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欧州情勢・西洋事情

2533チバQ:2018/02/28(水) 18:00:18
https://mainichi.jp/articles/20180217/ddm/007/030/161000c
終わらぬ憎悪
コソボ独立10年/1 「英雄裁くな」与党抵抗 強まる民族主義に欧米警告
毎日新聞2018年2月17日 東京朝刊
 「特別法廷はアルバニア系を狙い撃ちにしている!」。旧ユーゴのコソボで昨年12月、与党議員が次々に不満の声を上げた。セルビアからの独立闘争だったコソボ紛争時の戦争犯罪を裁く特別法廷が、コソボの多数派であるアルバニア系住民を標的にしていると言うのだ。議員43人は同法廷を廃止する法案を国会に提出。欧米諸国を驚かせた。

 欧州の人権問題に取り組む欧州評議会は2011年の報告書で、コソボ解放軍(KLA)がセルビア系の捕虜を虐殺して臓器を取り出し、密輸組織に売却していたなどの疑惑を指摘。欧州連合(EU)の捜査官も14年に「疑惑がおおむね裏付けられた」と発表し、15年にコソボ政府側と協議したうえで法廷を設置した。

 捜査は順調に進み、地元メディアは昨年12月、今年2月中旬にも最初の起訴が行われ、起訴対象者が多数にのぼると見通しを報道。対象者の中には、KLAの幹部だったサチ大統領やハラディナイ首相らの名前も含まれていた。与党議員が法廷廃止法案を持ち出したのは、このころだ。

 国民の多くは特別法廷に不快感を示す。「紛争の被害者なのに不当に扱われている」と感じるからだ。地元NGOによると、コソボ紛争での死者・行方不明者はアルバニア系住民が約1万人で、セルビア系住民は2000人。特別法廷以前にも、国連の旧ユーゴ国際戦犯法廷などでコソボ紛争時の犯罪を巡り、セルビア系の大物戦犯が裁かれたことはある。だが、「実行犯の多くは訴追されていない」という不満がアルバニア系にはくすぶっている。そこに持ち上がった「独立の英雄たち(=KLA)」を被告とする法廷。「なぜアルバニア系だけが裁かれるのか」(廃止法案の提出者のナイト・ハサニ議員)というわけだ。

 欧米各国は地域安定のため、セルビアとコソボの和解を進めたい。だが、報告書で戦争犯罪容疑が明らかになった以上、これに目をつぶることはできない。米国のデラウィ駐コソボ大使は今年1月、法廷の廃止法案が可決されれば「厳しい結果が待つだろう」と声明で警告。関係者によると、1月にはハラディナイ氏に対し、米国が入国ビザを発給しない事態となった。「ビザ発給停止は、このままいけば支援を全て停止するという米国の強い姿勢の表れだ」。専門家は米国の意向を解説する。

 コソボ紛争時、北大西洋条約機構(NATO)によるセルビア空爆を主導し、独立の後ろ盾となった米国にコソボが逆らうのは難しく、サチ氏も欧米の意向に協力する姿勢をにじませる。だが、いったん「反セルビア感情」に火がついた議員たちは国会で法案審議をやめる気配はない。「コソボはいまだに国際社会との約束すら守れない未熟な国家だ」。地元紙コハ・ディトーレのアグロン・バイラミ編集局長は今も乗り越えられない「民族対立」を目の当たりにし、こうため息をついた。

    ◇

 コソボが独立宣言してから17日で10年。紛争と紛争を生んだ民族間の憎悪を引きずり、国としての歩みは思い通りに進んでいない。欧州で「最も新しい国家」の現状を追った。【プリシュティナ三木幸治】=つづく

 ■ことば

コソボ
 セルビアの自治州だったコソボは面積が岐阜県とほぼ同じで、人口は約180万人。首都はプリシュティナ。民族別ではイスラム教徒中心のアルバニア系住民が92%、キリスト教徒中心のセルビア系住民が5%。コソボ紛争は、アルバニア系が独立を目指してセルビア系と戦った。武力衝突が激化した1999年、北大西洋条約機構(NATO)軍がセルビア側を空爆し、セルビア軍がコソボから撤退した。コソボは国連の暫定統治下に置かれた後、2008年に一方的に独立を宣言した。


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