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信仰は役に立つか

159パンナコッタ:2008/02/22(金) 16:14:23
 【法則1】 宗教は社会現象である。

宗教は、人間の相互作用(コミュニケーション)から生まれた社会現象である。
したがって、それぞれの社会・時代・地域によって、その内容は変化するものである。
  まず、宗教社会学の大前提からお話しましょう。
神の存在や宗教的体験についての意見は、大きく二つにわかれます。ひとつは、神のイメージや宗教的体験は、脳の中にプログラムされたもので、
実際には存在しないという立場で、これをかりに「唯脳論」(ゆいのうろん)と呼んでおきましょう。もうひとつの立場は、
「いや、神や宗教体験は実在する」というものです。これを「実在論」と呼んでおきます。
 さて、学問的に考えた場合、このいずれにも問題点があります。唯脳論についていえば、たしかに、宗教体験や神のイメージは、脳の中の構造と密接に関係があります。
しかし、人間が集団をつくって、それぞれの文化のなかで、さまざまな宗教を生み出していくプロセスは、単純に脳の中のプログラムに還元して説明することはできません。
また、実在論が主張する神の存在も実証不可能で、学問的な議論にはなじみません。
  そこで、第三の立場が求められます。つまり、宗教という現象は、人間の相互作用(コミュニケーション)から生まれた社会現象である、という見方です。
では、「社会現象」とは何でしょうか。「自然現象」と対比させてみましょう。
 テルテル坊主を作って、雨が降らないように願うことや、雨乞いの儀式をする、アフリカのある部族を想像してみましょう。いくら願おうとも、降るときは降る、
降らないときは降らない、というほかありません。人間の願いや祈り、思いや解釈は、直接、自然の動きには影響を及ぼしません。自然現象は、基本的には、自然の摂理にしたがって動いているのです。
しかし、「社会現象」、つまり人間の相互作用から生まれた現象は、さまざまな人々の思惑や解釈によって影響されます。宗教も、そのような社会現象のひとつであると考えられます。
したがって、人間が作った宗教は、人間によってになわれている以上、それぞれの社会、時代、地域などの状況に影響されて変化する、ということができます。
しばしば誤解されているように、ブッダやキリストの教えが、現代にそのままのかたちで伝わっている、などということはありえません。宗教は、必ず人間の相互作用の中で変化するものなのです。

 【法則1-1】

    宗教とは、本来自明ではない超自然的なものに関する事柄を自明なものに変換し、人々をそのようにふるまわせる社会的装置である。

では、「宗教」をどのように定義すればよいかでしょうか(実は、宗教の定義は学者の数だけある、といわれている)。一般の辞書類にのせられている定義の最大公約数をとれば、
「神仏などの超自然的な存在に関する教義・信仰・儀礼・組織」などということになります。
しかし、もうすこし別の角度から、宗教の本質に即した定義を考えてみると、【法則1-1】のようになります。 
神や(大乗仏教以降に神格化された)仏の存在やそれらによる救いは、もともと「自明」(あたりまえ)ではありません。しかし、宗教はそれを不問に伏して、自明のことにすることからはじまります。
また、人々も自明のこととしてふるまいます。
さて、このように人々の心やふるまいを、ある方向にむけさせる仕組みが宗教です。それは、人間が作り出したしくみ(装置)であり、その意味で「社会的」装置といえます。
  この宗教というシステムは、「ハードウェア」「ソフトウェア」「実践」の三つからなるといえます。「ハードウェア」と「ソフトウェア」はコンピュータの用語です。
MDをもっていても、MDプレーヤーがなければ音楽は聞けません。逆に、MDプレーヤーがあってもMDがなければ音楽が聞けません。
このように、ハード(ここではMDプレーヤー)とソフト(MD)は、常に連動しています。 ハードウェアとソフトウェアは連動し、ともに信仰に信憑性(もっともらしさ)をあたえ、
組織を維持するための「道具立て」の役割をはたします。そして、この両者をつなぐのが、人間の身体的な動作(実践)です。
 この図式にしたがうならば、新しい儀礼用具の導入は、そのモノに対する教義上の意味づけを必要とし、それが使用される儀礼全体のありかたや身体の動作も変化する。
逆に、思想面での変化は、その思想を補強し、信憑性をあたえるような場所やモノを必要とし、新しい思想に適合した儀礼の実践を生むことになります。
  (岩井洋 関西国際大学人間学部助教授 宗教の法則より引用)


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