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情報メディア綜合スレ

349とはずがたり:2017/01/25(水) 20:31:39
>>348-349
バブル時代の感覚でモノを語られても・・・

3つ目は、おカネの若者離れ。ネット上で最もよくみる若者本人たちの言い分が、「買わないんじゃなくて、買えないんだ」ということ。非正規雇用は増加の一途、可処分所得も右肩下がり、加えて景況見通しや日本の将来観についても年金問題や高齢化など、あまり明るい観測がありません。

電通若者研究部の2015年の調査でも、実に77%の若者が「日本の将来が不安」だと回答しています。原資も減り、将来も不安だと、消費がリスクに見えるのも仕方ないかもしれません。それにもかかわらず、「若者の○○離れ」を嘆く大人の考える若者像は、近代日本史における“外れ値”ともいえるバブル絶頂期のそれであることも少なくないです。これでは、ズレて当然といえるでしょう。

4つ目は、フリーミアム&シェアリングエコノミー。「基本的な部分はタダでできること」「所有せず共有で可能なこと」は日に日に拡大しています。言い換えると、それは「消費金額」と「行動や熱狂」が、必ずしもきれいに比例しない時代の到来ともいえるでしょう。ビジネスモデルそのものが、「価値の最終受給者から代金を徴収しないモデル」をはじめとする、新たな形態に多様化し、消費という行為そのものの定義が移ろいつつあるのです。

これまでの消費のあり方を前提に若者をとらえると「何がしたいのか全然見えない」という結論に至るのは無理もないこと。「どうしたら直接お金を落としてくれるか」だけを考え始める前に、実際の彼らの行動や熱狂と、それにまつわるビジネスモデルの構造を注視するべきといえます。

最後は、消費や生活の選択肢・情報量の激増です。シンプルに言えば「やること・やれることが膨大に増えたので、1つ1つの存在感が下がった」ということ。2010年のIDCのレポートによれば、全世界の情報流通量は2020年には年間35ZB(ゼタバイト:10の21乗)に達することが予想されています。それは、人類誕生から2000年までの総人類が残した、全ての記録データである12EB(エクサバイト:10の18乗)の約3000倍の情報量が、たった1年間で飛び交うことを意味します。

供給側としては、以前と変わらない声の大きさで呼びかけているつもりでも、世の中がインターネットでつながってしまった後に生まれた若者からすれば、聞こえにくいのは当たり前。「意図して離れて行っている」以前に、「アタマをよぎりもしていない」ことも少なくないのです。

5つの代表的な「正体」をあげましたが、通底するのはやはり「前提の変化」。“かつての当たり前”の中で若者として生きた常識を、“これからの当たり前”を生きる今の若者に当てはめようとすること自体にいろいろなところで無理が出てきているわけです。要するに、“大人の理屈”が新しい時代からズレてきているということです。

大人が若者から離れているだけ

すべての大人たちは例外なく、「かつての若者たち」なわけで、だからこそ自分たちがその年ごろだったときの「当たり前」に当てはめて今の若者を考え、それに著しく当てはまらない現象について、「けしからん」とか「意味が分からない」と判断してしまいがち。そしてその結晶物が「若者の○○離れ」という言葉だとすると、ことの本質はその言葉の中にはないように思います。

『若者離れ?電通が考える未来のためのコミュニケーション術』(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)
「○○離れ」というレッテルを貼って分かった気になってしまうと、単に若者に離れられてしまうだけでなく、“これからの当たり前”ともいえる新しい考え方や価値観へのシフトができず、気づけば「OSの古いPC」みたいなオジさん(やオバさん)になっているかもしれません。

以上、見てきたとおり、「若者の○○離れ」の背景には、「大人の若者離れ」が潜んでいる可能性が大きいでしょう。「最近の若いやつらはどいつもこいつも理解できない・・・」なんて言っていたら、ズレは「時代と自分自身」の間に広がっていたという恐ろしい話になりかねません。自分は変わらずに変化から「逃げ切る」という言葉すら出てきた昨今ですが、「若者の○○離れだ」と感じることが起こったら、その言葉だけで終わらせず、その正体を考えてみると“次の当たり前”への気づきや、新たな自分自身の可能性が得られるでしょう。


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