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バイオ燃料・エタノール・新エネルギースレ

4471とはずがたり:2021/04/07(水) 00:13:16
>>4470
マックインとベールスたちは、さまざまなモデルを組み合わせてシミュレーションを試みた。水路からの水の蒸発量については、水文モデルだけでなく、気候モデルから導き出した向こう数年間の気温の上昇を織り込んで計算している。また、発電量は水によるソーラーパネルの冷却効果も含めて考えている。

こうして最終的に年間630億ガロン(約2,385億リットル)の蒸発を防げるという数字が出たわけだが、効果はそれだけにとどまらない。

例えば、農業生産者の多くは、水路から農地まで水を運ぶポンプをディーゼル発電機で発電した電力で動かしている。これを太陽光発電でまかなえれば、二酸化炭素の排出量削減と大気汚染の軽減につながるだろう。ベールスは「経済的なコストだけでなく、社会的な利益という側面もあります」と言う。

数字に現れないもうひとつの利点として、農地や自然生息地を大規模な太陽光発電設備に転換しなくても、太陽光発電の量を増やせる点が挙げられる。それに水路の周辺は、すでに土地開発が進んでいる。


仮に自宅にソーラーパネルを設置するとしよう。「庭の芝生を刈って場所をつくらなくても、屋根の上に設置できますよね」と、カリフォルニア大学バークレー校の法学部で水資源政策を研究するマイケル・キパルスキーは指摘する。「つまり、すでに開発されたものから新たな利益を得られるようにするのです」

EVへの電力供給にも役立つ可能性

水路をソーラーパネルで覆うことは、将来の電気自動車(EV)の普及に向けた施策にも役立つ可能性がある。カリフォルニア上水路はカリフォルニア州を南北にまたがる州間高速道路5号線に沿って走っており、将来的にガソリンスタンドをEV用の充電スタンドにつくり替えるときは、近くの用水路のソーラーパネルから電力を供給することもできる。

また、気候変動対策にもなる。キパルスキーは「わたしたちの歴史をかたちづくってきた干ばつは、今後も必ず起こります。そして気候変動の影響で、より頻繁かつ深刻になっていくはずです」と指摘する。平均気温が上昇すれば水路から蒸発する水の量は増えるが、覆いをつければこれをある程度は防ぐことができる。

今回の論文はカリフォルニア州の用水路を対象とした研究だが、マックインは同様のモデルはその他の地域にも適用できると説明する。「干ばつが頻発する場所で開放型の水路があるなら、検討する価値はあります」

これには、さらなる温暖化が見込まれる南西部の州や、テキサス州なども含まれる。特にテキサスでは予想外の寒波による大停電が起きたばかりで、電力供給システムを根本から見直す必要に迫られている。

生態系への影響や維持コストの課題も

もちろん、こうした大規模なインフラプロジェクトには複数の問題もある。例えば、水鳥などの野生生物に影響を及ぼす可能性が指摘されている。カリフォルニアは過去100年で湿地の90%が失われており、水路は水鳥たちによって重要な生息場所だ。

また、鉄製のトラスにさびが生じれば、水路システム全体の運営維持費が増加する恐れがある。そしてソーラーパネルの設置費も、大規模展開するならかなりの額になるだろう。

なお、論文ではパネルの設置にかかるコストは試算していない。マックインはこれについて、デモプロジェクトなしで費用を予想することが困難であるほか、コストはどの地域で実施するによっても左右されると指摘している。

とはいえ、こうしたプロジェクトを「完全に実施する」か「まったくやらないか」という二択である必要はない。水路の一部だけでもソーラーパネルを設置する意味はあるだろう。630億ガロンの水の節約にはならないだろうが、蒸発量を少しでも減らし、農業用ポンプやEVの充電設備に再生可能エネルギーを供給することはできる。

「気候変動の問題は別にしても、カリフォルニアは水不足なのに水の需要が拡大しています」と、カリフォルニア大学バークレー校のキパルスキーは語る。「それを考えれば、節水はいかなるかたちでも歓迎すべきことなのです」


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