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赤い糸

1イタチ**:2013/06/30(日) 04:28:07
題名通り、赤い糸で結ばれた2人と
その他の人物たちによって作られる
純愛物語です。

登場人物紹介

主人公 桐生 翼(きりゅう つばさ)
この物語の主人公で、人を愛すことに
慣れていない。とても不器用。

指原 莉乃
主人公翼の幼なじみで、誰より前から
翼に片想いをしている。引っ込み思案で
ネガティブ。

川栄 李奈
翼や指原のクラスメイト。
何故か翼に対して冷たい態度をとる。

上沢 泰生(かみさわ たいせい)
翼の親友でありクラスメイト。
そして同じクラスの山本 彩と
付き合っている。

2イタチ:2013/06/30(日) 22:37:23

窓辺に浸る結露越しに
入道雲を浮かばせた青空。

まだ肌寒い風がこの街を冷やしている。

小鳥たちの微かな囁きに意識が
戻ってくることを感じながら
太陽の眩しい陽射しを確認した。


ベッドから体を起こす。

きっとまだ脳は眠っているだろう。

桐生はリビングへゆっくりと
駆け下り、脳を起こすように
熱いコーヒーを飲んだ。


ピンポーン

不意に鳴る呼び出し音、
あいつか。と思いながら
玄関へと歩き出す。

まぁそれが日常習慣みたいなものに
なってたりして、俺は当たり前のように誰がいるのか確かめもせずに
玄関を開いた。


桐生「おはよ」
「おっはよー!翼今日起きるの早いんだねー」
桐生「まぁね」

そこにはいつものように
莉乃が居た。
一応、幼なじみってとこ。

俺と莉乃は毎日一緒に登校してい
る。

莉乃「早く行こー?」

桐生「ちょっと待って。今起きたばっかだから」

莉乃「え〜、せっかく早く起きてるのに早く学校に行かないともったいない!あたし先に行くからね!」

桐生「あっ!ちょっと待てよ!」

莉乃「ん、なぁに?」

桐生「待てって言ってんの。」

莉乃「何その命令口調」

桐生「くっそ…莉乃のくせに」

莉乃「なぁに〜?もう行くからね ばいばーい」

桐生「あぁ!ま…待ってください…」

莉乃「いいよー♪」

桐生(なんて性格悪い奴なんだ…覚えてろよ…)

密かにそんなことを思いながら
洗面所へ向かった。

3TMJP:2013/06/30(日) 22:40:07
面白そうですね!楽しみです!

でも、AKB学園の方もよろしくお願いしますね!

4イタチ:2013/07/03(水) 00:22:04
コメありがとうございます(^O^)
頑張ります*

6イタチ:2013/07/05(金) 23:12:13
準備を終え、鞄を肩にかける。

桐生「よし莉乃、行くぞー」

そう言いながら俺はリビングへ向かった。

莉乃「遅いっ!」

桐生「はいはい、文句言わないの」

莉乃のデコを指で抑えながら
言う俺。

それに必死で耐えようとする莉乃。

いつもの光景だ。

これが日課になってるんじゃないか?なんて疑問も抱かずにはいられない。

鍵をかけて外に出た俺たちは
学校に向けて歩きだしたのだった。

7イタチ:2013/07/06(土) 18:44:29


俺と一緒にいることを
見られたくないのか、

学校に着くや否や
莉乃は友達のとこに走って行った。

桐生「ちっ、そんなに嫌いかよ俺のこと」

1人愚痴を吐くことは
少ないと言っては嘘になる。

俺はたまにチラッとこっちを見る
莉乃を横目で確認しながら
教室へと向かうのだった。


〜指原side〜

学校に向かう途中。

指原「ねぇ翼〜」

何?といつものように
無愛想な返してくる。

小さい頃は優しかった。
ということは今はあたしのこと
嫌いなのかな?…

ふと横を見て
視界に入ってくる横顔に
一瞬ドキッとするのは
毎回慣れない。


…あたしは翼のことが
好きだから。

しかし、そんな気持ちがあってもそれからあたしは曖昧な言葉しかかけられずにいた。

そんなこんなでたどり着いた
学校の校門はいつもより大きく見えた。

8イタチ:2013/07/06(土) 23:55:41

〜指原side〜

翼への気持ちに気づいたのは
中学三年の夏のことだった。

桐生「あのさ!俺って料理人になりたいんだ!」

指原「え?翼が料理人?」

桐生「おう!だってさ?料理作れるようになったら貧しい人たちとか色んな人においしいモン作ってあげられるんだぜ?」

指原「まぁそーだけど…で、なんであたしにゆうの?」

桐生「わりーかよ。親もいねーし、お前しか言える奴がいなかったんだよ!しかも、料理人になったら一番初めにお前に食べさせてやるのが夢だから…」

指原「え…?」

桐生「あーもう!めんどくせー。ほら、さっさと学校行くぞー!」

多分この時からだろう。
あたしはそれまで翼のこと
兄妹としか思えなくて
恋愛感情なんて全くなかった。
でも、この時この瞬間
あたしは幼なじみに恋したんだ。


なのに、薄々その時から
感づいていた翼への気持ちを
今まで隠してる。

バカだなぁ。なんて
思わないわけない。

太陽の陽射しで我に返ったあたしは
そんなことを考えていると
翼の隣にいるのがたまらなく
恥ずかしくなっちゃって、
たまたま歩いてた友達の方に
行ってしまった。

心の中にはモヤモヤだけが
残っていた。


〜桐生side〜

教室に着くと同時に
いつもの挨拶を交わす。

何気なく振る舞うが
こいつだけは気づく。

泰生「おい翼、どーしたんだよ?何か様子おかしーぜ?」

こいつは小学の頃から
馬鹿ばっかしてきた親友。

莉乃ほどではないけど
何かあるとすぐに気づくのは
つくづく凄いと思う。

俺は助けを求めるかのように
泰生にさっきのことを話した。

相談することが当たり前?
みたいな感覚になってたりして、
泰生はもはやカウンセラーみたいだ。

泰生「へぇー。お前のことあんなに大好きな莉乃ちゃんが最近学校で避けてるってか?」

桐生「あいつは俺のことなんて好きじゃねーよ。」

泰生「お前なぁ、見てりゃあわかるって。莉乃ちゃんお前にすげーアピーしてんぞ」

桐生「お前の思い過ごしだよ」

思い過ごし。
そんな言葉いつ覚えたんだろ

腰をかけた自分の席から
窓ガラス越しの校舎を見据えながら
そう思った。

否定は多かったが
泰生はそれでも
最後まで相談に乗ってくれる。

いい友達を持ったと
改めて思った。

莉乃が教室に入ってきたのは
それから五分が経った頃だった。

9イタチ:2013/07/07(日) 01:55:55
教室の扉が開く音と共に
莉乃が入ってくる。

何故か気まずい今日のこの
空気の中、泰生は俺にアイコンタクトしていた。

その目に反応し、
莉乃をちらっと見る。

すると莉乃もたまたまこっちを
見てたみたいで目があってしまった。

目を先にそらせたのは莉乃。
気まずい…

俺たちは幼なじみなんだ。
気まずいことなんて何も…ないはずだったのに。

でもそれはただの思い込みで、
今動揺してるこの感情が何なのか
やっとわかった。

俺は好きなんだ。


紛れもなく幼い頃から
一緒に過ごしてきた幼なじみのことを。

10イタチ:2013/07/07(日) 22:09:54

幼なじみに告白。なんて
そんなことして今の気まずい
状況がもっと悪くなるのはごめんだ。

とか考えながらも
そんなことはただの言い訳。

今まで告白してきた女は
ただの女として、

莉乃は違う。

お互いがお互いのことを
よく知ってる。

だから俺は莉乃の恋人として
そばにいたい。

本音が何かって聞かれたら
今の言葉を伝えるほか、何もないだろう。

ふと横を見ると泰生の
熱い視線が降り注がれる。


そんな期待もあってか、
俺は告白しようと思った。

そんな時だった。

「翼くーん」

桐生「なに?里英」

近づいてきたのは
莉乃の小学校からの親友の
北原 里英だった。

蒼いゴムで髪をとめ、
スカートをひらひらさせて
立っている。

北原「あのさ、莉乃が元気なかったように見えたんだけど」

桐生「え?どうしたんだろ」

北原「あれ?喧嘩したとかじゃないんだ。」

桐生「いつもどうり2人で来たけど」

北原「そうなんだ…あたし莉乃に聞いてみるね」

桐生「あぁ、うん」

会話が終わるや否や、
自分の席へと戻っていく里英。


その近くの席に座っている
莉乃の後ろ姿は

さっきよりも小さく見えた。

11TMJP:2013/07/07(日) 23:16:38
いいですねぇ〜

ドキドキします!

12イタチ:2013/07/09(火) 00:11:16


泰生「別に今すぐ告白しなくてもいいんだからさ、自分のタイミングで気持ちぶつけろよ」

いつのまにか
隣の席にいた泰生が
ぼーっとしている俺に
そうささやく。

この声で我に返った俺は
すぐさま莉乃を見た。


いつになっても変わらない
あの姿は俺にとってたまらなく愛おしい。

ただ過ぎてゆく時間だけに
俺は今まで流されて来たんだ。

一時限目のチャイムの音が
鳴り響く教室の中で、
小さな勇気が生まれた瞬間だった。

桐生「泰生ありがと!俺頑張るよ」

泰生「おう!それでこそ翼だ」

本当にいい友達持ったな。なんて
くさいこと思ったりしながら
教卓に立つ先生の方を向いた。


〜指原side〜

ガラガラ〜

教室を開けると
泰生君や里英の顔が見えた。

もちろん翼もいた…

目が合ったらそらしちゃうから
そんな不自然な行動とったら
バレちゃうから。

そんな気持ちで
あたしは普通を装った。

そして席まで歩くと
ゆっくりと腰をかける。

里英「莉乃〜」

でもやっぱり里英には
気付かれたようだ。

心配そうな顔をおもむきに
出しながら話しかけてくる。

里英「何かあった?」

莉乃「ん?どしたの?」

バレていても嘘をつき続けるあたし。

きっと里英はそんなことさえも
わかりきってるんだろう。

少し苦笑して
また一言、大丈夫?と
ささやいた里英。

あたしは翼に背を向けた

顔を見られないように。

何故なら、
大きな涙の粒があたしの頬を
何度も伝っているからだった。

13イタチ:2013/07/11(木) 19:51:11

引っ込み思案で根暗。

だけど幼なじみの翼や、
里英ちゃんには明るくいられる。

なのに今のあたしは
誰に対しても明るくなんてなれない。

幼なじみに恋するなんて
本当馬鹿だよね。

そんなことを思いながら
袖で涙を拭った。

指原「本当に大丈夫だよ」

北原「うん…わかった」

悪いことしたってわかってるけど、
無駄に大きな心配かけたくないから…

まだ鼻の赤い顔で
翼を見る。

すれ違う2人の心に あたしは気付かなかった。

14TMJP:2013/07/11(木) 23:05:18

切ないな…

15イタチ:2013/07/16(火) 01:42:04
〜桐生side〜

ふとこっちを向いた
莉乃の顔が紅く見えたのは
気のせいだろうか。

俺は顔を見直そうとした。

しかし、向こうがそれを拒むようにしてあっちを向いてしまった。

泰生「あーらら。完璧に泣いてんぞ、あいつ」

桐生「…」

泰生「まぁ、後はお前らが
自分たちで切り開くしかねーんだから頑張れよ」

励ましの言葉が重くのしかかる。

俺はうん。なんて愛想のない
返事をして教室を出た。


人生でこんなに
辛くて、しかも長い朝が
あっただろうか。

寝転がった屋上で1人…

この状況から逃げ出したい。
なんてことも思ったりしながら
やめたはずのタバコに火をつけた俺。

しかし、数ヶ月前に
莉乃から言われた言葉を
思い出し、慌てて火を消した。


桐生「そーいえばあいつ、タバコ嫌いだったんだ」


そう考えると
仲の良い幼なじみだった
数ヶ月前が愛おしく感じる。

2人の心が合わさろうと
していることにも気付かずに…



ガシャ…

屋上の扉が開く音がした。

桐生「やっべ…先生か?」

その時、
とっさに隠れようとする俺に
声をかけているのがわかった。

一瞬見ると
女子生徒だということが分かる。

俺はその人の方を見た。

「なにやってんの?あのさぁ、先生にアンタのこと探してこいってあたしが怒られたんですけど」

よく見ると俺の隣席の
川栄 李奈さんだった。

桐生「あぁ、ごめん。」

昔から俺にだけは
冷たい川栄さんのことだから
めちゃくちゃ機嫌悪いんだろうな
なんて思いながらゆっくりと
近づき、お辞儀でもして屋上から
降りようとする俺。


そしてそれを拷問しますよ的な
感じの目を向けて引き留める川栄さん。

桐生「何ですか…」

川栄「お礼ぐらい言ってよ」

桐生「あ、ありがと。川栄さん」

川栄「さ、最初っから言ってよね!あとあたしの呼び方、李奈でいいから」

桐生「わかった。あはは」


困惑の表情をした俺の前で
何故か顔をほがらかに紅くする
李奈は、どこか女の子なとこが
見えてきて胸がドキドキしていた。

16イタチ:2013/07/17(水) 18:05:18

川栄 李奈。

中学の時からクラスが
ずっと一緒なのに全く友達として
話した経験がない。

そんな人が今俺と2人っきりで
顔を紅らめているのかは
定かではないが、とりあえず
莉乃に対しての気持ちで
暗くなっていた俺の心は
少しだけ明るんでいた。

チラッと川栄さんの方を見てみる。

その瞬間彼女は表情を変えて
そっぽを向く。

気があるのかな。なんて
浮かれてる自分も居たりしながら、

行きますよー。って言葉をかけ
俺は歩き出した。

川栄さんと関わることが
何故か穏やかだった

川栄「あ、ちょっと待ってよ!」

だけど、この軽い気持ちが
運命の赤い糸を切ろうとするなんて

思いもしなかった。


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