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インド・天竺・中洋スレ
601
:
チバQ
:2020/11/02(月) 13:55:58
貧困問題と表裏一体の「カースト制度」
インドムンバイのスラムで暮らす子供(Photo by gettyimages)
物語を通して描かれているのが「カースト」の問題だ。
長距離バスに乗って実家を脱出したヴィジとラクは、到着したバスターミナルで運転手の男性から声をかけられ、そのまま連れていかれそうになる。
抵抗するヴィジに手を焼いた運転手が投げつけたのは「うすよごれた下層カーストのガキが!」という言葉だった。
カーストという言葉そのものは日本でもよく知られている。
「スクールカースト」など集団内での序列や格差を身分制度になぞらえた形だが、カーストとは生まれた時から与えられている世襲の「身分」として、上下関係を明確に示し、階層ごとに職業と結びついている。
インドの憲法でカーストによる差別は禁じられているが、実際にはインド社会に深く根差した考え方だけに、差別が解消されるのは極めて難しい。とりわけ、農村部では今でも差別意識は強く残っている。
カーストと貧困の問題と表裏一体なのだ。
ヴィジとラクが、どういったカーストに属しているかは明示されていない。しかし、彼女らが下層カースト、あるいはカーストの外側にあり最下層に位置付けられている「不可触民」に属していることは間違いない。
高いカーストにいる人たちは、そうした下層カーストの人たちに、特段の関心を払うことはない。2人が誘拐されそうになっても、顔にあざを作り、ぼろをまとって街中を歩いていても、そこに救いの手を差し伸べる人は少ない。
それは、高位カーストにいて富を得ている人たちにとって、2人は「見えない存在」だからだ。
インド社会が生みだした「ひずみ」
Photo by iStock
聡明で気丈なラクは、憐れんでカネを差し出そうとする人に「施しはいらない」と、申し出を拒否する。
自分たちが哀れな存在ではなく、インド社会の生みだしたひずみとして直視してほしいと訴えているのだ。それは、ラクにとって世の中への精いっぱいの抵抗でもある。
橋の上での生活をはじめた2人は、やはりそこで暮らす子供たちと知り合い、仲間になる。与えられた仕事は、ゴミの山を回って廃品回収業者が買い取ってくれそうなものを探すことだった。
もちろん、病原菌の巣窟であるゴミの山に素足同然で入っていくことは、危険以外の何物でもない。だが、生きるためにほかの選択肢はないのだ。
危険な仕事に従事する不可触民
インドでは下水管の清掃で、作業員が有毒ガスで意識をうしなった末に転落死するといった事故が後を絶たない。
作業員は大部分が不可触民の人たちで、安全対策をとらないまま危険な作業に従事している実態が社会問題となっている。下層カーストの子供たちが、貧しさの中でゴミの山に向かうのも、同じ構図と言ってよい。
物語の描写は、私が商都ムンバイのスラム街を訪れた時、近くのゴミの山でプラスチック片を必死に探す少年の姿と重なった。
黒ずんだシャツと半ズボンに、サンダルなどの履物はない。目つきだけは鋭く、「別世界」にいる私を敵視しているようでもあった。
スラム街のすぐ先には、高層ビルが立ち並び、世界の金融機関などがオフィスを構える。その「別世界」に、私もいると映ったのだろう。かける言葉もみつからないまま、少年は足早にゴミの山を駆けていった。
コロナ禍であらわになった「いびつな対応」
Photo by iStock
ゴミの山での危険な作業を繰り返す中で、ヴィジとラク、そして仲間たちには病気の魔の手が襲い掛かる。だが、子どもたちにはなすすべがない。
物語の中で、子どもたちに救いの手を差し伸べたのは、キリスト教の施設となっている。これは、現在のインドに対する強烈な皮肉だ。
なぜなら、家もなくて学校にも通えず、死と隣り合わせた生活をしている貧しい子どもたちに、行政はまったくといっていいほど対応せず、宗教施設の慈悲に頼らざるを得ない現状を示しているからだ。
「経済成長」を旗印に掲げているインド政府だが、優先しているのは一握りの人口が富んでいくことであり、貧困層への対応は後手に回っている。
それを如実に示したのが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、3月にインド政府が全土を対象に実施したロックダウンだろう。
ロックダウンによって企業活動も停止され、建設現場や工場の労働者として農村部から都市部に出稼ぎに来ていた労働者は仕事を失い、住む家さえもなくなった。家族とともに故郷へ帰ろうにも、交通機関はすべて停止されている。
そうした数多くの人たちが、何百キロ先の故郷に向かうために選んだ手段は、徒歩だった。
30度を超す炎天下の中を歩き続け、命を落とす人も続出した。そこには、子どもたちも含まれている。
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