したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

旅客船・高速船・フェリー等のスレ

632OS5:2025/01/23(木) 21:31:30
■ 誤算だったコロナ禍

 JR九州は、20年以上も使用したビートルの置き換え検討を始める。ここから意図しなかった誤算が連続で生じてしまい、最終的に「運航継続のための不正検査」につながってしまった感は否めない。

 まず、ジェットフォイル3隻「ビートル」「ビートル2世」「ビートル3世」を、クイーンビートルのようなトリマランタイプの高速船に置き換えるという経営判断を下した。ジェットフォイルは海面上を飛ぶように進むため、45ノット(およそ時速80km)とかなりの爆速で航行できるものの、定員200人程度にとどまる。かつ、クジラなどを避けるための急減速もあり、船内ではシートベルトが必須だ。

 一方でクイーンビートルのような高速旅客船なら、所要時間は3割ほど長くなるものの、船内での行動は自由となり、JR九州が「ゆふいんの森」「A列車で行こう」など数々の観光列車で展開してきたアテンダントサービスも強みとして活かせる。横に幅広い構造のトリマラン船体なら500人ほどの定員があり、観光シーズンの予約を満席で取りこぼさずに済むというメリットもあった。

 さらに航空機との競争で利用状況が30万人を割り、そのあとみるみる落ち込んで年間20万人弱に。1時間弱で着く航空の逆を行く「ゆっくり、快適なサービスを受けて移動できる」高速船での勝負を選択したのだ。

■ コロナ禍でほかの船を売却。「クイーンビートル一本足経営」に

 しかしここで、2020年からのコロナ禍に巻き込まれてしまう。2020年7月に就航を予定していたクイーンビートルは、オーストラリアからの到着が10月に遅れたうえに、海外渡航に制約がかかる状態では、もちろん就航ができない。

 JR九州高速船も社員を一時帰休させるような状況で、2020年3月期決算で69億円の赤字と、もはや会社存続すら危うい状態になってしまった。

 当初の予定では、クイーンビートルと同様の船体をもう1隻購入し、ジェットフォイルのビートルも1〜2隻は残す予定だったという。しかしJR九州高速船に資金の余裕はなく、ビートル3隻はすべて売却されることに。2番船造船のめどもたたず、残された船はクイーンビートル1隻のみ。ここに、JR九州高速船の不安定な「クイーンビートル一本足経営」がスタートする。

コロナ禍の明けた2022年10月にようやく就航したものの、利用者は7万人程度で、コロナ前の年間20万人弱の半分以下、乗船率も50%がやっとという状態。かつ、船が一隻しかないため、休航すると代替の輸送手段もなく、予約客に頭を下げて費用を補償するしかない。なにより「クイーンビートル一本足経営」では、船を動かさないと収入は入らない。

 不正が行なわれた過程をヒアリングした第三者委員会の資料では、「急に休航するとキャンセルで多くの顧客に迷惑がかかることを言いわけに、違法であることを認識しつつも検査を怠った」ような記述がある。

 最初に検査不正が行なわれたのは2023年2月(浸水の報告不履行)、さらに踏み込んだ「浸水量を表に出さない“ウラ管理簿”の作成」「浸水警報機を50cmも上部にずらして鳴動を止める」などの検査不正は2024年2月〜5月。オースタル製の新造船はクラック(亀裂)などの不具合も多く、なるだけ休航させないための検査不正という選択が、二度目の行政処分と安全への信頼の失墜、最終的には会社の消滅(捜査終了後に会社清算の見通し)につながった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板