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インド・天竺・中洋スレ

369とはずがたり:2018/01/08(月) 10:38:47

 これに対して、ミャンマー政府の立場からすると、ロヒンギャ排斥を叫ぶ国内世論の手前、「ロヒンギャに市民権を与えて問題の根本的な解決を図ること」は、少なくとも短期的にはほぼ不可能です。また、スー・チー氏をはじめとするミャンマー政府・軍の関係者の発言をみていると、その意思があるようにもみえません。

 とはいえ、国際的な圧力がこれ以上加わることは、ミャンマー政府としても避けたいところです。「周辺国にロヒンギャが大規模に流出する事態だけでも改善すること」は「ロヒンギャを一人前の国民として扱うこと」と必ずしもイコールでなく、その扱いを基本的に一任されるのであれば、「ロヒンギャ帰還」はミャンマー政府にとっても受け入れ可能なものといえるでしょう。

ミャンマーの後ろ盾
 ミャンマー政府にとっての後ろ盾の乏しさは、この決定に向かわせる一因になったといえます。

 軍事政権時代に欧米諸国による経済制裁を敷かれたミャンマーは、それ以来、中国やインド、タイとの関係を深めてきました。これらはいずれも欧米諸国と異なり、人道を理由に制裁を課したりすることには消極的です。

 しかし、その一方で、インドやタイにも多くのロヒンギャが流入しており、これに対する批判は両国内でも高まっています。特にインドでは、国内に4万人いるといわれるロヒンギャ難民の扱い方をめぐって国連とも対立するなど、ロヒンギャ問題の飛び火がみられます。何よりインドはバングラデシュの「保護者」であり、ロヒンギャ問題においてもバングラデシュを支持する姿勢が鮮明です。

中国の支持
 そのため、ミャンマーにとって頼みの綱は、中国といえます。実際に中国は、国連安保理などで「内政不干渉」を盾にミャンマー政府を擁護してきました。

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 とはいえ、中国にとってはミャンマーを擁護し続けることもリスキーです。「一帯一路」構想のもとで周辺一帯への進出を加速させる中国にとっては、バングラデシュとの関係も無視できません。

 のみならず、東南アジア諸国やイスラーム世界全体でロヒンギャ問題への関心が高まるなか、あくまでミャンマーを支持し続ければ、その他の周辺国との関係悪化を覚悟しなければなりませんが、ミャンマーにそこまでの重要性があるともいえません。この観点から、早くも今年4月に中国の特別代表団がバングラデシュとミャンマーを訪問し、その仲介を申し出たことは不思議ではありません。

 最大の後ろ盾である中国の事情や意向は、ミャンマー政府にとっても無視できないものです。「ロヒンギャをバングラデシュからミャンマーに帰還させること」を相互の政府が受け入れるのであれば、今回の合意は「内政不干渉」に抵触するもなく、中国にとっても支持できる範囲のものです。

人道と国益
 その一方で、欧米諸国、とりわけロヒンギャ問題を「民族浄化」と呼んだ米国や、この問題を国連安保理で取り上げることを提案していた英国は、今回の合意に関してこれまでのところ沈黙を保っています。

 これらは、やはり内外の世論に押されてミャンマー政府への批判を強めてきました。しかし、その一方で「東南アジア最後のフロンティア」と呼ばれる同国への経済進出も目指しています。したがって、これらの政府にとっては、ミャンマー政府を徹底的に追い詰めることより、ロヒンギャが国外に相次いで逃れる事態の収束と、ミャンマー国内の「安定」を優先させる方が得策といえます。

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 だとすれば、今回の合意はロヒンギャの要望やニーズとはあまり関係なく、関係各国にとって受け入れ可能な範囲の提案が優先された結果といえるでしょう。


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