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欧州情勢・西洋事情

2059とはずがたり:2017/05/26(金) 12:08:32
>>2058
陸軍ヘリはポンコツばかり
実はドイツ連邦軍の軍備不足は深刻だ。東西ドイツ統一前の1989年、西ドイツ政府(当時)の国防費はGDP(国内総生産)比2.7%だったが、2000年になるとGDP比1.4%まで低下し、長年その状態が続いた。2013年から2016年までの国防費はGDP比1.2%止まりで、NATOが目標値とする2%には遠く及ばない。ドイツ連邦軍総監は、2014年に連邦議会に提出した報告書で悲惨な現状を綴った。なんと海軍が保有するヘリコプターのほとんどは使いものにならず、陸軍も64機のヘリコプターのうち18機しか動かなかった。冷戦時代に37万人を擁した兵力も、昨年夏の時点で17万6015人まで減った。

その後はやや持ち直し、常勤の兵士数が17万8000人以上になった。独政府は昨年の防衛予算を前年比で4.2%増加させ、今年はさらに8%増となる見通しだ。それでもドイツの軍事力はフランスやイギリスに追いつかない。しかもドイツで防衛費を増やすとなれば、軍事大国となった20世紀に2度戦争を仕掛けて敗れた反省から、国民の間で大論争になるのは必須だ。欧州の小国から軍事大国のアメリカまで、NATO加盟国はドイツが世界レベルでもっと大きな軍事的役割を果たすよう促している。だがシグマール・ガブリエル独外相は、ドイツがGDP比2%というNATOが掲げる目標値に到達するという発想自体「まったく現実的でない」と一蹴した。

まだドイツには、同盟国が期待するほど軍事力を拡大する政治的な意思がないのかもしれない。それでもドイツは2013年から、ドイツ連邦軍と小国の部隊統合に取り組んできた。ドイツの狙いは、連邦軍の軍備などを供与する見返りに、ドイツも相手国の部隊を利用できるようにすること。小国である相手国にとっても、ドイツの軍事力拡大という政治的に微妙な問題を回避しつつ、ドイツが欧州の安全保障により深く関与する道筋をつけられるメリットがある。

「このイニシアチブは、欧州独自の軍事力を確立する試金石になる」とマサラは指摘する。「イギリスとフランスには、欧州の安全保障を主導する余力がない」からだ。イギリスはEU離脱で加盟国との間に軋轢を生んだし、フランスも軍事大国とはいえ、NATO域内の多国間連携にはいつも及び腰だ。「だから残るはドイツだ」とマサラは言う。

運用面でも、兵士が常時任務にあたる部隊の方が、臨時的に寄せ集めた多国籍部隊より使い勝手がいい。さらに相手国にとって決定的に重要なのは、部隊統合で自国の軍事力を増強できること。しかも万一ドイツがそうした部隊の実戦配備を決めても、相手国の合意がなければ実行できないことになっている。

ドイツは1945年以降、独自の国外派兵に異常なほど慎重で、連邦軍のNATO域外派兵は長年タブーだった。ドイツの相手国は、このイニシアチブを突破口にしてドイツが欧州の安全保障に一層の責任を果たすよう望んでいる。今のところ本格的なEU軍にはほど遠いが、今後は規模が拡大しそうだ。

潰れかけた戦車部隊を救う
ドイツと統合部隊を結成した諸小国は、その効果や恩恵をしきりに宣伝している。ルーマニアやチェコは、自国の軍隊をドイツ軍と同水準まで底上げすることができる。オランダは、潰れかけていた戦車部隊の立て直しにつながった。(オランダ政府は財政難のため2011年に戦車をすべて売却した。だが現在、ドイツの第1装甲師団と統合してドイツ西部オルデンブルグに駐留するオランダ軍の第43機械化旅団は、今後オランダ軍部隊として派兵される際にはドイツ軍の戦車を借りられる)。

オランダの第43機械化旅団の指揮官アンソニー・リューベリング大佐によれば、部隊統合でほとんど問題は生じなかった。「ドイツ連邦軍は総勢18万人に上る兵力を擁するが、だからといって我々を弱者のように扱わない」という。彼は今後益々多くの国がドイツ軍との部隊統合に舵を切ると見込んでいる。

ドイツ連邦軍にも意中の候補国がいくつかあると、ドイツの候補国リストを閲覧したことがあるノルウェー防衛研究所のロビン・アラーズ准教授は指摘する。マサラによれば、ドイツが次に部隊統合する最有力候補に挙がりそうなのは、すでにドイツ製の武器を大量に購入している北欧諸国だ。

今のところ、ドイツの統合軍構想は地味で限定的なイメージが功を奏し、オランダやルーマニアの軍がドイツ師団と統合しても、欧州内で反対する声はほとんど聞かれない。今後参加国が増えれば政治的な反動に見舞われる可能性はあるが、見通しははっきりしない。

政治以外でこのイニシアチブの真の価値が試されるのは、統合部隊が実戦で機能するかどうかだ。1番やっかいな問題は、統合部隊が意思疎通に使う共通言語を何にするかということ。兵士たちは互いの国の言語を習得すべきなのか。小国の兵士がドイツ語で話すべきなのか。愛国心もあり、意外と難しい問題だ。間を取って、英語が共通語になりそうな部隊もあるという。。

(翻訳:ガリレオ/河原里香)
From Foreign Policy Magazine


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