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死刑制度についてひと言お願いします

359瀬田:2003/11/12(水) 21:57
>>358

1「犯罪抑止につながらなくても刑罰は必要」
死刑廃止論者は死刑囚を無罪にしろなどとは言っていません。罰を加えること
には反対していないのです。あなたのそれは誤った解釈であることを指摘して
おきます。この点は混同しないでください。たしかに刑罰は必要です。ですが
それは刑罰論の話ですので、死刑問題と同列に論ずるべきものではありません。
死刑に犯罪抑止力があるのか、という論点は重要なものです。
もし、死刑制度がなくなることで犯罪が増加し、一般市民の生命が脅かされる
ということが明らかであれば、公共の福祉論による死刑の正当化は説得力を
持つことになります。逆に、死刑に犯罪抑止力がないのであれば、その存置の
理由を他へ求める必要が出てくるのです。

2「凶悪な犯罪者は出所後、再犯を行う率がはるかに高い」
何を根拠にそういわれるのでしょうか?法務省の統計には再犯の統計は存在
しません。もし単なる憶測であるなら、それは議論の対象になりませんよ。
通説では交通関係業過をのぞいた刑法犯では4割ほどといわれますが、これは
薬物犯罪が大半を占めているのが実情です。殺人の再犯というのは、刑期が
長いので非常に少ないのです。一番再犯が多いのは無銭飲食であり、これは
刑期がせいぜい十月とか八月なので、幾らでも再犯ができ、前科数十犯という
のがいます。ところが窃盗になると常習累犯窃盗という犯罪類型があるので、
3回やれば刑期が3年以上になり再犯が難しくなる。だから再犯率というのは
一般的に非常に議論しにくく、罪種によって本当に違ってくるものなのです。

3「冤罪と死刑反対とは直接結びつけるものではない」
私はそうは思いません。>>356の後段で申し上げたとおりです。
他の論点では死刑制度を肯定的に捉えながら、誤判の危険のみを理由に死刑
廃止を訴える説も少なくありません。

4「死刑を執行人に押し付けてよいのか」
これは元愛媛県民さんの言うように、死刑問題と直接結びつく話ではありま
せんね。確かにそういう問題があるのは事実ですが・・・
なお、この点については大塚公子著『死刑執行人の苦悩』(角川文庫)に目を
通してみてください。関係者の語ったものをまとめたものだそうです。
日本の死刑制度は一切公開されず、関係者には法律上守秘義務が課されるため
その実情を知るのは困難ですが、数少ない刑務官の問題に関する書物です。
死刑執行が公開されないのは、おそらく公序良俗を害することになるからだと
私は思います。それをマスコミに生々しく書き立てれば、社会にショックを
与え、暴力的な悪い風潮を誘発・助長させるものになりかねません。
正木亮博士が死刑を「現代の恥辱」だといわれたのは、この意味で的を得て
いると思います。

5「凶悪犯相手にこんな正論を主張しては、国家は立ち行かない」
刑法が「人を殺すなかれ」という精神を以って殺人罪を規定している点には
異論はないと思いますが、では国が死刑という法律上の制度によって人を殺す
ことは許されるのですか、人を殺してはいけないという法自身が人を殺すのは
矛盾していませんか、というのがこの論点です。
ドイツでは死刑について「司法殺人」(Justizmord)という言葉が学説の中で
広く使われているほどです。
どちらかというと、倫理的な要素の強い問題ですね。
常識的な相手以外を議論に含めないのであれば、犯罪に関する学問は成立し
ません。哲学として論ずるならそれでもかまいませんが、制度として論ずる
場合には、それでは通らないのです。


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