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欧州情勢・西洋事情

4697OS5:2024/09/10(火) 11:59:37
■フランスで勢力を伸ばす極右勢力を考慮

 フランスでは1997年の右派のシラク大統領と左派のジョスパン首相のコアビタシオン(保革共存)時代に治安が近年で最も悪化し、2002年の大統領選で争点化した治安問題で、移民に厳しい極右・国民戦線(現国民連合)のジャン=マリ・ルペン氏が決選投票まで勝ち進んだ過去がある。

 その後の大統領選挙のたびに極右勢力が確実に伸長しているのも、移民問題、治安問題で有権者の期待感が高まったからにほかならない。今年7月の下院選で、仮にRN潰しで右派、左派が共闘しなければ、RNは単独過半数の議席を獲得できるあと一歩に迫っていた。社会の秩序崩壊が進み、有権者には不安定化が止まらない実情に対する危機感は強まっている。

 取材をすると、「今のフランスはフランスとはいえない」「リベラル化が行きすぎ、カトリック的価値観はどこにも見られず、秩序は極端に失われている」との声が聞かれる。だからこそ、RNへの期待感も高まっている。

 今回のバルニエ氏の選出は、RNを考慮に入れた結果なのは明白だ。ルペン氏も「バルニエ政権を直ちに打倒することで制度的混乱や妨害に加担するつもりはない」と明言し、RNのバルデラ党首もバルニエ新政権を「党として検閲するつもりはない」と述べた。バルニエ氏は、すべての人の声を聞くと宣言している。

 39歳で大統領になったマクロン氏、34歳で首相になったアタル氏によって、一気に世代交代が進んだ感があったフランスだが、今回はベテラン最高齢の首相を起用し、混乱を乗り切ろうとしている。ただ、問題の本質は移民やインフレよりも、国民の間に強まった政治不信にある。

 エリート政治家が机上で決めた政策は、問題解決で成果を出せていない。政治家の言うことをまともに受け止めることはなくなり、極端でわかりやすいポピュリスト政治家のいうことがインパクトを持つようになった。ネガティブ情報は、瞬時にSNSで拡散される。バルニエ政権は、政府機関に対する不信を払拭できるかが問われている。

 今後、各政党は2027年の次期大統領選挙に向けた動きを加速させる。タフネゴシエーターとして知られるバルニエ氏が、マクロン氏の決断が招いた混乱を抜け出し、どこまで粘り強く政党間の対立を抑えて国を安定させ、直面する課題に挑戦できるか。決して楽観視はできないが、少なくとも現時点ではマクロン氏にとって追い風のように見える。

安部 雅延 :国際ジャーナリスト(フランス在住)


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