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国際政治・世界事情(その2)

3663短編小説『春を告げる声 済州島にて』:2025/05/03(土) 19:39:00
一部の国粋主義者、排外主義者は創氏改名を強制され、日本語教育を押し付けられたことが我慢できなかった。

しかし済州島四・三事件当時、そして、韓国独立から77年の間、三・一運動の愛国者たちは、祖国に裏切られ、虐げられた自分たちの祖父母たちのために、一体何をしてくれたのだろうか?

民族自決や独立運動に人生を賭けるくらいなら、法の支配や自由主義ブルジョア憲法の行き届いた異郷で暮らす方が、遥かに幸せではないか。

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三人は、この島を歩き、虐殺の痕跡が今も残る風景を目の当たりにするほどに、その思いを強くしていた。

「私たちは、ヘリテージ財団で話しました」と、ジウが静かに言った。「日本の植民地支配を、一方的に悪だと決めつけるのは違うと。当時の国際情勢や、朝鮮半島内部の状況も踏まえて考える必要があると。」

ソヨンが頷いた。「多くの聴衆が、私たちの言葉に耳を傾けてくれた。でも、韓国の国粋主義者や、排外主義者からの猛反発は避けられないでしょうね。」

チェ・ソヒョンは、遠い目をしながら海を見つめた。「それでも、祖父母たちが味わった塗炭の苦しみを思えば、私たちは黙っているわけにはいかない。あの虐殺は、単なる過去の出来事ではない。私たちの血の中に、深く刻まれた傷跡なんだから。」

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三人は、夕暮れの海岸線を歩いた。波の音が、彼女たちの心のざわめきを鎮めるように響いていた。明日、彼女たちはソウルに戻り、済州島四・三事件の補償を求める裁判を続ける。その道のりは決して平坦ではないだろう。韓国社会には、根強い民族主義の感情が存在し、彼女たちの主張は、多くの人々の反感を招く可能性もある。

しかし、彼女たちの胸には、ヘリテージ財団での講演で感じた、かすかな希望の光が灯っていた。

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自分たちの声に耳を傾け、共感してくれる人々が、確かに存在することを知ったからだ。

そして、何よりも、祖父母たちの無念を晴らし、真実を未来に伝えたいという強い思いが、彼女たちの背中を押していた。

宿に戻った三人は、改めて言葉を交わした。

「私たちは、『在日』として生きてきた。常に、二つの祖国の間で揺れ動きながら」と、ソヨンが言った。

「でも、済州島に来て、祖父母の生きた土地に触れて、改めて思った。私たちにとっての『民族』とは何なのだろうか。『民族自決』とは、一体誰のためのものなのだろうか。」

ジウが答えた。「李承晩のような独裁者のための『民族自決』ならば、そんなものは必要ない。大切なのは、個人の尊厳が守られ、自由と平和が保障される社会。それが、私たちの祖父母が求めていたものだったはずだ。」

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ソヒョンは、静かに頷いた。「私たちは、韓国の国粋主義者たちに、敢えて問いかけたい。あなたたちの言う『愛国』とは、一体何なのかと。自国民を虐殺し、異質なものを排除しようとする排外主義と、どこが違うのかと。」

三人は、夜遅くまで語り合った。彼女たちの言葉は、77年前の済州島の悲劇を、単なる過去の出来事としてではなく、現代を生きる自分たちの問題として捉えようとする、真摯な問いかけだった。

翌朝、三人は、朝日が照らす済州島の海を眺めていた。穏やかな波の音は、まるで島に眠る犠牲者たちの鎮魂歌のようだった。

彼女たちの心には、ワシントンで感じた希望と、この島で改めて抱いた決意が、静かに共存していた。

彼女たちの声は、小さな波かもしれない。しかし、その波紋は、やがて大きなうねりとなり、韓国社会の根深い民族主義の壁を揺るがすかもしれない。

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彼女たちの勇気ある行動は、虐げられた人々の魂に、遅すぎた春を告げる声となるだろう。


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