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【場】『 大通り ―星見街道― 』

1 『星見町案内板』 :2016/01/25(月) 00:00:31
星見駅を南北に貫く大街道。
北部街道沿いにはデパートやショッピングセンターが立ち並び、
横道に伸びる『商店街』には昔ながらの温かみを感じられる。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
───────┘└─────┐            .: : : :.》.: :.:   ││
                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
                                └────┐││┌──┘
                                          └┘└┘
★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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643 日沼 流月『サグ・パッション』 :2019/02/24(日) 01:42:45

         ザッザッ

「もしもし〜ッ、え、今ですか?
 今星見街道の〜、あの、お店多い通りですケド」

      「え」 「ウソっ」

「あ、びっくりしたぁ〜〜〜ッ
  今日かと思いましたですってェ〜〜〜」

名前通りファンシーな品を扱う店から、
スマホ片手に通話しつつ……前を見ず、
金とも銀とも言えない髪の少女が出て来た。

肩に掛けた買い物袋はそれなりに大きなもので、
近くを通る人がいればぶつかるかもしれないし、
あるいは単に『同好の士』の目に入るかもしれない。

「え? 今日じゃダメかって、ダメですよ〜。
 流月(ルナ) 今日は買い物日和なんです。
 今日逃すと買えないものがありましてェ〜っ」

ともかく日沼は今不注意だ。何が起きてもおかしくない。

644 日沼 流月『サグ・パッション』 :2019/02/27(水) 01:14:08
>>643(撤退)
運よく何事も無かったので、そのまま立ち去った。

645 三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』 :2019/03/01(金) 02:07:46

こんにちは、千草です。
今日は一人で喫茶店に来ています。
以前は小角さんにお会いしましたが、今は一人です。

「ふう――」

テーブルの上にはノートが広げられています。
生徒会会議の議事録です。
それを見やすくまとめる作業中なのです。

「すみません。注文をしたいのですが」

ボールペンを置いて、ウエイトレスさんを呼びました。
少し疲れたので、一休みです。
ところで店内は満席のようなので、誰かと相席になるかもしれません。

646 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/01(金) 21:43:14
>>645

チリーン

『申し訳ありませんお客様。ただいま満席となっておりまして、相席となりますが…』

「えっ」ビクッ

チラッ

「ああ、大丈夫です」

『ありがとうございます。それではこちらへどうぞ』



「こんにちは、三枝さん」「お邪魔させてもらってもいいか?」

長身の学生服、ザックリと斜めに切られた前髪が特徴的な青年が、笑顔で声をかけてきた。
トレードマークのような、背負った竹刀袋も以前と一緒だ。

647 三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』 :2019/03/01(金) 22:58:37
>>646

「あっ、鉄先輩――」

      パァッ

「こんにちは」

      ペコリ

「どうぞ、またお会いできて嬉しいです」

知っている顔を見かけて、自然と表情が綻びました。
それから、背中の竹刀袋に視線を向けます。
先輩は、やっぱり剣道部の帰りでしょうか。

「そういえば――」

「鉄先輩は高等部二年の日沼流月先輩を知っていますか?」

少し前のことを思い出しました。
一緒にお話してくれた先輩です。
確か、鉄先輩と同学年だったと思います。

648 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/01(金) 23:09:54
>>647

「ありがとう」ペコリ

幼くも礼儀正しい三枝さんに合わせて、こちらも礼をして椅子に座る。
竹刀袋は邪魔にならないように、椅子の背もたれに引っ掛けておいた。

「・・・日沼さん?」「一応知ってる、かな」「話したことはないけれど」

ただその名字は聞いたことがあるし、恐らく遠巻きながら姿も見たことがあるはずだ。
なかなか派手な髪色をしていて、いわゆる『不良』的なグループの1人らしい、と耳にした。
そのグループに関して根も葉もない噂はいくつかあるが、そこまでは言わなくていいだろう。

「三枝さんこそ、どうして日沼さんを知っているんだ?」

『メニュー』を開きながら、訊ねる。
三枝さんとは学年も違うが、何よりあまりに『タイプ』が違う。接点はないように思えてしまう。

649 三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』 :2019/03/01(金) 23:32:16
>>648

「そうですか――」

「日沼先輩にも、同じような事を言われました」

やっぱり、なかなか深い親交というのは見当たらないようです。
生徒数の多い学校だからでしょうか。
でも、それは構いません。

「『超能力』です」

鉄先輩の質問に、真面目な顔つきで返しました。
そして、すぐに口元を緩めます。
本当は違うからです。

「――――だったらビックリしますか?」

          クスクス

「『冗談』です」

普段よりも子供っぽい笑顔で、そう言いました。
目指す『立派な人』になるためには、ユーモアも理解していないといけません。
『本当の本当』は、少しだけ『本当』ですけど。

「この前、学校で少しお話したからです」

「鉄先輩のことを話したら、千草が感謝していることを伝えてくれると言ってくれました」

「日沼先輩は親しみやすくて、良い先輩だと思いました」

650 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/01(金) 23:52:19
>>649

>「日沼先輩にも、同じような事を言われました」

「…だろうなぁ」

その言葉に深く頷く。
今泉さんのように顔が広い子ならともかく、ましてや自分はさほど知り合いは多くない。
同じ学年といえど、同じ部活や同じクラス、あるいはそうだった過去があるか、
または友人の友人という繋がりでもない限り、なかなか知り合いになることはない。
それこそ、自分にとっての鳥舟さんや平石さんのように。

>「『超能力』です」

「─────」

『スタンド使い』という共通点がなければ。
そう思っていた矢先に投げかけられた言葉に、『メニュー』を読んでいた手が止まり、
バッと三枝さんを見上げる。だが、その真意を問おうとするよりも早く。

>「――――だったらビックリしますか?」

>          クスクス

>「『冗談』です」

「・・・いや、中々『冗談』が上手いな、三枝さんは」

応じるように、こちらも口角を上げる。
子供は時々、驚くほど本質を見抜くことがあるという。一瞬だけ、その笑みも、全てを知った上での事のように思えてしまった。
が、流石にそれは妄想に過ぎないだろう。ただ最近自分の知り合いに『スタンド使い』が多かったので、過敏になっているだけだ。

「…そうか」「日沼さんはいい人なんだな」「今度、オレからも話しかけてみるよ」

正直、三枝さんの言葉はあまりに意外だったが、確かに自分とて日沼さんと直接話したことがあるわけではない。
ならば、実際に言葉を交わしたこの少女の言葉を信じるべきだ。それに、いい人ならそれに越したことはない。

「オレは『黒蜜ときなこのプリン』にしようかな」「三枝さんは?」

651 三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』 :2019/03/02(土) 00:12:45
>>650

「はい――」

そう答える表情は、心なしか少し誇らしげに見えました。
何だか、自分が二人の先輩の架け橋になれたように感じたからです。
少しだけ――ほんの少しだけ、『立派な人』に近付けた気がして嬉しく思いました。

「千草は『フルーツあんみつ』にします」

言いながら、メニューの一点を指差します。
あんみつは好きなのですが、今日はフルーツあんみつの気分です。
それから、出しっぱなしになっていたノートを脇に片付けましょう。

「鉄先輩は部活動の帰りですか?」

「ご苦労様です」

       ペコリ

鉄先輩は立派な人です。
それを少しでも見習っていきたいです。
千草は、まだまだ未熟者ですから。

652 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/02(土) 00:27:09
>>651

「お、いいセンスだ」
「すみません、注文をお願いします」

いいセンスと言ったのは、実際自分も『あんみつ』にするか迷ったからなのだが。
とにかく、運良く男性のウェイターが通りがかったので、2人分の品を注文する。
そのままメニューも持っていってもらった。

「そうだよ。もう少しで『大会』もあるから、頑張らなきゃな」
「三枝さんは?ここでテスト勉強とか?」

カバンからファイルを取り出しながら、こちらからも訊ねる。

653 三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』 :2019/03/02(土) 00:50:23
>>652

「剣道の大会――ですか」

テレビか何かで見かけたような覚えはあります。
でも、実際に見たことはありませんし、詳しい内容までは分かりません。
ただ、きっと凄いものなんだろうという想像くらいは千草にもできます。

「千草には何もできませんが」

「でも、鉄先輩のことを応援しています」

「先輩も千草のことを応援してくれましたから」

        ニコリ

以前に神社の近くで出会った時のことを思い出しました。
その時、鉄先輩は千草が立候補したら応援してくれると言ってくれました。
だから、千草も先輩を応援したいのです。

「生徒会会議の『議事録』の整理です」

「書記として、正式に生徒会に加わることになったので」

       ペコリ

「鉄先輩が応援して下さったおかげです」

でも、まだまだです。
千草は、もっともっと成長したいのです。
そのためには常に上を、常に先を見つめなければいけません。

654 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/02(土) 01:07:42
>>653

>「千草には何もできませんが」

>「でも、鉄先輩のことを応援しています」

>「先輩も千草のことを応援してくれましたから」

「・・・いや」「そう言ってくれる人がいる事が、オレにとっては何より力になる」
「ありがとう、三枝さん」ペコリ

両手に膝を置き、頭を下げて感謝を示す。
『団体戦』のレギュラーは、あと一歩のところで。…本当に、僅かな差で落としてしまったが。
『個人戦』のレギュラーは、まだ確定していない。ここからの挽回次第では、チャンスはある。
自分の心が抱える問題さえクリアできれば、だが。

しかし、その次に聞いた報告は、そんな憂いを吹き飛ばすように喜ばしいものだった。

「そうか、三枝さんは『生徒会』に入れたのか!」「おめでとう」「目標が1つ、叶ったな」

あの神社でこの少女が口にした望み。
それが叶ったかどうかはずっと気になっていたが、これはとても嬉しい事実だ。

「偉いなぁ、三枝さんは」「ここでも『お仕事』をしてたんだな」

素直に感動しながらも、自分もファイルからこの街の地図を取り出して、スマホを隣に並べた。
こちらもお仕事というほどではないが、私用を片付けておこう。

655 三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』 :2019/03/02(土) 01:35:24
>>654

「えへ……」

「――ありがとうございます」

     ペコリ

今日一番の嬉しそうな表情で、頭を下げました。
本当に嬉しかったからです。
生徒会に入れたことでも、それを祝ってもらえたからでもありません。
その二つも嬉しいことですが、
それよりもお互いに応援しあえる関係を築けていることが嬉しいのです。
それは、得た結果よりも尊いものだと千草は思っています。

「他に『雑用』も幾つかやらせてもらっています」

「いつか『生徒会長』になるのが、次の目標です」

「そのために、今は与えられた仕事を精一杯やっていきます」

一つ一つの言葉を噛み締めるように、実現させたい展望を語ります。
いつかは叶えたい目標です。
でも、そこで終わりではありません。
もし、そこに辿り着けたら、さらに先を目指したいのです。
千草の『最終目標』は、その向こう側にあるのですから。

「鉄先輩――どこかにお出かけの予定ですか?」

先輩が取り出した地図を眺めながら尋ねます。
この街ということは、それほど遠くではなさそうですが。
どこか地図に印などがしてあるのでしょうか?

656 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/02(土) 22:15:45
>>655

「『生徒会長』か…更に大きく出たな」

『生徒会』に入ることそれ自体も容易いことではないと思うが、
更に『生徒会長』となれば、尚更だ。学園の中で、生徒代表とも言える立場にあるからだ。
それに相応しい人望と能力が求められる。

「でも、きっと三枝さんなら大丈夫だ」「真面目で勤勉なキミなら」

そう言えるくらい、自分はこの少女に好感を覚えている。
重ね合わせるのは彼女に失礼かもしれないが、自分も器用に色々とこなすというより
地道に少しずつ努力を重ねていくタイプだ。だから三枝さんの成功も、我が事のように嬉しいのかもしれない。

「あぁ…出かけるわけじゃあないんだ」「ちょっと、この街の危ない所をマークしておきたくてな」


鉄が広げた地図の中には、幾つかの印がしてある。
緑色の丸は、『ホームセンター』『大型ディスカウントストア』『骨董品店』などに記されている。
また赤色の丸は、時刻の他に『通り魔』『暴行事件』など備考が記されていた。
スマホを見ながら、鉄は更に地図の上に赤色の丸を書き記していく。


「三枝さんも、気をつけて」「生徒会で遅くなった時は、2人以上で帰ったりとか」

「…お、来たな」

『お待たせいたしました』

注文の品が届き、店員が『フルーツあんみつ』と『黒蜜ときなこのプリン』をテーブルの上に置いた。

657 三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』 :2019/03/03(日) 00:09:29
>>656

千草は何よりも『死』を恐れています。
だから、それを連想させる言葉も怖いのです。
普段は、目に入れないように意識しているのですが――。

「 あ 」

      プイッ

赤丸に書かれた言葉を見て、一段階高い声を上げて反射的に顔を逸らしました。
『通り魔』や『暴行』――そういう単語を見ると千草は『死』を連想します。
だから、無意識に反応してしまったのです。

         スゥー……

こういう時は、まず深呼吸です。
どうにか気持ちが落ち着いてきました。
予想していなかったので、少し驚きましたが。

「――――はい、ありがとうございます」

     ニコリ

「鉄先輩も気を付けてください」

「でも、先輩なら大丈夫かもしれませんけど――――」

その時、ちょうど品物が運ばれてきました。
話すのを途中で止めて、あんみつを一口食べます。
鉄先輩が大丈夫だと思う理由は、もちろん『アレ』です。

「だって鉄先輩は、8年も『剣道』を続けてらっしゃるんですから」

竹刀袋の方に視線を向け、そう言いました。
だけど、不思議なことだと思います。
どうして先輩は、こんなに熱心なのでしょうか。

「……朝陽先輩のお加減はどうですか?」

神社から帰る途中で鉄先輩から聞いた話を思い出します。
朝陽先輩はピアノが上手で、今は腕を怪我しているとのことでした。
あの時も、つい千草は少し耳を塞いでしまいましたが……。

658 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/03(日) 00:35:20
>>657

「!」

「・・・すまない」「無神経だった」

地図を見て目を逸らす三枝さんに、深く頭を下げる。
家での作業を当事者の妹に見られる訳にはいかないと思ってここでやる予定だったが、
そもそも並んでいる字面だけで、女の子にとって気分の良いものではなかったのだろう。
こういった気遣いが欠けている己の無神経さを悔やみ、反省する。
地図を折り畳み、再びファイルへとしまった。
妹が寝静まった後や、あるいは学校の図書室など、他にできる場所はある。焦る必要はない。

「ありがとうございます」

店員へ礼を言い、プリンを自分の前へと置いた。
せっかく喜ばしい出来事があったのだ、気分を切り替えていこう。

「どうかな、こういう場合は『剣道』より『空手』や『柔道』の方が強そうだけど───」ハハハ
「まぁでも、そういう状況になったとしても負けるつもりはない」
「だから安心して、頼ってくれ」

『剣道』で勝てる相手ならそれでいい。そうでなかった時のために、手にした『シヴァルリー』だ。

「・・・・・ほとんど完治したよ」「以前のように動かすには、少しリハビリが必要だけどな」

「そういえば、あの時の三枝さんの『お願い』は叶ったのかい?」

妹、朝陽のことを話したあの帰り道を思い出して、訊ねる。
カラメルの代わりに黒糖が乗った、きなこ混じりのプリンを食べる。とても美味しい。

659 三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』 :2019/03/03(日) 01:04:57
>>658

「謝らないでください」

「鉄先輩は悪くありませんから」

先輩は何も悪いことはしていません。
悪いのは千草の方です。
でも、この習慣は多分なくせないと思います。

「分かりました、先輩」

「その時はお願いします」

『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』――千草の『墓堀人』は役に立ってくれるでしょうか。
何度か練習してみましたが、まだ分かりません。
そもそも、危ないことにならないのが一番だと思いますけど。

「――そうですか……」

「あの――朝陽先輩の演奏……いつか聴いてみたいです」

千草にできることは多くありません。
千草は未熟で弱い人間です。
できることは、ここにも朝陽先輩を待っている後輩がいることを伝えることくらいです。

「いえ、『まだ』です」

「まだまだ、ずっとずっと先のことですから」

あの時に祈ったのは、『素晴らしい最期を迎えること』でした。
それが訪れるのは、きっと何十年も先のことになるでしょう。
きっと、そうであって欲しいと思います。

「鉄先輩の『お願い』はどうですか?」

「――プリンもおいしそうですね……」

鉄先輩のお願い事は叶ったのでしょうか?
先輩のプリンをチラリと見ながら聞き返しました。
行儀が悪いですが、いわゆる隣の芝生は青いというやつです。

660 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/03(日) 01:51:51
>>659

>「あの――朝陽先輩の演奏……いつか聴いてみたいです」

「…ありがとう」「本人に…朝陽に伝えておくよ」

やはり優しい子だなぁ、と思いつつ。
多分に気遣いの含まれたその言葉を受け取った。
朝陽は、そういう言葉を力にできる人間だから。かけ値なしに喜ぶだろう。

>「いえ、『まだ』です」
>「まだまだ、ずっとずっと先のことですから」

「そうなのか…てっきり『書記』や『生徒会長』になることかと思っていたけど」
「三枝さんの『夢』は、それ以上に壮大ってことなんだな」

予想が外れたな、と小さく口にする。とはいえ願い事の内容を聞いたりはしないが。
例えば、素敵なお嫁さんとかだったりするかもしれない。あまり女の子のプライバシーに立ち入るべきではない、よく妹が口にしていた。

>「鉄先輩の『お願い』はどうですか?」

「うっ」「いや、オレもまだでね…オレの努力が足りてないんだろうからしょうがない」モグモグ

頭を書きながら、答える。結局仲直りはまだできていない。
何が悪かったのか、自分自身がそれを把握しないといけない。謝るには、誤りを知らなければ。

「今度、知り合いの人が勤めている『烏兎ヶ池神社』にでも行って、またお祈りしようかな」
「他の場所なら効くってわけじゃあないだろうけど」

「…ん?」

プリンを物欲しそうに見る三枝さんに、年相応の微笑ましいものを感じて。
思わず小さく吹き出してしまう。

「いいよ、少し食べてみな」

そう言って、『黒蜜ときなこのプリン』を彼女の方へと差し出す。

661 三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』 :2019/03/03(日) 03:31:51
>>660

「壮大だなんて、そんな――」

苦しむことなく安らかに旅立ち、看取ってくれる人の心にも良い影響だけを残すこと。
それが千草の『夢』で、『人生の目標』です。
何か大きなことを成し遂げようというお願いではありません。
ただ、それでも叶えるのは難しいと思います。
生徒会に入ったり生徒会長を目指すのは、その一歩です。

「千草の夢は、ほんのささやかなものですから」

本音を言うと、『死にたくない』という思いがあります。
でも、それが無理なことくらい未熟者の千草にも分かります。
だから、せめて『素敵な最期』を迎えたいと思うのです。

「『烏兎ヶ池神社』――初めて聞きました」

「それは、この街にあるんですか?」

「千草も一度行ってみたいです」

神頼みだけで夢が叶えられるとは思っていません。
だけど、自分の気持ちを新たにすることはできると思います。
それに、少なくとも損をすることはないですから。

「鉄先輩、今笑いましたね?」

「千草のことを子供だと思いましたか?」

少しだけすねたような表情をしてみせます。
でも、プリンを差し出されると、そちらに視線が向きました。
自然と、少しずつ口元が緩んできます。

「……ありがとうございます」

         ニコ

「でも、いただくだけじゃ不公平です」

「お返しに、鉄先輩も千草の分を食べていいですよ」

「――『パイナップル以外』ですけど……」

控えめに付け加えながら、フルーツあんみつを先輩の方に差し出します。
それから、先輩が分けてくれたプリンを一さじすくって口に運びました。
初めて食べましたが、優しい甘さがとてもおいしく感じられます。

「これもおいしいですね」

「先輩は、こういうお菓子がお好きなんですか?」

662 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/03(日) 21:53:49
>>661

「ここにあるらしいぞ」
「友人の友人が言っていたんだけど、『パワースポット』とかなんとか」

今度は紙の地図ではなく、スマホの『地図アプリ』で指し示す。
【ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1549033452/1】
とはいっても、場所と少しの情報だけで、自分も詳しくは知らない。
烏と兎に池、その変わった名前にも何らかの由来があるのだろうか。

「あぁ、いや別に、そんなわけじゃあ…」
「…すまん。ちょっと思った」「いや、年相応に可愛らしくていいんじゃあないか?」
「朝陽も以前はもっと可愛げがあったんだけどなぁ…」

ちょっぴりふてくされた様子を見せる三枝さんに慌てて首を振るが、
どうせウソをついてもバレると思い、観念して両手を挙げ正直に言う。
妹も、これくらいの時は…いや、もう少し以前、小学生くらいの時は、よく懐いてくれたものだ。
何にせよ、差し出したプリンに彼女が頬を緩めるのを見て、安心する。

「え、オレも頂いていいのか?」
「実はちょっと気になってたんだ、『フルーツあんみつ』」「ありがとう」

感謝の言葉を述べながら、餡と白玉をスプーンに乗せ、口に運ぶ。
和菓子ならではの、ほんのりとした甘さが口の中に広がった。

「…あぁ、美味しいな」「よし、今度来た時はこちらを頼もう」

>「先輩は、こういうお菓子がお好きなんですか?」

「そうだな、どちらかというと洋菓子より和菓子系統が好きだ」
「生クリームやバターたっぷり、とかはあまり得意じゃなくて…」
「でも『バターどら焼き』は以前食べてみたけど、アレは新しい美味しさだったな」
「『和スイーツ』?とか言うらしいが、ああいう菓子も新鮮で良かった」

自分は男子だが、甘いものは好きだ。

663 三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』 :2019/03/04(月) 00:08:48
>>662

「『バターどら焼き』ですか――それもおいしそうです」

「違うもの同士が合わさると、今までとは違う素敵なものができることがあるんですね」

「時には、それが失敗することもあると思いますけど」

「でも、千草と先輩は『バターどら焼き』になれそうな気がします」

「――ね、鉄先輩」

          ニコリ

「先輩、連絡先を交換しませんか?」

「鉄先輩とは、またお話してみたいです」

「先輩が嫌じゃなければ、ですけど……」

手帳型のケースに入ったスマートフォンを取り出します。
先輩は『立派な人』ですから、この繋がりは大事にしたいのです。
そういう関わりは、千草が成長する上でも大切だと思っています。

「もし何かあった時は、先輩を頼りにさせていただきます」

「その代わり――先輩も千草のことを頼ってもいいですよ?」

「『一方通行』じゃ不公平ですから」

千草には大したことはできないでしょう。
でも、もしかすると何かの役に立てるかもしれません。
千草の目指す『立派な人』になるためには、それも必要なことです。

「何だか、たくさんお喋りしちゃいましたね」

「それで、あの――早速なんですが……」

「先輩に一つお願いしてもいいですか?」

664 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/04(月) 00:38:14
>>663

「詩的だな」ハハッ
「でも確かに、それには同意する」「年は5コも下だけど、オレはキミを『尊敬』してるからな」

三枝さんの言葉に頷き、自分もスマホを取り出す。市松模様の、ハードケースだ。
好感を覚えている彼女に対して、連絡先の交換を拒む理由などなく。
むしろ、『通り魔』のような人間がいるかもしれないこの街で。
いざという時に、連絡はすぐに取れた方がいい。

「もちろん、こちらこそよろしく」
「ああ、その時は頼りにさせてもらうよ」「何せ、未来の『生徒会長』だからな」

もちろん冗談だ。
彼女が『生徒会長』になったとしても、例えば別に剣道部に対してどうこうしてもらうつもりはない。
この子の直向きさ、勤勉さは、きっと自分の心の支えになる。そういう頼り方もあるだろう。

>「それで、あの――早速なんですが……」

>「先輩に一つお願いしてもいいですか?」

「ん、なんだ?」「忌憚なく言ってくれ」

665 三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』 :2019/03/04(月) 01:08:37
>>664

「――ありがとうございます」

       ペコリ

「千草も鉄先輩を尊敬しています」

「だから、これからも先輩のことを見習わせていただきます」

連絡先の交換を終えて、スマートフォンをしまいます。
こういう出会いの積み重ねも、『夢』の実現に繋がると思います。
身の回りにある全てを、その一つにしていきたいです。

「えへ……」

「大げさですよ、先輩」

「でも――それを叶えるために、これからも頑張ります」

軽い否定を含んでいましたが、表情は嬉しそうでした。
期待に答えるのも『立派な人』の条件です。
冗談まじりであっても、今から期待されるのは喜ばしいことです。

「今日、一緒に帰ってくれませんか?」

「さっき、先輩も『二人以上で帰った方がいい』と言われていたので」

「これを食べて、残りの議事録を整理してからになりますけど……」

「後は見直しをするだけなので、そんなにかからないと思います」

「……お願いできますか?」

上目遣いで鉄先輩の顔を見つめます。
一緒に帰れたら、その分だけ先輩と長くお話ができます。
少しズルいですが、それがこのお願いの『本当の理由』です。

666 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/04(月) 01:44:37
>>665

「もちろんだ」

三枝さんの言葉に、笑顔で頷く。急いで家に帰る用事があるわけでもない。
もっともあったとしても、彼女の安全の方が優先だ。
もし、万が一。朝陽に続いて、この少女にまでも凶刃が振りかざされてしまったなら。
…そんな想像したくもないような事を防ぐためなら、何でもしよう。

「ゆっくり食べるといい」
「それと、今回の会計はオレに出させてもらっていいかな」
「祝『会計』就任ということで」

恐らく三枝さんは断ろうとするかもしれないが、この点に関しては甘んじて受け取ってもらおう。
自分は年頃の少女への贈り物などには全く疎い。こういった形でしか、祝いを形にできないのだから。

「…本当に、おめでとう」

微笑みながら、小さく、呟く。
自分が守りたいものは、確かにこれなんだという実感がある。
自分には朝陽や三枝さんのような大きな『夢』はないけれど。
そういった話を聞いて、そして努力している彼女たちが、理不尽なものに脅かされないように。
そういったものへと『立ち向かう』。それが自分の『士道』だ。


結局、この日も無事に三枝さんを家へと送り届けて、幸い『通り魔』は現れなかった。
代わりに幾つかの楽しい話をして、満たされた気持ちで己もまた、自宅へと帰った。

667 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/03/07(木) 03:00:05

                 ブロロロ・・・

バスから降りて、大通りを歩く。
アンティーク雑貨を買って、
本屋で欲しい新刊を買って、
ランチを食べて、それから。

(ああ、まいったなあ。やる事がたくさんあって、
 しかもそれが全部楽しい事なんて、たまんないなあ)

特別な日というわけでもないのだが、
浮かれてしまっているのは事実だろう。

そういう気分が、ポケットから落ちた『小銭入れ』に気づかせなかった。

668 高宮『リプレイサブル・パーツ』 :2019/03/07(木) 22:01:05
>>667

(前のミニライブは上手くいったな……)

(でも、ずっとああやって頼るのはな……)

(……今日は成功のお祝いなんだからもっと前を向かないと)

伸びた背筋のまま俯いて歩く女性がいる。
緩く結んだ黒髪。
それと同じように黒いカーディガンはセーラー服のようなシルエットをしていた。

(あ)

俯いているから、見えるものがある。

「落としたよ」

一旦拾わずに声をかける。
昔それで窃盗犯と間違えられたから。

669 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/03/07(木) 23:42:42
>>668

「あっ、え、ああっ小銭入れ!
 いつの間に落としてたのかな、いえ、
 ありがとうございます、助かりました」

           クルッ

「っと」

金色の瞳と、左右で長さを変えた黒髪。
振り向いた女は、そういう姿をしていた。

「すいませんね、ちょっと浮かれてたみたいで」

一瞬高宮の『手』を見たが、
拾った訳ではないと気付いて、
しゃがんで『鳩』柄の小銭入れを拾う。

「気付いてくれて、どうもありがとう。
 ソレがなかったらボク、大変な事になってたよ」

「えーっと。何かお礼とかした方がいいかな。
 あ、新手のナンパじゃあないからね?
 女同士だしさ……そうだ、缶ジュースとか飲む?」

特に他意はなく、自販機を軽く指さす。
口頭のお礼だけでも良かったが、今日はやはり浮かれていた。

670 高宮『リプレイサブル・パーツ』 :2019/03/07(木) 23:52:26
>>669

「別に、そんなつもりで声をかけたんじゃあないから」

目を逸らして言葉を返す。
浮かれた相手に比べて、少し沈んだところがある。

「それに君が自分で財布を拾ったからね」

自分は何もしていないと言外に含ませる。
それが相手に伝わるかはわからないけど。

671 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/03/08(金) 00:01:24
>>670

「そう、そっか、それならいいんだ。
 キミを誤解してしまってたみたいで、
 なんだか申し訳ないけど――」

        ニコ…

小銭入れをおとなしく、ポケットにしまう。
気持ちいつもより深めに入れておいた。

「ま、ありがたいのは事実だからさ。
 ジュースはともかく気持ちは受け取ってね」

笑みを浮かべて、立ち去ろうとして、
また振り返る前に高宮の表情に気づく。

「……深入りはしないけど、
 なんか嫌な事でもあったの?
 ごめんね、こういうの気になる方なんだ」

鬱陶しがられるかもしれないが、
顔のイイ人間が暗い顔をしているのは、
なんだか、もったいないことのような気がするから。

672 高宮『リプレイサブル・パーツ』 :2019/03/08(金) 00:34:20
>>671

「……」

俯き気味に小さくうなづいた。
おずおずと、様子を見るように。

「気持ちくらいなら……荷物にはならないから」

重さの無い気持ちなら自分でも持てる。
そうでないものは気が重くなってしまうから。

「嫌なこと、か……」

(そんなにぼくが嫌なことまみれに見えるのか……? くそう……)

「この顔は生まれつきなんだ……」

「いや、気にかけてもらって申し訳ないね」

「あぁでも悩みといえばあるにはあるけど」

673 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/03/08(金) 00:58:47
>>672

「なら、よかったよ」

       「……?」

頷く高宮に笑みを魅せながら、
内心の憤慨には気付かない。

「ああ、そうだったんだねえ、
 ごめんね、誤解が多くってさ」

「ま、深入りはしないって言ったから」

         スッ

「話し辛い悩みなら聞かないけどさ」

足を一歩引いた。
流石に対話を求められていないと察したし、
地雷原でタップダンスをする気もなかった。

「ボクにあずけて軽くなる荷物なら、
 あずけてみてくれてもかまわないよ」

  「投げつけるのは、やめてほしいけどね」

674 高宮『リプレイサブル・パーツ』 :2019/03/08(金) 01:28:04
>>673

「……今日の楽しみ方がわからないんだ」

そう言った。
高宮は今日の楽しみ方がわからない。

「つい最近いいことがあってね」

「そのお祝いじゃないけど、今日はいい日にしようと思ったんだけど」

どう一日を楽しめばいいのかわからない。

「君は今日何をしてたのかな。言いたくないのなら、いいんだけど」

「その様子だと多分、楽しい一日を謳歌してたんじゃないかな」

675 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/03/08(金) 02:14:00
>>674

「楽しみ方、楽しみ方かあ。ボクは方法は考えたことないけど」

「今日は雑貨を買ったり本を買ったり、
 ランチでサラダバーを食べたりしたねえ」

       「でも」

「ボクは今からまだまだ謳歌するところなんだ。
 わざわざバスで着たのにお昼過ぎじゃ終われない。
 もっと、やりたい放題してから帰りたいんだよ」

視線の先は、東の方角。
ここから東に行けば――――川に突き当たる。

それから、視線は高宮をいったん経由して、
この町で一番高い、ここからでも見える塔へ。

「だから今から、スカイモールの劇場に劇を見に行くんだ」

「一緒にどうだい? 楽しみ方が分からないならボクに預けてみなよ。
 予約チケットは一枚しかないけどさ、どうせガラガラだから、
 さすがに、お代までは出してあげられはしないけどさあ」

          クルッ

     「楽しくなくってもボクのせいに出来るし、
      それに、ボクはいつも一人で見るんだけどねえ、
      たまには他人と感想を言い合ったりしたいんだよね」

676 高宮『リプレイサブル・パーツ』 :2019/03/08(金) 22:30:00
>>675

「さ、サラダバー……?」

(健康志向なのかな……いや、まぁ、最近野菜高いしな……)

少しだけ予想外の答えだった。
寿司や酒を嗜むのとは少し趣が違う。

「劇か」

あまり悩まなかった。
その先のことは。

「行こう」

「こう見えても無駄なものを集めるのが得意でね」

「財布の中はそういうので詰まってるんだ」

少し厚い長財布が上着のポケットからのぞいていた。

「一緒に楽しませてもらおうかな」

677 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/03/08(金) 22:42:57
>>676

「野菜をね、たくさん食べるとさあ。
 いい気分になるんだ。
 ボクは肉とか魚も全然食べるし、
 今日がそう言う気分なだけなんだけど」

「たまにない? 野菜を食べたい日」

この店なんだけどね、と、
スマホの画面を見せる。
自然派レストランとのことだった。結構高い。

         ニコ

「よし、決まりだ。
 きみ、車で来てるなら載せてってくれない?
 歩きで来たなら、バスの時間は15分後だね」

「どっちにしても……今日は、想像以上に楽しくなりそうだ!」

笑みを浮かべたまま、いずれにせよ、歩きはじめるのだった。

なお、劇は鳥舟がファンをしている男優が出るらしく、その事をしきりに語られた。

678 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/26(火) 22:49:20
人通りの多い交差点。そこの近くにある、待ち合わせによく使われるスポット。
その壁によりかかりながら、鋭い目線で行き交う人々を眺めている青年がいた。
白のインナーに黒いライダース、デニムという格好で、腰には小さめのポーチを付けている。

「・・・・・・・・・・」

近くにベンチが空いているが、そこに座るつもりはないようだ。
何かを、あるいは誰かを探すように、切れ長の瞳を動かしている。

679 音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』 :2019/03/26(火) 23:50:31
>>678

     カツカツカツカツ・・・

気取ったスーツを着た『ケツアゴ』の男が、
『鉄』の眼前を通り過ぎ、『ベンチ』へ腰掛けようとする。


       スゥゥ...

                     スクッ


   「――――ああ、ひょっとしたら、
    この『ベンチ』で待ち合わせてるのかね?」

半ば中腰の姿勢にまで至ったところで、
『鉄』が視線を巡らせているのに気が付き、腰を上げる。

   「別に、この『ベンチ』は座ってしまって、構わんのだろう?
    私もちょうど、ここで待ち合わせをしていてね。

    少々長くなりそうなんだ。――――いいだろうか?」

『待ち人』を探す『鉄』の視線を遮らぬよう、
彼の脇に立ったまま、話しかける。

680 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/26(火) 23:59:30
>>679

「ああ、いえ。お気になさらず」

声をかけられ、青年は男性の方を見て首を振った。
幾分か、その鋭い視線が和らいだ様に見える。

「オレはあなたと違って、特定の人を待っているわけではないんです」
「ですので、そのベンチは『待ち人』を待つあなたのような方が使うべきだと思います」
「どうぞ」

許可を求めるピエールの言葉に頷き、ベンチへ座ってもらうように手で示す。

681 音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』 :2019/03/27(水) 00:10:20
>>680

   「どれ、それじゃあ遠慮なく」

座面に付いたゴミや埃を、パッパと手で払ってから、
その頑強な肉体を折り畳むように、ベンチへと腰掛ける。

   「ところで、『特定』の人を待ってないとは、
    随分と妙な話に聴こえるな。

    見たところ、まだ若そうだから、
    『交通量』の調査ってわけでもあるまい」

訝しむように問い詰める声色でもなく、
唯々、不思議そうに問い掛ける。

   「ちょうどここに、空いてる目玉が『2つ』あるのだが、
    ここは一つ、君の『待ち人』を一緒に探してみようじゃあないか」

暇に空いてか、要らぬおせっかいを焼き始める。

682 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/27(水) 00:20:17
>>681

「ああ、いえ…」

自分で口にして思う。特定の誰かを待っているわけではないとは、妙な話だ。
例えばナンパです、なんてうまく嘘でもつければよかったのだが。
自分はそういうのは得意ではない。だが、かといってこの人の善意を無下にするのも心苦しい。

「・・・・・・・・・・」

10秒にも満たぬ沈黙を間に置いて、結局口を開く。

「怪しい人間を探している、なんて言ったら」
「いや、そんな事を言い出す人間が一番怪しいだろ、と思われるかもしれませんが」

683 音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』 :2019/03/27(水) 00:29:48
>>682
「そうだな。……君が一番怪しいぞ」

重たげな沈黙に応えるかのように、
真面目くさった語調で言葉を返し、


     フフッ

          「フフッ、クッ、」

          「ああ、いや、冗談だよ。失敬、失敬」

含み笑いを浮かべては、傍に立つ少年を見上げた。

「疚しいことを隠せるような人間なら、
 もっと平然として、常人の振りが出来るさ」

「まあ、怪しい人間を探してることと、
 君がそんなに、悪そうに見えないのは解ったよ。

 ――――で、怪しい人間ってのは、どんなのだい?
 ほっかむり被って、唐草模様の風呂敷包みでも担いでいれば、
 私も出ることに出て突き出せるような人間だと解るのだがねェ……」

そう、簡単なものではないだろう、と前置きを入れて、問い掛ける。

684 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/27(水) 00:43:13
>>683

>「そうだな。……君が一番怪しいぞ」

「・・・道理です」

いきなりこんな事を言い出すなど、何を企んでいるのか分かったものではないだろう。
だからそう言われても仕方ない。目を瞑り、自省する。
今日は諦めて、帰るべきかと考えたところで。

>          「フフッ、クッ、」

>          「ああ、いや、冗談だよ。失敬、失敬」

>「疚しいことを隠せるような人間なら、
> もっと平然として、常人の振りが出来るさ」

>「まあ、怪しい人間を探してることと、
> 君がそんなに、悪そうに見えないのは解ったよ。

「・・・・・」「ありがとう、ございます」

彼の言葉に、微笑みながら深く頭を下げる。
この男性が自分のことを悪い人間だと思わなかったように、自分もまた、彼が良い人間であるように思えた。
しかしその次の問いを訊ねられては、表情を曇らせてしまう。

「…いえ、容姿に関しては何も分かっていません」「男性が女性か、若者か老人か、日本人かそうでないのかさえ」
「ただ、恐らく何らかの『凶器』…それも『刃物』を扱っている可能性はあります」

「…それだけです。現れない可能性の方が、かなり多いと思います」

それでも、自分は人の流れを見続ける。可能性は低いが、ゼロではないのだから。

685 音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』 :2019/03/27(水) 01:04:22
>>684
「刃物、か。

 少なくとも、『持ち歩く』にしても、
 目立つような装いにはしないだろうな……」

『凶器』、とは人を傷つける『道具』に用いる言葉だ。
増してや『刃物』、神妙な面持ちになって、『鉄』の言葉を聞く。

「まるで、……そうだな。

 『邪推』をするようだが、
 君は『待ち人』が来ると思っているのかね」

                   ラウンド・アバウト
老若男女、さまざまな人種が 『 交 差 点 』 を過ぎ去っていく。
目の前を横切っては、背後へと抜け、何百人もの人影が現れては消える。

その光景を目の当たりにしながら、『ピエール』はすっと立ち上がった。

    「『待ち人』が来ないという『結果』を得て、
     
              安心するために見張ってはないか?」


       ズ ア ッ!


『鉄』に近づき、肩を叩く。
その刹那、両刃剣の『ジュリエット』を発現し、
分厚い『刀身』を、少年の肩口にそっと押し当てる。

686 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/27(水) 01:16:12
>>685

>    「『待ち人』が来ないという『結果』を得て、
>     
>              安心するために見張ってはないか?」

「…『通り魔』などいないのであれば、それに越したことは───」

ないだろうが、事実として傷付けられた人間がいる以上、そうでない可能性は限りなく低いだろう。
それはここで『通り魔』が見つかる可能性より、もっと有り得ないものだ。
そう説明しようとした言葉が、全て頭の中から消え去った。
肩口へと押し当てられた、『スタンド』の刃によって。

「『シヴァルリー』ッ!!」

名を叫びながら、己のスタンドを彼が剣を持つ側の方に発現する。
同時に可能であれば、その『切れ味』を奪い取り吸収する。
とっさに剣を持つ側の手に発現したのは、吸収する際の軌道で彼を傷付けないためだ。…今のところは。

「『刃物』を持った…『スタンド使い』ッ!」

687 音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』 :2019/03/27(水) 01:33:25
>>686

>「…『通り魔』などいないのであれば、それに越したことは───」

      . .
     「いる……」

     「朗らかに話しかけ、あたかも常人のように振る舞い、
                                   . .
      ――――平然と『力』を振るう人間は、この世にいる」


憮然として、しかし真剣味を帯びた眼差しで、『鉄』に告げる。

それは、決して『普遍的』な事実としてではなく。
明確に『存在』すると知っているからこそ、
それと比較した『鉄』を『善人』と評した。

         ビュワッ!

『シヴァルリー』の視認によって、瞬く間に『ジュリエット』は鈍磨する。
己のスタンドであっても、その効果は認識できない。

     「私は、君の言う『待ち人』ではないが、

      ……とまぁ、スタンドを出した以上、
      そう言っても『信用』ならない、かも知れないが、ね」

穏やかに、押し殺すような低い声で、
念を押すように話しながら、『ジュリエット』を解除する。

     「いないのに、越したことはない。同感だ。

      ――――だが、そーいう『人種』がいるかどうかなら、
      間違いなく存在し、振るう刃に『前触れ』はない―――」

     「今の『一刀』は、そうした『警告』のためだ。
      ……正直言って、街中でじっと見てるだけでは、
      努力が実を結ぶ可能性は、低いと見えるがねェ……」

688 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/27(水) 01:42:56
>>687

>     「いる……」

>     「朗らかに話しかけ、あたかも常人のように振る舞い、
>                                   . .
>      ――――平然と『力』を振るう人間は、この世にいる」

「・・・・・ッ!」

息を飲む。そして理解する。
この人は、そういう人間を知っている人だと。実際に目で見て、会ったからこそ、言葉の重みが違う。
そしてここからは想像でしかないが。この人は、そういった人間と、刃を交えた言葉もあるのではないか?

逞しい青年が『スタンド』を解除したことにより、『切れ味』も戻る。
その行動を警戒しつつも、数秒の逡巡の後に、自分も『シヴァルリー』を解除した。

「いいえ、信じますよ」
「以前にも、『スタンド使い』はそういうことができる人間だと教えてくれた人がいましたから」

それに、もし『通り魔』なら絶好の間合いでスタンドを解除する理由がない。
自分が警戒して『シヴァルリー』を出すより早く、斬ることも可能だったかもしれない。

>      ……正直言って、街中でじっと見てるだけでは、
>      努力が実を結ぶ可能性は、低いと見えるがねェ……」

「・・・・・」「何か、手段をご存知なのですか?」

訊ねる。蛇の道は蛇、とは少し違うが。
彼なら、あるいは荒事に関する知識が、あるいはその心当たりがあるのだろうか?

689 音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』 :2019/03/27(水) 01:58:53
>>688
>「・・・・・」「何か、手段をご存知なのですか?」

  「私も、望んでそういう『人種』に会ったわけじゃあない。

   ――――だが、もしもそうした『人探し』をするのであれば、 
   『仲介人』を名乗る男に、『名刺』を貰ったことはあるぞ」


     スゥ...

                                         バ
『ピエール』は尻ポケットから、二つ折りの『財布』を取り出し、    サ
それをペラペラと捲り、もう一回ポケットにしまってから、                ガサ
胸ポケットから『カードケース』を取り出し、それを数度捲り、                   ゴソ
ポロッと落としたクリーニング屋のポイントカードを拾い上げ、    ペ
カードケースに仕舞い込むと上着のポケットを数度叩き、       ラ     ポロッ    
もう一度財布を取り出しては紙幣入れに指を入れてから、      ラ
ふと思い出したかのように上着のチーフポケットに手を入れ、              パ
一枚の『名刺』を取り出すと、それを『鉄』へと差し出した。                 サ

   「『曳舟』という男は、『需要』と『供給』を操るとか、
    ……少なくとも、そのスタンド能力を利用して、
   スタンド使いの斡旋や、仕事の紹介をしているぞ」

『曳舟利和』。
その名前を確かに見せると、その名刺をカードケースにしまう。

   「――――まぁ、私も正直に言うと、『信用』しているわけじゃあない。
    ちょっと、まぁ、『胡散臭い』ところもあるからな……。

    これをどーするかは、君次第、になるわけだ」

   「おっと、人の名前を出しておいて、
    私の名乗りもないとは、無礼もいいところだったな」

スッと視線を彼方に向けてから、少年へと向き直る。

   「『音無ピエール』だ。
    この町で『柔道整復師』をやっている」

690 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/27(水) 02:13:52
>>689

「・・・」

「・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

青年の動きを待っている間、やはりこの人は『通り魔』ではないんだろうな、と確信を抱きつつ。
家に帰ったら財布の中や、部屋の掃除もまたしておくか、などと思っていた。
そして差し出された名刺。しっかりと、その名前を記憶する。
正直スマホで写真を撮っておくべきかと思ったが、流石にそれは無礼だろう。

「『曳舟』さん、ですか」

代わりにその名前をしっかりと覚えておく。
しかし、思ったよりも『スタンド使い』というのは体系化されているようだ。
『スタンド』に目覚めさせる人間の存在は知っていたが、ひょっとしてスタンド使いの『組織』などもあるのだろうか?
そしてその『曳舟』さんとやらと関わり合うことで、『通り魔』の情報や
それを知ることができる『スタンド使い』と出会うことができるのだろうか?

「『柔道整復師』の方でしたか。もし骨折などしまきたら、お世話になろうと思います、音無さん」
「オレは鉄 夕立(くろがね ゆうだち)。『清月学園高等部二年生』、『剣道部』です」

こちらも同じく名乗り返し、一礼をする。

691 音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』 :2019/03/27(水) 02:25:48
>>690
「よろしく。

 ――――見つかるといいな」

『ピエール』はそう言い終えると、立ち上がる。
視界の端からゆっくりと歩いてくる『老婆』に、
軽く片手を上げて、自らの存在をアピールする。

   「私の『待ち人』は、やっと現れたよ。

    ……では、『夕立』。
    機会があれば、また会おう」

そう言って、老婆を出迎えるように歩み寄れば、
二言、三言話した後、ゆっくりと人混みに紛れていった。

692 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/27(水) 02:36:59
>>691

現れた老婆を出迎えた音無さん、恐らくお客様だろうか。
彼には待ち人が現れたが、自分には現れなかったようだ。もう既に一時間が経過している。流石に潮時か。

「…ありがとうございました。またお会いしましょう、音無さん」

去り行く彼に対して、再度頭を下げる。
手荒い行動ではあったが、彼は自分に対して道を示してくれた。
『スタンド使い』の危険性を教えてくれた平石さんに、『悪意』を持つ人間は必ずいると警告してくれた音無さん。
大人の方からは、学ぶべきことは多い。

「あとは、進むべきか否か、か…」

帰途へと着きながら考える。そもそも、考えたところで詮無きことではあるのだが。
仮に進むことを選んだとして、こちらから『曳舟』さんとやらに接触できるのか?
電話番号でもあれば、話は違うのだろうが。
だが、どちらにせよ覚悟は決めておくべきだろう。もし進むことを選ぶのであれば。
『試合』とは違う、命懸けの争いになる覚悟を。


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