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ID再考 & 科学と疑似科学とを判別する

19Ken:2024/02/10(土) 18:30:28 ID:j5b29EhE
第3の違反例は、鳥の進化に関する仮説です。冒頭で述べた、鳥の進化をIDで説明する試みは、これが基礎になっています。

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基準02の違反事例として、コペルニクスの地動説と18世紀までの光の正体論争を挙げましたが、今度は継続中の論争を例にとります。私はIDで進化した可能性が最も高いのは鳥の飛行能力の獲得と考えてますが、今それは措いて、自然選択がこれをどう説明してるかを語りましょう。情報源はウィキペディアの記事です。
en.wikipedia.org/wiki/Origin_of_avian_flight

ここで語られる飛行能力にいたる仮説は4つです。まず「走行モデル(Cursorial model)」では鳥の先祖は地上を走る小型恐竜で、ときどき跳躍し、跳躍時に羽毛を持つ腕をはばたいて推進力を加えていたのが、進化を重ねて飛行能力にいたったというものです。たしかに始祖鳥の骨格に地上を走る2足恐竜との共通点が多いことは指摘されてますから、そのような恐竜が鳥に進化したと考えるのは合理的です。この仮説には体の特徴という根拠があるから、基準02違反ではありません。

問題はこのモデルでは力学的な無理があることで、「Cursorial model」の項目の後半でそれが語られています。足で走る動物は足で地を蹴る回数を増やし空気抵抗を減らすことで加速するので、翼を広げて跳躍すれば瞬時に減速するしバランスも保持できません。本物の飛行能力を獲得すればよいとして、それまでは跳躍も羽ばたきも障害にしかなりません。もし何かの理由で跳躍しても、翼はできるだけたたんで空気抵抗を減らすのが合理的です。加えて、走るときの前肢は交互に動くが、飛ぶときの翼は左右同じ動きをするから、後者は前者の進化の結果とは思えません。

この走行モデルの対立仮説として提唱されるのが「樹上モデル(Arboreal model)」で、ムササビのように木から木へ飛び移ったり地上に落下するときに、羽根があれば距離を延ばしたり運動を制御できるので、それを利点として進化を重ね飛行能力にいたったというものです。これなら走行モデルのような力学的な無理はありません。

では、樹上モデルの証拠はなんでしょうか? 鳥の先祖が樹上生物なら、樹上生物としての特徴をもつのでしょうが、始祖鳥と構造的な共通点があるのは地上を走る2足恐竜なのです。また樹上モデルの根拠になりうる観測事象として樹上にあったことを示す巣が考えられます。恐竜の中には巣が発見されているものがありますから、明らかに樹上にあった巣がみつかり、その生物が鳥につながる構造をもっていれば樹上モデルの証拠になりますが、そんな巣は発見されてません。

結局、走行モデルの証拠に匹敵するような、樹上モデルの証拠は見つかっていないのです。鳥と同構造の翼を持つのは始祖鳥で、始祖鳥と同構造の骨格を持つのが地上を走る恐竜だから、恐竜→始祖鳥→鳥という進化のラインが想定されるのに、あえて樹上モデルを唱える理由は上記の力学にあります。

でも物証がある走行モデルに難点があるから、物証のない樹上モデルを唱えるなら、あきらかに基準02違反でしょう。




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