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国際政治・世界事情(その2)

1178チバQ:2017/02/02(木) 05:30:25
 現場で直接情報収拾に当たってみることももちろん可能だが、外国人にとっては危険を伴う。私のようにチュニジア出身で、リビア国内でも同姓が見つかる「近場の外国人」でもそうだ。民兵組織の支配地域は常に変化し、検問所は林立し、スパイ容疑をかけられることも珍しくない。

 こういうジグソーパズルのような状況の中で働くには、一定のノウハウが必要だ。例えばシルトでは、帳面よりもカメラで仕事をした方が良い。地元民兵らは私が鉛筆を出して何をしているのかといぶかしみ、スパイに違いないと断定されてしまう。

 それはムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)政権下でも同じだった。カメラを持っていたおかげで危機的状況を回避できたこともあった(ジャーナリストならばカメラを持っているはずだと思われたようだった)。ところが首都トリポリでは真逆だ。どんな場合でもカメラを取り出してはいけない。

 首都には首都ならではの難しさがある。表立って取材して良い時と、用心すべき時をわきまえなければならない。市内に民兵組織がいくつあるのか、またそれぞれの支配地域はどこなのか、誰も正確には把握していない。数十の組織が存在し、複数のグループを取り仕切る上部組織が少なくとも5つあるのは間違いない。だが厳密にはいくつあるのか、答えられる人間はいない。その点、地方都市は1つまたは2つの地元部族を主とする民兵組織が取り仕切っているので分かりやすい。




リビア・ベンガジ南部での衝突(2016年11月撮影)。(c)AFP/Abdullah Doma
 私はいつも、状況が落ち着いている時ほど細心の注意を払う。そんな時こそ、事態が悪い方へ急変しやすい。そうなると運悪く検問所で足止めされることもある。

 こういう状況である以上、プライベートを楽しむ時間など最低限になってしまう。外国人の友人がいるが、会うのは週末だけ。平日に会うのは危険過ぎる。大使館もなければ、非政府組織(NGO)もほとんどない。欧州連合(EU)のNGOが戻ってくるはずなのだが、まだ実現していない。犯罪率は極端に高く、とりわけ外国人が狙われる。リビア人は大半が武装しているため、泥棒も地元住民の家に侵入する危険は冒さない。ロケット発射装置を備え付けてある家に入ってしまうかもしれないのだから…。


リビアの首都トリポリの市場(2016年3月撮影)。(c)AFP/Mahmud Turkia


私はもう何年も暮らしてリビアをよく知っているし、今も本心からこの国が好きだ。ここにAFPの支局を開設したのは2008年、欧米の通信社としては初めてだった。2011年2月の革命を現地で取材したのもわが社だけだ。私は当時、トリポリ郊外にあるAFPカメラマンの家にかくまってもらい、そこから記事を書き続けた。玄関がノックされるたびに心臓が止まりそうだった。2015年にいったんリビアを離れてヨルダンで休んだが、今年また戻ってきた。

 2011年のリビアでは、記者はどこへ行っても歓迎された。だがそれはもう遠い昔の話だ。今は私が話す相手の多くが、私のことをフランス政府のスパイだと思い込んでいる。

 苦労しているのは私だけではない。記者仲間の多くがこの国を去っていった。停電や電話回線の遮断のせいで、仕事環境はますます厳しくなっている。

 私が最も恐れているのは空港の閉鎖だ。民兵組織が統制しているため、急いで出国したい時に問題になりかねない。ある意味、今のリビアは何もかもが偶然的だったカダフィ時代と変わらない。しかも今はそこに、治安上の混乱が加わっている。

 民兵組織は、地元の「有力者ら」からなるどちらかの政府から資金を得ている。中には密航に関わって金もうけをしている民兵組織もある。彼らは沿岸警備を担うが同時に、欧州行きを切望する移民らがひしめく船の出航も管理している。時には密航あっせん業者を阻止し、自分たちの「仕事」を続けるためとして政府に金銭を要求することもある。

 一方でリビアは素晴らしい国でもある。優美な景観に恵まれ、生活のリズムはゆったりしており、古代ローマ時代にさかのぼる遺物の保存状態も良い。




リビアの首都トリポリから130キロのフムス郊外にあるローマ時代の都市遺跡レプティス・マグナ(2016年12月撮影)。(c)AFP/Mahmud Turkia
 この国の最大の問題は、国よりも地方、地方よりも部族が優先されることにある。おのおのに強烈な独立心があるため、国の一致団結を保つ集合体が生まれにくいのだ。(c)AFP/Imed Lamloum

このコラムは、駐リビアのイメド・ラムルム(Imed Lamloum)記者が、ピエール・セレリエ(Pierre Celerier)記者と共同執筆し、パリ(Paris)本社のヤナ・ドゥルギ(Yana Dlugy)記者が英訳し、2017年1月11日に配信された記事を日本語に翻訳したものです。


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