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鬼和尚の仏教購読会 別館

12避難民のマジレスさん:2018/10/24(水) 04:35:01 ID:LC3de7YgO
>>9
1黄金の華の秘密
スワミ・アナンド・モンジュ訳
 
第一話 催眠術を解く
 より抜粋

私は死んでゆく男のそばに座っていたことがある--- 彼とは同じ大学の教授仲間だ
った。 彼は輝かしい経歴の絶頂にあった。
ところが、そのとき彼は心臓発作に襲われた。 心臓発作はいつも人が頂点を極めた
ときにやってくる。 成功の後にはつねに心臓発作がつき物だ。
成功をおさめたあと、他に何が得られるだろう?
そこで彼は心臓発作を起して死の床についていた。 私は彼に会いに行った。
彼は深い悲しみに沈んでいた---誰が死を望むだろう? 彼は絶望に打ちひしがれ、
悲しみに悶えていた。
私は彼に言った。「心配することはない。君は死んだりしないよ」
彼は言った。「何を言ってるんだ?医者たちはだよ、 医者たちは口をそろえて回復
する見込みはまったくないと言ってるんだ。 君は何を根拠に僕が死なないというの
かね?」
私は言った。「君はそもそも死ぬことなどできないよ。 というのも、君は一度も生
きたことがないからだ。 君は死ぬための第一条件を満たしていない。 この50年間、
君は夢遊病者のように生きてきた。 君は夢を見ていたんだ。君は一度も生きたこと
がない。 私は君を何年も見守ってきたんだ」
彼はショックを受け、腹を立てた---あまりに腹を立てたので、 しばらくのあいだ
死のことなどすっかり忘れてしまった。 怒りに燃えた目でにらみながら彼は言った。
「死んでゆく人間に向かってそれはないだろう。少しは思いやりがあってもいいじ
ゃないか。 どうしてそんなにひどい態度をとるんだ? 死んでゆく相手に向かって大
した哲学を並べるじゃないか--- 『君は
一度も生きたことがない』だって。 こんな時によくそんなことを口にできるね?」
私は静かに聴いていた。 私はひと言もしゃべらず黙っていた。すると激しい怒り
が消えて、彼は泣き出した。 彼の目には涙があふれた。彼は愛を込めて私の手を握
ると、こう言った。
「君が正しいのかもしれない。 私は一度も生きたことがなかったんだ。たぶん君
は不作法じゃなくて、真実を言っただけなんだ。それに私にこんなことが言えるの
は君だけだ。」
そのあと深い感謝が湧き起こり、しばらくのあいだ、その顔にぱっと光がさすのが
見えるほど彼は意識的になった--- 光がそこにあった。
彼の存在は霊光オーラに包まれていた。 そして彼は「ありがとう」と言った。
その夜、彼は死んだ。 私は最後の瞬間まで彼のそばにいた。 彼は言った。
「もし君がここにいなかったら、私は 生を取り逃がしてきたように、死もまた取り
逃がすところだった。 だが、私は意識して死んでゆく。少なくとも一つだけ嬉しい
ことがある--- 私は無意識のまま死んでゆくのではない。」
そして彼の死は美しかった。 彼は何も思い残さずに息を引き取った。
彼は安らかに死んでいった。彼は「ようこそ死よ」と言わんばかりの心境で 死んで
いった。彼は感謝に満ちて死んでいった。彼は祈りのうちに死を迎えた。
彼の次の生はきっと必ず異なる質をおびるにちがいない。 死がそうまで美しければ
、その死はあなたに新しい生をもたらす。

だが人は一瞬一瞬を---それが生の瞬間であろうが、愛の瞬間であろうが、怒りの
瞬間であろうが、死の瞬間であろうが---生きなければならない。
それが何であろうと、人は一瞬一瞬を可能な限り意識して生きなければならない 。
(´・(ェ)・`)
(つづく)


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