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なぜエスペラントは普及しないのか?

61松戸彩苑:2008/02/16(土) 22:59:59
>>60 の続き)

  【引用文2】

  だが、こうした外国語を大量に発信する放送協会の方針は、聴取者たちの生活意識に
  反していたどころか支持されており、より一層の語学放送の拡充が求められていたこと
  を示す資料がある。それは「カレント・トピックス」が始まった一九三二年に日本放送協
  会と逓信省が合同して実施した聴取者調査『第一回全国ラヂオ調査』である。これはサ
  ンプリングという調査手法がなかった時代の、聴取契約者全員に質問票を配布した大
  規模な量的調査であり、一九三二年五月一日から八月末までの四ヵ月間で、一二三万
  三九〇八件の配布件数に対して約三〇パーセントにあたる三五万八〇三九件の回答
  を得ている(20)。

  この全国ラジオ調査で教養番組に寄せられた意見の約二割にあたる三二六四件が、
  「語学講座」に対する要望であった。その内訳は、語学講座全体の「時間増加」を希望
  するものが一四一件に対して「時間減少」は四一件。同じく「回数増加」を希望するのが
  三四五件に対して「回数減少」が三二〇件であった。さらに「種目範囲拡張」という別の
  項目では、「英語会話」の番組新設を望む声が三番目(二〇件)に多く寄せられている。

  ちなみに一位はエスペラント語で圧倒的多数の二二四件、二位はロシア語の四五件で、
  既にみたようにエスペラント語講座は東京放送局が開局した大正一四年度に短期間放
  送されたが、全国番組としてシリーズ化されたという資料はない。また「指導者選抜」とい
  う番組講師への希望を訊ねた項目では、「外国人講師の登用」を望む声が最も多く、ラ
  ジオ聴取者が持つ外国語への欲望(とくに話し聞く外国語の学習意欲)の高さをうかが
  わせている。

  この『第一回全国ラヂオ調査』の結果が刊行された一九三四年、放送協会は「英語会
  話」の全国放送を開始するのだが、この聴取者調査の結果と新番組の誕生の間に直
  接の因果関係を読みとることは難しい。だが、こうした資料から考えられるのは、満州
  事変後の時局化が進むこの時代でも、ラジオ聴取者の多くは外国語への違和感をそれ
  ほど持たなかったこと、それどころか独自の古典文学を持たず、基本的に会話をするた
  めに作られた人工言語であるエスペラント語の人気の高さと語学番組への外国人講師
  の登用を望む声に象徴されるように、話し聞く外国語への要求は決して低くなかったこ
  とである。

  (20) 逓信省・日本放送協会『第一回全国ラヂオ調査』、一九三二年実施(出版は一
  九三四年)。なお、調査票の配布と回収は郵便と受信契約料の集金人によったという。

  (169〜171ページ、246ページ)


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