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欧州情勢・西洋事情

787とはずがたり:2015/10/13(火) 11:47:36
>>785-787
 欧州の多くの国は民主主義であり、価性の多様化、男女差別の禁止などが社会規範です。イスラム教徒の中には、リベラルな人々や、世俗化している人も大勢います。私が本業のほうで付き合いのあるエンジニアや監査人、会計士などの多くはイスラム教徒ですが、大変リベラルです。しかし、イスラム教徒の中には、ヨーロッパ的な男女平等や政教分離を認めない人もいるので、地元と衝突が起きることもあります。

 例えばイギリスの場合、大学でイスラム教の人々が男女別講義を求めることが、男女差別と信教の自由を巡って議論になっています。

 男女同権や差別禁止は、国の根幹である民主主義に沿った原理原則であり、地元の人達が長年戦って勝ち取ってきた「権利」なので、信教の自由や表現の自由であっても、それをひっくり返されるような要求をされるのは困る、と考える人が大半です。

 こういう問題が起きると、訴訟問題になることもあります。問題が起こった場所が国立病院や国立大学だと、訴訟の費用は税金です。

「トロイの木馬作戦疑惑」という事件では、イギリス中部のバーミンガム市において、「公立学校でイスラム過激化思想を広めるために、校長の入れ替えを含んだ様々な作戦を企んでいる人々がいる」という密告を市役所が受けとり、教育省や、元テロ対策の長官が調査に乗り出すという事態になりました。

 調査はロンドン東部や北部などイスラム教徒が多い地域の学校にも及びます。調査の結果、校長や複数の教職員が懲戒処分を受けます。この事件により、イギリスの公立学校の監査方法は見直され、公立学校では「イギリス的価値を教育するべき」ということが基本方針として確認されました。

「The British Social Attitudes (BSA)」いう世論調査によれば、2003 年には48%の人が「イギリスにおけるイスラム化を心配している」と答えたのに対し、2013年には62%に増加しています。

 フランスの場合、歴史的な経緯があるので、公的な場や学校で宗教的な活動や習慣を原則禁止するライシテ(政教分離)というものがあります。これは国家的な原理原則なので、例えば公務員が、職場で宗教に沿った服装をしたりすると、ライシテ違反になるので、国として困ってしまうわけです。

難民の写真を眺めながら武器を売るヨーロッパ人

 ヨーロッパの人々は、建前ではシリア難民を哀れんでいます。しかし、爆撃やボートの沈没で死んだ中年男や老人の写真で、シアリア人を助けようという動きは起こりませんでした。溺死したアイラン君の写真がソーシャルメディアで拡散したことで、様々なことが動き出しました。スタズタに引き裂かれた老人の遺体や斬首動画では不十分だったのです。

 溺死写真が話題になる一方で、今年もロンドンでは世界最大の武器展示会が開催されていました。ヨーロッパ人は、ソーシャルメディアで溺死した難民の写真を眺めながら、EU域外に武器を売りさばいています。建前では平和を祈りますといっていても、武器は供給過剰なのでウクライナ、中東、アジアの紛争が悪化することを願っているわけです。

著者プロフィール
コンサルタント兼著述家
May_Roma
神奈川県生まれ。コンサルタント兼著述家。公認システム監査人(CISA) 。米国大学院で情報管理学修士、国際関係論修士取得後、ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経てロンドン在住。日米伊英在住経験。ツイッター@May_Romaでの舌鋒鋭いつぶやきにファン多数。著作に『ノマドと社畜』(朝日出版社)、『日本が世界一貧しい国である件について』(祥伝社)、『添削! 日本人英語 ―世界で通用する英文スタイルへ』(朝日出版社)など。最新刊『日本人の働き方の9割がヤバい件について』(PHP研究所)が好評発売中!


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