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【場】『 大通り ―星見街道― 』

1『星見町案内板』:2016/01/25(月) 00:00:31
星見駅を南北に貫く大街道。
北部街道沿いにはデパートやショッピングセンターが立ち並び、
横道に伸びる『商店街』には昔ながらの温かみを感じられる。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
───────┘└─────┐            .: : : :.》.: :.:   ││
                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
                                └────┐││┌──┘
                                          └┘└┘
★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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432今泉『コール・イット・ラヴ』:2018/05/22(火) 23:37:22

         カリカリカリカリカリ

              カリカリカリカリカリ

「う〜〜〜ん」

喫茶店を一人で勉強に使うのって大学部のセンパイっぽい感じ。
そんな立派な勉強じゃなくて、今日出し忘れた宿題なんだけど。

なんで出し忘れたかって言うとページ数が多すぎたから。
1日寝かしても減るわけない。"先生"が勉強も教えてくれたらいいんだけど。

席はそんなに混んでないから、まだ帰れとは言われない。
窓際の席って客がいる方がツゴーが良いとか聞いた事あるし。
もし外を通りかかった知り合いがいたら見られるのは……別にいいかな。悪い事してないし。

433夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2018/05/24(木) 00:18:41
>>432

      ピコンッ

その時、ラインの通知が届いた。
送信元は――『ユメミン』だ。
内容は以下の通り。

「わたしは、予知のうりょくにめざめた!
 むむむ……みえてきたぞ!
 ずばり、いまイズミンは喫茶店でひとりでべんきょうしている!」

……顔を上げれば、窓の外に誰かがいるのが見えるだろう。
パンキッシュなアレンジを加えたアリス風ファッションの少女。
今さっき届いたラインの送り主だ。

434今泉『コール・イット・ラヴ』:2018/05/24(木) 07:20:55
>>433

              『ピコン』

「ん」

勉強中だけどスマホは机の上に置いている。
だから、画面にポップした通知もすぐに見えた。ユメミンだ。

      キョロキョロ

予知能力、なんてフツーありえない。けどユメミンには『ドクター』がいる。
フツーじゃないことがフツーな人っていうのがこの町にはいる。
もしかしたら本当なのかな。だとしたらテストの答えとか教えてほしいかも。
・・・なんて思いつつ周りを見回したら、窓の外と目が合った。

「あ」「ユメミンじゃないですか!」

声に出しちゃったけど、窓の外にいるんだし聞こえないかな?
小さく手を振ったのは見えたと思うし、窓際にいてよかった。
でもどっちにしても窓越しに話すなんて『ロミジュリ』みたいなのはどうかと思う。

       『ピコン』

だからユメミンにラインを送った。

『奇遇ですね、私もたった今催眠術に目覚めました!
 あなたはだんだんお店に入って来たくな〜〜〜る』

それからシャーペンをページに挟んで、広げていたノートとかを自分の前にちょっとだけコンパクトにまとめた。

435夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2018/05/24(木) 20:13:57
>>434

    ズッ……
          ズズズ……

「こ、これは……!!足がかってに……!!
 わたしのかんがえとは、むかんけいに動いている……!!」

   カランカラン  
          イラッシャイマセー

――などということはなく、普通に入店した。
元々この店に入るつもりで近くまで来ていたのだ。
そこに友達がいたから、というのも勿論ある。

「さすがはイズミン……よくぞ、このスーパートリックをみやぶった……。
 くそ、イズミンじゃなければだましとおせたのに……!
 でも一秒か二秒くらいはしんじただろう!!こんかいは引き分けだな!!」

「――あ、これとこれとこれください。のみものLサイズで」

とりあえず注文しよう。
そしてイズミンに向き直り、身を乗り出す。
ブルーのサングラス越しの視線は、ノートの方に向いている。

「ふむふむ、かんしんかんしん。
 なんの勉強してるのかな??おしえてあげようか??」

自分に教えられるかどうかなど全く気にせず、そんなことを言う。
自分の成績は、下から数えた方が早い。
特に、『漢字』に弱いのだ。

436今泉『コール・イット・ラヴ』:2018/05/24(木) 22:02:27
>>435

「あとちょっとでユメミンの超能力だと納得するところでした!」
「フツーじゃないですけど、そういうのもありえそうだし」「特に私達ならねえ」

「あ、私はアイスミルクティーおかわりで」

飲み物が無くなってたし、ついでに注文しちゃおう。
席を使わせてもらってるお代がわり、っていうのもあるけど。

「これ。現文の宿題です。趣味とその理由を述べよって」
「趣味の理由って難しくないです?」「適当に決めちゃおうかな」

            ジャララッ

シャーペンとスマホを紙の上からどけて、原稿用紙をユメミンに見せてみる。

まだほとんど白紙だし、見せて恥ずかしいものじゃない。
まあ、白紙なのが恥ずかしいっていうのはあるかもしれないけど・・・

437夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2018/05/24(木) 22:59:56
>>436

「ふむふむ――これ、このままで出すっていうのはどう??」

「シュミというのは、アレコレとリユウを問うものじゃないんじゃないでしょうか??
 ヒトのシュミは、コトバではヒョウゲンできないモノなんです。
 だから、このハクシこそが、シュミというものをイチバンよくあらしていると思いました!!」

「――って感じでテイシュツするとか。
 イズミン、清月の『レジェンド』になっちゃうかも??
 ただし、セキニンはもてない!!」

あたらしいデンセツの誕生だ!!
そのぶん、セイセキがギセイになることになるけど。
あと、センセイにマークされて、ヒョウバンとか諸々もあぶないかもしれない!!

「ふっふっふっ、誰も『チョウノウリョク』じゃないとは言ってないけど??」

   ズギュンッ

不適に笑い、傍らに『ドクター』を発現させた。
少し目を閉じてから、片方の目だけをウィンクするように開く。

「――もうすぐ若い男女が入ってくる。
 女の方はミュール、男の方は新しい革靴を履いてる。
 女は身長160cm前後、男は175cm辺り。多分カップル」

いい加減な『予知』――ではない。
その言葉の後に、今さっき言った通りの二人が入店した。

「金ないから、あんまり頼むなよ」 「兄貴、奢ってくれるって言ったじゃん」

兄妹らしい二人は、言葉を交わしながら離れた席に着いた。

「あ〜〜〜『カップル』じゃなかったかぁ〜〜〜。
 もうちょびっとよく確かめてから言うんだったなぁ〜〜〜。
 あとすこしで花丸満点だったのにぃ〜〜〜。ざんねんざんねん」

そんなことを言いながら、大げさに肩をすくめる。
隣では、『ドクター』も同じポーズをとっている。

438今泉『コール・イット・ラヴ』:2018/05/24(木) 23:35:38
>>437

「友達のセンパイが似たような事したらしいんです」
「ハクシで出して『これが俺の答えです』って」
「そしたら大学の推薦も白紙になったらしいですけど」

「ある意味カッコいいですけど、フツーの成績は欲しいんですよねえ」

            クルクルクル

ほとんど空になったグラスの中でストローを回す。
フツーじゃないのはちょっと憧れるけど、なさすぎるのは困るし。
というより、フツーでいいこととだめなことがある? みたいな?

「そういえばドクターの『能力』はまだ知らないんですよね」
「もしかしてほんとに『予知』なんですか?」「だとしたら憧れるかも」

「私も占いとか好きで――――」

なんて言っていたら、ユメミンは言い当てて見せた。
兄妹っぽい二人の客を目で追っていたのに、気づいたら振り向いていた。

「えっ・・・すごいじゃないですか!?」
「今こっち向いてましたよね、ユメミンもドクターも」
「うわーっ、フシギですね・・・ほんとに見てなかったですよね、今?」

                   『ソレハ〝先生〟ガ保証シマス』

「あっ先生。先生が言うならトリックとかじゃないですよね、これ」
                      
                   『今泉サン、夢見ヶ崎サン、コンニチハ』
                   『〝答エ合ワセ〟ヲ 期待シテモ?』

先生は嘘とかはつかない。正直というか、たぶん先生だからだと思う。
まあ見間違えたりはするし、ユメミンの『未来予知』はこのままじゃ謎のまま!

439夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2018/05/25(金) 00:10:56
>>438

「うまい!!イズミンにザブトンいちまい!!」

こんど使おう、と心の中で思った。
あ、『チョサクケン』とかはらわなきゃダメかな??
まぁ、それはそれとして――。

「ふっふっふっ……。
 それをしったら、きっとイズミンもセンセーもびっくりすることまちがいなし。
 私の『ドクター・ブラインド』は――」

自信満々に笑いながら、もったいぶってタメを作る。
もちろん『予知能力』なんかじゃない。

「――『耳が超いい』!!」

……いざ声に出してみると、なんだか間抜けだった。
しかし、事実は事実だ。
そして、『ドクター』の真髄は、それだけではない。

「じゃ、わかりやすく。ちょっとだけ『チクッ』とするよ」

『ドクター』が腕を伸ばし、『手術用メス』を思わせる爪で、イズミンの肌に軽く触れる。
ほんの少しだけチクリとするが、持ち前の精密さで傷はほとんど付いていない。
厳密には、ごく薄い引っかき傷ができることになるが、目にはほぼ見えない程度だ。

「――どう???」

イズミンは、すぐに気付くだろう。
普段よりも、周りの『音』や『声』がよく聴こえていることに。
それは、単に聴こえやすくなったというレベルではない。
席に座っていながら、店内に存在するありとあらゆる『音』や『声』が聴き取れるのだ。
一言で言うなら、『超人的』と呼んでもいいだろう。

「ユメミンの『未来予知』の秘密――わかったかな??」

440今泉『コール・イット・ラヴ』:2018/05/25(金) 00:44:39
>>439

「私じゃなくて私の友達のネタですけどね」
「あ、でもネタ元はセンパイで」「推薦を白紙にしたのは先生、うーん」

「この場合著作者が謎ですし、座布団は私が預かっておきますか!」

               『チャント "返ス" ツモリデスカ?』

「そこはフツーに冗談の一環なのでノーコメントで」
「それにしても、耳ですか?」「それで話の内容を聞いたとか――」

        チクッ

「いっ!」

            『・・・"補修"ヲ 開始シマス』

      シュルルルルルル

ちく、っとした次の瞬間には先生が私の腕にテープを巻いていた。
先生の目線はドクターに向いてる。怒ってるのかな、それとも本能とかなのかな。

「たくは無かったですけど、びっくりしちゃった」
「それで、これが『ドクター』の耳の良さとどう・・・」「んっ!」

「なんだか音がよく聞こえるというか、聞こえすぎるというか」

耳に思わず手を当てた。
周りのボリュームが大きくなったんじゃなくて、自分の耳が良くなったとすぐ分かった。

「プチ手術、ってところですか。予防接種の方が近いのかな」

            『今泉サン、大丈夫デスカ?』
            『傷ハ トテモ浅イデスガ。耳ニ何カ?』

「腕は大丈夫です大丈夫、ちょっと痒かったくらいで〜」
「耳は・・・よく聞こえますねえ、さっきの二人が話してる事とかも」
「あっ、キッチンの会話まで聞こえる?」「面白いですねえ、これ」

「そういうわけで。ばっちり分かっちゃいました、秘密!」

ユメミンの未来予知の正体見たり。いや、聞いたりかな。
私の先生の秘密は前に見せたし、今も見せてるし、これでおあいこって感じがする。

・・・そうこうしているとウエイトレスさんが頼んだものを持ってきたみたい。まだ厨房を出たところだけど。耳が良いって便利。

441夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2018/05/25(金) 06:26:17
>>440

「ゴメンゴメン、センセーおこんないで??さわっただけだとできないんだもん。
 ちょっとチクッとしないとダメだからさ〜〜〜。ゆるして??」

センセーの反応に若干ヤバげなものを感じながらも、そのリアクションに興味も抱いた。
本体の意思とは無関係に動くスタンドが、どんな行動を取るのか。
その先を見てみたい気もするけど、さすがにちょっとキケンがあぶない。

「そう――ちょっとした『手術』ってやつ。
 わたしの『ドクター』は『移植シュジュチュ』ができる!!
 
 ……『移植手術』ができる!!」

肝心なところでうっかり噛んでしまい、微妙な間を置いてから言い直した。
新人シャンソン歌手の新春シャンソンショー!!
舌の動きを滑らかにするためにボイストレーニングが必要かもしれない。

「で――いま『ドクター』の『耳の良さ』をイズミンに『移植』してみた。
 そのあいだ『ドクター』は耳が聞こえなくなって、かわりにイズミンの耳が『超よくなった』ってこと」

「いまは『お店の中』だからこれくらいだけど、
 外でやったら、それはもう、ものスゴイことに……!!
 そこらじゅう『音だらけ』になるから、なれないと大変にタイヘンだけど……」

大量の音の中から必要な音だけを聴き取るというのは、多少のコツがいる。
自分も初めてやってみた時は、あやうく耳がぶっこわれそうになった。
今は、その辺の感覚みたいなものが、なんとなく掴めるようになっている。

「そうそう、わたしなんて、たまに人のないしょばなしをコッソリと……。
 『ちょびっと』だけね、ホントに『ちょびっと』だけ。
 なんていうか『たまたま耳に入っちゃった』っていうかぁ……。
 だけど、これがまたおもしろいのなんの……。
 いやぁ〜〜〜、ヒトとヒトのカンケイってのはフクザツですなぁ〜〜〜」

ベツに積極的にアクヨウしてるわけじゃないよ??
いや、ふつうのアクヨウだってベツにしてないけど。
うん、してない。ぜんぜんまったくしてない。
すくなくとも、わたしが『アクヨウだとおもってること』はしてないんだから。
このジュンスイなヒトミをみれば、それがつたわるはず……!!

「――あ、きてるね。うんうん、きてるきてる」

イズミンの意識が厨房に向いた瞬間、これ幸いとばかりにすかさず便乗する。
そして、少し意識を集中して、もう一つ『予言』をしてみる。
さっきはちょっとだけ外してしまったからだ。

「私達から見て、トレイの右手前にイズミンの『アイスミルクティー』、
 左手前に私の『ホワイトショコラストロベリーラテ』。
 左奥に『クラブハウスサンド』、右奥に『ほうじ茶プリン』」

ウエイトレスが運んできたトレイには、そのように品物が並んでいるはずだ。
といっても、『ドクター』の『超聴覚』はイズミンに移植中なので、音で聴いたわけじゃない。
『ドクター』は『聴覚』だけじゃなく、『嗅覚』も同じくらいに『超人的』だ。
それを頼りにして、『匂い』の漂う方向と距離から計算した結果だった。
それはともかく、おなか空いてるから早く食べたい。

442今泉『コール・イット・ラヴ』:2018/05/26(土) 00:28:35
>>441

         『怒ッテハ イマセンヨ』
         
「先生が何考えてるのかは私も分からないんですよね〜」
「でも私は怒ってないし」「先生にも文句は言わせませんよ!」

         『何モ 無イノナラ 文句ナンテ言イマセンヨ』
         『夢見ヶ崎サン、怖ガラセテ シマッタナラ スミマセン』

「との事ですし、大丈夫ですよユメミン」
「それにしても『移植しゅず……手術』ですか」
「やっぱ言いにくっ」「ともかく本格的にドクターな感じですねえ」

そういえば前に会った時も手術って言ってた。
それで、あの時も言いにくかったのも覚えてる。
初めて会った時のことだし、忘れるわけない。

「フツーに手慣れてるんですねえ」「流石本家本元」
「私も話は聞こえるけど、テレビを何個も同時に見てる感じで」

話からするにユメミンはこの能力を上手く使ってる、みたい。
もしかしたら、それは『盗み聞き』とかなのかもしれない。
ちょっとフツーじゃないけど、そんなに目くじら立てる事でもない。

「どうにも、細かい内容は頭に・・・って」

「え、音だけでメニューまで分かるんですか!?」
「ん、あれ、でも聴覚は今私が持ってるんですよね」

「・・・??」「もしや、ドクターには第二の能力が」
「いや、でも能力が二つも三つもあるのは変ですよねえ」「先生は一つだし」

               コト

ウエイトレスさんがテーブルにユメミンの予知通りのトレイを置いた。

よく分からなくなってきたし、甘い物でも飲んで思考力を研ぎすまそう。
今思ったら、ロイヤルミルクティーにすればよかったかも。

「ユメミン、この問題の答え合わせもお願い出来ます?」
「それとももうちょっと自分で考えなさい!ってタイプの問題?」

443夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2018/05/26(土) 15:13:30
>>442

「あ〜〜〜、ハラへったハラへった。
 きょうは、あちこちイッパイあるいてみてまわったから、チョーおなかすいた。
 うむうむ、ウマいウマい。ガス欠のおなかにしみわたるぜ〜〜〜」

とりあえず注文したクラブハウスサンドにかじりついた。
グリルしたチキンとアボカド、卵、チーズ、トマトが挟んであり、なかなかに分厚い。
付け合せにフライドポテトも乗っている。
軽食ではあるが、割とガッツリ系だ。
今日は――というか今日も、新しい発見を求めて町中を歩き回っていた。
そのせいで、エネルギーが足りなくなっていたところだ。

「『ドクター』も『ノーリョク』は一つだよ。『ノーリョク』はね。
 なんていうかぁ、ちょっと『ヒミツ』があるんだよねぇ」

フライドポテトをつまみつつ、いたずらっぽく笑う。
実際、『ドクター』の能力は『センセー』と同じく一つしかない。
だから、これは能力ではなく特性のようなものだ。

「ふっふっ、そういわれると、なんかジラしたくなっちゃうなぁ〜〜〜。
 まぁ、そんなにひっぱるようなことでもないし、サクッとこたえあわせしちゃおっかなぁ。
 でも、そのまんまおしえるっていうのもツマンナイしぃ。
 んじゃ、かぁるく『ヒント』をだしてっと――」

「あ、センセー、『おてあて』ヨロシク」

     スゥッ

『ドクター』の爪で、イズミンの肌に軽く触れる。
爪の先で薄くなぞるようにしているので、できる傷は極小になるはずだ。
同時に、イズミンに移植した『超聴覚』を解除した。

「――ババーン!!!ってね」

    ド ド ド ド ド ド ド ド ド

アイスミルクティーを口に含んだ瞬間、『それ』が分かるだろう。
先程まで飲んでいたものと比べて、明らかに『違う』のだ。
飲み物の『味』が、目が覚めるように『鮮烈』に感じられる。
そればかりか、ミルクティーを構成する材料や、それら一つ一つが全体の何割くらいかまで把握でき、
全体の一割にも満たない隠し味の存在にも鋭く気付けるほどだ。
たとえるなら、『何十年間も世界中の料理を食べ歩いたグルメ評論家』以上に舌が肥えたという感じだった。

だけど、飲み物に変化があったわけじゃない。
『聴覚』の代わりにイズミンに移植したのは、『ドクター』の『超味覚』だ。
『超人的な味覚』の影響で、イズミンの舌が一瞬で一気に肥えたというわけだ。

「3、2、1……せいげんじかんしゅうりょう!!
 さてさて、シュツジョウシャのみなさんのカイトウをみてみましょう。
 それではイズミンせんしゅ!!おこたえをどうぞ!!」

444今泉『コール・イット・ラヴ』:2018/05/26(土) 19:21:24
>>443

「どこか遊びに行ってたんですか?」
「あ、先生『補修』お願いします」

          『・・・オ願イサレナクテモ、補修ハシマスガ』
          『ホドホドニ シテ下サイ』『ワザト傷ツクヨウナコトハ』

「分かってますよ、でも気になるじゃないですか」
「フツーじゃないとは思いますけど、痛くもないですし」
「痛かったり痕が残るならフツーにやらないですよ」

             チク

          『・・・』

机の上に伸ばした左腕に一瞬だけ違和感があった。
その次の瞬間には先生が手を伸ばして、テープを巻いていた。

「先生、ありがとうございます」
「それで、今度は何を・・・」

                   ゴク

「んん!?」

ミルクティーが舌に触れた。それがはっきりわかった。
それだけじゃなくて、普段なんとなく流し込んでた味がわかった。
わかったっていうのは甘いとか渋いとかじゃなくて、もっと『言葉』だ。

・・・私がそれを言葉に出来たら、作文も楽なんだろうけど。

          『今泉サン、ドウナサイマシタカ』

「分かった! 分かりましたよ、ドクターの能力の正体」
「耳がいいだけじゃなくて、舌も・・・いえ」「鼻とか目も」
「そう、えーと、『五感』というのが鋭い!」
「そしてそれを移植できる・・・これなら一つでしょう」

いつのまにか耳はふつうになっていた。
移植した感覚はすぐに戻せるって事なのかな。

「今の予知は・・・匂い、それかガラスに反射したのを見たとか?」

この味覚からすると、どっちも出来なくはなさそうな気はする。
テストとかでもあるんだよね、こういう『これ!』って答案。
それが絶対あってるとは限らないんだけど、期待はしていい、はず。

「どうです、私の回答。ユメミン的には100点中何点ですかね」
「あ、マルかバツかだけでもいいですよ」「『部分点』があれば嬉しいですけど」

445夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2018/05/26(土) 21:51:25
>>444

「いやー、ちょっとしたぼうけんってとこ。
 なんか『オモシロソーなみせ』とかないかなぁって。
 ここはたまによるんだけど、なかなかいいよねー」

   ムッシャムッシャムッシャ
              ズズスズ゙ーーーー

喋っている間に、クラブハウスサンドとフライドポテトを平らげる。
その次にホワイトショコラストロベリーラテを飲んで口直しだ。
うむうむ、これもイケる。

「そーそー、『ワルいアソビ』はホドホドにしとかないとセンセーにおこられちゃうから。
 リョーカイしました、センセー!!
 でも、ふたりともなんにでもキョーミをしめすトシゴロなんだし、ちょっとくらいは、ね??ね??」

あまり固い感じではないが、一応の弁解を済ませる。
もちろん、言われなくても痛いこととか傷跡が残るようなことはしない。
『ドクター』の外科手術のような精密さなら、そうならないように繊細な微調整が可能だ。

「――う〜〜〜ん……『90点』!!
 おしい!!もうちょいで満点花丸だったのに!!」

「さっきのは『匂い』であてたっていうのは……だいせいかい!!
 いまは、イズミンに『ドクター』の『舌の良さ』を移植してる。
 だから、『ドクター』は『耳も鼻も舌も超イイ』」

「だいたいあってるんだけど……『イッコ』だけちがうんだよねぇ。
 よ〜〜〜くみてみたら、ひょっとするとわかっちゃうかもぉ??」

そう言いながら、自分の傍らに佇む分身――『ドクター』に視線を向ける。
その両目は、相変わらず固く閉じられていた。
目が存在しないというわけではなく、目そのものは確かに備わっている。
ただ、それがずっと閉じっぱなしなのだ。
考えてみれば、今まで一度も目が開いた所を見ていないことに気付くだろう。

  ……『L(エル)』 『I(アイ)』 『G(ジー)』 『H(エイチ)』 『T(ティー)』……

ふと、『ドクター』が、前に聞いたのと同じ言葉を呟いた。
以前と同様に、男とも女ともつかない無機質で淡々とした口調だ。
その五つのアルファベットを順番に並べれば、一つの単語が出来上がることになる。

「ジャジャン!!さいしゅうもんだい――あとの『イッコ』はなんでしょうか??
 これがとけたらポイントが2ばいだ!!」

446今泉『コール・イット・ラヴ』:2018/05/26(土) 23:28:43
>>445

「前は『爬虫類カフェ』でしたっけ」「ヘビの写真を送ってきたやつ」
「私はフツーな店しか知らないから、ああいうのを教えたりは出来ないですが」
「こういう感じのカフェなら、そこそこ知ってるんですけども」

放課後とか、よく喫茶店に行ったりするし。
友達に教えてもらった店とかもあるし。
まあ、喫茶めぐりが趣味ってほどじゃないけど。

            『〝社会経験〟ノ一環デアレバ 止メハシマセン』
            『・・・壊レテシマワナイ 限リハ デスガ』
            『デスガ、先生モ不安ニナリマスカラ。ソレハ オ忘レナク』

「フツーに大丈夫ですって。無茶なことはしませんよ」
「安心してくださいよ先生。私はフツーが好きなので」

フツーじゃないのも、そんなに嫌いじゃないけど。
でもそれはフツーがあるから、ってところはある。

「う〜ん、惜しいですね。赤点は免れてよかったですが」
「イッコ・・・そうですね、耳、鼻、舌・・・と来れば」

「あ、『眼』ですか? なんか、ずっと閉じてますし」
「『エルアイジーエイチティー』って、光の方の『ライト』ですよね」
「というわけで、最終問題の回答は・・・ドクターに『視覚』はない!でどうです?」

            『・・・・・・・・・』

それにしても、なんでそんな制限があるんだろう?
そう思ったところで、ユメミンはいつもサングラスを掛けている事に気づいた。

ユメミンはフツーじゃない恰好をしていてオシャレだから、その中じゃフツーだった。
サングラスは、フツー室内じゃ掛けない。あー、私、今フツーの顔でユメミンを見れてるかな。

447夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2018/05/27(日) 05:39:08
>>446

「そうそう、『シャカイケンガク』ってやつ。
 ジンセーなにごともケイケンがだいじ!!
 『アリス』だって『ウサギ穴』にとびこんだんだし、
 わたしも『アリス』だから、ふしぎなセカイがあったら、そこにとびこんでいかなきゃ。
 なんてったって、わたしは『この世の全部』をみなきゃならないんだから!!」

別に危険に遭いたいわけじゃない。
だけど、その先に見たことのない未知の世界が待っているとしたら、躊躇う理由はない。
だって、私は『アリス』だから。

「ドドン!!イズミンせんしゅ、せいかいです!!
 『ドクター』は『耳や鼻や舌』はバツグンだけど、『目』はみえないんだよね〜〜〜。
 あ、あと『指先の感覚』とかも超イイから、肩コリとかで『どこがこってるか』とか、
 すぐわかっちゃってベンリ!!
 わたしのマッサージは、そのスジではけっこうひょうばんあったりなかったり」

  スッ

そこで唐突に笑うのを止める。
その顔には、いつになく真面目な表情が浮かんでいた。
おもむろに席から立ち上がると、静かに口を開く。

「私の『ドクター』には『視覚』がない。だけど、『ドクター』に『死角』はない。
 何故なら、存在しない『視覚』を補う『力』があるから」

  トスッ

やや抑えた声色で精一杯カッコつけた台詞と共に、やたらと気取ったポーズを決める。
少しの間そうした後、また着席した。

「――っていうのかっこよくない??いま、おもいついた。
 こんど、どこかでつかおっかな。ちゃんとメモっとかなきゃ」

スマホを取り出すと、メモ帳アプリを立ち上げてメモをとり始めた。
どうやら、いつか使う気らしい。

「ん??あれあれ??イズミン、かおになんかついてるよ??
 ここ、ここ。ほら、このあたりにさぁ〜〜〜」

スマホを元通りしまうと、声を掛けつつ自分の顔の中央付近を指差す。
イズミンの様子を何となく察したからだ。
湿っぽいのは、あんまり好きじゃない。

「――ね?『鼻』がついてるでしょ?わたしといっしょ。『お揃い』だね」

ふふっと笑う。
さっきまでの屈託のない笑い方とは少し違う、穏やかな笑い。
私は普通じゃない世界に目を向けることが多いし、実際そういう風に行動してる。
だから、イズミンとお喋りしてると、なんだか一休みできてるって気がしてホッとする。
それは、イズミンから感じられる『普通のオーラ』みたいなものに触れてるせいかもしれない。
『普通って何か』って聞かれたら、上手く答える自信はないけど。
でも、今の私が、この時間は充実した時間だって感じてることは間違いないと思う。

「あ、これウマい。イズミンも食べる?」

ややあって、食べていたほうじ茶プリンを差し出す。
しかし、『味覚』を移植したままなのを忘れていた。
食べたら、ビビッと電気が走ったみたいに、物凄く鮮明に味を感じられることだろう。

448今泉『コール・イット・ラヴ』:2018/05/27(日) 23:53:16
>>447

「やっぱり、夢が大きいですねぇ、ユメミンは」
「ユメミンだけに」「なんて言ったら私は泉が大きい事になりますけど」

「・・・」

笑顔を浮かべてみる。多分ちゃんと笑顔だろう。
別に、今はもう大丈夫って感じなんだろうし。
あんまり気にしてる方がユメミンも気まずいはず。

「やった! 正解いただいちゃいました」
「便利ですねえドクター」「まさに死角なし・・・」
「っと、顔? どこですかね、ストローから跳ね――」

指先を顔の上で滑らせていると、次の答えを貰った。

「・・・・・・鼻、ですか」「そうですね! お揃いです」
「手も、脚も、カタワレも」「まあ見た目は違いますが」

             ヘヘ

「いただきます、実は食べたかったんですよそれ」
「晩御飯買っちゃったし、注文しなかったんですけど」
「断るのは悪いから仕方ない! という自分への言い訳で」

差し出されたプリンを受け取って一口食べる。
この甘いのくらい柔らかく気持ちをほどければいいんだけど。

「やっぱりおいしいですね〜、ほうじ茶スイーツ!」
「『移植』のおかげで、『和!』みたいな、後味?感じますし」
「抹茶派から陥落しそうです」「あ、ユメミンはほうじ茶派?」

私はフツーに、一晩寝でもしないとちょっと遠慮してしまう。
でも表には出さない。ユメミンはそういうの、好きじゃないだろうし。

私はフツーに、フツーを演じる事くらいできる。それくらいフツーだけどね。

449夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2018/05/28(月) 00:58:29
>>448

「すべてをやさしくつつみこむ、めがみのようなホーヨーリョク。
 それは、まるできれいなみずをたたえた、おおきなイズミのよう。
 あなたがおとしたのはキンのオノですか??ギンのオノですか??
 ことし、だいちゅうもくの、じつりょくはしんじんアイドル、イズミン。
 みんな、おうえんヨロシク!!」

イズミンの笑顔。
それに対して冗談を飛ばしながら、こちらも笑顔を返す。
その顔は、また賑やかな感じの笑いに戻っていた。
もう大丈夫だって伝えたかったから。
だから、普段通りの表情に戻ることにしたのだ。

「そう、同じ!!どうし、あいぼう、マブダチだ!!
 『カタワレ』だって――あ、これセケンでは『スタンド』っていうらしいよ。
 ユメミンの、あしたつかえるまめちしき№4!!」

そう、手だって脚だって――『目』だって同じだ。
昔は見えなかったけど、今は見えている。
光除けのサングラスは手放せないけど、それでも見えていることに変わりはない。
だから、私とイズミンは『同じ』なのだ。
そんなことを心の中でちょっとだけ思ったけど、顔には出さなかった。
せっかく明るくなったのに、またナイーブでセンチメンタルな雰囲気になってしまう。

「んー??まー、たぶんそんなかんじかもしれない。
 『今は』、だけど。ユメミンのこのみは、ていきてきにかわるのだ!!
 2しゅうかんくらいまえは『抹茶派』だった!!あしたは『紅茶派』になってるかもしれない!!」

「うんうん、いまなら食レポもできるぞ!!アイドルには、それもひつようだ!!
 ことばがなくても、おいしそうにたべてるだけでつたわるさ!!
 だって、いまイズミンがたべてるやつ、すげーおいしそうだもん。
 イズミンのせんでんこうかで、ここもあしたからおきゃくさんがばいぞうだ!!」

どうしてアイドルデビューする話になったのだろうか??
そんなことは私も知らない。永遠の謎だ!!
きっと、海に沈んだアトランティス大陸よりも深い謎が隠されているに違いない!!
そういえば、『味覚』を解除するの忘れてたな。
でも、イズミンがおいしそうに食べてる最中だし、もう少しこのまんまでもいいか。

「あ、こんどイズミンのオススメのみせとかおしえてくれない??
 かわったとこじゃなくてもいいよ。イズミンとおしゃべりしてるのって、ケッコーたのしいし」

「わたしは、めずらしいモノとかフシギなのがスキなんだけど、
 なんていうかさ――イズミンといっしょにいると『フツー』なのもいいよねってかんじ」

しみじみと言いながら、イズミンに笑いかける。
自分は、『普通じゃないこと』に惹かれることが多い。
でも、『普通のこと』だって改めて見直してみれば、今まで気付かなかった良さに気付くこともある。
『普通』があるから『普通じゃない』もあるのかもしれない。
イズミンと話していると、ふとそんなことを感じた。

450夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2018/05/28(月) 01:34:12
>>449

なんかモジバケしてたので、さりげなくテイセイだ!!

×ユメミンの、あしたつかえるまめちしき?・4!!
○ユメミンの、あしたつかえるまめちしきナンバー4!!

451今泉『コール・イット・ラヴ』:2018/05/28(月) 01:47:17
>>449

「あはは、ほめ過ぎですよユメミン」
「アイドルだなんて」「・・・悪い気はしませんけど」
「ユメミンもデビューしません? 同士として」

「それにしても・・・『スタンド』ですか」

            『不思議ト 納得ノ行ク呼称 デス』
            『立チ尽クシテイル ワケデハ ナイデスガ』

「そう呼ぶのがフツーなら、私もそうしようかな」
「先生は私の『片割れ』という雰囲気でもないですし」
「今日から使える豆知識になってしまいました」「流石はユメミン」

私は笑っている。
ユメミンも笑っている。

『なかったこと』には出来ない何かを、それでも隠して笑う。
その時の笑顔は嘘だけど、気持ちは嘘じゃない。楽しい時間。
本当に楽しいから・・・だから隠そうって思えるんだ。

「紅茶スイーツもいいですよね、それからコーヒー」
「『アフォガード』がおいしいお店があるんですよ」
「今度案内します」「いつになるかは分かりませんけど」

        ニコ

「私もユメミンとお喋りしてると楽しいから」
「フツーな私でよければまた遊びましょうね」
「・・・っと、と、遊びで思い出したけど、勉強中だった」
「すみません、作文集中するんでちょっと口数減りますね」

シャーペンを手に取る。ユメミンはここにまだいるのかな。
それとも食べ終わったら帰るのかな。どっちにしても、文章を考えよう。
ユメミンと話すのは楽しい。話さなくても、友達はそこにいるだけで嬉しい。

                カリカリカリカリ

                          カリカリカリカリ


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