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欧州情勢・西洋事情

3896とはずがたり:2021/09/20(月) 22:05:46
■ 衛生パス反対デモに政府や市民が驚いた理由

 この通称「衛生パス反対デモ(Manifestation Anti Passe Sanitaire)」とは、基本的にワクチンの接種証明である衛生パスのQRコードがないと、日常の様々なことが制限されるという法案に反対するデモであり、政府による衛生パスを介した市民へのコントロールや自由の縛りに断固とした拒否を示すものだ。

 「ノー衛生パス! ここは自由の国!」「マクロンの独裁的政治に反対!」「リベルテ!!」と、人々はプラカードを掲げ、叫ぶ。「リベルテ!」はデモで一番共有されるスローガンで、それは“自由を!”を意味し、政府からの一方的な命令に市民は服従しないという思いが込められている。同じ船に乗って大波に揺られようと、船長の独断的な命令に簡単には従わないのがフランス人だ。

 このデモは決して攻撃的なものではない。子供がいて、犬がいて、音楽があり、会話のある、自由なフランスを守りたいという前向きな行進だ。この法案導入に怒り、「リベルテ!」と声がかれるまで叫び続ける人も少なくない。それは心の奥底から湧き上がり抑えきれずに叫びとなった懇願だ。

 自由な国だからこそ20年以上この国に住む私が初めてこのデモに参加すると決めた前日、「できるだけ白い服装で来てくださいね、白い服は平和の象徴ですから」と、先輩の参加者が伝えてくれたその言葉は、まさにデモに参加する人々皆が持つスピリットであることを、私は翌日実感する。

 今回の衛生パス導入反対デモが政府と市民を驚かせたのは、参加者の莫大な数だけではなかった。あらゆる年齢、職業、社会階級の人々が同じ思いで混ざり合っていたのだ。

 学者、知識人、化学者、起業家、教師、警官、看護婦、主婦、販売員、清掃員、受付員、学生、スポーツマン、ミュージシャン、エンジニア、イエローベスト運動の参加者、失業者・・・。スーツスタイルのムッシューと、ガレージから出てきたようなティーシャツの男性と、優雅なワンピースを着たマダムと、ビーチサンダルを履いたヒッピー風の女の子が、肩を並べて行進する。

 なにしろ、このデモには組織や団体が存在しない。各々がソーシャルネットワークやメディアを介して開催を知り、一人の人間として自由意志で参加している。リーダーもいない。誰もが同じ立場で、同じ力を持って、自由を訴え、政府に立ち向かっている。

 職業によっては自由を叫ぶだけではなく、化学者や医師であればコロナ撲滅に対する今回の措置の有効性に疑問を呈し、弁護士や知識人であれば法的な視点でのこの措置の不当性を、デモを舞台に政府に投げかける。

 時々、国歌のラ・マルセイエーズの合唱がどこからともなく始まり、感極まる人もいる。国は政府のものではなく国民のものである、という思いを新たにする人々。この国の人たちには何百年も前の市民革命が深く刻まれていることを、私は実感せずにはいられない。

■ ワクチンを打たざるを得ない状況に追い込む手口

 この衛生パスは実際、ワクチン2回接種の証明のみならず、コロナ回復証明、72時間以内の鼻腔の粘膜によるコロナ検査の陰性証明も含まれる。証明は医療機関と繋がったネットシステムからQRコードとなって手元に届き、それに対応するアンチコロナ点検アプリケーションが施設の入り口で「ピッ!」と音を鳴らして、人々の入場を許可する。

 7月21日以降、文化、スポーツ、展示会、集会、パーティなど50人以上が集まる場所で衛生パスが必要になった。8月9日以降は、病院(救急を除き)、バー、レストラン、大型商業施設、長距離の公共交通機関等などが追加された。

 フランス映画館協会は「長期にわたり閉館を強いられ、やっと再開できると思ったらパスが必要なんて」と法の導入に肩を落とした。大型商業施設組合は衛生パス導入後、売り上げが減少したことを受けて、パスの対象除外を政府に申し立てた(9月7日から一部除外に)。とりあえずの対応として、商業施設の入り口に「15分で結果が分かるコロナ検査テント」を設けている。

 また、8月30日からは人と接する場で働く約180万人の従業員(病院や公共施設等に従事する者)に衛生パスの保持が申し渡された。


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