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情報メディア綜合スレ

344とはずがたり:2017/01/05(木) 17:56:23
>>342-344
「他の人の言葉を自分たちの『正しさ』のためにつかうことには、慎重じゃないといけないし、ものすごく繊細な問題なはずです。正しい目的のためなら、繊細な問題は気にしなくてもいい。僕にはそんな風に聞こえてしまう」
小説は小さな言葉を拾うためにある、と星野さんは考えている。
同調圧力に圧迫される人たち
「正しさ」に縛られているのは、大きな社会問題だけだろうか。社会に関心をもたなければ関係がないのか。
「例えば家族ですよね。あるいは男らしさ、女らしさ、セクシュアリティの問題……。本当は、誰もがどこにもカテゴライズされない部分を持っているにもかかわらず、みえない枠に抑えつけられそうになる」
コレクション2巻に収録された『毒身温泉』は性別や年齢が異なる独身者が集まり、新しいコミュニティーを作ろうとする。既存の価値観と対抗しようと独身を肯定しようとするが……。「対抗しなければならない」という思いにとらわれることで、彼ら自身が苦しくなり、より寛容な形で解放を求めていく。
自分たちの親子関係に、友人関係に、学校や会社に、自分だけではどうしようもならない「??で、なければならない」という圧力がある。それに圧迫される人たちがいる。
「??で、なければならない」の背景にあるのは、制度や規範だ。星野さんは、それを「政治」と呼ぶ。
「家族やセクシュアリティの問題は小さな世界の話です。でも、小さな世界にだって『政治』はある。小さな声をすくい上げて、書くことで、自分たちが何に絡め取られているのかがみえてくる」

「正しい言葉」が洪水のように押し寄せてくる。SNSに蔓延した言葉は、社会的な影響力を持つようになった。
流れに身を委ねないためにどうすればいいのだろう。星野さんの小説には、「正しさ」が先鋭化するなかで、大きな行動?デモや署名活動?ではなく、ただ自分を失わず、「個」として生活することで抵抗する人が登場する。
彼らはどんなに周りが先鋭化しても、その言葉を広めることはしない。違和感を胸に秘め、自分の生活のなかで考えることをやめない。小さなヒントが託されているかのようだ。
「言葉に流される社会に突き進むなかで、何ができるのかなぁって思うんです。正しい言葉に別の正しさで対抗せず、身を委ねることもしない。『ただ、そこにいること』。疑問を感じたままの自分でいること。今の時代、僕はそれが一番、大切だと思うのです」
星野さんはそっと言うのであった。それは、「正しさ」に疑問をもったままでいることを肯定する言葉に聞こえた。


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