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皇軍(明治〜WW2)がファンタジー世界に召喚されますたvol.26

1名無し三等陸士@F世界:2017/01/29(日) 10:52:34 ID:ci0mzTRQ0
自衛隊ではない日本の軍隊のスレッドです。
議論・SS投下・雑談 ご自由に。

ローテク兵器VS剣と魔法

戦国自衛隊のノリでいて新たなジャンルを開拓すべし
銃を手に、ファンタジー世界で生き残れ!

・sage推奨。 …必要ないけど。
・書きこむ前にリロードを。
・SS作者は投下前と投下後に開始・終了宣言を。
・SS投下中の発言は控えめ。
・支援は15レスに1回くらい。
・嵐は徹底放置。
・特定の作者専用スレは板として不可。
・以上を守らないものは…疫病と戦争、貧苦と死に満ち溢れたファンタジー世界に召喚です。 嘘です。

2名無し三等陸士@F世界:2017/01/29(日) 10:53:16 ID:ci0mzTRQ0
暫定ガイドライン(分家皇軍Ver.)

1.「皇軍がファンタジー世界に」とあるように、あくまで「大日本帝国の軍事組織」が「ファンタジー世界」に関わる話であること。
2.大日本帝国というからには、日本軍の組織・装備は実在もしくはその延長上にあるものに限る。
実在しないが延長上にあるものを出すには、そこに至る流れを説得力のある理由つけてハッタリかますこと。
3.核兵器(含む動力源)・大陸間弾道弾・人工衛星、巨大人型兵器・海底軍艦・飛行戦艦・陸上戦艦など当時の日本が配備するにはナンセンスなものは極力避ける。
しかし確信犯(誤用)的トンデモ架空戦記としてならまた別かも知れない。
4.あくまで「ファンタジー世界」の話であり、F世界側の設定は作者が自由に決めることが出来る。
ただしそれ単独でパワーバランスを大きく揺るがす存在(兵器・魔術・キャラクター等)は作らない事が望ましい。
5.日本・F世界双方の人間をきちんと描写する方が好ましい。
一方の主観という演出などであえて描写しないのはこの限りで無い。
6.戦略・戦術としてありえないものを避ける。例えば一人の帝国陸軍軍人が軍刀一本で100人斬りとか。
7.萌え・エログロはあくまで表現手段であり、目的ではない。安易に狙ったり、しつこく要求するのは流石にウザイので自粛すべき。
どうしてもそれ主体でやりたい場合は各専用スレでやる事。
8.叩き・煽り・嵐は徹底放置。嵐認定を受けた後に、かまった者も同罪とする。
9.SS作者は、抽出がしやすいようにトリップ装着を推奨。
なお、二次創作の可否については原SS作者の判断に一任とする。現在、SS「帝國召喚」では公序良俗を乱す作品でない限り問題なし。
10.感想書き込む人も節度や口調を考えるべし。作品が気に食わないなら透明あぼーん汁

3名無し三等陸士@F世界:2017/01/29(日) 10:54:22 ID:ci0mzTRQ0
過去スレ
01 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1116672903/
02 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1125644871/
03 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1130199183/
04 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1134983039/
05 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1139108925/
06 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1142596115/
07 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1145757330/
08 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1148549150/
09 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1151766955/
10 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1155287974/
11 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1157915129/
12 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1161151313/
13 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1167373446/
14 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1173192902/
15 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1179579011/
16 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1187842098/
17 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1194994629/
18 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1204087700/
19 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1208419952/
20 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1229327978/
21 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1247310050/
22 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1259054639/
23 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1267228901/
24 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1278940501/
25 ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1321658639/

4名無し三等陸士@F世界:2017/01/29(日) 10:55:27 ID:ci0mzTRQ0
SS「帝國召喚」関係

ここまで読んだ氏による公開済み設定まとめWiki
帝國資料館
ttp://www12.atwiki.jp/kokomadeyonda/pages/1.html

注意
『帝國召喚の記述に矛盾が生じた場合、HP掲載時に設定が修正された可能性があります。
もし気になられた場合、お手数ですがHPをご確認ください。』

5名無し三等陸士@F世界:2017/01/29(日) 10:56:02 ID:ci0mzTRQ0
SS「昭南疾風空戦録」関係

黒綿棒様のサイト
黒綿棒の世界
ttp://sansho.dayuh.net/index.html

6303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/05(日) 13:37:54 ID:54bd7AQo0
スレ立てありがとうございます。
外伝的掌編ですが、投下します。


前スレ>996-999

「フィクションだから」という前提と「チートあり」というご都合主義を受け入れない限り、
アメリカだろうがロシアだろうが中国だろうが生きていくのは無理だと思っています。
『ゲート』のように、常に地球と繋がりのある状態ならともかく、科学技術が中世レベルのF世界に単独転移は死刑宣告のようなものかと。
常に地球世界と繋がりがあったらあったで、それはそれで面倒臭くなるのですが。

7303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/05(日) 13:40:43 ID:54bd7AQo0
傭兵ギルドからの催促が凄い。

内容は決まっている。
大口の仕事が欲しい。大口の仕事を紹介しろ。
傭兵ギルドはこんなに有力な組織だから云々かんぬん。
早くお帰り願いたい。


リンド王国の傭兵ギルドだから、リンドに敵対的な国や組織と契約を結ぶ事は禁止されているが、それ以外であればリンド王国専属の傭兵である必要はない。
つまりリンド王国から見て直接利害関係に無い第三国同士の戦争に加勢しに行くとか、リンド王国の同盟国に加勢しに行く分には問題ない。
また国家や地方領主のレベルでなくても、個人や組織が雇用主となっても何も問題ない。
有力商人が商品や現金輸送の護衛に傭兵を雇う事は珍しくないし、珍しいところでは平民個人が決闘の代理人を立てる為に傭兵を雇った話もある。

個人から契約可能といっても、ギルドにとって金になるのは大口の顧客、つまり国家だ。
王国が戦争をするからと数万の傭兵をかき集めてくれれば、大勢の傭兵隊長の懐が潤う。
だがそれも昔日の話。近年は国王や宮廷といった中央だけでなく地方まで王国軍が中心に考えられており、傭兵ギルドは苦難の時代だ。
傭兵隊長を辞めて、王国軍の連隊長になった者も居れば、軍事官僚になった者も居る。大所帯だった傭兵隊ほどその傾向が強い。
かつては王国内に数百人は居た傭兵ギルド員も、今や百人を割ろうかとしている。この傾向が続けば傭兵ギルド自体の存続が危うい。
人員が減れば組織の政治力が弱まる。政治力が弱まれば人員が減る。組織の命脈を保つのに必死なのだ。

だから、歴史的大敗で金欠となってしまったリンド王国の代わりに、リンド王国の同盟国となっている皇国に契約を迫っている。
身形の良い軍服で、気前良く金貨や銀貨を支払う皇国軍の主計隊を見れば、ここで大口契約の一つでも取り付けたいと思うだろう。

だが、皇国としても皇国軍としても、そこまでの大口契約は必要ないのだ。
ここぞという場面で、村を出入りする度に現地の村人を雇うような事をせずに済む、自活可能な道案内が欲しいのである。
リエール傭兵隊のように地元の地理に詳しく、しかも正規軍と出会っても自力で戦闘や退却が可能な、数十人規模の傭兵隊が、師団あたり5、6個もあれば良い。
数百人から数千人の傭兵隊なんて、纏めて派遣されても扱いに困る。数百人の纏まった傭兵隊を分割しても、相応の指揮官が居ないから使えない。
皇国軍の案内として働く分賠償金を減額するという条件で、リンド王国軍の残存部隊が幾らか付いてきているので、尚更今以上の傭兵隊なんて要らない。

皇国軍は、異世界の大陸で活動するにあたり、大きく分けて三種類の人々を、軍属または軍属相当の現地協力者、軍人による軍事協力者という形で募っていた。
一つ目は、農民や猟師や行商人などで、村の近隣など限定された地域に限り、行軍を補佐する形の協力者。
二つ目は、自称冒険者や小規模傭兵隊で、軽装備で自衛戦闘くらいは可能で、終始行軍に付き従う形の協力者。
三つ目は、正規軍の大隊や中規模傭兵隊で、ある程度自活可能(積極的な戦闘可能)で、終始行軍に着き従う形の協力者。

このうち、傭兵の出番は二つ目と三つ目の場合だが、どちらにしても剣と銃で武装した軽歩兵的な戦士が必要とされている。
傭兵隊の中には皇国軍の欲する軽歩兵的なところもあったが、逆に槍兵専門のようなところもあって、そちらは流石に使い所に困る。
銃歩兵傭兵隊ばかりが使われる事になると、槍歩兵傭兵隊から、自分たちも使えという声が出る。
特定の傭兵隊に仕事が固まらないように、全部の傭兵隊になるべく平等に仕事が回るようにするのが
傭兵ギルドの仕事なので、数週間毎にローテーションして使って欲しいという“要請”が出てくる訳だ。

8303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/05(日) 13:41:40 ID:54bd7AQo0
既得権益というものは、御上が無理やり取り上げても反発を受けるだけだし、
仕方なく取り上げるにしても、それに対する補填が無ければ上手く行かない。

形式的には、傭兵ギルドを潰すのは簡単だ。
女王が傭兵ギルドを解体する旨の署名をし、ギルドの勅許状を取り上げれば(失効させれば)いい。
しかしそれは抜かずの宝刀。強引なギルド潰しを実行すれば他のギルドから不信感を持たれる事は間違いなくなる。
それにそんな事をすれば、法的地位を失った百人余の元傭兵ギルド員と数万人の元傭兵が市井に解き放たれることになる。

傭兵ギルドの傭兵隊、傭兵達は、公共事業の側面もあった。
職の斡旋という分かりやすい理由だけでなく、王国軍の予備役プールとしての存在。
動員がかかってから兵士を徴募して訓練するのではなく、訓練経験や実戦経験のある傭兵を兵士や下士官、中隊長や連隊長として数千から数万の規模で募れる。
リンド王国の強さの一つとして、長らく王国軍と傭兵ギルドが持ちつ持たれつの関係にあった事は否定できない。

それまで、国軍の補助部隊や地域や都市の治安維持組織としてあった傭兵ギルドが無くなれば治安が乱れる。
ギルドという公的特権を失った武装勢力が牙を剥けば、皇国における西南戦争か、最悪、武力革命だ。

だから傭兵ギルドを潰すなんて出来ない。

傭兵ギルドに所属する傭兵その他の人員は、最盛期にはリンド王国だけで十数万も居たので、これでも減ったと言える。
ギルドに所属する傭兵が減った最大の理由は、地方の村落の生産力が上がって食い扶持に困らなくなった事。
また、それと並行して、地方や中央の税収が上がったので、常備軍や地方警察組織の維持が可能になった事。
これらが重なって、傭兵に頼らずとも国家(国王)や地方領主が持つ独自の戦力に頼れるようになった。

ただし、十数万も居た傭兵というのは、傭兵ギルドに直接所属する傭兵隊長に雇われた下級傭兵や人夫まで含めた数だ。
規模の大きな傭兵隊であれば、1人の傭兵隊長に数百、数千の人員というのも珍しくなかったのだが、それが現代では珍しくなっている。
傭兵隊の規模が全体的に小さくなっているだけで、ギルド登録されている傭兵隊の数自体は実はそれほど減っていない。
傭兵隊長は世襲だったり、持ち回りだったり、縁故だったりで選ばれ、傭兵ギルドの職員から“転職”する輩もいる。
傭兵隊の数はあまり減っていないのにギルド員の数はかなり減った。
という事はつまり、以前はかなり多数の“役員”や“顧問”が居たという事だし、それだけ組織に余裕があったという事でもある。
羽振りの良い商業ギルドなどは今でもそんな感じだ。

今日ではどの国でも規定されている武装結社の禁止。その例外が傭兵ギルド。
かつて、それが切実に必要とされた時代の残滓。

昔日は傭兵業で一財産築いた傭兵隊長も居たが、現代ではそんなの夢物語だ。
傭兵隊長でさえそうなのだから、下っ端の傭兵にとっては一攫千金の機会など無い。
国王や地方領主にとっては、もはや傭兵に頼らず自力で解決出来るのが武力問題。
傭兵隊長への依頼、契約の回数は自然と減り、そうなれば多数の人員を抱えた傭兵隊は倒産する。
倒産しないためには身持ちを軽く、つまり人員を削減し、少数精鋭の組織運営にするしかなくなる。

9303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/05(日) 13:42:12 ID:54bd7AQo0
しかし、これが逆に傭兵隊が傭兵隊として、国軍とは別に存在し続けていられる要因ともなっている。
小回りが利く訳だ。
皇国軍もその利点を評価していない訳ではない。

ただ、何十もの傭兵隊を雇う余裕は無いのと、雑多過ぎるのが問題だった。
ポゼイユ侯爵が全額負担して雇用し、それを皇国軍に派遣して無期限で指揮下に入れるという形になったリエール傭兵隊のような好条件は例外。

基本的には傭兵の雇用費は皇国が全額負担するのだから、せめてギルドは顧客側の意見くらい聞いてくれてもいいだろう。
そんなに難しい要求をしているつもりはない。戦術的に小回りの利かない槍兵はやめてくれ、ギルドの都合で勝手に編成を変えないでくれ。

2〜3週間経つと、傭兵隊が勝手に列を抜けて、別の傭兵隊が入ってくる。どの傭兵隊が来るか皇国軍は選べない。
その土地の地理や風俗に詳しいものという条件は最低限守ってくれているが、契約条件に反しない限りで好き勝手だ。
前線部隊から評判の良かった特定の傭兵隊との専属契約にしたければギルドに違約金を支払わなければならない。

最初に契約を結んだ際に契約内容の確認が甘かった皇国軍の師団経理部の落ち度と言えるのだが、時既に遅し。
例えば「常に傭兵隊1隊が皇国軍に付き従う事」という文言、皇国側からすると当然、基本的には同じ傭兵隊が従属するというつもりだった。
交代するにしてもある地域から離れたので地理に疎いとか、部隊に損害が出たとか、そういう理由を考えていた。
特に理由のない交代という状況は、皇国側は失念していたといっても良い。
「已む無き理由なしに皇国軍の指揮下を離脱する事を禁ずる」という文言もこの件に関しては死文化している。
「傭兵ギルドの都合で交代するのは十分な理由」と言われ、リンド王国軍の法務官も傭兵ギルド側の理屈は正しいと言う。

皇国軍は傭兵ギルドとの契約数を最低限に絞っている。
しかしあの傭兵隊が良いだのあの傭兵隊は嫌だの、色々と文句をつけるので、傭兵ギルドは「だったら契約数増やせばいい」と言ってくる。
大口契約にすれば、傭兵隊あたりの単価は安く抑えられるし、多くの傭兵隊を様々に使えるから便利になると。

あまり傭兵ギルドに好き勝手されると、足手纏いになる。だが当面の間、傭兵の協力は欲しい。
腑に落ちないが違約金を払うしかないか?
違約金を払うくらいなら大口契約した方が後々便利ではないか?
こんな事なら傭兵ギルドを買収してやりたい!
砲撃の間違いじゃないか?

そんな口論が皇国軍の司令部で起きている事など、皇国の名誉の為に秘匿されなければならないのだ。

10303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/05(日) 13:42:53 ID:54bd7AQo0
投下終了です。
今年もスローペースになると思いますが、よろしくお願いします。

11名無し三等陸士@F世界:2017/02/05(日) 16:22:26 ID:duMIjbdY0
投下乙でした。
傭兵ギルド側の言い分もある程度はわかる気はします。
とはいえ、日本人も割と頭に血が上りやすいですから、そのうち傭兵ギルドが粛清されるかもしれませんね(汗

12名無し三等陸士@F世界:2017/02/05(日) 19:09:15 ID:ME6n/qvE0
明治の御一新の時はどうしたんだったかなとか言い出す参謀本部

13名無し三等陸士@F世界:2017/02/07(火) 16:03:17 ID:I97TxQ6c0
傭兵なんて潰してRONINになられても困るし大変ですな

14303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/08(水) 06:08:42 ID:54bd7AQo0
今日は非常に短いですが、幕間的な感じで本編の続きを投下します。


あと筆者なら本文で書いとけという話なのですが、少し補足を。

F世界の列強で軍事面で最強なのはリンド王国。これは、初期設定のかなり早い段階から決まっていました。
ただ、何故強いかはかなり曖昧だったので、独自の傭兵ギルド文化があった、みたいな完全な後付設定をでっち上げました。
他国にも傭兵ギルドはあるけれど、リンド王国ほどの質や規模はないという設定(後付)です。
中央集権と国民軍の充実によって、その最大手のリンド傭兵ギルドすら落ち目の時代だと。

対皇国戦の時は何してたの? というと後方支援業務と、兵の補充(動員協力)です。
完全に後付設定になりますが、数十万の王国軍の為に短期間のうちに多数の物資倉庫を用意して、
飛竜陣地を用意して、ユラ神国に勝つ気で居られたのは彼らのお陰という事にしておいて下さい。
そして敗戦によって契約金の不払い(未払い)も発生していて、とても不味い状況にあります。

平時は限定的な徴税特権で維持できても、戦時にはそれではとても足りない!
商人ギルドから、皇国は金払いが良いと聞いたぞ! 皇国軍に取り入ってパイプを作ろう! ←今ここ


リンド王国という国名からして「ベルリン+ロンドン⇒ベルリンドン」からですし、王都ベルグは「ベルリンドン-リンド=ベルン」を捩ったものです。
ベルンってスイスの首都だから、傭兵国家として発展した経緯があるとしてもいいよねと、数年の時を経て気付きました。

「傭兵ギルド」というファンタジー世界でおなじみのギルドは何かの機会に書きたいと思っていましたが、漸くでした。
「冒険者ギルド」や「盗賊ギルド」というのもありますが、私の中では、傭兵ギルドが冒険者ギルド的な性格も持っていると考えています。
拙作中で、冒険者というのは公的な裏付けのある地位や職業ではありません。あくまでそう自称しているだけです。

薬草採取クエストとか、そんなの自分でやれという話ですが、必要な薬草があるのが野獣や紛争等で危険な地域だったりすれば、傭兵ギルドに声がかかる事もあるでしょう。
本来ギルドは各都市ごとのもので、首都などに本部があって各地に支部があるような全国、全世界で統一的な
制度のギルドはファンタジー世界にしか無いと思うのですが、そこはファンタジーのお約束優先という事で。

盗賊ギルドというのは盗賊の勅許状を持っている組織、という事は私掠船団とか「敵対国に対する盗賊許可証」を持ってる人達なら合点が行くのですが。
ギルドを自称しているだけで公的な認可を受けた組織ではない犯罪結社という身も蓋も無い解釈もありでしょうが、
当局に公認されている反社会組織という意味ならば「指定暴力団」そのものではないかという節もありますね。

15303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/08(水) 06:10:05 ID:54bd7AQo0
ザラ公国の首都ポカまで後退を余儀なくされたマルロー王国軍の“准将”は、受け取った伝令報告を見て表情を難くした。
『北部戦線にてノイリート要塞が降伏せり。南部戦線の諸将は皇国・リンド王国軍への圧力をより一層強め、戦域の確保を継続すべし』

先日、ザラ公国の使者が同盟脱退と単独降伏の通告をしてきたばかり。
正式な降伏調印となるとまだ時間がかかるだろうが、ザラ公国軍は“大打撃を受け作戦の続行が不可能になった為、戦列を離れる”と、全軍を本国に引き上げている。
こうなれば軍事的な圧力をより一層強めるどころか、現状維持すら危うくなる。
しかも北部ノイリート要塞が陥ちたというのだから状況は最悪だ。

実際問題、要求される最低ラインである現状維持すら出来ていないのだ。
ザラ公国を下した皇国軍が居座っているから、前線は後退しており、ポゼイユ侯爵領に対する圧力は無くなったも同然。
むしろ立場は逆転して前進基地の筈だったザラ公国が皇国軍の直接的脅威下にある。

ザラ公国対して懲罰的武力行使を行うべきか? あるいは経済制裁か?
同盟内でも有力な国がマルロー王国と碌な協議もせず勝手に単独降伏し、リンド王国と皇国への包囲網の一角を崩したのだ。
何の御咎めも無しで済ませては示しがつかない。国際秩序が乱れる。

しかし、マルロー王国本国はそれどころではなかった。
ザラ公国の“裏切り”に構っている暇はないというくらいに。

16303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/08(水) 06:10:50 ID:54bd7AQo0
投下終了です。

ノイリート要塞陥落を日本で例えると、敵が南西から攻めてきて、九州南部や四国を防衛線にしていたら、いきなり佐渡が占領されて
このままでは新潟から関越道で東京まで一直線じゃないか、新潟からなら空中給油なしでも戦闘機の航続距離も足りるし、みたいな感じです。

ちなみに、距離とか角度とか相当あやふやですが、この方面の簡易地図はvol.24の>777にあります。
厳密な意味での領土だけでなく、およそその勢力圏にある地域も含まれます。
現実で言えば、リヒテンシュタインをスイス領としているような感じです。


>>11

契約したのに全然働かない、とかではありませんから。
ギルド独自ルールはあっても、その範囲内で真面目に働くのがギルドです。
だからこそ勅許状があるし、安易に潰せない組織になってるのですが。

粛清という程の荒療治ではないと思いますが、リンド王国軍が壊滅したので、それの再編に傭兵ギルドを突っ込んで、合併させて解消。
という案をリンド王国が画策し、皇国も密かに支持しています。

やり方が不味いと王国軍の連隊なのに実質は傭兵隊のようになりかねないので、あくまで主導権は
王国軍側としたいけれど、兵員不足で困っているのは王国軍側だから、傭兵ギルドに強気に出られず難しい。
そして仮にある傭兵隊を第777連隊として既存の第66連隊と合併させると、「第66=第777軽歩兵連隊」みたいのが大量に生まれる予感。
連隊旗(傭兵隊旗)も既存のままか新しくするか、デザインで揉めそう。
傭兵ギルドは異世界版PMCとして存続の道を歩めるか!?


>>12

昭和10年代に40代くらいの年齢の方々は、生まれた時には明治時代で、江戸時代の風俗とか各地にまだ残ってはいるものの、
基本的には明治以降の教育を受けて明治以降の制度の中で暮らしてきた人達ですから、実感としては分からないでしょうね。
それより若ければ明治末とか大正生まれも居るので、幕末から明治初期はもう祖父か曽祖父世代の出来事です。

皇露(日露)戦争経験者くらいが現役の限界で、西南戦争経験者なんてもう80〜90代ですよ。
しかも明治維新のやり方を参考にしても上手く行くかどうか……明治維新自体が近代史の奇跡みたいなものですから。


>>13

傭兵隊長とかは貴族や騎士、平民富裕層の二男や三男だったりするので、何か別の職を斡旋してやらないと路頭に迷います。
長男に全てを相続させる為、相続権放棄に同意する代わりに手切れ金として幾らか纏まった金を貰い、それを元手に傭兵業やる、とかですね。
商人やる人もいれば、学がある人なら医師とか学者になる人もいるでしょうし、傭兵ではなく王国軍の士官になる人も居ます。
勿論、そういう家系の女性も傭兵として居るでしょう。ファンタジーだから!
結婚相手が嫌な奴で私は自由に生きるんだと、持参金持ち逃げしてしれっと傭兵隊長してる元貴族令嬢の女戦士とか。

下っ端傭兵は、皇国が港湾建設事業、鉄道建設事業の人手として雇うとかで一時的には
失業者対策になるかも知れませんが、日雇い仕事ですし、皇国基準の作業ができるかですね。
杭一本打つだけでも「もっと丁寧にやれー馬鹿者ー!」とか、そういう職場に耐えられるか。
元傭兵「傭兵として鞭で打たれてた方がまだマシだった。なんだこのブラックな職場」

17303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/11(土) 18:42:49 ID:54bd7AQo0
いつも雑談やまとめ等の応援ありがとうございます。
本編の続き、投下します。

18303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/11(土) 18:44:28 ID:54bd7AQo0
東大陸北方、極北洋のシテーン湾に面するセソー大公国。

セソー大公家は、正式な王家ではないが、王家に准ずる毛並みの良さを誇る。
何せ、リンド王国の王子と、マルロー王国の王女の婚姻によって築かれ、発展した国だ。
言わばリンド王国とマルロー王国の共同の分家であり、“王家ではない王族”である。
『公爵』ならぬ『大公爵』であるのも、理由無き事ではない。
継承順位は低くとも、両王国の国王となり得る血筋。
仮にリンド王国やマルロー王国の王家の血筋が途絶えても、
セソー大公国が“予備”を確保している限り、正統な王家は続くのだ。

東大陸の北西をリンド王国、北東をマルロー王国で、北部中央を
セソー大公国が治める事で、この地域も大分平和になった。
人口も優に300万を超え“准列強国”と見做される北の大国である。
人口だけで見れば、大内洋のオレス王国やリロ王国に匹敵する。
経済力でも、十分に周辺諸国の中心的存在である。
リンド王国とマルロー王国の間にあった広大な“辺境地域”を
“文明開化”した国が、他ならぬセソー大公国なのだ。


セソー大公国領、ノイリート島。
シテーン湾内の大陸から北へ120km程に位置する皇国の佐渡ほどの大きさの島だが、この高緯度にあっても
一年を通じて凍結しないために重要な軍港が建設され、合わせて要塞化された島は軍艦島とも呼ばれる。

ノイリート島の飛竜基地には常時20騎以上の飛竜が駐留しており、
最大級の航空爆弾である10バルツ爆弾以上の12バルツ爆弾といった
特殊兵器も極少数だが配備されている程、軍備が整っている。

対空砲、対艦砲、野戦砲共に最新鋭の砲が配備され、この島を攻略するには
列強国でも陸海空合わせて数万の大軍が必要になるだろうと言われている。

今、その強大な守備力を誇る要塞を必要とする敵はリンド王国、そしてその背後にある皇国だ。
セソー大公国は大陸北部方面の二大国であるマルロー王国、リンド王国の間の
緩衝地帯のような地勢であり、両王国に対して一定の政治的距離を保って来たが、
皇国進駐という事態に旗色を鮮明にし、マルロー王国側としてリンド王国を牽制しだした。

前リンド国王の采配が不味かったという分を差し引いても、少なくとも数的には
東大陸で最も強大だったリンド王国軍すら半年も経たずに消滅させてしまった
皇国軍を擁する皇国の勢力と、マルロー王国は直接国境を接したくない。
特にリンド王国、マルロー王国とセソー大公国が面する
シテーン湾が皇国の勢力下に入るのは面白くないのだ。
大内洋から極北洋が、全て皇国の海になってしまう。

セソー大公国としても、先行き不透明な段階でリンド王国
のように簡単に皇国勢力に下るという選択肢は無い。

異界から現れた未知の勢力を相手に、あっという間に膝を屈した
リンド王国を前に、両国とも過剰防衛というか恐怖心が先行していた。
皇国は狡猾で貪欲だから、いずれ自分達も……という恐怖心だ。

19303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/11(土) 18:45:02 ID:54bd7AQo0
要塞に設置されている大型対艦砲の射程は、実用的な命中率が見込める距離であれば1000m。
限界まで装薬を使って、とにかく砲弾が飛ぶ距離であれば3倍以上の3500〜4000mといった所だ。
逆に、海側からは臼砲艦のような特殊艦を使わない限り、高所の要塞に有効な打撃を与える事は難しい。
戦列艦の舷側砲では、仰角や射程距離の問題で要塞の主要部分に砲弾を飛ばすことすら難しいからである。
臼砲艦や揚陸艦が近づこうとしても、要塞砲や防衛艦隊に阻まれて要塞自体に攻撃を加える事は至難である。

シテーン湾に面するリンド王国の港町セルシーは、軍港としての機能は限定的であるものの、
フリゲート3隻を主力にコルベットやスループ等の小型艦艇が十数隻、母港として投錨している。
この艦隊は近海の哨戒や海賊対策、海難救助を主任務とする物で、ノイリート島を攻略するなど考えられていない。
軍事上の要請でノイリート島の攻略が必要となれば、大内洋に展開している主力艦隊を持ってくる手筈だったのだ。
であるから、それだけでは陸兵を詰め込んだ所で1000人程の揚陸が限度だろう。
その他の民間船や漁船を徴発しても、倍の2000人を運べれば上出来。
さらに、近隣に有力な飛竜基地や飛竜陣地は存在しないから、
ノイリート要塞は何も恐れる必要はない……筈だった。

しかし事態は急展開。
セルシー港に展開した皇国海軍の水上機と飛行艇が、ノイリート島の航空偵察を始めたのだ。
迎撃に飛び立った飛竜は、追い付く事は愚かその高度に達することすら出来ない。
遂に、恐れていた事が現実になったか……。ノイリート伯爵は今後を考える。

ノイリート伯爵は島の行政長官であると共に、要塞司令官でもある純然たる武家貴族だ。

皇国軍に偵察されるという事は、陸兵による攻略軍を送ってくる前触れである公算が高い。
今の所は、上から眺められているだけで物的損害は無いが、もしあれが爆弾を抱えて来たら?
特に大型の方(飛行艇)の巨大さは地上から眺めても解るほどだから、さぞ大量の爆弾を搭載可能なのだろう。

それに物的損害は無くても、上空から見下ろされて何も抵抗出来ないというのは、実質的に軍事的な損失だ。
ノイリート島の軍事的な価値は、北方諸国の上流階級であれば誰でも知っているから、
リンド王国を手にした皇国軍が狙ってくる事は十分に考えられる。
むしろ、皇国軍が何の興味も示さなかったら逆に不自然だ。

噂に聞く大規模空襲と砲撃を受ければ、容易に陸兵の上陸を許し、ノイリート島は皇国軍の手に落ちるだろう。

ノイリート軍港には、セソー大公国海軍の有力な戦列艦11隻のうち4隻が停泊している。
マルロー王国海軍とセソー大公国海軍が共同し、全力を以てセルシーを
攻めれば、セルシーを守備するリンド王国軍を討ち破る事は可能だろう。
リンド王国軍は、戦力の主力を南向きに配備してきたから、最北の
この地域は陸軍も海軍も空軍も、それ程有力な部隊が存在しない。
マルロー王国軍が大挙上陸すれば、守備軍の少ないセルシーは1週間も粘れまい。

しかし、セルシー攻撃が失敗して、艦隊が壊滅したら?
ノイリート島だけでなく、セソー大公国本土も危ないだろう。
セソー大公国軍は、最大限に動員しても10万の兵が精々。うち陸軍は7万程度。
それだけでは、恐らく皇国陸軍の圧倒的な戦力を押し止められない。

セソー大公国海軍の戦列艦は、総旗艦たる108門艦デリセリア号以下、90門艦が2隻、74門艦が8隻。
飛竜母艦は保有しないが、2層48門の重フリゲートを1隻と、24門から36門のフリゲートを25隻、
等級外も多く保有しており、極北洋の制海権はセソー大公国にあると言って過言ではない。

しかし、伝え聞く所に拠る皇国軍艦の射程距離は、要塞砲の倍以上。
炸裂弾を使っているため、破壊力も単純な焼玉弾の比ではない。
その炸裂弾も、リンド王国製の炸裂弾の比ではない破壊力。
そして海は繋がっているから、そのような軍艦が大内洋から極北洋へ来ないとも限らない。
今は、攻略軍の準備としてシテーン湾の調査をしている段階なのだろう。

調査が終わり、攻略軍の編成が成れば、ノイリート島は皇国の海空戦力で
要塞の防衛力をズタズタにされた後、陸兵が悠々と上陸して来るのだ。

セルシー攻略を事実上フュリス公国に任せる形として黙認しているのは、
皇国からの反撃を分散する“リスクシェアリング”の意味からである。
マルロー王国の盾として、皇国軍の火力を一手に引き受ける役回りは御免被る。
そういう前提で大陸北方諸国同盟は動いていたのだが……。

20303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/11(土) 18:46:41 ID:54bd7AQo0
今日も、皇国軍の大型飛行機がノイリート島上空にやって来た。
また“定期便”か……。
迎撃用飛竜と対空砲の準備はさせても、実際に飛ばす事はしない。
どうせやっても無駄だから、それで毎回飛竜を消耗させる事もないだろう。

だが、今日は様子が違った。
飛行機から、何かがばら撒かれたのだ。
一つは2バルツ爆弾。もう一つは紙吹雪。
特に大量の紙吹雪は島全体に降り注いだ。

束ねられた2バルツ爆弾は地表よりも上空で炸裂するように着火して投下された。
今回は警告であり、次は本格攻撃だという内容の紙吹雪と共に。

ノイリート要塞や飛竜基地にも落ちて来た紙吹雪はつまり“伝単”だ。
部下に手渡されたビラを読んだノイリート伯爵は、血相を変えた。
ビラの内容は、皇国に対するノイリート島の無血開城。
平たく言えば降伏を促す文書で、実質的な“降伏勧告”だ。
まだ直接、矛を交えていない段階で、降伏して島を明け渡せとは……。

シテーン湾に展開するリンド王国軍の海空戦力と、マルロー王国側の北方
諸国同盟軍の海空戦力を比較すれば、リンド側が圧倒的に不利なのは誰でも解る。
だが、リンド側に存在する皇国軍という因子によって、この戦力比は容易に覆るだろう。

何せ皇国軍のある所、制空権は完全に皇国軍のものだ。
たった1機の偵察機すら、飛竜では阻止出来ない訳だから、逆に言えば皇国軍は
たった1機の偵察機を展開するだけで、敵軍に相当な不利を強いる事が可能なのだ。

降伏をする場合、3日以内に要塞司令部に“白旗”を揚げ、1週間以内に全将兵の武装解除を恙無く行うべしと書かれてある。
3日経っても白旗が掲げられない場合、ノイリート島に戦禍が及ぶとも。
期限付きの降伏勧告……。

海軍や空軍の偵察によると、確かにセルシー周辺では皇国軍やリンド王国軍の動きが活発なようだ。
マルロー王国軍とセソー大公国軍が中心となってシテーン湾の哨戒とセルシー港周辺への偵察が
行われているが、あまり近づくと皇国軍の設置した沿岸砲(76.2mm高射砲の転用)で攻撃されるので、
遠目から望遠鏡で観察するしか無いが、皇国製と思しき超大型船が停泊しているのは確認された。
あれ程の超大型船なら、1隻で1個旅団を運べると言われても信じられるくらいだ。
猛爆撃の隙に、陸兵を満載して攻めて来られたら、要塞はどうなるだろう?

ノイリート島に駐留する軍人と軍属、領民を全て合わせれば島民は3万人近い。
その大勢の人々の命を、司令官として領主としてどう扱うか?
戦うとすれば、非戦闘員を本土に避難させる事から始めねばならない。
彼らの命を守るだけでなく、要塞の“食い扶持”を減らすためにも必要だ。
武器弾薬、食糧や水も、1日分でも多く確保する必要もあろう。

だが、それでノイリート島が持ち堪えても、援軍が来なければ結局は“白旗”を掲げる事になる。
大陸最強だったリンド王国軍を、鎧袖一触で“滅ぼした”皇国軍に
対抗可能な“有力な援軍”の当てなど、同盟軍にあるのだろうか?

ノイリート伯爵の気持ちが揺らいでいるのを察した要塞司令官は言う。
「閣下、これは単なる脅しでしょう。臆する事はありません」
「単なる脅しではなく、本当に爆弾を落とされ兵を上陸されたら、貴公が責任を取るか?
 皇国軍に“我々の常識”は通用しないという事は、リンド王国が証明したのだぞ」
「それは――」
「皇国軍にとって、大陸から最短で100マシル。リンド領から300マシルという距離も、
 “飛竜”の航続圏内である事は貴公も重々承知だろう。制空権がどちらにあるのか」
「しかし本土の大公殿下の許可無く、島が独自に降伏となれば……」
「梯子を外す事になろうな。殿下だけでなく、マルロー国王陛下に対しても」
「閣下、この島が皇国軍に利用されれば、それこそ北方諸国同盟軍が瓦解します!」
……瓦解しても良いのではないか?
ノイリート伯爵は、マルロー国王やセソー大公が
今度の戦争を仕掛けたがっていたのを理解出来なかった。

実質的にリンド王国が皇国に取り込まれてしまっている。
という現実を認めたくないのは解るが、ここまで勝つ見込みの
薄い戦争を自ら仕掛けた大国というのは、史上初ではないか?

リンド王国の場合、皇国の事をよく知らなかったから、相手はユラ神国のみで、だったら勝てる。
という考えに至ったのは自然な事で、自分がリンド王だとしても、そう判断していただろう。
まあ、前国王の采配が不味く、引き際を誤ったという大失点はあるが……。

21303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/11(土) 18:48:57 ID:54bd7AQo0
だが、今や皇国軍の人知を超えた精強さは誰もが知る所だ。
それを過剰に恐れるあまり、皇国が準備万端整えて、
大陸東方に食指を伸ばしてくる前に一発お見舞いしてやれ!
というだけで事を始めてしまったのは、少し思慮が足りないのではないか。

リンド王国軍は壊滅したから、相手がリンド王国“だけ”なので
あれば、マルロー王国やセソー大公国側に十分な勝ち目がある。
だが、その強力なリンド王国軍を壊滅させた張本人を相手に、
マルロー王やセソー大公は勝算を持っているのだろうか?

開戦前と開戦直後に行われた軍議では、納得のいくような展望は得られなかった。
何とかなるだろう、何とかなって欲しい、何とかなるに違いない、何とかするのだ。

リンド王国のように、死に体になるまで奮戦して、莫大な賠償金と
属国同然の立場を受け入れざるを得なくなるくらいなら、むしろ先手を
打ってこちらから皇国に和親通商交渉を持ち掛けても良かっただろうに。

しかし今や、その可能性は潰えた。
戦争を始めてしまった以上、どこかで終止符を打たねばならない。
それも、なるべく良い方向で終わらせねばならない。

リンド王国とマルロー王国が皇国の下に合同し、『皇国主導による世界平和』が
達成されれば、それはそれで人類の歴史的偉業になるかもしれない。
セソー大公国だって、東西の両王国の緩衝材として常に距離を測りつつ微妙な政治を行う必要が無くなる。
勿論、その正反対になる可能性も否定は出来ないが。

「皇国軍の航空偵察の頻度が高くなっている事は報告済みだろう。
 マルロー国王陛下やセソー大公殿下からの援軍はどうなっている?」
「特に何の連絡も、援軍もありません」
「ここが陥落すればシテーン湾沿岸が全体的に危うい事を理解されているのか……」
「こうなったら島民を徴兵して武装させますか?」
「いや。その必要は無い」

小銃は予備を含めても島民分無いが、普段使っている農機具を武器にしたり、
木の棒にナイフを括り付けたりすれば即席の武器になる。最悪ただの棒でもいい。
だがノイリート伯爵はその提案を却下した。

セソー大公家は、元を辿ればリンド王家であり、マルロー王家。
過去、シテーン湾とノイリート島の覇権を巡り、リンド王国とマルロー王国の間で
血で血を洗う戦争が幾度もあったが、両大国もさすがに疲れ、無為な戦を止めるために
この海の平和の証しとして王子と王女の婚姻が為され、セソー大公国が建国されたのだ。
セソー大公国は、シテーン湾の平和と安定を両王国から“委託”された訳だ。
再び、この島と海域に血を吸わせるのは、ノイリート伯爵の本意ではない。

この期に及んで局外中立が不可能なのはノイリート伯爵だって良く解っている。
セソー大公国は、正に父と母の夫婦喧嘩に巻き込まれる無力な子供の立場なのだ。

むしろ、ここは心を鬼にして、皇国軍の進駐を認め、ノイリート要塞に皇国の軍旗が
はためくという事実を内外に知らしめれば、無用な争いを早期に終結可能なのではないか?
夫婦喧嘩を止めさせるのに、子供が泣きながら駄々を捏ねるしか無いのならば……。

「皇国軍への降伏の準備を。白旗と、将兵の武装解除を恙無くな」
「閣下……!」
「裏切り者の汚名なら受ける。叛逆の処罰も受ける。それで良いか?」
「はい……それが、閣下の熟慮の結果なのであれば……」

シテーン湾の最重要拠点は、戦わずして白旗を掲げる事となった。

22303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/11(土) 18:49:28 ID:54bd7AQo0
投下終了です。
久々に纏まった量の本編が投下できました。

23303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/11(土) 19:02:03 ID:54bd7AQo0
投下して早々ですが、訂正です。

>>19
誤「2層48門の重フリゲート」
正「2層艦に迫る48門の重フリゲート」

2層なのは74門だろぉ?

24名無し三等陸士@F世界:2017/02/11(土) 22:51:28 ID:I8vK1fvg0
さ、39話?

25名無し三等陸士@F世界:2017/02/11(土) 23:39:37 ID:XUtx.FGw0
どう見ても既出の39話そのまんまです本当に(ry

26303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/12(日) 00:34:20 ID:54bd7AQo0
>>24-25

すみませんすみません。
以前に投稿していたものですね。
自分で投下したの忘れてるって恥ずかしすぎる……。

新規分と以前の分の書き直しを並行してやっていた結果がこれだよ!
これの、続きを投下しないといけないんだ!

仰るとおり一年と少し前に投下したまとめの方の39話なのですが、書き直してるから微妙に違うんですよね。
大陸と島の距離とか、どういう扱いにすればいいのか困った……。
今のところは、誤爆という事にさせて下さい。

という訳で、本当の続きを投下します。
こちらは大丈夫なはず!

27303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/12(日) 00:35:10 ID:54bd7AQo0
リンド王国の都市セルシーには、皇国海軍の水上戦闘機部隊が進出していた。

艦上機の零戦を基に水上機として開発された二式水上戦闘機。
水上機母艦や潜水母艦の上空直掩用と離島防衛用に150機程が生産されたのだが、
正直、これを本当に主戦力として使う場面が来ると思っていた関係者は少ない。
“本来の想定”では、皇国海軍は陸軍や海軍の基地航空隊と空母航空隊の傘の下で
活動する事を前提とし、水上戦闘機が必要になる程に逼迫した戦況は考え辛かったからだ。

皇国近海で、基地も空母も当てに出来ない状況って何? という事で、
水上戦闘機は技術的冒険とか、物の試しに造ってみた感も大きかった。

セルシー方面も、本音を言えば陸軍や海軍の陸上機を運用可能な飛行場を建設したい。
だが、そんな各地にポンポン飛行場を整備するような設営部隊も資材も時間も無い。
そうすると次に挙がる候補は当然空母艦隊だが、これも台所事情的に苦しい。
リンド王国海軍との戦いで、一航艦が全力出撃したというだけでヘトヘトなのだ。
一航艦は現在、戦隊や中隊ごとに搭載機を新式の彗星や天山に更新中であり、
その意味でも、今すぐ急なお呼びがかかっても遠征は無理であった。

勿論、これが対ソ連における“国運を賭けた全面戦争”となれば話は別だが、
そういう訳ではないから、出せるとしたら軽空母を中心とした艦隊になる。
だが1隻あたり30機として、4隻出してやっと120機程度では少し力不足ではないか?
軽空母は小型な分、飛行機運用のための燃料や弾薬もそう多く積めないので、長く留まって戦闘するには
それだけ支援のための補給艦を手配してやる必要があり、瞬間最大風速を買うとしても効率的ではないだろう。
さらに決して数の多くない軽空母には、陸海軍の飛行機輸送や航路防衛のための護衛空母としての役目もある。
この重要任務を疎かにしてまで、打撃力だけを期待するのは国家や軍全体の運営効率を下げる事になってしまう。

そうすると、水上機と飛行艇しか無いではないか……海軍は迷ったが、
まあ以前から大内洋には水上機母艦と飛行艇部隊は進出していたから、
それで良いなら支援部隊の少しの強化で極北洋への進出は可能だ。
数的にも質的にも、陸上機や空母機には及ばないが、当該方面で戦う陸軍にとって、
10機でも友軍飛行機の傘があるのと無いのとでは、戦闘の趨勢が変わってくる。
現状、友軍航空戦力はリンド王国空軍のみだったのだから、信頼感が違う。

だが、セルシーに水上機を進出させても、燃料や弾薬は容易に補給出来ない。
大内洋に展開する水上機母艦や補給潜水艦から、輸送飛行艇が極北洋へピストン輸送する事になる。

水上機母艦搭載分と、巡洋艦から分派された分を合わせて二式水戦が9機、
零式水偵が8機、九五式水偵が8機、九七式飛行艇が3機、九一式飛行艇が5機。
一応、数的には33機で、零式水偵と二種の飛行艇は爆撃能力も期待出来る。
二式水戦は勿論だが、九五式水偵も飛竜相手なら空戦も可能だろう。
つまり空戦用途には二式水戦と九五式水偵を。
偵察と爆撃用途には零式水偵と飛行艇を主に使う事になる。

頭数としては最低限揃い、支援部隊と共に燃料や弾薬も最低限揃った。
しかし、あくまで“最低限”だ。
毎日のように全力出撃など到底不可能。
爆弾も、250kg爆弾は50発程度しかなく、500kg爆弾はたったの10発しか存在しない。
30kg爆弾や60kg爆弾を含めた全体でも30t分くらいしか無い。爆弾が存在しないのと同じだ。
出し惜しみして10日くらいならこれでも行けるが、以降は爆撃任務が不可能になる。
毎日補給される爆弾は500kg分。多くて1t分が精々だから、持久戦になっては不利。

爆弾無しでは、地上を銃撃するくらいしか航空支援にならない。
やるなら3、4日で使い切る覚悟で全力出撃して、後は陸軍の奮闘に期待するか。

28303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/12(日) 00:36:18 ID:54bd7AQo0
『駄目で元々、ノイリート島に降伏勧告をしてみて出方を伺ってみても良いのではないか?』

そんな時、何となくその場の流れで、そういう意見が出てきたのだ。
虫が良すぎるとは誰もが思ったが、威圧してみるだけならタダだ。
駄目なら爆撃をして、再度降伏勧告。それから海兵隊投入でもいい。
ここは押さえておきたい要衝、殴り込むなら滑空機を使う手もある。

だが、現実は意外と単純なのかも知れない。
「本当に降伏してくるとは……」
「こちらの準備がまだなのですが、ぎりぎり1週間粘って欲しかったですな」
降伏したとなれば、軍を派遣して制圧し、軍政を敷かねばならない。
皇国軍は“セルシー防衛”のために海兵隊1個中隊と陸軍の1個大隊を準備していたが、
これを“ノイリート島防衛”のために転用する必要が出てきた。

「海兵隊は全部出しましょう。あとは陸軍さんですが……1個中隊が限度でしょうね」
「合わせても400人にすらならないが……向こうは陸兵だけで10倍以上だぞ」
「リンド海軍に応援してもらいますか?」
「要塞を相手に、28門フリゲートで何か有力な支援が期待出来るか?」
「ではリンド軍の海兵隊にも……本来、これは彼等の問題ですから」
「数十人増えたところで何も変わらん。むしろ“裏切り者のリンド兵”に対して
 悪感情を持たれたらどうする。悪者になるなら、我が将兵だけで十分だ」

陸海軍の参謀は、降伏を確認したら捕虜を取らずに全員をセソー大公国の本土に送還し、
無人となったノイリート島の食料と武器弾薬のみを戦利品として調達すべしと進言した。
またこの地で、数千の敵将兵を養う事になれば負担で身動きが取れなくなるから、
セソー大公国の軍艦や商船に乗って帰ってもらうのが一番良いという事だ。

軍艦はともかく、島に駐留する飛竜部隊に関しては、本土に帰らせるのは危険が増えるという判断は当然あった。
だが、決して広くない島に重爆撃機が発着可能な飛行場を建設して運用する事になれば、彼等は邪魔になる。
戦利品とした上で食肉として利用するという案は却下だ。
飛竜の味は良くない上に、何より“神聖な”飛竜を食用に解体
などしたら、列強各国への示しが付かない。蛮族扱いへ逆戻りだ。

遺憾だが、部隊維持にかなりの場所と物資を必要とする飛竜達は帰って貰い、
空いた土地を飛行機部隊の基地とすべく工兵隊を派遣する事となった。

29303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/12(日) 00:36:58 ID:54bd7AQo0
皇国軍の離着水可能(!)な飛行機械によりノイリート伯爵に届けられた手紙の内容は、俄には信じ難かった。
『皇国軍の将兵が降伏を確認しに上陸するから、武装解除した将兵は全員本土へ帰るように』
伯爵と一部の将兵は、事後処理や皇国軍将兵の案内のために居残りを
命じられたが、他の大多数の将兵は捕虜に取らない上、最終的には
伯爵と主要な随員以外、全員の本土帰還が望ましいというのだ。
飛竜兵だけでなく、飛竜自体の本土送還も許可されている。
降伏した敵軍の飛竜を戦利品としないとは、想定外だった。

処遇は島の地下牢ではなく、本土の大公や軍司令官に委ねられる事になる訳だ。
伯爵と主要な人員だけが島に残されるのは、本土に帰れば重要人物である彼が
真っ先に処刑されるのが目に見えているから、その予防措置という事らしい。
敵国である皇国が、ノイリート伯爵の命を保障する側になろうとは。

「一杯食わされたな。皇国に」
「は?」
「皇国は我々の処遇を本土の殿下や将軍に丸投げし、土地と備蓄物資だけは戦利品として押収出来る。
 本国に“裏切り者”に払う身代金は無いだろうから、皇国も我々を捕縛して交渉材料には出来ない。
 だが捕虜を殺す事も売却する事もせず、自由の身にするのだから我々も文句を言える立場に無い」
「皇国の丸儲けですか……では、降伏の話は無しにしますか?」
「馬鹿を言うな。一度結んだ約束を違えるような騎士道に反する行いをするなど、名誉の失墜だ。
 それにな。皇国軍が上陸して来た時、それを背後から襲ってみろ。どんな報復が行われるか。
 そんな事になれば、皇国軍は苛烈な報復をする正当な権利がある事になるのだぞ?」
「はっ……失言でした。部隊の統制を厳にし、恙無く降伏と送還が行われるよう。小官も全力を尽くします」
「うむ。大公殿下にも部下達に責任は無いという事は理解して頂かねばならん。
 彼等は本土に帰った後は、そちらの防衛軍として働いて貰わねばならないからな」
「はい」

皇国軍からは陸軍の歩兵中佐と海兵少佐がノイリート島に上陸し、ノイリート要塞の降伏と武装解除の確認を行った。
偵察機は飛ばしていたと言え、最前線からは離れていたから、そこまでピリピリした雰囲気ではなかったのが救いか。
リンド王国との戦争の話が伝わっているせいか、末端の下級将校や兵士ほど抵抗の素振りは無い。
むしろ上級将校の方が駄々を捏ねて抵抗しそうであったが、ノイリート伯爵が
皇国軍の指揮官に剣を渡し、改めて降伏の意思を伝えると、それも収まった。
数時間に渡って上空を飛行機が飛び回っている効果もあるだろう。

多くの将兵達は、ノイリート島に停泊中であった軍艦に分乗して本土へ帰っていく。
彼らは軍服と最低限の荷物を除いて手ぶらだ。
皇国軍の命令によって、武器も食料も島に置いていく事になる。

ノイリート要塞の物資類は食料から爆弾まで全て皇国軍が接収した。
ここで大規模な物資類を手に入れた皇国軍は、占領した新たな島を拠点に北方諸国同盟への圧力を強め、
ノイリート島を奪還されないよう守備を固めると同時に攻勢計画を前倒ししつつ検討に入った。

マルロー国王も、ノイリート伯爵と同じように聞き分けが良いなら春を待たずにすぐに終わるだろう。
しかしそうでなければ、春を見据えての計画だ。

本国では空母が、東大陸では大内洋に停泊中の旧式戦艦にもお呼びがかかった。
泥縄ではあるものの、せっかく得た機会を逃すわけにはいかないのだ。

30303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/12(日) 00:38:08 ID:54bd7AQo0
短いですが投下終了です。
今度こそ、下手打ってないですよね?

31名無し三等陸士@F世界:2017/02/12(日) 13:51:23 ID:7On4xicw0
いつも有り難う、拝読しました

32名無し三等陸士@F世界:2017/02/14(火) 12:16:17 ID:I97TxQ6c0
一杯食わされたって言ってるけどノイリート伯爵にとって理想的な状況って何だったのだろう?

33303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/14(火) 22:52:35 ID:54bd7AQo0
近世兵器の資料を見ていて、19世紀の仏12cm砲をなんで英語では12ポンド砲と呼ぶのか理解に苦しみました。
12cm砲の砲弾重量は9ポンドじゃねーか! 素直に12cm砲のままか4・3/4インチ砲のように訳せば分かりやすいだろうに、何か理由があったのでしょうか。


>>31

こちらこそ、ありがとうございます。


>>32

部下の将兵と島民の命は保障され、セソー大公にプレッシャーを与えた訳ですから、現状はほぼ理想どおりです。

ただ部下の将兵に関しては、島の捕虜収容施設か、皇国軍が東大陸に用意している捕虜収容所に移送されると思っていたのが、本土送還となったので驚いたのです。
皇国はリンド王国戦で下級兵士も含めた大量の捕虜を集めて、捕虜返還で現金を要求しているので、きっとそうするだろうと考えていました。

実際は大量の捕虜の扱いが負担で仕方なかったので、皇国軍はリンド戦後に、当面は(大量の)捕虜は取らないという通達を出しています。
降伏勧告しておいて捕虜の面倒を見ないのは無責任といえば無責任ですから、そういう意味で一杯食わされた……という感じです。

『ハーグ陸戦条約 第二章 俘虜』
「第10条:俘虜ハ其ノ本國ノ法律カ之ヲ許ストキハ宣誓ノ後解放セラルルコトアルヘシ
 此ノ場合ニ於テハ本國政府及之ヲ捕ヘタル政府ニ對シ一身ノ名譽ヲ賭シテ其ノ誓約ヲ嚴密ニ履行スルノ義務ヲ有ス
 前項ノ場合ニ於テ俘虜ノ本國政府ハ之ニ對シ其ノ宣誓ニ違反スル勤務ヲ命シ又ハ之ニ服セムトノ申出ヲ受諾スヘカラサルモノトス」

今回の皇国軍の行為は、この条文にある宣誓解放に当たると思うのですが、大丈夫でしょうか。

セソー大公国の偉い人がノイリート要塞関係者を処罰したくても、下級将兵を罪には問えませんし、
問うたとしたら士気が下がってただでさえ孤立無援なのに自分の首を絞める事になります。

34名無し三等陸士@F世界:2017/02/15(水) 22:34:17 ID:ci0mzTRQ0
投下おつです!

35名無し三等陸士@F世界:2017/02/19(日) 19:15:06 ID:XiyVDv5E0
35:54

10:40
ttps://www.youtube.com/watch?v=WTdY7h129Mk

ttps://www.youtube.com/watch?v=8R0luOy8ce8

36名無し三等陸士@F世界:2017/02/23(木) 00:00:15 ID:w2nCsok60
>19世紀の仏12cm砲をなんで英語では12ポンド砲と
ライットシステムを使った砲の事かな?
12cmナポレオン砲も後にこの前装式旋条(ライフリング)砲に
改造されています。
ライフリングを施せば12ポンドナポレオン砲でも砲弾重量は4.1kgから
11.5kgまで増やすことが出来ます。
何となくですがこの表記での「ポンド」はヤード・ポンド法でのポンドじゃ
なくてメートル法のキログラムを表現しているのかなぁと。
日本でも四斤山砲の砲弾重量はポンド表記では無くて、メートル法の
キログラム表記になってますからね(斤はキログラムの和訳)。

37303 ◆CFYEo93rhU:2017/02/25(土) 23:15:22 ID:54bd7AQo0
>>36

そうです「12ポンドナポレオン砲」と呼ばれるタイプの物ですが、そういう理由があったのですね。

時代は違いますが、睦月型駆逐艦の12cm砲の砲弾重量が20kgらしいので、砲口径からすれば
12cmで11.5kgの砲弾はおかしくないというか、現代の弾頭と比べるとむしろ軽いくらいですね。

球形弾だと4.1kgの砲弾重量ですが、ライフル砲で弾頭形状が変われば砲弾重量も増えますね。
この仏製大砲はアメリカの南北戦争でも(ライフリング化されたものが)使われたようですが、
12ポンド砲という言い方はどちらかというとイギリスよりアメリカでの呼称なのでしょうか。

12cm砲から約12kgの砲弾を発射していた時期があって、それが一般的になったと。
でも、約12kgを12ポンドと言うのは……現場や兵站が混乱しなかったのしょうかね。
11.5kgならまだ25ポンドと言った方が分かりやすい気がするのですが。
1ポンドと1kgだと重量は倍以上違うし、本当に12ポンド(約5.5kg)の砲弾を使う12ポンド砲もこの時代は現役でありましたよね。

OF17ポンド砲は口径3インチで本当に17ポンドの砲弾を発射する対戦車砲ですし。

あと18〜19世紀だと英ポンドと仏ポンドが微妙に違い、発祥の仏国もまだメートル法が浸透していないので、かなり混乱します。
1800年前後の時期は、メートル法を制定した当のフランスでさえメートル法に振り回されてた感があります。壮大な社会実験中というか。

ヤードポンド法だと、オンスやパイントはドリンクの量とか、グレーンは火薬の量で、現代でも使われていますが……。
現代は基本メートル法で統一されていて本当に良かったと思います。

四斤山砲の場合は「きん」と「キロ」は音が似ているし、馴染みのない「瓦」を使って四瓩山砲とするよりは分かりやすかったのかな? とか。
戦国時代や江戸時代に銃や砲の単位として使われていたのは、匁や貫が多かったですよね。
1貫が約1.3ポンドだから、換算も直感的に分かりやすい……のか?


あと、これはおそらく私の勘違い(記憶の改竄?)なのですが、英軍はWW1かWW2の頃まで、現代的なライフル砲であっても、
例えば口径3インチの大砲があったら、そこに古式の球形弾を入れたと仮定した命名を行っていたと、どこかで見た記憶があるんです。
でも口径3インチをその方法で換算すると4ポンド砲になりますし、40mm砲が2ポンド砲になる訳もないですよね……。

38名無し三等陸士@F世界:2017/03/05(日) 14:55:01 ID:w2nCsok60
>四斤山砲
この部分は元々幕府軍の洋式軍隊「伝習隊」などがフランス式を元にして
いるためもあったからかと思います。
教練を受けたのがフランス軍だったから、その装備で使われている単位も
メートル法にならったのかと。教えられている側からすれば「これがデファクト・
スタンダードですよ」と言われたからそれに合わせようという思惑もあった
のかもしれません(私個人の憶測です)。
四斤山砲に関して言えば、幕府軍や敵である薩摩軍でも盛んにコピーされ
ていましたのでメートル法で統一されていれば砲弾などにもある程度の
互換性がとれますからね。

有名な仏式伝習隊は、幕府がフランスから招致した軍事教官団
(シャノワンヌ参謀大尉以下、士官6名、下士官12名)の指導をもとに
編成された優良部隊ではありましたが、参加した藩兵の中には満足
な装備を揃えられずにいた兵も多々あったそうです。

39303 ◆CFYEo93rhU:2017/03/12(日) 11:46:37 ID:4623vdPQ0
>>38

> 四斤山砲

洋式幕府軍が教練を受けたのがフランス式だったからメートル法というのはわかるのですが、
「キログラム」に「斤」の字を当てたのは何故だろうか? というのが気になる部分です。
「両」や「貫」よりはキログラムに近いとはいえ、誤差は結構あります。

両とか匁と同じく、斤だって元々あった日本の度量衡で、本来の「斤」とキログラムの意味の「斤」では倍くらい差があるのに。
キログラムの意味の「斤」は洋式大砲(四斤山砲)に限って使われる単位だったからそんなに問題は発生しなかったというだけでしょうか。

> 仏式伝習隊

江戸時代には公式な外交ルートを持っていたのはオランダだけで、西洋的な学問も蘭学というほどオランダを優遇していたのに、
幕末から明治期になると急に英仏独米あたりが出てきて、日本の近代化は殆どこの辺りから来ていますから、オランダの影が……。
まあ19世紀後半のオランダは、欧米の中で相対的に弱体化はしていましたから、これから西洋化しようという時にわざわざ中堅レベルを目標にはしないでしょうが。
産業レベルはともかく、国土と人口(植民地を除く本国領域)だけで言えば欧米の一等国に並ぶから、オランダは参考に出来ないというところもあったでしょうし。

幕末〜明治初期にかけては、普仏戦争でプロイセンが勝ったという事でプロイセン式を参考にしてみたり、良く言えば柔軟で臨機応変、悪く言えば場当たり的で無節操ですからね。

横須賀の海軍工廠(造船所)も最初は江戸幕府がフランス技師を招いて始められたけれど、いつのまにか日本海軍はイギリス海軍の一番弟子(自称)みたいな感じになってましたし。
日清戦争の主力艦(?)たる三景艦は仏式で、この頃までは英仏どちらかに偏り過ぎないように軍艦発注してましたよね。
日本の近代化遺産や日本軍から仏式の影が急速に消えたのは、三国干渉と日英同盟の影響でしょうか。

その後も機関銃や野砲、戦車や飛行機といった個々の分野で仏式を模倣や参考にする機会はあっても、軍の骨子は陸軍=独式、海軍=英式でしたよね。

40名無し三等陸士@F世界:2017/03/12(日) 15:11:23 ID:duMIjbdY0
でも明治のお雇い教師はオランダ人が多かったわけで。

プロイセンを参考にしたのは、明らかに格上の仏に勝ったのを、途上国の日本自身に重ねたのかも。

フランスは、幕府寄りだったから明治政府からの印象が良くなったという話も。
あと、三景艦は日本の無茶な要望に何とか応えようとした奇才のが設計したけど、
要望した日本側が「これは実用的じゃない」とか言い出して、奇才を怒らせて契約途中帰国させたという流れもあったような…。
ただドッグなどの設備の充実はフランスのおかげではあったり。

フランスって対独政策の関係で伝統的に露と仲が良いから、対露に頭を悩ませる日本には微妙な部分があるし。

41名無し三等陸士@F世界:2017/03/17(金) 02:52:57 ID:w2nCsok60
>>39
>「キログラム」に「斤」の字を当てたのは何故だろうか?
これ高校時代の私も気になって、古文の先生や現代国語の先生にも聞いた
事がありまして結局詳しい由来まではわからなかったのです。
「斤」という文字は本来舶来品などに使用する場合イギリスポンド(英斤(
えいきん)を元にしたという事まではその時にわかったのですが、何故斤の
字をポンドに当てたのかという由来はわかりませんでした。
なお、「斤」は現代の常用漢字での代用字で本来の字は「听」(国字)です。

>良く言えば柔軟で臨機応変、悪く言えば場当たり的で無節操ですからね。
この時期は世界的に見ても様々な兵器や戦術、科学技術の発展上の過渡期に
あり何が最適解なのかという事までは分かっていない時代でしたので
一概に当時の日本国の選択を「場当たり的で無節操」って言っちゃって
いいものかと思う所です。
船の動力にしてもレシプロエンジン搭載だったものがほんの10年程で
蒸気タービン搭載へ移行していったりという風に列強国でも様々な変化と
試行錯誤があった時代でした。
特に当時の日本は工業力も技術も低くそして何よりカネが無いw
金はないけれど隣国の軍事的脅威には対抗しないといけませんでしたので
カネが無いなりに色々やった結果のフランス式からの変遷という部分も
あったであろうという感じではないでしょうか。
船に搭載されていたボイラー1つにしても、日清戦争ではスコッチボイラー
だったのが日露戦争ではより高温高圧に耐えられる水管ボイラーに変わって
いますし。

ただまあ、三景艦自体は「ある意味」当時あったある種の流行に形から入ろう
とした日本なりの解釈の仕方であったかもしれません。
比較的小型の軍艦に巨砲を1門か2門だけ搭載するという形式の軍艦は19世紀
後半の列強各国でも見られましたし、日清戦争に至る前の時期に起きた
征台の役の翌年に清朝が日本への対抗策としてレンデル砲艦を多数
購入したのも何しかの流行が関係していたかもしれないです(でも、さすが
にレンデル砲艦は金の無駄遣いな気がする)。

42303 ◆CFYEo93rhU:2017/03/18(土) 20:37:41 ID:4623vdPQ0
くそぅ、大悪魔様かわいいなぁ。
「悪魔的行為」なんてものを見ると、安楽椅子に座らせて食器台に縛り付けたくなる。
口にメロンパンねじ込んで異端審問したい……。


>>40

> オランダ

医療用語とか、一部の専門用語にはオランダ語の影響も残ってるようですね。
あと、もう完全に日本語化してしまった言葉にも、オランダ語あたりの影響があった……と、どこかで。
天ぷらとかビー玉とか。ポルトガル語だったかもしれません。

幕末の頃、洋式の技術だとか国のありかたといったものも、初期はオランダからの指導や影響も確かにあったようですね。
しかしそれが、明治に至り大正、昭和の頃には日本が目指すべき西洋とはほぼ米英仏独の事で、蘭?
ああそんなのも居たね。昔はお世話になったようだけど、今目標とすべき先進国はアメリカだよね。
といった感じになってませんでしたか?

オランダの軍学関係者というと、浅学なのでマウリッツくらいしか知らないのですが、幕末とは250年くらい違いますよね。
グスタフ・アドルフも、フリードリヒも、ナポレオンも、元を辿ればマウリッツの用兵術。
マウリッツの方法を自己流に改良したに過ぎない。なんて話も聞きますが。

> フランス

スエズ運河を造ったのはフランス人で、パナマ運河も途中まで同じフランス人でしたよね。
18世紀頃の戦列艦とかの木造軍艦ではイギリス製よりフランス製の方が高性能だったという話ですし、何だかんだいってフランスの実力は高いですよね。
19世紀後半、イギリスが建艦競争で他国をリードしていた既存のバカ高い蒸気式装甲艦を無価値にしてしまうのではと危惧された水雷艇を作ったのもフランスでしたね。

そういえばマスケット銃に装着する銃剣を作ったのもフランスでしたね。
ミトライユーズのような時代を先取りしすぎた兵器なんかも作ってますし、イギリスで開発された戦車を現代的な単一砲塔式にしたのもフランスでした。
WW1で激しい航空戦を経験したからでしょうが、独立空軍、戦闘機なんかもフランスは決して劣ってない筈。

現代では結果論的に愚かだったと批判される事があるマジノ線も、ドイツに対する国防の考え方としては必ずしも間違ってない。
実際にドイツ軍の主力部隊はマジノ線を避けて攻めてきた訳で、それに上手く対応して防御が成立していれば、ドイツ軍は
初期の攻撃の勢いを削がれて半年もしないうちに膠着状態になって、そうしたらイタリア参戦も無かったかもしれないし、
ドイツはソ連に攻め込む余裕なんて無くなっただろうし、1941年頃には英仏の反撃を受けていたかもしれない……?
フランスが降伏しなければ日本の仏印進駐も無かっただろうし、ドイツの勝ち馬に乗るという前提の博打も打てなかったかもしれない?

ファンタジー系の創作資料などだと、中世のフランスの騎士がイングランドのロングボウ兵に負ける話が良く出てきませんか?
そりゃあ、壕と杭を巡らした陣地に正面から突撃したら誰だって負けるよって思うのですが。
フランスの騎士がロングボウに負けたのが、武田勝頼が無能みたいに語られるのと似ていて、ちょっと可哀想。

43303 ◆CFYEo93rhU:2017/03/18(土) 20:38:15 ID:4623vdPQ0
> ドイツ

日本だと逆にドイツが過大評価されてる感じがある気がします。
WW1で負け、WW2で負け分割統治されながらも、再統一し、今では戦勝国のフランスを差し置いてEUのリーダー格やってるドイツは確かに凄いですけど。

でもドイツが本当に凄かった、強かったのはビスマルクとモルトケが政治と軍事で舵取りしてた頃だけなんじゃないかという疑問も。
神聖ローマ帝国(笑)時代をドイツの帝国に含めるなら帝国の時代は長いですが、事実上のドイツ帝国は大日本帝国の歴史より短いですし。

> イギリス

薩摩藩が親英で、かつイギリスは反露的な大国だったから、日本としては長く付き合うならイギリスが都合良かったのでしょうね。
といってもイギリスはイギリスで、対仏や対独に関しては親露的ですから、欧州情勢で互いに牽制し合ってるのをどう生かすか、難しかったんだろうなぁ。とは。
あとは欧州全体に距離を取っていたアメリカになりますか。こう見ると、米英を同時に敵とした頃の日本がいかに外交的に八方塞だったか……。

ネタで英国面という言葉があるくらい珍妙な兵器を作る事で一部有名ですが、それと同じくらい手堅く保守的な兵器も好むんですよね。
それに戦車だって最初は実用性に疑問符が付く珍妙な新兵器だった訳ですし、想像力のある限り、とりあえず作ってみてから考える
というある種の無鉄砲さが、世界中に船団を送って植民地支配していた国のフロンティアスピリッツの源泉なのかもしれません。

典型的な海洋国家だけど陸軍が意外と強いというのも、海軍だけ強くても陸軍が強くないと駄目だという実証のようですね。

ファンタジー系の話だと、イングランドのロングボウは中世最強! みたいな向きもありますが、
だったらなんでイングランドはスコットランドとの戦争でマスケット銃兵使ってるんですかね。

> アメリカ

南北戦争で内戦に専念していた時期を除けば、19世紀後半から20世紀にかけて急速に台頭してきた新進気鋭の新たな大国ですね。
幕府が攘夷ではなく開国を選択したきっかけの一つはペリーの黒船ですし。

44303 ◆CFYEo93rhU:2017/03/18(土) 20:38:57 ID:4623vdPQ0
>>41

> 斤(キログラム)

由来について、ありがとうございます。

現代で斤を使う場面は食パンくらいだと思いますが、そこでの単位は英斤ですね。
といっても1斤=1ポンドではなく、幅があるようですが。

英斤=ポンド(約450g)とすれば、元々の日本の単位だった斤(約600g)と近いですね。
「ポンド」をそのまま音訳して「巴吽弩」みたいにするよりかは、「英斤」の方が質量単位だと分かりやすいという利点はあるかもです。

既に英斤の用法があったので、英斤に対して仏斤=キログラムという感じになったのかな、などと想像しますが、そう単純な話でも無さそうですね。

> 場当たり的で無節操

「高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に対処する」というと、馬鹿にする言葉に
なってしまいますが、明治時代の日本はまさにこれをやって成功した方ですよね。

そもそも、近代化の目標とした欧米諸国ですら、壮大に間違う事もあるという実例が軍艦の衝角装備とか……。
後装式ライフル銃を導入したのにそれまでの戦列歩兵のやり方で兵士がバタバタ死んでいったとか……。
文化も宗教も全く異なり、地理的にも離れた新興国である日本が最適解を選べたとしたら、未来からの転生者を疑いますね。

それまでの戦列艦のような砲門式から砲塔式にしてみたけれど、非装甲の露天砲塔だったり。
砲塔を二段重ねにして、主砲塔の上に副砲塔を重ねるとか、やってましたよね。

19世紀から20世紀になっても潜水艦に巨砲載せたり、大型空母も初期は巡洋艦並みの重武装してたり、
新兵器とか新技術の過渡期には後の時代から見ると何でこんな変な物造ったのかというものが出てきますね。
20世紀半ばになっても、ミサイルに夢見すぎて大砲全廃した巡洋艦とか、機関砲全廃した戦闘機とか……。

> 三景艦

まあ、定遠、鎮遠も主砲配置がアレな、いかにも19世紀の発展途上の戦艦という(左右非対称の梯型配置、
結構好きなんですが)感じなので、特に日本の発注だけがおかしかったとか、そういう事でないのは承知です。
三景艦の主砲が殆ど何の役にも立たなかったというのも、結果論ですしね。
むしろ「これだけ強力な主砲があるんだし、少しでも軽くするために速射砲削ろう」とならなくて良かったです。

近代的な装甲艦グロワールを造ったのはフランスですが、確か19世紀末頃の一時期には、戦艦とか金の無駄遣い、
魚雷もある事だし海軍軍備の主軸は小型艦でいい。みたいな思想? が根強かったという話をどこかで見たんですよね。

比較的小さな船体に巨砲という意味では、海防戦艦とかモニター艦が近いかもしれませんが、三景艦はそれらとも違いますよね。

逆に言うと、日清戦争の僅か10年後に三笠といった外見的にも性能的にも「安定した」戦艦が出てくるので、余計に日清戦争の頃の軍艦が気になるのでしょう。
日露戦争以降の日本海軍の軍備は、巡洋艦以上の大型艦に限ればあまり突飛なものは無く、安定した、逆に言えば面白味のないものになりますから。

> 特に当時の日本は工業力も技術も低くそして何よりカネが無いw

清もロシアも日本に比べればずっと金持ちですからね!
金持ち喧嘩せずという諺があり、一面ではそのとおりだと思いますが、しかし金持ちはいまある財産を守るためだったり新たな金脈の為なら喧嘩上等というのも事実でしょう。
金持ちが、その財力を背景に本気になったらヤバイというのは、いつの時代も変わらないと思います。


貧乏な側が金持ちに対抗する方法。キングボンビーを擦り付ける!
しかし金持ちは金持ちだから、特急カードを常備していてすぐに擦り付け返され、貧乏な側はやる気を失い、やがてリアルファイトに発展し、友情は崩れ去る。
という教訓から何を読み取るか……。

45名無し三等陸士@F世界:2017/03/20(月) 11:54:24 ID:w2nCsok60
>>44
>比較的小さな船体に巨砲という意味では
多分、この考え方の源泉は帆船時代の対地攻撃砲艦である「臼砲艦(ボムケッチ」
にあるかと。

>海軍軍備の主軸は小型艦でいい。みたいな思想?
マハンの「海軍戦略」とかなのかなぁ。
19世紀後半〜末期は機帆船と装甲艦がちゃんぽんになっていたような時代
なので小規模艦隊を中核とした牽制艦隊主義(防衛戦)とかはもしかしたら
あったかも?
アヘン戦争とかだと海軍の戦列艦を小型だけれど風に関係なく曳航出来る
蒸気船で引っ張って対地砲撃したりしているので、大陸の川幅が広いけれど
流速や流量が多すぎて大型船だとあまり上流に行けないって船でも蒸気船
なら引っ張って入り込めるってのは敵からしたら物凄い嫌がらせです。
帰りはそのまま流れに乗って下っていけばいいし・・・。

>清もロシアも日本に比べればずっと金持ちですからね!
それを覆すには産業革命(最近は工業化というらしい)と社会改革という
旧社会における劇薬的な処置が必要になりますね。
どっちの国も結果論ではありますが、どちらもが中途半端に終わった結果
亡国への道に至ってしまったのは複雑な思いがあります。
日本もこの劇薬を飲みはしましたが、全部は飲み干せなかったために
(元々飲み干せる体力が足りなかった)アンバランスな国力強化になって
第2次大戦(大東亜・太平洋戦争)での敗北に繋がるのかも。

46303 ◆CFYEo93rhU:2017/03/20(月) 22:57:16 ID:4623vdPQ0
>>45

> 比較的小さな船体に巨砲

三景艦は、当時の仮想敵であった清の戦艦をどうにか黙らせる方法は無いものかと考案されたものですよね。
三景艦は明確に対主力艦用で、むしろそれ以外見ていない単一目的艦だと思うのですが、ボムケッチも戦列艦に対抗する為に榴弾を積んだ艦種だったのでしょうか。
私はWW1でイギリスがバルト海上陸作戦用に建造したモニター艦のような、沿岸火力支援する艦種だと思っていたのですが。

> 産業革命

歴史の積み重ねも無く、いきなりやってむしろ日本は上手く行った方でしょう。
欧州では出遅れ組のドイツやイタリアも、隣に本家が居るのをずっと横目に見ていた訳ですからね。

工業化という意味では1世紀か2世紀遅れていたのを、たった10年か20年で何とかしたら、不具合が出て当然かと。
Win95がプリインストールされていたHDDが800MB程度のPCに、無理矢理Win10をインストールするくらい無茶な事をやって、出来ちゃった!
という感じだと思います。

47名無し三等陸士@F世界:2017/03/26(日) 06:49:01 ID:vk478PG.0
いや、欧州とは別方向だけど素地作りは済ませてたから出来ただけでは?
同時代の別規格を取り込めちゃった、みたいな感じで

48303 ◆CFYEo93rhU:2017/03/29(水) 21:20:59 ID:guO46a5g0
掌編を投下します。


>>47

同等世代でMacのOSなのにWinインストールしたら動いちゃった、みたいな感じですか。

49303 ◆CFYEo93rhU:2017/03/29(水) 21:24:21 ID:guO46a5g0
外交官の真似事も増えたなぁ。
異世界の大陸に派遣された皇国軍の高級将校は、殆ど皆がそう思っていた。

だが、特に多いのは一番上に立つ者。
東大陸方面軍司令官、皇国陸軍大将、南條好徳(よしのり)。

東大陸にしろ西大陸にしろ、派遣軍の規模は数個の師団または旅団から成る軍団であり、実質的な総指揮官は軍団長である。
だが軍団長は中将の職なので、本国外に皇国軍大将は存在しない事になる。
これでは、大将や元帥の存在する他国軍との協調の面で不都合なので、総司令官として急遽大将を派遣したのだ。
当初は、皇国本国から無線通信で東大陸の指揮を行い、大将本人は東大陸には居ないという体制だったが、
流石に無理があるし現実に大将が居ない事の問題が出て来たので、実際に行って貰う事となった。

大陸諸国の王侯や軍人に階級章と勲章を見せびらかす為のお飾りとして派遣されたようなものだが、南條大将は決して無能な訳ではなく、ましてや左遷人事でもない。
大陸に派遣される初の大将であるから心象も重要で、むしろ皇国軍の模範的で優秀な将軍であり、現場の皇国軍将兵の気を引き締めるのにも一役買った。

建前としては“陸軍の司令官”ではなく“皇国軍の司令官”なので、限定的ながら現地に寄港、錨泊している海軍部隊と海兵隊への指揮権も有している。
統合参謀本部の、統合任務部隊の司令官といった感じだ。


余談だが、皇国軍は転移前から大佐と少将の間に准将を、大将の上に上級大将を
新設して将官を五階級にする案を検討しており、准将に関しては従来の少将
または大佐の職として実運用されていたが、上級大将は未だに居なかった。

これは、上級大将が諸外国の元帥に相当する特別な階級として設定された為でもある。
欧米の一般的な軍制では元帥と大将〜准将(または元帥と上級大将〜少将)の計五階級である
事が多かったので、元帥を称号として残したまま将官の階級を五階級にする為の措置だった。
皇国軍において元帥は相変わらず階級ではなく称号なので、階級上は五階級となる。

そんな皇国軍の内情で最初の上級大将昇任者候補の一人が南條大将だったのだ。

50303 ◆CFYEo93rhU:2017/03/29(水) 21:25:40 ID:guO46a5g0
南條大将は、ユラ神国の首都であり最大の港があるユラの地に上陸後、ユラ教皇と面会。
ユラにて何人かの有力者と顔繋ぎした後、一旦海路を北上してリンド王国の王都ベルグへ。

ベルグは海に面していないので、リンド王国の港からは陸路で移動して
いるが、道すがら、その都市、その地域の名士とされる方々と会食している。
多くは領主や代官層の下級貴族や騎士、大商人、大地主だが、同業者たる軍人も居る。

司令部ごと移動しているので、かなり大所帯であり、自前の戦力として連隊規模の歩兵隊と大隊規模の騎兵隊、
軍団直属の戦車小隊が帯同しているが、南條と司令部要員だけでなく、各級指揮官も輪番で会食に参加していた。


「我が館へようこそ、南條閣下!」
主人はそう言って自慢の赤人奴隷を見せてくる。
赤人奴隷は大抵の場合で安価な肉体労働者ではないので、白人、黄人、黒人奴隷と違って農場等で働いているのを見る事は無い。
その代り、常に主人の傍に侍り、屋敷の見栄えを良くするのが仕事だ。

「お招き下さりありがとうございます、メメ卿。おお、これは立派な赤人をお連れですね。
 燃えるような髪の毛、眉目秀麗で骨格も美しい。背丈は1シクル(≒2m)近くありますでしょう」
握手をしながら、ぺらぺらと世辞を言う。
この何週間かで南條は赤人奴隷の褒め方を覚えた。
髪の毛の赤さ、顔立ちの良さ、そして体格の良さだ。

赤人は背が高くがっしりした骨格で筋肉も良く付いている体型が多いので、そこを褒めれば良い。
ただ赤人女性の場合は少し難しく、女性でも背が高く筋肉質な場合は力強さを褒めてやると喜ぶ場合が多いが、
主人によっては奴隷とは言え筋肉質な女性を恥と見做す人も居るので、そういう場合は女性らしい美しさを褒めてやる。
幸いにも、赤人女性の多くは中性的な美人が多いので、外見的に褒めるところが無い場面に遭遇した事は無かった。

赤人奴隷の美しさが主人の格にも響くので、ここで褒め方を失敗すると気まずいのである。

背丈は精々185cmくらいではないか。
と思いながらも1シクル近くの長身と褒めれば、だいたいそれで気分を悪くされる事は無い。
ひとしきり赤人奴隷を褒めたら、今度は相手の主人が南條を褒める。
立派な軍服だとか軍刀だとか、煌びやかな勲章だとか、副官なども褒める。

それが終わると、南條は漸く主人の方を褒める。
こちらは赤人奴隷と違って必ずしも中身の外見が良いとも限らないので、寛大な心遣いとか細やかな配慮とか、
内面を褒めてから、化粧が綺麗だとか服の仕立てが良いとか靴が綺麗だとか素敵な杖だとか、主に服装と持ち物を褒める。

この一連の“儀式”だけで10分くらいかかる事もある。
赤人奴隷が居ない場合なら、そこの部分は省略出来るが、それでも4〜5分は挨拶にかける。

赤人奴隷が居る場合、主賓の手荷物を運ぶのは彼等の仕事なので、荷物は赤人奴隷に預けるのがマナー。
これは相手が赤人女性であってもそうなので、赤人が居たら性別関係なく赤人に頼むのが正解だ。
ここで間違って他の使用人に預けたり、預けそうになると、場の空気がすうっと寒くなる。

ただし、稀に赤人奴隷が執事のような上級使用人となっている場合があり、その時は例外的に他の一般使用人を使う。
赤人奴隷がどの立場に居るかは服装を見れば分かるが、上級使用人の場合は“赤人褒めの儀式”もやらない方が無難だ。

外務省に商務省、運輸省、建設省などの文官に加え、民間の有力財閥や企業の特別渡航者もやっている“儀式”だった。

51303 ◆CFYEo93rhU:2017/03/29(水) 21:26:13 ID:guO46a5g0
だが南條は陸軍一筋35年の、根っからの軍人だ。
勿論、軍人と言えど士官ともなれば駐在武官として“軍人外交”もするし、国際共同訓練や軍事作戦等で外国軍と連携する事もあり、広い見識は必要だ。
南條は英語が出来るし、洋式のテーブルマナーにも慣れている。駐米武官だった経験もあり、そういう意味では国際派だった。

その南條ですら大陸では戸惑う機会が多いのだから、況や初めての異国に戸惑っている士官や一般兵においてをや。
歩兵中隊長などが役得だと言って喜んでいられるのは、実際にその時が来るまでだ。

酒の飲み方、食事の仕方、会話の内容。
全てに気を遣いながらの宴席は草臥れる。

例えば赤人奴隷は大きく二通りの存在がある。
使用人としての仕事をするかしないかだ。
仕事をする赤人奴隷は、概ね執事の下で働き、食事の時は主人と主賓に対してのみ給仕する。
仕事をしない赤人奴隷は、置物同然として主人の近くに立っている。というか立っているのが殆ど唯一の仕事だ。
後者は、赤人奴隷を使用人として遊ばせておける程の財力のある証なので、ただそこに居るだけで何もしない赤人奴隷は富裕の証、自慢の種である。
男女の赤人奴隷を所有し、彼等が子を産めば、わざわざ女性の赤人奴隷に赤人の赤ん坊を抱かせて立たせたりもする。

そういう奇異な環境の中で、南條たちはさもそれが当然といったように振る舞い、
東大陸における皇国軍の最高司令部の格式を見せつけてやらねばならなかった。
いちいち驚いていたり、気分を害していては身が持たない。

銃を持って敵と撃ち合うのとは別次元の心労と戦いながら、東大陸方面軍司令部は今日も街道を進むのだった。

52303 ◆CFYEo93rhU:2017/03/29(水) 21:27:02 ID:guO46a5g0
投下終了です。
プチ異文化交流ネタ? でしょうか。


自分でも設定ミスっていたり忘れたりしていたのですが、東大陸に展開する部隊名称やトップの階級について。

・東大陸派遣軍(中将) → 東大陸軍(大将) → 東大陸方面軍(大将)
・東大陸派遣軍(中将) → ユラ神国軍団(中将) → リンド王国軍団(中将)

という二系統ありました。

当初は東大陸派遣軍としてユラ神国からリンド王国を攻める部隊でしたが、リンド戦後はユラ神国軍団となり、
同格組織としてリンド王国軍団が新設(ただし実態はユラ神国軍団がそのまま移動した形)となり、
リンド防衛戦時に骨抜きとなったユラ神国軍団には軍団どころか師団規模の部隊もありません。

同時に、東大陸に展開する部隊が広域に渡り、ユラとリンドを統括する必要から東大陸軍が新設され、そこのトップが大将となります。
そして東大陸軍を改編して東大陸方面軍となります。現状では司令部のみの部隊で、当初はユラにありましたが、現在はベルグにあります。
そしてユラ神国軍団とリンド王国軍団は東大陸方面軍隷下になります。

東大陸軍の司令官は高橋大将という人でしたが、南條大将が着任する時期に東大陸軍から東大陸方面軍に格上げされました。
上級大将云々はその布石でもあります。


ただ、旧軍における上級大将と准将の設定考えていて引っかかったのですが……

親任官:元帥(大将または上級大将)
親任官:上級大将
親任官:大将
勅任官:中将(高等官一等)
勅任官:少将(高等官二等)
奏任官:准将(高等官三等)
奏任官:大佐(高等官四等)
奏任官:中佐(高等官五等)
奏任官:少佐(高等官六等)
奏任官:大尉(高等官七等)
奏任官:中尉(高等官八等)
奏任官:少尉(高等官九等)

まず大将を勅任官に下げるのも違う気がするので、そのままにすると親任官として上級大将と大将が入ってしまいます。
総理大臣もその他の国務大臣も親任官なので、親任官の間で差があっても問題無いんでしょうか。

少将と大佐の間に准将が入るので、高等官一等〜九等はこうなるしか無いですよね。
准将は勅任官なのか奏任官なのかですが、陸軍であれば歩兵団長など、海軍であれば代将相当なので奏任官が妥当かな? と。
准将が勅任官だと高等官三等まで勅任官になってしまい、文官の官吏との整合性や宮中席次がこんがらがりそうです。

史実日本軍でも准将の導入を検討したという話をどこかで見た記憶があるのですが、
その場合は准将は官吏としてどういう位置になる予定だったのか興味があります。

53303 ◆CFYEo93rhU:2017/03/31(金) 22:19:10 ID:guO46a5g0
F自創作界隈の一部では、拙作の“神賜島”のような天然資源ザクザクの島
という都合の良い設定が「資源島(方式)」と呼ばれているようですね。

これ系の設定を使っている身からして、大元ってどこだろうと思いました。

思い当たったのが山本瑞鶴氏の『大火葬戦史R』という小説で、関東大震災で東京湾に資源ザクザクの陸地が隆起してきた。という設定です。
これと映画『海底軍艦』の轟天建武隊基地となっていた黄鉄鉱、ボーキサイト、マンガン……の島の設定から、拙作の神賜島の設定が固まりました。
『大火葬戦史R』については、今まで言及した事が無かったと思いますが、この設定に限れば『皇国召喚』への影響大です。

『大火葬戦史R』自体は、異世界転移ものではなく古き良き(?)日米戦争ものなのですが、
日本の天然資源不足を解消するチートという意味では、お手本のような設定だと思います。
というか私はお手本にさせていただきました。

異世界転移に際して“本土の近くに巨大な島が出現”という意味では『帝國召喚』の神州大陸を
モデルにしたので、拙作の“神賜島”はそれらの設定を継ぎ接ぎして創らせて貰ったものです。
単に読んで楽しませて貰ったという以上に、先人の作品に感謝感謝です。


雑談はこの辺で、本日は本編の続きを投下します。
確認しているつもりなのですが、以前投下したものの二重投下でありませんように……。

54303 ◆CFYEo93rhU:2017/03/31(金) 22:30:55 ID:guO46a5g0
皇国海軍の空母が巡洋艦や駆逐艦を従えて東大陸に向かうのは久しぶりの事だ。
北方諸国同盟との戦争の長期化に備え、空母飛鷹と隼鷹が極北洋を進んでいた。

「対空電探に感あり。飛んでいる友軍機はありませんし、この反射波なら飛竜と見てまず間違いありません」
「飛竜……だと?」
「はい。反応の大きさから見て1騎か2騎ですが」
「いや、そういう事ではない。ここは最も近い陸地から300km以上離れているのに、何故飛竜が居るのかという事だ」
「事実飛竜なら、マルロー王国の飛竜母艦という可能性が大です」
「そうだろうな。不味い事になった……」
2隻の空母はセルシーに飛行機を輸送する為、格納庫と飛行甲板は陸上機で満載になっており、戦闘運用可能な機体は存在しない。
随伴する重巡洋艦の青葉、衣笠が搭載している計4機の零式水偵がこの場で戦闘運用可能な航空機の全てである。
航空母艦という軍艦の存在や性能は極力秘匿しておきたい皇国軍にとっては、最悪のタイミングであった。
艦載気球という可能性もあるが、どちらにせよ敵の航空偵察隊である事に違いは無い。

「やり過ごせそうか?」
「難しいですね。最悪2時間ほど全力で逃げ回る事になります。予定航路復帰まで考えると5、6時間を逸します」
戦隊司令官の提督は非常に大雑把な海図を広げ、元居た世界の同じ位置の海図と比較しながら、一点を指差した。
「この季節、風向きは北西である事が多いらしい。すると飛竜の飛んできた方向からして、敵艦隊の位置はこの辺りになる」
作戦参謀や航海参謀も、当然そうだという感じで頷く。
「東大陸での、燃料の補給支援は滞りないな?」
「はい。帰途に使用する物資を積んだ支援艦艇は既にフレータル環礁に投錨待機中です」
「宜しい。衣笠は水偵で直掩に就き、青葉は敵艦隊を襲撃!」
提督の決断は早かった。
「しかし少なくとも飛竜母艦を伴うであろうという以外、敵艦隊の規模が不明です」
「だから直接確かめに行かせるのだろう」
「水偵で確かめてからでも遅くは無いでしょう」
「気付かれて警戒されると、襲撃も困難になる」
作戦参謀が危険性を説くが、提督の決心は揺るがない。
大規模な飛竜隊が居たら、無傷では済まなくなる可能性が出てくる。
飛竜母艦の主たる任務は遠方の敵艦隊捜索だが、飛竜は爆装可能なのだ。
飛行甲板上に露天係止されている機体も含め、輸送中の機体は燃料や弾薬を積んでいないから、
艦の燃料庫や弾薬庫まで攻撃が届かなければ誘爆という心配はまず無いが、被弾1発でも手痛い損害には繋がる。

飛鷹と隼鷹が伴うのは重巡の青葉、衣笠と吹雪型駆逐艦4隻のみ。巡洋艦1個小隊と駆逐隊1個という訳だ。
この状況で巡洋艦を2隻とも分派し、空母の護衛を駆逐隊だけにしてしまうのはそれこそ危険が大きい。
かといって、護衛戦力を単純に二分割して巡洋艦1隻と駆逐艦2隻を差し向けると、空振った時や別に敵戦力が発覚した時の予備が無くなる。
重巡洋艦であればこの世界の軍艦に対しては絶大な威力の主砲を持つから、対空脅威を除けば相手の射程外から一方的な蹂躙が可能だ。
奇襲に成功すれば、対空脅威の源である飛竜母艦をアウトレンジから沈めてしまえる可能性も出てくる。
青葉型も吹雪型もどちらも主砲門数は6門だが、一撃の威力が劣る駆逐艦では無駄な手数を要する。
それに、零式水偵は飛竜相手なら戦闘機としても使えるので、青葉単艦でも直掩機を得られる。
所詮水偵だが、高角砲と機銃のみで対抗するよりは対空戦闘の選択肢が増えるのは事実だ。

「青葉より“本艦は別命により戦隊を離脱。敵艦隊の攻撃に移る”です」
「よし。衣笠は艦載機の発進準備。本隊は予定航路を進む」
飛鷹、隼鷹を中心に輪形陣を組んだ艦隊がノイリート島へ向かうのを横目に、青葉は“敵艦隊”へと転針した。

55303 ◆CFYEo93rhU:2017/03/31(金) 22:31:41 ID:guO46a5g0
「衣笠1号機より入電。向かってくる飛翔体は、やはり飛竜です! 国籍識別表はマルロー王国!」
既に目視可能な距離になっており、双眼鏡を覗く見張り員も2騎の飛竜を確認した。
水偵を一旦退かせると、飛鷹、隼鷹、衣笠と駆逐隊は主砲と高角砲に仰角を取り、向かってくる飛竜に狙いをつける。
皇国軍艦である事は解るだろうが、初めて見るであろう空母の艦影を正確に確認するには、この世界の望遠鏡ではまだ遠いだろう。
「味方機は退避したな? 照準を合わせた艦は自由に発砲せよ。生かして帰すな!」
対空電探には現在交戦中の相手しか映っていないが、衣笠の水偵は念の為に周辺警戒と上空直掩を続けていた。
別方向から急に敵が来た時に対応したり、逃げる敵を追撃するには予め上空に居る必要があるからだ。

衣笠の主砲から対空用榴散弾が発射されるのを合図に、飛鷹、隼鷹と衣笠の高角砲、駆逐隊の主砲が火を噴く。
次いで本命の対空射撃となる各艦に装備された40mm、20mm、12.7mmと7.62mmの機銃から火線が上がる。
50門を超える対空砲(高角砲と兼用砲)に数十丁の対空機銃の圧力は相当なものだ。

対する飛竜騎士は逃げの一手だ。
艦隊に情報を持ち帰らねばならないのだから交戦している暇など無い。
皇国軍の軍艦は異様だったが、それ以上に異彩を放つのは陣形の中央に2隻ある、上に何かが載せられた箱型の船。
中央にあって周囲から匿われるようにあるという事は、皇国軍にとって重要な艦なのだろう。
周囲に比較物の無い大海原だが、巨大な艦影は長さだけでも一等戦列艦の2倍以上はあるだろう事は容易に分かった。
今まで見た事も無い形状の皇国艦という貴重な情報は、何が何でも本部に持ち帰らねばならない。

しかし皇国軍の対空砲火の苛烈さは想像以上だった。
噂には聞いていたが、実体験としてその場にいる恐怖感は言い知れぬものがある。
何とか回避運動を続けながらその場を離脱しようともがいていたが、ついに炸裂した砲頭の破片が飛竜の腹部に突き刺さった。
即死する程では無かったが、体力が削られて飛行能力が落ちれば続けて被弾する危険性が上がる。
墜落すれば、そこは冷たい海。生きたまま着水出来ても凍死か溺死という運命が待っている。
(苦しいだろうが、頑張ってくれ、相棒!)
人馬一体という言葉があるが、飛竜は馬より断然扱い難い動物である。
馬は良く言えば従順、悪く言えば臆病な気質だが、飛竜のそれは真逆だ。
竜士や調教師の長年の努力と技術の蓄積によって“兵器としての飛竜”が成立している。
幼い頃から寝食を共にしているといっても過言ではない竜士にとって、苦しむ飛竜の姿は心に刺さる。
自分自身もそうだが、傷付きながらも普段どおり手綱に応えてくれる飛竜を簡単に死なせはしない。
そういう思いを胸に、竜士は母艦隊を目指していた。

だが、何とか皇国軍の対空砲火の射程外に逃がれられたと安堵した途端、零式水偵が立ち塞がるように針路を遮った。
全力で飛べば皇国軍艦より速い飛竜だが、皇国軍が誇る飛行機には太刀打ちできない。しかも今は全力どころか負傷中。
必死に回避運動を続けていても、完全に見失わせなければ皇国艦隊に追いつかれてまた集中砲火を浴びる事になるだろう。
そしてこんな状況が長時間続けば、被弾せずとも飛竜の体力が尽きて冷たい海に墜落だ。

56303 ◆CFYEo93rhU:2017/03/31(金) 22:32:16 ID:guO46a5g0
「1騎、撃墜!」
隼鷹の艦橋で、双眼鏡に目を凝らしてた司令官に待望の戦果が届いた。
間近で炸裂した高角砲弾が飛竜と共に竜士の胴体を吹き飛ばしたのだ。
ボロボロになった飛竜は悲鳴を上げる事すら叶わず力尽きて落下していく。
「全ての砲火を残りの飛竜に集中!」
2隻の空母、重巡洋艦、そして4隻の駆逐艦の持てる火力が単騎になった飛竜を包囲する。
高角砲が炸裂する度に周囲を揺さぶる黒煙。空を切り裂くように狙い撃つ曳光弾。
程無くして、最後の力を振り絞っていた飛竜も火力に抗えず海に没した。

「敵、飛竜騎士が1人、海面にて生存している模様」
水偵からの報告は、一番聞きたくないものだった。まだ生存しているからには救助しますか? という事だから。
墜落して、そのまま海面に叩きつけられて死んでくれれば良かったのに……。司令部の誰もがそう思った。
自身は満身創痍となりながら、海面に軟着水して騎士を守ったのだ。騎士と飛竜の素晴らしい絆である。
「衣笠で救助すればいい。厳重に拘禁していれば良かろう」
「空母を発見した当人ですが」
「青葉も捕虜を連れてくるだろう。合流すれば、どのみちそうなる。
 見捨てたり、わざわざ機銃で止めを刺しても寝覚めが悪かろう?」

皇国軍は皇国版飛竜母艦のようなものを運用している。というのはリンド王国に限らず列強国の見立てだ。
皇国軍の情報部門や前線部隊の指揮官も、そこのところを隠してはいない。わざわざ公言はしないが、聞かれれば答えている。
飛竜母艦を持っているというのは列強国のステータスでもあるから、そのものは無くても皇国版飛竜母艦は持ってるというのは、外交上の強みにもなる。
あとは、それがどんな形状で、どんな能力があり、何隻あるのか。という核心部分が問題。
皇国軍はこの部分を可能な限り秘匿したいと考えていているが、それもいつまでも隠し通せると思っている者もまた居ない。

両大陸間の国交と通商が増えれば、いずれはそれなりに詳細な情報が伝わるだろう。
だから、皇国軍では“皇国版飛竜母艦”として、旧式で小型の鳳翔や龍驤などをとりあえず広報用に用いる事を検討している。
空母としては小型だが、この世界の船舶の規模からすれば十分過ぎるほど巨大だし、何より同盟国、友好国に対しても嘘を吐かなくて済む。
当面は“皇国軍はこういうのをあと何隻か持っています”と宣伝すればいいし、艦内見学だって部分的には認める方向性で国防省は動いている。

要は、この戦争中は空母の具体的な能力を秘匿出来ればよく、戦後にそれが明らかになっても問題はないし、それは既定路線という事だ。
洋上で救助しても、その後はノイリート島か大内洋上に停泊している捕虜収容船に預ければ、戦後の捕虜返還までは秘匿可能となる。

勿論、死んでいてくれれば艦を停止して救助する手間も無かったが、軍服など遺品を回収して所属や名前を確認する意味はあった。
飛竜騎士というのは貴族や騎士の子弟か、平民でも準貴族同等の有力者の子弟が多くを占めるから、情報量も多い。

「とりあえずこの場は収まった。雷を青葉の増援に回そう」
駆逐艦3隻を警戒に当たらせ、衣笠は漂流する飛竜騎士を回収した。

57303 ◆CFYEo93rhU:2017/03/31(金) 22:34:00 ID:guO46a5g0
本隊から離脱して単独行動中の青葉は“敵艦隊”の潜伏する想定海域に近づくと、水偵を発進させた。
海域は絞られるとは言え、半径数十km以上はある。正確な位置を割り出して有利な態勢を整える為に、5時間以上の滞空性能を持つ水偵の支援は必要だった。
1機は偵察に出て、残りの1機は60kg爆弾と機銃弾を満載して“戦闘待機”状態である。

偵察機が発艦してから約1時間。
「2号機より入電。艦隊発見。マルロー王国旗を視認。数は8、位置は――」
「北北東に20浬か。24ktに増速し急行せよ! 風上を向いたら速やかに1号機を発艦させろ!」


青葉2号機が接敵した頃、マルロー王国艦隊は大慌てで戦闘準備を行っていた。
西の空から友軍の飛竜が帰って来たと思ったら、皇国軍の飛竜だったのだから。
「動ける飛竜は全部上げろ! 対空戦闘!」
鐘と太鼓が打ち鳴らされ、下士官の吹く号笛の音に従って水兵達が慌しく
旋回砲に散弾を込め、ロケット弾やマスケットの射撃体勢を整える。
旗艦の飛竜母艦に信号旗が掲げられると、早くも発砲が始まった。

各艦から対空射撃が行われるが、そもそもが爆装して鈍重な動きの飛竜に対する気休めのようなもの。
対空砲弾、ロケット弾は見当違いの場所で炸裂し、高速で飛ぶ青葉2号機にはかすりもしない。
程無くして、水平線から黒煙を吐きながら迫る大型の軍艦が姿を現した。

飛竜母艦の弱点は、皇国の航空母艦同様に飛竜の発着時である。
狭い艦の出入りで邪魔にならないよう、帆の全部あるいは殆どを畳まねばならないので、艦の速度は落ち舵の効きも悪くなる。
ちょうど味方が戻ってくる筈の時間だった為、帆を畳んで漂流するように待機していた矢先の敵襲に大慌ての艦内。
飛竜の発着を諦めて展帆作業を優先させるか、畳帆しているのを逆手にとって飛竜を出撃させるか。
今から展帆を始めても、艦が風に乗るまでに襲撃を受けるだろう。だったら時間稼ぎも兼ねて出撃させた方が良い。
と同時に、最悪の事態に備えて手紙をしたため、艦長室の窓から本国の海軍司令部宛の伝書鳩を放った。
そこには『皇国飛竜1騎及び全長1シウスの皇国大型軍艦1隻と交戦状態に入れり』という簡潔な内容と日時が記されていた。


艦内に居る飛竜は全部で9騎だが、全てが飛び立てる状態ではない。
準備が整っているのは、空母艦隊と交戦した2騎の帰艦と交代する形で飛び立つ予定だった2騎だけだ。
残りは休憩中であり、眠っているものも居る。
食事が終わった飛竜を追加で2騎投入できるかできないか微妙な線だった。
対空砲撃や銃撃で甲板は硝煙に包まれるが、それも飛竜が最上甲板に姿を現すまでだ。
火薬の臭いには慣れされているが、飛竜の視界を妨げないよう発着艦時の火器使用は戒められている。

58303 ◆CFYEo93rhU:2017/03/31(金) 22:35:04 ID:guO46a5g0
青葉の艦橋では双眼鏡で目視確認する見張り員と、電探の反応を照合して索敵結果を確認していた。
「敵艦隊の艦影確認……飛竜母艦1、一層ないし二層甲板の戦列艦またはフリゲート7! 上空には飛竜が2騎!」
「第一目標は飛竜母艦と飛竜だ。最優先で叩け」
先に到着した水偵が既に旋回機銃で上空の飛竜を追い回しているが、やはり戦闘機ではない身ではなかなか命中弾が出ない。
機銃弾に余裕が無いので、あまり派手に連射出来ないといった消極的な理由もあったが、後方旋回機銃しか無いのも大きい。
敵艦隊の詳細確認と味方艦到着までの時間稼ぎという任は果たしたと判断した水偵機長は、
敵の増援等を警戒した周辺哨戒に任務を切り替え、敵艦隊との交戦を青葉にバトンタッチした。
青葉の3基ある20.3cm連装砲が飛竜母艦を捉え、高角砲と機銃は飛竜に狙いをつける。
飛竜の居住空間を確保する為に砲列甲板が無く、船体の大きさに比して帆柱と帆桁が少ない飛竜母艦の判別は比較的容易だ。

優先目標である飛竜母艦は爆弾を抱えて出撃した水偵1号機の攻撃によって損傷を受け火災が発生していたが、
すぐには沈没しそうになく無力化に成功したと言える確信が持てないので、優先順位に変更は無い。
8インチの通常弾は良好な弾道を描きながら、敵艦隊に吸い込まれるように飛翔していった。
重装甲の戦艦に対しては効果が薄いが、逆に言えば戦艦以外の水上戦闘艦艇には十分な打撃力を有する砲弾である。
火災が発生する事で強度が落ちた木造の船体は弾頭炸裂の衝撃波により崩壊し、食い止められない浸水により傾斜が限界を超え、転覆した。
脱出した水兵達は床や壁の破片などにしがみつくが、飛竜にはそれが不可能だから、船が沈没するのに任せて飲み込まれていくしかない。
最後の伝書鳩に託された手紙には『皇国大型軍艦の攻撃により轟沈。全ての搭載飛竜が艦と運命を共にせり』と書かれていた。

「真っ先に飛竜母艦を狙うとは、騎士道精神の欠片も無い野蛮人め……」
列強国同士の戦争でも、別に飛竜母艦を狙ってはいけないという条約がある訳でも不文律がある訳でもない。
ただ戦闘艦を同伴している艦隊が接近戦を演じる段階になれば、ほぼ非武装に等しい飛竜母艦から狙っていく意義は無い。
脅威度の高い方を優先的に狙うのが当然で、それは即ち多くの大砲と海兵を乗せている戦列艦やフリゲートとなる。
それら戦闘艦を撃破、拿捕すれば、飛竜母艦に抵抗する術は無く降伏するしかなくなる。無傷で拿捕出来る訳だ。
結果として、飛竜母艦は狙わないし狙われないという現実が表れるのだが、皇国軍は平気でそれを破った。

大急ぎで飛び立った飛竜は、特に爆装している訳でもない。
攻撃手段は飛竜騎士の持つカービンとピストルとサーベルのみ。
それで青葉に攻撃をかけようとしても、射程が圧倒的に足りない。
乗り込んで白兵戦に持ち込めれば奇跡のようなものだ。

飛竜母艦を沈没させられたマルロー王国艦隊は、残りの戦闘艦で海域を離脱すべく針路を変更した。
所期の作戦目的は失敗した。何とか風下につけて逃げ回り、夜間や悪天候に期待するしかない。
風向きは概ね北西。つまり極北洋からマルロー王国に帰還するに際しては追い風なのだ。
順風でも皇国海軍の方が速いという情報は得ているが、闇夜に紛れるなどして一旦姿を隠せば、帰還する望みはある。
青葉が対水上電探を装備しているという事を知らないし、そもそも電探という存在を知らないから抱ける希望であるが……。

皇国軍は、主戦場に対しては積極的だがそれ以外に対しては消極的だ。
今の所、マルロー王国本土の沿岸を艦砲射撃しに来るような素振りは無い。
故にノイリート島から十分に離れれば、それ以上は追って来ないというのが王国海軍司令部の分析である。
願望といっても良かったが、それでも“リンド王国やノイリート島での攻勢準備が整うまでは”という条件付き。
だからノイリート島の様子を探る目的で派遣された艦隊だったのだが、それが返り討ちにあってしまったのだった。
この海域で大型艦が出張ってくる事態となると、攻勢準備が整ったか整いつつあるという事になる。
決定的な情報は何としても持ち帰らなければならない。

59303 ◆CFYEo93rhU:2017/03/31(金) 22:36:09 ID:guO46a5g0
「撃沈した敵艦から脱出した漂流者を救助したいところだが……可能かな?」
「敵艦隊は退却しつつあるようですが、こちらの停船を見たら反転して来るかも知れません」
「仕方のないところだが……」
飛竜母艦という最大の脅威は排除したが、単艦行動中に迂闊な真似は出来ない。
敵の3倍速い皇国軍艦とは言え、一旦停止してしまえば帆船でも追いつけるのだ。
「漂流者は自力で何とかしてもらうしかない。敵艦隊を追撃する」

青葉は敵艦隊の射程外から主砲を撃ちまくる。
射程外といっても距離にして3500m程度であり、重巡の砲戦距離としてはかなりの接近戦だ。
良好な命中率を得られ、合計300発も撃つ頃には旗艦を含む敵艦5隻が沈没ないし大炎上し行動不能に陥った。
途中、増援についた駆逐艦雷も加わり、至近距離からの砲戦は一方的な展開で幕を閉じる。

「艦長、霧が出て来ました。濃霧になる前に……」
「着艦させるしか無いな。ここで貴重な飛行機を失う訳には行かん。水偵の回収を急げ。それと隼鷹に通信。
 “悪天候につき飛行機収容の為、敵艦隊の追撃を中断。収容作業完了次第、追撃を再開する”と伝えろ」
固まって逃げてくれるならいいが、方々に分散されると見失うかも知れない。
頭を抑えるよう走り回っていたが、青葉が停止して行動の自由を得れば別方向に逃げるだろう。

水偵の回収と並行して、漂流者の救助を行う。
青葉は水偵の回収と警戒、雷は漂流者救助、作業は短時間で終わった。
冷たい海に投げ出されて長時間放置されていたので多くは助からなかったが、
艦隊司令官を含む士官と下士官兵を合わせて百人弱の救助に成功。捕虜とした。

その後は霧で視界が悪い中で一夜を過ごし、翌日は霧が晴れた午前中に敵艦隊の捜索を再開したが
結局見つからず、隼鷹から再集結の命令で青葉と雷は本隊と合流。本来の任務を済ませて帰路に着いた。
同時に、この戦闘で得た百人弱の捕虜はノイリート島の預かりとなり、城塞に付随してあった捕虜収容施設に収容される。

飛鷹と隼鷹は航空機輸送任務を終えると、その格納庫に東大陸からの輸入品を積み込んで皇国本土への帰路に就いた。
2隻合わせて飛行機120機、滑空機60機、合計で180機の航空機とその燃料弾薬、予備部品類を輸送し、約300t分の保存食品を持ち帰り、影の武勲艦となったのだ。


城攻めというのは難しい。
これは洋の東西を問わず、また今も昔も程度の差こそあれ軍事的な真理である。
皇国の元あった世界にしてもこの原則は当て嵌まる。
厳重に防護された城や陣地を攻める場合、攻撃側に多大な出血を強いる
というのは皇露戦争でも欧州大戦でも嫌というほど味わっている現実だ。

皇国に占領されたノイリート島を奪還するというのは、城攻めに
なる訳だが、陸続きではないので艦船による兵員輸送が必須となる。

軍人や軍属の殆どは大陸本土に押し付けたが、大多数の島民は未だに島内在住である。
ノイリート島にマルロー王国やセソー大公国の旗が立てば一斉に放棄して皇国の牙城も崩れるだろう。
そんな期待を胸にしても、島内との連絡手段が封鎖されてしまっているから、力押しで上陸してみるしかない。

今回はそれが可能かどうかを確認するという名目で艦隊が派遣されたのだが、
皇国軍はノイリート島を囮として占拠しているだけで、実際の防衛には消極的だから
奇襲すれば一挙に奪還可能である。というセソー大公の意見に何の根拠も無い事が露呈した。

皇国軍のたった1隻の軍艦によって、飛竜母艦を含む偵察艦隊が壊滅した。
この一件によって、元々積極的な艦隊行動を控えていたマルロー王国海軍は
より消極的になり、艦隊保全を最優先する姿勢を露骨に示すようになった。
それにより、マルロー王国軍はシテーン湾の制海権を自ら放棄したも同然となり、
北方諸国同盟軍全体の動きがより鈍るという無視し得ぬ打撃を受けたのである。


皇国軍にとっては、ちょっとした不運、小さな遭遇戦に過ぎなかったこの海戦が、
北方諸国同盟軍へ想定外の打撃を与えたことを知るのは、戦後になってからである。

60303 ◆CFYEo93rhU:2017/03/31(金) 22:37:20 ID:guO46a5g0
投下終了です。
飛鷹&隼鷹姉妹と青葉&衣笠姉妹、特Ⅲ型姉妹出してみましたが、多分これが最初で最後の出番だと思います。
吹雪型としか書いてませんが、雷を含む4隻の駆逐隊といえば特Ⅲ型姉妹です。
皇国召喚版の飛鷹型は商船改装空母ではなく、大型軽空母で、当初から空母として建造されています。

61名無し三等陸士@F世界:2017/04/01(土) 16:06:55 ID:tjIVabcc0
東京湾に石油が湧くってSSも読んだ覚えがありますが、戦前なら「資源さえ在れば」悪くないアイデアとは思います
同時に、戦後では異世界モノでしか通用しないアイデアだなーとも思います
資源あってもねぇ……サウジがアメリカより偉くもないし強くもない現実がありますんで

62名無し三等陸士@F世界:2017/04/01(土) 17:06:00 ID:ighuf85w0
資源島は「資源さえあれば…」という日本人の切ない願いの表れというか、「資源もなければ即死やんけ!」という身も蓋もない話なのか…
アメリカは資源も技術も金も人口もあるからずるい、ずるいよ

63名無し三等陸士@F世界:2017/04/01(土) 17:29:46 ID:tjIVabcc0
つーか「資源が無い」って日本人が言っちゃマズいっしょ
資源国だった歴史の無い本物の無資源国が怒るぞ

64名無し三等陸士@F世界:2017/04/02(日) 01:50:33 ID:lEy5xQPg0
独 「そりゃお前」
英 「アメリカと比べたら」
仏 「何処の国だって」
ソ 「ずるいと思うわ…」

65名無し三等陸士@F世界:2017/04/02(日) 21:08:41 ID:tjIVabcc0
>>62
資源と自給率と教育水準でで無理矢理に保たせてた状態だったもんな、開国から列強に加わるまでの日本

66303 ◆CFYEo93rhU:2017/04/02(日) 22:05:05 ID:guO46a5g0
まとめ、感想等、いつもありがとうございます。
そういえば陸戦ばかりで、海戦を投下したのは凄く久しぶり……。

>>61

中東は石油の産地ですが、石油以外で必要な資源全般で言うなら、アフリカとか南米とかも資源の宝庫なんですよね。
サウジとかUAEとか、石油資源だけあっても駄目だという事で、オイルマネーを教育とか科学研究に投資しているとは聞きますが。

>>62

> 資源島は「資源さえあれば…」という日本人の切ない願いの表れというか、「資源もなければ即死やんけ!」という身も蓋もない話なのか…

私の場合は両方……創作上の都合で言えば後者が強いでしょうか。

異世界転移してもしなくても資源が無ければ近代国家として死ぬ……。
最初の一年くらいは派手に暴れられても、そのうち人口の半分を間引きして文明レベルを
江戸時代に戻すくらいしないと立ち行かなくなり、国内の騒乱がメインの話になってしまいます。

「転移で日本は大混乱し内戦状態まで悪化。F世界の列強がそれに付け込んで……」
というプロットは、それはそれで面白そうですが、私が読みたい&書きたいのとは違いました。

> アメリカは資源も技術も金も人口もあるからずるい、ずるいよ

でも、そのアメリカも現代のエネルギー消費量からすると、国内生産分だけで内需は賄えないと聞きます。
あと高度技術や知的財産の根幹は握っていても、実際にそれを生産するのは中国とかで、意外と産業構造に歪な部分があるとも。

>>63

本当の無資源国とは、モナコやシンガポールのような都市国家とか、パラオのような島嶼国家などでしょうか。

日本もかつては金銀とか石炭はありましたが、石油に関しては有史以来ありませんよね。

日本の埋蔵資源は、種類は多いけれど個々の量は少ない。
ゼロではないですが、需要からすれば1%にも満たないからゼロに等しいという意味では「資源が無い」のは事実でしょう。
現代日本だと、塩ですら8割以上が輸入でしたよね。

>>64

英「アメリカがイギリス植民地というIF世界なら最強ですね」

>>65

欧米に比べて人件費が安かったので、人的資源を使い潰すという方向に振れてしまいました。

67名無し三等陸士@F世界:2017/04/03(月) 05:19:24 ID:tjIVabcc0
>江戸時代に戻すくらい

自給自足のプロが揃ってても3千万人が限界で、何度も禁止令が出たほど間引きが必要だったから無理っぽいすね
北海道などの領土増加や技術の進歩では如何ともし難いし、そもそも間引きされる半数が大人しく死んでくれませんし

68303 ◆CFYEo93rhU:2017/04/15(土) 18:49:08 ID:guO46a5g0
ちょっとした小ネタのつもりだったのですが、異世界転移における資源問題への食いつきが予想外に大きかった……。

>>67

現代日本だとむしろ北海道が日本の農業支えてますが、戦前の日本だとまだ開拓途上といった感じで、
そこに転移など重なれば北海道開発に必要なリソースを持って来るのも不可能に感じます。

異世界転移よりは現実味のある仮定の話としては、鎖国して外国との関係を一切絶ったら日本はどうなるかとか。
現代よりエネルギー需要の桁が少なかった昭和初期の時代でさえ、経済制裁を受けたら、海外との船舶の往来が止まったらどうなるか……歴史が証明していますからね。

確か、そのまま戦争を続けていたら昭和20年〜21年で餓死者が1000万でしたっけ?

69名無し三等陸士@F世界:2017/04/20(木) 17:18:37 ID:/6/Mu3X.0
歴史の証明って言うには、圧倒的物量を誇る敵国との末期戦て特殊事情が大きすぎるんでは
問題の切り分けをするに、他国から責められない転移の時点で維持だけは不可能じゃなさそうな
政治的に「外へ」は避けられんでしょうけど

70名無し三等陸士@F世界:2017/04/22(土) 21:54:02 ID:M7xF1YeE0
津島の米食えない率ヤベぇ
ttp://uproda.2ch-library.com/9667186ZC/lib966718.gif

71303 ◆CFYEo93rhU:2017/04/23(日) 19:06:02 ID:guO46a5g0
本編の続きを投下します。


>>69

現代ほど機械化されず、人力や畜力に頼っていた昭和初期の時代でも、
転移なんて事が本当に起きたら何年も戦争して末期的状況になるくらい、
あるいはもっと疲弊しておかしくないだろうというのが私の見解です。

史実の太平洋戦争とは違いますが、徐々に衰退するのは避けられないだろうと。
つまり最低限の維持だけでも難しい。

農業に関しては戦前の段階で北海道、本州、四国、九州と沖縄で生産される分だけでは、
そこに住む人々を養いきれないので、台湾、朝鮮、満州から米など輸入していましたよね。

現代日本ものでも大日本帝国ものでも、国ごと転移系の小説の場合は
「日本は転移初期に幸運に恵まれて資源地帯を手に入れて開発に成功した」
というストーリーが多いですが、こういう作者によるご都合主義展開が無ければ
近代国家として死ぬ(下手したら江戸時代より後退する)から仕方ないと思います

それと、仰るように政治的に「外へ」となるとしても、各種資源が無ければ
外へ行く事すら無理なので、真面目に考えると暗い未来しか見えないので
303は考えるのを止めて神賜島に全てを託した……といった感じです。

72303 ◆CFYEo93rhU:2017/04/23(日) 19:08:28 ID:guO46a5g0
「ノイリート島が皇国軍に制圧されたとなりますと……」
マルロー王国空軍の近衛飛竜師団を預かる将軍が地図を広げ、シテーン湾を指差す。
「今迄の皇国軍“飛竜”の行動圏から導かれる結論は――」
指先はシテーン湾からマルロー王国の王都ワイヤンに移動する。
意味する所はシテーン湾全体とワイヤン周辺が全て皇国軍の“制空権”に入ったという事だ。
皇国軍の擁する“飛竜”は外見や性能が様々なので情報が錯綜しているのが現状だが、
“海の上から直に飛び立つ大型の飛竜”であれば、マルロー王国の
全土が“制空権”に入るかも知れないという想定もある。

開戦前の“前提条件”では、皇国軍の飛竜隊はワイヤンまで来る事は無いものとされていた。
ユラ神国やリア公国から、終日ベルグを脅かされていたリンド王国とは状況が違うと。

「リンド王国並びに皇国の外交筋から、北方諸国同盟の即時停戦と講和を要求する書簡が来ております。
 皇国の方は特命全権大使の署名となっていますが、リンドからのものは女王の署名入りです……30日以内の返答を求むと」
書簡は複数の中立国を経由しているのだが、ノイリート島の占領から2ヶ月も経っていないのに手際が良すぎると、レイオンは思っていた。
セソー大公国の情報がベルグに届くのに半月から1ヶ月。手紙に認めてワイヤンに届くのに1ヶ月から1ヶ月半はかかる。

しかもこの中立国の中にユラ神国の名前がある。
確かに北方諸国同盟が戦争しているのはリンド王国と皇国だが、ユラ神国は明確に皇国の同盟国として振る舞っている。
これで何が中立国だ。実際に戦火を交えていないというだけで中立国なら、北方諸国同盟内にも中立国は存在する理屈になる。

皇国のやりたい放題だが、しかしそれを止める力は無い。
大内洋に面するリンド王国とユラ神国、大内洋のリロ王国とオレス王国が親皇国派という時点で、政治的に打てる手は殆ど無い。
では軍事的にはどうだ?

「王都周辺の飛竜基地は、合計すれば千騎以上の飛竜が居ります。
 最悪、これが全滅する可能性も考慮しませんと……」
精鋭の航空戦力を預かる将軍が、実質的に“もうだめだ”と忠告してくる。
「皇国からセソー大公国に対しては、我が国と同じく北方諸国同盟としての降伏をせよと打診があるとの事。
 無条件の降伏ではないのですが、ノイリート島の帰属を巡ってセソー大公国と揉めそうではあります……」
マルロー王国の、特に西部に領地を持つ貴族から感じ取れる雰囲気は不味い。
自分の領地に戦禍が及ぶ危機が現実になりつつあるから、必死だ。

マルロー王国本土の危険度を判定する為に行われた海軍の偵察は完全な失敗に終わった。
ノイリート島は既に皇国軍の防備が固められており、周辺には有力な艦隊が存在する事が判明。
皇国軍艦と皇国飛竜の能力からすれば、最早近付く事すら不可能だろう。

残った全ての艦艇を投入した乾坤一擲の作戦ならば、あるいは
シテーン湾の制海権を一時的にでも確保できるかも知れない
という見方もあるが、相当な損害を覚悟せねばならないし、
ノイリート島を奪還する事が出来たとして、その後は?

島の奪還は目的ではないのに、その為に貴重な艦隊を磨り潰し
飛竜母艦を失えば、東大陸北方での覇権争いを諦める事になる。
大海軍を全滅させるなど、リンド王国海軍の二の舞は御免だ。


もう、潮時か……。
一発殴ってリンド王国から譲歩を引き出す。
という目論見がほぼ達成不可能となった今、政治はいかに“不利でない”条件で敗戦処理を行うかに移りつつあった。

73303 ◆CFYEo93rhU:2017/04/23(日) 19:09:02 ID:guO46a5g0
リンド王国と皇国からの講和要求(降伏勧告)を受け、北方諸国同盟の主だった領邦君主が集まる会談が設けられた。
だが、どういう形で講和するかという会談の筈が、予想に反してセソー大公レオニスだけが徹底抗戦を主張したのだ。
“賠償金もノイリート島の割譲も認められない”という意見にはマルロー国王レイオンも首を傾げた。
要求されている賠償金は払えない程の大金ではないのだから、島と引き換えならば何も問題無いだろう。
各方面で攻撃が頓挫している現状、戦争を長引かせる方が余計な出費になりうる。
セソー大公国の場合、ノイリート島に収まらず全土が占領される危険も現実になっているのだ。
占領まで行かなくても、明らかに全土が皇国の制空権に収まるのだから、爆撃され放題だろう。

しかしマルロー国王以外で、匹敵する発言力があるのはセソー大公しか居ない。
他の貴族は横並びで下位にあるから、マルロー国王とセソー大公の口論になっていた。
「徹底抗戦とは申すが、それは無傷でノイリート島を奪われた国の君主の言葉か?」
「あれはノイリート伯爵の独断によるもの。我が国の同盟への忠誠は変わりません!」
「貴公は臣下の貴族に離反される意味を考えているのか? 臣下に見放された君主の末路を考えているのか?」
「それは、どういう……」
「貴公と、そして同盟の盟主たる余が、ノイリート伯爵に見放されたという事だ」
ノイリート島の占領は、北方諸国同盟にとってはセソー大公国を通る進軍路が常に脅かされる事を意味する。
北側から主力を押し立てようとしているのに、その主力軍団の後方が危ういと戦えるものも戦えない。
そのような初歩的な事が解らないノイリート伯爵ではない。
独断で皇国軍の進駐を許し領土を明け渡したという事実は、
単に裏切ったという以上に重い政治的、軍事的意味を持つ。


「リンド王国の二の舞になりたくなければ、もう皇国の講和案を丸呑みするより他無いであろう?
 今ならまだ、交渉の余地は残されているのだ。同盟一丸となって交渉に臨むのが忠誠とは違うのか?」
「先人は言いました。自分が苦しい時は相手も苦しいのだと。皇国も苦しんでいるのです。
 現状、見かけの上で劣勢だからといって、安易な譲歩は後世に禍根を残します」
「であれば、後世に禍根を残さぬように講和を進めるのが筋であろう」
「しかし、それでは同盟の正義が――」
「ならば! 貴国を此度の軍事同盟から除名する。それで同盟に縛られず心置きなく戦えるだろう。貴公の正義を全うしてくれ」
「わかりました。世に正義の何たるかを示します」

マルロー国王の提案に、セソー大公国以外の全ての国が除名に賛同し、賛成多数で議決された。
付き合いで連名しはしたが、正直“北方諸国同盟”という看板から抜けたいと思っていた国は多い。
皇国側が名前くらいしか把握していない中小国にとっては、早期の講和は願ったり叶ったりの話だ。

そんな都合の良い話に皇国が納得するかはともかく、形式的には北方諸国同盟が一体となって講和するという筋は通せる。
少なくとも、この同盟の盟主であり列強国であるマルロー王国が率先して講和に同意するという形は作れる。
もしも、この提案で通らなければ皇国側に立ってセソー大公国を挟撃してでも、という覚悟もあった。


後世に“不可解な決別”と呼ばれる事となる会議は、想定外の結果で終わった。

74303 ◆CFYEo93rhU:2017/04/23(日) 19:09:36 ID:guO46a5g0
盟主たるマルロー王国が降伏し、中小国も示し合わせたかのように雪崩を打って降伏。
北方諸国同盟は事実上全面降伏、同盟も経済的繋がりは維持されつつも軍事的には解体した。
セソー大公国を除いて……。


この情報はすぐさまベルグに届けられ、リンド王国、皇国と北方諸国同盟間の停戦が成り、同時進行で講和条約の締結が行われた。
時間が無かったため、本来ならばそのまま本国へ帰る筈だった巡洋艦青葉が補給を済ませた上で再度シテーン湾に折り返し、
皇国の外交団を載せてマルロー王国沖に停泊、その艦上でセソー大公国を除く北方諸国同盟の全代表が調印した。


1、リンド王国との国交再開、内政不干渉。
2、皇国との国交、通商条約の締結。
3、賠償金5億5000万リルスを50年で支払う。
4、捕虜を500万リルスと引き換えで返還する。

以上が、皇国、リンド王国と北方諸国同盟で締結された講和条約の基本的な内容である。
これにより北方諸国同盟との戦争は事実上終結したが、セソー大公は未だに徹底抗戦を唱えていた。


北方諸国同盟の盟主であるマルロー王国が降伏すれば、当然にその他諸国も自動的に降伏すると、そう思っていた皇国首脳陣は、
予想外の展開に頭を抱えざるを得なかった。降伏を求めてきたと思ったら徹底抗戦に傾くセソー大公国の変節ぶり。

マルロー王国さえ崩せば、あとは有象無象という考えは甘かった。
だが、折角マルロー王国他、セソー大公国を除く北方諸国同盟が“同盟として”降伏するというのだ。
これを蹴ったら確実に長引く。

北方諸国同盟が降伏すれば、セソー大公国のみを相手にすればいいのだ。
セソー大公国はリンド王国からも飛行機を飛ばせるし、ノイリート島からなら全土が攻撃圏内になる。
マルロー王国の王都ワイヤンを如何に爆撃しようかと思索を練っていた皇国軍からすれば、爆撃難度が大いに下がった。
国土の縦深も無いから、空陸から攻め立てればすぐに崩れるだろう。

リンド王国の王都ベルグの経験から、それくらい解ると思うのだが、何故セソー大公が同盟を離反してまで継戦を望むのか。
マルロー国王やセソー大公の直臣すら計りかねた問題であり、後世に至っても謎のままの問題、皇国も計りかねた。
後世、この同盟脱退劇は『セソー大公、謎の判断』とか『セソー大公、謎の離反』などと呼ばれる事になる。
“疲れていた”とするのが定説になるが、その疲労による誤判断に巻き込まれた方は堪ったものではない。

家臣が講和工作を進めても、結局、君主であるセソー大公が署名調印せねば終わらないのだ。
書類一式準備して、後は署名調印するだけという手筈を整えても、そこで反発されても困る。
大公位継承権者は全員まだ幼い。当分の間、双方の勢力は覚悟を決めるしかなかった。

75303 ◆CFYEo93rhU:2017/04/23(日) 19:13:12 ID:guO46a5g0
投下終了です。
以前投下したものを二重投下していないかビクビクしています。


『現代知識チートマニュアル』

なる本を、書店で見かけてぱらぱらと立ち読みしたのです。
時間が無かったのでとりあえず軍事チートの項目の中の弾丸について読んでみて……。

中世(近世)のマスケットや前装式の大砲を想定して書かれただろう
部分で、ドングリ型の弾丸は球形の弾丸に比べて質量を大きく、
断面積を小さく出来るから遠距離で速度が落ちず射程が長い。

大砲においては球形の弾丸は地面を転がりながら敵を薙ぎ
倒していくがドングリ型の弾丸は地面に刺さってしまう。

銃なら全部をドングリ型に、大砲なら攻城戦等で射程を長く取りたい時は
ドングリ型の、野戦で範囲効果を求めるなら球形の弾丸を使い分けると良い。

球形のマスケット銃弾は空気抵抗が大きく150mも飛ぶと威力が無くなる。

というような事が書いてあって、首を捻ってしまいました。

ライフリングされていない銃からドングリ型の弾丸撃ったらひっくり返るだろうし、
球形砲弾が跳ね回る地面なら浅い角度でドングリ型の砲弾撃っても跳弾するのではと。
大砲で範囲効果を狙いたいなら榴弾を使えば良いのではないか(中近世の
導火線式の時限信管では狙った場所で起爆させるのは難しかったですが)と。

銃弾の威力に関しても、使う銃の種類や火薬の量で違うにしろ、
150mも離れれば安全かのような書き方は誤解を招くのではと。

中世のスムースボア前提っぽい文脈の軍事チートの項目で
ライフルのラの字も出て来ないってどういう事だと。

他にも、攻城戦ではなく野戦で塹壕を提案していたり、
塹壕に対して遠距離からの弓射なら有効だと書いていたり。

他の政治チートや農業チート等の項目は見ていないのですが、軍事チートの項目でずっこけたので、
面白そうな本だけど参考にするのは危険な臭いがして、購入はしなかったのですが……。
軍事の項目が例外だっただけで、他の項目はそれなりに使えそうなんでしょうかね。

「創作で上手い嘘をつく為の糧にどうぞ」みたいな売り文句でしたが……。

76名無し三等陸士@F世界:2017/04/24(月) 09:38:15 ID:DSlPLopA0
あーこれは意図しない泥沼になりそうな…

マニュアルについては逆に参考資料がなんなのか気になりますね

77303 ◆CFYEo93rhU:2017/04/27(木) 21:20:16 ID:guO46a5g0
いつも拙作を読んで下さる方、感想下さる方、まとめて下さる方、ありがとうございます。

今日はまとめwikiの修正のお願いです。
この投稿自体も、修正依頼があったという履歴になるので、まとめに加えて頂けるとありがたいです。


以前、もう1年半前になりますが、対等な国家間関係において
友好関係を示すための贈り物を「献上」はおかしいのではないか。
というご指摘がありました。

それで「献上」から「贈呈」に変更した方が良いという提案を頂き、納得したのですが、
私の方から『献上を贈呈に直して下さい』と修正を求め、機械的に「献上」から「贈呈」に
変更すると、「献上」という表現で正しい部分も変更されてしまう恐れがあるので、保留していました。

今回、最初の投下分から現段階の最新版まで含めて、全部を確認しました。
「献上」という言葉があっても、それで間違っていない箇所(西大陸編35話など)を除き、
全ての箇所を「献上」→「贈呈」にした方が良いと思いましたので、まとめwikiに関して、
私の間違いによる表現から「献上」→「贈呈」に修正して欲しい箇所は以下のとおりです。


・西大陸編

>外伝的掌編『エレーナ殿下の御訪問』
「イルフェス国王への献上品」
→「イルフェス国王への贈呈品」

西大陸編の短編『皇国に献上された赤人』は、あえて“献上”という言葉を使わせてもらいました。
皇国の担当部署的には贈呈なのでしょうけれど、ここは厳密には間違いだと分かった上でご理解下さい。

・東大陸編

>外伝的掌編『最高のレシプロ戦闘機』あとがきと補足
「皇国人と結婚したリンド女王への“友好の証しとしての献上品”」
→「皇国人と結婚したリンド女王への“友好の証しとしての贈呈品”」


この件の確認と修正が遅れに遅れた事をお詫びします。


あと「献上」問題とは関係ありませんが、

・西大陸編

>外伝的掌編『エレーナ殿下と三八式歩兵銃の話』
「皇国は最大で50万丁の売却が可能」
→「皇国は最大で10万丁の売却が可能」

という部分も数字の修正をお願いしたいです。
50万丁は多すぎました。

78名無し三等陸士@F世界:2017/05/05(金) 09:09:41 ID:6UoAnixE0
西大陸編の 『射撃演習場』 でも、

「本国では50万丁の小銃を用意しています」
「50万丁……ですと?」

とありますが、これも修正対象でしょうか?

79303 ◆CFYEo93rhU:2017/05/05(金) 16:30:52 ID:guO46a5g0
>>76

本編の展開は既に泥沼とも言えますが。
敵の幹部の一人がラスボスと思われていた奴を裏切って独自行動をとるって、特撮とかゲームとかでありがちな展開かな。と。

『現代知識チートマニュアル』の参考資料は、普通の書き方なら章ごとか巻末に纏めて書かれる
ものだと思いますが、5分くらい読み流しただけでそこまで目を通していないので、分かりません。


>>78

私の方の確認不足でした。そちらも修正してください。
皇国軍の中古小銃に関して「50万丁」とある箇所は
全部「10万丁」に直していただけると助かります。

80名無し三等陸士@F世界:2017/05/15(月) 02:54:00 ID:FyX.kvDI0
これはもしかしたらセソー大公としたらリンドの王権を狙っていたのでしょうか。
そう考えると単純に覇権の拡大と帝国に対する予防戦争を考えていたマルローと
王権丸ごと狙っていたセソーでは戦争に対する熱意自体が違っていたのではないかなあ
と想像が膨らみました。

81名無し三等陸士@F世界:2017/05/15(月) 18:59:17 ID:w2nCsok60
>>79
>『現代知識チートマニュアル』
Amazonで作者の情報を見てみましたけれど、軍事的な知識があるような
人には見えない経歴でしたね。
恐らくですが、軍事関係や中近世・近代世界史の資料の方にもあまり
接しておられないように見受けられます。

「チート」という言葉が独り歩きしている昨今から見ても工学系の知識など
も何というか中途半端というか「いい加減な」感じを感じとる次第。
中世ヨーロッパ「最大の」発明であるはずのネジ構造(とネジ回し
と旋盤)の事がさっぱり出てこない時点で、この本の読者層というのは
少なくともラノベや小説書きを想定していない気がします。
ネジとネジ回しが出ればライフリングの重要性は把握できますし、上で
303氏がかかれているような「頓珍漢な」書き方には絶対なりません。
「GUN FACT BOOK」すらこの作者は読んだことが無いのでしょう。
もし、読んでいればこんなことは普通書きません。

鞍と鐙や塹壕の話を出しているのに軍の兵士が履く「軍靴」について
は全然項目を作ってないんですね。
「国民国家」以降の近代軍は兵士に制服と靴を支給しましたが、これが
どれほど重要な要素なのかを説明していない時点で作者の方は世界史
や軍事史・被服史などには全く興味が無いか重要性を理解して
いないのでしょうね。
作者は日本陸軍が日本製軍靴の品質の低さ(歩兵の仕事は歩くこと)
によって兵士の落伍率が高まり、結果的に戦力の低下を招いたこと
すら知らないのでしょう(足への負担の軽減をはかれなかった)。

軍事部分で重要な兵站についても項目を割りさいているようではあり
ますが、近代以前の軍隊では兵站の維持には道路事情の改善と
食料生産を維持できる体制と内政の充実が必要なのにその辺りも
言及されていないのかな?
英文資料に当たらなくても、良質な日本語に翻訳された資料というのは
無料で公開されているものも多々あるものなので、そういう本や文章を
読んでみよう&借りたり買ってみようネットで調べることさえ「面倒臭い」と
考える人が読むものなのかも。
個人的にはゆるゆるな設定の小説を書くに辺り、都合のいい部分の
知識をその知識を語る上での背景説明などは抜きにして簡単に
説明(ガセネタも含めて?)している本ともとれます。
自分が本当に作りたい、設定を練り込んだ戦記物・内政物を書きたい
のならこんなネタ本風味の書籍よりもっといいのがあると思えます。

補給戦―何が勝敗を決定するのか-マーチン・ファン クレフェルト (著)
傭兵の二千年史-菊池 良生 (著)
誤算の論理 -児島襄(著)
西洋靴事始め―日本人と靴の出会い- 稲川 實 (著)
激戦場 皇軍うらばなし-藤田 昌雄 (著)
「GUN FACT BOOK-銃の基礎知識」学習研究社
小林宏明訳-全米ライフル協会(NRA)監修
中世の食卓から-石井 美樹子 (著)
ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語
ヴィトルト リプチンスキ (著) 春日井 晶子 (翻訳)

アジア歴史資料センター 電子資料センター(データベース/無料)
近現代(1860年代から1945年前後)の日本とアジア近隣諸国の資料
You Tubeにある中近世のリエナクトメントに関する動画
映画「ワーテルロー」(1970)

みんな大好き西洋式火縄銃の撃ち方とか(動画は紙薬莢を使用)
How to fire a Matchlock musket - English Heritage Event
ttp://www.youtube.com/watch?v=2KTS8PQ06Qo

Brown Bess Musket: Three shots in 46 seconds
マスケット銃(ブラウン・ベス)を46秒間に3発撃つ-熟練兵の速度です
ttps://www.youtube.com/watch?hl=ja&gl=JP&v=SJMbxZ1k9NQ

82名無し三等陸士@F世界:2017/05/16(火) 11:37:57 ID:VLGkK9Dk0
なろう作家がターゲットなら別に問題は無さそう

83名無し三等陸士@F世界:2017/05/16(火) 19:30:41 ID:Imfv7Bj20
>>81
長文を書かれているところ申し訳ないのですがこの本の著者が想定している購買層は
なろうで異世界に行って現代知識SUGEEEEEEEEを書いたりそういう物語を見たいと思っている層だろうから
適当なのもしょうがないのです。彼らは辛い現実なんて知りたくないあくまでもSUGEEEって言われたいだけですから
現実的なものを提示しても売れないのです。道路なんてERAI主人公が一言敷けと命じれば勝手に敷かれ
その予算も労働力も魔法のツボから湧いて出てきます。
古代ローマが交通網の整備と維持にどれだけの時間と予算と人員をかけたかなんてどうでもいいのです。
軍制だって国民国家どころか民族主義すら生まれていなくてもぽんっと常備軍が湧いて出たりしても
不思議に思ってはいけません。なぜなら全ては主人公のSUGEEEちーと知識のための舞台装置でしかないのですから。

84名無し三等陸士@F世界:2017/05/17(水) 20:12:38 ID:LKogINsQ0
>>81
長い、一言「Tueee作家予備軍向けだった」とでも纏めてくれ
あんまり愚痴ると自分で書けコールされるぞ

85303 ◆CFYEo93rhU:2017/05/17(水) 21:08:13 ID:guO46a5g0
現代人の異世界召喚ものの設定を考える度に、集積回路を作るとか、
地上人の持ち込んだチート知識のせいで異世界が戦乱祭りになるとか、
現代人というイレギュラーの介入によって激変する異世界というのを
35年も前にやっていたダンバインって偉大だったんだなぁと。


>>80

あっ、あ……(震え声)


>>81

Amazonレビューだと星五つで、重版かかった書籍なんですがね。

調べましたら、新紀元社の『Truth In Fantasy』シリーズの執筆者だったのですね。
一部ファンタジー界隈でロングボウはクロスボウより威力も連射性能も優れてる! 的なイメージ?
が浸透してクロスボウが不遇なの、このシリーズの影響も多少あったのではないかと疑ってるんですが。

ロングボウが優秀でも、イングランドは結局フランス王権取れなかったしドーバーから追い落とされたんで、
幾らロングボウがフランスの騎士を射抜いても戦略目的が達成できなかった時点で駄目だったよ……って話ですが。


> ネジ

ネジはあっても銃のライフル化という発想が無かった異世界を書いている身としては、ちょっと耳の痛い話です。
逆に言えば、発想さえあればすぐにでも造れる前提技術は整っていたので、皇国軍の影響によってライフルドマスケットが生産されつつあるとしていますが。

ネジも、部分的には古代や中世初期からあったようですが、民需や軍需で本格的に使用されたのは中世後期か近世からでしょうか。
日本でも火縄銃生産で、銃身となる筒の生産は問題無かったが、ネジの部分で難儀したという話はよく出ますね。

旋盤の話だと、大日本帝国軍で部品の標準規格化が出来ず、組み立ての段階や現場で部品の寸法の辻褄を合わせて
いたというのも、結局旋盤の性能が低かったり数が足りなくて、良質の部品が供給出来なかった問題に行きつきますね。

戦艦大和は国産戦艦だけど、じゃあその主砲を削り出した旋盤はというとドイツ製ですからね。
スクリュープロペラの加工とか、蒸気タービンエンジンの加工とかも結局欧米の工作機械が無いと造れない。

逆に言うと欧米の高品質な旋盤を輸入出来て初めて、戦艦大和は誕生しえたというか、何というか。
そういう基礎技術から全部国産だったら、外面だけは何とか取り繕えても実性能が危うかったでしょうね。

駆逐艦島風のボイラーは日本海軍が丹精込めた特注品の高温高圧ボイラーだったけど、
アメリカはそれと大差ない性能のボイラーを量産してたと聞くとげんなりします。

> 軍靴

近世ヨーロッパの常備連隊では、靴職人を雇って居ましたね。

> 兵站

兵站関連の食料事情に関しては多分政治チートと農業チートの項目にあるんだと思います(未購入ゆえ未確認)。
恒例のじゃがいも栽培とかノーフォーク農法とかも載っているようですし。

というか20世紀以降の現代軍でもなければ、軍隊の食料って最初の10日分とかを使い切ったらあとは基本現地調達では?
適正価格で購入するか、武力を背景に略奪するかの違いはあれど、現地調達が基本なのは19世紀になっても変わりませんよね。
食料を現地調達するのが難しい場所では道路や港からの補給頼りですが。

> 映画「ワーテルロー」(1970)

野戦砲兵が普通に居る近世で、グリーンジャケットとかイェーガーとか、ヴォルティジュールとか居る時代だし!
いわゆる中世ヨーロッパ風の映像資料とするには、『バリー・リンドン』なんかもそうですが時代が違うでしょう。
兵士は勿論、士官(中世で言えば騎士)も鎧着てないですし、胸甲騎兵は中世の騎士とは違いますし。

『ROCK YOU !』とか『ブレイブハート』くらいが、中世ヨーロッパの(主に戦闘や戦争を題材にした)映画作品になると思います。

86303 ◆CFYEo93rhU:2017/05/17(水) 21:08:48 ID:guO46a5g0
>>82-84

なろうにそういう作品群があり、一定の需要がある事は私も理解していますし、否定するつもりは毛頭ありません。
私も、たまにそういうの読みますし、私なんかより文章上手いし執筆速い人は多く居ますからね。出版化された物は特に。

それに裾野が広ければ頂点も高くなるという意味で、むしろそういう作品群には肯定的な部類だと思います。
アニメ化までされた『ゲート』等の影響もあるでしょうが、自衛隊を含む転移ものは増えてる感じですし。
勿論、増えたら増えたで検索が面倒臭くなる弊害はありますが、それは私にとっては嬉しい悲鳴です。

ただこの『現代知識チートマニュアル』に関しては、著者側から
「異世界チートというフィクションを書く為に、創作に深みを与えるために本当の事を知ろう。フィクションだからこそ知ろう。
 前提知識を持って嘘を嘘と知った上で書くのと、前提知識なしに知らずに嘘を書いてしまうのは違う。この本はその為の創作資料だ」
というような感じの売り文句(前書きに、そんな事が書いてありました)で並んでいましたから、
そこに書かれている事実内容に関して疑問があれば、突っ込み受けても仕方ないとは思うのですよ。

勿論それは、なろう作家に対してではなく『現代知識チートマニュアル』の著者に対しての突っ込みです。
アマチュアによって無料公開されているなろう作品と違って、プロによる最初から商業出版されてる書籍ですし。


私自身、文章は上手くないし、執筆は遅いし、数多のなろう作家を笑える立場ではありません。
仮に拙作が商業出版されて50万部売れてアニメ化されてBlu-rayも1万枚売れたとかの実績があったとしても、なろう作家を蔑むような事はしたくないです。

少なくとも私の場合、発表している場所がなろうではないというだけで、既存作品に影響されて「なんか楽しそうだから似たようなの書いてみたい!」をやってるだけです。
そしてそれは、数多のなろう作家のやってる事と同じだと思います。
なろう作家の中には、最初から商業出版を目的に、その布石として作品投稿している人も居るでしょうが、そういう人は少数派だと思いますから。

87名無し三等陸士@F世界:2017/05/20(土) 11:15:25 ID:7Y6/XtG60
皇国が海でなく大陸ド真ん中に出現してたら展開も大きく違ったんだろうなー

88名無し三等陸士@F世界:2017/05/28(日) 22:21:16 ID:duMIjbdY0
あっさり滅んでゲームオーバーかな…

89名無し三等陸士@F世界:2017/05/29(月) 01:28:59 ID:FyX.kvDI0
海という防壁がない状態だから周辺諸国が異分子の排除に乗り出し
全方向から攻められ物理的に陸軍の対処能力を超え終了だね。

仮にある程度友好的ファーストコンタクトを取ったとしても
他国の領土に無理やり割り込むわけだから莫大な賠償金の支払いを課せられ
輸入の為の外貨が無くなりお金で食料が買えなくなる事態に国内の貨幣価値が暴落
ハイパーインフレーションが巻き起こり革命勃発
周辺国としたらなんだかよく分からないけど王制を倒す革命なんて絶対に許さない
と波及を恐れ出兵でゲームオーバーかな。
短編なら一本かけそうなネタだけど連載は出来ないだろうね。

90名無し三等陸士@F世界:2017/05/29(月) 10:16:02 ID:duMIjbdY0
というか、海運に頼ってる状態の国が海運使えなくなる時点で経済が持たないと思う。

91名無し三等陸士@F世界:2017/05/29(月) 10:30:13 ID:OgQZplZU0
大陸ド真ん中だと日本海やら太平洋やら領海が超でっかい塩湖になってたりして……
東西が外界と繋がってないと潮の満ち引き無くなって大騒動やけど

92303 ◆CFYEo93rhU:2017/06/03(土) 00:21:25 ID:guO46a5g0
まとめをして下さった方、早速の対応ありがとうございました。
この事を前回の投稿に入れるのを忘れており失礼しました。


>>87-91

日本全土がそのまますっぽり入る巨大な塩湖の中に
出現して、湖の沿岸国の港が使えれば……?

でも相当数の船舶が無駄になりそうですね。

93名無し三等陸士@F世界:2017/06/03(土) 06:53:55 ID:NG1VpV4A0
元は陸地だと……日本が領海ごと召還されて交通路寸断、国家が幾つも消滅し交通路もズタズタ
悪夢やな

94名無し三等陸士@F世界:2017/06/05(月) 12:20:31 ID:3m2PwJK.0
比重の軽い真水の供給で酸欠を起こした領海が死の海になるかも
やっぱ作中設定のままが最善か

95303 ◆CFYEo93rhU:2017/06/07(水) 21:00:11 ID:veNW9HQ60
今年も日本で開催されたエアレース。
あれを見ていると、急旋回で速度が落ちるのは致命的なんだなと凄く良く分かりますね。
無理な急旋回よりは、多少大回りしても速度を保ったまま飛ぶ方が結果的に速いと。

最高速度120km/hの飛竜を追う皇国軍戦闘機は、ある程度失速がやむを得ないので意外と戦い辛いかもしれないと改めて感じる機会でした。


> 大陸の中に召喚

ロシア召喚とかドイツ召喚とか、元から海とは一切接していないスイス召喚とか、でしょうか。
異世界でも永世中立政策を貫くスイスとか、面白そう……。

アジアで全く海に面していない国はモンゴルとかラオスとか、あとインド北部とか中東の小国ですね。

96名無し三等陸士@F世界:2017/06/08(木) 01:13:10 ID:/YDgp0mI0
逆に異世界からコンニチワしても良いのよ?
次元に手が届きそうな超文明の実験が失敗して五大湖やカスピ海に研究所が転移

97名無し三等陸士@F世界:2017/06/08(木) 07:50:57 ID:FyX.kvDI0
>>95
モンゴル、、、今度こそ地が果て海が尽きる地へとモンゴル大騎馬軍団が進軍を始めるんですね!

98名無し三等陸士@F世界:2017/06/13(火) 08:09:13 ID:YJ6nvwC60
それ、モンゴルが民族ごと地球からリストラされただけ……
ぶっちゃけ幼女戦記の主人公が増えたバージョン

99303 ◆CFYEo93rhU:2017/06/14(水) 20:25:04 ID:C5LTI3lU0
天皇陛下の退位、譲位に関して「三種の神器」は贈与税が非課税。
という話題を見つけて、そういえばこういう古代や中世から続く王家は何かしら
持っているレガリアに、現代国家はどう対処してるのだろうかと興味がわきます。


>>96

帝国の竜神様……はちょっと違いますか。
異世界と“門”で繋がる系とか、異世界から一人ないし数人転移してくる系はなろう等で
見た事ありますが、異世界から現実世界に国ごと転移系は、私は見た事ありません。

次元の壁を超えるほどの技術を持つ異世界人が転移してきたら、
その超技術を得るため第三次世界大戦が勃発しそう……。

>>97

現代モンゴル軍より中世のモンゴル帝国の方が強そう……。
でも海に弱いから、世界は一つの大陸という異世界が好都合ですね。
あと森林や山岳が多い地形も不都合だ……殺風景な異世界になりそうです。

>>98

つまり皇帝(可汗)も兵士も将軍も全員幼女なのですね!

100名無し三等陸士@F世界:2017/06/17(土) 08:49:22 ID:WXa0Ik3I0
そして全員パラノイア……


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