欧州情勢・西洋事情 - 1401097607

4813：OS5：2025/02/27(木) 17:46:37: https://news.yahoo.co.jp/articles/59699138adc4b5f2b982cbb7adf18766d6ce1fe9
右傾化・分断、鮮明に　政治空白で経済停滞　「欧州盟主」の苦境・独総選挙〔深層探訪〕
2/27(木) 7:00配信

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時事通信
２３日、ベルリンで開かれた選挙集会で演説する「ドイツのための選択肢（ＡｆＤ）」のワイデル共同党首（ＡＦＰ時事）

　ドイツで23日に投開票が行われた連邦議会（下院）選挙では、保守・極右政党が票を伸ばし、独社会の右傾化が鮮明となった。中道勢力も、保守とリベラル層が対立する分断の様相を呈している。中道保守のキリスト教民主・社会同盟（CDU・CSU）は第1党の座を奪還したものの、過半数に遠く及ばず、連立政権内の調整に手間取ることも予想される。経済や移民、安全保障で難題が山積する中、「欧州の盟主」の苦境は続きそうだ。

【写真】ドイツ・ベルリンでインタビューに応じるキリスト教民主同盟（CDU）のメルツ党首

　◇極右が不満の受け皿
　ドイツは世界3位、欧州最大の経済大国だ。しかし、ドイツの主な輸出先である中国の経済不振で自動車などの販売が低迷し、ロシアによるウクライナ侵攻後はエネルギー価格が急騰。独経済は2年連続のマイナス成長に陥った。移民の急増で、治安の悪化への懸念も高まっている。

　中道左派・社会民主党（SPD）と環境政党・緑の党を軸としたショルツ連立政権は、エネルギー危機下で脱原発を完了させ、反発を招いた。昨年11月の連立崩壊による政治空白で、経済の停滞感はさらに強まった。移民や難民による無差別的な殺傷事件が続発し、CDU・CSUのメルケル前政権が導入した外国人に対する寛容な政策も批判の的となっている。

　中道の主要政党への不満の受け皿となったのが、第2党に躍進した極右「ドイツのための選択肢（AfD）」だった。公安当局の監視対象となってきたAfDだが、SNSを駆使し、「普通の政党」として認識されるようソフト路線を進めている。トランプ米大統領の盟友である実業家イーロン・マスク氏が昨年末、AfDを支持する発言をしたことも一役買った。

　◇破られた「防火壁」
　AfDが独政界で無視できない存在となったことを印象付けたのが、難民政策の厳格化を政府に求めた1月29日の議会決議だった。SPDと緑の党が反対する中、決議はCDU・CSUとAfDの賛成で採択された。

　ドイツの中道勢力は、極右との協力を拒否する方針を「防火壁」と呼び、AfDとの連携も禁じ手と見なしてきた。AfDの賛成を前提に採決を主導したメルツCDU党首は「タブーを破った」と批判を浴びた。決議は保守層が切望していたものであり、メルツ氏はAfDとの連立を強く否定している。それでも、総選挙でCDU・CSUが伸び悩んだ一因となったことは否めない。

　1月時点の世論調査の支持率が3％で存続が危ぶまれていた東ドイツ・共産主義政党の流れをくむ左派党にとって、決議を巡る混乱はプラスとなった。同党は「極右に対する『防火壁』はわれわれだ」とアピール。AfDの躍進を警戒していた人々の一部が同党支持に流れ、23日の投開票の結果、8％以上の票を集めた。

　CDU・CSUは総選挙で勝利を収めたとはいえ、得票率は3割足らず。中道勢力をまとめて安定した政権基盤を築くことは容易ではない。政治家と有権者のコミュニケーションを研究しているベルリン自由大学のデニス・シュテファン教授は「不満を持つ人々は、伝統的な政党が解決できないなら、AfDが取り組むべきだと考えている」と指摘。新政権が失敗すれば、4年後の次回総選挙でAfDがさらに勢力を伸ばすと予測している。（ベルリン時事）