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煙草・TABACO・莨

211とはずがたり:2013/10/20(日) 17:22:18
意外に凄いな,JT

【企業特集】日本たばこ産業
世界見据え中核ブランド変更
巨人企業のすごみと課題
http://diamond.jp/articles/-/42804

世界第3位のたばこメーカー、日本たばこ産業(JT)。売上高、営業利益の半分を海外で稼ぐ。経営力を磨いたJTは、国内最大の売り上げのマイルドセブンブランドを変える賭けに出た。さらなる成長を目指したものだが、課題も残る。(「週刊ダイヤモンド」編集部?鈴木洋子)

「親方日の丸の“金満企業”が、高値つかみの買収をした」──。

1999年3月。米RJRナビスコの米国外たばこ事業会社(RJRI)を9400億円で買収した日本たばこ産業(JT)にはこんな非難が囂々(ごうごう)と浴びせられた。RJRIは世界シェア2位のウィンストン、7位のキャメルという大型ブランドを持っていたが、借金がかさみ営業力が落ちていた企業。それを高値で、しかも政府が株式の多くを保有する元公社企業が買ったことについての批判だ。

それから14年余りが経過。JTはいまや国内で時価総額第4位(2013年9月26日現在)の歴然たる世界企業である。13年3月期の海外たばこ事業のEBITDA(利払い前・税引き前・償却前の利益)はRJRI買収直後の2000年の10倍以上に増加した。連結売上高の48%、EBITDAの55%を海外で稼ぐ。これだけ高い海外事業比率を持つ企業は、消費財分野はもちろん、日本企業全体でもあまりない。

当時は総スカンだった“世紀の買収”だったが、「RJRIから得たブランド、人員、工場、流通網という国際企業になるためのプラットフォームなしには今の海外事業は存在し得なかった」と新貝康司副社長は振り返る。

JTの海外事業の強さの要諦は一言で言えば「明確な責任権限規定の下に、権限を海外の各現場に大幅に委譲し、日本のJT本社を特別扱いしない」ことにある。RJRIを母体に設立された海外本社JTインターナショナル(JTI)が、海外事業の実際のビジネスプランと経営計画を作る。JTはその計画の承認や、重要なブランド変更や一定金額以上の大きな投資などの判断には加わるが、それ以外はJTIの経営者に一任する。日本の生産や品質の改善ノウハウなど、利用するか否かの判断も現場に委ねられる。スイス・ジュネーブに本社を置き、社員2万4000人のうち実働の日本人は70人余り。役員では17人中たった2人だ。東京ではなくジュネーブに本社を置くのは、ビジネスマンが働きたい都市として人気が高く、英語ができる優秀な人材が採用しやすいからだ。

権限を現場に下ろしつつガバナンスを効かせるため、JTIには、「どんな経営事項やいくらの決済額には誰の同意が必要か」といった責任権限規定が、事細かに決められている。これに基づき、意思決定者が現場責任者らと電子決済システム上でやりとりし、メールや電話での話し合いも履歴として残していく。出張で世界を飛び回る現場メンバーが会議で時間を割かれることなく、迅速に意思決定できる仕組みだ。JTやJTIの役員もそのやりとりの記録をいつでも見られるため、ガバナンスを効かせることができる。

「一度ルールを決めたら後は現場に任せる」やり方は、07年の英ギャラハー買収の際にも採用された。2兆2000億円を投じRJRI以上の巨大買収だったが、統合を発表した06年12月から100日で統合計画を策定、正式調印の約1年半後の08年12月にはITシステムの一部を除きすべての統合作業を終えてしまった。

スピード統合を成し得たのは、十分な準備期間をかけて、統合後に共有すべき設計図を事前に設定していたからだ。JTIとJTの戦略担当はギャラハー買収発表の3年前から四半期ごとにある試算を繰り返していた。ギャラハーと統合したら、どこに本社や工場・物流施設を配置するのが適切か、ブランドポートフォリオの競争力はどうなるか、独占禁止法の関係で売却の必要が出る事業はないか、などのシミュレーションだ。そのため発表時までには統合後の経営の具体的な青写真が出来上がっており、これを基に統合を急ピッチで進めることができた。

統合作業のスピードを上げ、統合後の姿を早く見せることで、社員のモチベーションも上がった。07年3月までに約50人いたギャラハーの幹部全員と面接を行い、辞める人にも、統合作業に対しての職務を与え、完了後のボーナスを出した。結果としてギャラハーの課長クラス以上の80%が統合会社に残ることを選択した。M&A後に被買収企業の社員がごっそり抜けることも珍しくない欧米では高い比率である。被買収企業を尊重し、日本企業にありがちな「東京の本社ですべて経営方針を決め、それを海外に下ろす」という方法とは別次元の経営を確立してきた。

212とはずがたり:2013/10/20(日) 17:23:03
乾坤一擲の1兆円ブランド変更
狙うマールボロ追撃

国内事業に関しても、JTは前代未聞のことをやってのけた。

12年春。ブランド企画部の鈴木重太郎シニアブランドマネージャーは、席を並べる同僚にも秘密で、ある会議室に足を向けた。窓はびっちりと目張りされ、資料やデータには何重にもプロテクトがかけられている異様な雰囲気。当時、JT社内で役員を含め一握りの人間しかその存在を知らなかったマイルドセブンのブランド変更プロジェクト会議だ。厳戒態勢は取引先でも徹底され、パッケージの印刷工場ではラインを囲って作業するほどだった。

77年に発売されたマイルドセブンは税込みで1兆円という売り上げで、JTの国内たばこ売り上げの半分、国内たばこ市場全体の30%超のシェアを占める。それをJTは、わずか半年足らずでブランド変更してしまったのである。

JTの組織力の強さが発揮されたプロジェクトでもあった。12年8月8日の記者発表当日、理由を知らされず職場待機を命じられていた大多数の営業担当社員は、そこで初めてブランド変更の計画を知り、その足で販売店へ説明に出向いた。最終的には「取引のある全国の27万店全店にブランド変更の理由やその詳しい内容を社員が直接説明して回った」(鈴木シニアブランドマネージャー)という。

マイルドセブンからの移行をスムーズにするため「味を変えていないこと」を強調して伝える必要があった。だが、たばこはCMや広告宣伝に規制がある。そこで「製品そのもの」を広告媒体としてフル活用した。上の写真でわかるように外箱のステッカー、開封するときのフィルムなどに、「ブランド名が13年1月から変わるが、味の変更はない」という告知を印刷し、さらに、小箱の中にはブランド変更のコンセプトを記したカードを入れた。

さらに、全国で8万6000台ある自動販売機の価格表示の横、たばこ店の店頭のポスターなど、ありとあらゆる使えるスペースに「マイルドセブンはメビウスへ」の告知を入れた。避暑地や海岸のイベントスペースの看板や掲示物も1週間足らずでいっせいに変えた。旧ブランドの資産を引き継ぎつつ、小売りや消費者に新しいブランドについての理解を深めてもらうための取り組みが半年間、社を挙げての総力戦で行われたのである。

ブランド変更により若年層など新しい顧客を取り込んだこともあり、それまで停滞していたシェアは回復した(右図参照)。だが、JTがブランド変更により目指していたのは、単なる国内シェアの獲得ではない。

今年7月、グローバルのメビウスブランドの統括本部が新設された。場所は日本ではなくジュネーブのJTI。目的はずばり「メビウスを世界で販売し、ゆくゆくは(世界最大シェアの米フィリップ・モリスの)マールボロを超えるプレミアムブランドとして育てる」(佐伯明副社長)ことだ。

実はJTIが持つグローバルフラッグシップ(世界的に売られシェアも高い)ブランドの中には、高価格帯のプレミアム商品がない。そこで、長年日本でトップシェアの支持を受けてきたマイルドセブンを、世界市場でのプレミアムブランドとして売り出そうとしているのだ。ただ、EUのたばこ表示の規制強化で、商品名に体に優しいことを連想させる「マイルド」の単語が入ったマイルドセブンを売ることはできなくなっていた。

世界を見渡すと、総量としてのたばこの市場は年々縮小し、規制も厳格化の一途。主要市場で伸びているのは中国とインドネシア程度で、あとは軒並み減少している。アフリカなど新興市場はまだ伸びる余地はあるが、既存市場並みのサイズに成長するまでには時間がかかる。

07年のギャラハー買収以降、同様に大手のたばこメーカーを買収するという選択肢もJTにはなくなった。というのも、上位3社が4位以下の大手を統合することは各国の独禁法に抵触するためだ。となると今後「アフリカ、アジアなどの新興国や、手巻きタバコ、水タバコなどの特色ある事業を持つ企業などピンポイントで事業を補完していく」(新貝副社長)形になり、成長のスピードは、ギャラハー買収後のような急カーブは描けなくなる。マイルドセブンを、日本の顧客を失うリスクを背負ってまで、新たな「グローバルプレミアムブランド」に衣替えする必要に迫られたのは、このためだったのだ。

213とはずがたり:2013/10/20(日) 17:23:41
>>211-213
新ブランドメビウスは世界で売れるか
食品・飲料に潜在力

だが、宣伝手段が限られるたばこ市場で、既存品との競合の中で全く新しいブランドを普及させることに成功した例はまだ少なく、ハードルは高い。肝心の発売時期も「メビウスが受け入れられる市場を慎重に見極めてから決める」と佐伯副社長は言葉を濁す。成功するかは、未知数だ。

この大チャレンジ以外にも課題はある。食品・飲料などの非たばこ事業の強化だ。

非たばこ事業は、現状ではEBITDAでの連結貢献は全体の10%にも達していない。営業利益ベースでは13年3月期までは食品・医薬品は営業赤字。飲料のシェアはわずか2%しかない。だが、その潜在力は客観的に見ると大きい。

まず飲料事業。他の大手飲料メーカーの約4分の1のSKU(最小在庫管理単位)しかなく、缶コーヒーの「ルーツ」と「桃の天然水」が2本柱だが、前者はボトル缶コーヒーの市場ではトップシェアで、ほぼすべてのコンビニエンスストアで定番棚を確保している。後者は96年の発売後ピーク時は、1600万ケースを売った。これはアサヒ飲料の「バヤリース」の12年の販売高を上回る数字だ。少ないSKU内でこれだけヒットを出すのは相当の実力だ。

9月末からイトーヨーカ堂とイオンの全店の店頭で、ルーツとルーツブランドの菓子やインスタントコーヒーコラボ商品を大々的に店頭展開したことは業界で話題になった。ルーツを定番品として扱っていないスーパーは多い。「このような商品を大量陳列することを普通、店舗は嫌がるが、それを実現させるだけの販促金を積んだのだろう」と業界関係者はみる。また、ルーツへの広告費の投入額は売上高で劣るキリンビバレッジのファイアの広告費よりも多い。国内で最大の稼働台数を持つ自動販売機オペレーター、ジャパンビバレッジなど飲料事業が持つ資産は大きい。

旧加ト吉の冷凍食品部門を統合したテーブルマークの成長余力もまた大きい。冷凍食品業界ではシェア3位だが、実は同社の売り上げの約半分を占めるうどんなど炭水化物系商品は国内でトップシェアを独占している。炭水化物系商品は、冷凍食品の中でも2番目に大きいカテゴリーで、しかも毎年2桁の成長市場だ。

国際的な大型買収を凄まじいスピードで進める豪腕とは“別会社”のように、国内の非たばこ事業の収益改善は遅々として進まないJT。それがたばこ事業が好調故の“甘え”なのだとしたら問題だ。「組織能力がなければ非たばこ事業でM&Aはしない」と小泉社長は言うが、それを早急に備えた上でM&Aを含めた大胆なてこ入れを行わなければ、非たばこ事業が「金持ちの道楽」と見られても仕方ない。喫煙人口が減り続ける中、その強化は待ったなしである。

(社長インタビュー略)


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