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欧州情勢・西洋事情

1521とはずがたり:2016/10/22(土) 23:04:23
コリン・ジョイス
Edge of Europe
タブーだった「嘘」という言葉をばらまき始めたイギリス人
http://www.newsweekjapan.jp/joyce/2016/10/post-115.php
2016年10月20日(木)18時40分

 それでも今になって、僕は分からなくなってきた。ブレグジット(イギリスのEU離脱)の是非を問う国民投票を前にした議論は、通常より厄介なものだった。「離脱派」は外国人嫌いで偏見があり、偏狭な人々だと言われてきた。一方で「残留派」は、非愛国的で傲慢な都市部のエリート層だと批判され続けている。こうした非難の応酬はほとんどが一般市民の間で飛び交っているものだけれど、どうやらある程度、政界指導者たちにまで逆流しているように見える。

 何より顕著なのが、多くの人々が「嘘」という言葉を語り始めたことだ。

【参考記事】英EU離脱の「勝者」はニューヨーク

 これまで、少なくとも政治関係者やコメンテーターなど公的な立場にいる人は、この言葉は使わないのがある種のエチケットだった。だから「嘘」という言葉を耳にすることはほとんどなかったが、かろうじて許される婉曲表現はいくつかあった。たとえば、誰かが「ミスリーディングしている」とか、「事実を誤って伝えている」とか。さらに強調したい場合は「きわめてミスリーディングしている」という言い方もありだ。

 もっと重要なことだが、誰かを「嘘つき」と呼ぶことなど絶対に避けなければならなかった。これはかなり直接的な非難の言葉だからだ。ある人が「真実でないことや一部真実でないことを広めている」とか、「真実をあいまいにしている」などという言い方なら耳にしたかもしれない。一時期よく使われたのは、「真実を出し惜しみしている」という表現だ。意図的に不明瞭にして真実を隠している場合は「逃げ口上」と表現された。

品性を疑われる言葉だったのに
 つまり、こうした言い回しがすべて人々に理解されていたのだ。「嘘つき」「嘘をついている」「嘘だ」などという言葉を使わなくても、言いたいことがきちんと伝わった。そうすることで、自分たちの政治は良識的だ、との理屈を守ることができた。僕たちは政策を議論しているのであって、意見が対立する人を人格攻撃しているわけではないのだ、と。

「嘘」という言葉は、最も極端な状況で爆弾のように投下するために「とっておく」ものだった。この言葉を気安く、あるいは日常的に使う人は、品性を疑われたり軽蔑されたりしたものだった。

 ところが最近は「嘘」とか「嘘つき」という言葉がやたらと使われるのを耳にするようになった。それはまるで、大きな利害がかかっているときや、苦境に立たされていると感じるときには、この過激な言葉を使う資格があるのだと、人々が考えているようにみえる。

 一部の残留派はブレグジットの決定を受け入れることができず、離脱派がキャンペーンで吹聴した「嘘」を指摘している。「離脱派が勝てたのは、彼らが嘘をつき、だまされやすい人々がそれを信じたからにすぎない。だから国民投票の結果は正当なものではない」という論理だ。

 実際には、残留派も離脱派も事実を誇張していた。たとえ国民投票で反対に残留の結論が出ていたとしても、強硬な離脱派が同様に相手をうそつき呼ばわりしていたのではないだろうか。

 労働党のジェレミー・コービン党首の支持者たちからも、「嘘」という言葉がよく飛び出していたように思える。労働党議員のほぼ全員がコービンを批判し、党内で見苦しい権力闘争が起こっていたさなかのことだ。

 そうではないことを願うが、僕たちは既に一線を越えてしまったのかもしれない。


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