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インド・天竺・中洋スレ

274とはずがたり:2016/09/17(土) 14:16:31
>>273-274
急行線、各駅停車の緩行線とも、いずれもレール面上10cmくらい冠水しているが、電車は徐行運転で走り続けている。急行は若干間引いているが、各駅停車は遅れているものの通常の運転間隔でやってくる。

「日本の鉄道技術は世界一」と手放しで言う人がいるが、日本の電車はこの洪水の中を走れるだろうか。日本の電車が走れないなら、なぜダメなのか、走るためには何が必要なのか、信号システムなども含めて提案できなければ、日本の鉄道技術(者)は世界一とはいえない。

筆者が車両屋の目で近郊電車を観察すると、インドの電車の洪水対策が見えてくる。まず日本では床下にある制御装置が床上に搭載されている。パンタグラフの下は機器室になっており、客室スペースを犠牲にしても必要な対策なのだろう。またモーターが車輪を駆動する方式は、古い吊り掛け式(日本の昔の茶色い国電が採用していた方式)にこだわるのも洪水と関係ありそうだ。歯車箱に水が入った場合、ギヤオイルが乳化して潤滑が損なわれるが、吊り掛け式のギヤコンパウンド(グリース)なら耐水性がある。

線路が冠水しても運転を継続できるかどうかは、信号システムも関係してくる。日本で一般的な軌道回路は、左右のレールを車輪と車軸が電気的に短絡して列車の存在を検知するが、レールが冠水した場合は誤動作する可能性がある。信号が赤になる側に誤動作するので、フェイルセーフの思想には則っているが、運転は継続できなくなる。インドで一般的なのはアクスルカウンター、ある区間に入った車軸と出た車軸の数を比較して列車の存在を検知する方法で、軌道回路よりは洪水に強い。

鉄道は土着の交通機関である。自動車や飛行機は基本設計を大幅に変更せずに外国に適応させることができるが、鉄道車両はどのような地域を走るかによって設計は根本から変わってくる。

「日本の鉄道技術は世界一ですか?」と質問されたとき、筆者は「世界一の要素技術をたくさん持っています」と答えることにしている。日本でうまくいっているからといって、その技術をそのまま外国に持ち込んでうまくいくとは限らないからだ。

日本の技術のカスタマイズが鍵
近年、日本の鉄道システムを丸ごと輸出しようという動きがある。それで成功すれば大いにけっこうだが、そのやり方が通用するのは地球上にほんの数カ所しかないだろう。システム一括輸出というやり方は日本の鉄道が進むべき王道ではないと考える。日本の技術を現地に合わせて、いかにカスタマイズできるか、現地や他国の技術と融合させて如何にシステムを構築できるか、そこに成功への鍵があると思う。

インド人へのプレゼンの場で、「日本はこの方法で成功しています」などと説明しても、彼らは聞く耳を持たない。なぜ成功したかの論理的・定量的な説明、インド国内の法規や国際規格との整合性についての説明が求められる。そして最低限インドの前例、できれば諸外国の例と比較しながら、インドの物差しで日本優位であることを論破しないかぎり、インド人は首を斜め横(OKの意思表示)に振ることはない。

ムンバイ?アーメダバード間の高速鉄道プロジェクトが円借款のSTEP案件(本邦技術活用条件)で成立したが、新幹線システムがそのまま採用されるような誤解を与える報道がある。インドが外国の鉄道システムを丸ごと採用することなど絶対にありえない。実務担当者はタフな交渉の最中だと思うが、聞き取りにくい英語で延々と持論を展開し、他人の話の途中に割って入るインド人に負けないよう、ご健闘をお祈りする。


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