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欧州情勢・西洋事情

1808とはずがたり:2017/03/10(金) 19:59:41
>>1807-1808
1995年から2007年まで大統領を務めたジャック・シラク氏は、パリ市長時代に自党の資金調達のために公金を横領したとして、2011年に執行猶予付き禁錮2年の有罪判決を受けている。シラク氏は「記憶障害」を理由に出廷しなかったが、声明のなかで、有罪判決に断固として抗議すると述べつつ、新たな公判に耐える「必要な体力」がないため、控訴しないと表明した。

フィヨン氏が首相として仕えたサルコジ大統領も、任期を通じてスキャンダルに囲まれていた。その1つが、1994年のパキスタン向けの潜水艦売却の際に、彼の側近と盟友がリベートを得ていたという疑惑だ(サルコジ氏はこうした主張を否定している)。

サルコジ氏自身にもっと近いものとしては、フランスで最も富裕な女性である仏大手化粧品会社「ロレアル」創業者の娘、リリアンヌ・ベタンクール氏(彼女自身も大規模な脱税を告発されている)から違法な資金を受けていたという疑惑がある。この複雑な問題を暴露したのは、執念深いニュースメディア、調査報道サイトのメディアパールだ。

そして昨年、大統領選挙への再度の出馬を準備していたサルコジ氏は、「選挙資金の法定上限を超過した候補者の選挙運動のための違法な資金調達の疑い」で捜査を受けた。サルコジ氏は選挙資金枠の超過については知らなかったと否定している。

サルコジ氏の後任となった社会党の現職オランド大統領は、こうした相次ぐ政治腐敗疑惑とは縁を切ったように見える。彼のスキャンダルは女性関係だが、政界有力者のプライバシーは不問にするという報道界のしきたりに反して、トップ紙面で大きく書きたてられている。

だが、オランド政権の閣僚のなかには金銭面で禁欲的ではなかった者もいる。大統領就任後まもなく、ジェローム・カユザック予算相は、メディアパールによる報道を否定したものの、スイスの銀行口座を利用して60万ユーロ(当時の為替レートで77万5000ドル)を保有していたことを告白した。また、違法ではなくダメージも少なかったが軽率な例としては、オランド大統領の友人で選挙陣営の金庫番だったジャンジャック・オージエ氏が、ケイマン諸島に籍を置くオフショア事業に投資していたことが暴露されている。

こうした状況は改善されるのだろうか。

まず、初回投票に関する世論調査で現在首位に立っている極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペン党首は、欧州議会の予算から30万ユーロ以上を自党職員の給与として不正に使っていたとして欧州連合(EU)の不正監視当局による告発を受けている。同氏は返納するつもりはないとしており、世論調査ではこの問題による人気の低下はないようだ。彼女の支持者も、本人同様にEUを嫌っているからだろう。

フィヨン氏に代ってルペン党首の有力な対抗馬として浮上したのが、元社会党で経済相を経験した39歳のエマニュエル・マクロン氏だ。マクロン氏は中道の新党「アン・マルシュ(進め)」を創設。ロスチャイルド系の投資銀行に勤務していた経歴は人気の点ではマイナスだが、メディアからの評価は高く、金銭的なスキャンダルの気配はない。

ルペン党首を支持しているのは、政治腐敗に憤る、多くの場合、労働者階級の有権者だ。マクロン氏の主要な支持層は、国際派で高学歴の中流層で、もはや肩をすくめて「そういうものだ」で済ますつもりのない、マクロン氏と同年代か、さらに若い人々だ。カナール・アンシェネやメディアパールに限らず、フランスのジャーナリズムは、政治腐敗スキャンダルをこれまで以上に活発に報道している。

今のところ、5月に行なわれる2回目の決選投票ではマクロン氏勝利の公算が高くなっている。スキャンダルで足を引っ張られそうになく、汚点のない新党を持ち、これ以上冷笑主義に徹するつもりのない国に支えられることで、マクロン氏はフランスの政治文化を変えようと試みるかもしれない。

だが、それは時間のかかる仕事だ。日常茶飯事になってしまった政治腐敗は、しつこく生き延びるものなのだ。


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