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インド・天竺・中洋スレ
604
:
とはずがたり
:2020/11/23(月) 14:37:14
>>603
第2に、中国の軍事行動の特徴から考えて、インドにとって日米豪との連携は、中国の行動を抑えるのに役立つものと考えられる。南シナ海の例を見ると、中国はこれまで「力の空白」を埋めるように勢力を拡大してきた。例えば1950年代には中国は西沙諸島の半分を占領したが、これはフランスがベトナムより撤退した直後のことであったし、1974年に中国は西沙諸島の残り半分も占領したが、これもアメリカ軍がベトナムから撤退した直後のことであった。1988年には中国は南沙諸島でベトナムから6つの環礁などを奪ったが、これもソ連がベトナムにおける駐留兵力を減らしたときであったし、1995年にはフィリピンが領有権を主張していたミスチーフ環礁を占領したのも、アメリカ軍がフィリピンから撤退した直後のことであった。[9]
そのため、インドは中印国境において、「力の空白」を生じさせないように、軍事バランスを維持することが必要で、そのためには、インドが日米豪と連携することは効果的である。例えば、中国を東西から挟む形になる日本とインドの連携は、中国の国防費や空軍戦力を分散させることにつながる。中国が、東西に戦力を分散せざるを得ない状況となれば、日本にとっても、インドにとっても、軍事バランスの維持には好都合である。
第3に、日米豪印の連携が印中国境における防衛に直接役立つ事例が出始めている。2017年6月から8月におきたドクラム危機である。この危機では印中両国が4000kmの国境で戦闘態勢のままにらみ合う事態に発展したが[10]、その際、アメリカはインドに、中国の軍の動きに関して情報を提供していた[11]。また、危機の最中、アメリカは空母、日本は「ヘリ空母」をインド洋に派遣して、インドが主催する共同演習(マラバール2017)を行い一定のけん制となった。この演習の時期はもともと予定されていたものではあるものの、中国メディアは演習を受けて、インドに対して「日米に期待するな」という記事を書いており、一定のプレッシャーを感じたものとみられる[12]。
軍事支援以外にも、日本の平松賢司駐印日本大使が、力による現状変更を容認しないという、インド支持の声明をだした。[13]しかもドクラム危機は、インド国防相の訪日、安倍晋三首相の訪印直前に終わっている。中国が、危機を長引かせて日印関係をより強化させてしまうのを望まなかったふしがある。日本との連携が、印中国境防衛に一定の効果を上げた可能性は十分にある。こういった協力は、協力関係が深まっていくに連れて、効果を高めるから、長期的な視点にたてば、日米豪との協力の深化は、インドにとって利益になるはずだ。
日米豪との協力のマイナス面
このように、インドが日米豪と連携することは、長期的に見て、印中国境におけるインドの防衛に一定程度効果的なのだが、インド政府が、この協力の軍事的側面を薄めようとしているのは短期的なリスクがあるからと考えられる。中国軍の主力は依然、日本方面や南シナ海方面に配備されている。インドが中国を刺激しすぎることがなければ、中国はインド方面には移動してこない。しかも、中国軍の主力がインド方面に移動してきた場合、ドクラム危機で日米豪が見せた程度の支援では、インドにとって不十分な状態にある。日米豪との連携は、インドから見れば、中国が実際に攻撃を開始したとき、日米豪がインド側にたって参戦してくれる。中国が日米豪と戦うことを恐れてインド攻撃を躊躇う。それくらいの確実な保障がなければ、十分とは言えない。だから、短期的には、あまりに日米豪に傾斜しすぎて中国軍の主力をインド方面に招いてしまう、そういう事態を避けることが、インドの国益になる。
それゆえに、インドは長期的な利益と、短期的な利益の間のバランスをとる必要がある。つまり、短期的には、インドは中国を過度に刺激しないように活動しつつ、長期的には日米豪との連携を深める、こうした政策が採用されているとみられる。日本、アメリカ、オーストラリアにとっては、インドの印中国境防衛と長期戦略のジレンマを理解し、長期的な視点から協力を継続していく必要があるだろう。
(2018/12/13)
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