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欧州情勢・西洋事情

829とはずがたり:2015/11/01(日) 23:11:10
>>828-829
だが、もっと大きな問題が頭をもたげつつある。

英国は1世紀以上もの間、国際舞台で米国の親友として振る舞ってきた。米大統領が2013年5月に、「昔から両国民を1つに結ぶ価値と信念のおかげ」で英米関係は非常に特別だと語るのを聞くまで、われわれ英国人はその重要性を誇張し過ぎているのではないかと、筆者は考えていた。

英米関係が時の試練に耐えられたようには見えない。米高官が相次いで英国の国防能力削減に遺憾の意を示し、不穏な空気が流れたという意味ではこの1年、両国関係は特別だった。3月には、米国に最低限の予告をしただけで、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を英国が西側諸国の中でいの一番に決めると、不穏な空気はとげとげしい雰囲気へと悪化した。

ある米関係筋によると、英国政府の上層部が考えを改め、中国との良好な関係を築きたいという必死のシグナルを送ろうとしているのではないかと、米国政府は現在考えている。この関係筋の言葉を借りれば、それはかなり「非英国的」なことだという。

英国人であるということは、米国の近しい友人であり、英語圏の大国同士のきずなを突如として無頓着に断ち切り、アジアに秋波を送ることではない。その意味では確かに「非英国的」である。

依然として発展途上にある大国との関係強化は大ばくちであり、中国と距離を取り始めている世界一の強国である米国を暗に敵に回すことになりかねない。米国との関係見直し論者の急先鋒は、次期英首相の有力候補とみられるオズボーン財務相だが、こうした考えには、米大統領の力が世界的に弱く見られていること、米国政治の永続的な泥沼化、そして米権力層の内向化、特に右傾化などが含まれているように思われる。

加えて、欧州連合(EU)残留の是非を問う国民投票が向こう2年以内に行われるが、その結果、離脱することになれば、中規模の国である英国には新しい大きな友人が必要となる。英国経済の成長率は約2.5%程度だが、最近の数字は減速の兆しを示しており、製造業も依然として弱いままだ。

それ故、英国の外交方針が大きく転換することは大いにあり得ることかもしれない。もしそうなれば、その影響は英国自身よりも他国の方がずっと大きい。弱体化する米国の立場を浮き彫りにし、他のEU加盟国にとっては英国が離脱する可能性を示す新たな警鐘となり、人権問題では英国の影響力が弱まるだろう。その一方で、成長率が今なお英国の約3倍とはいえ、中国経済は減速しており、同国の人権問題も依然ひどい状況にある。

また、批判的な意見からはあまり聞かれない別の可能性もある。つまりそれは、英国が欧州と米国の懸け橋になるだけでなく、中国と米国の懸け橋になるというものだ。サッチャー元首相は、旧ソ連のゴルバチョフ元大統領と米国のレーガン元大統領の間を取り持った。そのような緊密な関係が、中国を好転させる一助となる可能性がある。

21日の記者会見で、習氏は「世界には常に向上する余地がある。中国は人権問題で、英国や他の国々と一段と協力する用意がある」と述べた。

これは本心だろうか。それとも単に、自国で直面することはないであろう英国記者からの挑戦的な質問をかわす術なのだろうか。

一見すると本心らしく見えるが、そうではないだろう。だがそこには意味があり、オバマ大統領が褒めたたえた「価値と信念」を、英国が大金と引き換えに売ってはいないと願わずにはいられない。もしそうだとしたら、それはあまりにひどい取引だ。


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