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欧州情勢・西洋事情

2170とはずがたり:2017/06/20(火) 08:06:05
>>2169-2170
 サノフィの時価総額は約1070億ユーロ(約13.3兆円)と、欧州の製薬会社ではロシュ、ノバルティス(ともにスイス)に次い3位、EU域内企業では最大だ。遺伝子組み換え種子の首位、米モンサントの買収で注目を集めたバイエルより株式市場の評価は高い。ブランディクール氏はM&Aに意欲的で業界再編の台風の目とみられている。

 ただし、フランスに勢いがあった00年前半と比べ独仏の経済力の差は開いてしまった。フランス経済の回復が遅れ、「ドイツ1強」が常態化。ギリシャ危機、難民危機などでEUの信任が揺らいだ。この時期に独仏間の大型M&Aも目立たなくなった。

■「感傷より欧州企業を考える」

 両国間の大型再編の沈黙を破ったPSAのタバレス氏の決断は転換点になりうる。PSAは傘下に「プジョー」「シトロエン」「オペル」などを抱える一大勢力を形成。プジョーは自動車メーカーとして約200年の歴史がある。かたやオペルは20世紀前半に独国内のシェアで3割近くの首位だった名門ブランド。今もファンは多い。「オペルがPSAに買われて感傷的になるドイツ人もいるだろう。だが今は欧州全体を考える時代だ」。独IT(情報技術)企業のある取締役は3月上旬、こう漏らした。

 タバレス氏はPSAを黒字に転換させたコスト管理の能力に加え、新分野での発想も柔軟。世界各地で若者を中心に車離れが進むなか、「シェアリングエコノミー」の時代にあわせた新ブランドを立ち上げた。サノフィに似たフランス側主導の「仏独枢軸」で、日独米の競合や米IT大手などとの競争に挑む。

 エネルギー業界でも新たなうねりがある。仏エンジーと独RWEが相互に株式を持ち合う構想だ。EUでは電力・ガス市場の自由化を経て、エネルギー単一市場の計画が進む。仏独のエネルギーの巨人が手を携え、欧州域外のビジネスを強化するとみられる。

 仏独などで大型選挙がある17年は年初にEU統合の分水嶺といわれた。結局、仏大統領選でEU支持を訴えたマクロン氏が勝ち、与党が多数派を獲得。マクロン氏は当選後すぐにメルケル氏と会談し、両国の蜜月をアピールした。9月に独で控える連邦議会選では、メルケル氏の与党が優位とされる。EU懐疑論はいったん後退しそうな雰囲気だ。

 欧州大陸では、伝統的にアングロサクソンの流儀に異を唱える向きは多い。米国では保護主義的なトランプ大統領のもとでの混乱が続き、英国は政権が弱体化したメイ首相のもとでEU離脱の交渉を進める。欧州からもう一度アンチテーゼを示す好機でもある。

 もっとも外部環境をみれば、アップル、グーグルなど米IT大手が各地で存在感を増し、中国企業は欧州の伝統企業の買収に動く。欧州の産業界が、従業員などステークホルダーにEU統合深化の利点を示すことができるか。かつてのユーロフォリア(欧州統合の陶酔感)が望めないなか、「新・独仏枢軸」時代を実のあるものにするには、政治家だけでなく経営者の決断も試される。
(加藤貴行)


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