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欧州情勢・西洋事情

4144チバQ:2022/06/13(月) 22:09:03
938 チバQ 2022/06/13(月) 17:38:02
 ◇エリートで固めた陣容

 オランド氏は16年末、翌年の再選に向けた出馬を断念。オランド政権で閣僚を務めたマクロン氏が「右でも左でもない」と訴えて、政権を奪取した。そして富裕層優遇と批判されるマクロン氏に対し、低所得者層の支持を広げたのは、穏健化を進めたマリーヌ・ルペン氏率いる極右政党と、社会党からたもとを分かったジャンリュック・メランション氏の急進左派政党だった。それから5年間で社会党の衰退は加速し、その結果が、得票率1・7%に表出した。

 「結局、左派の有権者は、社会党が自分たちの代表だとは思えなくなった。エリートで固めた陣容もその一因だ」。シャネ教授は言う。

 10年前、支持者たちの期待を背負った閣僚たちの多くはすでに中央政界を去っている。エロー元首相は17年の下院選挙に立候補せず、現在は財団の会長を務める。後を継いだバルス元首相は19年にもう一つの故郷であるスペイン・バルセロナ市の市議会議員となった。34歳で政府報道官に抜てきされ、若手女性議員の星とされたバローベルカセム氏は、世論調査会社幹部に転身し、21年に地域圏議会議員となった。アジア系として注目され、39歳で入閣したフルール・ペルラン氏は現在、投資会社を経営する。シャネ教授は「労働者の目に、彼らは明らかに自分たちから遠い世界の住民として映っている」と語る。社会党が、マクロン氏へのエリート批判を追い風にできないのは明らかだ。

 ◇欧州全体でも

 そして中道左派の没落は、フランスに限った話ではない。ロンドン大学などの研究者の統計分析によると、欧州全体で中道左派政党の支持率低下が続いている。研究者らは、産業構造の変化により支持基盤である製造業労働者の人数が減ったことに加え、労働者の多くがポピュリスト政党や、極左政党の支持に回るようになったと分析する。

 仏社会党の研究が学者としての出発点となった同志社大の吉田徹教授(フランス政治)は、社会党低迷の長期的要因について、「サービス産業化やデジタル化などで労働の多様化が進み、インターネットのプラットフォームを通じて個人で仕事を請け負うウーバーイーツのような仕事も出てきた。労組など労働を通じた政治参加というモデルが成り立たなくなった」と指摘する。そして「製造業を中心とする旧来の支持基盤と、都市部のホワイトカラーとの間に引き裂かれているのは、日本の左派に通じる」と語る。

 仏社会党はどこへ向かうのか。労働者に寄り添ったジョレスの理念は、急進左派のメランション氏に受け継がれ、ジョレスの目指した政権担当能力は、中道のマクロン氏が引き継いだように見える。「社会党は母屋をすべて乗っ取られた状態」と吉田教授は言う。

 ジョレスなら、この窮状をどんなアイデアで乗り越えるのだろうか。1905年に見せた手腕で、また左派をまとめられるのだろうか。そして労働者の離れていく姿をどう見るのだろうか。カフェの壁に飾られた遺影のジョレスは、もう答えを教えてくれない。【欧州総局長・宮川裕章】


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