「逆レッテル」に人々を参入させる誘引が働く。
その薬物が違法か脱法か。薬物に「ハマり」やすい人間にとってそれは問題ではない。そして、「ハマり」やすい者の中には、周囲に、あるいは自分自身に害を及ぼす人間が出てくる。しかしながら、行政は薬物依存性の個人差など考慮しているわけにはいかない。社会で一律に適用される「法・制度」や「規範」を用意し、白/黒をつけようとする。
そういった状況において、本来、違法と脱法の狭間に横たわるはずのグラデーションの中に、違法/脱法を区切る明確な補助線が引かれる。そして、ある部分が「黒」とされると、そこに身を置いていた人々は退場する(させられる)こととなり、「社会統制(法や制度による社会の管理)」や「社会化(規範による社会管理)」が達成されることになる。
ところが、グラデーションの中にある「グレー」な部分であったにもかかわらず、白/黒の補助線の設定、すなわち「黒」が明確化されることによって、皮肉なことに、本来はグレーなものが「白」とされる部分が生まれ、人々はそこに駆け込む。
「白/黒つける」「合法/脱法の規制を構築していく」作業は、問題をなくすもしくは減らす意図を持ってなされているはずだが、二分化を進めれば進めるほど、本来の意図に反して「脱法」へと人々を誘導することになる。ごく普通のサラリーマンが「脱法ドラッグ」に手を出して新聞沙汰になるように、想像を超えた範囲にまで問題が拡大されるというパラドクスがそこに生まれるのは確かだろう。
「脱法ドラッグ」に対して、現在にもつながる厚生労働省や自治体の本格的な規制が始まったのは、2000年代半ばからだ。公には「薬事法に基づけば、ドラッグとして使わないという建前があろうとも違法なものは違法」と「違法ドラッグ」という呼び名を与えることでその規制は行なわれている。
しかし、関係者はこのように語っている。
「関西では、堂々と脱法ハーブの自販機なんかができて、摘発されて話題になったけど、例えば、東京でも池袋・新宿・渋谷で10件以上は脱法ハーブの店がある」
「今はみんなネットで買ってるんでしょ。都会だと、電話したら寿司みたいに出前してくれるところもあるくらい。店に来るのも普通の会社員、まともそうな若者が多い」
68
:
名無しさんは神戸学院大
:2013/01/05(土) 01:00:32 ID:ZPXvV5eQ0
■10年近く前から「脱法ドラッグ」は流通していた
そもそも、この「脱法ドラッグ」の起源はどこにあるのだろうか。
近代以前の社会においても、幻覚作用を持つ薬物は呪術の場面等で用いられてきたため、ドラッグと人間をつなぐ歴史のすべてについて、ここで十分に触れることはできない。そこで、2001年の芸能人によるマジックマッシュルーム使用疑惑や、先述した2009年の押尾学事件という「脱法ドラッグ」有名事件がいくつも起こった、ここ10年に話を絞ろう。
近年騒がれている、(1)法的に規制される範囲の外にある、(2)ある程度高度な化学技術を用いて製造されている、(3)従来の違法薬物の顧客である「カネ持ち」や「暴力団」といった特別な層だけではなく一般市民にも浸透している、という3つの特色を持つ「脱法ドラッグ」に話を限れば(もちろんほかの起源も並行して存在するはずだが)、例えば以下のような話が参考になる。
渋谷区で洋服店を営んでいた40代の男性は語る。
「ハーブが街でおおっぴらに売られるようになったのは2年ぐらい前だけど、原宿とかのファッション業界、六本木とかのクラブなんかで遊んでる人間の間では、もうだいぶ前から出回ってたよね。5年以上前から、やってるヤツはいた。ただ、『脱法』とか『合法』とか、今みたいに肩書きはなかった。『ジョイント(タバコのような形で吸引する)のケミカルハーブ』、ただそんな感じで思ってたね」
「脱法ドラッグ系は、裏原宿でショップやってるヤツとか、バイヤーがさ、ヨーロッパとかアメリカとかに行くじゃない?そういうときに買い込んできたり、あとからネットで取り寄せたりして、最初はごくごく仲間うちでやってたよね。クサ(大麻)よりも全然安いし、けっこうガツンとくるよね〜って感じで。それが、だんだん商売になっていった感じかな」
「オレの知り合いの洋服屋もネットでハーブショップ開いたりしてたね。3年前かな。基本的に個人輸入が中心だよね。最近はそれ専用の部屋で独自に調合して売ってるヤツらもいるけど、そんなの面倒じゃん。だからアメリカ、ドイツ、イギリス、オランダとかから輸入する。日本製もあるけど多くはないね」
一方で、渋谷や六本木、ロンドンなどでDJをしている30代のツトムは、「脱法ハーブ」を2000年代の初頭から服用していたと証言する。
「レイブあるじゃないですか(音楽のもと大きな会場で夜通し踊り続けるイベント)。オレの場合、ヨーロッパ各地に90年代半ば頃から行ってたんですけど、最初の頃は、普通に草(大麻)かエクスタシーがメインだったんだけど、2000年代初頭くらいからスパイスとかって呼ばれる(脱法)ハーブが出回りはじめた。っていうのは、レイブ自体がヨーロッパで非合法パーティーって呼ばれ出して、ドラッグの温床とかって騒がれ出して、警察の目が厳しくなったんだよね。それで、(脱法ハーブが)出てきたんだと思うね」
「はじめてやったのはドイツで開かれた野外ダンスフェス。あ、これはいわゆる違法なレイブじゃなくて、普通の音楽フェスね。2001年だったと思う。そこで周りのヤツから回ってきたの。ジョイントで。最初は草かなって思って一口吸ったら、全然味が違うし、キマりかたが違う。すぐに『あ、ケミ入ってるな』ってわかりましたよ」
「まあ、そんな感じで、最初は音楽系のカルチャーが脱法ハーブの始まりですね。ほとんどのドラッグはそうだと思うけど、今や、歌舞伎町とか、いわゆるダサい繁華街でヤンキーが売ったり買ったりしてますけど、オレたちから見たら『遅いっちゅうに』って感じでね。今頃ニュースとかで騒いでるのも妙な感じ。『今頃かよ』ってね」
69
:
名無しさんは神戸学院大
:2013/01/05(土) 01:03:04 ID:ZPXvV5eQ0
■「わかりやすい正義」の影で息をひそめるグレーな存在
海外文化を摂取するなかで、そこに薬物を伴うこと自体は今に始まったことではない。しかし、「インターネットによる個人輸入」に象徴されるように、入手方法が多様化したことで、違法ドラッグと比較すると、社会に分散した不可視な「在庫」が用意される結果となった。
さらに、その「在庫」は、繁華街に設けられた小さな店舗やインターネットを通して、制度のイタチごっこに対応するために在庫を入れ替えながら、こちらも違法ドラッグと比べると広範に浸透しているのだ。
40代の違法組織関係者は、次のように語る。
「うちのガキたち(正式に組に登録していない若い衆)が(脱法)ハーブを扱うようになったのは1年半前かな。店舗は出してない。ネットで売ってるね。オレたちが命じて売らせてるわけじゃない。こういう次から次に出てくる最新ドラッグがどうこうなんていうのは、オレたちでもよくわからない。分かりやすい『シャブ』や『大麻』なんかとは系統が違う。若い、クラブで遊んでるような不良たちが最新情報を持ってて、そいつらがオレのところに話を持ってくるんだ。『今度、こういうドラッグを扱おうと思ってるんですが』ってね」
「最初は渋谷に店舗を出したいと相談があったんだが『それはやめろ』と言った。つまり、既存の(違法)ドラッグと競合しちゃうと、昔から飼ってるバイニンが食えなくなっちゃうからさ。でも最近の状況を見てると、意外と食い合いにならなくなってる。売る側も買う側も、非合法やるヤツはやっぱりとことん非合法でさ。合法やってるヤツらとは実はそんなに重ならない。ネットで売ってるヤツもほとんどが素人。そこにいちいち口を出すなんてことはない」
「(脱法)ハーブなんて、言ってしまえばシャブなんかよりも利が薄いし、面倒なんだ。ヤクザが組織的に売買を仕切るなんてことはめったにないな。直接仕切ってる店もあるだろうけど、下っ端の小遣い稼ぎだよ。組織をあげてという話にはならない。若い不良の小遣い稼ぎ。これが基本じゃないかな」
この連載で幾度となく示してきた考察と重なる部分も大きいが、それを繰り返さないわけにもいかない。
経済が発展して、科学技術が発達する一方で進む、情報化、デフレ化、そしてグローバル化などと呼ばれる動き。必然的に進む変化のなかで、「わかりやすい正義=純白」を確保しようとすればするほど、不可視な、あるいはある層の人がはまり込んで抜け出せない闇が誕生する。
かつては、明確な補助線の中に「あってはならぬもの」が「確定的」に存在した。しかし、補助線によって規定される社会のあり方は変わり、インターネット上のサービスにおける「β版」(完成に向かい進化を続けるが未完の状況にあるもの)の如く、常に更新され続けている。
そして、補助線の向こう側に行くために乗り越えなければならない障壁は低くなったように思える。その一方で、補助線の向こうで起こる出来事は、より周縁的に、「あってはならぬもの」がさらに「不確定」に存在するようにも見える。
70
:
名無しさんは神戸学院大
:2013/01/05(土) 01:05:12 ID:ZPXvV5eQ0
■中国系バイニンが向かった先に待っているものとは
調査を続けるなかで、こんな情報が入ってきた。
「脱法ハーブ?最近、神奈川あたりでは『アロマオイル』とかいって、アンプルが売られているみたいだよ」
炙りやポンプ(注射器)などアンプルの用途は様々
アンプルとは、液状の薬剤を入れるガラスやプラスティック製の容器のことである。
「効き方がシャブとそっくりだって、ジャンキーの知り合いが言ってた。中に入っている化学物質の名前?はっきりはわからない。もしかしたら本物のシャブを水に溶かしてアンプルに詰めてるだけかもしれないし、ハーブにかかっている何かなのかもしれない」
この販売を行なっているのは、元は覚せい剤を販売していた筋に近い外国人だという。情報提供者の紹介で「無店舗型」バイニンの一人に話を聞くことができた。
「写真はダメね。見るだけ、話すだけ、録音もダメ」
20代後半とおぼしき中国系男性と神奈川県の関内駅近くの喫茶店で会った。角刈りに短パン、サングラスという謎めいた風体。日本語は非常に拙い。その手にはマクドナルドの紙袋を持っている。
その男は、「中に入ってる。出すのダメ。見るだけ」と言うと、その袋を差し出してきた。見れば何の変哲もない容器に入った液体。色は透明だ。
――いくらで売ってるんですか?
「2万5000円」
高い。相場で考えると本物の覚せい剤が0.5グラム程度買える値段だ。
――高くないですか?これ、ホントに合法?
「ホント。高くないよ。だいたい10回分」
10回なら、確かに1回あたりの値段は相当安いことにはなる。
――売値が2万5000円……仕入れ値は?
「私、買う。1万3000円くらい」
――合法なら、ハーブショップみたいな店で売ってもいいんじゃないですか?
「店で売る、お金かかる。家賃かかる。警察もうるさい。めんどくさい。知り合いから電話入る。場所を教える。そこで会って、お金と交換」
利益率50%の「いい商売」を続ける末端のバイニンらしいこの男は、「もういいですか」と席を立つと急いで去っていった。彼は、いったいどんな客のもとに向かったのだろうか。
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