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欧州情勢・西洋事情

1430とはずがたり:2016/08/29(月) 01:25:50
>>1429-1430
 2009年、当時のサルコジ大統領は「ブルカはフランスの価値観に合わず、女性の屈服の印である」として、ブルカ禁止法案を提出(目だけを出すニカブも含む)。それが絶対的多数で認められ、学校など公共の場でのブルカ・ニカブの着用が全面的に禁止された(2011年4月から施行)。

 オランダでもすでにこれらは禁止されており、実はドイツやスペインでも現在、公共の場での禁止が検討されている。

対イスラム強硬姿勢が受けるワケ
 裁判所や役所、車の運転中、あるいは学校で顔を隠してはいけないというのはわかる。今のフランスがイスラムテロに神経質になっているのもわかる。だから、公共の場で顔を隠すことに制限をかけるのには一理ある。

 しかし、浜辺のブルキニ女性は顔を隠しているわけではない。浜辺からブルキニ女性を追い出して、どんな効果があるというのだろう? 
 さらにわからないのは、女性蔑視との関係だ。だいたい、本当に抑圧されている女性がブルキニを着て泳ぎに来るだろうか? 抑圧されていた女性が、顔を出せば解放されるわけでもなし、そう主張すること自体が傲慢だ。

 そもそも、今、ブルキニを着て海岸にいる女性など、ものすごく少数でしかない。これから泳ごうと思ってブルキニを奮発した女性も、もう、怖くて海辺には行けないだろう。

 ニースやカンヌというのは、アラブ富豪の集まる場所としてつとに有名だ。超高級ホテルは、サウジアラビアやアラブ首長国連邦の富豪が落としてくれるお金で年中潤っている。

 その一方で、ニースの公共の浜辺では、先週、警察が3人のブルキニ女性に警告を促したという。注意されたうちの一人はブルキニを脱いで泳ぎに行き、2人は帰った。富豪はプライベートビーチで自由に振る舞い、公共の浜辺ではブルキニ禁止で、38ユーロの違反金? 何だかおかしくないか? 
 フランスは政教分離を重視し、公共の場から宗教を象徴するものを排除するという国策を取ってきたが、それは元はと言えば、この国のカトリックやプロテスタントの政治への影響力が強すぎたからだった。現在のイスラム排除の動きとは別の話だ。

 テロの頻発しているフランスでは、現在、対イスラム強硬姿勢が国民受けする。それはドイツでも同じだ。どちらの国も右派政党が伸びており、それを阻止するためには、今の与党自らが対イスラムを掲げなくてはならなくなっている。フランスもドイツも、来年は総選挙だ。

 ただ、政治のこういう動きは、新たなイスラムテロにつながる可能性が高い。そうなれば、犠牲になるのはまた国民だ。

 そんななか、イタリアのフィレンツェのあるイスラムのイマームが、先週、自分のフェイスブックに、1枚の写真をコメントなしでポスティングした。カトリックの尼さんが8人ほど、グレーの尼僧服に身を包んだまま楽しそうに浜辺で水遊びをしている写真だ。

 ほのぼのとした写真。あっという間に拡散したのは、これがブルキニ遊泳禁止の理不尽さを余すところなく表していたからだろう。

 多くのイスラム教徒たちは、もう何年もヨーロッパで暮らしている。そんな彼らは、今あちこちで起こっているイスラム排斥の動きをどんな気持ちで眺めているのだろう。

 女性蔑視、反民主主義、テロリスト……。この写真は、そんな謂れなき非難に晒された彼らの冷めた視線がひしひしと伝わってくる見事な1枚であった。

 著者: 川口マーン惠美
『ヨーロッパから民主主義が消える』
(PHP新書、税込み864円)
押し寄せる難民、繰り返されるテロ、そして甦る国境……。日本人がいま絶対に知らなければならないことは何か? ドイツ在住30年のベストセラー作家による現地レポート! 

川口マーン惠美


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