したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

第25回参議院議員選挙(2019年)

1362チバQ:2019/07/02(火) 10:23:34
 40年前、聴衆の一人としてその一枚をカメラに収めた、北九州在住の西村忠(54)は説く。

「向かって右側の目が腫れぼったく、頬が少し垂れていますよね。数年後に倒れたというニュースを見て、あの時から弱っていたのかなと思いました」

 当時、すでに顔面麻痺に悩まされていたようだ。だが、聴衆の前では「角栄」を演じ続けた。「野党が批判ばかりするから、口がひん曲がってきたよ」と笑いに替えてしまうのだ。

 角栄の秘書だった朝賀昭(71)に訊ねると、当時の体調をこう明かした。

「オヤジは汗をたくさんかくから、水を飲み過ぎるでしょ。それとストレスが一緒になって起こす下痢症だった。安倍(晋三)さんと似たような、神経性というのかな。あの頃はゴルフをやっていても『ちょっと、すまん』と言って何度もトイレに駆け込んだ」

 断片的な情報を組み合わせると、選挙中、角栄は3度、主治医の検診を受けている。もちろん、新聞に載った大本営発表は「異常なし」であった。

 選挙戦中盤になると、番記者たちを前に急にこんなことを漏らしていた。

「お腹が痛いので失礼します」

 すると、漢方薬を飲み始めたのだ。

「その『薬』は熊胆だな。仁丹の2回りぐらいの大きさに砕いた物をオブラートに包んで持ち歩いていた」(朝賀)

 演説会場だった場所をいくつか訪ね歩くと、病院に隣接する広場が少なくない。事実、遊説班は経路を組む際、万が一の事態に備えていたのだ。

角栄号は2か月間で4か所に緊急着陸
 また、新兵器も、せっかちな角栄に「変調」を来たす火種となった。

 ヘリは有視界飛行のため、雨や霧にはめっぽう弱く、梅雨空では高度を下げなければならない。その際、電線やビルに引っ掛かるリスクが生じる。

 実際、角栄号は2か月間で4か所に緊急着陸し、騒ぎを起こしていた。

 40年前の昼下がり、名古屋市郊外で高圧線すれすれに舞い降りる物体を見た近藤奎治(75)は、ガン病棟でその記憶を手繰り寄せた。

「いきなりバリバリと……何かが割れるような音がして……びっくりして店を飛び出したんだけど……」

 雨の中、近藤の営むガソリンスタンドに、遊説班の森が駆け込んできた。

「今すぐ車3台、用意できませんか」

 近藤が用意したクラウンをヘリがある原っぱまで走らせると、泥だらけの足で迫ってくるのは総理ではないか。角栄は警察の先導車を待たずに、名古屋のテレビ塔に向かって出発した。

「ヘリをやめるんじゃないかと人は言うがご冗談でしょう。文明の利器を使えば日本列島は小さくなって良い」

 予定通りに演説会を終え、記者に囲まれると角栄はそう開き直った。その足で新築のホテルに入ってくると、絨毯には無数の足跡が付いたという。

 またも悪天候で東北の空港に緊急着陸した時のこと。天気の回復を待つ間、角栄は地団太を踏んで喚き散した。

「おい、まだ飛ばないのか!」

 困り果てた取り巻きが一人、また一人と待合室を離れる。とうとう遊説局長の橋本龍太郎も消えてしまうと、静まり返った部屋で角栄は爆発した。

「もう、行っちゃえ! 行くぞ!」

 すると、遊説班長の党職員が飛んできて、角栄に向かって声を上げた。

「管制の許可が下りていないんです! あなたは田中個人じゃなく、一国の総理なんだ。危険な目に遭って落っこちたら日本の国が大変なことになるんです。もう少しだけ待って下さいよ!」

 角栄は渋々、忠告に耳を傾けた。

 投票日5日前、2泊で山梨、長野、富山、新潟各県を巡る最後の遠征では、とうとうヘリは使えなかった。

 朝、角栄は閣議を短く切り上げ、官邸を車で発った。街頭演説4回、定例記者会見2回をこなし、長野の旅館に着く頃には午後8時半を過ぎていた。

 やっぱり明日もヘリは飛ばない。今更、日程も変えられないが、遊説班は長野から富山に抜ける方法を決められずにいた。北アルプスが立ちはだかり、山越えできる道路がないからだ。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板