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ID再考 & 科学と疑似科学とを判別する

22Ken:2024/02/10(土) 18:36:05 ID:j5b29EhE
16世紀にコペルニクスが地動説を提唱し、天動説を支持するローマ教会との1世紀にわたる対立が、ガリレオ裁判に繋がったことは、よく知られた史実ですが、実は教会の教義とは関係なく、地動説には、重大な矛盾があったことを、旧スレッドで説明しました。地球が動くなら、地上で恒常的な風が吹くはずなのに、吹かないではないか、というものです。この投稿の後半に、それを語る部分があります。
jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/5329/1615027461/363
この矛盾のために、地動説への支持は減ったでしょうが、だからといって、科学の土俵に乗らない疑似科学と言われたわけではありませんし、ティコ・ブラーエのように、地動説を前提に惑星の動きを調べる人はいました。

もう1つの、よく知られた例を挙げましょう。光の正体論争の中で出てきた「エーテル」の問題です。光が波であるなら、媒質のない、真空の宇宙空間を光が伝わるのは、矛盾ではないか、という問題があり、光波動説を支持する人は、実は未観測のエーテルなる物質が、あらゆる空間を満たしている。と主張したのです。空間を移動する物体は、天体も、砲弾も、人間も、エーテルの中を移動している、というわけです。ところが、複屈折の発見が、重大な問題を起こしました。写真を見てください。

この写真のように、方解石を通した映像が二重に見えるのは、結晶の中で、光が2つに分かれるからです。なぜ、そんなことが起こるのか? 2つに分かれる光は、何が違うのかが考察され、考えうるのは偏光方向しかない、という結論になりました。たとえば、結晶のある部分は、上下に振動する波を通すが、別の部分は、左右に振動する波を通すので、混ざっていた2種類の光が分けられる、というものです。

ということは、光は、音のような縦波ではなく、横波ということになります。縦波と横波の違いを説明するビデオです。
www.youtube.com/watch?v=2Rsd5paHnlU

これは大問題でした。縦波は、空気や水のような流体でも、金属のような固体でも、伝わるが、横波は固体の中しか伝わらないからです。良い例が地震波で、P波(縦波)は地球の中心の流体中でも伝わるが、S波(横波)は表面に近い固体部分しか伝わりません。エーテルの存在を想定した光波動説論者は、エーテルは空気のような流体で、物体はその中を通過すると考えていたのに、エーテルが固体なら、地球も砲弾も人間も、その固体の中を動くのでしょうか? どうやって? 固体の結晶構造を破壊しながら???

もう1つの問題は、観測される光の速さでした。硬い媒質ほど波は早く伝わるからです。大気中の音速は330m/s、水中では1500m/s、鉄塊の中では実に6000m/s。力学的に、なぜそうなるかも、18世紀の波動理論で、解明されていました。たとえば、ばねの一端を押すと、圧縮が反対側まで伝わりますが、硬いばねほど速く伝わることは、感覚的にも納得できるでしょう。

ところが、真空中の光速の観測値は、大気中の音速の100万倍、鉄塊と比べても5万倍も速いのです。するとエーテルとは、鉄よりもダイアモンドよりも、はるかに硬い固体で、天体も我々も、その中を動いているのでしょうか? しかも、何も感じることなく??

ここで、もし科学理論に矛盾が許されないなら、18世紀の人は、

1.光波動説を棄却する
2.波動理論を棄却する

このどちらかしか選択肢はなかったはずです。しかし、現実にはどちらも起こりませんでした。18世紀は光粒子説が優勢で、もともと支持が少なかった波動説は、上記の問題でさらに支持が減ったでしょうが、依然として波動説を唱える人はいたし、疑似科学者と呼ばれもしませんでした。そして1801年に行われた2重スリット実験で大転回が起こり、19世紀は光波動説が支配したのです。ちなみに、波動説が主流になった1801年時点でも、まだエーテルの矛盾は解消されてません。その解消は、1820年代以降の、電磁場の発見を待たねばなりませんでした。




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