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( ^ω^)千年の夢のようです
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9/24(水) 夕方より投下します
よろしくお願いします
前スレ
>( ^ω^)千年の夢のようです
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1401648478/
まとめサイト様(以下敬称略)
>ブンツンドー
http://buntsundo.web.fc2.com/long/sennen_yume/top.html
>グレーゾーン
http://boonzone.web.fc2.com/dream_of_1000_years.htm
作品フィールドマップ(簡易)
http://imefix.info/20140922/321215/rare.jpeg
http://imefix.info/20140922/321216/rare.jpeg
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只今ディスクを入れ換えています。
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地図すげえな
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うはぁテンション上がってきた
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投下が待ち遠しい
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( ^ω^)千年の夢のようです
- 傷痕留蟲アサウルス -
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(推奨BGM:Battle Conditions)
http://www.youtube.com/watch?v=ye71DzVgw_k&sns=em
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しえ
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(´・ω・`) 「ビコーズの伝えたいこと、
分かりましたか?」
( ^ω^)「言葉は聴こえなかったけどなんとなく」
ショボンは立ち上がり、
互いの自己紹介も簡潔に済ませると
二人の不死者はアサウルスに向き直す。
( ^ω^)「…まだ二人ほど、無事な人がいるみたいだおね。
あっちはツンに任せて僕らはアレをどうにかするお」
(´・ω・`)" 「…」
頷きながらミルナの居る方を一瞥した。
この小さな崖上からあそこの砂浜までは距離がある。
とはいえアサウルスの爆炎は範囲の大小次第でミルナとでぃを巻き込むだろう。
(´・ω・`) 「…友達を死なせたくない。
接近戦を挑ませてもらう」
( ^ω^)「戦いの経験は?」
(´・ω・`) 「残念ながら先程までは……
でも、そろそろ慣れてきたよ」
-
初めて武器をとり戦う相手があんな巨獣であることはショボンにとって不幸だったろう。
その腰にかけた武器を見て問い掛ける。
( ^ω^)「…得物は剣でいいのかお?」
(´・ω・`) 「ひとまずは。 止めは恐らく変わるけど」
しかしブーンという不死者がここに居たこと…
些細な不幸すら補い有り余る希望。
ショボンにとって始めて、
"仲間" と呼べる同種の人間が現れたこと。
( ^ω^)「だったら5分だけ…
そこで僕の動きを観てるんだお」
( ^ω^)「君が不死者であれば
5分後には、その意味がわかるから」
その言葉にショボンが頷くと
ブーンは腰鞘から自前の剣を抜き、アサウルスへと跳躍していった。
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ξ゚?゚)ξ「【スリプル】!」
その魔導力を表す灰色の粒子が
黒蟻となった人々を次々眠りに囲う。
ワンテンポ遅れて発動するその魔法は、
反応し、跳び掛かってくる人々の動きを空中で止めた。
力なくバタバタ倒れていく黒蟻の群れ。
( ゚д゚ ) 「お、おい!」
ξ゚?゚)ξ「平気よ。 眠らせただけ。
…それにしても抵抗なく効いたわね」
ξ゚?゚)ξ「そこの人も手当てしましょうか」
(# ц ) 「……」
( ゚д゚ ) 「…ありがとう、助かる」
( ゚д゚ ) (なんだか俺は…他人に助けられてばかりだ)
ミルナが唇を噛み締めて俯いた。
戸惑って、やっと決意する頃には
他人が先にその覚悟を得ている気がする。
蟻を模した赤ん坊に躊躇し、
むざむざでぃの精神を深く侵してしまった。
もっと早くショボンの心に踏み込んでいれば、友として独り震えさせる事もなかったかもしれない。
ξ゚?゚)ξ「ねえ、ちょっと」
( ゚д゚ ) 「ーー えっ」
ξ゚?゚)ξ「この女の子運ぶの手伝って。
礼拝堂の陰まで避難するのよ」
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>>11は訂正して再投下します
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ξ゚⊿゚)ξ「【スリプル】!」
その魔導力を表す灰色の粒子が
黒蟻となった人々を次々眠りに囲う。
ワンテンポ遅れて発動するその魔法は、
反応し、跳び掛かってくる人々の動きを空中で止めた。
力なくバタバタ倒れていく黒蟻の群れ。
( ゚д゚ ) 「お、おい!」
ξ゚⊿゚)ξ「平気よ。 眠らせただけ。
…それにしても抵抗なく効いたわね」
ξ゚⊿゚)ξ「そこの人も手当てしましょうか」
(# ц ) 「……」
( ゚д゚ ) 「…ありがとう、助かる」
( ゚д゚ ) (なんだか俺は…他人に助けられてばかりだ)
ミルナが唇を噛み締めて俯いた。
戸惑って、やっと決意する頃には
他人が先にその覚悟を得ている気がする。
蟻を模した赤ん坊に躊躇し、
むざむざでぃの精神を深く侵してしまった。
もっと早くショボンの心に踏み込んでいれば
独り震えさせる事もなかったかもしれない。
ξ゚⊿゚)ξ「ねえ、ちょっと」
( ゚д゚ ) 「ーー えっ」
ξ゚⊿゚)ξ「この女の子運ぶの手伝って。
礼拝堂の陰まで避難するのよ」
-
礼拝堂横にでぃを横たわらせながら、
ミルナは気が付いた事がある。
ショボンの立ち回りから、
アサウルスの注意を引き付けていたのは今なら理解できる。
…それを差し引いても礼拝堂が形を残しすぎてはいないだろうか。
建てられて百年以上経過する建物が
こうも爆炎吹きすさぶ衝撃に耐えうるものなのか。
( ゚д゚ ) (ひょっとして…ショボンはこれを?)
彼が何十年と、独り着々とこの日のために準備していたのなら…?
ミルナは海を一瞥する。
アサウルスを見据えるショボンと一人の男。
ツンが絶対の信頼を置く戦士だという。
( ゚д゚ ) 「…」
自分は何の為にこの島に残ったのだろう?
『友達のため』ーー
果たして本当にそうだろうか?
自問自答を繰り返し、その場に立ち尽くした。
----------
-
(;´・ω・`) (…すごい)
ショボンの驚愕。
はじめて目の当たりにする戦闘者の技術。
ブーンがアサウルスに立ち向かって
まだ2、3分しか経っていない。
にも関わらず、ブーンはすでにアサウルスの外殻を剥がしつつある。
ィ'ト―-イ、
以`θ益θ以 《…グガガ》
アサウルスが腕を振り回すたび津波が起こる。
それを跳び避けるブーンを襲う、
もう一方の巨腕すら、くるりと回転上昇して避け切った。
生み出された風圧にもめげずアサウルスの腕に着地すると、
伝って巨躯を駆け上がりながら鋭い斬撃を繰り出していく。
かさぶたを乱暴に剥がすように舞い飛ぶアサウルスの灰。
(;´・ω・`) (しかしあんなに近くにいたら蟻が…)
灰蟻のことも伝えてあるはずだが、
ブーンがそれを気にしている様子はない。
彼の進撃は止まらない。
-
ィ'ト―-イ、
以`θ益θ以 《ガヴヴヴォ…!!》
比率で言うならば、ブーンこそアサウルスの巨躯にまとわりつく蟻。
先のショボンが蟻に苦しんだように、
今度はアサウルスが苦しんでいる。
呻き声らしき音をあげると大きく背を反り、更に腕を振り回し始めた。
ィ'ト―-イ、
以`θ益θ以 《ヴオオ…! ヴオオ…!!》
右へ左へ…天の雲をちらすかのように。
そのスケールから緩慢に見えるだけで、三日月島に伸びていれば泥を拾うように柔らかく抉るだろう。
しがみつくブーンにも相当な重圧がかかっているはずだ。
にもかかわらず、アサウルスという巨蟻が堪らず海に叩きつけた腕から
蚤のように小さく跳ねるブーンの姿。
_,
(#^ω^)「ーー ふっ!!」
祈るように頭上で添えられた両手が次の瞬間、
断罪の斧となって振り下ろされる。
アサウルスの肩から海面まで迸る白い軌道。
地割れのように、 ーー ベキベキッ!
音を奏でる黒い外殻にヒビが入った。
(´・ω・` ) (チャンス……か?)
だがしかし、追撃せずブーンは飛び退いた。
:ィ'ト―-イ、:
:以`θ益θ以: 《ゴオアァッ…!!》
-
ィ'ト―-イ、
以`θ□θ以 パカッ
(^ω^ )「! ーー あれか」
(;´・ω・`) 「ブーン、チャフを!」
ショボンの一声とほぼ同時。
胸元からネジやボルトを無造作にばら蒔き、
まるで足場がそこにあるかのように空を蹴る。
:《 ゴ ア ア ア ア ア ア ア ッ ッ ! ! 》:
アサウルスの爆炎咆哮。
-
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三
三三三三 彡
三三 彡 ビリビリ
三 :(つω゚ ;): 「ーー !!!」
三三 ビリビリ 彡
三三三三三
三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
超近距離の核熱がブーンを包み込む。
ブスブスと肌表面を焦がしながら
海の上に "着地" し、ノーステップで舟の上まで舞い戻る。
(´・ω・`) 「大丈夫?」
(^ω^;;)「こんなの…まともに喰らえないお」
じっとりと汗ばんだ顔を裾で拭う。
外熱による体内の冷却機能が働いたのか、
はたまた心の問題かは当人にしか分からない。
ブーンの予想を遥かに越える爆炎 ーー。
直撃は不死者といえども消し炭になるだろう。
-
だが、今回こちらだけに被害が出たわけではないらしい。
, ;
;
ィ';ト―-イ、;
以;`θ益θ以 ブスブス…
近接で咆哮が爆発したアサウルスも核熱の巻き添えを喰っている。
ショボンの時のように距離が離れていれば起きなかった現象が、予期せぬダメージを蓄積させた。
アサウルスも影響範囲を理解していなかったのだろう、呆然としたように戸惑い動かない。
(´・ω・` ) 「…やはり接近戦のほうがリスクに見合うリターンに恵まれるね」
(^ω^ ;;)
つ◎ ) 「今のうちに…」
ブーンは【ヒール】で自身の回復を促す。
ツンであればより即座に効果が表れるが
今、あの島から彼女を離すわけにもいかない。
( ^ω^;)
つ◎ ) 「何か見てて掴めたかお?」
-
(´・ω・`) 「…」
ショボンはすぐに答えない。
収穫は確かにあった。
身体に沸き上がる形容しがたい新しいチカラ。
……とはいえ、彼らとて万能ではない。
(´・ω・`) 「たぶん、完全に真似出来ることと出来ないことがある」
その言葉にブーンは小さく頷く。
( ^ω^)「だお。 そこから出来ることを自分なりにやったらいいんだお」
(´・ω・`) 「なるほどね」
ーー 不死者は共に戦う仲間の技を盗む ーー
理屈ではなく身体がそうさせるのだ。
個別差あれど、時間をかけて自分のスキルとして使用する。
その浸透速度が到底並外れているのが
彼ら不死者の特性といえる。
-
(´・ω・`) 「そういう意味であれば…
君の動きの中で僕に出来ないことはない。
多少、形は変わるけど」
そこに強がりや見栄はない。 事実の言霊。
真似はできなくとも代替え行為がショボンの中で芽生えているのだと、そう言っている。
( ^ω^) (これは…末恐ろしいかもわからんね)
動きの目的が理解できているのだろう。
となれば、ブーンとショボンは似た性質を
持ち合わせているのかもしれない。
;
ィ';ト―-イ、;
以;`θ益θ以 《ーー ゴゴガァ…》
アサウルスが止めていた動きを再開した。
それを見た二人は剣を手のひらでひと廻しして腰を落とす。
まるで双子の合わせ鏡のように。
(´・ω・`) 「奴には防衛本能がある。
でなければ君が巨躯を走り回る事にあそこまで抵抗なんてしないはずだ。
そして…これだけ離れていればまた咆哮する」
( ^ω^)「逆に言えばもう近接で咆哮はしない、という事だおね。
僕も同意見だお、行こう」
スッ  ̄^ω^)「…それとショボン、
"魔導力" を意識するんだお」
サッ (´・ω・` ̄ 「"魔導力" ?」
-
言葉を聞いた分、
ショボンよりもブーンが早く残像に変わった。
打ち合わせもせず左右から挟み込むように
弧を描いてアサウルスに接近する。
ィ'ト―-イ、
以`θ益θ以 《…ガアッ?!》
海の上を走る二人に戸惑ったか、それでも巨大な腕を叩き付ける。
局地的な津波が引き起こされ、
足場として乗っていた舟も彼方へと無残バラバラに吹き飛ばした。
ーー もはや彼らには不要だが。
(・ω・` ) 三 (魔導力……ビコーズの降臨と共に現れた概念か)
ブーンと同じ要領で飛び込んだショボン。
既に傷付けられたアサウルスの腕を伝い、
弱点となる胸部に目掛けて走り出す。
思考はフル回転。
短い単語から歴史を紐解きつつ、当てを探した。
(・ω・` ) 三 「……思い当たるのはこれしかないなあ」
空から間断なく降り注ぐアサウルスの外殻灰。
火の粉にも似た黒い塵が辺りを囲む。
だが、喰らうまい。
-
13
 ̄ ̄ ̄ ̄Z__ (`・ω・´ ) ギィン! __
ーー "降臨" 。
それは産まれる前に死んでいったシャキン。
彼は魔導力の源水としてショボンに宿り、
ショボンは彼を魔導力として行使できる。
(`・ω・´) 「……推して参る!」
"ふたごじま" 最後の遺産はいま急速に成長し、
空からの使者アサウルスに
不死のツルギを突き立てんと突き進む。
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>>13再訂正
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 ̄ ̄ ̄ ̄Z__ (`・ω・´ ) ギィン! __
ーー "降臨" 。
それは産まれる前に死んでいったシャキン。
彼は魔導力の源水としてショボンに宿り、
ショボンは彼を魔導力として行使できる。
(`・ω・´) 「……推して参る!」
"ふたごじま" 最後の遺産はいま急速に成長し、
空からの使者アサウルスに
不死のツルギを突き立てんと突き進む。
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(# ^ω^)「おおおおっっ!!」
再びアサウルスを登るブーン。
彼の進んだ道には破壊された外殻が散乱する。
磨きあげてきた太刀筋が千年の重みとなり、
何十倍の体格差をものともせず砕いていく。
ベキベキベキベキベキッ!!
:ィ'ト―-イ、:
:以`θ益θ以 : 《グガア! ガゥゴゴゴ!》
悶え、拳で自身の腕を思わず殴り付けるアサウルス。
だがブーンが屈強な腕でガードを固める度、
いたずらに自傷行為となって跳ね返るダメージがその本能を葛藤させた。
腕の動きを止めれば
白い亀裂が巻き付き外殻を破壊する。
腕を攻撃すれば黒いクレーターが己に破弾し、
やはり外殻を破壊する。
はじめこそ小さかった穴。
何者かに指し抉られ、
傷口を押し広げられているかのように
ジワジワと ーー。
ィ'ト―-イ、
以`θ益θ以 《…ガ……》
ィ'ト―-イ、
以` ゚"牟゚ 以 《ーー ギュオオオォォオオッ》
-
更にアサウルスの喚き声がひときわ大きくなる。
ブーンだけでも厄介なところにショボンが加わったのだ。
まだ無事だったはずのもう片方の腕が軋み、
巨蟻の神経全域に警報を鳴らしている。
ショボンもアサウルスを斬り刻みながら疾走。
彼は補佐役などで決して終わらない。
ベキベキベキベキベキッ!!
(# ^ω^)「ふぉぉおおおおおおぉッ!」
ーー【破壊】。
ひと振りで二度の衝撃が襲い掛かる。
一度圧力が掛かった箇所に、風の魔導力による同時衝撃を加えることで、面のダメージを叩き出す。
物質が反射する固有振動を利用した二重撃。
(#`・ω・´) 「くぅおおおぉおぉおぉおおっ!」
ーー【切断】。
その剣に音はない。
無闇に剣を振り回すことはなく
都度、鞘に収めては必殺のタイミングで抜刀し、風の魔導力で斬撃を極限に研ぎ澄ました線のダメージを通す。
鞘で力を溜め、解放反発力を利用した抜刀撃。
暴れるアサウルスを嘲笑う斬撃の唄は高らかに。
外殻に潜む筋繊維を明確に破壊し、
内殻に通う神経筋を確実に切り刻んだ。
-
:ィ'ト―-イ、:
:以`θ益θ以 :《グゥオッ ゴボォッ!》
痛みに耐え巨躯を震わせ、ぶしゅるしゅると息を吐く都度、目に見える膨量の灰が煙幕となって不死者の視界を遮らんとした。
放たれた灰は大群蟻へと成り代わり、容赦なく降り注ぐ。
(`・ω・´ ) (ーー 蟻が)
だが、二人には蟻が寄り付かない。
それどころか避けるように、
風に凪がされ大海へとそのまま墜ちていく…。
彼の纏う魔導力がその身を淡く包み、
灰蟻の接着を許さないのだ。
( `・ω・´ ) 「…ブーンが灰を気にしなかったのはこういう事か」
仕組みは解らないがアサウルスの強力なアドバンテージを無力化できるのは大きい。
ブーンがこれを予め知っていたとは思えないが、闘い方として何らかの理に適っているのかもしれない。
(`・ω・´) 「僕はまだまだ知らなきゃいけないな」
この日のために準備してきたのは
すべて亡き兄者と、そして島の人々のため。
自身の欲といえばただ一つしかなかった。
すなわち、ーー この黒い来訪者への復讐。
-
この魔導力、後ほど研究してみるか…
ショボンがそう考えている頃、ブーンは間も無くアサウルスの左肩へと到達していた。
( ^ω^)「…」
手を休め、挑発するかの如く仁王立つ。
海上の空で浴びる風は少し湿り気があり、
アサウルスの硬く無機質な肩に乗っていることを忘れるならば、それもまた心地いい。
微振動から宙に放たれる灰蟻も、まるで繊維を
焼いた残りカスのように舞っていく景色が
浮遊感を増長させる。
心なしか届く、アサウルス胸部からの熱もそれを手伝った。
アサウルスの巨躯は不明瞭な箇所が多すぎる。
どこからどんな攻撃が来るかが解らない。
だから警戒を怠るつもりもない。
それでも彼がこうしているのは理由がある。
( ^ω^)(手応えがないお)
アサウルスに感じた驚異と、
実際に戦っている現実との間には、隔たりを感じずにはいられない。
確かに咆哮は凄まじき威力を誇った。
しかしそれ以外、稚技に等しい行動だけしか
アサウルスから感じられないのだ。
…まだ躯の動かし方を知らない動物。
生まれたての野性。
ビコーズに喚ばれ、
"アサウルスから抱いた恐怖" はこんなものではないはずだった。
-
ξ゚⊿゚)ξ「……」
( ゚д゚ ) 「…どうしたんだ、彼は?」
礼拝堂前でツンの張った【シールド】に身を守られながらミルナが呟く。
立ち向かう二人に感嘆していた矢先、
その動きを止めたブーンと…アサウルスにも違和感を覚えた。
ξ゚⊿゚)ξ「何かあるんだわ、引っ掛かりが」
そう言って一歩前に踏み出す。
解除される【シールド】。
その手にはまた新しい魔導力が練られ始める。
( ゚д゚ ) 「…」
綺麗な光だな…と、隣でそれを見るだけしかできないミルナは思った。
ツンが合わせる掌の隙間は、周囲の不純物を取り除くかのように少しずつ輝きを増していく。
心なしか虹色に錯覚する粒子が蛍のようにフワフワと。
そして自分の掌と比べた。
ゴツゴツと、特に気を配ること無く過ごした男らしい手。
仕事柄、短く切り揃えられた爪も無骨そのもの。
ただそれだけだ。
不甲斐なく、何もない空間を掴む。
( ゚д゚ ) 「……」
-
ィ'ト―-イ、
以`θ益θ以 (^ω^ )
------------------------------------------------------------
((@))((@)) ドックン ドックン…
------------------------------------------------------------
( あれが弱点の胸部 )(^ω^ )
( …試してみるかお? )(^ω^ )
巨蟻の腕はもう機能していない。
ショボン曰く、生態系における虫類と似た本能をもつアサウルスが "代替防御" を行うことは考えにくい。
つまりまだ腕を動かすことが出来るとすれば
既にこの肩に留まる自分を払い除けるだろうし、そうでなければ外敵に対して逃げるべきなのだ。
(`・ω・´) 「…」
ショボンも追い付いた。
反対側の肩に乗り上げる。
そして、ブーンに向けて制止のジェスチャー。
ーー なにか見過ごしていないだろうか?
-
(`・ω・´) 《僕が先に飛び込む。
君は様子を見て後から頼みたい》
"(^ω^ )
経験の勝るブーンに後続を託し、ショボンが前に出る。
異存は出ない。
ーー なぜか気が逸る。
この位置から飛び降りるだけで辿り着くのだ。
内蔵のような剥き出しの胸部…二つの太陽に。
(`・ω・´) ( どのみち、"この状態" を長く維持できないしね )
シャキンの降臨は魔導力を駄々洩れにするため、長時間の行使は難しい。
ショボンからすれば早めに決着をつけるに越したことはなかった。
ーー 意を決して、地獄の釜に飛び込むが如く
ショボンの身体が落下する。
「ーー ?!」(゚ω゚;)
同時に見えたのは…ブーンの驚愕の表情。
-
チ
ィ ッ
ブ l
・
-
ーー 衝撃、
(´。ω )
と呼ぶことすら生ぬるい破壊の衝戟。
-
『ーー え っ ?』
-
「ショ ーー (゚ω゚;#)
ξ;゚⊿゚)ξつ◎「ーー
(; ゚д ゚ ) 「 シ ョ ボ ン !! 」
『? ミルナ、そこは危ないよ… 』
-
アサウルスの足元…海に落ちてゆくショボン。
それを示す小さな水柱がミルナの視界に飛び込んだ時、ブーンの背中には彼をも貫く黒い槍。
ドス ドス!!
(゚ω゚ ;:: 「ーー おッ?!」
ーー 耳障りな音をたて、
背中に生えた二本の黒い槍が肉を押し潰すように蠢き、不死者の内臓を排除にかかる。
油断したつもりはなかった。
だが、アサウルスを構成するパーツの中で
これまで全く動くことのなかった "触角" が予備動作なく伸びてきた事…
そして飛び込んだショボンを突如潰した
"触腕" に気を奪われたその一瞬を狙われた。
_,
(´ω^;)(…な、まじかお……)
視界には迫る海面、血の翼 ーー。
意に反して重く閉じていく瞼に抗えない。
抵抗するまもなくブーンは真っ逆さまに墜ちていく。
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン!!」
ツンはもう一度掌に魔導力を込め始めるも、
視界からブーンが消えていく方が早かった…。
-
------------
〜now roading〜
(`・ω・´)
HP / --
strength / --
vitality / --
agility / --
MP / --
magic power / --
magic speed / --
magic registence / --
------------
(推奨BGMおわり)
-
ーー 意識の暗幕は、夢を映し出す ーー
-
血霧 水圧
再生
矯正
-
狭い箱庭の中、
僕たちはやがて来る日を
静かに待っていた。
互いの額をくっつけ合い、
時に血霧まみれた水圧に
無様らしくひしゃげた事もある。
その度に、まだ柔らかな此の身は
再生して元通り…
求められるべき形に矯正される。
それは自我ではなく、
彼女の意志だったのかもしれない。
-
僕たちに与えられたこの箱庭は
極めて不安定な揺り籠だった。
繋がれた管から、触れる水溜まりから、
酸素を吸うたびに。
僕たちはぶつかり合う。
奪い合う、 生命を。
身が千切れるほどに。
そしてまた、再生を繰り返した。
-
本来、この箱庭が正常を許容するには
人数制限があったのではないかと
僕は思う。
では無理矢理に詰め込まれたのは
誰の意志か。 …母か? …それとも父か?
悦び勇んで来るべき未完成な生命を
脅かす…… 子殺し。
そんな状況を作り出す親がいるとは
考えたくない。
人智の及ばない領域ならば、きっと神が
戯れに介入しているのではないか。
…もし戯れでなければ
『神』という存在そのものが
そもそも不完全なのだ。
-
……だからこそ僕は問いたい。
観測者よ。
僕たちはなぜ生まれようとしているのか。
こんなにも歪な箱庭に押し込められてまで。
己は純真に生まれようとしながら
その一方で不純にも相手を殺さなくては
ここから生きて出られない。
もしこれを
神が司るのなら、戯れか、不完全ゆえに。
人が司るのなら、無知か、残酷さゆえに。
ーー そんな世界がもし…、
もしもどこかにあるのなら。
それは生命が始めて
目の当たりにする
地獄と遜色は無い。
-
完全を求めるつもりはない。
存在しないものは掴み取れず、
それ故に生命は完全を求めるからだ。
果たして求めるためには魂が必要になる。
魂のない生命は具現せず、現象もない。
魂は生命にとって、
文字通り『命』となる。
では一つの生命に容れるべき二つの魂が
混在するこの場所では
なにが起こるのか…自ずと解るはずだ。
-
僕たちは奪い合うべくして奪う。
育まれるための礎は一つ分しかないから。
弱肉強食。
座れる席は一つ分しかないから。
僕はそれが当たり前だと思っていた。
彼を押し退け、喰らい続けた。
誰に気付かれる前に芽生えた本能…
与えられた餌を貪る事を、
教えられるまでもなく。
生き物は元来、ある程度の
完成を律して生誕する。
産まれてすぐに立ち上がり、
殻を破り、
親の顔を覚えるよりも先に、
自分が何をするべきかを知っている
-
それに比べて僕たちはいかに
不完全な状態で産まれるか。
教えられることが少なすぎる。
覚えることが多すぎる。
身体の動かし方も、声のあげ方も、
生命を留める息の仕方まで。
すべて産まれてから
覚えなくてはいけないらしい。
食べることだけだ。
栄養を、
この管から注がれる僅かなエネルギーを
滞りなく摂取することだけ……
それが僕たちに与えられた
原始の神託 (オラクル) 。
唯一、何よりも早く、
知るを知る煩悩。
-
幾度傷付いても再生し、
それにより消耗したエネルギーを
栄養から供給する。
需要はない。 一方的だ。
一方的だからこそ、感じるものもある。
でも…そこに僕たちの意思はない。
あるのは餌を放る母の意志なのだと。
僕たちに意思はない。
餌を貪る意志だけがただポツリと。
-
ーー なのに、何故?
(推奨BGM:parting forever)
http://www.youtube.com/watch?v=0PxuRHGbg7A&sns=em
-
……君は弱かった。
そう思っていた。
餌を貪るのはいつも僕だ。
弱肉強食。
僕の方が強いのだと。
この生命に選ばれるのは
僕こそがなのだと、
漠然とした結果が輪郭を現していく。
見えない意志に、
自分が選ばれているのだと
そう感じていた。
-
だが違う、そうではなかった。
・・・・・・・
君は君の意思で…
僕に生命を譲るつもりでいた。
不完全ながらも必死に足掻く僕は
この箱庭で色々なことを吸収してきた。
領域も、栄養も、母の意志も、
ーー そして生命も吸収してきた。
それはすべて、君の魂の上で
転がされていたとも知らずに…。
-
支援
-
元々一つの魂が分かれた僕たちは、
いつしか別の個体として
膝を抱え丸まりながら、
選択の日を待っていた。
僕は貪ってきた。
周りにあるすべてのものを。
そこに意思はない… あったのは、
飽くなき生への渇望。
それは生き物にあるべき欲望。
…生きるのだから当然だ。
君は ーー 最初からそれを手放していた。
-
………。
これをなんと形容するのか、
僕には分からない…。
分かるのは、
彼という魂は僕に生命を譲るために
いま此処にいる
ーー そして
-
間も無く、
この箱庭にも終わりが来る。
僕たちはこれから長い…長い旅に出る。
理は此処とそうは変わりはしない。
弱肉強食。
強いものが生き、弱いものが死ぬ。
《怖 ι Ι 》
僕たちは此処で一つの魂だけを選び
『命』として産まれなくてはならない。
…残された魂は……此処で朽ちるのだ。
-
お疲れさま、 《怖ぃ》
僕のもう一つの魂よ。
さぞ苦しい想いをしただろうか?
……いや、意思なき僕たちに
そんな感情はまだ
芽生えてはいないだろうか?
《怖い》
心残りは、僕のこの思考が
一体何であるのか…それを知りたかった。
しかし、それももうリミットだ。
ほら…箱庭が崩れていく。
脆く容易い僕たちをぐしゃぐしゃにして。
-
支援
読んでるよ
-
この崩壊に君の身体は
きっと耐えられない。
それだけの蓄えを、今日に至るまで
すべて僕に与えてしまったのだから。
再生の糧はなく、
創生の鍵もない。
僕たちがこの箱庭において
楔とする、ずっとくっつけていた額が
離れようとしている……。
嗚呼、君の身体が
崩壊の波に浚われて
光の粒子に変換されていくのだと。
-
これは…
-
《コワイ》ーー。
だから僕は
此処で初めて手放した。
今まで蓄えてきたものを。
今まで奪ってきたものを。
今まで気付かなかった 《 怖 い 》
君の優しさに甘えていた…この魂を。
《恐い》さ。
粒子になるのは僕でいい。《怖い》
賢いふりをして最も愚かだった…
君より弱い僕が此処に残ろう。
《 怖 い …》
-
ーー 。
ああ、そういえば。
僕たちに、
名が付けられていたのを
知らないだろう?
もう触れ合えなくなる記念に
教えてあげる。
……ショボン。
君の優しさは時に決断を鈍らせる。
長い旅の中で…君を強く苦しませる。
-
君が優しさに
押し潰されそうになったなら
意思なき僕という魂を
思い出してくれないか?
君が苦しみに
一人で耐えられなくなったなら
生命なき僕という存在を
思い出してくれないか……。
ーー 君の意志、
僕が奪ってでも、
ひとときでも長く、
君を 生かしてみせる。
それが ーー 僕だけに与えられた
本当の神託 (オラクル) 。
-
でも、根底にあるのは《怖ぃ》れない。
…やはり、こわいんだ、僕。 ……
怖い
出来れば生きたい。
《恐》
生きたい。
生きたい。《怖い》
生き怖い。 生きたい。
き
生きたい、生き い、生きたい、生 ーー
い た イ
い ワ
恐 コ
い 助
よ の け
《やめるんだ》
に て
こ
ーー 生きたい。 わ
い…。
-
48
《生きたかった》
…ショボン、君は強かったんだ。
このとりとめのない
恐怖に打ち克てるほど優しく。
《本当は死にたくない》
消えていく今なら判る。
それとも……
僕のこの生への渇望は
限られた者だけが持つ願望だったのか?
例えばそう、永遠を生きて生きて、
決して消えない
願いが呪いであると
愚かにも気付かないような。
僕が浅ましく餌を貪るその隣で
日々、衰弱していた君は
…怖くなかったのか?
誰にも気付かれず 死んでゆく
自分の消失を 消えてゆく
僕は君のように受け止めてゆきたい。
-
弱肉強食。
僕が言い出しっぺだからね。
本当に強かった君だから、生きてくれ。
さあ、互いに旅立つ時間が来た。
後ろは見るな。 前を向け。
下は向くな。 見上げて歩け。
《さようなら弟よ》
できなかったら… げんこつ::;,,.,..
-
(推奨BGMおわり)
-
------------
〜now roading〜
(´・ω・`) ω・´)
HP / C
strength / C
vitality / D >> B
agility / B
MP / C
magic power / A
magic speed / D >> C
magic registence / D >> B
------------
-
それはブーンが海に落ちたのと同時だった。
天秤から弾かれるように飛び上がったのは
アサウルスが隠していた "触腕" に
蚊蜻蛉よろしく潰されたはずのショボン。
( #´・ω・`) 「…やってくれたね」
水飛沫を蒔いて再度アサウルスの躯へと。
押し潰された傷は見当たらず、痛みを訴える素振りもない。
ξ;゚⊿゚)ξ _3 「 ーー 間に合っていたようね」
ツンが初めに蓄えていた魔導力は
ショボンのダメージを落下の瞬間癒していた。
…結果としてブーンへのフォローは間に合わなかったが、
彼があれくらいでどうにかなるなど思わない。
絶大な信頼と…それでも不安になる気持ちは、
背中合わせにツンの心を足踏みさせる。
( ゚д゚ ) 「…」
(´・ω・`) 「ブーンは?!」
ξ゚⊿゚)ξ
つ∴o 「ブーンもあの触角に!
でもすぐ戻るわ、貴方はアサウルスを!」
叫びながら魔導力を組み直し
【シールド】を発動。
幾何学模様の光の壁がショボンの目の前で
主張するも、やがて透過した。
-
,,
ィ'ト―-イ、 ζ⌒
以`θ益θ以 ζ 《ーー ガゴガガゴ》
ζ((@))((@))
ζ_,
"
アサウルスの巨躯に生えた細い腕が
触手として不規則にうねりをあげる。
やはり元の両腕が再生したわけではない。
(´・ω・`) (無から有を生み出すのは物理的にはあり得ない。
恐らくはエネルギー源があるんだ。
…何を元にしてあんなものを…?)
その時、アサウルスの膝元からも新たに黒い槍が飛び出し、走るショボンの頬を掠める。
また触手…だが痛みはない。
軽く手首を返すだけの小さな動きで、それを切断する。
(´・ω・`) 「…」
剣には血糊もなく、刃が欠けた様子もない。
容易く斬れた触手もそのまま海へと落ちる。
-
バシャァッ
聴こえる距離でも無いのに
重い音が耳に届いた気がした。
それは着水ではなく第三の触手が生まれた音。
先より細いそれを、今度は太股から生やしているのだと認識する前に身体が動く。
目の前の触手は桂剥かれて縦に割れる。
「この程度ならば」
ーー そう口にした直後、
ショボンの見ている世界が薄暗くなった。
(;´゚ω゚`) 「!!」
頭上から逆さまになったアサウルスの顔と、
開かれた顎が間近に迫っている。
全速力で横に翔びそれを避けると
いま居た場所は大きな顋が喰い破る。
……アサウルス自身の太股から。
外殻ごとバキバキと、躊躇なく真っ黒な口の中へとその下半身が消えていく。
噴き出すのは赤い血液ではない。
高粘度の黄ばんだ涎のようなものが辺りに飛び散った。
三 ´・ω・`; )「何やってるんだこいつは?!」
ブーツの裏で踏み締めるアサウルスの躯は岩のように硬く、尖った間接は崖の踊り場となるため足場には困らない。
困らないが……安全地帯とはなり得ない。
ショボンはその要塞の上を渡り移動した。
-
----------
ーー /ヽ゛シャ
ーー バキッ
ーー バキッ
ーー バシャァッ
バシャッ
ーー バ キ バ キ ッ
ξ; ゚⊿゚)ξ 「……」
( ; ゚д゚ ) 「……」
(# ц )
耳に届く数多の外殻の割れる音に、思わず開いた口が塞がらない。
二人の視界で繰り広げられられているのは
咀嚼を行うアサウルスの上半身と、
それに抗いながらも無慈悲に暴れ貪られる下半身。
まるで異なる意思を内包しているかのように。
でなければ役立たずの躯に罰を与える司令塔。
…罪を精算する半身の罰音がこちらまで響く。
ミルナ達の場所からは陰になっているが
音はショボンの鼓膜も震わしているだろう。
雛鳥達が群れをなし、
同胞の生誕を祝うドラムが盛大に叩かれる。
-
ヽ /
γ ζ ζ
以 ζ `θ益θ ζ / :ギュルァアァ…
〜 、ヾ( ( @))((@) ゴアアァァアア…:
〆√ ヽ
∫ V⌒
(;´・ω・`) 「ーー …っ」
上半身を突き破りいづるのは無数の触手…
いや、黒い鞭、黒い大蛇とも。
ブーンの背を貫いた触角は目覚め、
黄色の眼の上から不規則にうねり、己よりも矮小な不死者を見下す。
一本一本、蛇が舌先を弄ぶかのように。
しなる鞭が外殻をバキリと叩くその度、
剥がれた破片が軍隊蟻へと姿を変えた。
ザワザワと ーー カサカサと ーー。
その巨躯を這う進軍は遅くない。
統率された蟻が向かうのは…甘く、甘い餌。
食すたびに栄養となり、
また子供を産み育むために必要な人間というエネルギーを求めているようだ。
-
:《クルゥルルル……キケケケ…》:
自らの下半身を瞬く間に喰らい尽くしたアサウルス。
歓喜しているのか、喉を震動させて唸った。
(; ゚д゚ ) 「!! こっちに向かってくる」
次の目標を定めたアサウルスが動き出す。
うねる大蛇が海を刺すごとに、少しずつ三日月島へと向かって。
朽ちて捨て置かれた両の腕は
その動きに抗わず、力なく揺れていた。
ξ゚⊿゚)ξ「そうね…いいじゃない、やってやるわよ」
(; ゚д゚ ) 「……?」
ξ゚⊿゚)ξ「【ライブラ】!」
光の珠となった魔導力が漂い始める。
間も無く一直線にアサウルスの巨躯に走るも
道中、その珠は二股に別れた。
一つは真っ直ぐアサウルスの元に。
もう一つは海の中へと潜り込むとやがて発光。
( ゚д゚ ) 「……いまのは?」
ξ゚⊿゚)ξ「生体反応を感知する魔法」
ミルナは今もまだ恐怖が抜けていない。
ツンもそうだと思っていた。
だから…彼女の落ち着き払った態度には
男として気を挫かれたような気になる。
-
ξ゚⊿゚)ξ「……」
ツンの脳内を巡る思考は素早かった。
直情型ではあるが決して浅はかではない。
ショボン一人でどこまで出来るのかが分からないが、囮と足止めは期待できない。
ここからは分担して戦わなくてはならない。
集束した触手が二足歩行を実現している。
ならばあれを止めればいい。
だが、あの腕のように一枚樹ではないだろう。
ξ -⊿-)ξ「……」
ともすればブーンのような【破壊】の剣技では恐らく相性が悪い。
あれを断ち斬るに優秀な【切断】の剣技を使う
ショボンが上半身の元に居てはいけないのだ。
まとめて分断するつもりでなければ止まらず…
どうであれ三日月島は世界から消失するに違いない。
-
ξ゚⊿゚)ξ「やっぱり…せめてもう一人いないといけないわね」
( ゚д゚ ) 「……さっきの男…ブーンは…?」
二人は海面を見るも、それらしき影は見当たらない。
あるのはアサウルスの外郭をなす細かな破片がパラパラと吸い込まれていく様のみ。
下の海にそびえ立つ大蛇は太陽コロナの如く
放射状を描きながら輪転する。
ξ゚⊿゚)ξ「ミルナ、貴方泳げる?」
( ゚д゚ ) 「えっ」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンを助けなきゃ」
( ゚д゚ ) 「…し、しかし……」
(# ц )
彼らの隣には自責の念に押し潰されたでぃ。
未だ横たわり起きる様子はない。
( ゚д゚ ) 「…」
まずミルナはこう考える。
『もしもツンが眠らせた住人が目覚めたら?』
…しかしその憂慮は見透け、遮られる。
ξ゚⊿゚)ξ「【スリプル】は刺激さえ与えなければ解けないと思うわ。
あの怪物と戦うのよ、私達もね」
-
ミルナは次にこう考えた。
自分達がやるのだ。 誰でもない。
そう、自分が。
( ゚д゚ ) 「…」
ξ゚⊿゚)ξ「私がショボンと一緒に時間を稼いでくるから、その間に貴方はブーンを引き揚げてきて」
自分はショボンのためにこの島に残った。
友達のために残ったのだ。
でぃにもそう言ったじゃないか。
( ゚д゚ ) 「……」
ξ゚⊿゚)ξ「危険がないとは言えないわ。
でも…私達がやらないともっと状況は悪くなる」
あの怪物に立ち向かえとは誰も言っていない。
誰にも言われていない。
ショボンも逃げろと警告していた…。
それを信じて人々を避難させたのも自分だ。
"現在" を選んだのは他でもない自分自身。
さっきまで、何か自分に出来ることはないかを
必死に考えていたはずだ。
ーー 自分に出来ることを。
ξ゚⊿゚)ξ「お願い」
( ゚д゚ ) 「…」
( ゚д゚ ) 「…俺は」
-
( ゚д゚ ) 「ーー ここで、でぃを護る」
ξ゚⊿゚)ξ
口をついて出た言葉は、提案の否定。
時間にしてひととき。
しかし、心の中では何日も何週間も考え抜いたほどの疲労感を伴った。
彼は彼なりに精一杯思い悩んだ。
ショボンを引き揚げろと言われれば、
もしかすると否定しなかったかもしれない。
むしろ今、危機に晒されているのは
あの触手にまみれた上半身に囲まれているショボンではないかとも心配する。
ξ゚⊿゚)ξ「……」
身の丈を知らなくてはいけない。
単なる島内の運び屋だった自分が、あんな大きな怪物にこれ以上近寄れるわけがない。
( ゚д゚ ) 「ちなみに、あんたの魔法が確実に解けないという保障はあるのか?」
避難中に遭遇したアサウルスを通り抜けた住人らは、蟻の尖兵となって戻ってきてしまった。
まだ来るかもしれない。
もしそうなってしまえば…?
でぃの瞳が決定的にもう開かなくなるのは嫌だ。
ξ゚⊿゚)ξ「……。
経験上、可能性として高いってだけね。
私もこんなのと戦ったことはないもの」
-
( ゚д゚ ) 「……そうか」
ξ゚⊿゚)ξ「この島に武器はある?」
( ゚д゚ ) 「そこの崖下にショボンが用意した得物が沢山あ 「ありがと。」
( ゚д゚ )
ξ゚⊿゚)ξ「それを借りてくわね」
言葉尻はツンの言葉と重なりかき消される。
冷たくも鋭くもない、優しい声色を残して
ツンは走り去っていった……。
( ゚д゚ )つ 「あ…」
( ゚д゚ ) 「……」
( д )
----------
-
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
ヽヽヽヽヽヽ\\ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ
ヽヽヽヽヽヽ \\ ヽヽヽヽ ヽヽヽ ヽ
ヽヽヽヽヽヽヽ \\ ヽヽヽ ヽヽ
ヽヽヽ ヽヽ \\ ヽ ヽ
ヽヽ ヽ ヽ \\ ズアッ !!
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
-
\\,,'∴
゜" ザ
「キリがない!」 (´・ω・`;)つ←── シ
〟. ュ
// ∵ ッ
//
孤立奮闘するショボンの視界には
四方八方から襲い掛かってくる黒き森。
何度斬り伏せても一歩を踏み出さないうちに
いくらでも頭をしならせ垂れてくる。
捌き切れない鞭は
ツンの【シールド】によって防いではいる…
かといって無防備に身体を晒すほど全面的に
信用することはできない。
(´・ω・`;) 「見えているのに ーー」
このままでは辿り着かない。
触手の先にはアサウルスの弱点とされる
二つの太陽が大きく脈打つ。
だが険しい道のりだった。
海空を見下ろせば
心なしか三日月島が近寄っている気がする。
-
足下の軍隊蟻は魔導力の放出で対応できるだけ
まだ救いがあった。
それでも魔導力は無尽蔵とはいかない。
気を抜けばこの不死の身は漆黒に染まり、
跡形もなく喰い尽くされるだろう。
蟻が食むのは肉体ではない。
魂の器である生命を貪るのだ。
痛みのない死が何をもたらすのか、もう一度試す気にもならなかった。
(´・ω・`) 「…」
ふと。
肌が触れあうほど目の前で
瞳から光を失っていった兄者の顔を思い出す。
触手の森をいくら斬ったところで
その数を減らすこともなければ、本体にダメージがあるかも疑わしい。
アサウルスの進攻も止めなくてはならない。
太陽に己の刃が通用するかも分からない。
「ショボン!」
(´・ω・`) 「ーー !」
逆扇に降り下ろされる触手群に危うく刺し貫かれるところだった。
身体一つ分の後退で事なきを得ると、無防備なそれを横薙ぎに一閃。
ーー だがそこにはひときわ太い触手…いや、
触腕が螺旋を描き、ショボンの首に迫る。
-
ξ゚⊿゚)ξ「させないわ!」
一度はショボンを危うく潰し殺した触腕。
二度目は不自然に軌道を変え、
あられもない方向へと尖端を歪み刺した。
その根元は空気の抜けたゴム毬のように大きくひしゃげている。
そうさせたのはツンが突き出す小さな拳。
(;´・ω・`) 「……無茶苦茶だな」
ξ゚⊿゚)ξ「せえっ ーー!」
回想と実相の狭間に気を取られ過ぎた彼を救った声主が、休まず大きく振りかぶるのは鋼のツルギ。
切断…までは出来ずとも大木を切り倒したように触腕を無力化した。
⊂ξ ゚⊿)ξ「アサウルスの移動を止めましょ。
貴方は下に行って。
私が代わりにここで注意を引くから」
ブーンと一緒にいた女性…ツンといったか。
正直なところ同じことを考えていたので
ショボンは彼女の提案に反論する気はない。
その身を案じることもなければ、
性差による気遣いもない。
-
「恩に着る」
 ̄´・ω・)
そう言い残し、触手のすき間を潜り抜けた。
さっきのように悠長に飛び降りはしない。
弾丸のように海面まで一直線に翔んだ。
それを捕えられる触手はなく、
今度は一方的にショボンの狙い通りその脇をすり抜け、直後アサウルスのバランスが少し崩れる。
「行き掛けの駄賃、
貰っておくよ ーー」ω・`)
ショボンはそのまま海の中へ。
上がる水柱の数は両手に足りなかった。
後を追うように、
アサウルスの脚を構成する大蛇の成れの果てもブチブチと悲鳴をあげて沈んでいく。
-
ξξ゚⊿゚)ξ:「ーー …さっそくやってくれたのね」
上にいたツンの足場が大きく揺れる。
出現した急勾配の坂を転げ落ちないようにと
外郭に突き立てようと試みたツルギは刺さらなかった。
その点はやはり男二人のようにはいかない。
相手が困難であればあるほど、
剣は単純な力で優劣が決まるものではないらしい。
ξ゚⊿゚)ξ∩「やっぱりこっちの方が ーー」
じっと手を見つめる。
細く白い女性らしい形と、男性顔負けの握力を誇る指先が徐々に赤く染まりゆく。
ξ゚⊿゚)ξつ「【フレアラー】!」
色が抜けると同時、空気が鋭く鳴り、駆けた。
広範囲の炎がツンを中心に走り盛る。
根元から焼き尽くされる黒い触手が
まるで踊り死よろしく狂い悶え、粒子となり散っていく。
その威力は残骸を蟻に変質する間すら与えない。
ξ゚⊿゚)ξつ「ーー 私には向いてるのかしら?」
-
( ゚д゚ ) 「…ショボン」
遠巻きに居るミルナからも、ショボンの姿はよく見えた。
海に落ちたのはきっとブーンを捜しに行ったのだろう。
ツンの提案通り。
それをしなかった自分の代わりに。
戦いが始まってどれほどの時間が経ったのか…
小一時間程度?
それとも実は丸一日経過してはいないか?
人は…そんな短時間で恐怖を克服できるのか?
( ゚д゚ )
アサウルスの上部でも赤い光が見える。
あれは炎か、得体の知れない別の何かか。
礼拝堂の前で足を地につけているのは彼一人。
ただ目の前のそれを見ているだけ。
(# ц )
( ゚д゚ ) 「なあ、でぃ。 大丈夫か?」
返事はない。
胸部の上下運動から彼女に息があるのは分かっている。
まだ…目覚める様子はない。
( ゚д゚ ) 「お前が俺なら、助けに行けるのか?」
そんな彼女に問い掛けている自分を、
ミルナは酷く卑怯者だと罵った。
----------
-
。
.゜
(´・ω・`)(……いた)
海中のそれほど深くない位置、
岩のソファで眠るブーンを見つけた。
首を反っているせいで表情は見えない。
。
゚.
(;´・ω・)(まずい!)
……近付いて、そこで始めて気が付いた。
彼の身に無数の蟻が集っている ーー。
生物には一定の酸素が必要なのだとしても。
アサウルスの破片は o
その全てが "蟻" であり、 ゜.
巨獣アサウルス ( ´>ω<)
そのものなのだ。
既存の生態系から勝手に
その性質を思い込んでいたせいで失敗する。
あの時も騙された。
O
o 。 。
.゚ o .
( ´>ω・) .゚
(:::ω:::::)
ひとまずはこちらが先決。
ブーンにへばりついている蟻群を引き剥がすべく、ショボンは魔導力を放出 ーー
-
。
.゜
(;´・ω・`)( ーーするとなれば、この蟻は…?)
この後どこに向かうかを想像し、息を飲む。
( ^ω^)『"魔導力" を意識するんだお』
ブーンから受けたアドバイス。
あのお陰でショボンは蟻に喰われず戦うことができた。
何故、この男はそれを言えたのだろう。
ショボンが三日月島で過ごした100年間、
魔導力に関する事項は
ビコーズの神託と、実生活における朧気な感覚のみが身体に教えてくれていた。
だが……それだけだ。
ツンも防御壁を張っていた。
ブーンも自身の傷を癒していた。
でもショボンにはそれがまだ出来ない。
これ以上のやり方が分からない。
。
.゜
(´・ω・`)(何かあるんじゃないか?
"魔導力" にはもっと重要な性質が)
-
試しに放出する魔導力の感覚を変えてみる。
…しかし、何も変化の起きないままに
ブーンを貪る蟻達がただ剥がれていくだけだ。
黒い雲がぶわりと一斉に浮力を得てしまう。
慌てて鞘から剣を抜き放つも
水中では思うように動けず、刃は虚しく水を切る。
霧散する蟻は散り散りに…やがて取り返しのつかないほどその範囲は拡がってしまった。
。
.゜
(;´・ω・`)(くそっ…!)
背中から首筋まで、海水より冷たい手のひらに
ショボンの心ごと鷲掴みにされる気がした。
この蟻達はこのまま海の中をさ迷うのだろう。
棲息域にある生物がその生命を喰い荒らされる未来図が、否が応にも脳裏を支配する。
ーー 弱肉強食。
長年培われた食物連鎖に異変が起きる。
ともすれば島の住人のように、
関わった生き物が蟻の尖兵として再びショボンの前に現れるかもしれない。
-
……揺らめく視界から蟻が消えた後。
ショボンは気持ちを切り替えブーンを担いだ。
全身に細かな傷は見られるが、致命傷はなさそうに思える。
彼の肉体は、蟻の牙を殆ど通していない。
ならば気を失っているのは
体力的な問題ではなく、精神的な何か……
万が一、彼が蟻に感染したとなれば大問題だ。
。
.゜( ω )
(´・ω・`) (…どっちがいいかな)
ショボンのなかで一巡した思考は
ブーンを素直に引き揚げることとなった。
暴走を恐れて今ここでひと殺すよりも、
復活を望んでアサウルスを早めに撃破する。
親元のアサウルスが死ねば
先ほど逃した蟻群も
その姿を維持できなくなる可能性に賭けた。
。
.゜( ω )
( ´・ω・`) (頼むよ、ブーン)
ブーンの探索にそれほど時間は掛けていない。
早めに戻ればツンも無事である可能性が高まるのだ。
若き不死者は酸素を求め、
海面に射し込む光のもとへと戻りながらも
その眩しさに瞳を閉じた。
-
『なあショボン?』
『なに? 兄者さん』
( ´_ゝ`)『お前、海の中をもっと見てみたいか?』
(´・ω・`) 『…まあ、興味はあるけど』
(´<_` )『生身じゃ限界がある…、が。
なんなら船に屋根をつけて囲ってしまえば潜水できるんじゃないかと思ってな』
(´・ω・`) 『そうなの?』
(´<_` )『酸素の供給や船体バランス、
エンジンの問題もあるだろうが、理論的には可能だと思うぞ』
( ´_ゝ`)『夢が広がるな……
うはww超重量潜水艦アニジャwwwwww 』
(´・ω・`) 『島の皆が乗れるくらいでっかいのねwwwwスピードシップ緒本wwww』
(´<_`;)『お前らそんなんだったか…?
無理いうな。 第一、それを造るのは誰だよ』
アナタ!
( ´・ω・)σ ワーイ ムーリー
( ´_ゝ`)σ ∩(´<_`∩)
キミダッ! ムリムリムリー
-
( ω )
ii(´>ω・`)ii 「ーー ぶはっ」
海面に上がると、ありったけの酸素と
肺の中にどっぷりと溜め込んでいた二酸化炭素をコンバートする。
口を開けて何度も何度も息を吸い込んだ。
身体の中を流動する血液がグングンと活性化され、体内からエネルギー通貨を支払い終えると彼の身体に軽さが戻ってくるようだ。
巣潜りして遊んだ幼い頃よりも
長く潜れたのは身体の成長か、
不死ゆえにかはもう分からない。
「…惜しかったな…」
解体した潜水艦を尊び、一度だけ欠伸を許す。
( ゚д゚ ) 「ショボーン! そこかぁ!」
振り向けばそう離れていない海の上…
真剣な顔をして小舟を走らせるミルナの姿。
( ω )
(ι ´;ω・`) 「ミルナ……君は…」
( ゚д゚ ) 「ブーンはこっちに乗せて、お前はツンの所へ行ってくれ」
( ω )
(ι うω・`) 「……君も無茶するなあ」
-
横付けた小舟にブーンを乗せると、ミルナの嘔吐く声が聴こえた。
後から乗り上げたショボンが見たものは
背骨を挟むように2つの大穴で肉を抉られていた不死者の大きな背中。
ーー 常人であれば十二分に致命傷だ。
(;´・ω・`) 「これは酷い」
( ; ’ ω^)「……お」
(; ゚д゚ ) 「だ、大丈夫か? 動かない方が」
(;’ ω^)
つ◎ 「ぐ……助かったお」
目を覚ました途端に大汗をかきながらも
震える手で【ヒール】を詠唱。
弱々しい光がブーンを包む。
(;‘ ω^)
つ◎ 「ツンは…どこだお?」
(´・ω・`) 「陣形を変わってもらった。
僕が君を助けたのは移動を開始したアサウルスの足止めついでだよ」
-
一瞬だけ ーー 苦虫を噛み潰したような顔で
ブーンは目を伏せた。
それはショボンの言葉に、ではない。
(;^ω^)
つ◎ 「…急いで戻るお。
触覚に刺された時、急激な眠気に襲われた…
あれに不意をつかれたらツンも ーー」
(; ゚д゚ ) 「眠りって、【スリプル】とかいう魔法をあの怪物も使うのか?」
(´・ω・`) 「魔法については僕も分からない…
けど、嫌でも気付かされたよ。
アサウルスは単なる蟻の怪物じゃないって」
(;^ω^)
つ◎ 「ビコーズがこの日のために僕らを呼んだのも頷けるお」
(´・ω・` ) 「……」
当の御神体…そういえば姿が見当たらない。
( ^ω^)「それでも僕たちは出来ることをやるだけだお」
-
両腕を粉砕されたアサウルスが取った行動は
[無防備]。
少し考えれば罠だと分かるはずが、あの時は
なぜ二人とも隙をみせてしまったのか。
まるで思考や感情が "留められず先走った" かのように。
(´・ω・`) 「行こう。 今度こそヘマはしない」
( ^ω^)「だお!」
言うが早いか ーー
頭上に陣取るアサウルス目掛けて
不安定な船を足掛かりに二人の不死者が姿を消す。
彼らの跳んだ反動で船体は大袈裟に沈み、
辺りを波立たせた。
:(( ゚д゚ ): 「……三人とも無事でいてくれよ」
戦いに参加しないミルナも、
顔をあげると自分が今どこに居るのかを思いだして島へと戻る。
小さな舟を真逆に漕ぎだし、急いでアサウルスの元から離れる。
(( ( ゚д゚ ) 「………」
-
ここまで来るのも大きな勇気がいった。
もう充分だと思った。
同時に胸に去来するのは
ショボンに置いていかれた寂しさと、
とてもついていけないであろう不死者とアサウルスの戦闘に腰の引けた自身の不甲斐なさ。
この舟も、恐ろしい形相で蟻と化した人々が
乗っていたものをなんとか心を奮い立たせ、
押して海に漕ぎ出したのだ。
ショボンやブーンの身を案じながらも
同時に船底にも誰か張り付いていやしないかと想像したりもした。
これ以上は心がもちそうにない。
今日だけで一生分の感情を揺さぶられた気がする。
・・・・・・・
ーー 不自然なほどに。
(( ( ゚д゚ ) 「……俺はもう」
充分だ。 何度もそう思ってる。
ショボンやブーンやツンの三人を
信用する、しないの問題ではなかった。
「でぃを連れて…この島から離れよう」
人の言葉は口にして始めて完成する。
決意も、事実も、史実も、
……その心も。
-
(;^ω^)「ツン!」
ξ;;-⊿-)ξ「……」
前線に復帰したブーンの目に飛び込んできたのは、肩を落とし、へたりこむツン。
周囲の触手は根元から焼け枯れたものと
いまだ健在のものがある。
…だが、いずれもその動きは停滞。
代わりに蟻の大群がその尖端から続々と姿を現し始めていた。
(´・ω・` ) 「……」
ξ;;゚⊿-)ξ「二人とも…戻れたのね。 良かった」
三( ^ω^)「どうなってるお?!」
ξ;;゚⊿゚)ξ「こっちに来ちゃダメよ、ブーン!」
(;^ω^)):「おっ」
駆け寄るブーンを制止。
ツンの言葉は続く。
-
ξ;;゚⊿゚)ξ「アサウルスに魔法を返されたわ。
【リフレクト】とでも言うのか…とにかく、
私が使った【フレアラー】もそのままね」
ξ;;゚⊿゚)ξ「いま動きがないのは【スリプル】を放ったから。
でも…きっとそれももうすぐに返される」
瞬間、ショボンの頭に
浮かんだのはミルナの言葉。
ξ;;゚⊿゚)ξ「アサウルスは魔導力を吸っているのよ、蟻から、触手から…。
喰い喰われたものは養分として、アサウルスが使えるようになる」
ーー ミルナが【スリプル】を
知っているタイミング
ξ;;゚⊿゚)ξ「私自身ももう魔導力が吸いきられて動けそうにない。
だから今のうちに……アサウルスを倒して」
( ^ω^)「残るはあの太陽と触角かお」
ーー ブーンが触角から受けた
眠りのダメージ
(#^ω^)「把握したお、今すぐに ーー
ーー それ以外に与えた魔導力が
まだ残ってるのではないか…?
-
(#^ω^ ̄  ̄ あれを叩き壊す!」
ツンを傷付けられて怒ったブーンの姿が消え
 ̄  ̄´・ω・`)
今度は先走る感情に "感染" していない
ショボンの姿が消えたのはまったくの同時。
-
太陽に飛び込む二人を迎え撃つ二本の触角。
以`θ益θ以 《 ーーギギィ》
アサウルスの口角が釣り上がった気がした。
その尖端に込められた魔導力は、
(#^ω^)「!!」 (´・ω・`) 彡
【破壊】と【切断】
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「だが次は僕の読み勝ちだ、アサウルス」
(´・ω・`)つ←── 「あの日、僕を
彡つ 殺せなかった失態を悔やむんだね」
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