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新・鉄道綜合スレ

3846チバQ:2022/04/08(金) 08:20:01
■「自ら地域を楽しむ人が増えた」

 沿線からの「生の声」は示唆に富んでいた。信州いいやま観光局の高野次長の報告で最も印象的だったのは、次の言葉だ。

 「新幹線開業を通じて、連携の軸、地域を見直す機会が生まれ、地域づくりの取り組みが進んでいる。飯山は豪雪地で、地域の将来を悲観し、子どもたちにもネガティブなことを言う人も多かった。しかし、自ら地域を楽しむ人が増えた。子どもに『この地域は最高だろう』と。新幹線は大きな転換点、大きなハード事業だが、大切なのはそこから先。地域を持続可能なものにするには、人という資源を育てていくことが大事」

 黒部まちづくり協議会の成川氏は、黒部峡谷鉄道で29年間、運転士や整備士、営業企画などを経験し、現在は市議会議員を務める。協議会は開業対策としてワークショップを重ね、1日500円で公共交通網を利用できる「黒部ワンコイン・プロジェクト」を2006年に発案、実施するなどの実践を展開してきた。成川氏の報告は、ほかの新幹線開業地で、少なくとも筆者は見聞したことのない奥行きと広がりがあった。

 1日当たりの黒部市への入込者や主要4観光地の客数、宿泊者数は、2015年3月の新幹線開業を契機に増加していたという。だが、宇奈月温泉の宿泊者を対象にした調査の結果、開業前の2014年度に17%だった「JR・電車」の利用者数は、開業の2015年度に26%まで上昇したにもかかわらず、開業5年目の2019年度には、宿泊者数が微減した状態ながら、「JR・電車」利用者のシェアが17%まで落ちた。

 さらに、2014年度の宿泊者シェアは、北陸3県が25%、関東が26%だったのに対し、2015年度は北陸が20%、関東31%と伸びたが、2019年度には北陸34%、関東21%と、新幹線開業以前よりも関東のシェアが下がり、地元利用が増えていたという。

 さらに興味深いデータを成川氏は示した。地元高校の卒業生の進路の変化だ。北陸新幹線開業前の2012〜2014年と、開業後の2018〜2020年を比較すると、開業前の進学先は絶対数で「関東>富山>関西>石川」の順だったが、開業後は「石川>富山>関東>関西」の順になった。

 石川県や富山県内へ進学する生徒が増えた反面、関東や関西に進学する生徒が減った。とくに、関西へ進学する生徒は半減しており、北陸新幹線が地元と関西とのつながりを弱めた一面がうかがえる。

 もちろん、コロナ禍の影響も大きいとみられるが、成川氏は「市の通学支援補助を見ても、富山・金沢まで通う学生が増えた。自宅から通える、もしくは地元から近い地域が選ばれるようになった」とみる。

 このほか、金沢大学から医師派遣を受けている黒部市民病院への聞き取り結果も興味深い内容だった。開業前、打ち合わせは病院側が大学まで出向いていたのに対し、開業後は大学の教授が病院を訪れるようになったこと、市の人口が開業から3年は転入超過だったにもかかわらず、4年目は転出超過に転じたことなどを、成川氏は報告した。

 「失敗から学ぶことがある。私たちは膨大なエネルギーを使って『観光客を呼ぶこと』や『おもてなし』に力を注いだ。しかし最近、ようやく、『自分たちの生活がどう変わったのか』に意識が向くようになった。市民の生活が5年後、10年後、どう変わっていくかのビジョンを示せないといけない。敦賀の皆さん、開業まで2年。黒部の二の舞にならないよう」。成川氏は、敦賀市へこんなエールを送った。


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