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自民党スレ

4238チバQ:2020/07/21(火) 14:41:25
 しかし、小泉が演出した「劇場型政治」は、既に幕を下ろした。そして、今、前回の時事通信社「地方行政」2020年1月6日号で指摘したように、安倍が新たに提示した「戦後レジーム」という「敵」に、右派ポピュリズムが刺激されている。その「敵」は吉田茂に始まり、田中角栄から野中広務に至る系譜が支配してきた「保守本流」だ。これは戦争経験と、理性、自制をもって護憲を許し、協調外交、協調型意思決定を重視して、「左派」との共存を図ってきた。

 右派ポピュリズムは、それに我慢できず、苛立ち、抑え込まれてきたナショナルアイデンティティーを取り戻したいという願望によって、戦闘意欲を掻き立てている。

 しかし、その「敵」は、「保守本流」だけではない。背後には、「戦後レジーム」をつくり上げた米国がいる。だから極めて堅固なのだ。

 これも以前、指摘したが、安倍が東京裁判史観からの脱却をにおわせ、靖国神社に参拝した途端、米国から拳骨を落とされる始末だ。米国との対等性なくして「真の独立」などあり得ないが、米国からの「自立」がいかに難しいかは、ここで語るまでもあるまい。

 「右派」でも一部のインテリはその難しさを知っているが、右派ポピュリズムはそこまで求めはしない。「戦後レジーム」を「米国製憲法」や「弱腰外交」という言葉に落とし込んで、安倍が「憲法改正」「拉致被害者奪還」「北方領土返還」「韓国元徴用工問題は解決済み」などと叫ぶ姿に、ナショナルアイデンティティーの回復を期待し、ストレスを発散させているのだ。

 かつて文芸評論家であり保守論客だった江藤淳は、米国との戦争に敗れ、米国に占領されたことで、近代の中で日本人が「辛うじてつくり上げようとした独自の価値体系」が破壊されたと悔やんだ。そして、次のように憤りを露わにしている。

 「一夜にして『民主主義』の謳歌者に変貌させられた日本人が、どんな奇怪な心理的操作を迫られ、どんな痛みを内面に感じたかについて、世の『転向』論者が口を緘して語らないのを私は奇怪至極と訝らぬわけにはいかない」(江藤著「成熟と喪失─“母”の崩壊─」)

 「戦後レジームからの脱却」とは、その「痛み」を与えられたことに、一矢報いるための挑戦ではなかったのか。安倍の「強さ」が「米国が許す範囲」のものにすぎないとすれば、まさに「脱却“劇場”」であり、「右派ポピュリズム」を巻き込んで空騒ぎするための諧謔にすぎない。第2次安倍内閣発足以降、安倍自身からとんと「戦後レジームからの脱却」と聞かなくなったのは、それを自覚してのことだろうか。【時事通信社「地方行政」2020年2月20日号より】

 菊池正史(きくち・まさし)日本テレビ政治部デスク。1968年生まれ。慶應義塾大大学院修了後、93年日本テレビ入社、 政治部に配属。旧社会党、自民党などを担当し、2005年から総理官邸クラブキャップ。11年から報道番組プロデューサー等を経て現在は政治部デスク。 「著書に「官房長官を見れば政権の実力がわかる」(PHP研究所)、「安倍晋三『保守』の 正体」(文藝春秋)などがある。


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