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欧州情勢・西洋事情

4006チバQ:2021/12/26(日) 13:00:48
 ◇「弱まる法の支配と民主主義」

 私が会ったもう一人の活動家は、LGBTの人たちによる一大イベント「ブダペスト・プライド」の組織メンバー、ビクトリア・ラドバニさん(26)だ。ラドバニさんは「オルバン氏と彼の党を動かしているのは政治的リアリズムとご都合主義です」と断じ、元々はリベラルなスタンスだったオルバン氏が、ライバル関係にある他のリベラル政党と「差をつけないといけなかった。それで彼らは右に、保守に寄り始めた」と指摘。「彼らを動かしているのは世論調査と政治戦略のみで、オルバン氏にとって重要なのは権力の座を獲得し居座り続けることだけです。世論調査が『同性婚を支持したらずっと権力の座に居続けられる』という結果となったら、明日にでも彼は(翻意して)同性婚を支持するでしょう」と推測した。

 オルバン政権は、新憲法の制定によって憲法裁判所の権限を弱めるのに成功し、政権提出の法案が通りやすくなった。また、メディア法を改正し、公共メディアの編集権を政権が事実上握る体制を作るなどして公共メディアを政権の支配下に置いた。独立系メディアの弱体化は著しく、強権支配体制が強化されている。

 ラドバニさんは「法の支配と民主主義が少しずつ、ゆっくりと、戦略的に破壊されています。そしてこの状況が少数派を攻撃する情勢を作り出しているのです。ハンガリーには独立した憲法裁も最高裁もありません。かろうじてアクセスできる独立メディアはありますが、(自由な)市民社会の領域は縮小しています」と説明し、「こういう状況は与党によるヘイトキャンペーンの展開を容易にしたと思います」と述べた。

 ラドバニさんに政権にどう対抗するか尋ねると、「最良の手段は(性的少数者の存在を)可視化することでしょう」と言う。「政府がLGBTコミュニティーを攻撃すればするほど、(性的少数者は)カミングアウトすることや自分たちのことを語ることを恐れるようになるので現状は厳しい」としながらも、できるだけ多くの人がLGBTの人たちと接触し、実情を知ることが現状打破につながると期待を込めた。

 ◇中東欧に広がる「反移民」

 「反移民」「反LGBT」の動きはハンガリーだけにとどまらない。近隣のポーランドでも、右派与党「法と正義」が同様に、移民や性的少数者を敵視する姿勢を打ち出している。移民や性的少数者への敵視へと導く何か共通のロジックが中東欧に存在するのだろうか。

 読み解くためのヒントを与えてくれたのは、以前に当コラムで欧州の移民問題を論じた際に取り上げたブルガリアの政治学者、イワン・クラステフ氏の著書「アフター・ヨーロッパ」である。

 クラステフ氏はこの中で、移民問題を21世紀における「革命」と位置づけ、自分たちの生活様式が外国人によって脅かされ、国が乗っ取られると恐れを感じる欧州の多数派市民が、一大政治勢力になったと指摘。民主主義そのものが「包摂」から「排除」の具へと変化し始めたと論じた。

 クラステフ氏は同書で、中東欧で移民に対するネガティブな感情が広がるのは、以下の3点を考慮すれば本来「奇妙」な現象だと指摘した。その3点とは▽20世紀、中東欧の人々は自分たちが海外に移り住むことにも、流入してくる移民の世話をすることにも相当な経験を有していた▽実際には中東欧に定住する難民は少ない▽冷戦崩壊後、中東欧諸国から海外に渡る人が多く、人口減が進んでいるため、中東欧諸国は経済的に外からの移民を必要としている――というものである。


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