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欧州情勢・西洋事情

2197とはずがたり:2017/06/27(火) 14:39:46
>>2196-2197
筆者のこうした評価が正しければ、メイ首相が主導してきた「ハード・ブレグジット(強硬なEU離脱)どころか、合意なしのEU離脱も辞さず」との路線は、次の英首相が誰になったとしても維持することはできないだろう。次の政権はバラバラになった国内の意見をまとめた上で、対外関係も立て直さなければならない。

今のところ、メイ首相が続投の意欲を示しており、北アイルランドのプロテスタント系民主統一党(DUP)との連立協議を進め、すでに組閣にも着手している。ただし、党内では当然、責任論がくすぶる。DUPがEU離脱に前向きとはいえ、実際に連立政権を樹立するとなれば、保守党の掲げた公約の修正は必至で、その際に責任論が表面化するリスクもある。

連立政権の樹立後も、DUPの10議席では、改選前に保守党が有していた330議席には届かない。その程度の議席で国内をまとめつつ、EUとの交渉を乗り切るのは困難に思える。一部で報じられているように、DUPが連立政権ではなく、閣外協力にとどまるとすれば困難はさらに大きくなるだろう。

<英選挙結果はEU再団結のチャンス>

EUはすでに英国に対し、離脱交渉に着手する条件として、未払い分担金などの支払いを要求している。英国がその要求を拒否したことで、離脱交渉は最初から暗礁に乗り上げている。EUは、マクロン仏大統領の誕生でドイツとフランスを両輪とした協力関係を強化しており、域内の足並みをそろえるためにも、英国の「いいとこ取り」を許すとは考えにくい。

保守党がDUPと連立政権を樹立したとしても、EUへの大幅譲歩や再総選挙、EU離脱の修正・撤回など、党の存立に関わる政策変更を余儀なくされるリスクは残る。こうしたことが明らかになれば、保守党内から政権樹立にこだわるべきではないとの意見やメイ首相の退陣を求める声が強まるだろう。

そうなると、今回はとりあえず様子見に転じている第2党の労働党を中心とした政権の樹立が現実味を帯びる。しかし、労働党も、前回2015年選挙比で30議席を増やしたとはいえ、過半数には遠く及ばない(獲得議席は262)。労働党内からは少数派政権の樹立を目指すとの声も出ている模様だが、その際の政権運営は保守党政権にも増して前途多難となるだろう。

昨年6月の英国民投票に際し、EU離脱に対する反対運動に消極的だったコービン党首への不信が党内外に残るのも不安材料だ。コービン党首の下で労働党が政権に就いたとしても、安定して政権を運営できるまでの道のりは、決して平坦ではなさそうだ。

今回の総選挙は、EUからの離脱決定で自由を手にしたとみられた英国に、その代償の大きさを思い知らせる最初の大きな出来事になったと筆者はみている。そうした意味で、英国内に勝者はいない。あえて勝者をあげるとすれば、まさに離脱の代償を加盟国に示す必要があったEUだろう。それをけん引するドイツとフランスにとっては、域内の協力を強化し、英国離脱後のEUを輝かしくみせるための時間を稼ぐことができたといえる。

英総選挙は、同国の離脱方針決定で混乱していたEUが団結を取り戻すためのチャンスを与えたと筆者は評価している。

*嶋津洋樹氏は、1998年に三和銀行へ入行後、シンクタンク、証券会社へ出向。その後、みずほ証券、BNPパリバアセットマネジメントなどを経て2016年より現職。エコノミスト、ストラテジスト、ポートフォリオマネジャーとしての経験を活かし、経済、金融市場、政治の分析に携わる。共著に「アベノミクスは進化する」(中央経済社)

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)


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