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従軍慰安婦についてpart.2

1Doronpa </b><font color=#FF0000>(gX8zASqw)</font><b>:2004/02/19(木) 22:45
前スレが1000レスを超えたのでpart.2を作りました。
慰安婦関連の話題はこちらでどうぞ。
なお、慰安婦関連のうちクマラスワミ報告書については別スレを建てていますのでそちらへどうぞ。

従軍慰安婦について
http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/study/3500/1065478509/
従軍売春婦問題「クマラスワミ報告」について考える
http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/study/3500/1076579427/

114通行人A:2004/03/04(木) 19:35
>>108
> 日本人は大日本帝国憲法によって参政権を享受できるはずですが、それは内地に居住してい
>るかぎりのことであって、朝鮮や台湾に移り住むと、その権利を行使できない状態に置かれま
>す。ところが、義務の方は負わなければいけない。日本人の男子の場合、戸籍法にもとづき戸
>籍に登録されますから、兵役法の規定により、たとえ朝鮮、台湾に住んでいても徴兵の義務は
>免れません。税金も同様です。日本の議会で成立した税法はだいたいがそのまま朝鮮、台湾に
>も適用されます。

>>89をちゃんと読んでます?
参政権だけが権利ではありません。
ちゃんと行政サービス(教育やインフラ整備)を受けています。
それから、朝鮮における徴兵の開始は1944年からで、次回の選挙から朝鮮でも選挙ができるはずでした。

つまり、”実質的に参政権が与えられていなかった間は、実際に徴兵に義務は免除されていました。”

当時の権利と義務の関係は
参政権と徴兵役(現在では日本国籍のみでOK)、
戸籍登録をし納税する義務を果たす代わりに行政サービスを受ける権利が発生。(これは現在も同じ)
ちゃんと義務に応じて権利が認められています。

あと、日韓併合条約(韓国側からの申し出)による併合で、いわゆる植民地とは異なります。
だいたい、どこに植民地の人間が国会議員に選出されたり、陸軍中将に抜擢されたりする国があるんですか?

これ以上は、>>104のリンク先でどうぞ。

115nobu2020:2004/03/04(木) 22:24
>>109 過客さん


北京の中華民国臨時政府(1937年12月14日成立)と南京の中華民国維新政府
(1938年3月28日成立)については知りませんでした。

後学のために、お聞きします。

日本としては、どちらの政府を公式に支那の正統政府として認証していたので
すか?日本政府はその政府を承認すると宣言していますか?

その政府は日本以外の国から承認されているのですか?

その政府とは戦争状態ではないので、日本軍が行動するためには当然何らかの
条約、協定が結ばれていると思いますが、そのような条約や協定があるのです
か?


>なお、租界以外の地域では、領事館の行政権は中国在住の日本帝国臣民(ただ
>し軍関係者は除外)のみに及ぶのであって、中国人に及ぼすことはできません。

慰安所業者や慰安婦は日本帝国臣民ですが。

>それから、中国との条約によって、日本人は条約に定める開港地、開市地以外
>では営業権を有していません。開港地、開市地以外の占領地で日本人が営業を
>すること自体がじつは条約=国際法違反なのです。

戦時国際法や国際慣習法で、占領地では、当該地域の法令をできるだけ遵守しな
ければならないが、占領軍の安全及び秩序の維持のため、軍事上及び行政上必要
と認められる事項を自己の裁量にて随時制定し、施行することは認めています。
なお、この対象は自国民だけではありません。

>>領事館等が管轄できない占領地に於いては、占領地の部隊が
>>自国民を保護し、国内法に準じて行政をする。
>ことが軍に許されるのは、いかなる国内法上の根拠によるのか、それをお聞きしたかっ
>たのです。

すぐ上に書いた、戦時国際法や国際慣習法が根拠です。国内法には拠りません。


過客さん >>111 >>112 >>113 については、後日に返事をさせてください。
今日は休みで、昨夜は遅くまで書き込みができましたが、明日早いので。
できるだけ早く回答するようにします。

116M2P:2004/03/04(木) 23:23
売店の業者について過客さんの説を区分けして考えます。

1 自衛隊の依託売店は、自衛隊が隊員の福利厚生のために設けた、自衛隊の施設である。
2 経営は民間の業者に委託されており、自衛隊が直接経営しているわけではない。
3 依託業者と自衛隊との間には業務委託契約が成立している
4 売店の従業員と防衛庁との間には雇用関係は存在しない。
5 委託業者は防衛庁との契約条項にしたがう
6 業者は自衛隊の定める営内諸規則及び売店の営業規則や利用規則にしたがわなければならない。
7 従業員は防衛庁との雇用関係により拘束されるものではない
8 従業員は自衛隊の定める営内緒規則に従わなければいけない。

簡単なほうから2、3、4、5、7はそのまま成立すると思います。
6、8の2点について「自衛隊の定める営内諸規則」に従う義務ですが、
これは必ずしも当てはまりません。
例えば自衛官であれば制服(つまり仕事中)であろうが私服(代休など)であろうが
国旗掲揚・降下の時には国旗に対して正対して敬礼しますが
業者にはそんな必要はありません。
隊内の道路の速度制限などその一部は業者にも適用されますが
大半は適用外と考えます。

問題は1の部分です。
現状ではそう見えないこともないですがことはそう簡単ではありません。
近年まで、自衛隊にある売店は「直営売店」と「委託売店」の2つが存在していました。
直営売店は自衛隊が自衛官の福利厚生のために設けた自衛隊の施設でした。
「でした」と過去形になっているのは国鉄や電電公社と同じく親方日の丸では
赤字となってしまい多くは成り立たなくなってしまったからです。
その穴を埋める形で、本来直営売店で行うべき福利厚生業務の一部を
拡大した委託売店が受け持つこととなりました。
では、この委託売店は如何にして生まれたか?
更に過去をさかのぼると「隊内売店」と「隊外売店」と呼ばれる施設がありました。
隊内売店とは直営売店と同義とお考えください。
自衛隊ができると自衛官(家族含む)の落とす金を目当てに自衛隊のそばに
各種の店ができました。
これが通称「隊外売店」と呼ばれることとなります。
このうちの一部が「隊内」の施設を借り受けることとなります。
隊外売店から委託売店になったものの、自衛官主体(家族は普通駐屯地に
買い物に来ませんから)だけでは経営が成り立たず、再び外に出て
地域商店となるもの、残るもの、様々です。
経緯を考えると「自衛隊の施設」ではなく「自衛隊の許可による出入り業者」が
本来の姿ではないかと思います。

117たまご </b><font color=#FF0000>(Ff25ZJps)</font><b>:2004/03/05(金) 01:22
>>過客氏

>1.横田基地のレストランの従業員は性的サービスを提供するものではない。(従事する業
>務内容が大きく異なる。これはあたりまえのことですが、募集の問題を考える時に大きな
>差異を生じさせます)

もちろんレストランと性的サービスは業務内容が大きく異なりますね。
しかし、この過客氏の発言をどう解釈してよいのかわかりません。
「横田基地内のレストランは、軍慰安所と同様のものと言ってよい。両者の求人広告の
内容も近い。しかし募集主体云々は業務内容次第である。」という意味でしょうか?

>2.横田基地のレストランで働く従業員は、その基地の存在する現地で募集される(ほとんど
>が日本人であって、アメリカ国籍をもつことが条件とされることはない)。ところが中国で
>働く慰安婦の場合は、日本国籍を持つことが、優先条件とされた。そのため、募集は日本帝
>国内で行われ、さらに慰安婦を現地まで輸送する必要があった。

申し訳ありません。こちらも前半部分で仰しゃる意味がよくわからないのですが、
「その基地の存在する現地」とは「横田基地内のレストラン」という意味でしょうか?

1.横田基地内のレストランを経営する企業が従業員を募集
2.採用試験等
3.採用された従業員が横田基地内に入れるよう手続きをとる

1及び2は基地外で行われるべきものであると考えておりますが・・・。
面接や簡単な試験もあるでしょう。場合によっては説明会もあるでしょう。
これらに参加する人全てが基地内に入れるように手続きをとるのですか?

118通行人A:2004/03/05(金) 20:16
>>105
> 戦時に軍が物資やサービスを購入した際の受け取りなどというのは、ほとんど
>見たことがありません。

そっちじゃなくて、在庫管理に近い意味合いのほう。

>少なくとも軍慰安所の建物そのものは、「軍の施設」であることはお認めになるのです
>ね。一歩前進。

ちゃいます。
建物は軍の施設じゃないよ。軍が地元住民から接収したり借りたりといった建物です。
過客さんの定義だと軍が占有権を持っていればどんな物でも軍の施設と呼ぶのでしょうか?
その定義付けでしたら確かに軍の施設かもしれませんね。

> これって、考えれば実に奇妙なことじゃありませんか。しかし、通行人Aさんの説
>明では、なぜ軍が民間の売春施設にすぎないものを「軍慰安所」と呼んで、平然とし
>ていられるのか、まったく説明できません。

軍の取材を専門としているのが、(従)軍記者ですから、
軍人(軍出入りの民間人(軍記者なども含む))専門の慰安所を軍慰安所と呼んで何かおかしいでしょうか?
学食だって学生用の食堂だから、学生食堂ですよ。

> PXや酒保と同様に、軍慰安所も軍の施設であり、ただその業務が民間の業者に委託
>されていたと、理解して、少しも問題はないと考えます。

軍は酒保や慰安所に業務委託などしてないよ。どっちも軍の業務ではないから委託することはありえません。
軍の業務ではないから、業者に依託したのですよ。

委託と依託は微妙に意味が違うから使い方に注意しましょう。

>>108
書き忘れ
> 同じ日本人が、同じ大日本帝国の版図内に住んでいるのに、住んでいる地域によって、享受
>できる権利が全然異なる。この時、その権利を失う特殊な地域を、人は何と呼んできたか。
>そうです。植民地です。

歴史を一点ではなく流れで見ると、植民地と併合の移行期の違いがわかります。
併合の移行期で植民地と似たような状態であったが正解。
これ以降は>>104リンク先で

119過客:2004/03/05(金) 21:13
>>114 通行人Aさん

>>108をちゃんと読んで下さい。

 私は朝鮮人や台湾人ではなくて、朝鮮、台湾在住の日本人の権利と義務について論じています。
朝鮮、台湾に住む日本人男子は、内地在住の日本人男子と同様、徴兵の義務を免れていません。
にもかかわらず、参政権は行使できませんでした。

 朝鮮、台湾在住日本人男子の兵役については、兵役法および兵役法施行令を参照して下さい。

>これ以上は、>>104のリンク先でどうぞ。

 せっかくのお誘いですが、私は「軍慰安所は軍の施設か民間施設か」という問題で手が一杯です
ので、遠慮させていただくことにします。

120過客:2004/03/05(金) 21:14
>>115 nobu2020さん


>北京の中華民国臨時政府(1937年12月14日成立)と南京の中華民国維新政府
>(1938年3月28日成立)については知りませんでした。
(略)
>日本としては、どちらの政府を公式に支那の正統政府として認証していたので
>すか?日本政府はその政府を承認すると宣言していますか?

 日中戦争の初期、日本政府と軍の中国占領地に対する方針は「分治合作」主義
でした。「分治合作」とは、中央集権的な中央政府をおかずに、地方毎に親日政
権をつくり、その親日政権が緩やかな連合体を構成するという政権イメージです。
ですから、日本側からも見れば、臨時政府と維新政府のどちらが正統かなどという
ことは、そもそも問題になりません。どちらもその地域の「正統政府」として扱
われます。
 1938年9月には、両政府が連合して中華民国政府連合委員会が設立されます(北
京に設置)。
 この「分治合作」主義は、たとえば1938年7月に、首相、陸相、海相、外相、蔵
相からなる五相会議で決定された「支那政権内面指導大綱」の「政治及外交」の項
に、次のようなかたちで出てきます。

「一、連合委員会若しくは新中央政府の下に北支、中支、蒙疆等各地域毎に其特殊
性に即応する地方政権を組織し、広範なる自治権を与えて分治合作を行わしむ」

 中華民国臨時政府ないし維新政府のいずれかを中国の中央政府として正式に承認
することは「分治合作」主義からすれば、ありえないわけです。

 でも、臨時政府の成立にあたって、寺内寿一北支那方面軍司令官は「北支民衆に
告ぐ」という告示を出し、

「今次幸いにして名流有識の士、奮起して北京に中華民国臨時政府を樹立、党人の
専政、容共を排し、極東の平和、同胞の救済、東方道徳の高揚、友邦との敦睦を期
しつつあるは洵に慶賀に堪えず、皇軍はこの健全なる発達に十分支持、援助するに
やぶさかならず」

と臨時政府への支援を表明しています。

 また連合委員会の成立式には、日本側から軍部代表の寺内司令官代理喜多誠一少
将(北支方面軍特務部長)、大使館代表の堀内謙介大使館参事官以下数十名が日本
側代表として出席しました。

 また有名な、1938年1月16日の「国民政府を対手とせず」声明には、

「よって帝国政府は爾後国民政府を対手とせず、帝国と真に提携するに足る新興
支那政権の成立発展を期待し、是と両国国交を調整して更正新支那の建設に協力
せんとす」

とあります。この「新興支那政権」とは臨時政府及びそれに続く親日政権を想定
されています。
 また、1938年5月には、臨時政府の主席が来日し、近衛首相と会談しています。

 日本政府がこの新政権を正式に承認するのは、連合委員会が汪兆銘の新国民政府
と合流してからあとのことになりますが、上記のことからして、実質的な承認は与
えていたとみてよいでしょう。

>その政府は日本以外の国から承認されているのですか?

 日本の正式承認そのものが汪兆銘時代になってからのことですから、それまでは
日本以外の国の承認はありません。汪兆銘時代になって満州国が承認します。

>その政府とは戦争状態ではないので、日本軍が行動するためには当然何らかの
>条約、協定が結ばれていると思いますが、そのような条約や協定があるのです
か?

 日本軍の軍事行動についての協定はありません。日本側は防共軍事同盟を結ん
で日本軍の駐屯を永続化することを考えていたのですが、そのような協定が条約
化されるのは、これも汪兆銘時代です。それまでは条約や協定ではなく、日本軍
がおこなう「内面指導」により日本軍に協力させていたのです。
 なお、臨時政権との間には、政治・法制・軍事の日本人顧問を置く協定が結ば
れています(1938年4月)。また、華北の経済開発を日本に委ねるために「日華
経済協議会設置に関する協定」も締結されました。

 それはともかく、占領地に名目的であれ親日政権が樹立され、日本軍はこれを
支援しているわけですら、それらの親日政権の存在を国際法的に否認することに
なる占領地行政=軍政を日本軍は戦時国際法にしたがって、公然と行うことがで
きないのです。自分で自分の手を縛ったかたちになっているのっです。

121過客:2004/03/05(金) 21:19
>>116 M2Pさん

>売店の業者について過客さんの説を区分けして考えます。

>1 自衛隊の依託売店は、自衛隊が隊員の福利厚生のために設けた、自衛隊の施設である。
>2 経営は民間の業者に委託されており、自衛隊が直接経営しているわけではない。
>3 依託業者と自衛隊との間には業務委託契約が成立している
>4 売店の従業員と防衛庁との間には雇用関係は存在しない。
>5 委託業者は防衛庁との契約条項にしたがう
>6 業者は自衛隊の定める営内諸規則及び売店の営業規則や利用規則にしたがわなければならない。
>7 従業員は防衛庁との雇用関係により拘束されるものではない
>8 従業員は自衛隊の定める営内緒規則に従わなければいけない。

>簡単なほうから2、3、4、5、7はそのまま成立すると思います。

 ありがとうございました。私にとっては3、5が大事なのです。

>6、8の2点について「自衛隊の定める営内諸規則」に従う義務ですが、
>これは必ずしも当てはまりません。
>例えば自衛官であれば制服(つまり仕事中)であろうが私服(代休など)であろうが
>国旗掲揚・降下の時には国旗に対して正対して敬礼しますが
>業者にはそんな必要はありません。

 これは私のまちがいですね。M2Pさんの>>88のことが頭にあって、業者と従業員は
入出門に関する営内規則にしたがわなければならないのを、あたかもすべての営内
規則にしたがわなければならないかのように、書いてしまいました。

正確には、「業者と従業員は防衛庁職員と自衛隊員以外の者が営内において守らな
ければならない諸規則にしたがう」でしょうが、これだと、依託売店の業者のみな
らず一般の民間人も変わりませんから、とくに上げる必要もないかもしれません。

>問題は1の部分です。
>現状ではそう見えないこともないですがことはそう簡単ではありません。
>近年まで、自衛隊にある売店は「直営売店」と「委託売店」の2つが存在していました。
>直営売店は自衛隊が自衛官の福利厚生のために設けた自衛隊の施設でした。
>「でした」と過去形になっているのは国鉄や電電公社と同じく親方日の丸では
>赤字となってしまい多くは成り立たなくなってしまったからです。
>その穴を埋める形で、本来直営売店で行うべき福利厚生業務の一部を
>拡大した委託売店が受け持つこととなりました。

 そのかぎりでは、「委託売店」は自衛官の福利厚生施設のために設けられた「自
衛隊の施設」である「直営売店」の機能をそのまま受け継いでいるのですから、自
衛隊員のために自衛隊が設置している福利厚生施設であることにちがいはないと思
われます。

122過客:2004/03/05(金) 21:20
>>116 M2Pさん

>更に過去をさかのぼると「隊内売店」と「隊外売店」と呼ばれる施設がありました。
>隊内売店とは直営売店と同義とお考えください。
>自衛隊ができると自衛官(家族含む)の落とす金を目当てに自衛隊のそばに
>各種の店ができました。
>これが通称「隊外売店」と呼ばれることとなります。

 念のためにお尋ねしますが、「隊外売店」は純然たる「民間の施設」ですよね。
つまり、駐屯地外にはあるが、防衛庁がその土地・建物を民間に賃貸して、自衛官
のために営業させている民間の商店であったということはありませんですよね。普
通の商店と同じ、防衛庁とは無関係の売店で、もっぱら自衛隊員を顧客にしている
にすぎないものだと受け取ってかまいませんね。

>このうちの一部が「隊内」の施設を借り受けることとなります。

 ここで「隊外売店」の業者が自衛隊の土地と建物を使用して、営内で商売をはじ
めるわけですが、問題は、その時の業者と自衛隊の契約関係がどのようなものであ
ったのか、にあると思います。
 自衛隊の福利厚生施設である売店業務を委託する契約が結ばれたのか、それとも
ただたんに商店に土地・建物の利用を許す貸借契約が結ばれたのか。

 自衛隊のことはまったく知りませんので、推測にすぎませんが、私は自衛隊とい
うものの性格上、隊員の福利厚生というたてまえをはずして、民間の業者に自衛隊
の駐屯地内の土地・建物を貸すことは、よほどの事情がないかぎり、ありえないと
思います。

 たんに民間の小売商に土地・建物を貸して、営業を認めているにすぎないのであ
れば、自衛隊はその売店で買い物をするだけを目的の民間人に対し駐屯地内に入る
のを拒否できなくなります。
 近所の子供が売店でお菓子を買いたいので、入門させて下さいと申請したら、認
めざるを得ない。そうしないと、営業妨害で訴えられかねない(笑)。

 でも、自衛隊としてはそんなこと認めるわけにはいかないでしょう。とすると、
売店の営業に対してきちんと契約で縛りをかけておかねばいけないわけで、売店は
専ら隊員の福利厚生のための施設であり、とくに駐屯地内で営業を認めるという理
由づけがここで効いてくるのだと思います。

 そして、「自衛隊員のための福利厚生施設」である以上、これは「自衛隊の施設」
とみなさざるをえないというのが、私の解釈です。

123過客:2004/03/05(金) 21:21
>>117 たまごさん


>>1.横田基地のレストランの従業員は性的サービスを提供するものではない。(従事する業
>>務内容が大きく異なる。これはあたりまえのことですが、募集の問題を考える時に大きな
>差異を生じさせます)

>もちろんレストランと性的サービスは業務内容が大きく異なりますね。
>しかし、この過客氏の発言をどう解釈してよいのかわかりません。
>「横田基地内のレストランは、軍慰安所と同様のものと言ってよい。両者の求人広告の
>内容も近い。しかし募集主体云々は業務内容次第である。」という意味でしょうか?


 かなりくたびれてきたので、簡単にさせていただきます。横田基地のレストランと軍慰安所
は、民間業者に業務委託された軍の福利厚生施設だという点では共通していますが、軍慰安所
の慰安婦の募集について現在知られている資料からわかるのは、およそ横田基地のレストラン
の従業員の募集のケースでは絶対起こらないような事柄が生じていたという事実なのです。
 その一例が、第21軍の警保局へのじきじきの要請です。ほかにもあります。
 なぜ、こんなちがいが生じるのか、その原因を考えると、左記に私があげた1と2に行き当
たると、私は考えたわけです。

>>2.横田基地のレストランで働く従業員は、その基地の存在する現地で募集される(ほとんど
>>が日本人であって、アメリカ国籍をもつことが条件とされることはない)。ところが中国で
>>働く慰安婦の場合は、日本国籍を持つことが、優先条件とされた。そのため、募集は日本帝
>>国内で行われ、さらに慰安婦を現地まで輸送する必要があった。

>申し訳ありません。こちらも前半部分で仰しゃる意味がよくわからないのですが、
>「その基地の存在する現地」とは「横田基地内のレストラン」という意味でしょうか?

 これは私の説明不足だったようです。「その基地の存在する現地」とは、横田基地周辺、ある
いは東京都、神奈川県、広く言えば日本です。求人する業者が想定している求人範囲内の日本の
地域ということです。
 在日米軍およびその将兵は、日本人の作った料理なんか安心して食べられない。レストランの
従業員は日本人じゃなくて、全員アメリカ人でなきゃいやだ、なんて言わないでしょう。だから、
業者も現地すなわち日本の会社だろうし、業者の募集する従業員も現地人=日本人のはずです。

 しかし、軍慰安所はそれとちがって、業者から従業員まですべて本国人(日本帝国臣民)をよん
でくるということになったのです。

 これは大きなちがいだと、私には思われます。

124卯の花 </b><font color=#FF0000>(Iccc0kuw)</font><b>:2004/03/05(金) 23:34
久しぶりに書き込みます。
私はひたすら勉強するばかりですが、質問いいでしょうか?

>過客氏
> これは私の説明不足だったようです。「その基地の存在する現地」とは、横田基地周辺、ある
>いは東京都、神奈川県、広く言えば日本です。求人する業者が想定している求人範囲内の日本の
>地域ということです。
> 在日米軍およびその将兵は、日本人の作った料理なんか安心して食べられない。レストランの
>従業員は日本人じゃなくて、全員アメリカ人でなきゃいやだ、なんて言わないでしょう。だから、
>業者も現地すなわち日本の会社だろうし、業者の募集する従業員も現地人=日本人のはずです。

> しかし、軍慰安所はそれとちがって、業者から従業員まですべて本国人(日本帝国臣民)をよん
>でくるということになったのです。

> これは大きなちがいだと、私には思われます。
違いがあることは分かるのですが、何か問題なのでしょうか?
現在の日米関係は同盟関係にある国同士であり、当時の日中関係は
領事館が設置されていたとは言え、安心して任せうる状態では無かっ
たと思うのですが。

背景が異なればこのあたりが違ってきて何も不思議が無いのではない
でしょうか?

このことについてわざわざ「大きなちがい」とおっしゃるには、それ
だけの理由がおありと思われますが。

125たまご </b><font color=#FF0000>(Ff25ZJps)</font><b>:2004/03/06(土) 00:17
>>過客氏
おかげさまで私の疑問もだいぶすっきりしてきました。ありがとうございます。

>これは私の説明不足だったようです。「その基地の存在する現地」とは、横田基地周辺、ある
>いは東京都、神奈川県、広く言えば日本です。求人する業者が想定している求人範囲内の日本の
>地域ということです。
> 在日米軍およびその将兵は、日本人の作った料理なんか安心して食べられない。レストランの
>従業員は日本人じゃなくて、全員アメリカ人でなきゃいやだ、なんて言わないでしょう。だから、
>業者も現地すなわち日本の会社だろうし、業者の募集する従業員も現地人=日本人のはずです。

仰せの通りだと思います。
ところで、なぜ横田基地のレストランと同じように、慰安婦募集は現地(中国)で行われなかっ
たのでしょう?
業者も慰安婦もすべて中国人であれば、「第21軍の警保局へのじきじきの要請」も必要なかった
のかと思います。
しかし、さすがにそれはまずいですね。
まずいからこそ、「横田基地のレストランの従業員募集においては絶対に起こり得ないこと」が
起きたのではないかと思っております。

仮に旧日本軍の中国における慰安婦募集と同様、横田基地のレストランの従業員募集が日本国内で
行われることに問題があったら、本来絶対に起こり得ないことも起こってしまうかもしれません。
いずれにしても、この場合業者はアメリカ本国の企業になるでしょうし、従業員はアメリカ人に
なると思います。従業員の募集はアメリカ本国で行われ、従業員の移送等について問題があれば
関係各局との協議も必要でしょう。
しかしながら、横田基地とレストランとのの関係については、軍対民間企業の関係という意味で
本質的には変わりないと思いますがいかがでしょうか?

126M2P:2004/03/06(土) 17:08
過客さん
>122
> 念のためにお尋ねしますが、「隊外売店」は
純然たる「民間の施設」ですよね。

この部分に関してはその通りです。少なくとも、賃借関係等は存在しません。

>>このうちの一部が「隊内」の施設を借り受けることとなります。

> ここで「隊外売店」の業者が自衛隊の土地と建物を使用して、
>営内で商売をはじめるわけですが、問題は、その時の業者と自衛隊の
契約関係がどのようなものであったのか、にあると思います。
> 自衛隊の福利厚生施設である売店業務を委託する契約が結ばれたのか、
>それともただたんに商店に土地・建物の利用を許す貸借契約が結ばれたのか。
> 自衛隊のことはまったく知りませんので、推測にすぎませんが、
>私は自衛隊というものの性格上、隊員の福利厚生というたてまえをはずして、
>民間の業者に自衛隊>の駐屯地内の土地・建物を貸すことは、
>よほどの事情がないかぎり、ありえないと思います。

この部分について解説いたします。(尚、一部私の想像も含まれております。
(その部分についてはその旨表記致します。)

まず、当時の契約関係についてはわかりません。
自衛隊を知らない方にとっては理解が困難かもしれませんが、自衛隊は何か
(これは有事、災害派遣を問いません。)突発的事項に対応するために一定の
人員(当時は、かなりの数でした)を、その駐屯地に残す必要があります。
その結果、平日、休日にかかわらず、一定数の人員が自衛隊の中に
残らなければならないのは理解頂けると思います。
当然、その人員は外出することができません。然しながら、隊外売店への
買い物は例外的に認められていたことがありました。
(ここから想像の部分です)学生運動の激化や自衛官が殺害される状況が
生起したためかこの例外は認められなくなります。
そうすると、自衛隊により生計を立てていた外に存在する民間業者は
生計が成り立たなくなります。
一方、自衛官側も民間で扱う商品が必要であり両者の利害が一致した結果
緊急避難的に隊内での営業を認めたのがそもそもの始まりではないかと
思います。
(想像ここまで)

> たんに民間の小売商に土地・建物を貸して、営業を認めているに
>すぎないのであれば、自衛隊はその売店で買い物をするだけを目的の
>民間人に対し駐屯地内に入るのを拒否できなくなります。
> 近所の子供が売店でお菓子を買いたいので、入門させて下さいと
>申請したら、認めざるを得ない。そうしないと、
>営業妨害で訴えられかねない(笑)。
> でも、自衛隊としてはそんなこと認めるわけにはいかないでしょう。
>とすると、売店の営業に対してきちんと契約で縛りをかけておかねば
>いけないわけで、売店は専ら隊員の福利厚生のための施設であり、
>とくに駐屯地内で営業を認めるという理由づけが
ここで効いてくるのだと思います。

隊員の福利厚生を目的とした自衛隊の施設であるということは
逆に言うと隊員以外にはその施設は使用できない、
つまり物品の販売ができなくなります。
例えば、駐屯地に所在するプールは隊員の福利厚生のための
自衛隊の施設であり自衛官以外が使用することはできません。
然し、自衛隊の売店はそこに出入りする民間人に対しても
物品の販売を行っています。
米軍等はそうではありません。
米軍等の場合はPXは軍人・軍属とその家族以外には
絶対に商品を売りません。(喫茶店等の飲食施設での飲食行為を除く)
海外の本来のPXの姿は軍人及びその家族に対し特権的に無税で商品を
購入する事を可能とするものです。
なお、お菓子を買いたいと言って入門を迫る子供に対し入門を拒否することが
営業妨害であるとは思いません。
入門している子供に対し、お菓子を買ってはいけないと制限すれば
営業妨害だと思いますが。

> そして、「自衛隊員のための福利厚生施設」である以上、
>これは「自衛隊の施設」とみなさざるをえないというのが、私の解釈です。

自衛隊員のための福利厚生を目的としていても、自衛隊員以外の利用が
可能である民間経営施設である以上自衛隊の施設ではないと解釈致します。

127nobu2020:2004/03/06(土) 18:08
>>120 過客さん

詳しい説明ありがとうございました。

>日中戦争の初期、日本政府と軍の中国占領地に対する方針は「分治合作」主義
>でした。

「分治合作」主義とは、初めて聞きました。これは支那事変勃発時から日本政府
と軍が持っていたの主義ですか?

結論としては、北京の中華民国臨時政府(1937年12月14日成立)と南京の中華民
国維新政府(1938年3月28日成立)の二つの政府は、支那の中央政府ではなく、一
地域の地方政権であり、自治権もなかったとの認識でよろしいのでしょうか。

過客さんと私では、かなり歴史認識が異なるようです。
それを論争しても、このスレの主題からどんどん離れますので、これについては終
わります。
日本の占領地に於いては、軍または領事館が実効支配していたということですね。

>>111についてですが、どうもかみ合っていません。
占領地においては軍が国内に準じて行政していたの意味は、占領地に於いては
軍が国内の法令や規則と同じような軍律や規則で行政していたということです。
別にこれは軍事国際法や国際慣習法に違反はしませんね。
また、この場合の占領地とは、領事館がないか、領事館が機能しない占領地
といっています。

それと、たまごさんとの陸軍刑法の議論で
>>110  (勝手に改行しています。)
>この条項は刑事法規の国外適用を定めたものですが、その結果、占領地その他に
>おける軍の警察権の行使を許容するものであるのはまちがいないでしょう。しか
>し、この規定の趣旨からすれば、それは司法警察権まであって、行政警察権まで
>含むとするのは拡大解釈だと思います。

軍の警察権を行使するのは憲兵ですね。憲兵には、国内に於いても、軍事警察権、
司法警察権、行政警察権があります。

憲兵令(明治31年勅令第337号)
第一条 憲兵ハ陸軍大臣ノ管轄ニ属シ主トシテ軍事警察ヲ掌リ兼テ行政警察、司法
警察ヲ掌ル

従って、>>112の後段の議論は成り立ちません。

「3月26日の通報」については、過客さんのおっしゃることを信じますが、できまし
たら、全文をご紹介頂けますか。
私の推測は間違っていたようなのですが、

>つまり、陸海外の三省の出先機関が、はじめて占領地での営業取締(保安警察)
>の権限区分協定を結んだ、その時点ですでに、「陸海軍に専属する酒保及慰安所は、
>陸海軍の直接経営監督取締に属すべき」ことは、当然のことだと認識されていたの
>です。

この認識はどこからきたものでしょうか。
当時すでに、国内で兵士が利用する風俗関係は憲兵が監督取締していたのでしょう
か。

128過客:2004/03/08(月) 20:43
>>118 通行人Aさん


>そっちじゃなくて、在庫管理に近い意味合いのほう。

 同じことでしょう。例えば、中支派遣軍の野戦兵器廠の在庫管理台帳のよ
うなものが現存しているのならば、是非みてみたいものです。


>>少なくとも軍慰安所の建物そのものは、「軍の施設」であることはお認めになるのです
>>ね。一歩前進。

>ちゃいます。
>建物は軍の施設じゃないよ。軍が地元住民から接収したり借りたりといった建物です。

思い出して欲しいのですが、>>78で通行人Aさんは次のように述べています。

>>やっぱ、民間資本だからかな。
>>それに建物が、軍”提供”の施設ってだけだと思いますが?
(略)
>>軍慰安所に限ってはハードウェア面だけですからね。軍の施設と呼べるのは。

 ここでの通行人Aさんの主張を書き直すと、次のようになります。

1.軍慰安所は、ハードウェアのみが「軍の施設」と呼びうる。
2.軍慰安所の建物は、軍が提供の施設である。

この2つから、誰だって、「軍慰安所のハードウェアとは、軍が提供した軍慰安所
の建物だ」と解釈します。

だから、私は、通行人Aさんも、「軍慰安所の建物そのものは、「軍の施設」だと
認めている」と結論したわけです。

 この結論のどこがおかしいのか、わかりません。少なくとも、上記の推論の範囲
では私は、その「軍慰安所の建物」が軍の所有物とも接収物ともどちらとも、言及
していません。

 その建物が軍の所有物であるという仮定が出てくるのは、その先の話で、

>>すなわち、通行人Aさんの説によれば、軍は、民間資本が経営する売春宿に、その
>>所有管理する建物を提供したにすぎない。言わば、軍は不動産の所有者で、慰安所を
>>経営する民間業者は、そのテナントである、となります。

というところです。このたとえ話で、問題の建物が仮に軍の所有物でなくて、接収され
たものだとしても、本質的な差異は生じないはずです。

 今回通行人Aさんは、「軍慰安所の建物は軍が接収したものだから、軍の施設とは言
えない」と新たな主張をされているようですが、そうすると、>>78で、指摘された

「軍の施設と呼びうる軍慰安所のハードウェア」というのは、いったい何なのですか。
是非とも知りたいところです。

>> これって、考えれば実に奇妙なことじゃありませんか。しかし、通行人Aさんの説
>>明では、なぜ軍が民間の売春施設にすぎないものを「軍慰安所」と呼んで、平然とし
>>ていられるのか、まったく説明できません。

>軍の取材を専門としているのが、(従)軍記者ですから、
>軍人(軍出入りの民間人(軍記者なども含む))専門の慰安所を軍慰安所と呼んで何かおかしいでしょうか?

 戦前において、「従軍記者」は軍の公式の用語ですが、「軍記者」はちがいます。
新聞記者仲間ではそういうジャーゴンが使われていたかもしれませんが、軍の用語
に「軍記者」などという言葉はありません。

 もちろん、「従軍記者」は「軍によって従軍を許可された新聞・雑誌記者」のこと
であって、「軍の取材を専門としている新聞・雑誌記者」を意味するものではありま
せん。戦前日本の陸海軍には、陸軍新聞も海軍新聞もありませんでしたから、民間の
新聞記者が「軍記者」を勝手に名乗ることは許されません。それこそ、軍から取材を
拒否されるにちがいない。

 軍慰安所は軍の作った将兵のための福利厚生施設=慰安所ですから、軍が軍慰安所
呼んで何の不思議もありません。しかし、民間の業者が作った売春宿が、いくら顧客
が軍関係者ばかりだからと言って軍慰安所と名乗れば、それは大問題になります。第
一、そういうものを軍自ら軍慰安所などと呼ぶのはちょっと考えにくいです。
不謹慎にもほどがあると、軍の関係者は思うでしょうね。

129過客:2004/03/08(月) 20:44
>>118 通行人Aさん


> PXや酒保と同様に、軍慰安所も軍の施設であり、ただその業務が民間の業者に委託
>されていたと、理解して、少しも問題はないと考えます。

>軍は酒保や慰安所に業務委託などしてないよ。どっちも軍の業務ではないから委託することはありえません。
>軍の業務ではないから、業者に依託したのですよ。

 軍隊内務書にも出てくる「酒保」が、軍の施設ではないとか、「酒保」の業務は軍
の業務ではないとは、これはまたじつに驚き入った珍説ですね。

 まあ、私が言っても信用されないでしょうから、酒保についての説明を引用してお
きます。

海軍のケース

http://www.warbirds.jp/ansq/7/G2000220.html
より引用

>>酒保の営業形態はどう言うものだったんですか?


>酒保に関する法令は、「酒保設置規程」(明治33年)、横須賀鎮守府酒保
>物品購買規程(大正12年)、「酒保事務細則標準」(大正14年)などが
>あるといわれておりますが、実際の運営の細部は、各艦(所轄)で定め
>ている内規によるとされます。運営は、一般に委員(士官、委員長は副
>長)と委員附(下士官)によってされます。酒保の当初設置の際には、
>乗員から醵出金による、鎮守府副官から借り受ける等(後には海仁会か
>らの借り受ける形になったかもしれません)によって、それを基金とし、
>直属上官に対する上申、許可を得て経て設置となります。なお、委員附の
>下士官はそれ専属なのではなくて、「役員」(衛兵、従兵、厠番等の類)
>として任命されるものです。そういえば、山本司令部で従兵長を勤めた
>近江さんも、確か酒保委員附の経験があったかのようなことが、阿川弘
>之「軍艦長門の生涯」に書いてあったような記憶があります。

 これからわかるように、海軍の酒保は軍人によって運用されていた完全に
「軍の施設」ですね。

陸軍のケース

http://www.s.soka.ac.jp/~ahayashi/experience/text/text14.html
より引用

>平穏であるべきハルピン酒保は決して落ち着いたものではなかった。
>前任者の乱脈な経営のために皆目何が何やら訳が解らなかった。
>大体関東軍の酒保系統は関東軍経理部が責任経営者の地位にあり、
>その下に全満に各軍隊駐屯地に営外酒保が出来ている。そしてそれ等
>の酒保はその地の駐屯地司令部の経理部(又は経理室)又は貨物廠が
>委託経営の責任を持っていた。従って酒保の責任者もその経理部から
>選出され、従業員の人事権もそれに握られていた。だからその選出さ
>れた責任者の手腕如何がその酒保の運命にかかっていた。
> ハルピン酒保は(後で聞いた事であるが)全満酒保中の伏魔殿と言
>われた。その大整理と大改革をするために私が選ばれたのであった。
(略)
>然も私は高等官待遇の嘱託と言うハルピン酒保の責任者の地位につい
>たのである。ハルピン酒保には満二年以上勤めた。

 この方は予備役の主計将校で1939年に召集されて、関東軍経理部に
所属し、1943年に除隊したあと、関東軍のハルピン酒保の支配人とし
て雇われたのです。「高等官待遇の嘱託」とあるので、身分は軍の嘱
託すなわち軍属であったと推測されます。
 この回想から明らかなように、全満洲の酒保は駐屯軍司令部の経理
部又は貨物廠が経営を委託し、その支配人の人事権をもっていたわけ
です。通行人Aさんの言に反して、酒保業務が軍から委託されること
が実際に行われていたのでした。

130過客:2004/03/08(月) 20:45
>>124 卯の花さん

>違いがあることは分かるのですが、何か問題なのでしょうか?
>現在の日米関係は同盟関係にある国同士であり、当時の日中関係は
>領事館が設置されていたとは言え、安心して任せうる状態では無かっ
>たと思うのですが。

>背景が異なればこのあたりが違ってきて何も不思議が無いのではない
>でしょうか?

>このことについてわざわざ「大きなちがい」とおっしゃるには、それ
>だけの理由がおありと思われますが。

卯の花さん、はじめまして。

>>123で、私はこう書いています。

>横田基地のレストランと軍慰安所
>は、民間業者に業務委託された軍の福利厚生施設だという点では共通していますが、軍慰安所
>の慰安婦の募集について現在知られている資料からわかるのは、およそ横田基地のレストラン
>の従業員の募集のケースでは絶対起こらないような事柄が生じていたという事実なのです。
> その一例が、第21軍の警保局へのじきじきの要請です。ほかにもあります。
> なぜ、こんなちがいが生じるのか、その原因を考えると、左記に私があげた1と2に行き当
>たると、私は考えたわけです。

 つまり、現実には横田基地のレストランの従業員募集では起こりえない
ようなことが、慰安婦の募集をめぐって生じている。その原因はどこに求
められるか、と考えたときに、現地の日本で従業員を募集できる横田のケ
ースと日本で募集して中国に送らなければいけない軍慰安所では、大きな
ちがいがあり、それが上記のような横田のケースでは考えられないような
軍の行動をまねいたのである、と考えたわけですが、それでは納得行かな
いということでしょうか。
 
 なお、占領地で占領軍が売春施設を利用する場合、現地人のそれは信用
できないからと言って、本国から女性を連れてくるのは、他にあまり例が
ありません。たとえば、敗戦後に日本を占領したアメリカ軍は、もっぱら
日本側が用意した売春施設を利用しました。もちろん、当時は日米同盟な
ど存在しません。つい先日まで交戦国であり、アメリカ軍は勝者として日
本を占領したのです。でも、アメリカ軍は「安心して任せうる状態に無い」
とは考えなかった。
 中国における日本の例のほうが、むしろ例外的なんだと思います。

131過客:2004/03/08(月) 20:46
>>125 たまごさん


>ところで、なぜ横田基地のレストランと同じように、慰安婦募集は現地(中国)で行われなかっ
>たのでしょう?
>業者も慰安婦もすべて中国人であれば、「第21軍の警保局へのじきじきの要請」も必要なかった
>のかと思います。
>しかし、さすがにそれはまずいですね。

 たまごさんのお考えでは、軍慰安所の業者も慰安婦もすべて中国人だと、いったいどこが、なぜ
まずいのだと思われますか。


>仮に旧日本軍の中国における慰安婦募集と同様、横田基地のレストランの従業員募集が日本国内で
>行われることに問題があったら、本来絶対に起こり得ないことも起こってしまうかもしれません。
>いずれにしても、この場合業者はアメリカ本国の企業になるでしょうし、従業員はアメリカ人に
>なると思います。従業員の募集はアメリカ本国で行われ、従業員の移送等について問題があれば
>関係各局との協議も必要でしょう。

 アメリカにたとえれば、第21軍のケースは、横田基地のレストランの受託業者と従業員の
募集に協力を要請するために、在日米軍の将校と陸軍省の幹部が連れ立ってFBIを訪問した
という話になります。また、陸軍省副官通牒は、横田基地のレストランの受託業者がアメリカ
で従業員を募集したところ、社会問題化しそうなおそれが出てきたので、憂慮した国防総省の
補佐官が在日米軍の参謀長宛に、従業員の募集でトラブルを起こさないよう、しっかり業者を
監督統制しろと、注意を与えたのと同じでしょう。
 前提として、アメリカ政府はアメリカ人の日本渡航を好ましく思っていないという条件があ
ります。

>しかしながら、横田基地とレストランとのの関係については、軍対民間企業の関係という意味で
>本質的には変わりないと思いますがいかがでしょうか?

 上記のようなことが生じたら、もはやレストランの従業員の募集は、もはやたんなる軍
対民間企業の関係ではすまないと思われます。

132過客:2004/03/08(月) 20:48
>>126 M2Pさん

>> 念のためにお尋ねしますが、「隊外売店」は純然たる「民間の施設」ですよね。

>この部分に関してはその通りです。少なくとも、賃借関係等は存在しません。

 ありがとうございます。

>隊員の福利厚生を目的とした自衛隊の施設であるということは
>逆に言うと隊員以外にはその施設は使用できない、
>つまり物品の販売ができなくなります。

 ここは私は幅があると思います。部外者以外の利用を認めない福利
厚生施設もあれば、それを認めている場合もあります。企業の保養所
では、社員が同伴しておれば、その知人が利用するのを認めています。

>然し、自衛隊の売店はそこに出入りする民間人に対しても
>物品の販売を行っています。

 これはあくまでも自衛隊の駐屯地に、しかるべき用事があって、入
構を許可された民間人がその売店で物品を購入できるということです
ね。
 自衛隊に用事があるのではなくて、ただその売店で品物を買うこと
だけを目的とする民間人に、自衛隊は駐屯地への入構を許可しないと
思います。
 しかし、駐屯地内の売店が「隊外売店」と同じ民間施設であり、ち
がいは自衛隊の土地・建物を利用しているかいないかだけにすぎない
のであれば、その売店の営業を許可した自衛隊側は、売店の利用だけ
を目的とする者の入構を認めなくてはいけないのではありませんか。
そうでないと、私は営業妨害になると思います。


>自衛隊員のための福利厚生を目的としていても、自衛隊員以外の利用が
>可能である民間経営施設である以上自衛隊の施設ではないと解釈致します。

 M2Pさんの解釈はよくわかりました。この辺は、たぶん最後まで意見
のわかれるところだと思いますので、承っておくだけに致します。

 ただ一つ教えていただきたいのですが、自衛隊の駐屯地内にある「依託
売店」は、防衛庁・自衛隊側では公式にどのような名称で呼んでいるの
でしょうか。民間業者との間に業務を委託する契約を交わす場合に、書類
上何と表記されているのか、もし御存知でしたら、お教え下さい。

133過客:2004/03/08(月) 20:49
>>127 nobu2020さん


>「分治合作」主義とは、初めて聞きました。これは支那事変勃発時から日本政府
>と軍が持っていたの主義ですか?


 支那事変勃発時というのが何時を指すのかにより、答えはちがいますが、少なく
とも「国民政府を対手とせず」声明から汪兆銘政権の成立までは、この方針に依拠
していたと考えてまちがいないだろうと思います。

>結論としては、北京の中華民国臨時政府(1937年12月14日成立)と南京の中華民
>国維新政府(1938年3月28日成立)の二つの政府は、支那の中央政府ではなく、一
>地域の地方政権であり、自治権もなかったとの認識でよろしいのでしょうか。

 日本側のたてまえでは、自治権どころかその地域の主権をもっている政権として
位置づけられています。今のCISのような連合体をイメージしていたと言えば、
わかりやすいかもしれません。

>日本の占領地に於いては、軍または領事館が実効支配していたということですね。

 そう簡単に言えないところが、日中戦争というものがもつややこしいところなの
です。日本側のたてまえからすれば、占領地の主権は友好政権である親日政権がもっ
ているわけですから、日本軍は国際法にのっとって公然と占領地行政=軍政をおこな
うことはできません。それは道義に反し、日本が掲げる戦争の大義を自ら否定するこ
とになるからです。
 しかし、親日政権は今のイラク統治評議会ほどにも実力がありませんから、日本
軍が満足できるだけの行政を保証できない。ということは実質的には占領地では日
本軍が統治権を行使せざるをえない。しかし、それを国際法にのっとるかたちで公
然とはできないから、結局、法によらない支配を実施することにならざるをえない。

>占領地においては軍が国内に準じて行政していたの意味は、占領地に於いては
>軍が国内の法令や規則と同じような軍律や規則で行政していたということです。
>別にこれは軍事国際法や国際慣習法に違反はしませんね。

 戦時国際法に忠実であるとすれば、やはり交戦権の行使の一環としての行政
であるとの宣言は必要だと思いますが、それはおくとしても、最低限、行政規
則の公布はなされなければならないでしょう。軍律の場合、占領地の住民に軍
の軍律規則が公布されています。しかし、行政規則は出された気配がありませ
ん。


>軍の警察権を行使するのは憲兵ですね。憲兵には、国内に於いても、軍事警察権、
>司法警察権、行政警察権があります。

>憲兵令(明治31年勅令第337号)
>第一条 憲兵ハ陸軍大臣ノ管轄ニ属シ主トシテ軍事警察ヲ掌リ兼テ行政警察、司法
>警察ヲ掌ル

>従って、>>112の後段の議論は成り立ちません。

 その憲兵令の第2条を見て下さい。

第二条 憲兵ハ其ノ職務ノ執行ニ付軍事警察ニ係ルモノハ陸軍大臣及海軍大臣、
行政警察ニ係ルモノハ内務大臣、司法警察ニ係ルモノハ司法大臣ノ指揮ヲ承ク朝
鮮ニ於ケル軍事警察ニ係ルモノハ朝鮮軍司令官、台湾ニ於ケル軍事警察ニ係ルモ
ノハ台湾軍司令官、関東州及南満洲鉄道附属地ニ於ケル軍事警察ニ係ルモノハ関
東軍司令官、行政警察、司法警察ニ係ルモノハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮総督、台湾ニ
在リテハ台湾総督、関東州及南満洲鉄道附属地ニ在リテハ関東長官ノ指揮ヲ承ク

 行政警察については憲兵は陸軍大臣・海軍大臣ではなくて、内務大臣の指揮を
受けます。つまり、憲兵は行政警察権をもっているけれど、軍そのものはそれを
もっていないのです。
 また、ここには外務大臣の憲兵指揮権は規定されていません。内務大臣は日本
国外の事柄については権限がありませんから、憲兵のもっている行政警察権は国
内だけに限定され、中国のような外国では行使できません。
 憲兵が国外で日本臣民に対して行政警察権を行使するためには、憲兵は外務大
臣の指揮を受けるとするか、外務大臣のもつ領事警察権を陸軍大臣に委任するこ
と許す新しい行政規則(勅令)の制定が必須です。
 それがなされないかぎり、憲兵が国外で日本臣民に行政警察権を行使するのは
憲兵令の規定によるかぎり、違法と言わざるをえません。


>「3月26日の通報」については、過客さんのおっしゃることを信じますが、できまし
>たら、全文をご紹介頂けますか。

 今日は時間がないので、次の機会に紹介させていただきます。

>当時すでに、国内で兵士が利用する風俗関係は憲兵が監督取締していたのでしょう
か。

 いいえちがいます。風俗警察は内務省警察の管轄下にありました。

134M2P:2004/03/08(月) 23:10
過客 さん
>132
> これはあくまでも自衛隊の駐屯地に、しかるべき用事があって、入構を
>許可された民間人がその売店で物品を購入できるということですね。
> 自衛隊に用事があるのではなくて、ただその売店で品物を買うこと
>だけを目的とする民間人に、自衛隊は駐屯地への入構を許可しないと
>思います。

その通りです。

> しかし、駐屯地内の売店が「隊外売店」と同じ民間施設であり、ちがいは
>自衛隊の土地・建物を利用しているかいないかだけにすぎないのであれば、
>その売店の営業を許可した自衛隊側は、売店の利用だけを目的とする者の
>入構を認めなくてはいけないのではありませんか。
>そうでないと、私は営業妨害になると思います。

この理論がまかり通るのであれば、どこかの高速道路のサービスエリアの
売店が、名物のお菓子をそこだけで販売して、どうしてもそれを食べたい
自転車に乗った5歳児を料金所で静止するのは営業妨害ということに
なりますが、いかがお考えでしょうか。

>ただ一つ教えていただきたいのですが、自衛隊の駐屯地内にある「依託
>売店」は、防衛庁・自衛隊側では公式にどのような名称で呼んでいるの
>でしょうか。民間業者との間に業務を委託する契約を交わす場合に、書類
>上何と表記されているのか、もし御存知でしたら、お教え下さい。

まことに申し訳ありませんが、契約を担当する部署とは今現在係わり合いが
ありませんので書類の記載は確認しようがありません。
ただ、業者の入門自体はそれほど難しいことではないのかと。
なぜなら、売店の業者以外にも様々な形で複数の業者が毎日簡単に出入りして
商行為を隊員に対し行っていますから。
(保険の外交員、住宅販売、車、携帯電話からミスドやモスバーガーのような
ファーストフードまで様々です。)

135卯の花 </b><font color=#FF0000>(Iccc0kuw)</font><b>:2004/03/08(月) 23:34
>>130過客さん
丁寧な御返答ありがとうござ増す。
だいたいの日本軍の行動による結果がわかり、それが戦後の米軍と違いがある
ことは分かったのですが、それは当然ではないでしょうか?
違いがある理由についてもほぼ認識は一致していると考えておりますが、それ
は、状況が違ったがゆえに結果が異なっているということのそれ以上ではない
と思うのですが。

更に言うと、日本人の気質が影響していると思います。よく朝鮮半島の人が日
本を揶揄する言葉として「島国」という言葉を用います。それがどのような意
図をもって発する言葉なのかは別にして、ある部分当たっていると思うのです。
列強の一員に入って戦争をしたはいいものの、本当の強国と比べると植民地の
運営も他国とは同様にできず。あたかも、というか真剣に自国の一部として運
営をしてしまう日本人は、総督府を置いて何とか運営をしている朝鮮半島につ
いては何とかようやく自分たちの信頼の置ける仲間だと、当時は考えていたの
ではないでしょうか?
そこには、内地からの朝鮮半島に対する行動だけでなく、朝鮮半島にも本当に
日本人として戦っていこうとしている人がいたから。では無いのかと思ってい
ます。

文章がまとまらず、理解しにくいかもしれませんが、伝わったでしょうか?

今後はしばらく皆様の議論にて勉強することに専念いたします。

136nobu2020:2004/03/08(月) 23:45
>>133 過客さん


> 行政警察については憲兵は陸軍大臣・海軍大臣ではなくて、内務大臣の指揮を
>受けます。つまり、憲兵は行政警察権をもっているけれど、軍そのものはそれを
>もっていないのです。
> また、ここには外務大臣の憲兵指揮権は規定されていません。内務大臣は日本
>国外の事柄については権限がありませんから、憲兵のもっている行政警察権は国
>内だけに限定され、中国のような外国では行使できません。
> 憲兵が国外で日本臣民に対して行政警察権を行使するためには、憲兵は外務大
>臣の指揮を受けるとするか、外務大臣のもつ領事警察権を陸軍大臣に委任するこ
>と許す新しい行政規則(勅令)の制定が必須です。
> それがなされないかぎり、憲兵が国外で日本臣民に行政警察権を行使するのは
>憲兵令の規定によるかぎり、違法と言わざるをえません。

軍は占領地における行政権は持っています。戦争国際法、国際慣習法。

憲兵が国外で日本臣民に対して行政警察権を行使できる根拠

憲兵令第9条

第九条 必要ニ際シ陸軍大臣ハ憲兵隊ノ一部ヲ、朝鮮軍司令官、台湾軍司令官及関
東軍司令官ハ各朝鮮、台湾、関東州及南満洲鉄道附属地ニ在ル憲兵隊ノ一部ヲ一時
其ノ管区外ニ派遣スルコトヲ得

海外に派遣することは違法ではないし、海外で行政警察権を行使することは違法で
はありません。

137通行人A:2004/03/09(火) 11:24
>>128
> 同じことでしょう。例えば、中支派遣軍の野戦兵器廠の在庫管理台帳のよ
>うなものが現存しているのならば、是非みてみたいものです。

詳しくは知らないんだけど(どの資料から見ればいいのかわかんないんで)
物資輸送時の輸送物資の明細とかも丼勘定でやってたの?

>「軍の施設と呼びうる軍慰安所のハードウェア」というのは、いったい何なのですか。
>是非とも知りたいところです。

ゴメン、文章を推敲するときに変に省略しちゃった。

>軍慰安所に限ってはハードウェア面だけですからね。軍の施設と呼べるのは。
確か、推敲する前はこんな感じだった。
>軍慰安所に限っては(せいぜい)ハードウェア面だけですね。(なんとか)軍の施設と呼べるのは。
で、なんか嫌みったらしい文章だったので削除とかしたんだ。

意味合いとしては、
『「軍の施設」の定義付け如何によっては、ハードウェア面だけは「軍の施設」と呼ぶことも可能』
となります。
どっちにしても「軍の施設と呼べる(呼ぶことが可能)」ってだけで、「軍の施設である」って意味ではないです。

ちなみに、私の定義付けでは、
軍の施設=軍事または軍需施設。及び軍隊(人)が直接使用する施設、としています。
さらに、軍の占有物件は上記の「軍の施設」に該当しない物も含まれると考えています。

>軍慰安所は軍の作った将兵のための福利厚生施設=慰安所ですから、

この文章に違和感を覚えてやっと気付きました。
軍慰安所は民間資本なのに軍が作った施設?そんなはずはない。
軍慰安所は軍がお膳立て(準備)をして、民間業者が作った(作らせた)物のはずです。
つまり企画立案許認可は軍ですが、実制作、製作指揮は民間業者です。
すると、以下もおかしいことに気付く。

>しかし、民間の業者が作った売春宿が、いくら顧客
>が軍関係者ばかりだからと言って軍慰安所と名乗れば、それは大問題になります。第
>一、そういうものを軍自ら軍慰安所などと呼ぶのはちょっと考えにくいです。

順序が逆です。顧客が軍関係者だから軍慰安所ではなく、
軍関係者を顧客とすることを前提に作られたから軍慰安所です。
考えてみれば、学食も顧客が学生だから学生食堂ではなく、
学生を顧客とすることを前提に作られたから学生食堂です。
軍が企画段階で軍人を顧客とする慰安所を民間業者に作らせて、
軍が其れを軍慰安所と呼ぶ。何らおかしいことはありません。

>>129
>この回想から明らかなように、全満洲の酒保は駐屯軍司令部の経理
>部又は貨物廠が経営を委託し、その支配人の人事権をもっていたわけ
>です。通行人Aさんの言に反して、酒保業務が軍から委託されること
>が実際に行われていたのでした。

なるほど、酒保に関しては私の思い違いですね、すいませんでした。

で、慰安所は軍の業務として規定されていたのでしょうか?

138過客:2004/03/10(水) 20:54
>>134 M2Pさん

過客 さん
>132
> これはあくまでも自衛隊の駐屯地に、しかるべき用事があって、入構を
>許可された民間人がその売店で物品を購入できるということですね。
> 自衛隊に用事があるのではなくて、ただその売店で品物を買うこと
>だけを目的とする民間人に、自衛隊は駐屯地への入構を許可しないと
>思います。

その通りです。

> しかし、駐屯地内の売店が「隊外売店」と同じ民間施設であり、ちがいは
>自衛隊の土地・建物を利用しているかいないかだけにすぎないのであれば、
>その売店の営業を許可した自衛隊側は、売店の利用だけを目的とする者の
>入構を認めなくてはいけないのではありませんか。
>そうでないと、私は営業妨害になると思います。

>この理論がまかり通るのであれば、どこかの高速道路のサービスエリアの
>売店が、名物のお菓子をそこだけで販売して、どうしてもそれを食べたい
>自転車に乗った5歳児を料金所で静止するのは営業妨害ということに
>なりますが、いかがお考えでしょうか。

 まず、サービスエリアの各売店は道路公団と営業契約を結んでいる業者
だとしても、サービスエリアそのものは道路公団の施設ではないかという
問題は、この際おいておくとしても、5歳児が自転車で高速道路に進入す
るのを阻止するのは、道路公団の当然の義務ですから、営業妨害にはあた
らないでしょう。

 これは5歳児がパチンコ店で玉を買って、パチンコしようとしているのを、
利用客が制止したとしても、営業妨害にならないのと同じです。

 いっぽう、車の免許をもった成人が自動車にその5歳児を乗せて、名物
のお菓子を買いに行けば、道路公団はこれを制止はできません。お菓子を
買いに行くことを理由に制止すれば、これは営業妨害でしょう。

 もともと、サービスエリアの売店は高速道路を利用する人のために、そ
の便宜を考えて道路公団が設置したものですが、売店で買い物するために
高速道路を利用すると関係が逆転しても、道路公団はこれを制止はできま
せん。しかし、自衛隊駐屯地内の売店の場合は、事情が少し異なります。
 
 自衛隊駐屯地内の売店も、駐屯地内で働く人々(より広義には駐屯地に
用務のある人々)の便宜のために設置されたものですが、高速道路と異な
り、駐屯地内の売店で買い物をすることが、駐屯地内に入構を許可される
正当な用務であるとは、絶対に認められないはずだと、私は思います。
 それはあくまでも、その売店は駐屯地内において用務を果たすために入
構を許可された人々のための施設であるという枠でしばられているから、
そうなるわけです。しごく、あたりまえのことですが。そのかぎりにおい
て、たとえ経営者が同じであっても、駐屯地内の売店は駐屯地外にある(
隊員向けの)売店とは性格が異なります。

 結局、依託売店が「自衛隊の施設」と呼べるかどうかは、じつは本質的な
問題ではなくて、売店業者と自衛隊の間に結ばれる業務委託契約によって設
定される、自衛隊と業者との権力関係の性格が問題なのだと思います。

>>ただ一つ教えていただきたいのですが、自衛隊の駐屯地内にある「依託
>>売店」は、防衛庁・自衛隊側では公式にどのような名称で呼んでいるの
>>でしょうか。民間業者との間に業務を委託する契約を交わす場合に、書類
>>上何と表記されているのか、もし御存知でしたら、お教え下さい。

>まことに申し訳ありませんが、契約を担当する部署とは今現在係わり合いが
>ありませんので書類の記載は確認しようがありません。

 そうですか。それは残念です。でも、しかたがありませんね。

>なぜなら、売店の業者以外にも様々な形で複数の業者が毎日簡単に出入りして
>商行為を隊員に対し行っていますから。
>(保険の外交員、住宅販売、車、携帯電話からミスドやモスバーガーのような
>ファーストフードまで様々です。)

 隊員に対して商行為を行うことを目的とする業者の入門は、それを理由に
制止されることはないでしょう。 しかし、その業者が駐屯地内で、隊員ある
いは用務のために入構してきた人以外を相手に商売をし、それ買うのを目的
にやってきた人の入門までが許されるとは思えません。
 私も自衛隊の施設に入った経験がありますが、門のところで、入門許可願
に「目的:売店での買い物」なんて記入したら、きっとつまみ出されるでし
ょう。

139過客:2004/03/10(水) 20:55
>>135 卯の花さん


>今後はしばらく皆様の議論にて勉強することに専念いたします。

 了解いたしました。ということで、このメッセージ(>>135)に対するコメントは控え
さしていただきます。

140過客:2004/03/10(水) 20:57
>>136 nobu2020さん


>憲兵が国外で日本臣民に対して行政警察権を行使できる根拠

>憲兵令第9条

>第九条 必要ニ際シ陸軍大臣ハ憲兵隊ノ一部ヲ、朝鮮軍司令官、台湾軍司令官及関
>東軍司令官ハ各朝鮮、台湾、関東州及南満洲鉄道附属地ニ在ル憲兵隊ノ一部ヲ一時
>其ノ管区外ニ派遣スルコトヲ得

>海外に派遣することは違法ではないし、海外で行政警察権を行使することは違法で
>はありません。

 たしかに、憲兵を海外に派遣することは違法ではありません。しかし、憲兵令に
定める憲兵の行政警察権は内務大臣の指揮監督下にあります。前にも言いましたが、
憲兵は行政警察権をもっていても、軍そのものがそれをもっているわけではありま
せん。
 内務大臣の行政警察権は日本の国外には及びません。国外に在住する日本人に対す
る行政警察権は在住地の政府にあるか、あるいは治外法権国では日本の外務大臣にあ
ります。ところが、憲兵令では行政警察権について憲兵は外務大臣の指揮を受けると
は定められていません。つまり、海外に派遣された憲兵は外務大臣のもつ行政警察権
を行使することはできません。
 
 憲兵令を、憲兵が海外で行政警察権を行使することを保証するものであるとの主張
は法解釈としては成り立ちません。

 申し訳ありませんが、「中支那方面陸海軍占領警備区域内営業取締規定」の紹介は、
今しばしお待ち下さい。これを紹介できれば、今nobu2020さんとの間でやっている、
占領地での行政警察権の問題にも新たな展開が生じるかもしれません。

141過客:2004/03/10(水) 20:58
>>137 通行人Aさん


>詳しくは知らないんだけど(どの資料から見ればいいのかわかんないんで)
>物資輸送時の輸送物資の明細とかも丼勘定でやってたの?

 これは申し訳ない。誤解を与える言い方をしてしまいました。臨時軍事費の予算は
どんぶり勘定ですが、支出および在庫管理などはどんぶり勘定ではなくて、それなり
に書票が必要とされていました。平時の会計に比べれば、鷹揚なものだったとは思い
ますが。私が支出や在庫管理について「ない」と言っているのは、もともと帳簿や書
票が「ない」ということではなくて、廃棄されてしまっていて、現状では見ることが
でき「ない」という意味です。

>「軍の施設と呼びうる軍慰安所のハードウェア」というのは、いったい何なのですか。
>是非とも知りたいところです。

ゴメン、文章を推敲するときに変に省略しちゃった。

>軍慰安所に限ってはハードウェア面だけですからね。軍の施設と呼べるのは。
確か、推敲する前はこんな感じだった。
>軍慰安所に限っては(せいぜい)ハードウェア面だけですね。(なんとか)軍の施設と呼べるのは。
で、なんか嫌みったらしい文章だったので削除とかしたんだ。

>意味合いとしては、
>『「軍の施設」の定義付け如何によっては、ハードウェア面だけは「軍の施設」と呼ぶことも可能』
>となります。
>どっちにしても「軍の施設と呼べる(呼ぶことが可能)」ってだけで、「軍の施設である」って意味ではないです。

 ということは、通行人Aさんは、軍慰安所の土地や建物は「軍の施設」ではない、とお考えだと
いうことですね。

>ちなみに、私の定義付けでは、
>軍の施設=軍事または軍需施設。及び軍隊(人)が直接使用する施設、としています。
>さらに、軍の占有物件は上記の「軍の施設」に該当しない物も含まれると考えています。

 軍慰安所は軍人が直接使用する施設ですので、この定義付けからすれば、「軍の施設」
と呼んでかまわないのではないですか。

142過客:2004/03/10(水) 20:59
>>137 通行人Aさん

>軍慰安所は軍がお膳立て(準備)をして、民間業者が作った(作らせた)物のはずです。
>つまり企画立案許認可は軍ですが、実制作、製作指揮は民間業者です。

 軍が企画立案して認可し、民間業者に作らせた施設が軍慰安所だとすると、軍が慰安所
に関係していたのは、ハードウェアではなくてソフトウェア面(企画立案許認可)だとい
うことになりますね。すると、以下と整合性がとれなくなるのではありませんか。

>『「軍の施設」の定義付け如何によっては、ハードウェア面だけは「軍の施設」と呼ぶことも可能』

 そうか、通行人Aさんは軍慰安所は「軍の管理区域内にある民間施設」と解釈している
>>31)のだから、軍がソフトウェアの面で関与していても、それが「民間施設」ならば
「軍の施設」とは言えないわけか。

 しかし、だとすると、軍は民間資本の営業する「民間の施設」のために(つまり民間業
者の営利のために)、忙しい軍務のさなかに軍慰安所の企画立案許認可などという仕事を
していたことになってしまう。
 これって、何か変ではありませんか。


すると、以下もおかしいことに気付く。

>しかし、民間の業者が作った売春宿が、いくら顧客
>が軍関係者ばかりだからと言って軍慰安所と名乗れば、それは大問題になります。第
>一、そういうものを軍自ら軍慰安所などと呼ぶのはちょっと考えにくいです。

>順序が逆です。顧客が軍関係者だから軍慰安所ではなく、
>軍関係者を顧客とすることを前提に作られたから軍慰安所です。
(略)
>軍が企画段階で軍人を顧客とする慰安所を民間業者に作らせて、
>軍が其れを軍慰安所と呼ぶ。何らおかしいことはありません。


 つまり、民間業者が勝手に作った施設に軍関係者が押し掛けてきたのではなくて、最
初から軍関係者を主たる顧客とすることを想定して軍が企画し、作られたのが、軍慰安
所だと仰るわけですね。

以前通行人Aさんは、>>43で私が述べた以下の見解を否定されました(>>54)。

>第一の「軍の注文」は、将兵の慰安のために軍食堂を設置し、その業務を適
>当な業者に委託するという意味での「注文」です。
> 委託を受けた業者は、軍との契約条項および軍の定めた軍食堂規則にしたが
>って、軍食堂を経営し、食堂の利用者である将兵に料理を提供します。もちろ
>ん、受託業者および設置者である軍は、国が定めた料飲店に関わる行政規則を
>遵守しなければいけません。

 しかし、今回「軍慰安所は軍が企画立案し、民間業者に作らせた民間施設」だ
という見解を披瀝されることで、上記の私の見解との間の距離はかなり縮まった
と思われます。なぜなら、「軍の施設」か「民間施設」かという違いはもちろん
大きいとしても、業務委託論でも「企画立案許認可論」でも、軍慰安所のプラン
を作ったのは軍であるという点では共通しているからです。

>軍が企画段階で軍人を顧客とする慰安所を民間業者に作らせて、
>軍が其れを軍慰安所と呼ぶ。何らおかしいことはありません。

 この表現は、業務委託論と紙一重と言えるかもしれません。
 いずれにしろ、以前に通行人Aさんが、私の上記の説を否定された時、必ずし
も「企画立案許認可論」に立っていなかったことは、以下の表現からもわかりま
す。
>>54
>実際、軍がその必要性を感じるより早く慰安所というものがあったと思います。


 「軍がその必要性を感じるより早く慰安所があった」ということは、軍の企画
立案によって慰安所ができたのではない、軍の企画立案よりも先に慰安所があっ
たということですから。

 私としては、いまだ意見は平行線のままだとしても、通行人Aさんが第二歩を
踏み出されたことは、大変喜ばしいと思っております。


>なるほど、酒保に関しては私の思い違いですね、すいませんでした。

 いえいえ、どういたしまして。酒保が、軍の設置した将兵のための福利厚生施
設であり、古い歴史をもっていることが御理解いただけて、さいわいです。

>で、慰安所は軍の業務として規定されていたのでしょうか?

 慰安所はその業務内容からして、酒保のように、天皇が定める内務書で規定する
のは、はばかりがあります。しかし、多くの場合、慰安所規則は部隊の内務命令で
制定されています。

143通行人A:2004/03/11(木) 10:53
>>141-142
> 軍慰安所は軍人が直接使用する施設ですので、この定義付けからすれば、「軍の施設」
>と呼んでかまわないのではないですか。

間に民間業者が入ってるけど・・・?
軍の占有物件を業者が店舗・慰安所として使用し、それを軍人が利用する。

> 軍が企画立案して認可し、民間業者に作らせた施設が軍慰安所だとすると、軍が慰安所
>に関係していたのは、ハードウェアではなくてソフトウェア面(企画立案許認可)だとい
>うことになりますね。すると、以下と整合性がとれなくなるのではありませんか。

軍は慰安所のソフトウェアじゃないですから、整合性はとれてますよ。
軍は慰安所作る段階のソフトウェア?(この表現妥当か?)ですね。

関係的には以下に近い関係かな?
ハードウェア=慰安所施設(軍の占有物件)=PC本体
ソフトウェア=慰安業者(慰安所の運営)=PCのOS
ハードウェアのメーカー=企画立案許認可=IBM・SONY・富士通他、もしくは自作ユーザー
ソフトウェア(OS)のメーカー=慰安業者=マイクロソフト他
ユーザー(orメーカー)=軍=OSの選択

> しかし、だとすると、軍は民間資本の営業する「民間の施設」のために(つまり民間業
>者の営利のために)、忙しい軍務のさなかに軍慰安所の企画立案許認可などという仕事を
>していたことになってしまう。
> これって、何か変ではありませんか。

自治体(軍)が地元住民(軍人)のために業者(慰安所)を誘致する。全く変じゃないですよね?
軍は民間業者の営利のためには動いてませんよ。
業者も自らの利益になると判断して、軍の誘致(要請)に応じているんです。
さすがに軍も「赤字経営でもいいから営業しろ(倒産してもいいからやれ?)」なんて強要できないでしょう。
歴史に「if」は反則ですが、もし業者が軍の要請に応じ(れ)なかったら
軍が業務として慰安所を経営したかもしれませんね。

> つまり、民間業者が勝手に作った施設に軍関係者が押し掛けてきたのではなくて、最
>初から軍関係者を主たる顧客とすることを想定して軍が企画し、作られたのが、軍慰安
>所だと仰るわけですね。

ちょいと違う。
まず、以前に軍人を目当てに慰安所のたぐいが発生し、(確か日露の頃にはあったと記憶)
それに対するトラブル(性病等)と必要性?を軍が認識し、慰安所の統制に乗り出す。
で、その後の戦地等での慰安所の設置等は軍が需要や戦況に応じて企画立案し、
そこから出された軍のニーズに応じて業者が出店、営業を行う。

> いずれにしろ、以前に通行人Aさんが、私の上記の説を否定された時、必ずし
>も「企画立案許認可論」に立っていなかったことは、以下の表現からもわかります。

相変わらず、私の言葉足らずで誤解させて申し訳ない。
上で書いたとおり、軍の関係する以前に慰安所があり、後手で軍が統制、”軍”慰安所にって順です。

>しかし、多くの場合、慰安所規則は部隊の内務命令で制定されています。

今の風営法みたいなもの?

144nobu2020:2004/03/11(木) 11:46
>>140 過客さん

> 内務大臣の行政警察権は日本の国外には及びません。国外に在住する日本人に対す
>る行政警察権は在住地の政府にあるか、あるいは治外法権国では日本の外務大臣にあ
>ります。

行政警察権が治外法権国では外務大臣にあるという根拠はどこにあるのでしょうか?
戦前の日本(大日本帝国)では、外務大臣の権限(専権事項)を、現在の外務省設置
法のように、明確に規定している法律はないのではありませんか。
また、治外法権国にある日本の警察は、ある程度領事官の指揮下にあっても、内務省
の管轄ではありませんか。以前、過客さんが書いておられた「領事警察」という規定
があったのでしょうか。

ここで問題にしているのは、戦争、事変時の国外の占領地における行政権及び警察権
です。大日本帝国にはそれらの明文化された法律はありません。
行政権については、戦時国際法や国際慣習法によって、軍が持っていた。これはよろ
しいですね。
警察権については、国外の占領地における明確な法律がないので、国内法を援用した
と思われます。それは、憲兵令、陸軍刑法です。

過客さんは憲兵令第2条を言われますが、第2条は国内、朝鮮、台湾、関東州及南満洲
鉄道附属地での規定であって、それ以外の戦時、事変時の国外や占領地における規定
はありません。その場合は「第一条 憲兵ハ陸軍大臣ノ管轄ニ属シ主トシテ軍事警察
ヲ掌リ兼テ行政警察、司法警察ヲ掌ル」により、陸軍大臣の指揮下で各警察権を行使
できるのではありませんか。
また、以前たまごさんとの議論ででた陸軍刑法
「第四条 帝国軍ノ占領地ニ於テ陸軍軍人刑法又ハ他ノ法令ノ罪ヲ犯シタルトキハ之
ヲ帝国内ニ於テ犯シタルモノト看做ス
2 陸軍軍人ニ非スト雖帝国臣民、従軍外国人及俘虜ノ犯シタルトキ亦前項ニ同シ」
これは、陸軍刑法のみならず、その他の法令についても言及しています。戦争、事変
時の国外の占領地で、これらの犯罪を取り締まれるのは憲兵だけです。つまり、憲兵
には戦争、事変時の国外の占領地における軍事、司法、行政警察権があるとみなされ
ます。

145M2P:2004/03/11(木) 15:00
ちょっと経緯とこれまでの発言を整理しましょう。

過客さんの発言を過、私の発言をM、として投稿番号に引き続き記載し、
投稿134の私の発言までの論点を整理します。

>85過
横田基地のレストラン等外見が軍の施設に見えないものでも
米軍将兵と家族のために設けられた福利厚生施設である限り
軍の施設である。

>87M
自衛隊の売店は民間経営であり、民間業者が自衛官の福利厚生の為という名目で
自衛隊の施設の一部を借り受け営業行為を行っている。

>107過
自衛隊の依託売店は自衛隊が隊員の福利厚生のために設けた自衛隊の施設である。

>116M
成立経緯から考えると依託売店は自衛隊の施設ではなく自衛隊の許可による
出入り業者である。

>122過
単なる営業許可であれば買い物目的の民間人の自衛隊への入門を認めざるを得ず
また、それを制止するのは営業妨害に当たる。この制止は売店が単なる営業行為でなく
自衛官の福利厚生を目的とするものであるためであり認められ、よってこれは自衛隊の施設である。

>126M
自衛官の福利厚生設備であれば自衛官以外が使用することはできない。
他の出入りのものも使用しており自衛官以外の使用ができる以上
自衛隊の施設ではない。
営業妨害は入門したものが買い物ができる以上成立しない。
入門した民間人が買い物ができないのであればそれは営業妨害である
(又は自衛隊の施設:括弧内は整理に当たり新たに付け加えたもの)

>132過
部外者の利用を認めない企業の福利厚生施設もあれば
社員の同伴等の条件の下認めている場合もある。
自衛隊が買い物目的の入門を認めないのであれば
それは営業妨害である。

>134M
買い物目的の入門が認められないのが営業妨害であれば
例えば買い物の高速道路の料金所に自転車で行って制止されれば
営業妨害である。

146M2P:2004/03/11(木) 15:03
さて、これに対し138で過客さんが記載した内容の要旨は以下の通りです。
(区分分けしています)
1 自転車で高速道路に進入するものを阻止するのは道路公団の当然の義務であり
適法である、よって営業妨害には当てはまらない。

2 これはたとえばパチンコ屋で幼児が玉を買ってパチンコを使用としているのを
 利用客が制止しても営業妨害に当たらないのと同義である。

3 車の免許を持ったものが幼児を車に乗せ買い物目的で高速道路を
利用しても公団は制止することができない。

4 依託売店が「自衛隊の施設」と呼べるかどうかは、じつは本質的な問題ではなく
売店業者と自衛隊の間に結ばれる業務委託契約によって設定される、
自衛隊と業者との権力関係の性格が問題である。

まず、1はその通りでしょう。自転車という乗り物に高速道路を利用する資格がありませんから。
では、当然の事ながら自衛官が入門資格のない民間人を制止することは適法ですね。
ご同意どうもありがとうございます。

2は1とは直接の関係がありません。なぜならば客というのはパチンコ店の営業許可に
何ら関わっていない単なる利用者です。よってこの例は不適当と考えます。

3についてですがこれは詭弁でしょう。今までの前提条件として入門許可のないものの
入門を認めないことが営業妨害につながるかどうかという話
(投稿122で子供という入門資格のないものの買い物目的の入門の可否を例に出したのは
過客さんです)をしていたのに
なぜ免許(入門許可)を持つ人間の引率があれば施設利用(入門)できるのだから
目的達成が可能である、という結論を持ち出すのですか。
それであれば自衛隊にお菓子を買いに行きたい幼児は知り合いの自衛官にお願いして引率、
又は当該自衛官に対する面会を理由として入門して買い物をすればいい、つまり正当な
入門理由をもって入門すればたとえ本来の目的が理由と違っても入門可能であり
その後に買い物をしようがすまいがそれは規制されません。
よって入門目的はいかなる理由であろうとも入門資格を持つものが入門して施設を
利用できるという点において高速道路と自衛隊売店は完全に一致しており
この点においても私の自衛隊委託売店民間業者説にあなたが同意されたと認識します。
どうもありがとうございました。

4についてですが、依託売店が自衛隊の施設と呼べるかどうかが本質的な問題ではない
とはどうしてこのような結論に達したのでしょうか。今までの議論は意味がなかったということですか。
投稿102において
>とくに、上記で「依託売店は自衛隊の施設」と書きましたが、これについてM2Pさん
>の御意見はいかがですか。
と記載されてのは他ならぬ過客さんあなたであり、あなたがこれを問題提起して
意見を求められたからこそ私はここまでこの議論に参加してきたのです。
「とくに」と言うことであったからこそこんなにも熱心に私の知る事実と私の見解を
述べてきたのにそれを「本質的な問題ではない。」
と言われる理由はいったいどういう事でしょうか?
またいったい何を問題としているのかが私には理解不能です。

147過客:2004/03/11(木) 17:22
nobu2020さん、お待たせしました。

「中支那方面陸海軍占領警備区域内営業取締規程」の全文を紹介します。
原文はカタカナで記されていますが、読みやすいようにひらかなに変えて
あります。また、句読点を補いました。

「中支那方面陸海軍占領警備区域内営業取締規程」

「中支那方面陸海軍占領警備区域内に於ける営業は軍事上の必要並に国策
上の見地に基き陸海外務官憲に於て協議決定するものとし、左の如く規定
す。

甲、帝国臣民関係
一、経済政策上統制の必要なき程度の営業

(一)営業の届出又は許可の申請は所轄領事館に対し為さしむ。

(二)領事館は陸海外連絡会議に於て決定せる概括的許否の方針に基き法
令に依り営業許可取締に任ず。
 但し、爆発物、著作、出版、印刷、興業、通信、旅館、病院等、保安警
察上、主要なる営業及軍事警察上取締を要する営業許可(禁止制限を含む)
に関しては予め所轄憲兵隊長(分隊長)と協議通報するを要す。

(三)領事館(分館出張所警察分署)所在地を除く地点に於て営業を為す
者は所在憲兵隊(分隊)に届出又は許可申請を為すことを得
 右の場合憲兵隊(分隊)は該地管轄領事館の館令に準じ許可及取締に任
じ、所要の書類写を当該領事館に通報す。

二、経済政策上統制の必要ある営業並に重要企業

(一)許可の申請書は陸海軍特務部長及上海総領事館連名宛とし、領事館
に対し三部提出せしむ。

(二)右の許否は陸、海、外務連絡会議に於て協議決定の上許否を手続は
領事館に於て之を行う。
 但し、事業の経営に関し陸、海軍が固有の権限に基き発する指令を添付
することあり

乙、支那人及非治外法権国人関係
一、経済政策上統制の必要なき程度の営業
 
 市政府又は県政府(自治委員会)をして従来の中華民国法令に依り営業
(宣撫目的を以てする奥地取引を除く)の許可取締に任せしむ
 但し、爆発物、著作、出版、印刷、興業、通信、旅館、病院等、保安警
察上重要なる営業及軍事警察上取締を要する営業許可(禁止制限を含む)
に関しては予め所轄憲兵隊長(分隊長の分遣隊)の同意を得しむるものと
す。
 前項但書の営業に関しては憲兵も亦之が取締に任ずべきものとす。

二、経済政策上統制の必要ある営業並に重要企業

 本規定中の二の規定に依り処理す。但し許否の手続は警備区分に従い、
陸海軍特務部に於て行うものとす。

丙、治外法権国人関係

一、開埠地に非さる内地の営業は之を認めず。

二、開埠地に於ける営業の制限は警備区分に従い、陸海軍に於て軍事上治安
上必要なる限制に於て行うものとす。

三、営業の制限及許否に当りては予め領事館と協議するを要す。

〔注〕
前項各営業に関し、陸海軍に於て軍事上の必要に基き之が禁止制限を臨機
命ずることあり

前各項の詳細に関しては別に現地関係当局に於て協定するものとす。

経済政策上統制の必要ある営業並に重要企業
一、銀行、信託、倉庫業
二、鉱業
三、水産業
四、交通業(船舶、航空、鉄道、電車、乗合自動車)
五、通信業(電話、無線電話)
六、電気、ガス、水道
七、其の他重要なる製造工場(例えば織物、「セメント」、製粉、硫安、煙草、
「アルコール」、薄荷、油脂、製糖)及重要なる貿易業、公設市場、塩業、屠獣
等                                   」

以上です。ここには、

「陸海軍に専属する酒保及慰安所は、陸海軍の直接経営監督取締に属すべき」

という語句は含まれていません。

 とりあえず、今日はこれまでにします。>>143から>>146への返答は、また後日
といたします。

148GREEN </b><font color=#FF0000>(n/Hs7u9w)</font><b>:2004/03/11(木) 17:29
皆さんオヒサ〜
で、ずっとROMってきましたが、
いや〜なにがなんだかw

いち民間人として、自衛隊基地に入れてもらったことがあるのですが、
その際の記憶をたどり改めて考えてみると・・・、
実際見て説明内容思い出してみれば、委託売店はどう考えても委託であって、
ただの出入り業者の出張所にしか思えなかったがw

そのときの一場面、
質問〜私の連れ・・・「自分たちでも普通に買い物なんてできるんですか?」
回答〜説明してくれた人・・・「ん?できますよ(笑)」

・・・簡単に書けばこうだが、ま〜かなり突っ込んだ会話したんだよね〜w

149たまご </b><font color=#FF0000>(Ff25ZJps)</font><b>:2004/03/12(金) 01:56
>>nobu2020氏
陸軍刑法に関してですが、どうも私の>>99での発言が言葉足らずだったようです。

第四条 帝国軍ノ占領地ニ於テ陸軍軍人刑法又ハ他ノ法令ノ罪ヲ犯シタルトキハ之
ヲ帝国内ニ於テ犯シタルモノト看做ス
2 陸軍軍人ニ非スト雖帝国臣民、従軍外国人及俘虜ノ犯シタルトキ亦前項ニ同シ

私が疑問に思ったのは、陸軍刑法が陸軍刑法そのもの及び一般刑法に止まらず、他の法令
の適用範囲についても定めているという点です。
私はこの点に大きな違和感を感じます。

例えば刑法の「国民の国外犯」では、刑法が自らの国外適用を定めています。
一方法例のように、「どの国の法律が適用されるか」を別個に定めた法律もあります。
http://www.geocities.jp/nakanolib/hou/hm31-10.htm

本来、「他ノ法令」に関しては「他ノ法令」自らがその適用範囲を定めるか、法例のように
「他ノ法令」の適用範囲を別個に定めるのが自然であると思います。
しかしながら、陸軍刑法が法例の役を果たすのはあまりに不自然です。

なぜ陸軍刑法が占領地において法例のような役を果たしているのか?ということを考えた
場合、>>144でのnobu2020氏の説明は非常に合点のいくものであると思います。

150nobu2020:2004/03/13(土) 10:10
>>147 過客さん

「中支那方面陸海軍占領警備区域内営業取締規程」の全文ありがとうございました。

>以上です。ここには、
>「陸海軍に専属する酒保及慰安所は、陸海軍の直接経営監督取締に属すべき」
>という語句は含まれていません。

私の推測は間違っていました。
この規定は日本内地において作成されたもののようですね。

ただ、私が主張しているように、占領地では軍に行政権があり、軍事警察権、行政警察
権があるようですね。

それにしても、「陸海軍に専属する酒保及慰安所は、陸海軍の直接経営監督取締に属す
べき」の認識はどこからでたものでしょうか?
ますます、1938年4月16日の陸海外の協議全文を読んでみたくなりました。

151過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/14(日) 20:42
>>137 通行人Aさん

まず、>>141>>142で、通行人Aさんの文章を引用符なしで、引用したことを
お詫びします。時間がなかったもので、書いた後きちんと見直しをするのを省
いてしまったのがいけませんでした。

以下は、>>137へのコメントの補足です。


>>軍慰安所は軍の作った将兵のための福利厚生施設=慰安所ですから、

>この文章に違和感を覚えてやっと気付きました。
>軍慰安所は民間資本なのに軍が作った施設?そんなはずはない。
>軍慰安所は軍がお膳立て(準備)をして、民間業者が作った(作らせた)物のはずです。
>つまり企画立案許認可は軍ですが、実制作、製作指揮は民間業者です。

 企画立案にとどまらず、慰安所の設置も軍が決めています。

 日中戦争下で最初に軍慰安所を作ったのは、中支那方面軍ですが、中支那方面軍に
属する上海派遣軍の参謀長であった飯沼守少将(当時)の陣中日記が、偕行社の編纂
した南京戦史編集委員会編『南京戦史資料集I』に収録されています。
 その日記に以下のような記述があります。

「慰安施設の件方面軍より書類来り、実施を取計ふ」(1937年12月11日)
「迅速に女郎屋を設ける件に就き長中佐に依頼す」(1937年12月19日)

 「女郎屋」とあるので、この「慰安施設」は性的サービスを目的とするものである
のはまちがいありません。12月11日の記事は、慰安施設を作ることを命じた指示が上
級司令部の中支那方面軍から出されたことを示し、19日の記事は飯沼参謀長が早急に
慰安所を作るよう、司令部の長勇中佐に命じたことを示します。長中佐はこの時、上
海派遣軍の第二課長でした。

 さらに、『南京戦史資料集II』には、飯沼参謀長の部下である上海派遣軍参謀副
長の上村利通陸軍大佐(当時の)陣中日記も載せられており、それにも次のような記
事があります。

「南京慰安所の開設に就て第二課案を審議す」(1937年12月28日)

 飯沼参謀長から依頼された長中佐は、南京慰安所の開設要領案を作成し、それをこ
の日、上海派遣軍司令部で審議したのです。その結果、南京に軍慰安所を開設すること
が決定されたのだと思われます。

 また、同じ中支那方面軍に属する第十軍の参謀であった山崎正男陸軍少佐(当時)
の日記からも、同じ頃に第十軍でも同種の慰安施設を設置することが決定されたのが
わかります。これも『南京戦史資料集II』に収録されています。
 
「先行せる寺田中佐は憲兵を指導して湖州に娯楽機関を設置す。最初四名なりしも、
本日より七名になりしと。未だ恐怖心ありし為、集まりも悪く「サービス」も不良な
る由なるも、生命の安全なること、金銭を必ず支払うこと、酷使せざることが普及徹
底すれば、逐次希望者も集り来たるべく、憲兵は百人位集るべしと漏せり。(略)兵
は何処からか伝え聞きて大繁盛を呈し、ややともすれば酷使に陥り注意しありとのこ
となり。」(1937年12月18日)

 上記の記事から、中支那方面軍司令部の指示を受けて、上海派遣軍と第十軍各司令
部が南京占領直後に軍慰安所を設置したことがわかります。

 それから、軍が慰安所の建物そのものを建設した例もあります。

沖縄の伊江島に駐屯していた要塞建築勤務第六中隊の陣中日誌の1944年5月24日の項
には、次のような作戦命令が記載されています。

「要建六中作命第二十九号
 要塞建築勤務第六中隊命令 五月二十四日一二、〇〇 伊江島兵舎

一、中隊ハ明二十五日建築中ノ兵寮ヲ物品販売所ニ改築シ新ニ慰安所ノ建築ニ任ゼン
トス

二、樋渡少尉ハ橋元分隊及野下分隊ノ一部ヲ指揮シ前項作業ヲ実施スベシ」
(吉見編『従軍慰安婦資料集』)

 慰安所の建築は要塞建築を担当する工兵部隊の業務として実施されたのですから、
この慰安所は、たとえその経営が民間業者に業務委託されたとしても、まぎれもない
「軍の施設」でしょう。

 ちなみに、上記引用にある「物品販売所」とは「酒保」のことです。上記命令の
あとの行動報告に「橋元伍長以下三十九名ハ酒保建設作業ニ従事セリ 兵寮トシテ
建築セシヲ都合ニ依リ酒保ニ変更ノ為既設々備ヲ撤収シ内部ノ模様替ヲ実施ス」と
あるので、まちがいありません。

 「酒保」が「軍の施設」であることは通行人Aさんもお認めになっているようで
すから、その「酒保」を建設に従事した工兵隊にその建設の命令が与えられた慰安
所も同様に「軍の施設」と考えるべきではありませんか。

152過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/14(日) 20:44
>>143 通行人Aさん

>> 軍慰安所は軍人が直接使用する施設ですので、この定義付けからすれば、「軍の施設」
>>と呼んでかまわないのではないですか。

>間に民間業者が入ってるけど・・・?
>軍の占有物件を業者が店舗・慰安所として使用し、それを軍人が利用する。

細かいことですが、「民間業者が店舗として使用し」は、通行人Aさんのいう「軍の占有
物件」を当該民間業者が軍から借り受け、それを使用して営業を営むことだとすぐわかり
ますが、「民間業者が慰安所として使用し」ならば、ふつうは、「民間業者が軍から借り
受けた物件を、その業者の社員のための福利厚生施設として使用する」という意味になり
ますから、表現としては不十分でしょうね。


>> しかし、だとすると、軍は民間資本の営業する「民間の施設」のために(つまり民間業
>>者の営利のために)、忙しい軍務のさなかに軍慰安所の企画立案許認可などという仕事を
>>していたことになってしまう。
>> これって、何か変ではありませんか。

>自治体(軍)が地元住民(軍人)のために業者(慰安所)を誘致する。全く変じゃないですよね?

 軍とその構成員である軍人との関係は、自治体と地元住民との関係と同じではありません。
この問題は福利厚生に関係するものですから、むしろ企業とその社員との関係に近いと考える
べきでしょう。

 そうすると、通常は、「企業がその社員の(福利厚生の)ために、業者に「業務委託」する」
とは言っても、「企業がその社員の(福利厚生の)ために、業者を「誘致」する」とは、決して
言わないことに気がつくはずです。

>歴史に「if」は反則ですが、もし業者が軍の要請に応じ(れ)なかったら
>軍が業務として慰安所を経営したかもしれませんね。

 そのことは、とりもなおさず、慰安所の業務が、軍がその構成員のために行う福利厚生業
務の一種であったことを、通行人Aさんも暗にお認めになっているということではありませ
んか。

>> つまり、民間業者が勝手に作った施設に軍関係者が押し掛けてきたのではなくて、最
>>初から軍関係者を主たる顧客とすることを想定して軍が企画し、作られたのが、軍慰安
>>所だと仰るわけですね。

>ちょいと違う。
>まず、以前に軍人を目当てに慰安所のたぐいが発生し、(確か日露の頃にはあったと記憶)

 日露戦争の頃、そのような「軍人を目当て」とした売春施設は、軍から「軍慰安所」と
呼ばれていましたか。
 軍慰安所はたしかに軍人が主たる顧客である売春施設ですが、軍人を主たる顧客とする
売春施設がすべて軍慰安所だったわけではありません。
 日露戦争の頃には「軍慰安所」と呼ばれるものは存在していなかったというのが、定説
です。

>>しかし、多くの場合、慰安所規則は部隊の内務命令で制定されています。

>今の風営法みたいなもの?

 ちがいます。内務命令は軍令(の一種)ですので、軍の内部(この場合は部隊)にのみ
拘束力をもちます。風営法のように、一般人を拘束する力はありません。

153過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/14(日) 20:45
>>144 nobu2020さん

>行政警察権が治外法権国では外務大臣にあるという根拠はどこにあるのでしょうか?
>戦前の日本(大日本帝国)では、外務大臣の権限(専権事項)を、現在の外務省設置
>法のように、明確に規定している法律はないのではありませんか。

 以前>>111で紹介した外務大臣の職責=「外国在留帝国臣民に関する事務を管理する」
との規定は、外務省官制で定めれています。
 外務省官制は今の外務省設置法および外務省組織令に該当しまが、法律ではなくて勅令
でした。これにかぎらず、戦前は行政組織はすべて法律でなく、勅令で規定されていまし
た。つまり、帝国議会は行政組織を定める権限をもちませんでした。


>また、治外法権国にある日本の警察は、ある程度領事官の指揮下にあっても、内務省
>の管轄ではありませんか。以前、過客さんが書いておられた「領事警察」という規定
>があったのでしょうか。

 領事館警察は外務大臣の指揮監督下にあります。なお、領事館警察は中国と韓国以外
にはおかれていません。

 1899年に制定された「領事官の職務に関する制」は、治外法権が認められている国に
駐在する領事官に日本国内の地方裁判所と同等の司法権限を与えることを認めた法律で
すが、その中に「領事官は領事館員又は警察官をして検事又は裁判所書記の職務を行わ
しむべし」と「警察官」のことが出てきます。
 これは司法警察官のことですが、行政警察については、1900年制定の「領事官職務規則」
では、

「駐在国に於て帝国臣民を保護し、帝国に通商航海に関する利益を維持増進すべし」
「其の管轄区域内に在る日本臣民の救助又は取締の為に必要なる措置を為すべし」
「其の管轄区域内に在る日本臣民の財産又は遺産の保護に必要なる措置を為すべし」

と、管轄区域における日本臣民の保護取締に任ずることが主たる職務とされ、治外法権
を有する国においては、行政上の命令を出す権限が認められていました。

「条約又は慣例に依り領事裁判権を行うこと得る領事官はその所管事務に付、命令を
発することを得」

 また、領事官警察については、1899年に制定された勅令「警察官の任用及支給」に
おいて、

「外国在勤警部及巡査は外務大臣之を任命す。」
「外国在勤警部及巡査は其の国駐在帝国公使又は其国各地駐在帝国領事又は其の代理
者の指揮監督に属す。」

と、公使または領事の指揮監督下にあることが明記されています。

154過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/14(日) 20:46
>>144 nobu2020さん
>ここで問題にしているのは、戦争、事変時の国外の占領地における行政権及び警察権
>です。大日本帝国にはそれらの明文化された法律はありません。

 司法権については明文化した法律があります。行政権については、法律でなければ
あります。

>行政権については、戦時国際法や国際慣習法によって、軍が持っていた。これはよろ
しいですね。

 問題は、その行政権を軍が発動するに際して、正当な手続きがなされているかどうか
だと思いますが。

>警察権については、国外の占領地における明確な法律がないので、国内法を援用した
>と思われます。それは、憲兵令、陸軍刑法です。

 憲兵令は勅令ですし、陸軍刑法は法律です。その種の法令では、国外の占領地にお
ける軍の行政権を規定することはできなかった。それが大日本帝国の法令体系の特徴
でした。

>過客さんは憲兵令第2条を言われますが、第2条は国内、朝鮮、台湾、関東州及南満洲
>鉄道附属地での規定であって、それ以外の戦時、事変時の国外や占領地における規定
>はありません。その場合は「第一条 憲兵ハ陸軍大臣ノ管轄ニ属シ主トシテ軍事警察
>ヲ掌リ兼テ行政警察、司法警察ヲ掌ル」により、陸軍大臣の指揮下で各警察権を行使
>できるのではありませんか。

 できないでしょう。憲兵令第2条は、第1条に出てくる軍事警察、行政警察、司法
警察について、憲兵を指揮監督する者が誰であるのかを規定したものですから、第2
条と第1条を切り離すことはできません。
 ついでに言っておけば、戦時や事変時の外国占領地における軍事警察権が陸軍大臣
の指揮監督下にあるかどうかが、まず疑問なのです。少なくとも陸軍の解釈では、陸
軍大臣にはなかったと思われます。

>また、以前たまごさんとの議論ででた陸軍刑法
>「第四条 帝国軍ノ占領地ニ於テ陸軍軍人刑法又ハ他ノ法令ノ罪ヲ犯シタルトキハ之
>ヲ帝国内ニ於テ犯シタルモノト看做ス
>2 陸軍軍人ニ非スト雖帝国臣民、従軍外国人及俘虜ノ犯シタルトキ亦前項ニ同シ」
>これは、陸軍刑法のみならず、その他の法令についても言及しています。戦争、事変
>時の国外の占領地で、これらの犯罪を取り締まれるのは憲兵だけです。つまり、憲兵
>には戦争、事変時の国外の占領地における軍事、司法、行政警察権があるとみなされ
>ます。

 前にも言いましたように、ここで言及されている「他の法令」は刑法と同様に、犯罪
を規定した法令(特別刑法)であって、行政法規も含まれるとするのは、拡大解釈です。
 また、この国外適用規定をもって、ただちに占領地における軍の軍事、司法、行政警
察権を保障したものと解釈できるのであれば、まったく同じ論法でもって、たまごさん
>>149で言及されている、刑法第2,3条によって、日本国政府は外国においても司法
警察権を行使できるとの解釈が成り立つことになってしまいます。

 現実にそういう解釈は成り立っていません。フランスで放火の犯罪を犯した日本人を
日本の警察がフランスで警察権を行使して逮捕はできないでしょう。しかし、その人物
が日本に逃亡してきたら、(フランス警察の請求がなくても)これを逮捕することはで
きます。

 今日はここまでとさせていただきます。またまた申し訳ありませんが、>>146>>150
については、次回にまわします。

 なお、附言しておきますと、「中支那方面陸海軍占領警備区域内営業取締規程」は上海
で作成されたものです。また、「1938年4月16日の陸海外の協議」の結果については、何回
かにわけて紹介することにいたします。

155nobu2020:2004/03/15(月) 11:22
>>153 過客さん

解説ありがとうございます。

治外法権国で領事官に行政権や司法権があるのは前提としてお話ししています。
領事館警察の任命権は外務大臣にあっても、指揮監督権は領事官にあるのですね。
領事官は勅任官ではありませんか。
従って、行政警察権が治外法権国では外務大臣にあるということにはなりません。

156nobu2020:2004/03/15(月) 16:18
>>154 過客さん

引用の空白行は削除しています。

>>ここで問題にしているのは、戦争、事変時の国外の占領地における行政権及び警察権
>>です。大日本帝国にはそれらの明文化された法律はありません。
> 司法権については明文化した法律があります。行政権については、法律でなければ
>あります。

ここで問題にしているのは、戦争、事変時の国外の占領地における行政権及び警察権
です。

>>警察権については、国外の占領地における明確な法律がないので、国内法を援用した
>>と思われます。それは、憲兵令、陸軍刑法です。
> 憲兵令は勅令ですし、陸軍刑法は法律です。その種の法令では、国外の占領地にお
>ける軍の行政権を規定することはできなかった。それが大日本帝国の法令体系の特徴
>でした。

国外の占領地における警察権のはなしなのですが。


> できないでしょう。憲兵令第2条は、第1条に出てくる軍事警察、行政警察、司法
>警察について、憲兵を指揮監督する者が誰であるのかを規定したものですから、第2
>条と第1条を切り離すことはできません。
> ついでに言っておけば、戦時や事変時の外国占領地における軍事警察権が陸軍大臣
>の指揮監督下にあるかどうかが、まず疑問なのです。少なくとも陸軍の解釈では、陸
>軍大臣にはなかったと思われます。

憲兵令第9条
第九条 必要ニ際シ陸軍大臣ハ憲兵隊ノ一部ヲ、朝鮮軍司令官、台湾軍司令官及関東軍
司令官ハ各朝鮮、台湾、関東州及南満洲鉄道附属地ニ在ル憲兵隊ノ一部ヲ一時其ノ管区
外ニ派遣スルコトヲ得

第2条に規定していない地域(戦争、事変時の国外の占領地)に、陸軍大臣は憲兵を派
遣できます。


>>また、以前たまごさんとの議論ででた陸軍刑法
>>「第四条 帝国軍ノ占領地ニ於テ陸軍軍人刑法又ハ他ノ法令ノ罪ヲ犯シタルトキハ之
>>ヲ帝国内ニ於テ犯シタルモノト看做ス
>>2 陸軍軍人ニ非スト雖帝国臣民、従軍外国人及俘虜ノ犯シタルトキ亦前項ニ同シ」
>>これは、陸軍刑法のみならず、その他の法令についても言及しています。戦争、事変
>>時の国外の占領地で、これらの犯罪を取り締まれるのは憲兵だけです。つまり、憲兵
>>には戦争、事変時の国外の占領地における軍事、司法、行政警察権があるとみなされ
>>ます。
> 前にも言いましたように、ここで言及されている「他の法令」は刑法と同様に、犯罪
>を規定した法令(特別刑法)であって、行政法規も含まれるとするのは、拡大解釈です
>。

何故拡大解釈なのかわかりません。では、戦争、事変時の国外の占領地で行政警察権を
行使して、治安の維持をするのはだれですか。

> また、この国外適用規定をもって、ただちに占領地における軍の軍事、司法、行政警
>察権を保障したものと解釈できるのであれば、まったく同じ論法でもって、たまごさん
>が>>149で言及されている、刑法第2,3条によって、日本国政府は外国においても司法>警察権を行使できるとの解釈が成り立つことになってしまいます。
> 現実にそういう解釈は成り立っていません。フランスで放火の犯罪を犯した日本人を
>日本の警察がフランスで警察権を行使して逮捕はできないでしょう。しかし、その人物
>が日本に逃亡してきたら、(フランス警察の請求がなくても)これを逮捕することはで
>きます。

平時または正常な国交関係の国と戦争、事変時の国外の占領地とは違います。

157通行人A:2004/03/15(月) 18:19
しかし、今までの話を総合して
過客さんの論「軍慰安所は軍の施設である」は極論すると
「軍慰安所は民間資本により運営されている国家施設である」ってことになるのでしょうか?

>>151
> 「酒保」が「軍の施設」であることは通行人Aさんもお認めになっているようで
>すから、その「酒保」を建設に従事した工兵隊にその建設の命令が与えられた慰安
>所も同様に「軍の施設」と考えるべきではありませんか。

だから、建物だけで慰安所になりますか?
病院も医師や看護師、設備が伴って初めて病院となるわけです。

業者がいなければ、どんな建物作っても唯のハコです。

>>152
> そうすると、通常は、「企業がその社員の(福利厚生の)ために、業者に「業務委託」する」
>とは言っても、「企業がその社員の(福利厚生の)ために、業者を「誘致」する」とは、決して
>言わないことに気がつくはずです。

すいません。訂正しておいてください。
誤:誘致する
正:誘致(募集選定依託)する

> そのことは、とりもなおさず、慰安所の業務が、軍がその構成員のために行う福利厚生業
>務の一種であったことを、通行人Aさんも暗にお認めになっているということではありませんか。

郵便貯金って知ってますか?銀行という業務が信頼性等によって成り立たなかった時代、
それを国が代行する形で始めた物です。
もともと、国の業務は金融管理で銀行業務は国の事業では無いはずですよね?

これも同じで、需要に対して供給が無ければ自前で何とかすることは軍の業務ではありますが
本来の軍の業務ではないです。
過客さんの論でいくと、金融から土木工事、そのほかありとあらゆる業種が軍の業務であると言えます。
民間業者がないための軍による代行業務は、緊急避難措置であって本来の業務ではないです。

> 日露戦争の頃には「軍慰安所」と呼ばれるものは存在していなかったというのが、定説です。

でも、軍人の落とす金を目当てに売春業者がいたのは確かで、これに統制を加えた物が軍慰安所。
軍慰安所は、元からあった組織、業者が軍の統制を得てその呼び名を変えた物で、
軍慰安所自体を軍が一から作ったわけではありません。

> ちがいます。内務命令は軍令(の一種)ですので、軍の内部(この場合は部隊)にのみ
>拘束力をもちます。風営法のように、一般人を拘束する力はありません。

じゃ、社内規則の方が近いかな?出入り業者もある程度これに制約されるし・・・
従軍記者等の類も、軍管轄区域内では内規に基づいて行動を制約されるはずでしょ?

158過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/16(火) 21:12
M2Pさん

 まず、お返事が遅れましたことをお詫びします。それから、>>138で、M2P
さんの文章を引用する際に、引用符をつけわすれて、失礼をしました。

>>145>>146について

 M2Pさんにならって、私も論点を整理しておきます。

何度もくりかえしますが、私の理解は、以下のようなものです。

「自衛隊の駐屯地内にある「売店」は、自衛隊が隊員のために設けた福利
厚生施設であるが、今では自衛隊が直接経営せずに、民間業者に業務委託
している(「依託売店」)。業者と自衛隊の間には業務委託契約が成立し
ている(はずだ)。」

そのうえで、「自衛隊が隊員の福利厚生のために設けたものだから、たとえ
その経営が民間に業務委託されていようとも、やはりこれは「自衛隊の施設」
とみなしうる」と主張してきました。

 それに対して、M2Pさんの主張は、

>>87>>116で、

「自衛隊の売店は民間経営であり、民間業者が自衛官の福利厚生の為という名目で
自衛隊の施設の一部を借り受け営業行為を行っている。」
「成立経緯から考えると依託売店は自衛隊の施設ではなく自衛隊の許可による
出入り業者である。」

と、「依託売店」=民間業者論です。

 いっぽう、同じ>>116で、

>2 経営は民間の業者に委託されており、自衛隊が直接経営しているわけではない。
>3 依託業者と自衛隊との間には業務委託契約が成立している
(略)
>簡単なほうから2、3、4、5、7はそのまま成立すると思います。

と仰っているので、「依託売店」の経営者と自衛隊の間に業務委託契約が成立
していること自体については、私とM2Pさんの間に大きなちがいはないと思われ
ます。また、「民間業者が自衛官の福利厚生の為という名目で」とありますの
で、「依託売店」の営業目的が自衛官の福利厚生の為だと考える点でもちがい
はありません。
 こまでのところは、御同意いただけるでしょうか。
 
 そうすると、M2Pさんと私の間で、議論が分かれるのは、私が、

「たとえ民間業者が経営していても、自衛隊から隊員のための福利厚生業務を
委託されているのであるかぎり、やはりそれは「自衛隊の施設」である。」

と結論するのに対して、M2Pさんのほうは、

「たとえ自衛隊から隊員のための福利厚生業務を委託されているとしても、民
間業者が経営しているかぎり、やはりそれは「民間の施設」である。」

と判断されているからです。

 こういった見解の違いは、ひとり自衛隊の「依託売店」にかぎられるわけでは
なく、国や地方公共団体から業務を委託された民間業者の営業すべてに共通して
言えるわけですが、もともと対象となるものが、「公」の面と「民間」の面の両
方をそなえたコウモリのような存在ですので、そのような見解の相違が生じるのは、
ある意味で避けがたいことだと思われますし、両者がともに納得できる答えがなか
なかでにくい問題だと思われます。

 そのことが頭にあったもので、>>138で、

>結局、依託売店が「自衛隊の施設」と呼べるかどうかは、じつは本質的な
>問題ではなくて、売店業者と自衛隊の間に結ばれる業務委託契約によって設
>定される、自衛隊と業者との権力関係の性格が問題なのだと思います。

と書いたのですが、私の言葉足らずで、M2Pさんに不快な思いをさせたようです。
その点については、お詫びいたします。

159過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/16(火) 21:14
M2Pさん(つづき)

>>145>>146について

 ところで、同じく「依託売店」=民間業者説であっても、売店業者と自衛隊の間
の業務委託関係そのものを否定する説も考えられます。自衛隊と売店業者の間には、
業務委託契約は交わされずに、ただ自衛隊の土地と建物を業者が借り受けて、駐屯
地内で営業を行っているだけにすぎないとするのが、この第二の意味での「民間業
者説」です。

 今までの議論では、自衛隊の「依託売店」については、この第二の意味での「民
間業者論」あるいは「純然たる民間業者論」を主張されている方はどなたもおられ
ませんが、しかしこの議論が出てきたもともとの問題である軍慰安所については、
通行人Aさんとnobu2020さんのお二人が、軍による業務委託を否定されていますの
で(>>53>>54)、この「純然たる民間業者論」に立っておられると言えます。

 つまり、「自衛隊の依託売店は民間業者の施設だ」という主張には、じつは相異
なる2種類「業務委託された民間業者説」と「純然たる民間業者説」があるわけで
す。

 A:「純然たる民間業者説」

 B:「業務委託された民間業者説」

 C:「(業務委託された民間業者が経営する)自衛隊の施設説」

 BとCは「自衛隊の施設」か「民間業者」かで対立していますが、業務委託関係が
存在しているのを認める点では、同じ土俵の上に立っています。
 いっぽう、AとBはどちらも、「民間業者」とする点では同じですが、自衛隊との
間に業務委託関係が有るか無いかをめぐって、対立関係にあります。

 たぶん、私とM2Pさんの主張はどこまでも平行線でまじわらないだろうと思います
が、一致点のあることも否定できません。議論を重ねるうちに、そのことを確認でき
たわけですので、M2Pさんとの議論は、私にはたいへん有益であったと、感謝いたし
ております。

 なお、売店が自衛隊の福利厚生業務の一環として設けられたことについて、少し
補足しておきます。
 隊員の福利厚生をはかることは防衛庁の業務の一つです。防衛庁本庁の人事教育
局所管事務の第六項は「防衛庁の職員の福利厚生に関すること」であり、同局内に
厚生課が設けられています。本庁だけでなく、幕僚統監部や地方の各方面総監部、
地方総監部にも人事部―厚生課が置かれています。

 毎年『防衛年鑑』には、自衛隊の「厚生」についての業務報告が掲載されます。
参考までに、2002年度の年鑑の「厚生」の項には以下のように書かれています。

「防衛庁における厚生施策は、国費による諸種の厚生活動と、共済組合の行う各種
福祉事業とを両輪とし、自衛隊の任務の特殊性に即させることを主眼として運営し
ている。

国の施策
1.公務員宿舎
(略)
2.厚生センター
 自衛隊は、その任務の特性上、常時勤務態勢にあり、営舎内居住を義務付けられて
いる多くの若年隊員にとって、憩いの場としての談話室及び図書室等、また生活必需
品を供給するための売店等は欠くことができない。
 したがって、これらの施設を総合的に集中した厚生センターの整備を逐年計画的に
推進している。

3.職員のレクリエーション活動等
(略)」

 この記事からすれば、売店を含む厚生センターは、国の施策(防衛庁の福利厚生事
業)として作られたものですので、「自衛隊の施設」と呼んでよかろうと思われます。
もっとも、自衛隊の駐屯地のことはよく知らないので、ここで言及されている「売店」
とM2Pさんが紹介された「依託売店」は全然異なるものなのかもしれません。

160過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/16(火) 21:15
>>146 M2Pさん


>まず、1はその通りでしょう。自転車という乗り物に高速道路を利用する資格がありませんから。
>では、当然の事ながら自衛官が入門資格のない民間人を制止することは適法ですね。
>ご同意どうもありがとうございます。

 駐屯地の門衛の方が、入門資格のない民間人を制止するのは、もちろん適法です。私が
>>122>>132で提起したのは、

 なぜ自衛隊は「駐屯地内で営業している売店で買い物をする」ことを正当な入門目的と
して認知せずに、その入門を制止することができるのか。

という問題です。そんなこと当然で、質問するのも愚かだと仰るかもしれませんが、そう言
わずに考えてみてください。

 M2Pさんは、自衛隊は入門資格のない者の入門を制止しているだけで(それは自衛隊として
当然の権利である)、入門を認められた者であれば、誰でも売店で商品を購入できるのだから
営業妨害とはいえないと、仰いますが、これは逆に言えば、「売店で商品を購入すること」は
自衛隊が入門を許可する正当な理由とはなりえないことを意味しています。

 ところが、その駐屯地内に一般に公開されている展示館や資料室があった場合、それを見学
するのは正当な入門目的と見なされ、入門を拒否されることはありません。

 このちがいは何に由来するのでしょうか。それは、展示館や資料室は自衛隊が国民一般に、
自衛隊の仕事をよりよく理解してもらうための広報活動の一環として設けられたものですので、
外から多くの人に来てもらうことを本来の目的にしているのに対して、売店はあくまでも、駐
屯地内で業務に従事する自衛隊員や関係者の福利厚生のために設けられたものであって、一般
の住民の利用に供することを目的にしているものではないからです。
 5歳の子供が展示館に入りたいと一人で来れば、自衛隊はたぶん保護者と一緒に来るように
と言って中に入れないでしょうが、保護者が同伴すれば、当然入門させます。しかし、売店で
お菓子を買いたいという5歳の子供に対して、お母さんと一緒なら入れてあげるから、お家に
帰ってお母さんに頼みなさい、と言う門衛の人はいないでしょう。

 しかし、これは民間業者の方からすれば、売店を利用したいと思っている(潜在的)顧客を
失うことを意味しますから、営業上は大きな制約です。同じ業者が駐屯地外で「隊外売店」を
営業していたとすれば、そのような制約を自衛隊が課すことはできません。
 しかし、いかなる業者も自衛隊に対して依託売店で買い物したいという人を、駐屯地内に自由
に出入りさせて欲しいなどという要求を出したりしません。それは、業者も上記のような売店
の性格をよく認識して営業しているからです。
 このような営業への制約をなぜ自衛隊が課すことができるかと言えば、それは業者と自衛隊
の間に業務委託関係が存在しているからです。それに基づいて自衛隊は業者の営業に対して制
約を及ぼすことができます。

161過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/16(火) 21:16
>>146 M2Pさん(つづき)

 ところで、M2Pさんは高速道路を例にあげられましたが、高速道路と自衛隊の駐屯地とは同じ
でしょうか。高速道路も駐屯地もゲートがあって、フェンスがあって、中に入るときにチェック
されるので、同じように思えますが、じつは性格はかなり異なります。
 同じように国の予算で作られた国有物とはいえ、高速道路は公共道路ですから、一般に公開さ
れ、不特定多数の人間が利用できます。入る時にチェックされるのは、じつは利用料金を徴収す
るためであって、利用者の氏名や住所、道路の利用目的や目的地を聞かれたりはしません。免許
証のチェックすらありません。だから、サービスエリアの売店で買い物するためだけに高速道路
を利用しても、きちんとお金さえはらえば、どこにも問題は生じません。

 5歳の子供が自転車で高速道路に入れないのは、その目的(サービスエリアの売店でお菓子を
買いたい)に問題があるからではなくて、その手段が高速自動車国道法第17条によって禁止さ
れているからです。ですから、たとえその目的が正当(名古屋から東京まで行く)であり、成人
であっても、自転車での通行は許されません。
 しかし、自衛隊の駐屯地では目的が問われるのであって、たとえ成人であっても、買い物目的
では入門が許可されません。
 
 そう考えると、5歳の子供が自転車で高速道路に入れないのは、風営法で18歳未満の利用を
禁止しているのと、同じことであることがわかります。ですから、あながち。

>2は1とは直接の関係がありません。なぜならば客というのはパチンコ店の営業許可に
>何ら関わっていない単なる利用者です。よってこの例は不適当と考えます。

とは言えないだろうと、思います。

>3についてですがこれは詭弁でしょう。今までの前提条件として入門許可のないものの
>入門を認めないことが営業妨害につながるかどうかという話
>(投稿122で子供という入門資格のないものの買い物目的の入門の可否を例に出したのは
>過客さんです)をしていたのに

 M2Pさんは、そうお考えだったかもしれませんが、私は、M2Pさんが、まとめてくださった
ように、

>>122
>単なる営業許可であれば買い物目的の民間人の自衛隊への入門を認めざるを得ず
>また、それを制止するのは営業妨害に当たる。この制止は売店が単なる営業行為でなく
>自衛官の福利厚生を目的とするものであるためであり認められ、よってこれは自衛隊の施設である。

最初から、自衛隊が「入門許可のないものの入門を認めない」のはあたりまえだと考えて
います。問題にしているのは、「駐屯地内の売店に買い物に行くことが自衛隊にとって、
正当な入門理由として認められないのはいったいなぜなのか、いかなる根拠があって制止
できるのか」という問題です。

>それであれば自衛隊にお菓子を買いに行きたい幼児は知り合いの自衛官にお願いして引率、
>又は当該自衛官に対する面会を理由として入門して買い物をすればいい、つまり正当な
>入門理由をもって入門すればたとえ本来の目的が理由と違っても入門可能であり
>その後に買い物をしようがすまいがそれは規制されません。

 この場合、子供を同伴する自衛官なり入門資格者は、売店での買物だけを目的としている
とは公然とは言えませんね。他の正当な目的が必要です。自衛官であれば、目的など不要で
すが、子供がお菓子を買いたいがためにだけ入門させたとあれば、たしかに親切な自衛官で
あると評価できますが、しかし、隊員としての服務規則に忠実とはいえない。少し後ろめた
いものが残るでしょう。
 でも、高速道路の場合はちがいます。子供を乗せてサービスエリアに買い物に行くだけで
あっても、誰にもはばかることありません。道路公団に後ろめたいと思う必要もありません。

 今日も長くなってしまいました。このあたりが限界です。他の方への返答は、またの機会
とさせていただきます。

162指環 </b><font color=#FF0000>(wUDH2Y5M)</font><b>:2004/03/18(木) 07:18
 ずっとROMしていますが、議論が深まっていますね。ちょっとだけ、横レス失礼
します。

>通行人Aさん

>>157
>郵便貯金って知ってますか?銀行という業務が信頼性等によって成り立たなかった時代、
>それを国が代行する形で始めた物です。
>もともと、国の業務は金融管理で銀行業務は国の事業では無いはずですよね?
>
>これも同じで、需要に対して供給が無ければ自前で何とかすることは軍の業務ではありますが
>本来の軍の業務ではないです。
>過客さんの論でいくと、金融から土木工事、そのほかありとあらゆる業種が軍の業務であると言えます。
>民間業者がないための軍による代行業務は、緊急避難措置であって本来の業務ではないです。

 ↑この書き方からすると通行人Aさんは、慰安所の業務と軍の関係が郵便貯金と国
の関係と類似であると考えているようですね。それなら、郵便貯金が国の事業であっ
たのと同様に慰安所の業務は軍の業務であったことになり(「本来の業務」であった
かどうかはともかくとして)、結局、軍慰安所が軍の施設であったことを殆どお認め
になっているように私には読めるのですが・・・。違うのですか?

 なお、軍が制定した慰安所規則につきましては、前スレの702で少し紹介しています。

 ところで、私と議論していた21さんはどこへ行っちゃったのでしょうか? 過客さ
んからの質問にも答えないまま、いなくなりましたね(笑い)。

163通行人A:2004/03/18(木) 14:48
>>162
>結局、軍慰安所が軍の施設であったことを殆どお認め
>になっているように私には読めるのですが・・・。違うのですか?

「もし、慰安業者がいなかったら軍が慰安所の施設設置運営をやったであろう」という
仮定と推測から出た話。

簡単な流れ
通行人A「もし、業者がいなければ軍が自ら慰安所の運営してたかも」
過客「それは、慰安所は軍の業務だったということですね。」
通行人A「ちゃう。供給がないから仕方なく軍が代行しての業務。(例:郵便貯金)」

もとが、「if」なんでこれで、慰安所がどうこういってもあまり意味がないです。

ところで、軍は国の組織であり、軍の施設=国の施設である。
国の施設は、全て国家予算で運営されているはずだが、
その原則をはずれ、民間資本によって運営されている軍慰安所が
国(軍)の施設であるという根拠は、如何なる所から出てくるのでしょうか?

164過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/18(木) 21:18
nobu2020さん

>>150

>「中支那方面陸海軍占領警備区域内営業取締規程」の全文ありがとうございました。

 書き忘れましたが、出典をあげておきます。
「外務省警察史 在南京総領事館」『外務省警察史』第48巻(不二出版、2001年)p.221


>この規定は日本内地において作成されたもののようですね。

>>154 では簡単に結論だけ書いておきましたが、この規程は日本内地ではなくて、
上海において陸軍、海軍、外務の出先機関が協議して作成したものです。
 そのことは以下の事情からわかります。
1.この規程全文は、「昭和十三年四月二十四日付」で在上海総領事館から在南京
総領事館宛に出された通報の「別紙」として添付されている。

2.この「昭和十三年四月二十四日付」通報の中味は、規程中の「甲、一、(二)」
にある「領事館は陸海外連絡会議に於て決定せる概括的許否の方針に基き法令により
営業許可取締に任ず」の「概括的許否の方針」が四月一七日に上海で開かれた陸海外
連絡会議で決定されたことを南京総領事館に連絡したものです。
 
 この連絡会議が上海で開かれたものであることは、この規程の速報版を南京総領事
館に通報した、「昭和十三年三月二十五日付」の上海総領事館からの通報に次のよう
な記載があることからわかります。

「中支方面陸海軍占領警備区域内に於ける営業取締方に関しては先般来当地に於て陸
海軍特務部側協議中の処、今般別紙取締規定に依り処理することに協定したるに付」

「当地」とありますので、上海にまちがいありません。

>ただ、私が主張しているように、占領地では軍に行政権があり、軍事警察権、行政警察
権があるようですね。

 紹介した規程からどうしてそのような結論になるのか、理解に苦しみます。むしろ、
軍は直接行政権を行使していないことを示す資料だと、私は思いますが。

「甲、帝国臣民関係
一、経済政策上統制の必要なき程度の営業

(一)営業の届出又は許可の申請は所轄領事館に対し為さしむ。

(二)領事館は陸海外連絡会議に於て決定せる概括的許否の方針に基き法
令に依り営業許可取締に任ず。」

とありますから、日本臣民の営業に関する行政は領事館がやることになっています。


それにしても、「陸海軍に専属する酒保及慰安所は、陸海軍の直接経営監督取締に属す
べき」の認識はどこからでたものでしょうか?

 「酒保及慰安所」が軍の施設であるために、在留日本臣民に対する領事館に行政権の
及ばない存在(軍令の拘束をうけ、軍の内部行政権の対象)であることを陸海外の代表
がよく知っているから、そういう認識が出てくるのです。

>ますます、1938年4月16日の陸海外の協議全文を読んでみたくなりました。

 4月16日の協議全文の紹介は、もう少しお待ち下さい。しかし、上記の「認識」と無関
係の内容であることに、変わりはありません。まあ、ご自分の目でたしかめるのがなに
よりですが。

165過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/18(木) 21:20
nobu2020さん

>>156

>> 司法権については明文化した法律があります。行政権については、法律でなければ
>>あります。

>ここで問題にしているのは、戦争、事変時の国外の占領地における行政権及び警察権
>です。

 そうですよ。戦時、事変時の国外の占領地における司法権については法律に規定が
あります。それから行政権については法律ではありませんが、法令に書かれてあります。

>> 憲兵令は勅令ですし、陸軍刑法は法律です。その種の法令では、国外の占領地にお
>>ける軍の行政権を規定することはできなかった。それが大日本帝国の法令体系の特徴
>>でした。

>国外の占領地における警察権のはなしなのですが。

 少なくとも陸軍憲兵隊の認識によれば、憲兵令は国外の占領地の憲兵には適用されま
せん。ちがう法令が適用されるのです。
 今問題にしている中支方面に派遣されていた中支那派遣軍憲兵隊の「軍事警察勤務教
程」という憲兵の教科書が残っています(『続現代史資料』6、みすず書房、1982年)。
これは1943年のものですが、以下のような記述があります。

「憲兵が国家機関として、国家統治の主体なる 天皇の有し給う権力を、勅令たる憲兵
令に基き警察権を帝国憲法の施行せらるる地域内に於て行使する場合と、憲兵が他の機
関即ち戦時若くは事変に際し、国外戦地憲兵として、全く陸軍部隊として派遣軍最高指
揮官の隷下に入り行動し、最高指揮官の有する権力を行使する場合とあり、前者は勅令
たる憲兵令に基くを以て勅令憲兵と謂い、後者は軍令に基くがゆえに軍令憲兵と称す。
軍令憲兵は憲兵たる身分は同一なるも、その機関としての本質を異にし、警察権行使の
権限も亦異なる。」

 戦時・事変時の占領地の憲兵は軍令憲兵であり、憲兵令による勅令憲兵とは本質がち
がうというのが、当事者である憲兵の認識でした。



>第2条に規定していない地域(戦争、事変時の国外の占領地)に、陸軍大臣は憲兵を派
>遣できます。

 戦時・事変時に国外の占領地に憲兵を派遣するのは、陸軍大臣の権限ではありません。


>何故拡大解釈なのかわかりません。では、戦争、事変時の国外の占領地で行政警察権を
>行使して、治安の維持をするのはだれですか。

 戦時、事変時の国外占領地での憲兵の権限(司法権警察権を除く)を帝国議会が協賛し
た陸軍刑法に求めるのは、軍と憲兵がもっとも嫌う論法です。統帥権の干犯と非難されか
ねません。

166過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/18(木) 21:22
nobu2020さん

>>153

>領事館警察の任命権は外務大臣にあっても、指揮監督権は領事官にあるのですね。
>領事官は勅任官ではありませんか。
>従って、行政警察権が治外法権国では外務大臣にあるということにはなりません。

 外務省官制第一条に「外務大臣は(略)外交官及領事館を指揮監督す」とあります。
領事館警察(=外務省警察)は公使または領事の指揮監督を受け、その公使と領事は外
務大臣の指揮監督を受けるのですから、外務大臣は領事館警察の指揮監督権をもってい
ます。したがって、治外法権国では日本臣民に対する行政警察権は外務大臣に帰属しま
す。

 なお、勅任官はすべてその人事を管轄する大臣が閣議に提出し、承認されたあと総理
大臣が天皇に裁可を求めて任命されます。

またまた申し訳ありませんが、通行人Aさんの>>152への返事は、次回とさせていただき
ます。

167nobu2020:2004/03/18(木) 22:56
>>164 過客さん

>>ただ、私が主張しているように、占領地では軍に行政権があり、軍事警察権、行政警察>>権があるようですね。
> 紹介した規程からどうしてそのような結論になるのか、理解に苦しみます。むしろ、
>軍は直接行政権を行使していないことを示す資料だと、私は思いますが。

>甲、帝国臣民関係
>一、経済政策上統制の必要なき程度の営業
>(一)営業の届出又は許可の申請は所轄領事館に対し為さしむ。
>(二)領事館は陸海外連絡会議に於て決定せる概括的許否の方針に基き法
>令に依り営業許可取締に任ず。」
>とありますから、日本臣民の営業に関する行政は領事館がやることになっています。

正確には
甲、帝国臣民関係
一、経済政策上統制の必要なき程度の営業

(一)営業の届出又は許可の申請は所轄領事館に対し為さしむ。

(二)領事館は陸海外連絡会議に於て決定せる概括的許否の方針に基き法
令に依り営業許可取締に任ず。
 但し、爆発物、著作、出版、印刷、興業、通信、旅館、病院等、保安警
察上、主要なる営業及軍事警察上取締を要する営業許可(禁止制限を含む)
に関しては予め所轄憲兵隊長(分隊長)と協議通報するを要す。

(三)領事館(分館出張所警察分署)所在地を除く地点に於て営業を為す
者は所在憲兵隊(分隊)に届出又は許可申請を為すことを得
 右の場合憲兵隊(分隊)は該地管轄領事館の館令に準じ許可及取締に任
じ、所要の書類写を当該領事館に通報す。

(二)は、所轄憲兵隊長と協議することになっています。
(三)は、領事館がないか、機能しない場合は憲兵隊が管轄するという意味ではあ
りませんか?

また、戦時、事変時に軍に行政権がないなら、このような協議は必要ないのではあ
りませんか。1937年8月14日に上海事変が勃発して、陸海軍と領事官が協議できるよ
うになる1938年3月までは、行政の空白期間ですか。その間は軍が行政権を行使して
いたのではありませんか。

168nobu2020:2004/03/18(木) 23:51
>>165 過客さん

勅令憲兵と軍令憲兵の違いは、簡単に言えば、勅令憲兵は帝国内で陸軍大臣の管
轄にあり、軍令憲兵は派遣軍の司令官の管轄にあるということです。もっといえ
ば、軍令憲兵は司法大臣や内務大臣の指揮下にないということであって、司法警
察権や行政警察権がないということではありません。よりフリーハンドな存在で
す。

>戦時・事変時に国外の占領地に憲兵を派遣するのは、陸軍大臣の権限ではありません。

だれの権限で派遣されるのですか?憲兵令第9条は無効ですか?


>>何故拡大解釈なのかわかりません。では、戦争、事変時の国外の占領地で行政警察権を>>行使して、治安の維持をするのはだれですか。
> 戦時、事変時の国外占領地での憲兵の権限(司法権警察権を除く)を帝国議会が協賛
>した陸軍刑法に求めるのは、軍と憲兵がもっとも嫌う論法です。統帥権の干犯と非難さ
>れかねません。

質問に対する回答としてよく理解できません。嫌いだから、権限を放棄するという
ことですか。

戦争、事変時の国外の占領地で行政警察権を行使して、治安の維持をするのはだれ
ですか?

169nobu2020:2004/03/19(金) 09:32
>>166 過客さん


> 外務省官制第一条に「外務大臣は(略)外交官及領事館を指揮監督す」とあります。
>領事館警察(=外務省警察)は公使または領事の指揮監督を受け、その公使と領事は外
>務大臣の指揮監督を受けるのですから、外務大臣は領事館警察の指揮監督権をもってい
>ます。したがって、治外法権国では日本臣民に対する行政警察権は外務大臣に帰属しま
>す。

治外法権国で自国民に対する行政権や行政警察権を持っているのは国(この場合は日本)であって、それらを、日本を代表して、行使するのは領事官ではないですか。外務大臣が領事官に対する指揮監督権を有していても、「治外法権国では日本臣民に対する行政警察権は外務大臣に帰属します。」は、あたらないと考えます。
治外法権国に対して、大日本帝国では、外務大臣が主権者ですか。

170過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/19(金) 20:11
通行人Aさん
>>157

>過客さんの論「軍慰安所は軍の施設である」は極論すると
>「軍慰安所は民間資本により運営されている国家施設である」ってことになるのでしょうか?

 私の論は、最初から「軍慰安所はその名が示すように軍が将兵のために設置した福利厚生施設
であり、その実際の経営は軍から業務委託された民間業者がおこなっていた」です。
 たとえば、次のように。

>>38 名前: 過客 投稿日: 2004/02/28(土) 15:03

> 軍慰安所は軍のつくった兵站施設ですから、その責任者は当然軍です。
> 軍慰安所の実際の業務は軍から委託された民間の業者がおこなってい
>ました。しかし、慰安所そのものは軍の施設です。

 酒保が軍の施設であることは通行人Aさんもお認めになっていますが、酒保の中には商品
の納入だけにとどまらず、小売販売も出入りの商人に請負わせている場合もありましたし、
売店だけでなく、理髪師や洗濯屋を抱える酒保もありました。
 彼らは民間人です。ひっくるめて「酒保商人」と呼ばれていました。つまり、「酒保は軍
の施設だが、そこでは民間業者が民間資本で営業を行っていた」のです。

 こういうことはよくあることで、べつだん「極論」と言うほどのものではないと思います
が。

>>151
> 「酒保」が「軍の施設」であることは通行人Aさんもお認めになっているようで
>すから、その「酒保」を建設に従事した工兵隊にその建設の命令が与えられた慰安
>所も同様に「軍の施設」と考えるべきではありませんか。

>だから、建物だけで慰安所になりますか?
>病院も医師や看護師、設備が伴って初めて病院となるわけです。
>業者がいなければ、どんな建物作っても唯のハコです。

もちろん、建物だけでは軍が必要とするサービスは提供されません。
しかし、沖縄で軍命令によりその建物の建設に従事した要塞建築第勤務六中隊は、自分たちが作っ
ている建物(「唯のハコ」)を「慰安所」と呼んでいたのです。この「慰安所」は軍の公的記録で
ある陣中日誌と作戦命令にも出てくる言葉ですので、軍の公式の呼称です。
 この「慰安所」は軍の作戦命令に基づき建築された施設ですから、当然の軍の経費で建築費は賄
われています。れっきとした「軍の施設」です。
 それから、第十軍が作った湖州の慰安所は「唯のハコ」ではなくて、そこで働く人間(慰安婦)
も含んでいたことは、私が紹介した山崎少佐の日記に書かれてあります。

 ともかく、通行人Aさんは、南京や湖州の慰安所(この場合は「唯のハコ」だけではない)が軍
によって作られたものであること、また沖縄の慰安所(この場合は「唯のハコ」だったのかもしれ
ない)も、軍が作ったものであることはお認めになるのですね。

171過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/19(金) 20:14
通行人Aさん
>>157

>>152
> そうすると、通常は、「企業がその社員の(福利厚生の)ために、業者に「業務委託」する」
>とは言っても、「企業がその社員の(福利厚生の)ために、業者を「誘致」する」とは、決して
>言わないことに気がつくはずです。

>すいません。訂正しておいてください。
>誤:誘致する
>正:誘致(募集選定依託)する

 誘致するという一連の行為の中には、「募集選定」は含まれるかもしれませんが、「依託」は入ら
ないでしょう。
 「A市は、原子力発電所の誘致に成功した」と言いますが、この時、A市が電力会社に原子力発電
事業を「依託」とは言わないでしょう。「依託」とは「物事を他人にまかせてやってもらうこと」で
すが、A市が発電所を誘致したのは、そこからもたらされる税収と雇用、商品需要が目的であって、
A市が自力ではできない原子力発電事業を電力会社にまかせてやってもらうためではないからです。

 しかし、A市が市職員の福利厚生のため、どこかのリゾート地に海の家(A市職員保養所)をつく
り、その経営を民間の業者に委託することはいくらでもありえます。しかし、この場合は「A市は、
海の家の誘致に成功した」とは言いません。


>郵便貯金って知ってますか?銀行という業務が信頼性等によって成り立たなかった時代、
>それを国が代行する形で始めた物です。
>もともと、国の業務は金融管理で銀行業務は国の事業では無いはずですよね?
>これも同じで、需要に対して供給が無ければ自前で何とかすることは軍の業務ではありますが
>本来の軍の業務ではないです。
>過客さんの論でいくと、金融から土木工事、そのほかありとあらゆる業種が軍の業務であると言えます。
>民間業者がないための軍による代行業務は、緊急避難措置であって本来の業務ではないです。

 企業でも官庁でも同じですが、職員向けの社内貯金制度というのがあります。私はトヨタとは縁も
ゆかりもないので、もしかしたらまちがっているかもしれませんが、トヨタクラスの企業なら、必ず
社内貯金はあると思います。もちろん、トヨタは自動車の生産・販売が本業で、銀行業務は本来の事
業内容ではないはずですが、社員の福利厚生のためにやっているわけです。実際には、トヨタはどこ
かの銀行と提携して、利子の補助をしているだけでしょうが、しかしこれがトヨタの社内制度である
のはまちがいありません。
 また、たいていの企業や官庁には保養施設があります。「海の家」や「山の家」。トヨタは自動車
の生産・販売が本業ですから、旅館業はトヨタの事業とはいえません。でも、トヨタくらいの会社に
なると、立派なホテルなみの保養施設があるはずです。
 さらに、生活必需品の小売り販売は自衛隊の本来の業務ではありませんが、自衛隊は隊員の福利厚
生ために「国の施策」として「厚生センター」に売店を設けています。>>159
 毎年の『防衛年鑑』に報告されているくらいですから、緊急避難措置などであるはずありません。

172過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/19(金) 20:19
通行人Aさん
>>157

>でも、軍人の落とす金を目当てに売春業者がいたのは確かで、これに統制を加えた物が軍慰安所。
>軍慰安所は、元からあった組織、業者が軍の統制を得てその呼び名を変えた物で、
>軍慰安所自体を軍が一から作ったわけではありません。

 1937年12月に日本軍が占領するまで、南京や湖州には日本軍はいませんでした。日本人も引き揚げ
てしまっていません。ですから、軍人の落とす金を目当てに売春業者が(軍よりも先に)にいた事実
はありません。元からそんな組織はないのですから、軍慰安所自体を軍が一から作ったのです。中国
人の売春組織はあったではないかと反論があるかもしれませんが、慰安所の従業婦に中国人女性を採
用することはあっても、慰安所の受託経営者(すなわち軍の御用商人)に中国人を採用することは、
少なくともこの時点ではありえません。
 そもそも「軍の統制」とは具体的に何を意味するのですか。軍が既存の民間の売春業者を規制する
命令なり規則を制定し、特定の条件をみたすものは、軍慰安所と名乗ってよろしいと命じたことがあ
るのですか。

>じゃ、社内規則の方が近いかな?出入り業者もある程度これに制約されるし・・・
>従軍記者等の類も、軍管轄区域内では内規に基づいて行動を制約されるはずでしょ?

 軍令とは軍の内部に出される命令ですから、社内規則と基本的には同じです。出入り業者すなわち
軍の御用商人は、民間人ですが軍令で部分的に拘束されます。その点では従軍記者も同じ。
 そういう特別の立場におかれている民間人は法的には「軍従属者」と呼ばれていました。

 慰安所の受託業者は軍の御用商人です。実際彼らを軍従属者と呼んでいる史料が残っています。
軍の御用をつとめる商人(軍に対し軍が必要とする性的労働力と性的サービスを提供する商人)で
すので、軍との関係は一般の売春業者とは大きく異なります。

173過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/19(金) 20:20
nobu2020さん

 前の投稿で、また引用符を忘れてしまいました。ごめんなさい。

>>167

>甲、帝国臣民関係
>一、経済政策上統制の必要なき程度の営業

>(一)営業の届出又は許可の申請は所轄領事館に対し為さしむ。

>(二)領事館は陸海外連絡会議に於て決定せる概括的許否の方針に基き法
>令に依り営業許可取締に任ず。
> 但し、爆発物、著作、出版、印刷、興業、通信、旅館、病院等、保安警
>察上、主要なる営業及軍事警察上取締を要する営業許可(禁止制限を含む)
>に関しては予め所轄憲兵隊長(分隊長)と協議通報するを要す。

>(三)領事館(分館出張所警察分署)所在地を除く地点に於て営業を為す
>者は所在憲兵隊(分隊)に届出又は許可申請を為すことを得
> 右の場合憲兵隊(分隊)は該地管轄領事館の館令に準じ許可及取締に任
>じ、所要の書類写を当該領事館に通報す。

>(二)は、所轄憲兵隊長と協議することになっています。

 軍が占領地の行政全般に大きな発言力をもっていることは当然の前提に
したうえで、軍が行政権を直接行使していたかどうかを問題にしています。
軍が行政権を直接行使するとは、こういう場合をさしています。

「遼東兵站監区内居住民取締内規
一、本管区内(関東州、営口及安東県を除く以下之に倣う)に居住営業を許
すべき本邦人は遼東兵站監の許可証を有する者に限る
二、本管区内に於て本邦人の居住営業を許すべき区域は遼東兵站監其時々之
を定む
三、関東州、営口及安東県にある本邦人にして前項の区域に居住営業せんと
するものあるときは其営業の種類営業地戸籍謄本(雇人共)営業経歴営業資
本物資供給の方法を具し現在地の兵站官衙に願出さしむべし」

 これは日露戦争中の1905年6月遼東兵站監(陸軍少将井口省吾)が制定した
規則ですが、日本人の営業の許認可権は軍の組織である兵站監が所有し、行
使しています。だから、営業許可の欲しい日本人は領事館ではなくて、最寄
りの兵站部に行って手続きるのです。
 
 しかし、「中支那方面陸海軍占領警備区域内営業取締規程」では、原則とし
て領事館に許認可権があり、それを軍も認めています((一))。ただし、
軍の安全や占領地の治安維持に関係する事項については、総領事館は軍に協
議することになっているので、これは軍による直接の行政権行使を認める
ものではありません。

>(三)は、領事館がないか、機能しない場合は憲兵隊が管轄するという意味ではあ
りませんか?

 (三)は領事館やその出張所のない場所では、領事館のはたすべき行政業
務を憲兵隊が代行するのを認めるもので、その意味では軍の行政権を認める
条項です。しかし、これもあくまでも領事館が行うのが原則であり、それが
できない場合には、憲兵が担当する例外規定の枠にとどまっています。

174過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/19(金) 20:21
nobu2020さん

>>167

>また、戦時、事変時に軍に行政権がないなら、このような協議は必要ないのではあ
>りませんか。1937年8月14日に上海事変が勃発して、陸海軍と領事官が協議できるよ
>うになる1938年3月までは、行政の空白期間ですか。その間は軍が行政権を行使して
>いたのではありませんか。

 軍は軍事行政権、軍事警察権、軍事司法権を有しています。これは占領地であろう
が、日本国内であろうがかわりません(ただし、その行使の法的根拠は占領地と国内
では同一ではない)。軍がその軍事行政権、軍事警察権、軍事司法権を行使するにあ
たり、領事館が管掌する外地行政権、外務警察権、領事裁判権と関係が生じるのは当
然のことであり、両機関の間で協議がなされるのもそこからくるわけです。
 ただし、戦時・事変での占領地では軍事的利害が最優先されますので、領事館より
も軍の発言権は大きいです。
 戦時・事変時の占領地における軍の行政権あるいは行政警察権とは、軍がもともと
もっている軍事行政権、軍事警察権、軍事司法権が戦争遂行の必要性から、平時より
もはるかに強大となり、肥大化して、一般の行政権や警察権の範囲まで及ぶようにな
ったために生じたのであって、軍が政府のもつ一般行政権を取得するのではありませ
ん。
 ご指摘のように、中国のような治外法権対象国においては、戦争になって領事館が
引き揚げたあと、戦争の一段落とともに彼らが元の任地に戻ってくるまでは、軍が行
政権を行使します。しかし、領事館が戻ってくれば、国際法上の占領地行政が施行さ
れていないかぎり、在留日本人に対する行政権は軍から領事館に戻されます。

 漢口では、武漢占領後憲兵隊が「武漢に於ける軍事警察及一般行政事務を担当し居
りたるが、漢口総領事館開館により昭和十三年十二月一日より行政事務を当館に移管
せり」と、外務省警察史の漢口総領事館の部に書かれてあります。
 漢口からの日本人引き揚げが完了したのが、1937年8月11日、日本軍の武漢入城が
10月25日です。ですから、憲兵が担当していたのは約1ヶ月の間でした。

 しかし、上海は話が別です。上海では戦争中も総領事館は踏みとどまり、機能して
いました。在留日本人も総引き揚げはしていません。上海には租界がありますから、
中国軍の進入には自ずから限度があります。ですから、上海では一度も行政の空白期
間はなかった。

175過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/19(金) 20:25
nobu2020さん

>>168

>勅令憲兵と軍令憲兵の違いは、簡単に言えば、勅令憲兵は帝国内で陸軍大臣の管
>轄にあり、軍令憲兵は派遣軍の司令官の管轄にあるということです。もっといえ
>ば、軍令憲兵は司法大臣や内務大臣の指揮下にないということであって、司法警
>察権や行政警察権がないということではありません。よりフリーハンドな存在で
>す。

 ところが、陸軍の憲兵隊はそうは考えないのです。もう一度、中支派遣憲兵隊の
教科書から引用します。

「中支憲兵隊が事実上執行しつつある作用も、警察と似て非なるものにして、国家
統治権に基づく純然たる警察に非ずと謂わざるべからず、支那派遣軍総司令官が、
中支憲兵に対し保安及軍事警察を掌らしめあるも、法理上の警察と異り、所謂警察
的行為乃至作用と解するを至当とすべし」

ちょとわかりにくいですが、この教科書の考えでは、中支憲兵が事実において行使
している警察権は、国家統治権に基づくものではない(法理上の警察ではない)わ
けです。nobu2020さんが上記引用で仰る司法警察権や行政警察権とは、国家統治権
に基づく警察権のはずですから、この教科書は、中支憲兵の警察行為はそういうも
のではないと主張しているわけです。
 もちろん、国家統治権によらない警察作用ですから、内務大臣や司法大臣の指揮
下におかれるはずはないし、フリーハンドであるのもまちがいない。しかし、それ
はあくまでも天皇の統帥権(軍権)に由来するものですので、通常の警察権や行政
権とそもそも本質的に異なるものだ、そういうものに依拠していない、そう主張し
ているわけです。

176過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/19(金) 20:27
nobu2020さん

>>168

>>戦時・事変時に国外の占領地に憲兵を派遣するのは、陸軍大臣の権限ではありません。

>だれの権限で派遣されるのですか?憲兵令第9条は無効ですか?

 大元帥である天皇の権限によって派遣されます。教科書はそのことを明確に言い
切っています。

「勅令憲兵が軍隊及警察の二元的性格を有し、憲兵令に拠り完全なる警察権を帯有
しあるに対し、中支憲兵隊の編成は、憲法第十二条の編成大権に依り軍令を以て、
戦時編制上陸軍軍隊として編成せられ、軍人としての身分を保持せしめ支那派遣軍
総司令官に隷属せしめらるるとともに、其の任務に関しては、憲法第一一条の 天
皇の統帥大権に基き、軍令たる軍勤務令を以て、支那派遣軍総司令官に附与せられ、
総司令官は該軍令に基き、更に中支那派遣憲兵隊服務に関する規程を制定し、中支?
那憲兵の軍事警察鞅掌を示達せられあり」

 大元帥たる天皇の発する軍令によって編成されて、中支に派遣され、同様にその
軍令によって任務を定められている、と。

 ですから、憲兵令第9条によって派遣されているのではないのです。

>> 戦時、事変時の国外占領地での憲兵の権限(司法権警察権を除く)を帝国議会が協賛
>>した陸軍刑法に求めるのは、軍と憲兵がもっとも嫌う論法です。統帥権の干犯と非難さ
>>れかねません。

>質問に対する回答としてよく理解できません。嫌いだから、権限を放棄するという
>ことですか。

 ちがいます。中国占領地で憲兵隊が事実において行使している警察権の法的根拠を
陸軍刑法や憲兵令の条項に求める論法は、軍と憲兵が否定していた論理なので、彼ら
はnobu2020さんの議論は、まちがっていると言うに違いないと、指摘しているのです。

>戦争、事変時の国外の占領地で行政警察権を行使して、治安の維持をするのはだれ
>ですか?

 軍令憲兵の行使するのは、一般的な行政警察権ではなくて、軍事警察権です。その
軍事警察権が、平時の内地では一般的な行政警察権の範囲のことがらまで、拡大して
いるので、表面的に一般的な行政警察権を行使しているように見えるだけにすぎない。
本質はちがうのだ、というのが、旧日本陸軍の憲兵の教科書の考え方なのです。

177過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/19(金) 20:28
nobu2020さん

>>169

>治外法権国で自国民に対する行政権や行政警察権を持っているのは国(この場合は日本)
>であって、それらを、日本を代表して、行使するのは領事官ではないですか。外務大臣が
>領事官に対する指揮監督権を有していても、「治外法権国では日本臣民に対する行政警
>察権は外務大臣に帰属します。」は、あたらないと考えます。

 治外法権対象国での日本人に対する行政権はたしかに日本の主権の一部ですが、その日
本を代表するのが外務大臣です。この問題に関しては国=外務大臣です。領事官もその下
の外務省警察官もすべて外務大臣の指揮監督下にある部下です。
 ですから、「治外法権国では日本臣民に対する行政警察権は外務大臣に帰属します。」
として、どこにも間違いはありません。

178nobu2020:2004/03/20(土) 09:33
>>173 過客さん

たとえ例外規定としても、軍に行政権があることを確認できれば結構です。
私もはじめから、領事館がないか、領事館が機能しない場合を想定しています。

179通行人A:2004/03/20(土) 09:57
>>170
> 彼らは民間人です。ひっくるめて「酒保商人」と呼ばれていました。つまり、「酒保は軍
>の施設だが、そこでは民間業者が民間資本で営業を行っていた」のです。
> こういうことはよくあることで、べつだん「極論」と言うほどのものではないと思いますが。

はい、例がまったく違います。「酒保」は、軍の業務を委託した例ですね。
比較的近い事例で行けば国の業務を民間に引き継いだ「JR」や「NTT」などでしょうか?
軍慰安所の場合は、「酒保」と違いはじめから民間資本です。「第3セクター」というわけでもないですよ。

>もちろん、建物だけでは軍が必要とするサービスは提供されません。
>しかし、沖縄で軍命令によりその建物の建設に従事した要塞建築第勤務六中隊は、自分たちが作っ
>ている建物(「唯のハコ」)を「慰安所」と呼んでいたのです。この「慰安所」は軍の公的記録で
>ある陣中日誌と作戦命令にも出てくる言葉ですので、軍の公式の呼称です。
> この「慰安所」は軍の作戦命令に基づき建築された施設ですから、当然の軍の経費で建築費は賄
>われています。れっきとした「軍の施設」です。
> それから、第十軍が作った湖州の慰安所は「唯のハコ」ではなくて、そこで働く人間(慰安婦)
>も含んでいたことは、私が紹介した山崎少佐の日記に書かれてあります。

なんか、「大阪城を立てたのは大工さん」みたいな話になってきましたねw
ともかく、マンションやアパートも人がすまなければ、ただの廃屋です。
極論で言うと、業者は軍の施設ではなくても許可があれば軍慰安所として営業可能なのに対し、
軍所有の施設としての軍慰安所は、業者がいなければ廃屋です。
軍慰安所の主体が業者であることは明白だと思いますが?

仮に、慰安所が火事で燃えて、業者が仮店舗を建てて営業しても軍慰安所であることには変わりないですよね。
この場合、軍のものはまったく使ってなくても、軍慰安所ですよ。

180通行人A:2004/03/20(土) 09:58
>>171
> 誘致するという一連の行為の中には、「募集選定」は含まれるかもしれませんが、「依託」は入ら
>ないでしょう。
> 「A市は、原子力発電所の誘致に成功した」と言いますが、この時、A市が電力会社に原子力発電
>事業を「依託」とは言わないでしょう。「依託」とは「物事を他人にまかせてやってもらうこと」で
>すが、A市が発電所を誘致したのは、そこからもたらされる税収と雇用、商品需要が目的であって、
>A市が自力ではできない原子力発電事業を電力会社にまかせてやってもらうためではないからです。

比較論をする場合、過客さんが慰安所を軍の福利厚生の施設としているなら
事業目的の企業ではなく、福利厚生が目的である病院などの誘致を持ってくるのが適当でしょう?
ちなみに自治体は住民の健康に関してある一定の責任を負っていますから、病院にそういった業務を依託してますね。

> しかし、A市が市職員の福利厚生のため、どこかのリゾート地に海の家(A市職員保養所)をつく
>り、その経営を民間の業者に委託することはいくらでもありえます。しかし、この場合は「A市は、
>海の家の誘致に成功した」とは言いません。

これも比較にはなっていません。軍慰安所は軍の管理区域内に作られた物じゃなかったかな?
比較論で言うなれば、せめてA市内に施設を作る話でなければ論外です。

> 企業でも官庁でも同じですが、職員向けの社内貯金制度というのがあります。私はトヨタとは縁も
>ゆかりもないので、もしかしたらまちがっているかもしれませんが、トヨタクラスの企業なら、必ず
>社内貯金はあると思います。もちろん、トヨタは自動車の生産・販売が本業で、銀行業務は本来の事
>業内容ではないはずですが、社員の福利厚生のためにやっているわけです。実際には、トヨタはどこ
>かの銀行と提携して、利子の補助をしているだけでしょうが、しかしこれがトヨタの社内制度である
>のはまちがいありません。
> また、たいていの企業や官庁には保養施設があります。「海の家」や「山の家」。トヨタは自動車
>の生産・販売が本業ですから、旅館業はトヨタの事業とはいえません。でも、トヨタくらいの会社に
>なると、立派なホテルなみの保養施設があるはずです。
> さらに、生活必需品の小売り販売は自衛隊の本来の業務ではありませんが、自衛隊は隊員の福利厚
>生ために「国の施策」として「厚生センター」に売店を設けています。>>159
> 毎年の『防衛年鑑』に報告されているくらいですから、緊急避難措置などであるはずありません。

あの、前提が全然違いますよ。
(銀行業者がいなかったため作られた)郵便貯金も
(慰安業者がいない場合に軍が直接運営されることが予想される)慰安所も、
業者がいなかったから、始められた物です。
よりよいサービスを提供することを目的に作られた
社内貯金制度や保養所とは、全く別物。

>>172
> 1937年12月に日本軍が占領するまで、南京や湖州には日本軍はいませんでした。日本人も引き揚げ
>てしまっていません。ですから、軍人の落とす金を目当てに売春業者が(軍よりも先に)にいた事実
>はありません。元からそんな組織はないのですから、軍慰安所自体を軍が一から作ったのです。

日露戦争の時にはいたよ。後方の街とかにね。
こういったことがあって、野放し状態では問題が発生することがわかっているわけです。
で、戦地に売春業者が進出してくる際、予想される問題を未然に防ぐことを目的として、
進出してくる業者には軍の統制がかけられたのが、軍慰安所のはじまり。
ついでに、軍が慰安所用の建物を建てたのも、業者が衛生面等で問題がある安普請の建物で営業して、
いろいろなトラブルが発生するのを未然に防ぐためだったとも思えます(これは私感ですが。)

181ロータス:2004/03/20(土) 11:50
>180
建物に関しては、占領地において民間業者にそれを融通するのはおかしくありません。
民間の医療機関に医療用テントを融通するようなものでしょう。
慰安所に関しては、あらかじめそのような契約を取り決めていたはずです。

182?:2004/03/20(土) 12:22
スレ違いでスマソ、

『ナヌムの家』と言う場所で、書きこみを続けていましたが、
ここに来て、投稿の削除および、板の管理規程を、変更し、
『自分達に都合の悪い事はたとえ真実で有っても削除すると言う暴挙に出ました』

このことは、彼らの運動がもはや従軍慰安婦から遊離し、自分達のイデオロギーを実現するための
運動になっていることを示唆する物と思います、

もしよろしかったら、皆さんの、考えとかを聞かせていただきたいです 
                                 拝

183名無しさん:2004/03/20(土) 17:52
>>182
ナヌ?URLは?

184過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/20(土) 19:41
nobu2020さん

>>178について

>たとえ例外規定としても、軍に行政権があることを確認できれば結構です。
>私もはじめから、領事館がないか、領事館が機能しない場合を想定しています。

 それでは、憲兵令や陸軍刑法が占領地における軍令憲兵の警察権の法的根拠とは
なりえないこと、少なくとも日本陸軍の憲兵はそのような法的解釈をとっていなか
った点については、納得がいただけたものとみなさせていただきます。
 
 その上で、「中支那方面陸海軍占領警備区域内営業取締規程」に戻れば、中支那
方面の占領地での日本臣民の営業許認可は、領事館のあるところでは領事館(警察)
が担当し、領事館(およびその出張所)のないところでは、憲兵警察が担当すると
の権限区分が定められたと解釈する点では、私とnobu2020さんとの間には、相違点
はないということで、まちがいありませんね。。

 言い換えれば、上海や南京、杭州、蘇州、蕪湖、九江など華中の主要な都市には
領事館が置かれており、しかも日本軍の占領後しばらくすれば、領事館の業務を再
開していますから、これらの地域での邦人営業についての行政警察は、軍ではなく
て、領事館が行っていたことは、nobu2020さんもお認めになっていると解してかま
いませんね。

 であるならば、

 もしも、軍慰安所が軍の施設ではなくて、軍人軍属を主たる顧客とする民間の
売春業者の経営する売春施設であるなら、それに対する風俗警察権は当然軍では
なくて、領事館になければいけない。

という結論が導かれますが、それでよろしいですか。

とすると、以前に>>53で、nobu2020さんが示された見解、

>領事館が無いか、実質的に領事館が管轄できない占領地では、軍隊が軍政をし
>きます。占領地の治安がある程度安定すれば、人が集まり、業者が集まってく
>る。それらの業者に対して、軍政の一環として、軍隊が営業許可を与えた。
 
は、領事館のない(あるいは再開していない)ところでは正しいかもしれないが、
上海、南京、杭州、蘇州、蕪湖など領事館が存在し、再開している場所にはあて
はまらないということになります。

185過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/20(土) 19:50
nobu2020さん
>>101

お約束の、昭和13年4月16日に南京総領事館で開催された陸海外三省関係者による
「在留邦人の各種営業許可及取締に関する協議会」の決議事項で、吉見編『従軍
慰安婦資料集』では省略されている(二)から(五)を紹介しておきます。
 出典は、以前と同じ『外務省警察史』第48巻です。


(二)現在の指定地域外に於ける邦人の居住営業に対する方針
現在邦人居住の指定地域は将来支那新政権にも承認せしむる方針なり。邦人にし
て指定地域外に居住営業せんとする者に対しては其の地域が治安確保せられ、禁
止区域ならざる限り関係支那人と円満折衝を遂げしめたる上其の居住及営業を許
可するもとす。目下の処、下関方面も禁止区域にあらざる限り差支なし。
 又邦人居住指定地域内日本人居住営業に支障無き限り支那人の居住営業するこ
と差支なし

(三)支那人を顧客とする邦人営業並に土貨買付搬出に対する統制指導の方針
 支那人を顧客とする商売は結構なるも無統制は不可にして厳に監督指導の要
あり。従て軍としては是等邦人に対しては邦人の進出奨励する様注意を払うと
共に、軍の統制に服せしめたる上許可することと致度し。又土貨の買付及搬出
を為さんとする者に対しても前項と同様の方針に出て居り従て特務機関に願出
あれば特務機関に於ては憲兵隊と連絡し敵産にあらざるや否やを調査の上、上
海特務部の指揮を受け許否を決するものとす
但し、土貨の搬出は結局地方を潤すこととなるを以て宣撫工作上出来る限り容
易にするを適当とす

(四)邦人営業者の暴利取締及価格協定必要あれば暴利取締令或は公定価格強制
の可否
取締営業中料理業者が特に暴利を貪りつつあることは各方面より耳にする処に
付、之が反省を促すと共に衛生上注意せしめ内容を改造せしめ万一当局の命令
に従はざる場合は断固たる処置に出つべきも、差当り暴利取締令或いは公定価
格強制等は為さざることとし、要は其の内容調理方法衛生状態等に存するもの
なるを以て、各機関は協力して厳重に之が取締に当り居留民の健全なる発達を
促進することに努むべし。

(五)阿片、モルヒネ、兵器弾薬等禁制品の取締
以上禁制品私に取扱う者ある場合は、法に照し、厳重に之が取締を為し居留民
の健全なる発達を期すべし。軍人軍属以外の居留民にて兵器(拳銃)弾薬等を
所持する者は此の際領事館に届出登録手続を為さしむべし。」

以上です。これからわかるように、

省略されている部分には、nobu2020さんが>>101で、心配されているような、

>議論のある(6)を解読するうえで、必要な事項があるのではと思っています。
>穿った見方をすれば、「陸海軍の直接経営」を信じさせるための作為があるよ
>うに思えます。

「作為」がないことがおわかりになると思います。第六項を解読する上で必要
な事項も見あたりません。

186過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/20(土) 20:22
通行人Aさん

>>179について

>>170
> 彼らは民間人です。ひっくるめて「酒保商人」と呼ばれていました。つまり、「酒保は軍
>の施設だが、そこでは民間業者が民間資本で営業を行っていた」のです。
> こういうことはよくあることで、べつだん「極論」と言うほどのものではないと思いますが。

>はい、例がまったく違います。「酒保」は、軍の業務を委託した例ですね。

まず確認しておきますと、通行人Aさんは、「酒保」の場合なら、民間業者に軍がその経営を
委託することはよくあることで、すこしも不思議でないとお考えなわけですね。より一般的に
言えば、軍がその構成員のために福利厚生施設を設置し、それを民間業者に委託経営させるの
は、よくあることで、少しも不思議なことではない。この点については同意いただけたという
ことですね。

 しかし、通行人Aさんは、「酒保」については「民間業者への業務委託」はあてはまるが、
軍慰安所についてはあてはまらない、「例がまったく違います」と仰る。

 たしかに、その心理は理解できます。「酒保」のような売店の営業は軍が将兵向けにおこな
う福利厚生事業としては、万人がその妥当性を認めるものですから。
 防衛庁が毎年の『防衛年鑑』で業務報告しても、誰もおかしいとは思いません。

 しかし、軍慰安所はちがいます。軍慰安所は性的サービスを提供する施設ですから、常識で
は、このようなものを軍が福利厚生施設とするとは誰も信じません。現在でも、防衛庁が自衛
隊の隊員の福利厚生のため、ソープランドを営内に作るなんてことは、常識では考えられない
でしょう。ありうべからざることです。そんなことをすれば、防衛庁長官のクビが即刻とぶで
しょう。

 だから、通行人Aさんは、「酒保」と「軍慰安所」は「例がまったく違います」と言いたく
なる。その気持ちは私にもよくわかります。

 しかし、事実は事実なのです。日本軍はその将兵の福利厚生のために軍慰安所という性的サ
ービス提供機関を作ったのです。常識では信じられないことですが、軍の内部文書がそのこと
を雄弁に物語っているのですから、信じたくなくても、認めざるをえないのです。

 1938年6月27日付で、北支那方面軍参謀長の岡部尚三郎中将が北支那方面軍の各部隊に、
「軍人軍隊の対住民行為に関する注意の件」という通牒(方軍参二密第一六一号)を出したこ
とが知られています。
 そこで岡部参謀長は占領地の治安維持のために、各地で頻発する兵士の強姦を厳格に取り締
まるよう指示をするとともに、強姦防止策として「速かに性的慰安の設備を整へ設備の無きた
め不本意ながら禁を侵す者なからしむるを緊要とす」と、性的慰安設備の整備を求めます。
 岡部参謀長のいう「性的慰安の設備」が「軍慰安所」にほかなりません。つまり、この岡部
参謀長の通牒は、北支那方面軍の各部隊に、兵士のための「性的慰安施設」を整備するよう
命じたものなのです。この場合は、たんに兵士の福利厚生にとどまらず、軍の将兵の「強姦は
(略)治安を害し軍全般の作戦行動を阻害し累を国家に及ぼす重大反逆行為」とみなされてお
り、占領政策遂行の観点からも軍事上必須のものであるとみなされていたのでした。(つづく)

187過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/20(土) 20:24
通行人Aさん

>>179について(つづき)

 日中戦争以降、軍慰安所と酒保は、将兵にとっては軍が提供してくれる二大福利厚生施設と
なりましたので、多くの軍の文書では両者は並んで登場します。すでに紹介した、沖縄伊江島
の要塞建築勤務第六中隊の作戦命令でも、

「要建六中作命第二十九号
 要塞建築勤務第六中隊命令 五月二十四日一二、〇〇 伊江島兵舎

一、中隊ハ明二十五日建築中ノ兵寮ヲ物品販売所ニ改築シ新ニ慰安所ノ建築ニ任ゼン
トス

二、樋渡少尉ハ橋元分隊及野下分隊ノ一部ヲ指揮シ前項作業ヲ実施スベシ」
(吉見編『従軍慰安婦資料集』)

 物品販売所(すなわち酒保と慰安所)がワンセットになっています。

 また、1938年3月に上海と南京の間の常州という都市に駐屯していた独立攻城重砲兵第二
大隊が定めた「常州駐屯間内務規定」という内務命令が残っています。内務規定とは、駐屯
地において守らなければいけない諸規則(服務規則、業務及び生活心得、施設利用規定等)
を定めた大隊長の軍令ですが、その目次は以下のとおりです。第九章が慰安所使用規定、第
十四章が酒保となっています。

第一章 総則
第二章 日課時限、起居及容儀
第三章 諸勤務(将校勤務、下士官勤務、衛兵勤務、当番勤務)
第四章 火災予防、消防、非常呼集
第五章 命令下達及会報
第六章 連絡
第七章 郵便物
第八章 休日及外出出張
第九章 慰安所使用規定
第十章 軍機保護及防諜
第十一章 支那人ノ取扱
第十二章 炊事及入浴
第十三章 衛生
第十四章 酒保
第十五章 文書及帳簿
第十六章 検査
第十七章 雑則
(吉見編『従軍慰安婦資料集』)

さらに、1939年に第16師団に配属され襄東作戦に従軍した第独立山砲兵第三聯隊の聯隊長は
作戦が一段落し、占領地にしばらく駐屯することが決まった時点で部下の各隊長に訓示を
与え、注意事項を示しますが、その中に次のように、酒保と慰安所が並んで出てきます。
「一、軍紀風紀
 二、教育
(三〜十略)
十一、酒保の開設
 酒保は聯隊に二個(両大隊各一個)を開設し、聯隊本部聯隊段列要すれば中隊に分所を
設置すべし
 酒保品は野戦倉庫より購買するを本則とす
十二、慰安所については口達す」
(吉見編『従軍慰安婦資料集』)

 このように、当時の日本陸軍では、軍慰安所は酒保と並ぶ軍の福利厚生施設(慰安施設)
として認識されていたのです。

 だから、酒保についてあてはまることは、軍慰安所についてもあてはまります。

188過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/20(土) 20:28
通行人Aさん

>>180について

 議論の流れを整理しておきましょう。
>>128 過客
 軍慰安所は軍の作った将兵のための福利厚生施設=慰安所である。

>>137通行人Aさん
 軍慰安所は民間資本なのだから、軍の施設とは言えない。
 軍慰安所は軍がお膳立て(準備)をして、民間業者が作った(作らせた)物である。
 企画立案許認可は軍だが、実制作、製作指揮は民間業者。

>>141過客
 >>137が正しいとすると、軍は民間資本の営業する「民間の施設」のために(つまり民間業
 者の営利のために)、忙しい軍務のさなかに軍慰安所の企画立案許認可などという仕事を
 していたことになるが、それはおかしいのではないか。

>>143通行人Aさん
 自治体(軍)が地元住民(軍人)のために業者(慰安所)を誘致するのと同じで、全く
 変なところはない。軍は民間業者の営利のためには動いていない。

>>152過客
 軍とその構成員である軍人との関係は、自治体と地元住民との関係と同じではない。
 福利厚生に関係するものだから、むしろ企業とその社員との関係に近いと考えるべき。
 通常は「企業がその社員の(福利厚生の)ために、業者に「業務委託」する」とは言っても、
「企業がその社員の(福利厚生の)ために、業者を「誘致」する」とは、決して言わない。


>>157通行人Aさん
 訂正:「誘致する」は「誘致(募集選定依託)する」が正しい。


 ここまでは、これでまちがいないと思います。

 私は>>152で、「企業がその社員の(福利厚生)のために、業者を誘致する」とは決して言わ
ないと主張したところ、通行人Aさんは、>>157で「誘致」とは「募集選定依託」の意味だと訂
正されました。
 そこで、私は、通常の日本語では「誘致する」という時には、募集選定の意味はあっても、依
託の意味はないことを示すために、原子力発電所の例を出しました。
 しかし、>>152で、軍とその構成員である軍人との関係は、自治体と地元住民との関係と同じで
ないとしておきながら、A市の話を例に出したのはたしかに、こちらのミスですね。

 ここは、簡単に「企業がその社員の福利厚生ために業者を募集選定依託しても、
それを誘致とは言わない」と繰り返しておくべきでした。

>これも比較にはなっていません。軍慰安所は軍の管理区域内に作られた物じゃなかったかな?
>比較論で言うなれば、せめてA市内に施設を作る話でなければ論外です。

 上海の海軍慰安所や陸軍慰安所は総領事館の管轄区域内にありました。そもそも、軍の管理区
域内というのはどうい場所なんですか。それがよくわかりません。具体的に説明していただけま
せんか。

189過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/20(土) 20:30
通行人Aさん

>>180について

>あの、前提が全然違いますよ。
>(銀行業者がいなかったため作られた)郵便貯金も
>(慰安業者がいない場合に軍が直接運営されることが予想される)慰安所も、
>業者がいなかったから、始められた物です。
>よりよいサービスを提供することを目的に作られた
>社内貯金制度や保養所とは、全く別物。

 (慰安業者がいない場合に軍が直接運営されることが予想される)慰安所というのは、通行人Aさん
の想像上の存在ですね。ifの話。通行人Aさんの頭の中にだけあるものと比較されて、前提が全然
ちがいますよと、言われても、こちらとしては何と言ってよいか、対応に困ります。
 
 通行人Aさんの立場からすれば、軍慰安所はすべて純粋な民間業者の経営だったはずですから、政府
がやっている郵便貯金とは異なりますし、もちろん企業が社員のために設けた社内貯金制度や保養所と
もちがいます。

 しかし、私の立場からすれば、軍慰安所は軍がその将兵の福利厚生のために設けた施設ですので、
同じ国の施設・事業とはいえ、一般の国民を相手にする郵便貯金とは性格が異なります。むしろ、そ
の性格からすれば、一般企業の社内貯金制度や保養所と同じものとみるべきです。

>>172
> 1937年12月に日本軍が占領するまで、南京や湖州には日本軍はいませんでした。日本人も引き揚げ
>てしまっていません。ですから、軍人の落とす金を目当てに売春業者が(軍よりも先に)にいた事実
>はありません。元からそんな組織はないのですから、軍慰安所自体を軍が一から作ったのです。

>日露戦争の時にはいたよ。後方の街とかにね。

 日本軍が進軍する以前に、満洲に日本人の売春業者がいて、軍目当てに商売をはじめていたというのは
聞いたことがありません。事実だったらたいへん興味深いので、是非詳細を教えて下さい。
 後方の話なら、これは軍のあとからついていったものですね。

>こういったことがあって、野放し状態では問題が発生することがわかっているわけです。
>で、戦地に売春業者が進出してくる際、予想される問題を未然に防ぐことを目的として、
>進出してくる業者には軍の統制がかけられたのが、軍慰安所のはじまり。

 日露戦争時には日本軍の占領地では軍政が布かれており、軍が邦人の営業の取締をおこな
っていました。風俗警察は憲兵の担当です。日露戦争時は野放し状態ではありません。軍が
進出してくる業者に「統制」をかけていました。しかし、日露戦争当時には「軍慰安所」と
言った言葉そのものがありません。軍慰安所は存在しませんでした。

>ついでに、軍が慰安所用の建物を建てたのも、業者が衛生面等で問題>がある安普請の建物で営業して、
>いろいろなトラブルが発生するのを未然に防ぐためだったとも思えます(これは私感ですが。)

 ところが、沖縄では軍自身が安普請(天幕で蓙(ゴザ)で間仕切りをした仮慰安所)を作っ
ています。

190通行人A:2004/03/21(日) 22:51
>>186
> しかし、事実は事実なのです。日本軍はその将兵の福利厚生のために軍慰安所という性的サ
>ービス提供機関を作ったのです。常識では信じられないことですが、軍の内部文書がそのこと
>を雄弁に物語っているのですから、信じたくなくても、認めざるをえないのです。

ああ、そうか・・・どうりで過客さんと私の認識にズレがあるはずだ。
過客さんの軍慰安所はその設置等におけるシステムを指しているのに対し、
私は店舗、業者及びその営業行為を指していたんだから・・・
新幹線を運行システムを指していっているのと車両を指していっているぐらいズレてたんだからw

とりあえず、「性的サービス提供機関を作った」は間違い。
軍が作ったのは「性的サービス提供”設備”」で、その運営機関(性的サービス提供機関)は民間業者に依託。
以て、「性的サービス提供機関を整備した」のであって、「性的サービス提供機関を作った」のではない。

酒保や慰安所という言い方をするから、逆に混乱するのであってこういえばわかりやすいだろう。

たとえば、軍が軍人用に基地内部にマクドナルドの支店を作らせた。
軍の施設を利用して作られた店舗であるが、このマクドナルドは軍の施設といえるのか?
やはり、軍の施設を利用しているからといって、このマクドナルドを軍の施設というのはやはり語弊があると思う。

さらに混乱に拍車をかけているのが、福利厚生施設と分類していること。
細分化すれば酒保は厚生施設に分類することもできるが、慰安所の方は遊興施設に分類する方が正確でしょう。
どっちにしても業者の目から見れば、明らかに営利目的の施設ですからね。

>>188
> 上海の海軍慰安所や陸軍慰安所は総領事館の管轄区域内にありました。そもそも、軍の管理区
>域内というのはどうい場所なんですか。それがよくわかりません。具体的に説明していただけませんか。

適当な表現が思いつかなかったんでそうなったんですが、強いて言うなれば軍(憲兵)の権限が及ぶ区域
というのが適当でしょうか?過客さんのたとえで「どこかのリゾート地に海の家(A市職員保養所)」と出ましたが、
それは明らかにA市の市外、つまりは市の権限の外にある物であり、それと軍慰安所を比較するのは
不適当であるという指摘です。

>>189
> 日露戦争時には日本軍の占領地では軍政が布かれており、軍が邦人の営業の取締をおこな
>っていました。風俗警察は憲兵の担当です。日露戦争時は野放し状態ではありません。軍が
>進出してくる業者に「統制」をかけていました。しかし、日露戦争当時には「軍慰安所」と
>言った言葉そのものがありません。軍慰安所は存在しませんでした。

日露は局地戦で後方といった物が確立されています。支那事変とは状況が違う。
だいたい、日露での反省>軍慰安所だから、日露で軍慰安所がないのは当然でしょう?

191nobu2020:2004/03/22(月) 16:45
>>185 過客さん

>昭和13年4月16日に南京総領事館で開催された陸海外三省関係者による
>「在留邦人の各種営業許可及取締に関する協議会」の決議事項で、吉見編『従軍
>慰安婦資料集』では省略されている(二)から(五)を紹介しておきます。
> 出典は、以前と同じ『外務省警察史』第48巻です。

ありがとうございました。お手間を取らせました。

少し留守にしていましたので、宿題がたまった小学生の気分です。
まずは、お礼を申し上げます。

>>174 過客さん
前段の部分に於いては、同意します。
ただし、支那事変時における領事館の能力(人員やその活動範囲)には疑問を持って
います。

少し支那事変と慰安所関係文書(*印)を日本側から見た時間的経過を整理します。
1937年7月 8日廬溝橋事件
7月11日「北支事変」と命名
8月 6日岡本季正上海総領事、在留居留民に対し租界へ退避するよう指示
8月 9日上海で大山事件
8月10日閣議で現地居留民保護を再確認し陸兵派遣の準備を容認
8月13日第2次上海事変 海軍陸戦隊4千対中国軍5万
8月23日第1軍(第3、11師団中核)上海北方に上陸、苦戦
8月31日*外務次官通牒(支那渡航に証明書を必要とする)
9月 2日「支那事変」に改称
9月11日第9、13、101師団他派遣、日本5個師対中国側60万
11月 4日第10軍(第6、18、114師団中核)杭州湾上陸
    11月 7日中支那方面軍(司令官 松井石根中将)を編成
    11月11日中国軍退却を開始
    11月16日国民政府重慶に遷都を宣言
    11月20日軍令により大本営設置
    12月13日南京陥落
1938年
2月23日*内務省警保局「支那渡航婦女ノ取扱ニ関スル件」
3月 4日*「軍慰安所従業婦等募集に関する件」
3月26日*「中支方面陸海軍占領警備区域内ニ於ケル営業取締規定」
4月 7日徐州作戦下命
4月16日*「陸海外三省関係者協議会」  吉見資料32
5月20日徐州占領
6月18日漢口攻略準備命令
7月 5日*「在上海総領事発信在南京総領事宛通報要旨」 吉見資料33
8月22日武漢作戦下命
9月19日広東作戦準備 第21軍(古庄部隊)
    10月12日広東作戦開始
    10月21日広東占領
    10月25日漢口占領
    11月 4日*警保局古庄部隊に関する内部文書
    11月 8日*警保局「南支方面渡航婦女ノ取扱ニ関スル件」
    11月11日武漢作戦終了

>漢口では、武漢占領後憲兵隊が「武漢に於ける軍事警察及一般行政事務を担当し居
>りたるが、漢口総領事館開館により昭和十三年十二月一日より行政事務を当館に移管
>せり」と、外務省警察史の漢口総領事館の部に書かれてあります。
> 漢口からの日本人引き揚げが完了したのが、1937年8月11日、日本軍の武漢入城が
>10月25日です。ですから、憲兵が担当していたのは約1ヶ月の間でした。

上海事変も始まらない1937年8月11日に漢口から日本人の引き揚げが完了したのは驚き
ですが、1938年10月25日から12月1日までは憲兵が一般行政をしていたのは事実ですね。
また、漢口占領の際、当時残っていた日本租界を共産軍が焼いたという記述もあるよう
ですが、空き家を焼いたのかも知れません。

上海の状況については、総領事館が残っていても、陸海外の協議があった1938年3月ま
では、とても機能していたとは思えないのですが。

長くなってすみません。

192nobu2020:2004/03/23(火) 08:43
>>175 過客さん

過客さんの中支派遣憲兵隊の教科書の解釈では、軍令憲兵は、フリーハンドという
より、「天皇の統帥権(軍権)に由来するもの」だからオールマイティーだと教え
ているわけですね。
そうであるから、誇りと責任感を持って行動せよという意味でしょうけっど。
オールマイティーな存在であっても、当然そこには縛りがあるのではありませんか。
憲兵が警察権を行使する場合、まず、所属の軍司令官の軍律に基づいての警察権を行
使し、次に陸軍刑法や国内法に準じた警察権を行使すると思います。

>国家統治権に基づく純然たる警察に非ずと謂わざるべからず、
この解釈は
>中支憲兵が事実において行使している警察権は、国家統治権に基づくものではない
ではなく、
国家統治権に基づく純然たる警察ではないと謂ってはいけないと、読めるのですが?

>「中支憲兵隊が事実上執行しつつある作用も、警察と似て非なるものにして、国家
>統治権に基づく純然たる警察に非ずと謂わざるべからず、支那派遣軍総司令官が、
>中支憲兵に対し保安及軍事警察を掌らしめあるも、法理上の警察と異り、所謂警察
>的行為乃至作用と解するを至当とすべし」

この文章は過客さんの解釈とは反対で、
「中支憲兵隊が事実上執行している作用も、警察と似て非なるものだから、国家統治
権に基づく純然たる警察(作用)ではないと謂ってはいけない、支那派遣軍総司令官
が、中支憲兵に対して保安及び軍事警察にあたらしているのも、その活動が警察活動
とみなされる法理上の警察と異なるが、いわゆる警察的行為または作用と解するのが
正しい」と、読めるのですが。

193nobu2020:2004/03/23(火) 09:58
>>過客さん

>>192の私の解釈は間違っていたようです。

「謂わざるべからず」は、否定の否定ですね。

>>192の引用部分以降は撤回します。

194過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/23(火) 13:30
通行人Aさん

>>190

>軍が作ったのは「性的サービス提供”設備”」で、その運営機関(性的サービス提供機関)は民間業者に依託。
>以て、「性的サービス提供機関を整備した」のであって、「性的サービス提供機関を作った」のではない。

 表現は少しちがいますが、これ(「軍が「性的サービス提供”設備”」を作り、その「性的サービス
提供機関」の運営は民間業者に依託した」)は、

「軍は軍慰安所という「性的サービス提供施設」を作り、その運営を民間業者に委託した。」

という、私が最初から主張してきた説と、実質的には同じものではありませんか。

以前の話になりますが、>>42で、私が以下の主張をしたところ、

>「軍慰安所は軍が軍事上の必要から設置した、将兵向けの福利厚生施設であり、
>性的サービスを提供する兵站施設であった。その点で軍慰安所は酒保や兵站旅
>館などと同様の軍施設である。ほとんどの場合、軍は民間の売春業者に慰安所
>の業務を委託して経営をおこなわせていた。」

>>54で、通行人Aさんは次のようにコメントされた。

>これに関しては、>>52のnobu2020さんと大体同じですね。

念のために確認しておくと、>>52のnobu2020さんの意見は以下の通りでした。

>軍慰安所(軍人を対象とした慰安施設)は、軍が軍政の一環として営業許可した
>民間の施設である。

 そうすると、お互いに議論を重ねるうちに、徐々にではありますが、自ずから歩み寄
りが生まれてきたわけで、議論したかいがあったというものです。

195過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/23(火) 13:33
通行人Aさん

>>190

>たとえば、軍が軍人用に基地内部にマクドナルドの支店を作らせた。
>軍の施設を利用して作られた店舗であるが、このマクドナルドは軍の施設といえるのか?
>やはり、軍の施設を利用しているからといって、このマクドナルドを軍の施設というのはやはり語弊があると思う。

 たしかに、マクドナルドを「軍の施設」というのには抵抗を感じますが、しかし、軍の
方からすれば、たとえそれがマクドナルドであっても、「物品販売所」は「物品販売所」
以外の何者でもない。そして、「物品販売所」は立派な「軍の施設」です。

 1943年制定の軍隊内務令の第六章兵営及室内装置の第八十条に列挙されている「兵営内
の建物」中には「兵舎、講堂、剣術道場、弾薬庫、医務室」などと並んで、「物品販売所」
があがっています。
 また同令の第十二章第四節物品販売所は、「物品販売所は兵営内居住下士官以下に質素
にして良好且廉価なる日用品、飲食物を販売する所とす」(第290条)としたうえで、「物
品販売所は軍隊に於て自営するを例とす。但し聯隊長は一部の物品を受託販売せしめ、若
しくは厳選したる商人をして請負販売等を為さしむることを得」とあります(第293条)

 これに従えば、かりに日本陸軍のどこかの聯隊の駐屯地内にマクドナルドの支店が作ら
れたとしても、それはその聯隊長がマクドナルドに物品販売所の業務を受託したためで、
マクドナルドは、ここでいう業務を請負った請負商人にすぎません。

 この関係は、慰安所でも同じです。

 ところで、>>194で指摘した点を加味して、

>たとえば、軍が軍人用に基地内部にマクドナルドの支店を作らせた。
>軍の施設を利用して作られた店舗であるが、このマクドナルドは軍の施設といえるのか?
>やはり、軍の施設を利用しているからといって、このマクドナルドを軍の施設というのはやはり語弊があると思う。

この通行人Aさんの発言を再度読み直してみると、この意見は、私がM2Pさん宛の>>159
で分類しておいた、

A:「純然たる民間業者説」

B:「業務委託された民間業者説」

C:「(業務委託された民間業者が経営する)自衛隊の施設説」

3つの説のうちのBに近いように思われます。私の受け取り方では、通行人Aさんとnobu
2020さんのお二人は、以前には軍による業務委託説を明確に否定されていましたから
>>53>>54)、Aの立場に立っておられたはずなのですが、私の判断がまちがってい
なければ、ここでAからBへと立場が変わったことになります。
 私の判断は誤りでしょうか。

196過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/23(火) 13:39
通行人Aさん

>>190

>さらに混乱に拍車をかけているのが、福利厚生施設と分類していること。
>細分化すれば酒保は厚生施設に分類することもできるが、慰安所の方は遊興施設に分類する方が正確でしょう。
>どっちにしても業者の目から見れば、明らかに営利目的の施設ですからね。

 仰せのとおり、「性的サービス提供施設」はたしかに遊興施設ですね。通常、福利
厚生施設と言われているたぐいのものには該当しません。ですから、私も>>186で、

>常識では、このようなものを軍が福利厚生施設とするとは誰も信じません。現在でも、
>防衛庁が自衛隊の隊員の福利厚生のため、ソープランドを営内に作るなんてことは、
>常識では考えられないでしょう。ありうべからざることです。そんなことをすれば、
>防衛庁長官のクビが即刻とぶでしょう。

と書きました。この点では通行人Aさんの見解に異論ありません。

しかし、その「遊興施設」(「性的サービス提供施設」)を日本軍は「軍慰安所」と
よび、将兵のための「慰安施設」と位置づけていたのです。これは否定できない事実
です。

それを示す軍関係の史料を私はすでに紹介しました。念のためにもう一度あげておき
ます。

◎上海派遣軍参謀長飯沼守少将の陣中日記(南京戦史編集委員会編『南京戦史資料集I』)

「慰安施設の件方面軍より書類来り、実施を取計ふ」(1937年12月11日)
「迅速に女郎屋を設ける件に就き長中佐に依頼す」(1937年12月19日)

◎上海派遣軍参謀副長の上村利通陸軍大佐の陣中日記(『南京戦史資料集II』)

「南京慰安所の開設に就て第二課案を審議す」(1937年12月28日)

◎第十軍参謀山崎正男陸軍少佐の陣中日記(『南京戦史資料集II』)
 
「先行せる寺田中佐は憲兵を指導して湖州に娯楽機関を設置す。最初四名なり
しも、本日より七名になりしと。未だ恐怖心ありし為、集まりも悪く「サービ
ス」も不良なる由なるも、生命の安全なること、金銭を必ず支払うこと、酷使
せざることが普及徹底すれば、逐次希望者も集り来たるべく、憲兵は百人位集
るべしと漏せり。(略)兵は何処からか伝え聞きて大繁盛を呈し、ややともす
れば酷使に陥り注意しありとのことなり。」(1937年12月18日)

◎1938年6月27日付北支那方面軍参謀長通牒「軍人軍隊の対住民行為に関する注意の件」
(方軍参二密第一六一号)
 
「速かに性的慰安の設備を整へ設備の無きため不本意ながら禁を侵す者なからし
むるを緊要とす」

 これらの史料は、当時の中国派遣軍の司令部では、「性的サービス提供施設」に
ほかならない軍慰安所が「慰安施設」とみなされ、そう呼ばれていたことを示して
います。

 通行人Aさんの常識では、「遊興施設」に分類されるべきであるものが、当時
の派遣軍の幹部の目からは、「慰安施設」だったわけです。

197過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/23(火) 13:40
通行人Aさん

>>190

>>188
> 上海の海軍慰安所や陸軍慰安所は総領事館の管轄区域内にありました。そもそも、軍の管理区
>域内というのはどうい場所なんですか。それがよくわかりません。具体的に説明していただけませんか。

>適当な表現が思いつかなかったんでそうなったんですが、強いて言うなれば軍(憲兵)の権限が及ぶ区域
>というのが適当でしょうか?過客さんのたとえで「どこかのリゾート地に海の家(A市職員保養所)」と出ましたが、
>それは明らかにA市の市外、つまりは市の権限の外にある物であり、それと軍慰安所を比較するのは
>不適当であるという指摘です。

 私のたとえは、海の家がA市内にあっても成り立つ話だとは思いますが、それについてはこれ以上
はふれません。
 「軍(憲兵)の権限が及ぶ区域」と言うのは曖昧ですね。軍政が布かれていないかぎり、軍(憲兵)
の権限の対象範囲は人およびことがらに属するのであって、空間による限定はありません。

 もちろん、軍の駐屯地内の警察権は軍が排他的にもっていますが、軍人軍属の犯罪は、たとえそれ
が一般の市区(軍隊用語では地方)で犯されても、憲兵の管轄下になります。ですから、軍人軍属に
対する軍(憲兵)の権限の及ぶ範囲は、空間的には一般行政警察権のそれと重なり合っています。し
かし、だからといって、その区域内にいる民間人にまで軍(憲兵)の権限が及ぶわけではありません。
 軍(憲兵)の権限が一般民間人にまで及ぶのは駐屯地のように「軍の施設」の範囲内だと言ってよ
いでしょう。

>だいたい、日露での反省>軍慰安所だから、日露で軍慰安所がないのは当然でしょう?

 その「日露戦争では軍の後方ないし占領地で風俗営業が混乱をきわめたので、その反省にた
って民間の売春宿に「軍慰安所」の名をなのらせた」という説が、私には初耳なのです。
 いったい何を典拠にそういうことを仰っているのか、教えていただけませんか。

198過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/23(火) 14:05
nobu2020さん

>>191

>>漢口では、武漢占領後憲兵隊が「武漢に於ける軍事警察及一般行政事務を担当し居
>>りたるが、漢口総領事館開館により昭和十三年十二月一日より行政事務を当館に移管
>>せり」と、外務省警察史の漢口総領事館の部に書かれてあります。
>> 漢口からの日本人引き揚げが完了したのが、1937年8月11日、日本軍の武漢入城が
>>10月25日です。ですから、憲兵が担当していたのは約1ヶ月の間でした。

>上海事変も始まらない1937年8月11日に漢口から日本人の引き揚げが完了したのは驚き
>ですが、1938年10月25日から12月1日までは憲兵が一般行政をしていたのは事実ですね。

 すでに本格的な戦争が7月28日から北京天津方面で始まっています。邦人居留民の保護
に責任をもつ政府・外務省・海軍はそんな悠長なことを言ってられません。
 漢口での居留民の引き上げは7月末からはじまり、8月4日には女性と子供650名が引き
揚げています。残りの一般居留民が漢口を出発するのは8月7日。8月11日は漢口総領事館
を閉鎖し、総領事以下領事館職員が漢口を退去した日です。

 引き揚げた居留民が漢口に戻ってくるのは、早くても11月中旬以降でしょうから、軍
が一般行政を行っていたとしても、その対象となる日本人がほとんどいません。

>また、漢口占領の際、当時残っていた日本租界を共産軍が焼いたという記述もあるよう
>ですが、空き家を焼いたのかも知れません。

 この火事(10月30日)の火元は中国人街で、その隣の日本租界に火が移ってきたので
す。漢口領事館警察の観察では、「敗残兵の放火」が原因とされています。

>上海の状況については、総領事館が残っていても、陸海外の協議があった1938年3月ま
>では、とても機能していたとは思えないのですが。

 事変下の上海で「日夜兼行寝食を廃して活躍を続行し、更に硝煙弾雨の中を馳駆して
在留邦人の避難救助に努め、以て生命財産の安固を計り又軍占領地域の進展に伴い、直
に軍特務機関の区処の下に於て治安宣撫の件に当る等其の労苦皇軍将士に劣らず」(外
務省警察史)とされ、殉職1、公傷5を出した上海総領事館警察の諸氏に対して、その
言い方は、ちょっと酷にすぎると思います。
 1937年12月末の時点で、上海在住日本人の人口が9,743人。領事館警察の職員数が249
名ですから、十分機能できたはずです。

199過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/23(火) 14:06
nobu2020さん

>>192

>>175 過客さん

>オールマイティーな存在であっても、当然そこには縛りがあるのではありませんか。

 もちろん、そうです。中支派遣憲兵隊の教科書では、その「縛り」は、憲兵令では
なくて、次のような軍令であると述べています。

「第三節 軍事警察執行上の法的根拠

 中支憲兵の軍事警察執行上の拠るべき大本は、野戦憲兵隊勤務令、作戦要務令、並
に中支那派遣憲兵隊服務規程等なり」

 このうち、野戦憲兵隊勤務令と作戦要務令は天皇が制定した軍令ですが、中支那派
遣憲兵隊服務規程は支那派遣軍総司令官が制定した規則命令です。これらが法的根拠
であり、かつ「縛り」になっています。

>憲兵が警察権を行使する場合、まず、所属の軍司令官の軍律に基づいての警察権を行
>使し、次に陸軍刑法や国内法に準じた警察権を行使すると思います。

 軍律は占領地の居住人民に適用されるもので、軍人軍属俘虜には適用されません。
また、日本臣民にも適用されません。陸軍刑法は主として軍人軍属の軍事犯罪を規定
したものですから、当然占領地でも軍人軍属に適用されます。また刑法はじめとする
国内法の刑事法が適用されるのは同じ。後者の点では一般民間人も同じです。
 ただし、刑事法規の適用問題と、警察権行使の法的根拠問題とは関連はあっても、
いちおう別問題です。

>国家統治権に基づく純然たる警察に非ずと謂わざるべからず、

この部分の解釈を撤回された件(>>193)については、了解しました。

200指環 </b><font color=#FF0000>(wUDH2Y5M)</font><b>:2004/03/24(水) 05:53
 またちょっと、横レス失礼します。

>通行人Aさん

>>190
>軍が作ったのは「性的サービス提供”設備”」で、その運営機関(性的サービス提供機関)は民間業者に依
>託。
>以て、「性的サービス提供機関を整備した」のであって、「性的サービス提供機関を作った」のではない。

 通行人Aさんの↑の見解は過客さんの見解と殆ど同じですし、私が以前から主張し
ていることとも殆ど違いはないように思います。
 私は、この板へ書き込みを始めたばかりの頃の昨年10/23(木)07:01に前スレの59で
Doronpaさんへの返レスとして以下のように書きました。

>慰安所の設置・運営、慰安婦の管理など、全て日本軍が行っていました。軍直営
>の慰安所もありましたし、業者経営の慰安所も軍の委託経営方式で直営と同じよう
>な運営がなされていました。

http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/study/3500/1065478509/59

 また、昨年11/17(月)22:03にも前スレの282で私は以下のように書いています。

> 国の責任は「管理不行き届き」などといった生易しいものではありません。
> 先ず、慰安所には軍直営のものが少なからずあったことが確認されています。(必
>要なら資料を提示します。)軍直営の慰安所は業者が介在していないのですから、関
>西人さんのように業者に責任を転嫁することは不可能です。
> 次に業者が経営する慰安所についてですが、この場合、委託経営方式で軍直営と殆
>ど異ならない運営がされていました。即ち、軍が慰安所の設置命令をくだし、軍がそ
>の利用規則の作成、料金の決定、慰安所の建物の接収や建設、慰安所業者の選定、
>「慰安婦」の監督・統制などを行っていました。つまり、業者経営の慰安所であって
>も、慰安所創設・運用の主体は軍だったわけです。業者は従属的な役割を果たしてい
>たに過ぎません。

http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/study/3500/1065478509/282

 その後、前スレの287や699などで以下のように仰るDoronpaさんなどと大きな論争
になったわけです。

>売春自体は合法ですよ。
>戦後赤線廃止まで日本では合法でした。
>だから法に則って、戦地での慰安所経営は軍がその許認可を与えたのです。
>ここが問題になってくるところでしょうが、
>軍が直接慰安所経営に携わった記録は全くありません。
>あるのは、許認可に伴う業者への指導・注意事項だけです。
>つまり、警察の役割を軍が果たしていたということです。
>慰安所が戦地に設置させられた事を考えれば当たり前でしょう。

http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/study/3500/1065478509/287

>何度も書きましたが、売春宿は民間経営で、軍はその許認可権を持っていただけです。
>自由の保証というのなら、それは経営者と売春婦の間での契約であり、軍には関係ありません。

http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/study/3500/1065478509/699

 この大問題について、今回、通行人Aさんは「軍が作ったのは「性的サービス提供
”設備”」で、その運営機関(性的サービス提供機関)は民間業者に依託」と仰った
わけですから、私と(おそらく過客さんとも)同じ認識になったものと理解します。
後は表現の若干の違いだけだと思われます。

201通行人A:2004/03/24(水) 17:18
過客さん
>>194
>「軍は軍慰安所という「性的サービス提供施設」を作り、その運営を民間業者に委託した。」
>という、私が最初から主張してきた説と、実質的には同じものではありませんか。

全然違う。
過客さんの主張では施設=店
施設>軍 店(運営会社)>軍 店長(会社運営)>民間業者
になるのに対し
私のは施設≠店
施設>軍 店(運営会社)>民間業者 店長(会社運営)>民間業者
です。

>>195
酒保は形としては、元々
軍が施設、運営会社(運営機関)を作り、その会社運営を民間に委託した形になっています。
それに対し軍慰安所は
軍が施設を作り、その施設運営(運用)を民間会社(慰安業者)に依託する形になっています。
(だから新幹線の例を出して説明したんですが・・・)
ですので、
>A:「純然たる民間業者説」

>B:「業務委託された民間業者説」

>C:「(業務委託された民間業者が経営する)自衛隊の施設説」
酒保は元々Cだった物が実質的にBになった物に対し慰安所はAです。

> その「日露戦争では軍の後方ないし占領地で風俗営業が混乱をきわめたので、その反省にた
>って民間の売春宿に「軍慰安所」の名をなのらせた」という説が、私には初耳なのです。
> いったい何を典拠にそういうことを仰っているのか、教えていただけませんか。

ときどき、学校の校則で馬鹿馬鹿しい内容の校則があるのを知りませんか?
「牛乳を一気飲みしない」とか、「校内で紙飛行機を投げない」とか・・・
こういった校則って言うのは実際にそういった行為でトラブルが発生したから作られた物です。

これと同じように軍が統制を加えたと言うことは、不統制によるトラブル、問題があったという証拠であると思います。
因果律からいけば、統制したという結果があれば、その結果を生み出すに足る要因、トラブルがあるはずであり、
統制の内容を見ることによって、どのような問題があったかはだいたい特定できるはずです。

>>196
> 通行人Aさんの常識では、「遊興施設」に分類されるべきであるものが、当時
>の派遣軍の幹部の目からは、「慰安施設」だったわけです。
私の感覚だと慰安施設も遊興施設の内に含まれるんだけどね・・・
遊興施設の概念は最大公約数に近い物ですから・・・

>>200
指環さん
うーん、軍の方から見てたんで依託と書いてますが、
業者の方から見たら、営業許可、施設の使用許可を受ける立場になるんですよね。
てゆうか、実際には軍は許可を出しただけで依託契約なんか結んでないでしょ・・・
軍は許認可権を行使するだけで用は足りますよ。

202nobu2020:2004/03/25(木) 10:13
>> 過客さん

どんどん進んでいくなか、遅れてしまって申し訳ありません。

>>176

中支憲兵隊は、軍令により中支派遣軍総司令官に隷属し、総司令官が軍令に基づいて定
める憲兵服務規程により任務を遂行する軍令憲兵であるということですね。

> 軍令憲兵の行使するのは、一般的な行政警察権ではなくて、軍事警察権です。その
>軍事警察権が、平時の内地では一般的な行政警察権の範囲のことがらまで、拡大して
>いるので、表面的に一般的な行政警察権を行使しているように見えるだけにすぎない。
>本質はちがうのだ、というのが、旧日本陸軍の憲兵の教科書の考え方なのです。

中支憲兵隊の行使している警察権の法的根拠は軍令にあって、本質的には違うけれど、
表面的または実質的には一般的な行政警察権も行使しているということですね。


>>199

軍律とは軍の法律(軍法)ではありませんか。軍令との違いは、軍令が陸海軍の統帥
に関して、勅定を経た軍事法規であるのに対し、軍令を受けた司令官が軍令に基づい
て制定する規則が軍律ではありませんか。

>「第三節 軍事警察執行上の法的根拠
> 中支憲兵の軍事警察執行上の拠るべき大本は、野戦憲兵隊勤務令、作戦要務令、並
>に中支那派遣憲兵隊服務規程等なり」
> このうち、野戦憲兵隊勤務令と作戦要務令は天皇が制定した軍令ですが、中支那派
>遣憲兵隊服務規程は支那派遣軍総司令官が制定した規則命令です。これらが法的根拠
>であり、かつ「縛り」になっています。

上記の過客さんの例で云えば、中支那派>遣憲兵隊服務規程は軍律ではありませんか。

> 軍律は占領地の居住人民に適用されるもので、軍人軍属俘虜には適用されません。
>また、日本臣民にも適用されません。陸軍刑法は主として軍人軍属の軍事犯罪を規定
>したものですから、当然占領地でも軍人軍属に適用されます。また刑法はじめとする
>国内法の刑事法が適用されるのは同じ。後者の点では一般民間人も同じです。

これは、軍法会議と軍律会議(審判)のことを云われているのかも分かりませんが、
軍律が占領地の居住人民にだけに適用されるものと云うのはおかしいのではありませ
んか。国際戦時法や国際慣習法により、占領行政や軍律による処断が占領地国人にも
できるということであって、占領地における軍人軍属俘虜、日本臣民にも適用できる
と思います。

203nobu2020:2004/03/25(木) 10:32
>>177 過客さん

>治外法権対象国での日本人に対する行政権はたしかに日本の主権の一部ですが、その日
>本を代表するのが外務大臣です。この問題に関しては国=外務大臣です。

大日本帝国憲法

「第一章 天皇
第四条 天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ
第十三条 天皇ハ戦ヲ宣シ和ヲ講シ及諸般ノ条約ヲ締結ス

第四章 国務大臣及枢密顧問
第五十五条 国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責ニ任ス」

私は、国=天皇と理解していました。

憲兵に関しては国=派遣軍総司令官で、戦地、占領地における警察権は派遣軍総司令
官に帰属するでよろしいのでしょうか。

204nobu2020:2004/03/25(木) 11:45
>>184 過客さん

中支憲兵が軍令憲兵であることは分かりますが、警察権を行使するときは陸軍刑
法も適用することは間違いないですね。

>中支那方面の占領地での日本臣民の営業許認可は、領事館のあるところでは領事
>館(警察)が担当し、領事館(およびその出張所)のないところでは、憲兵警察
>が担当するとの権限区分が定められたと解釈する点では、私とnobu2020さんとの
>間には、相違点はないということで、まちがいありませんね。。

相違点はありません。
但し、軍専用の慰安所については異なると思っています。
軍専用の慰安所は、その性格上、一般人が利用するその種の施設より厳しい規制が
あったと思います。営業を許認可する際の制限事項、規定を領事館が設定する権限
がないので、占領地行政の許された軍が営業の許認可をおこなったと思っています。
成文化された規則があり、平時でも兵営の中にあった酒保と異なり、軍慰安所は占
領地の兵営外できた施設です。たとえ軍がその必要性を認めていたにしても、本質
は民間業者に対して軍が営業許可を与えた民間施設です。

「中支那方面陸海軍占領警備区域内営業取締規程」は、1938年3月に協議された規定
です。1937年8月14日の上海事変勃発からこの時期までは、軍の占領行政が優先して
いたと見るべきで、やっと治安が安定したので、協議したのではありませんか。

>>198で過客さんが引用された
>「日夜兼行寝食を廃して活躍を続行し、更に硝煙弾雨の中を馳駆して
>在留邦人の避難救助に努め、以て生命財産の安固を計り又軍占領地域の進展に伴い、直
>に軍特務機関の区処の下に於て治安宣撫の件に当る等其の労苦皇軍将士に劣らず」(外
>務省警察史)

「直に軍特務機関の区処の下に於て」、つまり上海総領事館警察も軍の指揮下にあった
と云うことではありませんか。
上海総領事館警察が犠牲を出しながら活躍されたことは分かりますが、領事館が機能し
ていたと云うより、軍政下にあったと云った方が良いのではありませんか。

205過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/25(木) 18:11
通行人Aさん

>>201

>過客さん
>>194
>>「軍は軍慰安所という「性的サービス提供施設」を作り、その運営を民間業者に委託した。」
>>という、私が最初から主張してきた説と、実質的には同じものではありませんか。

>全然違う。
>過客さんの主張では施設=店
>施設>軍 店(運営会社)>軍 店長(会社運営)>民間業者
>になるのに対し
>私のは施設≠店
>施設>軍 店(運営会社)>民間業者 店長(会社運営)>民間業者
>です。

 でも、通行人Aさんの説でも、「軍は軍慰安所という「性的サービス提供施設」を作り、
その運営を民間業者に依託した。依託された民間業者はその施設に店舗をかまえ、慰安所
の運営に従事した」となりますから、そんなに大きなちがいはないのじゃありませんか。

 ともかく、通行人Aさんの説でも、軍慰安所という「性的サービス提供施設」そのもの
は、軍が作った「軍の施設」(施設>軍)ということになるので、私としては、大いに喜
びたいところです。

>>195
>酒保は形としては、元々
>軍が施設、運営会社(運営機関)を作り、その会社運営を民間に委託した形になっています。
>それに対し軍慰安所は
>軍が施設を作り、その施設運営(運用)を民間会社(慰安業者)に依託する形になっています。

 もうひとつよく理解できないのですが、軍の作った「運営会社(運営機関)」とは何ですか。
酒保=物品販売所の運営をする会社(酒保商人)を軍が作ったとは思えないですが。軍直営の
聯隊酒保は、たしかに聯隊長が選んだ物品販売所委員(責任者は佐官または大尉で、その下に
尉官委員が若干名うち一名は経理部将校)とそれに付随する助手(准士官、下士官)が運営を
担当することになっているのですが、通行人Aさんのいう運営機関とはこの「物品販売所委員」
のことでしょうか。

 しかし、そうだとすると、軍慰安所の場合も、この種の委員が任命されていたことが確認で
きますので、通行人Aさんの説にしたがっても、酒保同様、慰安所も「軍が施設、運営会社を
作り、その会社運営を民間に委託した形」であったことになります。


>>A:「純然たる民間業者説」
>>
>>B:「業務委託された民間業者説」
>>
>>C:「(業務委託された民間業者が経営する)自衛隊の施設説」

>酒保は元々Cだった物が実質的にBになった物に対し慰安所はAです。

 あれ、おかしいですね。酒保は「軍の施設」であるのに対して「軍慰安所は民間業者」という
のが通行人Aさんの説だったはずですが、いつから酒保も「民間の施設」になったのですか。


>> その「日露戦争では軍の後方ないし占領地で風俗営業が混乱をきわめたので、その反省にた
>>って民間の売春宿に「軍慰安所」の名をなのらせた」という説が、私には初耳なのです。
>> いったい何を典拠にそういうことを仰っているのか、教えていただけませんか。

>ときどき、学校の校則で馬鹿馬鹿しい内容の校則があるのを知りませんか?
>「牛乳を一気飲みしない」とか、「校内で紙飛行機を投げない」とか・・・
>こういった校則って言うのは実際にそういった行為でトラブルが発生したから作られた物です。

>これと同じように軍が統制を加えたと言うことは、不統制によるトラブル、問題があったという証拠であると思います。
>因果律からいけば、統制したという結果があれば、その結果を生み出すに足る要因、トラブルがあるはずであり、
>統制の内容を見ることによって、どのような問題があったかはだいたい特定できるはずです。

 つまり、「日露戦争では軍の後方ないし占領地で風俗営業が混乱をきわめたので、その反省にた
って民間の売春宿に「軍慰安所」の名をなのらせた」という説は、通行人Aさんの因果律からする
推測にすぎないのであって、確たる典拠があってのものではないということですね。

 典型的な循環論法ですね。

A:「日露戦争では軍の後方ないし占領地で風俗営業が混乱をきわめたので、その反省にた
って民間の売春宿に「軍慰安所」の名をなのらせた」

B:「因果律からいけば、軍慰安所といった名を軍が許していることから判断して、日露戦
争時には軍の後方ないし占領地で風俗営業が混乱をきわめたにちがいない」

Aの根拠を私が聞くと、通行人AさんはBと答えられた。それじゃ、なぜ軍は軍慰安所という
名乗りを許したのかと再度問えば、通行人Aさんは、またAと答えられるのでしょう。
 
 いつまでたってもきりがない。

206過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/25(木) 18:19
通行人Aさん

>>201

>>196
> 通行人Aさんの常識では、「遊興施設」に分類されるべきであるものが、当時
>の派遣軍の幹部の目からは、「慰安施設」だったわけです。
>私の感覚だと慰安施設も遊興施設の内に含まれるんだけどね・・・
>遊興施設の概念は最大公約数に近い物ですから・・・

 「慰安施設」も「遊興施設」ですか。そうすると、通行人Aさんの感覚ですと、
以下の軍の御歴々は、軍に「遊興施設」を設置したか、あるいは設置を命じたとい
う解釈になりますよね。

 日本軍としてはあんまり名誉なこととは言えないですが、たしかに、第一〇軍は
「娯楽機関」と呼んでいますので、「遊興施設」という感覚だったのかもしれませ
ん。

 それでは、通行人Aさんの感覚に即して慰安を【遊興】で補っておきましょう。
ただ、あの謹厳実直な岡部参謀長が「速かに性的【遊興】の設備を整へ」と通牒に
書いたと想像するのは、何とも不可思議な気がします。泉下の岡部大将はさぞかし
苦笑されていることでしょう。貴様は皇軍を侮辱するのか、と言われるかもしれま
せん。

◎上海派遣軍参謀長飯沼守少将の陣中日記(南京戦史編集委員会編『南京戦史資料集I』)

「慰安【遊興】施設の件方面軍より書類来り、実施を取計ふ」(1937年12月11日)
「迅速に女郎屋を設ける件に就き長中佐に依頼す」(1937年12月19日)

◎上海派遣軍参謀副長の上村利通陸軍大佐の陣中日記(『南京戦史資料集II』)

「南京慰安【遊興】所の開設に就て第二課案を審議す」(1937年12月28日)

◎第十軍参謀山崎正男陸軍少佐の陣中日記(『南京戦史資料集II』)
 
「先行せる寺田中佐は憲兵を指導して湖州に娯楽機関を設置す。最初四名なり
しも、本日より七名になりしと。未だ恐怖心ありし為、集まりも悪く「サービ
ス」も不良なる由なるも、生命の安全なること、金銭を必ず支払うこと、酷使
せざることが普及徹底すれば、逐次希望者も集り来たるべく、憲兵は百人位集
るべしと漏せり。(略)兵は何処からか伝え聞きて大繁盛を呈し、ややともす
れば酷使に陥り注意しありとのことなり。」(1937年12月18日)

◎1938年6月27日付北支那方面軍参謀長通牒「軍人軍隊の対住民行為に関する注意の件」
(方軍参二密第一六一号)
 
「速かに性的慰安【遊興】の設備を整へ設備の無きため不本意ながら禁を侵す
者なからしむるを緊要とす」


 なお、>>190で通行人Aさんは、次のように慰安所は福利厚生施設とは言えない、
これを福利厚生施設とみなすことは、混乱に拍車をかけることだと仰っています。

>さらに混乱に拍車をかけているのが、福利厚生施設と分類していること。
>細分化すれば酒保は厚生施設に分類することもできるが、慰安所の方は遊興施設に分類する方が正確でしょう。

 つまり「慰安施設」は「遊興施設」ではあるけれども、「福利厚生施設」ではない。
「慰安施設」を「福利厚生施設」と分類するのは、混乱に拍車をかけるものだ、と
いうのが通行人Aさんの立場であった。

 しかし、日本語の「福利厚生施設」と「慰安施設」との間にそんなにはっきりとした
意味の差はあるのでしょうか。
 たしかに「慰安旅行」とは言いますが、「福利厚生旅行」などとは言わない。しかし、
会社の社員の「慰安旅行」は、たとえその実質がそうであったとしても、表向きは社員の
「遊興旅行」などとは決して言いませんよね。

 ちなみに、大辞林で「福利厚生施設」とひくと、

「ふくり-こうせい [1] 【福利厚生】
企業が従業員とその家族の福利を充実させるために設けた制度や施設。保険・住宅・教育な
どに支出する賃金以外の諸給付や,社員寮・住宅,保養施設などの福利厚生施設がある。」

とでます。企業の保養施設は福利厚生施設であるわけです。保養施設と慰安施設はほぼ
同じ意味でしょう。ちがいますか。そうすると、保養施設も遊興施設となり、福利厚生
施設の一部は遊興施設であることになる。ますます混乱に拍車をかけませんか。

207過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/25(木) 18:20
nobu2020さん

>>202

>> 過客さん

>どんどん進んでいくなか、遅れてしまって申し訳ありません。

 占領地における軍の行政権、警察権がどのようなもので、どのように
行使されていたか、という問題は、軍慰安所は「軍の施設」か「民間の
施設」かという問題を解明するうえで、核心に位置するものですので、
お互いにじっくりと検討していきましょう。

>>176

>中支憲兵隊は、軍令により中支派遣軍総司令官に隷属し、総司令官が軍令に基づいて定
>める憲兵服務規程により任務を遂行する軍令憲兵であるということですね。

そのとおりです。

>中支憲兵隊の行使している警察権の法的根拠は軍令にあって、本質的には違うけれど、
>表面的または実質的には一般的な行政警察権も行使しているということですね。

 そうです。ただし、その場合に考えなければいけないのは、占領地における他の
(日本の)警察権との権限区分です。軍政布行を宣言するか特別の行政規則をつく
らないかぎり、軍令のみでは他の国家機関の警察権を軍が行使したり、指揮下にお
いたりはできません。それができるということは、日本が軍事独裁国家であったこ
とを意味しますから。

>>199

>軍律とは軍の法律(軍法)ではありませんか。軍令との違いは、軍令が陸海軍の統帥
>に関して、勅定を経た軍事法規であるのに対し、軍令を受けた司令官が軍令に基づい
>て制定する規則が軍律ではありませんか。

 占領地における軍律は法律ではありません。軍律はご指摘のとおり、軍令を受け
た司令官が軍令に基づいて制定する規則です。統帥権独立制度をとっていた明治憲
法下の日本において、そのような規則が「軍の法律(軍法)」であることはありえ
ません。

>>「第三節 軍事警察執行上の法的根拠
>> 中支憲兵の軍事警察執行上の拠るべき大本は、野戦憲兵隊勤務令、作戦要務令、並
>>に中支那派遣憲兵隊服務規程等なり」
>> このうち、野戦憲兵隊勤務令と作戦要務令は天皇が制定した軍令ですが、中支那派
>>遣憲兵隊服務規程は支那派遣軍総司令官が制定した規則命令です。これらが法的根拠
>>であり、かつ「縛り」になっています。

>上記の過客さんの例で云えば、中支那派遣憲兵隊服務規程は軍律ではありませんか。

 ちがいます。これは軍令に基づく勤務規則です。軍律とはこのようなものを指します。

「中方軍令第一号
中支那方面軍律左記の通り定む
昭和十二年十二月一日
               中支那方面軍司令官 松井石根
 中支那方面軍軍律

第一条 本軍律は帝国軍作戦区域内に在る帝国臣民以外の人民に之を適用す(但し
中華民国軍隊又は之に準ずる軍部隊に属する者に対しては陸戦の法規及慣例に関す
る条約の規定を準用す

第二条 左に掲ぐる行為を為したる者は軍閥に処す
 一 帝国軍に対する叛逆行為
 二 間諜行為
 三 前二号の外帝国軍の安寧を害し又は其の軍事行動を妨害する行為

第三条 前条の行為の教唆若は幇助又は予備、陰謀若は未遂も亦之を罰す
 但し情状に因り罰を減軽又は免除することを得

第四条 前二条の行為を為し未だ発覚せざる前自首したる者は其の罰を減
 軽又は免除す
」(「中支那方面軍軍法会議陣中日誌」『続現代史資料』6)

 占領地での軍律とはこのように、軍の安全を脅かす行為を罰することを
決めた刑事法規を意味します。

>これは、軍法会議と軍律会議(審判)のことを云われているのかも分かりませんが、
>軍律が占領地の居住人民にだけに適用されるものと云うのはおかしいのではありませ
>んか。国際戦時法や国際慣習法により、占領行政や軍律による処断が占領地国人にも
>できるということであって、占領地における軍人軍属俘虜、日本臣民にも適用できる
>と思います。

 紹介した中支那方面軍軍律第一条に明記されてあるとおり、この軍律は
「帝国軍作戦区域内に在る帝国臣民」には適用されません。もちろん、軍人軍属にも
適用されません。

208過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/25(木) 18:22
nobu2020さん
>>203

>>177 過客さん

>治外法権対象国での日本人に対する行政権はたしかに日本の主権の一部ですが、その日
>本を代表するのが外務大臣です。この問題に関しては国=外務大臣です。

>大日本帝国憲法

>「第一章 天皇
>第四条 天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ
>第十三条 天皇ハ戦ヲ宣シ和ヲ講シ及諸般ノ条約ヲ締結ス

>第四章 国務大臣及枢密顧問
>第五十五条 国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責ニ任ス」

>私は、国=天皇と理解していました。

 もちろん、そうです。しかし、外交に関して天皇を輔弼するのは、外務大臣です。
外国人の天皇に対する民事訴訟は外務大臣が天皇に代わって当事者(被告)となりま
す。

>憲兵に関しては国=派遣軍総司令官で、戦地、占領地における警察権は派遣軍総司令
>官に帰属するでよろしいのでしょうか。

 この場合も、国=天皇であり、派遣軍総司令官は天皇からその権限を委任され
た者となります。軍事警察権に関してはもちろん派遣軍総司令官に帰属します。
しかし、その占領地が治外法権をもつ国である場合、軍に関係しない一般の帝国
臣民に対する行政警察権は外務大臣に帰属します。
 この外務大臣のもつ行政警察権を派遣軍総司令官に委ねるには、それなりの法
規命令を制定する必要があります。それが法治国家というものです。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
nobu2020さん
>>204

>中支憲兵が軍令憲兵であることは分かりますが、警察権を行使するときは陸軍刑
>法も適用することは間違いないですね。

 もちろんです。陸軍刑法に条文には戦地で行われる犯罪の規定がありますから、
適用できないとなれば、陸軍刑法そのものが無意味となります。

>中支那方面の占領地での日本臣民の営業許認可は、領事館のあるところでは領事
>館(警察)が担当し、領事館(およびその出張所)のないところでは、憲兵警察
>が担当するとの権限区分が定められたと解釈する点では、私とnobu2020さんとの
>間には、相違点はないということで、まちがいありませんね。。

>相違点はありません。

 一致点が確認できて、幸いです。

>但し、軍専用の慰安所については異なると思っています。
>軍専用の慰安所は、その性格上、一般人が利用するその種の施設より厳しい規制が
>あったと思います。営業を許認可する際の制限事項、規定を領事館が設定する権限
>がないので、占領地行政の許された軍が営業の許認可をおこなったと思っています。

 「その性格上」とは、どういう意味なのでしょうか。軍専用の慰安所と一般の民
間の売春施設は「性格が異なる」とnobu2020さんは、お認めになっているわけです
が、しかし同時に「軍慰安所と一般の民間の売春施設」とは同じものであるとの主
張もなされている。非常にわかりにくいです。軍慰安所と一般の民間の売春施設と
は、どの点で性格が異なっており、どの点で共通しているのか、きちんと説明して
いただきますか。

>成文化された規則があり、平時でも兵営の中にあった酒保と異なり、軍慰安所は占
>領地の兵営外できた施設です。たとえ軍がその必要性を認めていたにしても、本質
>は民間業者に対して軍が営業許可を与えた民間施設です。

 まず、酒保=物品販売所が「軍の施設」であることは、お認めいただけますね。
また、酒保は「軍の施設」であるが、その経営を民間の業者に請け負わせることが
許されていたことも、同様にお認めいただけると思います。
 次に、酒保=物品販売所は兵営外に設けられることも許されていました。軍隊内
務令の第293条後段に、次の規定があります。

「行軍、演習中その他一時衛戍地を離れ駐屯する軍隊は必要に応じ物品販売所を
携行し、又は商人を指定して物品販売所を開設せしむることを得」

兵営を離れて行動する際に駐屯地において、民間の商人に物品販売所を開設させ
るわけですから、これは兵営外に置かれることになります。

 また、もっと大規模な酒保たとえば関東軍のハルビン酒保などは、当然兵営
外で営業しています。

209過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/25(木) 18:23
nobu2020さん
>>204

>「中支那方面陸海軍占領警備区域内営業取締規程」は、1938年3月に協議された規定
>です。1937年8月14日の上海事変勃発からこの時期までは、軍の占領行政が優先して
>いたと見るべきで、やっと治安が安定したので、協議したのではありませんか。

 その間、つまり1937年8月14日から1938年2月頃までは、軍は戦争の遂行に手が一杯
で、占領地行政をどうすかるかといった問題をじっくり検討する余裕はほとんどなか
ったはずです。上海事変から南京攻略にいたる戦争が大激戦であったことは、よく御
存知だと思いますが。

>>198で過客さんが引用された
>>「日夜兼行寝食を廃して活躍を続行し、更に硝煙弾雨の中を馳駆して
>>在留邦人の避難救助に努め、以て生命財産の安固を計り又軍占領地域の進展に伴い、直
>>に軍特務機関の区処の下に於て治安宣撫の件に当る等其の労苦皇軍将士に劣らず」(外
>>務省警察史)

>「直に軍特務機関の区処の下に於て」、つまり上海総領事館警察も軍の指揮下にあった
>と云うことではありませんか。
>上海総領事館警察が犠牲を出しながら活躍されたことは分かりますが、領事館が機能し
>ていたと云うより、軍政下にあったと云った方が良いのではありませんか。

 上海の領事館警察は、「直に軍特務機関の区処の下に於て治安宣撫の件に当」った
のです。この軍特務機関の区処の下に行われた治安宣撫工作とは次のようなことを指し
ます。
 この宣撫工作に従事したのは、上海総領事館警察の全員ではなくて、その一部(36名)
にすぎません。その活動場所は、日本人の居住区ではなくて、中国人の居住区と上海周
辺の農村部(南市、松江、浦東、曹家渡)です。つまり宣撫工作の対象は日本人ではあ
りませんでした。

 活動の内容は次のようなものです。

 「宣撫班の活動事項
一、難民復帰に就いての斡旋
二、軍作成の布告、各種宣伝伝単の貼付、抗日文字の抹消
三、死体収容
四、保安隊の組織(胸部に標識票を附し棍棒を所持せしむ)
五、職業の周旋(人夫の供給を斡旋相当の成績を挙ぐ生活無資力者収容所設置計画中)
六、病院の再開(自治委員会をして病院復活を考慮せしむる一方兵站部及警備隊本部
附軍医と相談の上医療品供給方)
七、復帰者の戸籍調整(相当の成績を挙げ居れり)
八、食料品調査並に商談斡旋

 尚第二期工作として電灯事業の復活、道路拡張及市区改正、小学校開設、城門増設、
電信電話の復活、交通機関の整理、「マーケット」開設等計画中なり」(『外務省警察史』
第43巻)

 領事館警察が宣撫工作に従事するにあたっては、上海総領事が外務大臣に許可を求め
ています。「区処」とは指揮監督権をもたない者の指示を受けることを意味する言葉で
すので、「直に軍特務機関の区処の下に於て」とは、領事館警察に対する指揮監督権が
軍ではなくて、外務大臣→総領事にあったことを意味しています。

 であるから、「軍政下にあった」とは言えないのです。

210通行人A:2004/03/26(金) 06:07
>>205
> でも、通行人Aさんの説でも、「軍は軍慰安所という「性的サービス提供施設」を作り、
>その運営を民間業者に依託した。依託された民間業者はその施設に店舗をかまえ、慰安所
>の運営に従事した」となりますから、そんなに大きなちがいはないのじゃありませんか。

全く違うって。
過客さんの論では、
「軍が『軍慰安所』という会社を設立し、その会社運営を民間人に任せたという物」
つまり、軍慰安所は軍の企業になるのに対し、
私のいっているのは
「軍は『軍慰安所』という民間企業が使う建物施設のオーナーである」という物。
つまり、軍慰安所は民間企業です。

> もうひとつよく理解できないのですが、軍の作った「運営会社(運営機関)」とは何ですか。
>酒保=物品販売所の運営をする会社(酒保商人)を軍が作ったとは思えないですが。軍直営の
>聯隊酒保は、たしかに聯隊長が選んだ物品販売所委員(責任者は佐官または大尉で、その下に
>尉官委員が若干名うち一名は経理部将校)とそれに付随する助手(准士官、下士官)が運営を
>担当することになっているのですが、通行人Aさんのいう運営機関とはこの「物品販売所委員」
>のことでしょうか。

アスキーって会社法人の一部門(ファミ通編集部)が独立して、エンターブレインって会社法人になったでしょ。そんな感じ。
ちょっと違うな、当該部署を廃して下請けに出すって表現が一番近いか。
ところで、運営機関とその運営をチェックする機関を同一視していないかな?
酒保は運営機関(運営を行う部署)があったけど慰安所は許認可を出す部署があるだけではないですか。

> あれ、おかしいですね。酒保は「軍の施設」であるのに対して「軍慰安所は民間業者」という
>のが通行人Aさんの説だったはずですが、いつから酒保も「民間の施設」になったのですか。

建前上はCでいいんですよ。

>Aの根拠を私が聞くと、通行人AさんはBと答えられた。それじゃ、なぜ軍は軍慰安所という
>名乗りを許したのかと再度問えば、通行人Aさんは、またAと答えられるのでしょう。

そこ、勝手に人の論理を曲解しない。(軍慰安所と呼ぶのは統制をした結果であって、トラブルに対処した結果ではない)
特にBの項目は前半と後半が全く繋がっていません。
つーか、レッテル張りで議論の放棄をしないように。
ソース元を記憶していないから、再検索するのが面倒でああいう書き方をしたのはすまないと思っています。
性病云々のトラブルがあったことは確かだし、現在でも同種のトラブルを見ることができるので、
当時にそのようなトラブル、問題がなかったという方が無理でしょう。
逆に聞かせていただくと、軍がなぜ慰安業者の統制に乗り出したのか、その統制内容を加味して十分な説明、
説得力のある説を聞いたことが無いんですがお聞かせ願いますか?

>>206

> しかし、日本語の「福利厚生施設」と「慰安施設」との間にそんなにはっきりとした
>意味の差はあるのでしょうか。

軍慰安所の場合は明確な差があるよ。営利目的であるか否か。
福利厚生施設では料金を取る場合でも、必要経費としてであり、利潤としてではない。
慰安施設での料金は、明らかに利潤が含まれています。

> たしかに「慰安旅行」とは言いますが、「福利厚生旅行」などとは言わない。しかし、
>会社の社員の「慰安旅行」は、たとえその実質がそうであったとしても、表向きは社員の
>「遊興旅行」などとは決して言いませんよね。

たとえが違う。上の場合慰安施設は、旅行会社です。

211過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/26(金) 20:17
通行人Aさん

>>210

>>205
>> でも、通行人Aさんの説でも、「軍は軍慰安所という「性的サービス提供施設」を作り、
>>その運営を民間業者に依託した。依託された民間業者はその施設に店舗をかまえ、慰安所
>>の運営に従事した」となりますから、そんなに大きなちがいはないのじゃありませんか。

>全く違うって。
>過客さんの論では、
>「軍が『軍慰安所』という会社を設立し、その会社運営を民間人に任せたという物」
>つまり、軍慰安所は軍の企業になるのに対し、

 ちがいますよ。人の説を曲解しないで下さい。私は、軍慰安所は軍が将兵の福利厚生の
ために設置した軍の施設であると主張しているのであって、軍が軍慰安所などという会社
を作ったといった主張は、していません。


>私のいっているのは
>「軍は『軍慰安所』という民間企業が使う建物施設のオーナーである」という物。
>つまり、軍慰安所は民間企業です。

 またくりかえしになりますね。なぜ、軍はそんな民間企業に「軍慰安所」などという名
称を名乗るのを許したのですか。戦前において軍は国民の尊敬を集め、神聖で権威ある存
在とみなされていました。
 その軍が売春という人倫にそむく生業をしていると当時見なされていた(当時は「醜
業」と呼ばれていた)、営利を目的とする民間業者に、「軍慰安所」という名称を使うの
を許すとは、常識では考えられません。

 通行人Aさんは、軍が統制した結果、軍慰安所と呼ばれるようになったと仰るが、たん
なる「建物施設のオーナーである」だけでは「統制」とは言えません。具体的に軍はどう
いう統制を「慰安所業者」に加えたのですか。その説明をしてもらわないと、「軍による
民間売春業者の統制説」もはなはだ説得力に欠けます。

>酒保は運営機関(運営を行う部署)があったけど慰安所は許認可を出す部署があるだけではないですか。

 つまり、通行人Aさんは、実際に軍に慰安所の許認可を出す部署があったかどうかは、
御存知ないわけですね。ただ、軍慰安所は民間の売春施設であり、軍はその営業に対し
て許認可を出しただけだから、当然軍には慰安所の許認可を出す部署があったはずだと、
推測されているにすぎない。
 実際に、当時の軍の組織内に許認可を出す部署が存在し、許認可を与えていたことを裏
付ける資料を踏まえての発言ではなかったわけですね。

>> あれ、おかしいですね。酒保は「軍の施設」であるのに対して「軍慰安所は民間業者」という
>>のが通行人Aさんの説だったはずですが、いつから酒保も「民間の施設」になったのですか。

>建前上はCでいいんですよ。

 わかりました。酒保は、場合によっては民間業者にその業務が委託されることもある
が、本質において「軍の施設」であるにかわりはない、ということで一致しているのを
再確認できました。

 ところで、1938年1月に上海で開設された軍慰安所について記した兵士(歩兵第101聯
隊)の日記に以下のような記事が記されています(秦郁彦『慰安婦と戦場の性』新潮社)。

1月8日「夜隊長より慰安所開設の話を聞く。喜ぶ者多し」

1月13日「今日、急に酒保係を命ぜられ、酒保へ行く。戦地軍隊は面白い所だ。女給ばか
り居る酒保だからな。未だ売る物は一品ばかりだ。○○を買う者がどっとおし寄せて午
後より夜遅くまで多忙だ」

 この記事から、歩兵第101聯隊では、慰安所は特殊な「酒保」とみなされていたこと。
また「酒保係」が慰安所の運営を行っていたことがわかります。「酒保係」とは、以前に
紹介した軍隊内務令に規定されている物品販売所委員の助手をさすものと思われます。あ
るいは、上司の命で臨時に物品販売所委員の当番勤務を仰せつかったのかもしれません。
 この兵士の上にこの聯隊の「酒保」委員がいて、慰安所の運営に携わっていたと考えて、
まずまちがいないでしょう。

 この例からしても、慰安所は酒保と同等の軍の施設であったと、結論できます。

212過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/26(金) 20:23
通行人Aさん

>>210

>そこ、勝手に人の論理を曲解しない。(軍慰安所と呼ぶのは統制をした結果であって、トラブルに対処した結果ではない)
>特にBの項目は前半と後半が全く繋がっていません。

 これについての通行人Aさんの今までの主張を以下に個条書きしますが、これでまち
がいないでしょうか。

1.軍は占領地での軍目当ての売春業に統制を加えた。その結果、これらの売春宿
は「軍慰安所」と呼ばれるようになった。

2.それゆえ「軍慰安所」なる名称は軍の統制の存在を示すものと言える。

3.軍がこのような統制を加えたのは、日露戦争時に占領地において風俗産業に十
分な統制を加えなかったために、トラブルが生じたのを反省してのことである。

(上記は、>>157>>180>>190による)

通行人Aさんは、上記を簡略化して、次のように仰っている。>>190

>だいたい、日露での反省>軍慰安所だから、日露で軍慰安所がないのは当然でしょう?

 そこで、私は>>197で、その「日露戦争では軍の後方ないし占領地で風俗営業が混乱
をきわめたので、その反省にたって民間の売春宿に「軍慰安所」の名をなのらせた」
という説が、私には初耳なのです。
 いったい何を典拠にそういうことを仰っているのか、教えていただけませんか。

と聞きました。それに対する通行人Aさんの答えが、>>201の以下のようなものでした。

>ときどき、学校の校則で馬鹿馬鹿しい内容の校則があるのを知りませんか?
>「牛乳を一気飲みしない」とか、「校内で紙飛行機を投げない」とか・・・
>こういった校則って言うのは実際にそういった行為でトラブルが発生したから作られた物です。

>これと同じように軍が統制を加えたと言うことは、不統制によるトラブル、問題があったという証拠であると思います。
>因果律からいけば、統制したという結果があれば、その結果を生み出すに足る要因、トラブルがあるはずであり、
>統制の内容を見ることによって、どのような問題があったかはだいたい特定できるはずです。

 つまり、日露戦争でトラブルがあって、軍が反省して風俗産業を統制することに
なり、その結果民間の売春業が「軍慰安所」と呼ばれるようになったとの因果関係
を示す典拠は示されず、そのかわりに「軍が統制した事実」そのものが「不統制に
よるトラブルがあった証拠」とされているわけです。

 典拠が示されなかったことは、通行人Aさん自身が認めている。それは以下の発言
から明らかです。

>ソース元を記憶していないから、再検索するのが面倒でああいう書き方をしたのはすまないと思っています。

 上記1から3を通行人Aさんの記述法(>>190)にならって言えば、

日露戦争でのトラブル>反省>軍の統制>軍慰安所(=「統制の結果」)

となります。
 この因果の連鎖が実際にあったことを示す資料の提示を求めたところ、
通行人Aさんは、以下のような因果律による推論を示されたのでした。

軍慰安所(=「統制の結果」)>軍の統制>(反省>)日露戦争でのトラブル

 だから私は、これを循環論法と呼びました。しかし、通行人Aさんは、「曲解」であり、
「レッテル貼りの議論放棄」と非難される。

 どちらの言い分に理があるのかは、賢明な読者諸氏の判断に委ねることにしましょう。

>性病云々のトラブルがあったことは確かだし、現在でも同種のトラブルを見ることができるので、
>当時にそのようなトラブル、問題がなかったという方が無理でしょう。

 ですから、具体的にどのようなトラブルが存在しており、それを日本軍がどのように
反省した結果、日中戦争時の軍の統制となってあらわれたのか。また軍の統制の結果、
なぜこれを「軍慰安所」と呼ぶことになったのか、軍の認識と政策を示す資料を示して
欲しいのです。
 ソース元があるのでしたら、再検索はできると思います。

213過客 </b><font color=#FF0000>(LZe.CKvw)</font><b>:2004/03/26(金) 20:24
通行人Aさん

>>210

>逆に聞かせていただくと、軍がなぜ慰安業者の統制に乗り出したのか、その統制内容を加味して十分な説明、
>説得力のある説を聞いたことが無いんですがお聞かせ願いますか?

 これは異なことを仰る。私は軍慰安所は軍が将兵の福利厚生のために設けた軍の施設
だと認識しています。その見地からすれば、「軍の統制」は説明するまでもない。「軍
の施設」が軍の統制のもとに置かれるのは当然でしょう。

 それに反して、慰安所が純然たる民間施設であり、日露戦争の反省に立って軍が統制
を加えた結果「軍慰安所」と呼ばれるようになったという説は、私の説ではなくて、通
行人Aさんの主張のはずです。
 自分の説について、対立する議論の相手に「十分な説明」「説得力のある説」を「お
聞かせ願いますか」と尋ねるのは、おかどちがいもはなはだしい。

 自分の説は「説得力のある説」ではないと、通行人Aさん自らが認めているようなも
のじゃありませんか。

 それどころか、以前>>172で、私は、通行人Aさんに、

> そもそも「軍の統制」とは具体的に何を意味するのですか。軍が既存の民間の売春業者を規制する
>命令なり規則を制定し、特定の条件をみたすものは、軍慰安所と名乗ってよろしいと命じたことがあ
>るのですか。

と尋ねているくらいですから(それに対する返事はいただいていません)、「軍の統制」
について聞かれても、答えられるはずがない。



>軍慰安所の場合は明確な差があるよ。営利目的であるか否か。
>福利厚生施設では料金を取る場合でも、必要経費としてであり、利潤としてではない。
>慰安施設での料金は、明らかに利潤が含まれています。

 もしも通行人Aさんが企業の厚生課に務めていたら、出入り業者にはさぞかし厳しい
担当者になるのでしょうね。企業が自社の保養施設の業務を民間に委託する場合、その
民間業者が相応の利潤をあげるのを認めるのが普通でしょう。

>> たしかに「慰安旅行」とは言いますが、「福利厚生旅行」などとは言わない。しかし、
>>会社の社員の「慰安旅行」は、たとえその実質がそうであったとしても、表向きは社員の
>>「遊興旅行」などとは決して言いませんよね。

>たとえが違う。上の場合慰安施設は、旅行会社です。

 ウーン、通行人Aさんは、これから社の慰安旅行で社の慰安施設に行くという時に、海
の家ではなくて、みんなで旅行会社にバスに乗って押しかけるわけですか。旅行会社で宴
会なんかしたら、ひんしゅく買いますよ。




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