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欧州情勢・西洋事情

3408チバQ:2020/01/28(火) 12:00:24
 フィヌケーン氏は私のインタビューに対し、この選挙について「党派政治を超えた選挙だ。北アイルランドの人々は離脱に票を投じてはいない。(離脱強硬派の)DUPを代弁者としないユニオニストも数多くいる。我々のメッセージはよく受け入れられている」と述べた。これまでずっと続いてきた「ユニオニスト対ナショナリスト」の構図での選挙ではなく、あくまでブレグジットの是非を問う「離脱対残留」の選挙であり、ユニオニストも含めて自身が残留支持者の票の受け皿になり得るとアピールした。宗教の垣根を越えられるとの主張だ。

 ◇高い宗教の「垣根」

 では、実際に結構な数のユニオニストがフィヌケーン氏に投票しただろうか。私はその可能性は低いと思っている。私が話を聞いた限り、プロテスタント住民、ユニオニストでフィヌケーン氏に票を入れる意向を示した人は皆無だったからだ。真意を隠すこともあり得るが、実際に話をした人たちは皆一様に否定的だった。ちゅうちょしたり話すのをためらったりするようなそぶりはなかった。

 まず、ユニオニストの人たちは前提として離脱支持が多く、彼らがDUPの現職に投じる意向を示すのはいたって自然だ。一方、確かにプロテスタントの人の中にもEU残留支持者はいた。プロテスタントで50代ぐらいの男性は「EUの大きな(単一)市場にいた方が良いと思うので残留支持。自分は労働者階級なので左派を支持しており(右派で離脱支持の)DUPには入れない」とは言ったものの、シン・フェイン党に入れる選択肢はないようで「投票には行かない」と話した。

 シン・フェイン党は元々、紛争時にプロテスタント側、英国当局と激しい抗争を繰り返したカトリック過激派武装組織「アイルランド共和軍(IRA)」の政治部門だった。武装解除と和平、和解が進んだが、紛争時の記憶から今もシン・フェイン党に対してマイナスイメージを持つ人はカトリックにもいる。

 「この通りはユニオニスト」「この区画はナショナリスト」と、街中は今も細かな「住み分け」が成立している。ユニオニスト住民の多い通りの建物には、過去のIRAのテロを非難し、シン・フェイン党にも批判の目を向ける文章や壁画などが描かれている。

 選挙戦中にはユニオニストの多い地域で、フィヌケーン候補とその家族を中傷するような落書きも描かれ、問題となった。クイーンズ大学ベルファストの政治学者、デビッド・フィネモア教授は、選挙を巡る私の問いに対し、「多くのユニオニストにとって重要なのはユニオニストの議席の維持だ」と述べて、宗教の垣根を越えた投票行動には否定的な見解を示した。

 ユニオニストとカトリックの断絶が今も深く、宗教の垣根を越える投票行動が容易でないとすれば、フィヌケーン氏の勝因は何だろう。今回の選挙戦がこれまでと違ったのは、ベルファスト北選挙区で候補者を立ててきたナショナリスト穏健派のSDLPが候補者を擁立しなかったことだ。SDLPの北アイルランド議会議員、ニコラ・マロン氏は私に「EU残留を支持する人々の票を最大化する必要がある。離脱とボリス・ジョンソン(首相)に対抗する議員をできるだけ多く下院に送る必要がある」と述べた。

 SDLP候補が前回17年の総選挙で獲得したのは約2000票。その際もドッズ氏とフィヌケーン氏が争い、このときはドッズ氏が約2000票差で勝った。今回の選挙では逆に約2000票差でフィヌケーン氏がドッズ氏を降した。これだけが原因とは言えないが、SDLPの候補擁立断念によってナショナリストの票がフィヌケーン氏に流れたことは大きな追い風になったろう。


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