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疫学とは何か
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diamonds8888x
:2009/09/13(日) 15:01:34 ID:jC5pDkG6
Ref.1) 中村好一「基礎から学ぶ楽しい疫学」医学書院(2005/12)
Ref.2) 津田敏秀「市民のための疫学入門―医学ニュースから環境裁判まで」緑風出版 (2003/10)
Ref.3) 内井惣七「科学哲学入門―科学の方法・科学の目的」世界思想社(1995)
Ref.1とRef.2をざっと読みました。Ref.1は疫学を学ぼうとする学生向けの標準的な良い教科書と見ました。しかし、分野外の人間が疫学リテラシーを身につけることを求めて読むにはRef.2が圧倒的に優れていました。分野外の人間の私が言うのだから間違いありません キッパリ。
1〜4章で実例から入る導入が非常にうまく初心者に優しいです。それでいて11章に渡り多様な観点からのポイントを押さえた解説があり、これ一冊をしっかり読み込めば必要なだけの疫学リテラシーは身に付くでしょう。初心者向けにこれほどしっかりとしかも読みやすく書かれた教科書は他の分野でもあまり見たことがありません。
「疫学の結果は統計的相関だけで確実じゃない」といったネガキャンには古典的な0か1かのみの科学理論観があるのですが、その克服の難しさをサリドマイド事件を例に取り示しているのが説得力があります。導入部の水俣病やカネミ油症の初動対策遅れにも、この克服の難しさが指摘されています。近代的な確率的因果関係の論理は具体的に例示されればわかる人にはわかるのですが、まとめて一般的に説明しようとすると科学哲学の成果に頼るのがやりやすいのです。著者がそこもしっかり心得ていることは文章のそこかしこに現れており、7〜10章ではもろに科学哲学的解説が入っています。10章の「因果関係の判断基準」はまさにデジャ・ビュー、Ref.3の2.6に書かれているJ.S.ミルの「5つのカノン」ですね。少し項目に違いはありますが。
コラムと5章では疫学の歴史と発展にも筆が割かれていて、なかなかに感動的です。
11
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diamonds8888x
:2009/09/13(日) 15:02:20 ID:jC5pDkG6
最新の疫学ニュースを発信している人がいますね。これは参考になりそう。
ttp://metamedica.web.fc2.com/ 旧HP
ttp://blog.livedoor.jp/ytsubono/ ブログ
12
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diamonds8888x
:2009/09/23(水) 15:23:36 ID:jC5pDkG6
Ref.1の2章に「観察している指標が割合か,比か,率かを常に意識する」というポイントがありましたので、「よっしゃ、読む前に定義を当てよう」と思って下記の解答をしました。
割合; 部分集合の量(個数)÷全体集合の量(個数)
比; 次元が同じ量同士の割り算の結果
率; 次元が違う量同士の割り算の結果
Ref.1での定義は、
割合; 全体の中で特定の特徴をもつ者が占める部分の大きさ
比; 異なるもの同士を割り算で比較したもの。例えば性比。
率; 比の特殊な形で,分母が時間になったもの。事象が生じる速さを示す。
なるほど、指標一般の分類ではなく「頻度」特に「疾病頻度」の分類なのでした。「異なるもの同士」とは「異なる集団に関する量同士」という意味で、割り算する2つの量の次元はどちらも「個体数」で同じです。率の分母が時間限定なのは、時間以外の量が分母に来る指標が、ここでは対象にないからでしょう。暴露量が絡んでくる半数致死量とか線量当たりの発癌率とかだと時間以外の次元の量が計算に入りますが、ここでは直接的頻度だけが対象ですから。
観察する空間を数学的に抽象化すると、時間軸と他方の軸の2つの軸で表せますが、他方の軸の各点には各個体が当てはまり、これらの点の間には順序も距離もなく、これは単なる名義尺度と言えます。各点は時間軸に沿って始点も終点もそれぞれに時間的位置が異なる有限の長さを持ち、その中に暴露なり罹患なりのイベントを点として持ちます。そして対象となるのは同じ時間位置で切った断面内での各点を分類したときの頻度です。名義尺度である他方の軸の値(各個体そのもの)ではありません。
実用的にはごく普通に使われる空間だけど、数学的空間としては数学分野にあまり出てこないような気がする。ちょっとおもしろい気づきでした。
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