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欧州情勢・西洋事情

3391チバQ:2019/12/29(日) 00:31:33
確かに、保守党は変わった。16年の国民投票のころ、党中枢はEU残留志向だった。ところが、国民投票で離脱が決まり、離脱を政策として進める中で、傍流だった離脱派議員が次第に前面に出てきた。それでもメイ前政権のときは、親EU派・穏健派が閣内にもいたが、ジョンソン政権になって、政府に反旗を翻した穏健派が除名されるなどして党全体が中道から保守派寄りに大きくシフトした。セベスチェン氏の指摘も無理からぬ面がある。

 面白いのは、トゥームズ氏が先述したサンデー・テレグラフの論考で、セベスチェン氏の捉え方とは逆に、選挙に勝利した保守党が極右などの台頭を防ぐ存在になり得ると指摘していることだ。トゥームズ氏は、労働者らの支持を集めた保守党政権によって、ジョンソン氏がこれまで持論として主張してきた「ワンネーション保守主義」が推進されることに強い期待感を示す。

 ワンネーション保守主義は、19世紀後半に首相を務めたベンジャミン・ディズレーリ(1804〜1881年)が源とされる。従来、富裕層や地主層を地盤としてきた保守党が、ディズレーリによる公衆衛生の推進や労働者らの住宅改善などのリベラル政策の実践によって、中道からさらに左にまでウイングを伸ばし、改革的保守主義とも言える新たな「トーリー(保守党の前身)・デモクラシー」を打ち立てた、その基となる考え方を指す。

 ワンネーション保守主義は、優勝劣敗の過酷な自由主義にくみしない。ディズレーリは、英国内の富裕層と貧困層の「分断」の深刻さについて、あたかも「二つのネーション」が存在しているかのようだと指摘し、分断解消の必要性を唱えた。そういう意味で、弱者にも優しく「国を一つにする」ことを目指す保守主義と言える。

 確かにジョンソン氏は選挙中、ブレグジットに早く決着をつけ国家医療制度(NHS)の改善など喫緊の課題に全力で取り組みたいとの意向を重ねて強調してきた。選挙直後には、離脱派と残留派の対立に終止符を打ち、和解を進めようとも国民向け演説で訴えた。

 ただ、ジョンソン氏が本当に中道と左側を包み込むようにして政策を進めるつもりがあるのか、これまで数多くの筆禍・舌禍で世間を騒がせてきた人物だけに、今ひとつ信を置きにくいのもまた事実である。「真のボリス・ジョンソン:ワンネーション保守かひどいポピュリストか?」(14日掲載のガーディアン紙電子版の見出し)。ジョンソン氏が今後何をして、どんな歴史的評価が下るのか。まだ誰にも分からない。


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