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煙草・TABACO・莨

212とはずがたり:2013/10/20(日) 17:23:03
乾坤一擲の1兆円ブランド変更
狙うマールボロ追撃

国内事業に関しても、JTは前代未聞のことをやってのけた。

12年春。ブランド企画部の鈴木重太郎シニアブランドマネージャーは、席を並べる同僚にも秘密で、ある会議室に足を向けた。窓はびっちりと目張りされ、資料やデータには何重にもプロテクトがかけられている異様な雰囲気。当時、JT社内で役員を含め一握りの人間しかその存在を知らなかったマイルドセブンのブランド変更プロジェクト会議だ。厳戒態勢は取引先でも徹底され、パッケージの印刷工場ではラインを囲って作業するほどだった。

77年に発売されたマイルドセブンは税込みで1兆円という売り上げで、JTの国内たばこ売り上げの半分、国内たばこ市場全体の30%超のシェアを占める。それをJTは、わずか半年足らずでブランド変更してしまったのである。

JTの組織力の強さが発揮されたプロジェクトでもあった。12年8月8日の記者発表当日、理由を知らされず職場待機を命じられていた大多数の営業担当社員は、そこで初めてブランド変更の計画を知り、その足で販売店へ説明に出向いた。最終的には「取引のある全国の27万店全店にブランド変更の理由やその詳しい内容を社員が直接説明して回った」(鈴木シニアブランドマネージャー)という。

マイルドセブンからの移行をスムーズにするため「味を変えていないこと」を強調して伝える必要があった。だが、たばこはCMや広告宣伝に規制がある。そこで「製品そのもの」を広告媒体としてフル活用した。上の写真でわかるように外箱のステッカー、開封するときのフィルムなどに、「ブランド名が13年1月から変わるが、味の変更はない」という告知を印刷し、さらに、小箱の中にはブランド変更のコンセプトを記したカードを入れた。

さらに、全国で8万6000台ある自動販売機の価格表示の横、たばこ店の店頭のポスターなど、ありとあらゆる使えるスペースに「マイルドセブンはメビウスへ」の告知を入れた。避暑地や海岸のイベントスペースの看板や掲示物も1週間足らずでいっせいに変えた。旧ブランドの資産を引き継ぎつつ、小売りや消費者に新しいブランドについての理解を深めてもらうための取り組みが半年間、社を挙げての総力戦で行われたのである。

ブランド変更により若年層など新しい顧客を取り込んだこともあり、それまで停滞していたシェアは回復した(右図参照)。だが、JTがブランド変更により目指していたのは、単なる国内シェアの獲得ではない。

今年7月、グローバルのメビウスブランドの統括本部が新設された。場所は日本ではなくジュネーブのJTI。目的はずばり「メビウスを世界で販売し、ゆくゆくは(世界最大シェアの米フィリップ・モリスの)マールボロを超えるプレミアムブランドとして育てる」(佐伯明副社長)ことだ。

実はJTIが持つグローバルフラッグシップ(世界的に売られシェアも高い)ブランドの中には、高価格帯のプレミアム商品がない。そこで、長年日本でトップシェアの支持を受けてきたマイルドセブンを、世界市場でのプレミアムブランドとして売り出そうとしているのだ。ただ、EUのたばこ表示の規制強化で、商品名に体に優しいことを連想させる「マイルド」の単語が入ったマイルドセブンを売ることはできなくなっていた。

世界を見渡すと、総量としてのたばこの市場は年々縮小し、規制も厳格化の一途。主要市場で伸びているのは中国とインドネシア程度で、あとは軒並み減少している。アフリカなど新興市場はまだ伸びる余地はあるが、既存市場並みのサイズに成長するまでには時間がかかる。

07年のギャラハー買収以降、同様に大手のたばこメーカーを買収するという選択肢もJTにはなくなった。というのも、上位3社が4位以下の大手を統合することは各国の独禁法に抵触するためだ。となると今後「アフリカ、アジアなどの新興国や、手巻きタバコ、水タバコなどの特色ある事業を持つ企業などピンポイントで事業を補完していく」(新貝副社長)形になり、成長のスピードは、ギャラハー買収後のような急カーブは描けなくなる。マイルドセブンを、日本の顧客を失うリスクを背負ってまで、新たな「グローバルプレミアムブランド」に衣替えする必要に迫られたのは、このためだったのだ。


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