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石炭・亜炭・炭砿スレ

1とはずがたり:2012/12/17(月) 23:11:36
日本では既に斜陽産業からほぼ過去の産業へとなった石炭関係のスレ。
新技術の可能性や廃炭砿の懐古迄。

70とはずがたり:2016/03/14(月) 12:01:54

それが褐炭ですか。

西村:そうです。褐炭というのは生成してから1億年程度の、若い石炭です。水分量が60%程度も含まれるため輸送に適しません。半分以上が水分ですから、苦労して運んでもペイしないわけです。

 水分を飛ばして乾燥させてから運べば良さそうですが、今度は自然発火しやすいため輸送が難しい。結局、褐炭は使いにくいからこそ「未利用資源」と呼ばれてきました。

出典:WEC「Survey of Energy Resources 2010」、総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 鉱業小委員会(第1回)。円グラフのうち黄色の部分が褐炭の割合
http://tohazugatali.dousetsu.com/img_02.jpg

日本の総発電量の240年分の資源が眠る

 世界中には広く褐炭が分布していますが、我々が注目したのはオーストラリアです。同国は世界有数の石炭資源国でありますが、その石炭資源の半分が褐炭なのです。国内の消費量が少なく、周囲を海に覆われたオーストラリアとしては、褐炭は売るに売れない困った資源だったのです。

その未利用資源をなぜ注目するのですか。

西村:安価だからです。褐炭はこれまで海外とほとんど取り引きされてこなかったため、権益の取得も容易です。そして未利用だった故に、膨大な量が残っています。

 例えば、オーストラリアのビクトリア州にラトロブバレーという地区があります。ここは地下に5メートルも掘れば褐炭が出てきます。地平線まで褐炭の炭田が広がり、深さ250メートルまで褐炭が眠っていることが確認されています。その埋蔵量は、日本の総発電量の240年分に相当する膨大なものです。

 水素を製造する手法は様々ありますが、褐炭から水素を取り出す方法は経済的にも優れています。

 もう1つ、我々がラトロブバレーに注目している理由があります。それは褐炭から水素を取り出す際に発生する二酸化炭素を貯留し易い場所にあるのです。

CCS(二酸化炭素の分離・回収・貯留)に適していると?

西村:実は、ラトロブバレーから80km先にある海岸沿いには枯れかけている海底ガス田があります。ガス田というのは天然のガス貯留施設となり得るところです。なぜなら長い時間が経ってもガスが抜けないほど地盤がしっかりしているからこそ、ガス田になり得たわけです。だから人間がガスを取り出すために空けた穴に、今度は二酸化炭素を入れれば良いのです。

 このCCSプロジェクトに対してはオーストラリア政府とビクトリア州も実現に向けて強い意欲を示しています。この「CarbonNet」というプロジェクトの実施は2020年以降になる見込みですが、既に約200億円という資金を投じて、二酸化炭素の貯留に適した場所であるかどうか地質調査を行っています。

 オーストラリアとしてはこれまで使い道が限られていた褐炭の有効利用につながる。それに褐炭から水素を製造し、輸出できるとなれば新しい産業が起きるので、雇用創出も期待できます。

71とはずがたり:2016/03/14(月) 12:02:11
>>69-71
オーストラリアから日本まではどうやって水素を運ぶのですか。

西村:水素を気体として運ぶのは効率が悪いので、マイナス253度という極低温まで冷やして液化します。そうすると体積は800分の1になります。

 天然ガスも体積を小さくするためにマイナス162度にまで冷やして液化します。当社は液化天然ガス(LNG)の運搬や貯蔵などの技術やノウハウもあるので、それらを液化水素にも存分に生かせます。

液化水素の「冷たさ」にも使い道がある

ただ、水素を液化するのに手間とコストがかかってしまうのではないですか。

西村:たしかに水素を液化する工程には電気が必要です。ただ、供給地が海外である場合、日本より電気代が安い場合がほとんどです。その安い電気を使って水素を液化すれば、トータルのコストはそれほど大きくならないと試算しています。実際、ラトロブバレーのすぐ近くでは安価な褐炭を使った発電が行われています(とは註:IGCCに適応可能な新日鐵住金と千代田化工の技術>>67-68を使えば良いのかも知れない)。

川崎重工業の播磨工場(兵庫県加古郡)には水素実証センターが設置されており、1日当たり約5トンの水素を液化する能力を備える。写真右側の青く見える筒状の構造物が液化装置

西村:水素を液化しておくと、後工程が非常に使いやすいというメリットもあります。需要地に持ってくれば、常温で蒸発するのでそのまま使えます。水素を有機溶媒に溶かして運搬する手法も検討されていますが、この方法では水素を分離するのに再度エネルギーと手間がかかってしまいます。その点、液化水素ならば99.999%という極めて純度の高い水素を提供できます。だから燃料電池車(FCV)の燃料としてすぐに使えます。

 更に言えば、液化水素の「冷たさ」にも使い道があるんですよ。液化水素をマイナス253度の冷媒と捉えれば、需要地で冷熱として利用できます。例えば、工場などで熱交換のため物体を冷やさなければならない場合、液化水素を冷熱源として使う。出てきた水素は工場内で燃料として使うこともできるし、FCVなどに供給することもできるでしょう。

液化水素をどうやって日本に運ぶのですか。

西村:当社は液化水素運搬船の開発を進めており、実現すれば世界初となります。

 1981年に日本で初めてLNG運搬船を建造したのは川崎重工です。LNGより更に100度近く低い液化水素を輸送するため、特殊なドーム構造を持ったカーゴタンクを開発しています。巨大なマホービンを想像して貰えれば良いのですが、真空断熱二重殻を持っています。2013年12月には、液化水素運搬専用貨物格納設備について日本海事協会から基本認証を取得しています。

 まずは小型液化水素運搬船(貨物槽容積1250立方メートル×2基)を2020年までに就航させ、その次はタンカー規模の商用船の建造を目指します。

将来的に水素の活用はどう広がっていくと考えていますか?

西村:将来的には水素発電が普及して、より多くの人がクリーンな電気を使用できるようになるでしょう。

 その前に化学プラントなどでは水素を含む副生ガスが大量に発生することから、その有効利用に対するニーズが拡大するでしょう。既に当社は、天然ガスに60%まで水素を混ぜて混焼できるガスタービンを開発しました。追い炊き燃焼方式を活用することで、低いNOx値を実現しています。

西村:当社は、水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」というサプライチェーンに必要なインフラ技術を積極的に開発することで、水素社会の到来に貢献したいと考えています。


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